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1952-05-16 第13回国会 参議院 経済安定・通商産業・建設連合委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)    午後二時四分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            郡  祐一君    委員            古池 信三君            奥 むめお君            杉山 昌作君   通商産業委員    委員長     竹中 七郎君    理事            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            中川 以良君            松平 勇雄君            山本 米治君            加藤 正人君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   建設委員    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君    委員            前田  穰君            徳川 宗敬君            三輪 貞治君            松浦 定義君            東   隆君   衆議院議員            福田  一君   国務大臣    国 務 大 臣 周東 英雄君   事務局側    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    経済安定事務官    (産業局電力課    勤務)     藤波 恒雄君   —————————————電源開発促進法案衆議院提出)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは電源開発促進法案に関する連合委員会第十回目を開会いたします。前回委員会におきまして、四連合で従来まで進めて来ておりましたところ、都合によりまして大蔵委員会から連合委員会をやめたい旨の通告がございました。前回は、前回申上げましたような状態で三連合委員会をやつたわけでございますが、改めて昨日経済安定委員会におきまして大蔵委員会申出をそのまま受けることにいたしました。今日からは元に戻つたという恰好ですが、経済安定と通商産業建設の三連合委員会炉なつておりますので、御了承を願いたいと思います。質疑を続行中でありますので質疑を続行いたします。
  3. 結城安次

    結城安次君 私は前回に引続きまして本日は冒頭に電源が一日も早く解決できるか、このやり方でできるかできないかということと、又安く売れるのかということについて立案者にお尋ねしたいと思います。同時に法案の時期についても少しお伺いいたしたいと思いますが、先ず第一に、この法案の第三條に「経済安定本部総裁は、電源開発云々ということがありまするが、この「総合的な開発利用及び保全、」その他云々調整ということがありますが、この調整という意味は、或いはほうぼうから出て来たダムの高さとか水量とか或いは発電量とか、何かそういうことなんですか。どういう方面にこの調整をしようというのか、その内容ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  4. 福田一

    衆議院議員福田一君) 総合調整と言いますのは、同じ開発地域におきますところの灌漑ですとか、漁業、水道用及びこの洪水防禦等から考えました水や土地の利用関係の面でいろいろの法律があるわけでございまして、それに基いて行政官庁においていろいろの意見の対立が起きたような場合におきまして、これを総合して調整する、こういう意味でございます。
  5. 結城安次

    結城安次君 この調整安本総裁がするようになつておりますし、又この安本がなくなるようになつて来ますが、安本がなくなつたらどこに行くのか。又同時に、つまりこの調整安本総裁言つた通りになればよろしいのでございますが、若しまとまらなかつた場合にはどこに決定権があるのかということについてお伺いいたします。
  6. 福田一

    衆議院議員福田一君) 安本の問題は御存じのように行政機構改革で取上げておるのでありますが、私たちといたしましては、これは別途の法律でありまして、現在安本がなお現存いたしておりますので、安本をしてこれをやらせる、こういう意味立案をいたしておるわけであります。併しその機能の面は必ず残つて行くものと考えておりますので、そこで或いはそれはどういう名称となり、どういうことに相成るかは存じませんが、そういうような調整機関は残るものと考えておる次第であります。なお相互の間で調整ができなくてそれを安本総裁調整して、それがうまく行かない場合にはどうなるかという御質問と承わるのでありますが、御存じのように安本総裁はこれは総理大臣でございます。総理大臣自分の統轄いたしておりますところの内閣関係官庁におきましていろいろの問題が起きましたときには、これを按配することができるわけでありまして、勿論安本総裁としてやるのでありますから、その場合にはいろいろ話合いをつけまして、そうしてこれを促進するようにする。同じ閣内のことでございまして、一応私は合理的な結論が出て来ると思うのであります。実は今まででもしばしば或いは建設省と農林省の関係において、或いは建設省と文部省の天然記念物の保存の関係だとか、大蔵省関係だとか、いろいろまあ関係官庁がございまして、それらの間で意見が対立しておりますというと、それを調整するような機能さえも今のところはない。公益事業委員会とか、或いは元の通産省に電力局がありました場合には、通産大臣が中に入ることがあり得ましても、法規の関係で規定されておるものではございませんので、そこでなかなかこれがうまくまとまらない。そういう意味合いでやはりちやんと委員会作つておきまして、そうしてその調整をするという権能を與えておきますならば、正式にこの問題に介入いたしまして、そうして関係いたしまして、問題を解決して行く上に一つの進歩を示すであろう、こういう意味を含めておるのであります。それが調整という意味だと私たちは解釈いたしておる次第でございます。
  7. 結城安次

