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1952-05-26 第13回国会 参議院 経済安定・通商産業・建設連合委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)    午後二時十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            郡  祐一君    委員            愛知 揆一君            奥 むめお君            須藤 五郎君   通商産業委員    理事            小林 英三君            栗山 良夫君    委員            重宗 雄三君            松本  昇君            山本 米治君            小林 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   建設委員    理事            赤木 正雄君            田中  一君    委員            小川 久義君            石川 榮一君            前田  穰君            三輪 貞治君            松浦 定義君            東   隆君   委員外議員            栗栖 赳夫君   衆議院議員            福田  一君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    通商産業大臣  高橋龍太郎君    建 設 大 臣 野田 卯一君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    公益事業委員会    委員     松永安左エ門君    法務府法制意見    第三局長    西村健次郎君    通商産業省通商    雑貨局長    徳永 久次君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       渡邊 一郎君    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    経済安定事務官 佐々木義武君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電源開発促進法案衆議院提出)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは電源開発促進法案につきましての連合委員会、実質的には第十四回目になると思いますが、経済安定と通商産業建設連合委員会を開会いたします。  前回に引続きまして質疑を続行いたします。
  3. 栗山良夫

    栗山良夫君 私この際通産大臣に二、三御所信を伺いたいと思います。勿論電源開発の問題に関してでありますが、特に通商産業省としましては、我国産業政策を指導せられる立場にありまするので、この案を起草せられた、実質的に起草せられた経済安定本部とはよくお打合せの結果であろうとは思いますが、二、三私は通産行政立場からお伺いいたしたい点が一つあるのであります。  その第一点は、過日当委員会において木村禧八郎君が大蔵大臣に対して質問をせられたのであります。その質問の要旨は、この開発促進法の中に特殊会社というのは、外資導入を前提として最初構想を立てられたものである。然るに外資導入見込薄なつた今日においてどうするつもりかという質問に、大蔵大臣は、入るのは好ましいけれども、外資が入らなくてもこれを強行したい。然らばその資金をどうするかという話に移りました場合に、勿論赤字公債等を発行して財政均衡を破つて行うというようなことは、これは厳重に避けて、そうして重点的に電源開発投資をする、こういうことが言われたのであります。その場合、その投資のやり方について質疑応答が交されたのでありますが、その場合に大蔵大臣は、一般産業融資規制を以てこれに充てることも又辞さない。非常に強い考え方が表明をせられたのであります。そこで我々としましては、我国長期に亘る産業発展指導をいたして参ります場合には、やはり各種産業亘つて国方針則つて、あらかじめ発展をして行かなければならんのでありますが、通商産業大臣としてそういうような一種の計画経済でありますが、電源開発のために国の資金を傾斜投資いたしまして、そうして資金の足りない分は融資規制を以て抑えて行くというような政策が好ましいとお考えになるかどうか、その点を先ずお伺いしたい。
  4. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) お答えいたします炉、現在の情勢では、御承知のように電力が非常に不足しておりますので、電源開発ということは私は非常に重要な問題だと思うのであります。第一の資金の問題ですが、電源開発重要性に鑑みて、電源開発資金というものは、非常に重要視することは当然のことでありますが、只今のお言葉の通り、ほかの産業も無論必要なわけで、並行して進まなければいけないので、それはその場合に問題が起りましたときに、その重要性如何考えてきめなければいけないと私は考えております。
  5. 栗山良夫

    栗山良夫君 問題が起きたときに、その重要性考えなければならん問題であると言われましたけれども、現案にそう考えなければならん時期が来ているわけです。今がそうです。これは電源開発長期資金投資でありますから、一旦着手をした以上は途中でやめるわけに行かない。若しやめれば非常に大きな損失を国家に与えることになりますから、今ここではつきりとその態度を決定しなければならん。そういう時期に私はあると思う。従つて今日わざわざ高橋大臣の御来席を得て、通商産業政策最高推進機関におられる大臣の所見を私は伺いたい、こういう工合考えたわけですが、問題はすでにその段階に来ている。矢は弦を離れようとしている。それを放つか放たないか、その考え方をあなたに伺つておるわけであります。
  6. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 只今少し私は誤解しておりましたが、現在のところでこの電源開発会社ができまして、先ず一千億ばかりの政府資金をこれに注ぎ込むことになつております。その程度は無論必要だと思います。私の申しましたのは、将来それ以上の資金の問題の時分には、その産業との重要性考えてきめなければいけないという意味であつたのであります。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは大蔵大臣にもお尋ねしなければならんのでありますが、これは少くとも数年に亘る長期継続工事になるはずであります。従つてそういうような継続工事になるものに対して、曾つて日本の軍部が行いましたように、国会に対して或る一つのテーマを与えまして、そうして予算措置を講ずることなくずるずると財政措置をして行くということが合法的であるかどうかという問題は、これは残された問題であります。でありますが、少くとも大臣只今一千億の金が必要であると言われましたが、この事業長期に亘ることだけは御理解願つておるのであります。而もその長期に亘る場合の全部の資金の枠というものも大体私はおわかりになつていると思います。そういう第一期、第二期計画全体を含めての一つ電源開発構想全体についての資金措置の問題、並びにそれから導き出されて来るところの我が国産業政策の行くべき方向について、どういう工合にお考えになるか、こういうことを申上げておるのであります。私は今年、来年のことは大体わかつておるのでありますから、そういうことではなくて一つ産業政策方針について伺つておるわけであります。
  8. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 私は只今申上げたことを繰返しましていけないのですが、無論電源開発長期計画でなくちやいけないわけです。併しその第一期の開発ができても、それだけは実際に電力が殖えるわけなんで、長期資金計画のことはともかく、現在のところで千万円でしたか、千百万円ばかりの政府資金をこれに注ぎ込む、第一期計画にそれは少くとも必要です。そのあと考えなければいけない、そういうふうに私は考えていますが、資金計画のほうは担当でありませんから、或いはほかの大臣が多少違つた意見を持つておるかも知れない……。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 その二十七年度の分は、ここから頂いた電源開発計画構想の中にもちやんとあるのです。全部入れまして一千二百三十七億、これは勿論民間会社自己調達資金も入つておるわけでありますから、それだけあるわけです。それについて今私とやかく申しておるのではなくて二十八、二十九、三十、三十一、三十二年度、そういうふうな工合にだんだんとこの所要資金が殖えて行く。殖えて行くことによつて外資が入らないというような場合には、一般産業融資規制を以てしてでも電源開発資金だけは賄うのである、こういうことを大蔵大臣から強く言われておるので、そういうことをした場合に、通商産業大臣として、それに応えて、あなたは一般産業の頭打ちをするような問題等についても御賛成でございますか、こういうことをお尋ねしているわけであります。
  10. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) その程度の問題ですが、一般産業を圧縮するというならなんですが、これも産業程度によるわけで、今非常な圧迫を加えて電力開発をするということは一つ考えて見なければいけない。一般産業に非常な制圧を加えれば、電気需用量も減るわけなんでありますから、それは別に考えなければいかんと思います。程度の問題であると思います。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 今電気需用量余り制圧を加えれば減るとおつしやつたのでありますが、僕はその通りだと思うのです。この法律案は漸次鉱工業生産水準引上げ国民生活水準引上げながら、三十一年度には需給バランスをとる。鉱工業生産を二倍にするということがありましたけれども、過日の大蔵大臣の御説明のようにやりますと、私はそういう工合に行かない、こういう工合考えておるのでありますが、これは一応大体大臣のお考えを伺いましたから、この程度にしておきましよう。要するに大臣は余り他の産業影響を与えるようなそういうことでは困る。又そういうことをすれば電力需用量も減るであろう、こういうことをおつしやつたのですからその点で了承して置きます。それからその次に私は第二の問題として産業立地の問題を伺いたいと思います。それは私はこの委員会でも終始力説をしておりますことは、我が国産業開拓というものは特定の地区に偏在をしてはいけない。僅か四つの島に人口は溢れるほどに密度を増しながら各地において増加をしておるわけであります。各地区にそれぞれの水力電源開発を早くやりまして、特に関西以西はその影響は、過失の我が国電源開発方針が誤まつてつたと言えば言えるのでありますが、手薄でありますから、そういう所を早くまつ先にやらなくちやいかんのじやないか。中部の天竜あたり民間会社が明日でも仕事ができると言つているのに、どうしてもこれをとつてやらなければならない、そう言われるのでありますが、そういう無駄なことをしないで、そういうものについてはあらゆる調査能力工事能力を挙げて関西以西水力電源開発に直ちに着手する、そういう構想でなくちやならんのじやないかと言つておるのですが、まだ提案者並びに政府当局の理解を得ていないのであります。そこで私は大臣に伺いたいのは、将来我が国のこの産業発展の度合は、私が今申上げたように全国どこでも産業を興すような方針で行かれるのか。或いは水力電源地帯に近い所に産業を興し、そうして手薄な所は成るべく産業の発達を抑えて、そうしてそれに電力開発もマッチさせる、こういうようなお考えでおられましようか。どちらをおとりになりますか、これをお伺いいたします。
  12. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今電力需給関係が、地域的に均衡が取れていないという点を御指摘になつてお尋ね考えるのでありますが、それはその通りであります。これはこの配電改善を含みまして電力需給関係が各地方でマッチするように考えなければいけない。開発すべき電源地がない所はしようがない、それは配給のほうの問題を考えなくちやいけないであろう、そういうことを勘考して見て、なお且つ或る地方電力が足りない地方があるかも知れない。そのときの問題をどう考えるかという御質問かと私は受取つたのですが、そういう場合には多少この電力のない地方工業的な発展というものは考えて見なければいかんと私は存じます。無制限に放置すべきではないと考えるのであります。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、各ブロックと申しますか、各地方別産業発展状況というものは、その地区電力需給状況に応じてやはり調整すべきで、野放しの産業発展というようなことは行なつちやいかんと、こういうお考えと理解してよろしうございますか。
  14. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) その通りであるのです。ただその解釈を、大体配電のほうで、相当全国亘つてこの電源開発が促進すれば不足なく配電ができると私は考えますが、なお且つ或る区域でどうしても電力が不足するという所に電力を非常に使う工業が興ることは、これは避けなければならんと私は考えるのであります。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つ、これに関連するのでありますが、私は今までの委員会でもやはり同じことを言つて来たのでありますが、こういうような国家財政投資をして電源開発を行うような場合には、その特殊会社によつて開発されました電力というものは、今までとかく不評を受けておる地域差の非常に高い地点関西以西のようなこういう高い地点に重点的に開発をやるのが理想でしようが、できないときにはこれに応じまして、そうして地域差の圧縮に努める、電気需給改善に努める、こういうことをこれは意識的にやらなければならん、こういうことを力説して来たのでありますが、まだその点についてはつきり私の理解するところまで行つておりませんけれども、そういうような必要があるかどうか。少くとも財政投資を以て電源開発を行います場合には、今日不自然な状態で出ておるこの地域差というものを、この特殊会社作つた電気によつてつて行く、こういうことをすべきであるとお考えになりますか。或いはそういうことでなくてもよろしいとお考えになりますか。或いは自由に使つてよろしいと、こういうようにお考えになりますか、この点を一つつて置きます。
  16. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 私は考え方は御意見通り考えるべきだと思つております。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 その次にお伺いいたしますが、大臣我が国の将来の輸出貿易の点におきましては、どういうものを重点的にやるべきであるか、それをどういう工合にお考えになつておりましようか。
  18. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) これは輸出貿易立場から言えば、重工業軽工業も区別はないのですが、ただ軽工業のほうはおのずから輸出市場関係から言つて限度があると思います。或いは我が国の現在までの輸出の一番大きな役割を務めておる繊維品のごときは、今より非常に伸ばして行くことは困難であろうかというのが、世界的な繊維工業情勢だと私は考えておるのであります。そう考えますというと、この軽工業よりも重工業のほうがまだ輸出可能性が残されておるように考えます。従つて重工業の面を非常に考えて行くべきだというのが私の私見であります。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 繊維品は駄目だ、大体見込薄だとおつしやつたんでありますが、安定本部貿易計画によりますと、三十一年度には二十六年度の大体八五%増しくらいに計画がされておるわけであります。従つてこれは周東長官も見えておりますが、繊維輸出は将来大いにやろう、こういう御計画であろうと思いますが、併し私どもは中共市場開拓を叫んでおりまして、この前高橋大臣は自分もそれには大体賛成である、こういうことをおつしやつたことを覚えておりまして、そういう点が開拓されて来れば、この八五%くらいのところは或いは伸びるかも知れないと思います。思いますが、私が今わざわざ電源開発関係して貿易計画を論じておるのは、そういう意味でなくて、電気というものを今相当財政的にも負担を掛けながら開発をするわけでありますから、これは非常に貴重な材料になるわけです。従つてこの動力源というものは、成るべく動力を使いまして、加工をいたしまして、多くの賃金等もこれに織込んで、そうして輸出をするというような形でなければならんと思うわけであります。繊維にいたしましても、或いは雑貨品にいたしましても、或いは機械類にしても、重工業にしてもかまいませんけれども、成るべくこれを動力に使いまして、そうして多くの我々日本人が将来暮しを立てて行けるように十分労賃も織込んだような、そういうようなものでやらなければならんと、こう考えますが、そういう考え方からいたしますと、電気を生で輸出するような、例えばアルミニュームとか、或いは又硫安とか、そういつたような工業を更に盛んにすることが、この電力問題と考え合わせまして適当であるかどうか、これをどういう工合にお考えになつておるか伺いたいと思います。
  20. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) ちよつと、先刻私がお答えした軽工業繊維品貿易について、ちよつとあなたに誤解があるかと思うのですが、私は必らずし軽工業繊維品輸出を悲観しておるのではないのですが、将来伸びて行く程度余り楽観を許さないという意味で申上げたのであります。その意味は大体世界繊維品生産戦前に戻つておるのです。戦前に戻つておるのに各国別生産能力を、現在の生産能力を調べて見まするというと、各国分布状態が非常に変つている。著しく目につきますのは、以前繊維品生産能力が少かつた国が非常に殖えておる。この著しい一例はインドであります。そうして日本もイギリスも戦前までにはまだなかなか回復していない。そうして世界生産能力戦前に回復しておる——それが現状であります。その点を私は非常に問題にしておるわけなのであります。  それから今御質問電力を非常に使う肥料或いはアルミ、そういうものにこれから電源開発するその貴重な電力を使うのはどう考えるかというお尋ねのように思うのですが、アルミのほうは、これも世界生産状況が非常に変つて来まして、余り輸出は期待ができないと私は考えます。併し現在ぐらいの程度国内的に考えても需要があるので、昨年に比べて本年度のアルミ工業に充てる電力は大して殖やしてはおりません。電力も、アルミ生産見込をせいぜい一割増ぐらいに立てておるのであります。併し肥料の問題は、電力は食いますけれども、これは国内需要として非常に重要な品物である。少くとも国内需要を満たすことは、これは最も必要なことであると思うのですが、而も国内需要肥料というものはできるだけ安くすべきである。そのためには増産をしてコストを下げる。つまり国内需要以上のものを増産をして、コストを下げて行く。余つているものは海外輸出する。そういうことが必要だと私は考えておるのであります。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 硫安国内消費量を十分に満たさなければならんということは私は異議ございません。異議ありませんが、当然そうしなければならんのでありますけれども、海外への輸出をそこまでやる必要があるかどうか。電気を生で輸出するようなことをやる必要があるかどうかということなのです。安定本部計画によりますと、三十一年には約五十万トンの硫安輸出するような計画ができております。硫安を五十万トン生産する電力で他の機械工業或いは繊維工業等をやればどれだけのたくさんの仕事ができるかは御承知願えると思う。例えば只今あれだけ貿易の対象として繊維製品が活躍しておりますが、あれに使われている電力は全産業用電力の四・五%にしか過望ません。ところが化学工業に使われている電力は実に二五%の多きに達しているわけであります。従つてそういうことを私は、資金も潤沢であり、そうして他の産業圧迫を加えないということならば異議を申しませんけれども、これだけ差迫つて相当な財政投資までもし、又場合によつて融資規制まで行なつて電源開発をしようというその貴重なる努力によつて行われた電力を、生でそのまま結晶させて外国へ輸出するということは、これは避くべきじやないかということを考えるのです。この点について一つ通産大臣と、周東長官もお見えになつておりますからこれは一つ率直に御意見を伺いたいと思うのです。
  22. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 少し私あなたのお考えと違うのですが、肥料輸出というものは、先刻私が申述べた理由のほかに、肥料輸出を通して今国内で一番重要な問題である食糧の確保に一面役に立つていることをお考え願いたいと思います。
  23. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今の問題については、只今通産大臣のお話の通りであります。これは栗山さんもよく寅際は御存じだと思いますが、国内における供給の自給度を増すという点からいたしましても、やはり肥料増産ということが必要であることは言うまでもありませんが、御承知通りなかなか、殖えて行く人口問題、これに対しても対策はありましようが、応ずるだけの食糧は内地だけではとでもむずかしいのであります。急速にこれを殖やすことはむずかしいのであります。その間にありまして、東亜圏内における曾つて朝鮮台湾は勿論のこと、その他の地方におきましも非常に経済提携を図り、それらに対しては曾つて日本から肥料行つてつたところであります。そういう面は小さく考えないで、朝鮮台湾肥料を送り、そうして食糧を得る、こういうふうな問題はやはり考えて行かなければならんことであると私は考えております。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 その場合にですね、これはやはり食糧を得るために輸出をするというのも一つ考え方で、私は全然わからないわけではありませんけれども、やはり当然値段が問題になると思うのです。今やはり日本硫安は必ずしも安いわけではないのでありまして、更に電源開発をやつて電気の単価が上つてきた場合には、アメリカ或いはその他欧洲方面硫安に抑えられて輸出できないかも知れない。そういう点を私は十分考えておく必要があるのじやないか。そういう問題があればそれはやはり又別途の解決方法を講じなければならんのじやないか。経済一般論として私は申上げているのではないのでありまして、なぜそういうことが起きるかというと、化学工業に使われているのは、先ほど申上げましたように二五%も電力使つている。その予定は三十年度において大体百十億キロワツト・アワーくらいになるわけであります。百十億キロワット・アワーというと、恐らく発電所で言えば二百万キロワット・アワー以上になりましよう。従つてそんな大きな発電所をそういうものに使つて、而も硫安輸出ができないということになれば、それだけの発電計画をやつたことは少し無駄であつたということにも、逆に言えばなるわけで、従つてその辺のところはもう少しこの電源開発の絶対量をきめる基礎になるこの産業政策というものについてのお考え方を、現状だけでなくて、将来の遠い見通しの下に立てて頂く必要があるのじやないかということを申上げておるのであります。特に高橋大臣アルミニュームがそう大して増産計画はないと言われておりますけれども、これは一つ安定本部のほうで今度のこの電力計画を作られたときのアルミニュームの、いわゆる増加指数というものをお示しを願いたいと私は思うのでありまして、恐らく相当な量が入つておると思うのであります。特に硫安等にしてもそうだと私は思うのであります。一番問題にしておりますのはそういつたような国内で一番よく電気使つておるのは化学工業の二五%、その次は家庭用電燈の一八%、いわゆる電燈用電気であります。あと産業によるところの電力消費率は、そう大して大きな開きでありません。一〇%超えておるのは僅かでありまして、桁違いに少くなつておるわけであります。従つてそういう観点から、将来必要とする電力量を策定せられる必要があるのじやないか、こういうことを申上げておるわけであります。
  25. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もなお尋ねですけれども、私は今の肥料の問題にしても、アルミの問題にしても、これは三十一年度についての一つ見込と言いますか、目標を示しておるわけで、今日の日本状態として、何と申しましても、食糧にしても実際国内で自給できるものは九〇%、あとは殆んどやはり輸入に仰がなくてはならんという状況でありまして、併しその他の生活必需品というものも大部分これは原材料を外国から得ておるとすれば、とにかく日本としては軽工業でも或いは重工業的な生産品についても、その輸出増進ということがこれは大きな私は国策だと思うのです。而してそれらのものをそれじや加工する方法というものは何かと言えば、これはあなたよく御存じの通り電源と原材料の問題、動力源を確保しない限りは、如何に原材料を持つて来てもこれは駄目だ。工場の設備については勿論合理化をし、近代的な設備に改めることが、先ずコスト引下げの上から必要でありますけれども、併しともかく或る程度の設備は今日ある、これを動かすについての動力の不足と原材料の確保ということが、私は一般の抽象論としては絶対に必要なものだと思う。それだから、然らばあなたのお説を拝借すれば、高い電力ならばやめるかという、これは仮設でありますが、高くても実際言うと或る程度開発しなければならんものであります。併しその問題としては、私もできるだけ安くするために考えて、でき得べくんば外資の導入というものも、これをやつて行きたいということも一つ考え方なんであります。そのときに、仮に時間的に多少のズレはあると思いますが、そういう目標の下にやつてる。従つて今の御質問の点でありますアルミについても、将来増産見込めないという、こういうように通産大臣がおつしやつたように言われるが、そうでなく、そこは深い考えがある。今急に増産しようと言つても、一番電気を余計食うものでありますから、これにまだ開発されない以前から大きな分配をいたしますと、外に影響するから、今のところ大きな肩を持つていないということの御答弁であつたと思うのであります。併しこれは安本の計算によりますと、三十一年度においてはどうかというと、約四〇%くらい、併しそのことはこれは一つの目標であり、これは或いは日米、その他と経済提携をいたしますにいたしましてもやはり必要であり、日本としてもアルミの現在使用されておる量から言つて七万トン、この程度確保することは必要だと思う。四万五千トンを七万トン、大した殖え方でありません。これは電気を余計使つてけしからん、けしからんというわけじやないだろうが、多過割るだろうという御指摘は少し如何かと思います。成るほど日本としてはボーキサイド、その他を確保しておるわけでありません。これも又外から仰がなければならん。それを仰いでおるということになれば、製品の一部を売却して、そうして外国の原材料を確保するという方面に向けて行くということが、これも連関関係があります。こう考えておる。
  26. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつとお待ち下さい。質問の途中ですが、先ほど申上げましたように、通産大臣からは成るべく先きにやつて頂きたい、質疑をやつて頂きたいという話があります。先ほどから大蔵大臣が出席しておりますが、同様な申出があります。従いまして質問者のほうからはちよつと不都合かとも思いますが、特別の関連のないものであります限り、今のような順序に従つて通産大臣質疑をやつて頂き、それから大蔵大臣質疑をやつて頂くというふうにお願いしたいと思います。先ほどの栗山君の質問、まだ通産大臣に対する質問が残つておりますか。ありませんようでしたら田中さんの要求がありましたが、どうしますか。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 今ですね、通産大臣、それから周東長官お尋ねしたのは、私は電源開発をやる必要はないということを毛頭申しておりませんよ。これはやらなくちやならん。それから国民生活の水準を上げることも否定しておりません。鉱工業生産指数を上げることも否定しておりません。ただむやみに上げろ、上げろということじやこれはいけないじやないか。やはり電源開発というものがあり余つた金でやるのじやない、相当或る意味においては一部面には国民生活水準を絞つてでもやらなければならん状態になれば、おのずから延ばして行く。産業の構造についてもやはり深き慮りをして行かなければならんのじやないか、こういうことを申しておるのでありまして、その点は誤解のないように願いたいのでありますが、従つてそういう考え方から言えば、機械工業とか、繊維工業とか、或いは金属工業とか、その他の雑貨工業のようなところに起しました電気を集中的に入れまして、そうして電気の無駄食い、電気をそのまま外国に持つて行くような仕事は必要最小限度にとどめるべきじやないか、こういうことを述べておる。而もそういう必要はどうもこの六百万キロの開発計画の中に、需用想定の根拠の上に数字を見るとなつていない。従つてその点を少し抑えられないものか、こういうことを申しておるわけであります。それを抑え得れば、若干絶対量が減つて資金的にも楽になるかも知れん。先ほど高橋大臣は、若し資金措置の問題によつて産業が若干頭打ちをして、電力が減るかも知れんということをおつしやつた。それは私と同じ心配のことをおつしやつておる。折角工事に着工いたしましても、途中で変更するというようなことになれば、変更しないまでも異常に余裕電力が出れば、これ又無駄、そういう点をもう少し掘下げてお考えになる余地はないか、こういうことを申上げておるのであります。
  28. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点は御尤もでありまして、この計画それ自体におきまして、私先ほど申しましたように、輸出関係においては、やはり機械の輸出とか、化学製品の輸出というものは、やはり一つの大宗をなすことであり、東南アジア地区の諸民族との将来の経済挺携においても、やはりそういう機械類の輸入を欲しておるようであります。従つてそれは当然の計画考えられておるのでありましてて、それらの機械工業を起すについての原材料の国内生産を高めろ上においても、関連的に電気を食うわけであります。そういう点は当然に考えられておることでありまして、先ほど私が説明をした通りであります。そうしてあなたが先ほどコストの点について、折角できても高い電力ではできた商品が高くなりはせんかということの御心配、その辺も私ども憂いを同じうするものでありまして、できるだけ電気そのものについて安いコストで上るように電源開発をいたしたいということの一つ考え方は持つておるわけであります。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 今のお話で、それをなぜそう重ねて繰返し返しお尋ねしているかと申しますと、私の持つている資料が間違いであれば訂正いたしますが、私が或る資料から取つた安定本部貿易計画によりますと、昭和三十一年度においての増加率、二十六年度との対比増加率ですが、一番多いのは化学及び油脂の二六〇%というものが一番高い。その次が機械類の一七一%、こういう工合になつておりますのでそういう輸出計画のトップにそういうものを置くことが、私は少し電力問題と合せ考えて少し間違いじやないかという考えを持つているから繰返し繰返し伺つているわけです。
  30. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 細かいことは或いは事務局から御説明したらいいかと思います。それはやはり化学工業のほうに関しての生産品の増強は比較的私は早いと思います。で、機械のほうはただパーセンテージを数字的に挙げることは楽でしよう。これをやるについてはやはり関連的な施設の増加、或いはやはり材料の製造ということに対してもやはり時期的に時間がかかる。それらを併せて一つ増加率を考えておると私は思うのです。で、パーセンテージの上に現われた点だけを御覧頂きまして、これは数字は少しおかしいんじやないかという御指摘は多少意外かと思います。で、どうしても化学製品のほうがやはり時間的に私は早いと思う。そうして機械工業と言いますか、機械製品そのものに対する部分品とか設備なりというものはやはり併せて改善せられ、増設せられて行かない限りは製品それ自体というものがそう急激に増加しないというところに欠点があると思います。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう少しここは突つ込んで私は伺いたいと思うのですが、今日は開会の時間も遅れておるので何ですから私は一応打切ります。
  32. 田中一

    ○田中一君 私は建設面から上、三質問したいのです。第一に、通産大臣、安本長官がいらつしやるから御一緒に御答弁願つて結構ですが、この計画の二十七年度のセメントの所要量というものは百四万トンになつております。これに対する対策を先ず総括的に伺いたいと思います。
  33. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) そういうことになつておりますが、現在のセメントの本年度の生産見込は七百五十万トンであります。輸出も百万トンちよつと超えておるのであります。なお七、八十万トンの増産計画がありますから、百万トンの電源開発用のセメントは何も心配はないと私は思つております。
  34. 田中一

    ○田中一君 私は二十五年度、二十六年度の安本の増産計画生産計画とその供給面を見ますと、二十五年度においては約五百万トンのうち四%六なんです。電源用に用いましたセメントは二十六年度においても同じく四%六でございます。セメントの製造が今通産大臣が御説明のように簡単に増産ができるかどうか、本年度は七百五十万トンの生産計画を立てておる。又八十万トンの増産計画があるというお話ですが、これは全然不可能と考えております。なぜならば、二十五年度、二十六年度大部分のものは、現在ありますところの工場の増設が主たるものでございまして、御承知のようにセメント工場の新設というものは相当むずかしい工事です。曾つては、戦争中には八カ月で月産一万トンの工場を作つたという経験もありますが、これはあらゆる面における非常手段をとりまして作つたものなんであります。従つて今日私が調べております範囲では、日本現状ではセメントは八百万トン以上はもうできないというのがセメント工業の常識でございます。これはどういう資料で安本が七百五十万トンの二十七年度の計画と、八十万トンのそれ以上の増産計画を持つているかということは存じません。先ず七百五十万トンの生産計画と七、八十万トンのそれ以上の増産計画について安本長官から詳細な御説明を願いたいと思います。
  35. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 私の答弁は間違つておりましたから壷止いたします。本年度の七百五十万トンは増産計画を含めましたものであります。私間違つておりますからその点訂正いたします。本年度の七百五十万トンの生産計画は、業者から詳細な資料をとつて調べました数字であります。
  36. 田中一