    結城安次君 只今福田君の御説明は全くその通りだと思うので、私は御説明に満足いたします。続いて第五條、「政府は、電源開発及び送電変電施設の整備に必要な資金の確保に努めなければならない。」とありますが、この一條は日本電源開発、即ち民営たると自家用たると、又地方公共団体施設たるとこの特殊会社たるとを問わず、すべてにかかつておるようにこの第五條は思えますが、若し民営公営自家用すべてから資金供給を要請された場合、この法案による特殊会社は、民間ではできないもの、非常に規模の大きなものにだけやるのだということになると、自然この民営公営自家用なんかのほうが手つ取り早くできるということで、資金がどく方面にも廻る場合はこれはよろしうございますが、廻らない場合に、つまり百の資金が要る場合に九十五しかないという場合は、この政府資金はどういうふうにこれは行きますか。或いは必要な所から先に、止むを得ない所を特殊会社がやるということ、止むを得ない所なんだから一番あとになるというようにも了解されますが、この資金政府斡旋、つまり「努めなければならい。」というのはどこいらまでのつもりか、ちよつとお伺いいたします。
  8. 福田一

    衆議院議員福田一君) 第五條は一種の宣言規定と申しますか、或る意味言つて……、或いはこれを書いておくだけの値打があるかどうかというような疑義が起きるかも知れませんが、私たちとしては、電源開発というものは非常に大事なものであるから、これは民間であろうと或いは公共団体でありましようと特殊会社でありましようと、すべて電源開発をするというものがある場合においては、政府はその資金獲得に協力する義務がある、こういう意味ではつきりいたしておいたほうがよろしい、そうでなければ本当に電源開発を促進する意味が、政府が協力するというか、努力する目標というものをはつきりここで定めておくべきである、こういう意味でございます。従いましてどの事業に対しても一応資金獲得については努力するというか、協力することをしなければならないということを明らかにいたしておるわけであります。そこで今結城さんの仰せられましたのは、そういうような場合において、民間公共団体とそれから自家発特殊会社と四つの企業形態といいますか、発電主体がある場合であるが、その場合において百の資金があつて、その百の資金をどういうふうに按配するか。又百の資金がない場合、九十五になつた場合にはどうなるか。それをどういうふうに按配するつもりかという御質問だと承わつたのでありますが、そこで実は御承知のように私たちといたしましては、特殊会社の分につきましては政府資金というものが主なものを占めるわけでありまして、この点は一応法案内容自体は御了承願えると思うのであります。そこで民間九つ電力会社に対しましては、二百五十万キロ九つ電力会社開発をする意思があるということを公益事業委員会のほうへも申出ておられるのでありまして、もつと余計やるという問題につきましても、なかなかこれは資金の問題その他で困難な面があるようでございます。そこで二百五十万キロやりまする場合においても、自己資金だけでやれるかということになりますと、なかなかそうは行きませんので、そこで見返資金というようなものを毎年付けて行くわけでありまして、見返資金の殆んど全部をこの電気に投入する、こういうことにいたしてあるわけであります。なお且つそれでも自己資金でその残余の分を賄い得るかということになりますと、これもなかなか困難でありましようから、まあ資金運用部資金の何といいますか、引当のような形において一応そつちに廻して行くということも考えておるわけでありまして、残余の分が、それでもなお足りない分というものはどうしても自己資金で調達する、こういうことに相成つておるわけであります。併しながら私はこの法案の意図しておるところは、そういう場合に電力会社が努力をいたされたといたしましても、なかなか自己資金調達が困難である。而も国の財政において資金運用部資金というようなものが相当余つておるというようなことでありますならば、その場合は当然その方面へも廻すようにすべきものであるということをここで明らかにしておると御了承願いたいのであります。要するに国といたしましては、できるだけとにかく電気に重点を置いて、そうして資金獲得に努め、それは公共企業体の場合でも、電力会社の場合でも、今度できる特殊会社の場合でも、すべてこれは努力するのだということを明らかにいたしておるわけでございます。公共企業体の分につきましては、これは御承知通り県の財政能力その他もございますが、国のほうから或る程度公共事業費が出た分を廻す場合もございます。いろいろあります。そういう面に  ついても大いに骨を折つてやる。又一部においては資金通用部資金を貸すことについても若干考慮する。それから自家発の場合においては、開発銀行のほうからできるだけ援助しておる。そうしてこの程度援助はしてやるが、それでできるかということをよく見極めた上で、それで自家発も許してやる、こういうようにいたしておりますが、その場合におきましても、将来自家発をやつておりまして何らかの資金繰り、その他の事情が非常にむずかしい。何か政府が少し斡旋でもしてやればできるというような場合には、できるだけ親切にその資金獲得について援助を與えておる、こういうふうにすべきものだ、こういうことをこの法文で明らかにいたしておるつもりでございます。
  9. 結城安次

    結城安次君 只今の御説明によりますると、国家資金は先ず第一にこの特殊会社に出す。民間のほうのやつもやはり開発銀行その他の、大部分は国家資金が転用されるわけでありまするが、そのほうに廻した以外のいわゆる国家資金と銘打つて出るものは、先ず特殊会社に廻すのだ、これを優先的に特殊会社に廻し、それ以外でできるだけ民間会社には力添えをしてやる、こういうふうに了解いたしてよろしうございますか。
  10. 福田一