    ○田中一君 御訂正があつたので、或いは本年度においては七百五十万トンの生産が可能だと私と同じようなお考えでございますから結構でございます。今私の申上げましたように、二十五年度乃至二十六年度に約四%六を電力開発方面に使つております。今この会社法案のセメントの所要量が百四万トン、仮に七百五十万トンといたしましても一四、五%になるのです。これはどの方面のどのくらいのセメントの所要量を制約して、節約して電力開発方面に廻わすかという点についても安本では十分御検討だと思いますが、何を節約して、特需或いは新特需の面を制約するのか、或いは何を節約してこの方面に廻わすつもりか。二十八年度には百五十五万トンを計画しております。これも二十八年度におきましては、生産計画は大体どれぐらいになつて、何をやはり節約してこの方面に廻わすかという点について御説明を願いたいと思います。
  37. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もなお尋ねでございますが、事務のほうからセメントについての計画を大体お話いたします。
  38. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今二十七年度のセメントの電力向け百万トンに対して、前年度に比べて増加率が多いのは、何を、どのほうを圧縮するかというお話でございますが、全体で申しまして、先ほど来お話が出ておりますように、二十六年度の実績であります全体の生産が約六百八十万トンでありまして、それに対しまして二十七年度は七百四十八万トンと私どもは推定いたしておるわけであります。その増加量が約七十万トンあるわけであります。それから他方内容的に各用途の数字を私ども検討いたしておるわけでございますが、輸出につきましては、従来の数字とそう変りなしに、若干の増加はあるとしましても、百三十万トンぐらいは二十七年度として見込んでおるわけでございますが、建築関係需要が、御承知通り二十五年、二十六年随分セメントを需要しました。いわゆるビル建築というものが盛んに行われたわけでございます。その面の数字を二十六年といたしまして、この建築の需要を、年間といたしまして約百九十万トン見当の消費量であるというふうに推定しておるわけでございます。それに対しまして二十七年度は、その数字が約七十万トン減少いたしまして、合計で百二十万トン程度に相成るのではなかろうかというふうに推定いたしておるわけでございます。その他のものはいろいろと内容的に分析いたしておりますが、全体を総締めくくりいたしまして約八%程度増加になるであろう、過失の増加趨勢等から検討いたしましてさような見込みを立てておりますがそれらを合計いたしましても、電力部門に二十六年度の三十数万トンから二十七年度百万トンに増加するとしましても、数字上は十分供給可能であるという見通しを立てておるわけであります。これは先のことになりますが、万一この国内電力方面の需要に不足を来たすというような際には、若干前年度より輸出増加分を見込んでおることでもありますし、輸出分の若干の調整ということも可能であろうというふうにも考えておるわけであります。
  39. 田中一

    ○田中一君 時間を取りますけれども、私細かく二十六年度のセメントの供給表を申上げてよろしうございますか。
  40. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) どうぞ。
  41. 田中一

    ○田中一君 これをよく頭に入れて頂かんと今安本の政府委員の御説明が非常に杜撰なものであるということがわからんのであります。殊に通産大臣は、これは余談になりますけれども、都市不燃化同盟の会長をしておられます。又政府はつい最近、これは参議院を通りましたが、耐火建築促進法を通しております。これには二億円の補助金を出しております。少くとも民需、いわゆるセメントを使用するところの建築を抑制するとは何事かという気がするのであります。と言いますのは、無論今閣議決定と言いますか、何ら法律の制約なしに三人委員会とか申しまして民間建築を抑制しております。いわゆる三階以上の建築をしてはならぬ、こういうようなことを言つております。併しながら一方においては耐火建築というものをますますしなければならないということで、続々と耐火建築の計画が立つております。今お話に聞きますと大体二十六年度の民需は、建築の面におきましては百三十七万トン出ております。これを七十万トン減らすと言いますと、結局七十万トン弱、これで今政府が考えておるような日本の都市の不燃化ということができるかどうか、この点は甚だ疑問であります。又通産大臣は都市不燃化同盟の会長としてそういう政策がいいかどうか、我々は鳥取の大火、それに次いで起きましたところのたくさんの大火を新聞紙上を通じて始終見て知つております。併しながら我々も一面電力を起さなければならんという観点から、そうした国民が受けとるところの不幸なる災害があつてもいいとお考えになるかどうか。もう一つ、土木の面で見ましても百二十一万トン使つております。それから港湾、道路、橋梁、この面が両方で三十四万トン二十六年度使つております。これも日本は宿命的な災害国です。宿命的な災害国で、御承知のように一年に数回の災害を受けております。これもセメントが若し潤沢に地方に廻りますならば、この災害は十分防ぎ得るということは安本長官も御承知だろうと思います。そうした民需並びに国民生活に全く必要なものを抑制してまでも、この都市の耐火ができない場合、それも半分に減じて、そうしてこの会社の急速な電源開発も結構でしようが、そこまでやろうという意図はどういうお考えか。いわゆる国民の日々の生活を犠牲にしてまでもこの今の百四万トンの二十七年度においてはセメントをそこに廻さなければならん。それから二十八年度には百五十五万トンを廻すことになつております。それにしまして私が考えますのに、セメント資材に対するところの対策が全くないんじやないか。ただこの法律の計画というものは、資材の裏付けのない計画じやないかという点を考えるのです。この点について今の民需を半分にする、七十万トンを抑制して半分にするという考え方に対しては、我々は災害又は大火に対して通産大臣と安本長官の御答弁を願いたいと思います。
  42. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今説明をいたしました中に、実際の生産見積り予想と実績との関係を見て、大体増加するものが二十七年度七十万トンあるということを御説明したわけであります。初めから民需を圧迫して七十万トン出すとは説明しておりません。その点は御了承を頂きたいと思います。それからもう一つは、非常に困つた場合に、輸出についても去年よりも少し余分を増加的に見てあるから必要があればそれも加える、そうすると従来三十万トン出ておりますので、大体百万トン近く出しておる。二十七年度はよかろう。こういう御説明を申上げたのであります。  それから私どもも耐火不燃の建築物の住宅等を殖やすごとについては賛成しておるものであります。ただ先ほど申しましたのは、非常に鉄鋼なんかも余計使いまするし、いろいろ日本の今の経済状態において他の事柄と関連しまして、余り非常に大きなビルが造られるということについては、或る程度制限しておるわけであります。民家等については制限をいたしておりません。民家についてもまだ価格の問題がありますが、できればセメント・ブロック等による住宅の建築ができればよろしいのでありまして、そういうものについては別に抑制する意思もなく、現にそれは抑制しておらないのであります。その点を御了承頂きたいと思います。
  43. 田中一

    ○田中一君 それでは今の昨年度百三十七万トンですが、一体本年度はどのくらいのものを民需から電源開発のほうへ廻すというお考えですか。只今政府委員の御説明ちよつと食い違いがあると思いますが、実際幾ら廻す計画ですか。
  44. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今我々の計画はどこから捻り出すというような計画はいたしておりません。この電力につきましては、電力の総合開発計画等から出ます供給増加の数字を実は見込んで見たのであります。その他のものにつきましては、数字を若干多く見ましたのは、建築につきまして、前年度も若干官需、民需を含めて落るという数字を見ておりますが、その他今例をお挙げになりました土木は、道路、橋梁、港湾等のものにつきましては、過去の長年の増加趨勢を統計的に出して見まして、それが全体として約八%くらいの増加に相成つておりますので、その八%くらいの増加は今後も、即ち、二十六年度から二十七年度においてもあるであろうというような推定をいたしまして数字を寄せて見たわけでございます。それで見まして全体の供給量が殖えておつて輸出はそう殖えないというようなことで、それから建築が若干減るというような点で見まして、数字が百万トンは電力に使われても大丈夫だというような数字になつたのであります。どこからどう落してというような計画はいたしておりません。
  45. 田中一

    ○田中一君 建設委員会に政府は一応この東京、神戸間の高速道路の説明をいたしました。殊に予算したしか二千万と思いますが、調査費を取つております。あの高速道路を建設しますのに、セメントは約百万トン要ります。これはいつ頃からかかるおつもりでおられるのか。いわゆる五カ年計画でやるといたしますならば、年に二十万トン要るのであります。これもいろいろとセメントを消費するような事業がたくさん御計画でいらつしやいます。二十七年度のものは細かい数字が私は計画が立つていないのだ、私は安本ではセメントの需要供給のはつきりしたものはつかんでないというように一応断定してよろしうございますか。もう少し詳しいものをお出し願うことができるならば伺いたいと思うのですが。
  46. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 二十七年度といたしましては、セメントについては相当細かく立てておりますから、御必要があれば提出いたします。
  47. 田中一

    ○田中一君 無論これはこの会社、電力開発の問題は五カ年計画でやつておりますから、大体生産のほうの面については何か手をお打ちですか。明年度は百五十五万トンをこれに振向けるわけですが、これが約全生産量の二〇%に当ります。この点はどうなんですか。何かセメント生産については手をお打ちになつていらつしやるのですか。
  48. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 只今東京、神戸間の弾丸道路のお話でありますが、お話の通り二千万円は調査費で取つております。これに二十七年度とか二十八年度に弾丸道路に着手するという考えは今のところございません。早いに越したことはないと思いますが、実際問題としてなかなか困難であります。併し今後の交通計画その他がございますので、一応専門家に調査させておくことは必要じやないか道路をいつつけるにいたしましても、そういう調査があつてそれにマッチして行くという交通政策をとつて行くことが必要であろうと、こういうので調査費を出しております。調査費だけを出しました。そのほかの物資の予算は見ておりません。次にセメントに対しましてだんだんのお話がございましたが、このセメントは御承知通り輸出資材としても重要なものです。又国内の公共事業、特に電力につきましては、是非とも必要なものでございますから、開発銀行の貸付につきましても、相当優利の地位におきましてセメントの融資はかなり活溌にやつておるのであります。今後におきましても国内整備の関係、又輸出の点を考えまして相当力を入れて行くつもりでおります。
  49. 田中一

    ○田中一君 今大蔵大臣から御説明を伺いますと、開発銀行からセメント産業に対して融資をすると、二十七年度の融資計画はどのくらいでございますか。
  50. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 今セメントの計画はあれしておりませんが、日本セメントには二十六年度にも相当出しております。市中銀行とタイアップしまして相当の力を入れてやつておるのでございます。二十七年度の数字につきましては、記憶がございませんが、今申上げましたような線で開発銀行は進んで行くことと思います。
  51. 田中一

    ○田中一君 相当出しておると言いましても、私自分で、日本セメントの社長にもお目にかかり伺つておりますが、現在の設備の増設の面だけは一応借金しております。これもたしかトンについて千円くらいの金利を見込んで金を借りております。併しながらそういたしましても八百万トン以上は到底できない。いわゆるこの工場の新設をしなければ到底セメントの増産は不可能だということは恐らく大蔵大臣も御承知と思います。大体月産一万トンの工場を作りますに、私の計算したところによりますと、約二十億円かかるのです。これも月産一万トンと言いましても、いろいろ故障がありますので、先ずまあ年に十万トン出ればいいほうじやないか、こう考えておりますが、この二十八年度の計画を見まして、一体どのくらいのセメント産業に融資をするか、今申上げましたような数字から言いまして大まかはつかめると思うんですが、安本では幾らの生産計画を立て、大蔵省はそれに対して幾らの融資をするか、或いは開発銀行からでも幾らの融資をするおつもりか。その点についてお見通しがあれば御説明願いたいと思います。
  52. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 一万トンの新設につきましては、お話のように十五、六億乃至十七、八億円と聞いております。併し既設のセメント工場に増設いたします場合は七、八億円でできると聞いております。併し何分にもこの電力に対しまして政府が優先的に金を出すということになりますれば、それに必要な資材も同じような恰好を取らなけれればならんことは誰が考えても当然のことでございます。而して今の輸出の問題百三、四十万トン、百三十万トンと言つておられましたが、これはやはり増産と見合いながら輸出のほうについても或る程度考えなければならんと思いまして、私はセメントがないから電力開発ができないというふうなことはさせないつもりでおるのであります。
  53. 田中一

    ○田中一君 させなければセメント産業のためにどのくらいの融資をするか。或いは会社ができ上ればセメント産業にどのくらいその面に融資をするか。これは御承知のように工場があつたからといつて生産されるものではない。今のお話の十五、六億か或いは十七、八億とおつしやるのもその通りです。それは結局月産一万トンと申しましても、事実一万トンは年間を通じてはできません、この工場では……。それから今日のセメントの山はもう増産をやる余地はないのです。もう新設をする以外にはセメントの生産は不可能です。今新らしく、先ほども申上げましたように三月や四月でできるものではありません。併しこの計画をやつて、民需を全然圧迫しないとか、或いはほかの重要なものを圧迫しないで融通できるというお話ですが、現在どのくらいのものをセメント産業に廻しておるか。又今年ばかりでなく来年度、二十八年度においてもどういう増産方法をとられるか。もう一遍くどいですが、数字をお示し願つて、数字と生産量とをお示し願つて説明願いたい。
  54. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 先ほど大蔵大臣からお答えがございましたように、セメント工場増設に関連いたしまする開銀融資につきましては、従来も相当好意的に配慮を願つておるわけであります。参考までにこれまでどういうものをやつたか、今後どういうことになりつつあるかということを、現状を中心にお話申上げて見たいと思いますが、そのセメントの増産に関連いたしまして、規模そのものを殖やす計画と、それから実質的にセメントの生産力を殖やすために自家発の整備という面と二つの面があるわけでありますが、昨年度におきまして、自家発の整備を中心といたしまして、四工場が開銀の対象として融資を受けるごとに相成つております。それから更に新増設の関係は、昨年度としましては北海道で増設を着手いたしました日本セメントの上磯工場の分が開銀の対象として現に工事が行われておるわけであります。それから本年度の分につきましては、実のところ計画が具体的になりまして、私どもとして開銀のほうへ融資の申込を取次いでいたしておりますものは、目下のところ三工場しかございません。下北セメント、常陸セメント、野沢石綿の三工場を通産省といたしまして開銀のほうに申入れいたしておるわけであります。そのうちすでに二工場は開銀でも役員会によりまして審査の段階に入つておるというふうに了承いたしておるわけでございます。  なお、案はセメントの設備の増設につきましては、先ほど来お話がございましたように、明年度の需要増加ということを考えますると、只今私どもが開銀に送り込んでおりまする三社三工場の分以外の計画が出て参らなければ十分でないという点があるわけでございまして、この点は実は私ども開銀のほうにも、電源開発その他のセメントの今後の需要増加ということから、セメントについてはもう少し計画が出るはずなんだということを前触れを以てお願い申上げてございます。出たらよろしくということは話し、又或る程度の了解を得ておるつもりでございますが、実は会社のほうにも具体的に計画を立てるべくそれぞれの会社へ慫慂をいたしておりまするが、或る程度計画が固まりつつございます。近々のうちに固まるであろうという工場が三、四工場ございますし、そのほかにも考えておる工場がございまして、まあこれらが順調に参りますれば、私ども明年度増産の分はおおむね達成できるのじやなかろうかと、これはまあ私どもが直接作るべきものじやございませんので、両方の気合いが揃わなきやいけませんが、出揃つた段階じやございませんけれども、出揃つておるものもあり、まさにできつつあるものもあるという状況を大観して考えまして、何とか行くんじやなかろうかというふうに判概しておるわけでございます。
  55. 田中一

    ○田中一君 今の御説明に、どの工場に幾ら融資して何万トンの増産計画があるという御説明が、これは計画でも結構です、見込があると、或いは二十六年度には幾ら融資をして幾ら増産されたという点は御説明願えませんか。
  56. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 確定いたしております分だけにつきまして、新増設の分を申上げて見ます。只今申上げました日本セメントの上磯工場の分が、年間能力十二万トンの分を整備、建設いたしておりますが、これの完成予定が今年の九月頃と予定いたしております。これは前年度からの引続きでございますが、開銀の融資の例外としては一億一千五百万円をお願いしておるわけでございます。それから本年度新規にすでに見込みました分で開銀の審査中のものが下北開発、これは大湊の工場でございますが、能力十二万トン、完成予定本年十一月、それから開銀の融資希望金額三億五千、これは会社側の希望でございまして、若干数字は削られるであろうというふうには考えております。それから日立セメントの日立工場、これは同じく年間能力十二万トン、完成予定本年十二月、融資希望額一億五千万円、それから野沢石綿の彦根工場、年間能力同じく十二万トン、完成予定は本年十一月末、融資希望額三億、この三つが只今申込んでおるわけであります。それから若干遅れて参りますが、磐城セメントの岐阜工場、これは明年七月でございますが、新工場でございまして、建設にも相当かかりまする関係で完成が遅うございますけれども、これは本年度改めて実は開銀に申込んじやおりませんが、前から懸案の工場でございまして、と申しますのは、鉄道の新設と関連いたしまするので、前にほぼこれは融資の対象にするということがきまつてつた工場でございます。鉄道が先般の新線建設の審議会で建設に着手されることが挙げられました。で、その開設と歩調を合せてこれも開銀融資の対象としつつ工場の建設に着手してもらうということに相成つておるわけでございます。その他の工場は、ほかに問題になつておりまする工場は小野田の津久見工場、これは増設の形で計画がございまするし、それから敦賀セメントにも計画がございまするし、それから豊国セメントにも計画がございまするし、又北日本、それから電気化学等にも計画があるわけでございます。これが、政府に具体的に開銀申込の分として計画を固めて出すという段階までは至つておりませんが、今会社当局として具体的な設計その他も準備中であるように聞いておるわけです。
  57. 田中一

    ○田中一君 今、御説明によりますと大体四十万トンぐらいが本年中には増設される、増産される段階に入るということになつておりまするが、二十七年度十一月までの融資、これは大体セメントは暦年度でやつております。一月から十二月までの計算でやつておりますから、大体二十七年度は相当大幅に他の産業のセメントを食うということの結論になるんじやないかと思うのです。この点は、そのような計画で安本でも計画を立てていらつしやるか。或いはそれは全然そういうことはない、心配ないというようなお考えでいらつしやるが、最後に安定長官に伺います。
  58. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 二十七年度、初年度の問題につきましては、そう私は他の産業の使用部分を取らなくても実行はできると考えております。殊に先ほどからお話を申上げておりまするように、大体の普通の生産予想と実績との対比から見まして七十万トンぐらいの増になるわけです。そういうものはよろしうございまするし、又電源開発の着手にいたしましても、本年度から着手いたすものについても時間的に多少ズレもございましよう。いよいよいけないときに、先ほど申上げましたように、輸出の分についてもこれをむしろ国内産業というよりも、絶対必要なものは別として、或る程度国内に向けつつ民需の圧迫を避け、或る程度輸出に幅を持たせる、こういうふうに考えております。
  59. 田中一

    ○田中一君 御承知のようにセメントは無論野放しでございます、価格については……。現在は大体トン八千五百円ぐらいで取引されておりまするが、逐次値上りの状態であります。政府では本年度の予算には算定基準として八千八百円ほど計上しておるように承知しておるのでありますが、大体、若しもこれが仮りにこの程度の、先ほど御説明がありましたような年間十二万トン計画に融資の一番大きなのが三億程度では、無論これは増設です。新設ではございません。新設をするには八千五百円のトン当りの価格を二千円増せば、いわゆる一万五百円にするならば、セメント会社は必ず増産いたします。これは八百万トンできろとしましても百六十億というものになりますから、若しも価格の点においてこのほうにどんどん、これはもう絶対優先するんだという形で以て電力会社に持つて来た場合には、無論価格の騰貴は免かれんと思うのです。その際政府としてはその価格の抑制のこと、或いは価格の調節については何か手をお打ちになる御意思があるかどうか伺いたいと思います。
  60. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) まあ十七年度においては、只今申上げましたようにそう他の産業圧迫してとることによつての値の吊上りということはなかろうかと考えております。まあ今後における物価の見通しもありますが、最近における状態は原料高、製品安というようなぐあいな恰好で生産者もいろいろ困つておられるようでありますが、物価騰貴の関係ということよりも、むしろ今のところは値下りの恰好にある状況でございますから、そうえらい値上りが来ると考えんでもよかろうと思います。ただ御指摘のように新設等をやるために、新らしい生産品が、価格騰貴等のために製品炉高くなるのではなかろうかという御心配は多分注意しておかなければならん点だろうと思うが、一般の物価指数としてはえらく上ることは今のところないのではないかと思います。且つ繰返して申上げますが、二十七年度は民需をとるということはないと思います。
  61. 田中一

    ○田中一君 もう一点お伺いしたいのですが、この事業を一会社がやらなきやならないという点につきまして、法の建前から言いまして、私はこの技術者の面からいつてちよつと伺いたいと思うのです。機械の面から伺いたいと思うのです。先般丸山の発電工事の様子を聞きますと、大体七万五千キロの発電機を注文するのになかなか困難な状態にあつたのです。大体この機械は、電気の発電機は日本の国産品を使うつもりか、或いはアメリカから持つて来るつもりか。先ほど外資の点もほかの委員からもお尋ねがあつたと思いますけれども、アメリカから外資の代りに機械を貸してもらうというような交渉があるかないか。又先般の丸山にしましても七万五千キロの発電機を東芝と日立製作所に注文したようです。これは御承知のように各会社について発電機はいろいろ違います。違つた二つのものが着いたために非常にあれは困つておるような現状なんです。こういう点は大体どういう見込で、国内品を使うか、或いはアメリカから外資の代りに持つて来るのか、どういう考えでいらつしやるか伺いたいと思うのです。或いは又新らしいこの会社の型をきめて、そして全国各所のものを一つの同じものにしてやつて行くのか、その点を伺いたいと思います。
  62. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 発電機の問題につきましては、全般的に見ますならば日本の製造能力で十分カバーできると考えておるのでありますが、併し特殊のものについては或いはアメリカより輸入しなければならないというものも含まれるかと存じますが、いずれにいたしましてもその点については説明員から詳しく説明いたすごとにしたいと思います。
  63. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 所要機械の問題でございますが、お手許に参考資料の一というのがありまして、その五頁に出してございますが、それを御覧願いたいと思いますけれども……。
  64. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の質問は通産省に中心を置いてやつておるのでしよう、そうではないのですか。
  65. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) そのつもりですが、関連として扱つておるわけです。
  66. 栗山良夫

    栗山良夫君 発電機のことなら通産省に聞かなきや……、発電機を作ることなら通産省だろう。
  67. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 特別に答弁者を限定される場合には御指名を願います。
  68. 田中一

    ○田中一君 私は通産大臣に伺つておるのです。
  69. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) これは無論私はできるだけ内地の製品で行くべきだと思います。ただこの火力発電のほうは、多分戦争中の空白時代で遅れておりますから、モデル・ケースと申しますか、そういう意味で最新式のものを輸入することは望ましいと考えております。水力電気のほうは、私の聞いておりますところでは、余り進歩はありませんが、ただ落差の低い発電機械は相当進んでおるものがあるように聞いておりますが、これ又モデル・ケースとして輸入すべきだと存じております。
  70. 田中一

    ○田中一君 木曾川の丸山ダムの機械は只今申上げたように東芝と日立が入つておるのです。七万五千キロが一基ずつ二基入つておるのです。これはこの場合、この会社もどのような形で発注し、又どういう考えを持つておるか、これは提案者に伺いたいのですが、又アメリカの製品でも買つてやるつもりか、まあ外資の代りにですね、買つて投資してもらうという考え方でおられるのか。それから機械の能力その他の点についても、今お説のようにアメリカ品と日本の現在の製品とがどれくらい違うのかという点も提案者並びに通産大臣に伺いたいと思いますが、具体的に実際の問題で伺いたいと思います。
  71. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 只今のは第一点は、丸山ダムの問題、これに使う電気の機械が両社に発注されて、会社が違つておるので困るというお話のようでございますが、これは御承知のように関西電力が今工事をやることになつておりますので、実は公益事業委員会がその問題に関しては今取扱つておりますから、幸い松永さんが出ておいでになるからそのほうから御説明を頂きたいと思います。  それから次にこの日本の今後の発電の問題に関しまして、発電機械が日本でできるかどうか、その品質がいいかどうかという問題でございますが、私も今通産大臣から仰せられました通り、水力については一部はなかなかアメリカにいい機械ができるやに承わつておるのであります。又火力についてはなかなか優秀な機械ができておるようであります。日本の火力機械は大分悪くなつておりますし、取換える時期にもなつておりますので、こういうようなものはできるならばやはり取換えといいますか、アメリカのものを入れる工夫も必要かと存ずるのでありますが、具体的なケースといいますが、例えば何カロリーでどのくらいの発電ができるというようなことは、火力発電の分についてはたしか調査をいたして見たことがあると思いますので、その点は説明員のほうから一つ説明いたすことにいたしたいと思います。それでよろしうございますか。
  72. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 丸山の問題についての公益委員側に質問でございます。
  73. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 只今丸山の七万五千キロを東芝と日立に分けましてその不都合があるかないかということについて御答弁を申上げます。関西電力におきまして詳しく研究いたしましたものを公益委員会においても再び取上げましてこのメーカーの性格並びにその製造技術及び能力等を判断いたしまして、両方とも同じ形において同じ時間で進行するということを確かめましたので、差支えなかろうということを関西電力のほうに公益委員会は申上げまして、関西電力でも不都合なしと認めて東芝、日立両方が同じような性格を持つた七万五千キロ一台ずつの注文をお引受になつて完納を非常に急いでおるわけであります。予定通り完納することと心得ております。
  74. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでは大蔵大臣に二、三お尋ねをいたします。すでにこの問題につきましては木村君或いは小林君等も質問されておる問題でありますが、私はいささか観点を変えまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。御承知のように只今提案になつておる電源開発促進を実行に移しますと、民間資金で約三千三百億円、政府資金におきまして三千五百億円、丁度六千八百億円程度の巨額の資金を必要とすることになつておりますが、取分け特殊会社におきましては民間資本も半分入れる計画にはなつておりますけれども、恐らくこういう会社には民間資金は先ず入らないものと考えなければならないのでありまして、そうすると勢い財政投資と申しますか、政府資金によつて運営をせられなければならんということになるわけであります。その場合に私は一番問題になるのは、これはこの前から論争しておるのでありますが、外資はなかなか入りにくいということはその後一致した意見になつて来ておるようであります。これは随分木村君も大蔵大臣との間に質疑応答されましたが、一番最初とは違いまして外資の導入は非常にむずかしくなつたということを言つている。そしてむずかしくなつたが待つておれないので、どうしても国内資金でやつてしまうのだ、非常にまあ強い意思を表明せられたのでありまして、電源開発の促進する上においては結構なことであろうと思いますが、ただ一つ予算措置の問題で私は非常な問題があると思うのであります。それは電源開発は御承知のようにこれは長期継続工事であります。そういう長期継続工事財政投資でやるという場合には当然これは国の予算措置が必要になつて来るわけであります。併しながら大蔵大臣は前々から資金の供給の問題についても今年、来年あたりは大体見当が付くが、それから先のことは今言明の限りではない。とにかく法律を作つて電源開発を促進するのだという強い意思表示があつたのですけれども、これはやはり継続費の性質を持つておるものでありますから、少くとも今日計画されておる特殊会社の第一期工事、第二期工事の完成するまでの所要資金財政資金につきましてはその構想なり、調達の方法なり、いろいろなものを、全貌を明らかにされてそして国会の議に付せられる、国会の議決を得られるということが私は一番必要じやないかと考えるのであります。若しそういうことをできないということになりますれば、これは二十七度の予算の審議のときにも継続費の問題で問題になつたかと思いますが、未解決の問題でもあるわけであります。これを極端にやりますれば性質は違いますけれども、戦争前に東條内閣等において一つの軍需の継続的な拡充工作をやられまして国会はただあれよあれよと見ているままであとからどんどんどんどん軍備の拡張が行われてそして国民がどんどん税金を取られて行つたという苦い経験を、問題は違いますけれども、この電源開発において再び再現しないとは私は断言できないと思う。国会は一体何をやつてつたのか、こういうふうに言われる慮れがあろうかと思いますが、そういう点について大蔵大臣は一体どういう工合にお考えになりますか、それを伺いたいと思います。
  75. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。電源開発に対しまして数千億円の金が要るということはお話の通りであります。併し今ここで審議の中心になつておるものは電力開発公社であります。これは差向きそう要るわけではないのであります。その財源には主として財政資金、見返資金資金運用部資金等を主にいたしますが、そういうような考え方で、又民間のほうの資金も調達いたしまするが、外資導入考えられないことはないが、今直ちに外資導入によつてどれだけという計画は立ちませんが、見込としては外資導入も私は立ち得るという考えでおるのであります。  第二の継続費の問題でございまするが、継続費はこれは一般会計予算についてのあれが主でございます。特別会計にもないことはございません。この電源開発公社の問題は予算の問題とは、財政の問題とは直接に関係があるわけではないのでございます。関係があるのは一般会計からこういうものに出資する場合においてあるのであります。それ幾ら幾ら出すという予定は今のところいたしておらないのであります。主として資金運用部資金、或いは貯蓄債券、或いは民間資本、外資の導入、こういうふうに考えております。継続費の問題と直接関係はないと私は考えております。
  76. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこが問題点でして過日来、これは私ではありませんが、こういう特殊会社をなぜ作つたのか、作らなくても財政資金を直接会社にやつたらそれですぐ仕事ができるのじやないか、こういう質問に対して当時これは提案者も言われたと思いますが、財政資金であるのでそういうことはできない、見返資金、或いは資金運用部資金等はすでに開発銀行、その他の機関を通じて出ているじやないか、こういう追究に会いましても、それは一般会計から出すものはさようなことはできない、こういう工合に強く否定をせられておりました。いわゆる一般会計から相当なものが株式の投資になりますが、とにかく出ることには間違いないと思いますが、そういうことは絶対にないわけでございますか。見返資金か預金部資金だけで三千五百億円ばかりの金は賄える、こういうことになりますか。
  77. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) それは先般来政府当局が答えた通りでございまして、一般会計からも出すのでございます。併しこれは継続費の問題じやございません。例えば輸出入銀行とか、或いは日本開発銀行へ出しますのにそのときの財政状況によつて出すのでございます。で、或いは補正予算で出す場合もございます。一般会計からの繋がりはございますけれども継続費としての問題じやない。だから先ほども申上げましたように一般会計との繋がりはあります。併し主として資金運用部等の債券引受等、或いは民間の出資、或いは外資導入ということが将来考えられる、こういうことを申上げておきます。
  78. 栗山良夫