    衆議院議員福田一君) 昭和二十七年度に例を取つて説明いたしますというと、九つ電力会社発電計画に対する所要資金は八百七十億に相成つておるのでございますが、それに対しまして、見返資金を三百億円付けるということに相成つております。それから、金融債の引受けが百円くらいかと思いましたが、それを廻すことに相成つておりまして、五百七十円といという計画の下に今電源開発が進められておるわけでございます。併し、今年などは特殊会社に対しましては、開発銀行から五十億、それから資金運用部資金から六十億、合計して百十億しかないことになつておりまして、そのときの状況というか、工事の進んで行く状況に応じまして、これには又増減が起ると思います。起ると思いますけれども、我々の考えておることは、とにかくどの企業体にも、企業体と言いますか、どの電源開発者にも、できるだけ政府としては資金の面倒を見、そうして斡旋をする、そうして電源開発を全面的に促進して行く、こういうふうにしたいという考えを持つておるわけでございます。
  11. 結城安次

    結城安次君 大体意図するところはわかりましたが、更に、この電源開発調整審議会というものは、各省の協力を得て円満に事務を遂行させようという目的だと御説明がありましたが、併し審議会に持ち込まれるまでには、非常に揉みに揉んで来るのじやないか。もう各地方で円満に話が済んだという場合には、即ち地方電源開発計画ができて、県も通り、本省もそのまますと行くという場合には、私は審議会にはかからんと思つておりますが、これにかかるのは地方でも揉み、東京でも揉み、揉みに揉んだ難問題だけが来るのじやないかと想像されますが、そうするというと、この難問題解決するにはよほどの材料、資料及び人手も要することと思いまするが、この電源開発調整審議会の構想は、つまり常設としてはどういうものになるのだろうか。或いは臨時的にやるのか。常設的に大きな、厖大な施策を行うのか、それらについて若しお考えがありまするならばちよつと伺いたいと思います。
  12. 福田一

    衆議院議員福田一君) 御説の通り地方で揉みに揉んだような問題がかかる場合が多いかと存ずるのでありますが、それだけに、そういうような審議会があつて調整をいたしませんというと、なかなかその問題の解決ができません。まだこれでもこれより以上の何か力を持つたものでも作つてはつきり決裁をするというような形のものがあつたほうが、本当は電源開発という立場だけから見ますと或いはいいかも知れないのですが、そこまで行くのはちよつと無理がありますので、そこでまあ審議会ということにいたしてあるわけであります。そこでいろいろの問題が出て来るから、その場合におきましては、この審議会では一応、何と言いますか、幹事会と言いますか、各省関係者が出て来る。又一部事務の者も勿論必要になつて来るわけでありまして、私たち考えでは、これは今後ずつと常設いたして行きたい、かように考えておるわけでございます。
  13. 結城安次

    結城安次君 常設となると、今の内閣行政整理行政簡素化というようなことを言つておりますが、実は組織が大きくなつて矛盾をいたすのではないかと思つてお伺いいたしたのでございますが、常設ということを伺つて了解いたしました。第十條の「審議会は、その所掌事務を処理するため必要があるときは、関係都道府県知事出席を求め、その意見をきかなければならない。」とありますが、これは一体とういう場合でしようか。この都道府県知事意見を聞くということは、或いは何らかの基準があつて聞くのか、面倒だからといつて聞かずに済むのか、或いはこれは聞いて置いたほうが地方民を納得させるのに都合がいいから聞いておこうというのか、何らか都道府県知事の上申すべき基準というものがございまするならばちよつとお伺いいたしたいと思います。
  14. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私たちといたしましては、実はこの立案に当りましては、関係都道府県知事審議会委員に臨時的に加えて行くというようなことも考慮いたしたのでありまして、その考慮の立脚点になりましたことは、やはり地方のことは一番地方府県知事がよく知つておるわけである、そういう意味において、地方事情をよく反映させるということが必要である、こういうことを考慮いたしたわけでございます。併し、そういうふうなことは却つて都道府県知事を入れたために、今度はほかの委員として、これは政治的に解決するのじやない、公正な解決を求めるという場合に知事が常に入れるというような立場において、余り強くすることは地方的な利害だけを今度は不当に取上げる傾きになつてもこれも困るから、そこで都道府県知事を正式の委員とはいたしませんが、とにかく関係都道府県知事を呼んで、そうしてその府県事情電源開発関係のあるいろいろな問題をよく聞いて、そうしてその決定誤りがないようにしなければいけない、こういう意味合い都道府県知事出席さして、そうしてその意見を聞かなければならない、こういうことにいたしたわけでございます。
  15. 結城安次