    栗山良夫君 その都度予算措置を講じてやるということを言われるのでありますけれども、とにかく資金需要の全貌は明らかにされておるわけなんです。全貌は明らかにされております。例えば一般会計からは大体特殊会社への出資が九百九十五億、公共事業費へ二百三十億、計千二百二十五億円、これを出すことが発表されておるわけであります。ただそれの予算措置が今直ちに講じられていない。毎年度順次やつて行く、こういうことであろうと思いまするけれども、それはやはり継続費ではないと言われますが、実質的にこれは継続しなければ発電所は完成しないわけでございます。そういうことをやはり政府としては前以て全貌を明らかにされておく必要があるのじやないか、こういうことを私お伺いしておるわけです。
  79. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) この財政資金から八百億出る場合において予算を通して出す金と、予算を通さずに出すものとがあるのであります。これは例えば一般会計から開発銀行に出資いたしますときには予算を通します。併し今後開発銀行が資金運用部の資金を借入するときには予算を通さないのであります。で、大体この電力開発公社につきましては財政資金としてその程度を予定しておる、こういう見通しでございます。それを一般会計の予算からどれだけ出すか、資金運用部の債券引受、或いは借入金によつて幾ら出すかということは今後の事情によつてきまる問題であるのであります。今三年先、四年先の日本の国民経済がどうなるかまだはつきり見通しがつかないときに一般会計から何百億、資金運用部から何百億、或いは又民間の情勢によつて民間投資が何百億、こういうふうなことをきめることは、私はいつきめようと言われればそれまでですけれども、きめることは妥当でないと思います。大体二十七年度におきますところの予定のものを一応きめておけばいいのじやないか。こうなると二十七年度につきましては電力開発公社がまだできておりませんが、できたらすぐ開発銀行から出すように五十億円を予定する、そうしてこれは予算ではございませんが、一応資金計画として資金運用部のほうで貯蓄債券のほうを六十億を予定しておる、こう申上げておるのであります。二十八年の予算審議に当りましては一般会計からどれだけ出す、或いは資金運用部の計画としてどれだけ出すかということは申上げかねるはずでございまするが、将来四年間、或いは六年間に亘つて八百億の分のところ年度別に、而も資金源別の見込を出すということは少し早過割るのじやないかと思います。
  80. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、そこまでの話はこの聞小林君なり木村君の質問に答えられた通りでありまして、殆んど違つていないわけであります。その通り大体答えられたのでありますが、僕が申上げておるのは少くとも、曾つて東條さんもそれと同じことだつたと思うのです、やり方は……。大体何十億かの軍備が要るのだというので、そのときの予算は確かに国会へ丸呑みにして出されておる、ただ現在は、ああ言つておる間にただ可決せざるを得なかつただけなんです。そういうことは私はよろしくないのじやないかということを申上げておるのでありますが、まあ余り大蔵大臣のお考えは前と変つていないようでありますからこれはこの程度にしまして、その次に第二点の問題は、この法律案は一番最初この青色の説明書にも書いてありますが、国民生活を順次向上をさせながら六百万キロワットの発電所開発をやるのだ、こういうことを言われましたけれども、外資はとにかく今のこういう状態ならば入らんというようなことが非常に強く各界のほうから言われております。今外資は将来は見込なきにしもあらずというところまで言われておるのが大蔵大臣周東長官あたりのお話でありまして、大勢は大体入らんと、こういうことはなかなか入らんというのがほぼ一致した大勢になりつつある。従つてこのままで参りますれば、そうして、而も健全財政で以て赤字公債の発行は特別しない、こういう言明もあつたことでありますから、従つて国内資金電源開発のために傾斜投資をするということになり、従つて一般産業への融資規制等も当然起きて来る、これは大蔵大臣が言明された通りであります。そういうことになれば、これは結局において国民生活の水準の引上げには頭打ちをさせる、少くとも、私は低下させるとは言いませんけれども、足踏みをさせることになるのじやないかと思う。そういう事態を予想せられておるかどうかということであります。  それから又第二の問題といたしましては、一番重要なことでありますが、明年度からはいよいよ講和條約の発効によりまして海外の諸国に対して賠償もしなければならんでしよう。これは役務賠償でありましてもやはり国民負担になることは当然であります。それから再軍備等によるところの費用もますます増加の一途を迫ることもこれは火を見るより明らかであります。そういう点から考えまして国民の負担というものは一方においては産業を或る程度抑えられると、或いは金融の非常な難航にぶつかろというようなことになるから財政の膨張も勢いどんどん殖えて行くということになりますればこれはそのまま国民生活を非常に圧迫して行くということになりますが、そういう危惧は毛頭ないものとお考えになつておりますか、この点を伺いたいと思います。
  81. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) この前のお話と同じような話だとおつしやいますが、その通りでございます。何も私は二週間や三週間で意見を変える男じやございません。私の見通しをはつきり申上げているのであります。外資の問題につきましても出ましたが、これは私は困難だと申しまして不可能とは言つていない。望はある。それにはいろいろの前提條件を踏越えなければいけない。差向きの問題は外債の支払方法もきめなければいけない。それから国内態勢の整備をしなければならん。又開発銀行への加入、これも急いでやつております。こういう前提條件がありますのでそれをやり、国内の信用を高めることが第一だ。いろいろ困難があるが、望はなきにしてあらずである。ただいつからどれだけ出すという問題は今申しました前提條件を回復してからの問題であるのでございます。私どもはできるだけ早い機会に外資が入つて来るように極力努力しておるのであります。それを外資は入らないのだ、こういうようにきめてお考えになるのは少し早計だと考えております。皆力を合せて外資導入が早くたくさんできるように努力すべきだ、こういうことを申しおるのであります。又赤字公債の問題にいたしましても金輪際自由党内閣に続く限り赤字公債を出さないというのでなく、赤字公債を出してもインフレにならない、国民大衆が迷惑をこうむらんような状態になれば赤字公債を嫌うものではございません。現にアメリカなんかにいたしましても赤字公債を出しております。これは日本経済が赤字公債を出しても国民大衆に迷惑を及ぼさない、そういう時を見ておるのでありまして、赤字公債を出してもいいくらいに国力が回復すれば何も赤字公債を嫌うものではありません。今はまだ日本経済力というか、体が十分に回復していないから、もう少し我慢しようというのでありまして、赤字公債を金輪際出さないという財政政策をとるものでない。やはりその時の情勢によりましてできるだけ国民生活の水準が上り、国民経済発展するように考えて行こう、こういたしておるのであります。従いまして三年先四年先にどうしてもこれは赤字公債を出しても経済界にインフレの心配がないし、これが国民生活にとつて必要だと、こういう断定が下されるならば、赤字公債を避けるわけでもございません。又賠償の問題もございましたが、我々が條約第十四條で示しておりますが、日本国民生活水準を維持向上しながら、隣保共助の関係、又戦争の償いをする、こういう意味で條約に基く役務賠償を考えておるのであります。これによつて日本経済を壊とたり、国民生活を著しく下げるということにつきましては賠償も減らして頂かなければならん。又これからの歳出というふうなことをお考えになつておりまするが、何と申しましても生活水準を上げるということが政治の基本でございますので、それを土台に我々は考えて行きたい、こう考えておる次第であります。
  82. 栗山良夫

    栗山良夫君 その赤字公債に入り得るような経済力に早くなるということは、これは好ましいことであつて、我我もそういう時期の来るのを待つわけでありますけれども、そういう時期が来るためにエネルギー源としての電源開発をやろうというのであつて従つて恐らく私は今のあるところの第一期、第二期の計画が完成するまではそういうような経済力なんというものは、日本には私はできないと思う。これは本年度の一般財政を更に明年度以後は加重されるのが火を見るより明らかになつておる。その半面国民所得の増加というものは、最近の経済界の動揺の状態を見たつて、多くを期待するわけに参らん状況になつておる。そういう点から申しまして、大蔵大臣のお説というものは、一応抽象論としては、私はそういうことが言えるし、私もそれを否定するわけじやありませんけれども、併しそういう状態が成り立つためにこの電源開発をやろうということであつて、どうもシーソー・ゲームの片方のような恰好になりますが、その点は少しお見込違いではないのですか。
  83. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) シーソー・ゲームじやないのでございます。今年も千億円余りの電力開発資金を出そう、こう言つておる、そのうち財政資金が半ば近くあるのであります。で、赤字をせずに昭和二十七年度は予定の電力開発はできる。これは特殊会社のみならず一般の九電力会社にも三百億、少くとも三百億出すのであります。何もシーソー・ゲームでない。もう電源開発を徐々にやつている。これを早くやつて行かないとシーソー・ゲームになる。今出す金は赤字じやない。だから私は電力開発を一歩進めて本年からやつて行こう。それは赤字でなしにできる。こう申上げておるのであります。
  84. 栗山良夫