    結城安次君 続いて第十二條「電源開発株式会社政府の定める電源開発基本計画に基き、」云々と、その中に、「電源開発のうち、その規模が大であり、又は国土の総合的な開発利用及び保全に関し特に考慮することを要するものであるため、政府において会社が行うべきものと定めたものをすみやかに行い、電気供給を増加する」とありますが、一体これはどういう河川をお考えになつておりますか。経済安全本部から計画として一期、二期として出て参つた川の名前を見ますと、いわゆる国土総合開発計画、あれにかかつておる川は全部入つておるように思われまするが、前に民間においてできないもの、不可能なもの、或いは非常に困難なものというような前提があつたように思いまするが、あの趣旨とは大分矛盾するような河川名が入つておるかと思いますが、これに対するお考えは如何でございますか。
  16. 福田一

    衆議院議員福田一君) 試案として出しました河川の中には、或いは民間でもやれるものが入つておるかも知れません。私は今ここでその点を一々について申上げることはいたしませんが、いずれにいたしましても、審議会できめることでありますから、一応試案としてお出しいたしておるわけでございます。併し電力会社が自力でできるようなものがあるということが明らかになりますれば、これは私は当然電力会社にやらしていいものだと考えるのでありまして、電力会社ではやれないということが一つの私は大きな條件になる。併し大規模で、総合的な、国土総合開発計画関連性のあるようなものでございますならば、これはそういう民間でやる場合において本当にでき参るかどうかということは、よほど愼重に考えて見ませんとなかなかむずかしい問題に相成ろうかと思いますが、小規模発電地点等試案のうちに入つておりますもののうちには、勿論私は将来電力会社でできるから、これのほうにやらせろということであれば、恐らく審議会はこれに反対することはあり得ない、かように考えておる次第でございます。
  17. 結城安次

    結城安次君 只今の御説明で、民間で若し可能でなければ、いろいろ総合開発計画に対する関係もありますが、これらと関連して民商で可能なものは必ずしも特殊社会でやるものではないというお答えを非常に私は有難く、しかあるべきものと思つて非常に愉快に御返答をお伺いいたしました。又特殊会社は、河川法だとか、農地法だとかいろいろな地方的な面倒な問題は特殊会社でなければ解決困難だから、特殊会社にしたという御説明があつたかのように私記憶しておりますが、併し地方の問題、いわば農地問題、或いは川にダム作つた、その上に橋をかけなければならん、橋の問題、いろいろの地方的、地方個人利害関係は、施行者公共団体たると、私的団体たると、国たるとによつて私は地方民の百反対は変らんものと思います。又同時に審議会としても、これは公共団体だからこういう解決をしたい、民営だからこうだという、区別はないはずだと思いますが、前の御説明のうちに、特殊会社にしなければその解決は困難だからというようなお言葉がありましたが、やはりさよう了解してよろしうございますか。
  18. 福田一

    衆議院議員福田一君) 先ほど御説明申上げましたうちで、民間でといつた意味は、九つ電力会社と御了承願いたいのでございます。その点は誤解のないようにお願いいたします。
  19. 結城安次

    結城安次君 よろしうございます。
  20. 福田一

    衆議院議員福田一君) そこで次の御質問でございますが、成るほど民間でやります場合も、或いはほかの特殊会社でやる場合も、そう実際の問題としては、或いは結城さんの仰せのように変りがあろうはずはないのでございますが、併し一般の人たちが受けることは、これはまあどうも印象の問題でありますから、議論の問題には相成らんと存ずるのでありますけれども、まあ国が援助しているような会社であるならば、まさか余りひどいことはしないだろう、併し電力会社であつたら或いはというような危惧を持つている人が、これは正しい判断かどうかは別といたしまして、どうも金を儲ける会社だから危いぞという感じを若干持つということも、これはあり得ることではなかろうか。そうすると、こういう紛争事件なんか起きましたときの解決というものは、非常に感情が入つて来るものでありまして、その感情がむしろ問題をこんがらがらせる場合が多いのでございます。そういう意味合いから言いますと、この特殊会社等でやりますればまあ大丈夫だろうというような印象を受けるのじやないか、こういうような意味を含めておるものと一つ御了承願いたいのでありまして、私は電源開発につきましては、しばしば申上げておるように、九つ電力会社、或いは公共団体、或いは自家発電特殊会社、こういうようなものは、相互関連性において、そうして相互の特徴を発揮して、そうして皆が協力してこの日本の不足しておる電力を充足する、こういう意味合いでこの法案を出しておるわけでございます。
  21. 結城安次