    栗山良夫君 それならば二十七年度にすでにもう一千億出すのだとこう言われるならば、二十七年度に特殊会社に幾ら出す、これはわかつておるわけです。従つて別に特殊会社を作らなくても毎年一千億ずつは出るわけじやありませんか。そこのところが我々ちつともわからない。特殊会社を作らなければ資金は出ないとおつしやるけれど、今一年一千億と言われれば五年で五千億、六年で六千億となるのであります。大体こういうふうなことになるわけでありますが、千億出しておるということであればこのままの状態でもできるわけじやないのですか。
  85. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 千億円余りの金は先ほど触れましたように、半分程度財政資金、そこで要望のありましたように、九電力会社は三百億見返資金から財政資金を出しております。それから資金運用部資金からも公共団体に対しまして出しております6又開発銀行からも自家発電に出しております。併しそういうような形態で行くこともさることながら、将来外資導入とかいろいろな点を考えて、而も一般会計から出すということになりますると、特殊会社を設けたほうが出しいいのです。そこで特殊会社を設けまして、一般九電力会社のやるごとと、自家発電以外に特殊会社でやつて行こう、これは今年赤字でなしにできる。而してそういうことをやることが外資導入を早くするゆえんでもある、こういうふうにあの手この手で行つておるわけであります。民間会社でもできる、こういうふうに断定を下さずに、民間会社でもやりましよう、或いは九電力会社でもやりましよう、そして政府出資がしやすい特殊会社もこしらえてやりましよう、こういうことで行つておるのであります。
  86. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ大蔵大臣の話はこれで委員会としては三遍目なんですけれども、大体同じようなことを堂々めぐりをしておりますから、この辺で私は打切ります。
  87. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは次に田中君から通告のありました建設大臣及び文部関係質疑をお願いいたしたいと思いますが、その前に前々回の委員会におきまして委員外発言として質問されました栗栖君の質問に対しまして法務府の法制意見局からの答弁が留保されておりますので、先ずその御答弁をお願いしたいと思います。
  88. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) この前の前々回の委員会におきまして栗栖委員からの質問の点は、たしか第一点はこの電源開発会社と工場財団設定の関係如何という問題であつたと記憶しておりますが、その点につきましては、この電源開発株式会社が若し電気事業会社、電気の供給の事業を行う会社でないといたしますと、工場抵当法にいう工場の観念には電気の供給を目的とするということになつておりますので、その間の解釈からいたしますと、財団を設定するということにつきましては相当疑問があるのではないか、かように考えております。それから第二点は、たしか水利権と財団との関係電源開発会社、仮にこれに財団を設定いたしまして、最も大事な水利権というものがその内容となつていなければ実際問題として担保価値が殆んどないのではないか。従つて借入をするとか或いは社債の発行ということがむずかしくなるという御説でございましたが、この点につきましては、成るほど水利権と申しますのは、河川法によります降水の公法上の使用権でございますので、これを以て直ちに一つの権利、実質的には財産権の一種でありましようが、これは公法上の水の使用権であります関係上、種々の公益上の見地からをも制限もしてございます関係もありますので、これを以て直ちに財団組成物件とするというわけには実際問題としてむずかしいのではないか。但し取扱としましてこの電源開発法でも先ほども水利権の財団と申しますか、発電施設との不可分性というところに着目しまして、第四條にあります規定、即ち「国の行政機関の長は、河川法その他の法令の規定による他の行政機関の処分が、電源開発の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるときも、当該事項を所管する国の行政機関の長に対し協議することができる。」、この規定の内容によりまして河川法五十一條の規定により主管大臣たる建設大臣は水利権の許可をする都道府県知事を指揮するということの運用によりまして実際に過去において外債の発行というような場合においてとられたと同じような水利権が財団に引ついて行くということが確保されるのではないか、恐らくこういうことを予想されて四條の規定が作られたことであろう、こういうふうに私どもは解釈いたして差支えがないんじやないか、こういうふうに思つております。
  89. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の答弁に対しましてこれは前々回の引続きでありますので、委員外の発言といたしまして、栗栖赳夫君に質疑がありましたならば発言を許可したいと思います。
  90. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) どうも貴重な時間を再々恐れ入りますが、問題をはつきりするためにいま少し尋ねさせて頂きたいと思います。今の工場抵当法にいて疑義があるというのは、私もさように考えておつたのであります。一つ修正その他については提案者のかたもお考えを願いたい。これでは外債の担保とはならんということをお考えを願いたいと思います。  それから水利権の問題でありますが、水利権は私は担保とするということは適当でないと思いますけれども、電力会社への信託証書の既発のものを御覧になるとよくわかるように、財産の取得者、競売その他の方法によつて財産の取得者は当然水利権を取得するということにしなければ、外債の担保にならなかつたのであります。外債を発行するときには、当時非常に不備がありまして、わざわざ逓信大臣の必ずそうするという行政的な書面を一つ添えて向うに与えることによつて一時を糊塗しておるような次第でございましたので、敗戦の今日外債を出すといえば当時よりもなおむずかしいのでありますから、十分お考えを願つて行政的措置と立法と併せて効果を挙げてもらうようにいたしたいと思います。  もう一つ一番初めにお尋ねした点がまだお答えがないようでありますが、公共事業令か、若しくはそれがなくなつた場合のいわゆる電気事業に対する立法とこの会社との間に関連がありはしないか、この前の御説明では、電気の供給事業でないから、そこでこの公共事業令若しくはその延長の法律とは関係がないというお話でありましたが、併し私は或る関連を今度は進んで持たさないと、実際運営ができないのじやないか、かようにも考えるのであります。そこで関連を持たしてこの法律を両方についてお作りになるとかいうような意向があるかないかという点が留保されておるのでありますが、これを一つお答えを願いたいと思います。
  91. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今私のほうにその答弁が留保されたような御発言でございましたけれども、私の記憶によりますと、案は私がその答弁を留保した記憶がないのでございますが、これは実質的にも内容がちよつと私の範囲とは如何かと思いますので御了承を願います。
  92. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 只今の御質問のうちで、抵当権に関しますものはお説に従いまして何らか適当な措置をとりたいと思つて研究を進めておる時期でございます。なお後段の場合につきまして、公共事業令その他との関連性の問題は、公益事業委員会がなくなつたというような場合におきましては、関連性を持つたものはそこで当然この点、この法案の分も含めて何らかの措置を講ずべきである、かように考えておるわけであります。その点を今あなたのおつしやるように明確にさして行くようにすべきである、かように考えておるわけであります。
  93. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) もう一つ述べさして頂きたい。私どもは長く金融畑で育つたものでございますが、その経験なり実際に徴して見ましても、戦争中戦時金融金庫というものができておりました。それから戦後には復興金融金庫ですか、それから更に開発銀行或いは輸出銀行、こういうものができておりますが、これが一般金融機関とそういう特殊の政府関係の金融機関との間の調整をどうとるかというのは、非常に立法当時からやかましかつたものであります。その場合において常に法文に現われ、又政府が一貫してとられた態度というものは、一般の金融機関がなし得る金融はそこでどんどん優先にやらしてしまう、それができない場合に、国家的必要があつた場合には、初めてこういう特殊の政府機関を使う、こういう一つの筋が大きく引かれておつたのであります。この立法にはそれがないのであります。そこでこの法文の上にどこに現われておるかというと、はつきり現われておらんと思うのであります。この調整……そういう点をお考えになつておるかどうかを最後に一つお尋ねしておきたいと思います。
  94. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 御質問ではございますが、特殊会社というものがやります分は国土総合開発の見地から見て相当大規模なものである、或いは治山治水に関係があつてそうして発電を行わねばならん、発電所を作つたほうがいいというようなものを取上げて、この特殊会社がやるのでありまして、九つの電力会社でそういう見地を離れてやれるものがございますならば、これは全部民間の会社にやらせる、こういうような建前にいたしておるつもりでございまして、今仰せられた一線を私たちとしては画しておるつもりで法案を立案いたしておるわけでございます。
  95. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 併しそこがややもすると、この前の委員会、天竜川の問題に関して…混沌として来るわけであります。私は国家資金を使う上において、民間でできるものならたとえそういう国土総合開発の線に沿うての、一環としての電源開発でありましようとも、民間のほうでできるものならそれにどんどんやらして、或いは援助もしてやらす、然るにどうしてもできない場合とか或いはむずかしいというような場合には、初めてこの特殊会社が働いて来るのじやないか、かように考えておる次第でございます。
  96. 福田一

    衆議院議員(福田一君) その点におきましては、まあ具体的に天竜川の問題が出ましたから一応お答えいたすのでございますが、国土総合開発的な意味も天竜川の場合には多分にございます。更に又この補償の問題その他につきましても特殊会社でやつたほうがや上りよいのではないかという理由もございますが、主なというか、もう一つの大きな原因は、実はこれは二つの電力会社が、一つの会社を作つてやられましても、実は資金の面ではどうしても政府の援助を仰がなければできないのでありまして、資金の面で自己資金だけでできるという見通しは私はついておらないと思うのであります。その関係者のおかたに伺いましても、そういう会社を作つてそこに政府の金を廻せ、こういうことをよく言われるのでありますが、政府の金を出すという場合におきましても、この資金を貸付けます場合と財政資金を出資する場合とがあるのでございます。財政資金を出資するということになりますれば、これはもう特殊会社でございまして、そういうような財政出資をするものを河川別に作るということはどうであろうかというのは我々の考えでありますので、ここで天竜川の場合において私たちと意見が違うわけでございます。然らば政府から金を貸付をする場合にはどうなるかということになりますと、これはいわゆる財政出資をいたします場合においては建設中の利息を取りません。それから又配当も六分程度でよろしうございますから、御承知通り電源開発というものは結局利子がものをいい、配当がものをいうわけでありまして、従つて電気が高くなつたり安くなつたりするのでありますから、そういう意味合いで見ても政府が貸付ける場合においては相当高い電気に相成ろうかと存ずるのであります。政府出資の場合においてはそういう割合に安くなる面も出て来るかと思うのでありまして、それらの面もいろいろ考慮いたしまして、私たちはこの特殊会社でやりましてそれを譲渡或いは貸付をするということであれば、結果においてやはり九電力会社がこれを取得し、或いは又これを運営するということになつて何らそこに個々的におやりにならねばならんと言われる人との間に結果においての相違が起きないのじやないか、又私たちがそういうことを考えておるときに殊更にそういう問題を出されるのは、平たい言葉で言いますといやがらせといいますか、何かそこに割切れないものが残るような感じがいたして仕方がないのでありまして、私たちとしては併しそういうことをやられるのは、とにかくこれは早くやらなければならんのだからその準備をしておるのだという意味において決して悪意的に考えようとは思つておりませんけれども、併しその準備をされる程度ならよろしいが、もうそこで会社を作つてしまつて法案ができる前後においてそういうことをされることは或る意味においてやつぱり和を保つて行くというゆえんではない。電源開発というものは国力を挙げてやるのだというときに、やはりこれはみんなで和を保つて落着くところに落着けて行きたいというのがその気持でございまして、そういう意味合いでも栗栖さんが仰せられたところの一線を画するという気持は、今言いましたような総合開発とか、或いは政府の財政資金を出さねばできないというような財政の面からの問題、それから総合開発の面からの問題、或いは補償の問題、これらのものをいろいろ考えて見てそれで民間ではできないようなものをここでやるのであつて、或る程度のものならば成るべくならこの電力会社にやらせたい。なおもう一つ特殊会社がやる地点ときめました分でも小さい発電所のようなもの、今言つたような意味で余り影響のないようなものは成るべくなら九電力会社とよく話合いをして、そうしてこの会社の監督のやり方で以てそういうような会社に実際のそういう仕事をやらせて行くというようなことも私たちとしては考慮をいたしておるのでありまして、その面ではできるだけ電力会社とも協調して行きたい。かように考えておるわけでございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  97. 栗栖赳夫

    委員外議員(栗栖赳夫君) 天竜川の話が例になつて、飛びましたが私はそこを深く衝くという意味でお話するわけではないのであります。要するに外資導入ということはやはり日本国民もこの法律を支持し、この会社を支持し、又その借入を支持しておつて、これは初めてできる問題だと思うのでございますから、この会社を作るに当つての人事問題、二日に亘つて私が申上げましたような点を十分御考慮に入れてやつて頂かなければ魂が入らん会社になつて外資導入はむずかしいと思う次第でございます。どうも委員外で発言をいたしまて、いろいろ有難うございました。
  98. 栗山良夫

    栗山良夫君 今天竜の問題がいろいろ出ておりますが、私は実は去年の暮にあの天竜川を全部見て来たのです。これは当時の特別電力委員会委員として平岡の工事中のところを見て来ましたが、今福田君の言われた国土開発的な意味でありますが、あそこにはそういうものは全然ありません。上流のほうは殆んど作つておりまして、あそこにダム一つ作ればそれだけ水の調整がうまく行くので、これは誰が作つたつて大したことはないわけであります。それから補償ということを言われましたが、家屋の浸水は一軒もありません。ただ発電所を作るところが二、三軒移るわけですが、これは小さな、千キロか二千キロの発電所をやろときでも起り得る、そういうことは全然ありません。従つてこの法律案の十二條の規制を受けるものは私は全然ないと思う。資金的なことを言われますが、これは先に大蔵大臣が大見得を切られたように、今年でも千億貸しているじやないかと言われるが、そういう恰好で十分できるのであつて、少しお考えを固くせられていはしないか、特にいやがらせだというような話をされたのだが、私が行きましたときには、すでにボーリングを終つて、天竜の一番底の深い個所の深度の調査も済んでおりまして、もう明日からでもトロッコが動き出せる状態にあつたわけです。従つて私はその言葉は少し過ぎるのじやないかと思うのです。特にそういうことをしないで、そういう摩擦を起さないでやられるのには、先ほどから私が力説しておるように、関西の熊野とか琵琶湖とか、或いは四国の四万十とか吉野川とか、九州の球磨川とかそういうものをどうして一番先にやられるということをおつしやられないか、それは私は力のロスだと思う。今資料を頂きましたが、あとで技術面の問題で御質問いたしたいと思いますが、どうしても力のロスだと思う。そういうことをなぜ力説されないかということは、その根底に何か提案者のほうで考えておられることがありはしないかと逆に私は申したいくらいです。そういう点はどうも了解いたしかねるのでありますが、これ只今の発言で非常に私は奇怪に存じますから、これはこの次にもう一遍譲りますが、それだけ一つ承知を願つておきます。  それから安定本部の長官に伺いますが、この間赤木委員の御質問に対しましてこの河川の調査というものがまだうまくできていない、こういうことを建設大臣のほうで認められたのでありますが、只今この予定になつておる第一期工事、第二期工事の地点というものはもう調査が全部完了しておるのか、或いは完了していないのか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  99. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 只今栗山さんからはそういう関連が余りないようなことを言われましたが、実はやはり立退き家屋が百戸くらういあるのでありまして、それは少しお考え違いではなかろうかと思います。又灌漑用水の分についても非常に関係があるのでございまして、そういう計画も一部ございます。どういうところを御視察になつたか知りませんが、我々の調査しておるところではやはり関係がございます。併しよその地点と比べてそれほど国土総合開発的の意味がないとおつしやるのならば了承いたしますが、全然そういうものがないのにそういうことを言うのはおかしいじやないか、というのは、言葉を返して甚だ恐縮ではありますが、お聞違いになつておられるというか、調査をまだ十分しておいでにならないのじやないか、かように考えておるということを一言お答えをいたします。
  100. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体ものは常識で言つてもらいたい。どこの発電所、五千キロの発電所でも一万キロの発電所でも、作ればやはり若干は浸水する個所もあり、浸水する土地も田圃も出て来ます。これは常識ですよ。そういうものが全然なしに発電所ができたら作つてもらいたい。そんなことないです。私が言うのは、あの上のほうにある平岡の発電所と今作る佐久間の発電所を比較して御覧なさいというのです。どうしてそれなら平岡の発電所も大規模総合開発一つになるかどうかという問題です。そういう三百代言的な言葉を私は聞くのは心外に堪えない。常識で考えて御覧なさい。あれだけの土木工事をやれば発電所を作るのに必ずそれだけのことがあるのです。私が一番問題にしているのは、佐久間の場合には、発電所のダムから隧道を抜いて、こちらのあの部落へ引込んで来るときに、そのペース・ストックがあそこの部落の銀座になるところ、丁度村の一番中心地点に下りて来る。そこが予定地点になつている、そういうことを申上げたのです。十分調査をして来ております。そういう飛んでもない発言を慎んでもらいたい。
  101. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 先ほどの河川調査の問題についてはどうですか。
  102. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それは大体予定計画になつておる第一期工事、第一期工事関係については一応調査ができておるようであります。もとよりその中には、まだもう少し仕上げをするような不完全なところもあるかと思いますが、大体一応調査ができております。
  103. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、この石狩川から第二期工事の球磨川まで入れまして、調査が完全に終つて、工事命令だけ出ればもう明日からでもかかれる地点それをA級としましよう。そのA級地点、それから更にそこまで行かないけれども、調査をしなければならん地点がE級、それからそれより劣るのをC級くらいに分けて頂いてそれらを一つ一つ指図を願いたいと思います。
  104. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 只今の問題は、赤木委員からも再三御質疑がございまして御答弁申上げたのでありますが、第一期の計画に関しましては只今長官から発言がありましたように、大体準備なり調査或いは着手の準備等も大体できまして、着手できるという地点を選んでおるつもりでございます。第二期の地点につきましては、まだ調査が不十分なところもございますので、調査が済み次第これに着手したいと、こういうふうに考えております。なおそれでは二十七年度に着手を予定しておるこの各地点のそれぞれの地点で、それが着手できる地点はどうかというつめた御質問でございますが、これに関しましては調査は一応できておりますけれども、何と申しましても、この会社、これをやる主体は、この法案が通りますれば特殊会社そのものがやるのでございますので、官庁でこれこれの調査はできておりますと言つても実際の首脳者はそれで満足するかどうか、これは疑問だと思いますので、実際会社ができました際に審議会等の資料等併せ考えまして、これに着手する準備をきめ、でき次第着手する手順になろうかと私ども考えております。
  105. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ審議会がどうするこうするという問題はようございます。僕も大体想像がつきますから、そのほうはいいわけでありますが、とにかくそうしますとこの表を見ますと、二十七年度には全部着手できることになつておりますが、吉野、熊野それから庄川、天竜、只見、北上川、石狩川、これは全部今日まで調査をされております。提案者のほうの状況から言うと程度は全部同じですか。見込ですというお話ですが、見込でなく本当のところを……。
  106. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 石狩、只見、天竜というふうに川を並べてございますがこのうちで調査を完了し、着手が可能だと思われる地点は勿論石狩の全部ではございません。北上川の全部でもございません。その中で予定しておる地点を選びまして、個所別にこの地点は大体調査完了だというふうに考、えて個所別に組んでございます。
  107. 栗山良夫

    栗山良夫君 その石狩と言えば僅か三万一千キロなんですね、北上川というのは三万七千、これは大したことではないのです。こんなのはどうでもいいのですが、只見の二十七万と、天竜の三十五万、庄川の十四万、球磨の四万六千、吉野の二万七千、これはですね、すぐ着手できるのか、できないのか、それを一つ……。どうも何回聞いてもはつきりしないのですが、はつきりしないということは結局できていないということですか。私はまあそうとるよりもしようがないのですが、はつきりおつしやらないということはできていないということですか。
  108. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 先ほどから申上げましたように、この地点の内訳を更にそれでは申上げますと、石狩は熊追沢、桂沢、三笠。北上は胆沢川、猿ケ石。只見は中流地区、主として田子倉、本名等を一応計算上考えております。天竜は佐久間。庄川、御母衣。熊野は西吉野の第一、第二。吉野川は早明浦、こういう地点を予定しておりますが、この調査の度合いはどうかという御質問でありまして、この前から再三申上げましたように、各省で現在持合せております資料を、勿論その中には公益委員会等で持つておる資料も頂きまして、それを検討した上大体こういう地点は着手できるのじやなかろうかというふうに、繰返して申すようでございますが、この特殊会社の経理その他を試算して見て、経理の算出を見てこの地点が着手可能ではなかろうかと既存の資料で整備してございますが、実際その地点々々をつくつくどこからどういうふうな手順で着手するかということになりますと、官庁で現在持つておる調査程度で会社の首脳者がすぐ着手し得るというふうに認定するや、或いはもう少しこの地点は調査して、然る後に着手すべきだと認定するか、これはもう少し経つて見ませんと、実際この会社ができて見ませんと何とも上げられないと思いますが、現在のところでは官庁側の意見としましては、今申上げましたような地点はやろうと思えば準備次第で本年度から着手できるのではなかろうかと、こう考えるのであります。
  109. 栗山良夫

    栗山良夫君 くどいようですが、もう一遍伺いますが、それはダム地点がもう決定しダム地点の両岸並びに河川地区のボーリングが終つておるらしいのですが、そうしてダム地点が決定されておると……。
  110. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) この中には勿論ダムの形式或いは地点の準備調査等も済んだ個所もありますし、まだ十分済んでおらん、企業的に見ますと、企業調査的な意味合いからいたしまして、或いは不十分な個所もあるとも考えられますが、併し一応ボーリング等も或る程度済みまして、本年度から着手可能じやなかろうかという地点を選んでございます。
  111. 栗山良夫

    栗山良夫君 どうも何遍聞いてもはつきりせんですね。併しそんなことで発電所今年から着手できるのですか、ええつ、もうあなた発電所を作るということになれば、それはダムの地点をきめて、ボーリングをやつてダムの地点をきめて、ここから何メーター下に岩磐があるということをきめて、そうして上流の湛水面の指標まで全部入れちやて、一年ぐらいあとで初めて工事に着手するくらいなものなんで、この国会でこれだけ私が繰返し繰返し質問してはつきり言えないような地点で、果して本当に工事に着手できますか、提案者一つ伺います。
  112. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 只今説明員が申しました通りでありまして、私たちとしては着手できるものと確信をいたしております。
  113. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあそういう恰好で着手をされたらこれはダムが引つくり返つてしまうかも知れんな。それはまあ別としまして、今の冗談です。あとで取消し要求をされると困るから、(笑声)冗談ですが、では重ねて人のほうを一つ伺います。技術員のほうを私がこの前、とても本社が二十五人やそこいらではこれだけ大きな地点の設計、測量、企画、そんなことはできつこないだろう、こういう工合に言いましたところが、今日は表を少し直して来られまして、一現場当り五十人から百人要ると、そして本社は一カ所十人ずつで六カ所だから六十人要ると、こういう表をもらつたわけであります。ところが私は考えまするのに、相当大きな工事地点がありますので、百人を切れたんではこれはとても現場のほうは賄い切れないと思います。それはようございますが、ただこの中にこういうことが書いてあるのですね。併しながらそれだけ要るけれども、電源開発会社の社員はできるだけ最小限度に切詰める、そうして本社六十人要るところを三十人でやる、現場は六百人要るところを百五十人から二百四十人でやる、こういうわけであります。で、あと幽霊を使うわけではありませんが、そのあとは基本的な仕事だけをやつて、細部の建設事業務というものは、適当な外部機関、工務所とか、電力会社に請負いか又は委託してしまう、こういうふうに書いてある。それでもなお且つ現場のほうが足りないので、現場のほうは基本的な監督と、本社との連絡事務だけに当つて、細部の作業監督については、できるだけ外部機関に委託をする、こういうことになつておるのであります。私は、今日日本の大ダムというものは、まだ技術的にもいろいろ研究する余地があつて、そうして、曾つて二十年ほど前に庄川の只今下流にありまする大堰堤ダムを作るときには、あそこの設計者は本当に命を賭して設計し、工事をしたということを聞いております。この間も私は庄川の下流の井波に行きまして、あそこでそういう本当に涙の出るようなお話を伺いまして、感激をしたわけでありますが、それほどに今計画をされておるような大きな工事、いわゆる提案者が言われるような大きな工事であるならば、こういう工合な、下請の下に下請を以て積み重ねるようなそういう技術陣で以て、果して私は……本当にそれこそダムの引つくり返るような工事でなければいいがと思つて心配をしているわけであります。それは果して可能であるかどうか。それから、更に電力会社のほうは、自分のほうが手一ぱいなんで、なかなか、そう永久にこういう会社に籍を変えて、従業員を移すようなことはできないと言つておる。又電力会社のほうの技術人も、もう存続期間が三十五年で清算期に入るのだと言われておるような短い会社に、今の電力会社をやめてまで行く技術者もなかろう。これは、私はよほど頭のどうかしている人でなければ私はないと思うのです。そういう人が行くとか、或いは外地の引揚技術者がここに大分たくさんありますが、大学卒業生が二百三十六人、これは各専門部門合計してでありますが、高專が四百五十二人ある。約六百八十人、まあ七百人近くある。そうすると、技術陣というものは、相当整うわけでありますけれども、ここで二つの疑問を私は持つので、そこを一つお答え願いたい。一つは、先ほど申しましたように、実際に非常に重要な工事、国土総合開発であり、而も一度ダムが決壊いたしますならば、その下流に対しては測り知るべからざる災害を及ぼすものである。そうして日本の土木技術でいたしますれば、まだ未経験の、新らしい分野を開拓して行くような工事にもぶつかるでしよう。そういうものに対して、こういう下請に次ぐ下請のようなスタッフで以て果してうまく仕事ができるとお考えになつておるのか、この点を一つ提案者並びに安本の長官にも、私は非常に重要な問題でありますので、伺つておきたいと思います。
  114. 福田一

    衆議院議員(福田一君) お答えをいたしますが、前々から申上げております通り、私たちといたしましては、この法律案を出す場合において、資材だの人員の問題というのが非常に大事だと考えておつたわけでございまして、その面では栗山さんも専門家でいられますが、やはり専門家のおかたにもいろいろ御相談をいたしたのであります。大体そういうことはできるであろうというお話でございます。私たちとしても、今の人員の問題その他については、御指摘のような面は確かに問題と思いますけれども、併し人員が集まらないことはないと思つております。又下請に次ぐ下請というようなやり方でよいか、こう仰せられますが、前々私が説明いたしております通り、小さな地点であつたならば、まあこれは殆んど電力会社にやつてもらうような形において援助を求める方法もあり得るでありましよう。我々が考えておりますのは、非常に限定された地点だけでございます。そういうものをやる場合においては、大体この程度でやり得るものと考えておるのであります。  なおこの人件費が占めますパーセンテージというものが料金に及ぼす影響等も考慮いたしておるのでございますが、私たちとしては、とにかくこの程度の人員でできるだけやるようにいたしたい。どうしてもできないという場合には、それは会社首脳部のほうから若干名の人を殖やすというような場合も起き得るでありましようが、併しできるならばこの程度でやりたい、又やれるものと、かように考えて立案をいたしておるということを申上げます。
  115. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今福田君がお話を申上げた通りに、この計画を立てる上においては、これは実行できると考えております。と同時に、それに対しては、既設の九電力会社等の技術陣にも協力が得られるものと考えております。今あなたのお考えでは、何だかこの会社の仇役みたいに、一臂の力も貸さんというような前提であるようでありますが、私はそれはよく話合えば技術陣の協力も求められ得るし、又求めなければならん、かように考えております。
  116. 栗山良夫

    栗山良夫君 これはこの会社が特別な従業員の待遇でもせられれば別ですよ。別ですけれども、この間聞きますところによりますと、電産の給与ペースだという話です。そういう場合に、これは私もそちらのほうの部類に属する人間ですからよくわかりますが、なかなか依怙地なところがありまして、会社の社長さんがこの会社へ一つ応援に行けと言われましても、そう簡単にOKと言うものではない。これは個人の意思で自由ですからね。これは自由ですから、それだからなかなかそういう工合に行かない。従つて、そこはやはり戦争中の勤労動員のような恰好で若し使えるというようにお考えになつておれば、これは非常に間違いです。私はそこを申上げておるのであります。  それからもう一つ重要なことは、この中にありまする一番私が心配するのは、詳細な測量設計等については、外部機関に委託するということでありますが、私は誠に以つてのほかだと思う。工事の一番生命は測量と設計じやありませんか。そういうものを外部に委託した仕事なんというのは、これはろくな仕事はできつこない。そういうことを本当に真剣になつて考えになつておるのかどうか。実際のセメントをこねるようなことは私は直営でやる必要はないと思いまするけれでも、それは監督だけで結構ですが、測量と設計ですね、これを外部機関に委託するなんということは、これは実際以つてのほかだと私は存じますが、この辺はどういう工合にお考えになりますか。
  117. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 測量と設計の一部を外部機関に委託するという外部機関という意味は、電力会社も含めまして、工務所その他が最近は立派なものができておりますので、そういうものも活用いたしたいという意味でございます。要は外部の協力を求め、和を求めながらこの仕事をして行く。国民的にこの電源開発を全部でやつて行くという気持を現わしておるわけでございまして、あなたの仰せの通り、設計とか、或いはそういうような技術的な問題は非常に大事であるということはわかつておりますけれども、現に日本でも〇・C・Iというようなものを頼んで来ていろいろ設計とか、或いは施工の仕方というようなものを調査を依頼しておるようでありまして、私は外部にものを頼むということが絶対にいけないことだとは考えておらないのであります。外部にも力のあるところがあればそこに頼むということはちつとも恥でもないし、又やつていいことだと思うのでありままして、それを総合してやつて行くというのが民主的な意味でやはり仕事が充実されて行くのだと思うのでありまして、それは決して中心を持たないという意味ではないのであります。いろいろの問題をやはりそういう方面で調査をしてもらつて、そして公正な判断をして行くという意味でこういうような調査も依頼するということは決して意味のないことではない、かような意味で書いておると思うものであります。
  118. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はまあくれぐれも今度はお願いをしますが、結局この特殊会社の工事がうまく行くか行かないかは、それは金の問題も確かにありましようが、これは金がなければ全然問題にならないのでありまして、金が作るということが前提になつて、いよいよかかるというときには人が前提になら如ければこれは駄目で、従つて私は特殊会社ができて厖大な人員を要するというのが何か気が引けるというような考え方で以てこういう工事を考えておるのかと思いますが、この建設の終るまでの人件費というものは、全部建設費に入るものではございません。私が申上げるまでもございません。従つてこういうところには有効な人を一つ余るくらいに使われて、そうして一つの予備水路の工事すらも永久にとにかく壊れない、永久に手を加える必要のないぐらいの私は立派な工事をせられる必要があると思うのです。従つてどうか一つそういうことに捉われないで、おやりになるならこういうところは一つ大胆にやつてもらいたいと思うのです。あつちのほうもへこみ、こつちのほうもへこむということじや困るのです。こういうところには、本当に思い切つて、人間が多過ぎるじやないかと言つて非難を受けたときには、昂然として私が今述べたようなところで十分理論を立てて反駁せられるくらいの私は心構えで以てやつてもらわなくちやいかんと思う。それから人だけ揃うと言われまして、成るほどこの表をもらうと揃つておりますが、そういうことではできないので若しやるとすれば、電力会社の力を得なきやならんでしよう。私はそう思いますが、併しこの法案を今日まで審議して来た過程を見ますと、政党間においても超党派で行うべき電源開発のこの問題が誠に議論が紛糾しております。又役所の中においても紛糾しておる。又電気事業者の間においても紛糾している。あつちもこつちも紛糾に紛糾を続けておりますが、こういう恰好で手出しをして、本当にあなたがたが、人の和を得たいとおつしやいますが、得られるとお考えになつておるかどうか。この点は、人の和という点は非常に重要な問題であり抽象的な問題でありますが、そういうものが得られるようにお考えになりますかどうか、この点も一つ最後に併せて伺つておきたいと思います。
  119. 福田一