    結城安次君 更に法案の問題ですが、この二十七條は、この前伺いますと、「会社は、主務官庁が、この法律の定めるところに従い監督する。」、この意味は、主務官庁会社を監督するという意味だという御説明で、そういうつもりで読めば必ずしもそうわからないことはありませんが、これは法文上少し御注意願いたいと思います。こういうことは余り過去の法律にはなかつた字句だと心得ております。それから二十八條の「弁済期限が一年をこえる資金を借り入れようとするときは、主務官庁の認可」云々とありまするが、工事資金というものが、時にはすぐ返すつもりで借りたものが、年度末に返せるつもりのが、大蔵省から急に来ない、返せない、この一年という期限は、こういう二年、三年と長期に亘る工事について一年と期限を切ることは、法案通つた場合にどうかと思いますので、この点はよくこれは直してもらわなければいかんじやないか。実際こういうことのために工事が非常に支障を来たす場合が多々あるかと思われます。それから特殊会社役職員でございますが、これが公務員という扱いを受ける。東京において、或いは都会地において仕事をする場合、ただテーブルの上で仕事をしており、ます場合には公務員としてもなんでございますが、山の中、或いは送電線を作る場合に、田圃の中を歩いているというような者が公務員扱いを受けるということになると、いろいろの点で非常に支障を来たす、私はこういう点が工事を遅らせるのだ。いざ工事が始まれば、もうつまり自分考えによつて誤りがないならばどんどんやつていい。而も他人に迷惑を及ぼさんということならばやるというくらいでなければこれは到底工事がうまく、又早くできるものではないのですが、公務員扱いをすべてするということになりますと、仕事の上において、資金繰りにおいて、あらゆる点で工事の進捗を妨げるものと思いまするが、これについての立案者のお考えは如何でございますか。
  22. 福田一

    衆議院議員福田一君) 第二十七條で、会社は、主務官庁が、この法律の定めるところに従い監督する、又命令を出すことができるというようなことを規定いたしておりますが、やはり政府が相当な金額を出しておりますので、これはどうしても政府が監督をして行かなければいけないじやないかという意味で、この種のものにはこのような規定はつきものでございますので、一応これが入つておるわけでございます。なお二十八條の弁済期限が一年を超える借金をしようとするような場合には、主務官庁の認可を受けなければならんということにいたしましたが、お説のような場合が起ることは止むを得ざる事情でありまして、結果としてそういうようなことになる場合は、私はこれは事情さえ明らかであればそれは認められるじやないか。最初から二年も三年もということになりますれば、これは予算の関係もございますし、それから借入金の方法もございまするし、いろいろの方法がありますから、これは何とかできると思いますが、御趣旨のほどはよくわかりますから、その点は又一応考えさして頂いてもよろしいかと思います。  それからもう一つ公務員の問題でございますが、実は私の説明が或いは徹底しませんために、結城委員に誤解を與えておるじやないかと思つて恐縮をしておるわけでありますけれども、実は、公務員の規定は、公務員が悪いことをしたような場合に罰則規定を適用する、いわゆる特殊会社の社員が悪いことをする、賄賂を取つたとか、或いは何かそういう収賄事実が起きたような場合においては、その場合には公務員の規定を適用するということをきめておるのでありまして、この会社の実は社員というものは公務員ではなしのであります今結城さんが仰せられましたような点を私たち非常に心配いたします。公務員にいたしておきますと、いろいろの仕事をやつて行く上に不便がある。更に又これを公社にしなかつたのも、公社ということになりますと、これは完全に公務員になつてしまうわけでありますが、公社というようなことになりますと、完全に予算に縛られて仕事をやらなければならないということに相成りまするので、そういう面も考えて実は公社をとらないで特殊会社にいたしたのでありまして、これは飽くまで会社の社員でございます。併し会社の社員だからと言つて悪いことをしてはいけない。悪いことをしたような場合には公務員の規定を適用して罰するぞということを実は附則において入れておりますので、或いはそういう御疑問をお起しになつたかと思いますが、私たちといたしましては、これは公務員としては考えておらない次第であります。
  23. 結城安次

    結城安次君 只今公務員云々のことはよくわかりました。第二十七條は、私の申上げ方が少し悪かつたためかと存じますが、二十七條の趣旨においては何ら問題はありませんが、会社は、というのはこれは主語であります。監督官庁というのも主語であります。二つの主語がありますが、これは私が私を監督するというようなことはあり得ないことですから、これは何とか文句を取換えたらいいのじやないかという、これは御注意だけ申上げておきます。  次に政府は原則として、電源開発資金、これは確保方について非常に努力をしておるということがこの法律の根本原則になつておりますが、若し電源開発民間会社が出願して、而も民間資金では足りないというときに、国家資金の何がしかを借り得ればこれができるというような場合に、国家資金はそれに出さないのだ、国家資金特殊会社以外に出さんということのふうにも解釈できますが、そういう実際の場合が起きた場合には、これはどういうふうにお扱いになりますか。例えば或る川が出願した、而もこの中にあるなしにかかわらず出願した、それは政府でもこれはさしたらいいだろう、併し資金が、例えば二百億というところで百五十億しかできない、五十億が国家資金で出してもらえば非常に急速にできるというような場合に、政府としては特殊会社にそれは廻す金だから、民間には廻さんというようなことになるのですか。或いはそういう場合には、国家資金も何らかの形で、開発銀行を通すなり何なりしてお廻しするのか。電源開発の促進ということについてはどちらでも同じだと思われますが、それについて如何でございましようか
  24. 福田一