    衆議院議員(福田一君) 只今の前段の御質問でございますが、そういう御意見のあることはよく了承をいたしまして、こういう意見もあつたということを、法案が幸いにして皆様がたの御賛同を得ますならば、一つ会社の首脳部なり経営者なりにお伝えいたしたいと存じております。なお後段の、和が得られるかどうかという問題でありますが、前々からあなたが仰せられております通り日本現状ではそういうことはなかなか和が得られないことが多いようでもあります。併しこれは国民といたしまして、民主主義国家、議会政治というものを肯定いたしますならば、議会において法案が決定いたしますならば、国民といたしましてはこれに協力するように我々全部が、これはたとえ反対されたかたでも持つて行かれるのがこれが民主主義でございまして、おれはあの法案に反対したから、法案が通過してもそんな法案には協力しないのだというのでは、私は民主主義というものはできないと思うのであります。憲法を根本的に改めなきやならないということになります。そういう意味合いで、あなたの御心配の面はよくわかりますけれども、我々といたしましては、たとい本案に反対のかたでも一つ御協力を願えるように辞を低うして我々のほうからもお願いいたしますが、そういう気持でこれをやつて行つて、初めて日本の政治なり経済なりが民主主義的に運営されて行く、こういうことになるのだと思うのであります。なお、これについて確信があるかという御質問でございますが、私たちとしては真心を尽してお願いをいたす気持でございまして、これ以上に申上げることは、ございません。
  120. 栗山良夫

    栗山良夫君 国会で、議会政治で多数政治だから可決すれば反対したものも当然賛成すべきであろう、こういう工合におつしやるけれども、まあそこまで行くか行かないかは別として、自由党そのものでも、例えばすでに去年は再編成を断行されたわけでありますが、その再編成のときでもその前の国会で一応自由党が提案されたわけです、せられて而も審議未了になつたときには、あなたも御承知通りに、あの本筋の問題を自由党が反対されたわけではないのでありまして、復元措置の問題で議論があつて、そうしてまとまらずにそのままになつてしまつたわけであります。そういうような状態で今日再編成が行われておるときに電源開発のほうは今のような論法でおいでになりますけれども、今日問題にしても、或いは復元の問題にしても、もうぴしやつと結末のついておるものを又再び一生懸命何とかしようと思つて骨折つておられますけれども、これなどは私に今責められるときに、自由党そのものも、その点はよく一つ人のことを言う前に自分のことをよく考えてもらいたい。甚だ以て不穏当も過ぎると僕はそう思うのです。どうぞ人のことをおつしやるときには自分のこともよく考えておつしやつて頂きたい。
  121. 福田一

    衆議院議員(福田一君) どうもそういうことを……私はあなたをお指しして反対されると思つてつたわけではないのでありまして、一般論としてそういうことを申上げたわけであります。なおの他の点ついていろいろ御説明がございましたが、私は成るほどあなたの仰せられた通り再編成のときに反対いたしましたが、党としてきまつた動き、或いは又ポツ勅によつてきまつた動きに対して、私はこれを積極的にどうこうしておるわけでもございません。又只今ちよつと御発言がありましたが、いろいろ復元とか公納金の問題とかいろいろございましたけれども、これにはそれぞれおのおのの理由のあることでございまして、何も自由党内においてその問題がちやんときまつておうたかどうかということはよくお調べを願いますればおわかりが願えると思います。これ以上申上げますと又お叱りをこうむつても困りますので、この程度でやめさせて頂きます。
  122. 栗山良夫

    栗山良夫君 自由党内でもそうでしよう。今日政党として独立しておる他党いろいろ理由のあるところによつて意見を申述べておるわけでしよう、だからなかなか私はうまく行かない、こういうことを申上げておるので、従つて一番最初に各派共同提案で御計画になつたのか、自由党単独提案にならざるを得なかつた点、そういう点を十分よく考えて頂けばいいわけです。そこが一番考えて頂く中心だと私は思うので、従つてこれはまあ多数によつて決定されれば私はその線によつてやらなければならんと思いますが、そのときに一つ過ちを絶対起さんようにこれは重々注意してもらわなければならん、その面子に捉われたり何かして僅かな人間でできないこともできるようなことを言つて国民をごまかし、そうして工事は延びる、ダムの水は漏れるというようなことになつたのではこれは大変なことになると思う。大変委員会の発言としては不穏当のことを申上げましたが、今日はこれで私は打切ります。
  123. 田中一

    ○田中一君 この法案の第三條の国土の総合的な開発という文字がここに出て来ております。併しながら四條その他を拝見しますると、殊に国土総合開発調整審議会と電源開発審議会との関連性、その他何を一番重要視されておるか、この法案としては無論電源開発そのものに対する法案ですから、無論そこにウエイトを置くのは止むを得んと思います。実際に例えば河川法にしましても、河川法の第四十九條には「主務大臣ハ河川ニ関スル行政ヲ監督ス」とはつきり明記してあるのです。併しこの法案を見ますと、結局電源開発調整審議会というものが一番の権力を持つように見られるのです。無論国土総合開発という問題は、総体の問題が電源開発という事業のために、あらゆるものから優先されるというように解釈されるのです。その点についてまあ建設大臣が来て頂ければ建設大臣からも御意見伺いたいと思つたのですが、提案者並びに安本長官、建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  124. 福田一

    衆議院議員(福田一君)我々といたしましては、国土総合開発というものは、一番最優先いたすべきものでありまして、そのうちの電気というもの、こういうことに考えておるわけでございます。
  125. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今福田君の答弁の通りであります。国土総合開発というものが基本的に優先されるべきもので、この法はその特例をなすものであります。従つて電気は必要だが余り電気だけに優先することはいけない。総合開発を忘れるということのないようにということで、この審議会においては各関係方面の調整をして電気開発もして、総合開発の誤りなきを期したい、こういう考えであります。
  126. 田中一

    ○田中一君 国土の総合的な開発利用及び保全ということは、結局この法案では電力優先、電力を中心とした国土総合開発考えているか、国土総合開発計画全体の一環としての電源開発考えているのか、又事業を行う場合にはどの観点からどういうことをやろか、先ほどから提案者の御説明を聞きますと、口では国土の総合的な開発利用及び保全ということを言つておりますが、仕事をする場合にはいろいろそれと食い違いがあると思うのです。そういう点については実際にこの主務大臣、各庁と言いますか、各大臣が並んでおりますけれども、この審議会の結論というものはすべて優先せられるのかどうか。殊に国土総合開発審議会とどちらが問題点を先ず取上げるのか。やはり電源開発審議会のほうが問題を捌いて、そうして国土総合開発審議会にかけるのか、国土総合開発審議会との関連性を何ら謳つていない。第三條に文字としては出ております。併しながら国土総合開発審議会のほうで、国全体の総合開発考えてそうして電源開発というものを考えるのか、どちらが先なのか伺いたいのです。
  127. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 理論的に申上げますれば先ほど申した通り、国土総合開発という全体を総合して計画を立てるというほうが優先するわけであります。併し電気のほうはその中の一部門であつて電気開発してその地点にこれをやろうという場合に、これが全体の国土総合開発立場から見て、非常な弊害を伴わないように、総合開発計画との間に調整をするということで第四條に規定があります。その提案の順序、前後はいろいろな場合があると思いますが、或る個所においては今日すでに国土総合開発計画として、特殊地点として指定されておるところには当然電気開発を含めて計画を立てている。まだそういうふうな計画が立つておらないときには、電気の問題だけ先取上げる場合がありましても、将来国土総合開発はその地点電気開発をさせることはどうかということの審議は当然なさるべきことであると考えております。
  128. 田中一

    ○田中一君 国土総合開発審議会では電源開発の問題も考えておると思うのです。ここにあえて電源開発の審議会を設けずとも国土総合開発の一環として考えられると思うのです。従つて電源開発調整審議会を置くよりも、国土総合開発として全体の問題を考えるならば、今先ほど栗山君からいろいろ質疑があつたようないろいろな問題が解決されるのではないか。この会社を生かすためにというか、仕事をやり抜くためにそれに一番優先権を持つのだということでなくて、国全体としての問題を考える。国土総合開発審議会との関連性が何ら誰つていないわけです。この点はどういう関連性を持つて運営するのか。成るはどこの第三條には一応文字ではあります。そのあとにはどこにもありません。この電源開発のためにすべてそれが潰されてしまうのかという問題はいろいろな問題が起ると思うのですが、その点の調整はどういうふうに考えておられますか、その関連性を伺いたい。
  129. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは只今申上げたことでおわかりと思いますが飽く迄も国土総合開発計画の方が優先する。併し今日でもまだまだ各地方別に総合開発計画を樹立しておられないところがあるのです。大小いろいろな場合に大きなところは大体入つているようであります。小さいところの電源開発もありますし、そういう面については、やはり電気のほうは急ぐけれどもやはりその場所を開発発電所を置くことがあるから出て来るであろうところの総合的な開発の上においてどういう影響を持つか、或いは又その点は全面的な総合計画でなくてもどこを開くことによつて灌漑用水の関係なり、遡河魚族の島の設置なり、流水路と言いますか、木材の流送路というものの設置をどうするかというようなことも結局その地点の山林地帯、農林地帯というものと関連を持ちますので、そういう面での調整をしなければならんということを三條にはつきり書いてある。従つて一応言葉の上で御指摘のような点があるかと思いますが、三條にその点はつきり書いてあるわけである。それから御参考に申上げますが、この後半に特殊会社の法人に関する規定がありますと同時に、電気開発については全面的に必ずしもこの会社にやらせる地点だけのことを考えているのではないのでありまして、第三條については、そういう小さい個所について河川水路の許可をやります場合に、やはり全体的に総合開発計画ができておらないという地区がある。そういう場合に総合開発立場からどうかということを考えなければ駄目だということを第三條に謳つてある。こういう趣旨において飽くまでも国土の総合開発計画というものが優先するということをはつきりしているつもりであります。
  130. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の問題につきましては、最初田中君から建設大臣も含めての答弁要求があつたと思いますから、建設大臣は出席の事務の人に聞いて御答弁を願います。
  131. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 私が直接お聞きいたさなかつたので或いは御質問の趣旨に外れるかも知れませんが、国土総合開発というものと電源開発の問題でございますが、国土総合開発は御承知のようにいろいろな計画が、全国計画、府県計画地方計画、特定地計画、いろいろな形の計画があると思います。その中に電力の問題もあれば或いは灌漑の問題もある、或いは洪水調節、或いは工場用水の問題、いろいろな問題を含んでいるわけであります。従いまして総合開発計画においては、その一つとして電源開発計画が入つて来ると思いますが、電源開発計画はこの審議会のことをおつしやつているのじやないかと思いますが、これは一種の特殊委員会的な性質を持つているのじやないか。従つて電源開発、大きくは総合開発計画で取上げられますが、その詳しい部分はやはり電源開発審議会等の意見がその中心をなすというふうに相成ることを考えております。
  132. 田中一

    ○田中一君 建設大臣に伺いたいのですが、曾つて建設委員会において建設大臣は、できるならば電源開発は国がしたい、自分の理想は国がすべきが自分の理想だということをおつしやつている。これに対しては甚だ我が意を得たりで、非常に卓見をお持ちだと思います。どうかその主張を行政面に現わして頂きたいと、こういう考えでおりましたけれども、今度新らしくこの会社法案が出まして、建設大臣は一体どうお考えになるか、あなたの理論と食い違いのものが出るような私は気がするのです。大臣としては、この法案に対してどうお考えになるか伺いたいと思います。
  133. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 私は電源開発は国がするのがいいのだというように考えておるとおりになつておるようですが、いつ私そういうことを申上げたか記憶がないのでありますが、私は電源開発は挙げて国がやるのがいいとは別に考えておらないのでありまして、恐らく多目的ダムのことに関連して、お考えになつたのじやないかと思うのであります。私は政府がやつたり……、こういう表現をしたのじやないかと思います。政府がやつたり或いは地方団体がやるいろいろな電源開発は、多目的なダムはそれにやらせるがいい、こういうことを言つたことがあるのじやないかと思います。従つて政府なり地方団体は電気オンリーのものをやるのじやなく、多目的なものは政府なり、地方団体がやるにふさわしいということを申上げたことがあるようにも記憶するのであります。今回の電源開発会社は特殊の株式会社であり、政府の身代り、外郭団体にも属すべきものでありまして、こういう機関が財政資金を持ちまして大規模な電源開発をいたしまして、日本の将来に役立たせるということは、私は誠に結構だと考えておる次第であります。
  134. 田中一

    ○田中一君 河川法第四十九條の主務大臣の権限と、この電力会社が総合開発の、総合開発という面で以て……いや失礼、審議会との問題がきまりましても、建設大臣は必ず行政権、監督権というものは最後まで持つもの……。
  135. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 河川法の権限は建設大臣に属しておるのであります。
  136. 田中一

    ○田中一君 なお文部大臣か、文部省の方に伺いたいことがあるのですが、これは今日出席ないようですから、次に……。
  137. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと申上げますが、次の予定につきましては、まだ打合中であります。従いまして先ほど申上げましたように、代理になるか、ならんか知りませんけれども、教育課長というのが出ておるそうでありますから、一応質問頂きまして、そうして不足の分を次にというようにやつて頂けば結構だと思います……私の間違いでありまして、来ておつたそうでありますが、帰つたそうであります。従いまして今の田中さんの御発言了承いたします。今日特にほかに御発言ありませんか。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  138. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。特に今日御発言がなければこれで散会したいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会