    衆議院議員福田一君) 先ほどはちよつと私が質問者の御趣旨を取達えまして変なお答えをしたようでありますが、実は第二十七條の書き方の問題でございますけれども、お説のような、ちよつと不明確な点もあつたのでありますが、これは日本の国有鉄道法などの書き方も実はこんなふうになつておるのでありまして、まあそれでもよかろうというわけで通したわけでありまして、これは一般の法律の書き方の問題としては、御高見として拝聴させて頂きます。勿論これは書き換えても少しも差支えないことでありますから一応承わることにいたします。  次に政府資金民間電力会社開発をやろうとする場合に廻すかどうかということでありますが、勿論民間電力会社がやる場合におきましても資金運用部資金を廻す場合もありましようし、見返資金を廻す場合もあるのでありますから、それはむしろあなたの仰せられたのは、例えば特殊会社のほうでも資金運用部資金が或る程度要る、それから民間電力会社がやる場合にも或る程度要る、合計して特殊会社のほうが百億要つて、そして民間のほうが五十億要る、併し資金は百億しかないのだ、そういうときにどうするかという御質問のようにも受取れるのでありますが、そのように解釈してよろしうございますか。
  25. 結城安次

    結城安次君 そのように御解釈願つて結構でございます。私の申上げるのは、あとでお伺いしようかと思つたのですが、資金の使い方は特殊会社よりは自家発とか、或いは九配電会社のほうが上手だと私は思う。これは理窟じやなく実際にこう心得ますので、そういう場合には民間に廻す、或いは自家発のほうに廻すというお考えはないのですかということを伺つたのであります。
  26. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私はそのような場合に当りましては、見返資金の問題はもう別でありますが、主として問題は資金運用部資金の問題に相成るかと存ずるのであります。と申しますのは、我々の建前といたしましては、国のいわゆる予算で以て特殊会社に出買いたしまするところの資金民間会社に廻すということは、これは原則として考えておりません。そういうことはあり得ないのであります。ただ私の答弁その他からもおわかり願つておると思うのでありますが、まあ小さな地点でありまして、そして政府のいわゆる治山治水の関係でやつておりますような発電所等があります。こういうようなものについては、場合によつてはそこの電力会社工事能力があるという場合には、これは私はそのほうへ形は違いますが、ルートは違つておりますけれども、まあ廻して行くような形になる場合があり得るであろう、それは従前申上げておつた通りであります。併しそれも形式的に見ますというと実際には特殊会社がやるのであつて、そして電力会社がその工事を監督を受けているというか、委託を受けてやるというような形になるのではないかと思うのでありますが、そういうような例外はありますけれども、原則としては政府資金がそういう面で政府資金をそういう電力会社に流すという建前をとつておりませんと御了承願いたいのであります。そこで資金運用部資金の問題に相成つて来るわけであります。問題はむしろそこに来ると思う。そうすると今言つたように百億円ぐらいしかないのに百五十億の資金の必要がある、これをどういうふうに流すべきか、こういうことに相成りますれば、私はそのときの工事状況特殊会社工事状況並びに電力会社工事状況を十分勘案いたしましてそうしてそれに応じてどちらのほうに廻すほうがいいかということも、そこで十分検討された上でその按分などをきめて行く、こういうことにいたしませんというと、私たちの目的とするのは、何も特殊会社作つて電源開発するということが目的じやないのでありまして、日本電力を充実するということのほうが目的なんであります。そこではそういう見地からこの資金の按分というようなことも考えられて行くべきものであつて工事の進行状その他を見て十分研究した上で、場合によつて特殊会社が多くなる場合があるでしようし、民間会社のほうを多くした場合のはうが却つていい場合もありましよう。そのときどきによつて問題を解決して行くべきだ、かように考えておるわけであります。
  27. 結城安次

    結城安次君 最後にこの法案についての、特殊会社法案にはございますが、特殊会社というものは官営ではなく、又民営でもない、いわばぬえのようなものでありますが、いずれも特殊会社資金の二分の一以上は国家資金だということになりますと、自然予算の点、会計検査の点ということが当然に思考されると思いますが、現在のような会計検査法、これはもう私から申上げるまでもなく御承知と思いまするが、非常に規則的な検査をする、物の買入れ或いは支払、規則に合つてれば先ずいい、合わなければいい悪いはなく叱られるというような監督を受けるという非常な民間、つまり自由企業に対して不利益な立場に立つということは御承知と存じます。又一面予算、この予算も国家予算で行くという場合に、国の予算というか、匙加減でその会社計画通り行くか行かんかというようなことが左右されるということになると、折角できたこの特殊会社が非常に今年はえらい勢いで工事をしたところが、翌年は計画通りに予算が取れなかつたということから、事業の縮小をしなければならんというようなことも絶無とは申しかねると思うのです。そういう場合に特殊会社というようなものにしたために、却つて電源開発の促進が阻害されることになるのじやないだろうか。むしろ放つておいて金だけを或る程度心配してやつておいて民間にさしたほうがいいのじやないか。民間では予算がなくなれば又七所廻り、八所廻りして借金しても作るだろう。併しこの会社はそういうことができない。強く会計法及び予算で縛られておるというように思われまするが、その点についてやはりこの特殊会社でも十分工事の促進はでき得るというお考えでしようか。
  28. 福田一

    衆議院議員福田一君) 実は結城さんの御心配を私たちも心配いたしたのでありまして、これを公社ということにいたしますというと、今仰せられた通り予算に縛られまして初年度にはむやみにやつてみたけれども、次年度は予算が出ないから、或いは国のそういう予算に縛られて、そうして工事が遅延するというような場合が考えられますので、そこで特殊会社にいたしたのでございます。そこでこの特殊会社は借入金もできるし、又社債も発行できるのでございまして、これによつて工事を予定の計画通り進め得るように、予算によつて余り工事が遅延しないようにということを考えたわけであります。例えば予算を二百億持つて十二月までに使い切つてしまい、あと一月、二月、三月はまだまだ仕事ができるのに、ところが十二月までに使い切つたから、又仕事をしないで手を挙げておるということがありましようから、そういう場合にちやんと借入金なり、或いは社債なりを発行いたしまして、そうしてその工事ができるように、そこに実は特殊会社といたしました我々の狙いがあるのでございまして、今仰せられましたような電源開発を促進するという意味において、これは会社の社員も公務員として、悪いことをした場合には解免をするという面でその弊害を押える、一方においては、公社にするために予算に縛られて、そうして仕事ができないということになつてはいけないから、特殊会社といたしておきまして、そうしてその仕事が順調に進み得るように実はこの形態をとつたわけでございます。
  29. 結城安次

    結城安次君 それは私の或いは誤解かも存じませんが、私はこの特殊会社は予算の以内においては工事をしてもよろしいが、勝手に借金もでき、社債発行もできるということも、場合によつては任意でやれましようが、それが大蔵省或いは政府の許可、或いは認可なしに任意にこの会社独自の見解で借金若しくは社債発行ができると了解してよろしうございますか。
  30. 福田一

    衆議院議員福田一君) そこで先はど御質問がございました二十七條並びに二十八條があるのでありまして、勿論この金を借りるような場合には、認可を受けなければなりません。それは主務官庁がそれを監督いたすわけであります。その点は監督はいたしますけれども、金は借入れて仕事ができるように仕組をいたしておるわけでございます。
  31. 結城安次

    結城安次君 そこらになると水掛け論になるかも存じませんが、主務官庁の許可を得るということは、私はこれはつまり仕事の進捗を妨げるのではないかと思います。借りた金の用途を監督するというだけならばこれはわかりますが、借入までも許可なしにはできない。そうなると借入はどういうわけでするのであるか。これは現実に各役所同様でありましよう。どうして足りないのか。これに対しては当事者はよほど努力して説明しなければ監督官庁の許可は簡単に得られるものでないということはこれは御承知と思う。それらが非常にこの工事の進捗を妨げるのじやないかという懸念から先ほど申上げたのですが、いや、勝手にやれるのだ、主務官庁の許可を取るだけだということでは、私はどうもこの会社の金繰りというものは自由にできるというふうには考えられないということだけを申上げておきます。  それから三月の末でございますか、関西経済連盟というものがこういうことを申しております。官営的な特殊会社では企業としての自主性並びに機動性が失われ非能率であるのみならず、政府当局又は一部の専断による一地区の偏重に傾きやすく、而もスキヤンダルの種になる虞れなしとせずと申しております。これらをどう考えるのですか。殊に又特殊会社ということになると、先ほど申上げました通り、つまり官営にあらず民間にあらず、過去大正時代から特殊会社というものは幾つもてきておりました。併しこれらの結果を御覧になれば、殆んど例外なしに私は失敗だと思う。特殊会社というものは、官営のいわゆる長所を持つております。又民営の長所も備えておる。いわば民営、官営にあらざる特殊会社は官民の欠点の両方を備えておるというような結果になるのは、各種の公団において十分私は証明されておると思う。それをなお今特殊会社にして官の長、民の長をとるというのは、一体何か特別の御構想がございますか。いわば過去の公団の欠点、官の欠点をどうして除却するのか。又民の欠点をどうして除却するのか。両方の長だけをとるということについての特殊のお考えがない、ならば、私はこれは過失の従来あつたのと同じ結果になる。いわば官民両悪兼備のものになるという懸念がありますので、これが心配の余り何か特殊の除却方法があればお伺いしておきます。
  32. 福田一

    衆議院議員福田一君) 先ほどの借入金或いは借金の問題でございますが、これは実は政府資金を擁護するという意味においてこの規定を設けておるのでございます。一般の九つの飢力会社に対しまするのと同じような規定にしておるのでございますから、その点は一応御了承願います。従いまして私どもは、それほど弊害が起るとはその面では考えておらないのでございます。なお只今関西のおかたたちが大変反対をされて、官営も又このような特殊会社というものも、今までにはしばしば失敗を起しておるものであるが、なぜこういうような特殊会社作つたか、こういう特殊会社を作ることは弊害の面だけを備えた全社になつてしまいはしないか、こういう御質問と承るのでありますが、私どもといたしましては、先ずその根本といたしまして、昭和三十一年度までにどうしても四百八十億キロワツト・アワーの電力開発しないと、日本の鉱工業の生産を二倍にすることはできない。未稼動の工場も動かさなければならん。そうしてこの国民の生活水準を上げるようにして行かなければならん。こういう見地から四百八十億キロワツト・アワーを確保するため電源開発が必要である、かように考えたわけでございます。そうしますというと、今の九つ電力会社が出されて参りました計画を見ると、大体二百五十万キロワツトをおやりになる、これは大変な御努力だと思いまして、私たちも敬意を払つておるのでありますが、これではまだ足りません。そこで公営をやらす、更に自家発をやらして見ましても、まだ足りない、まだ四、五十億キロワツト・アワー足りないので、これはこの特殊会社でというか、国の力でやらなければいけないということになつて来るのであります。そこで国としてそういうことをやるという場合において、先ほど結城さんも御指摘になりましたように、工事をやります場合に国でやるということになりますと予算に縛られる、或いは公務員等の規定に縛られて非常に仕事がうまく行かない、だからこれは特殊会社にする、それじやなぜ民間会社政府財政資金を出してやらないのか、民間電力会社政府財政資金を出してやつたらいいじやないか、こういう御議論にも相成るかと思うのでありますが、併しとにかく私たちとしては、大規模なもので、そうして国でいろいろな方面関係のある、特に国土総合開発関係のあるようなものでございますならば、これはやつぱり特殊会社でやらしたほうがいいのでありますけれども、併し資金の面さえ、又工事の能力さえあつてできることがはつきりすれば、私はあえて特殊会社に必ずせねばならんということを今まで申しておるわけではないのであります。これはまあ審議会でおきめになることでありますけれども、それを申しておるのではないのであります。でありますからして、特殊会社で以てやるということは、とにかく今財政資金と言いますか、国の予算で以てそれで何年度にはどれだけの出資をしてやる、これは御承知のように出資でございますが、その出資をするのに、それじや九つ電力会社政府が予算で以て出資をしてやる、こういうことにいたしますというと、それではいろいろの弊害が起きて来るんじやないか、国の予算で以て今年は東京電力へは百億出資してやる、中部電力へは五十億出してやる、東北へは三十億出してやるということになりますと、それでは第一に争奪戰が大変なことになります。事実問題としては各地の重力会社の人がいろいろと運動に来られるということになつて、そういうような問題も起きて来るでありましよう。それに絡んでいろいろな疑惑の念を以て見られるようなこともありましよう。それだけならばまだ別としましても、とにかくそんなに電力会社に出すなら、今後造船が必要だ、造船会社にも一つ政府資金を出してくれ、こういうことを言われたときに、これをチエツクする方法がないではありませんか。又こんなことをやつた例は未だ曾つてないのでありまして、私といたしましては、それはほかにも方法があるでありましようが、そういう意味合で、とにかく国で財政資金で賄なつておるような仕事については、これはやはり会計法の規定に基いてやればちやんと監督ができる、そういうような会社でなければ……。私は国の財政資金をどこの電力会社にでも出すというような一つの事例を開くということは、政治の常識論としてどうしても我々としては納得しかねるので、そこでこういうふうに特殊会社作つて、そうして政府が二分の一以上出資するということになれば、当然会計検査院の検査を受けることにも相成りますし、いわゆる政府資産を監督するという空気がはつきりいたして参りますということになりますので、そういうふうにして金を出して行くより目下方法がない、こういう見地から出しておるのでありまして、私は成るほどあなたの仰せられた、今までのそういうような企業形態のやり方がまずかつたということについてあえて弁駁をするものではありませんが、これは今度おやりになる人たちに是非とも一つしつかりやつて頂いて、そういうような目的が十分達せられるようにお骨折願うと同時に、監督官庁としても十分そういう画も一丸を付けて、弊害に陷らないように考えて行くように一つ骨折つてもらえば、私は目的が達せられるのではない。第一の目的は電源開発ということ、どれだけ電源開発が必要かというところから発足いたしておるのでございまして、いわゆる民間企業体だけで日本の欲しておるところの電力が充足できるという確たる見通しが付きますれば、それはこの法案というものも一応その提出の目的の大半を或いは失うかも知れません。併し私たちとしてはそれはできない、こういう見解を持つておりますので、こういう形よりいたし方がないのではないかと、かように考えている次第であります。
  33. 結城安次

    結城安次君 只今福田さんの御説明で非常に私は安心したことは、民間でできることならば民間にさせるのだということでありまするが、ただ一つあとで違つて来るのは国家資金の点、これは必ずしも国家資金自分が直接投資しなくても、それぞれの機関を通じて投資すればいいはずなので、私はこれはもう前から何遍も申上げましたが、国家資金でなくとも、一般の民間資金を集めたものでも、私は成る程度には監督して一般の人の利害を保護する国に義務がありはせんかと思つて  おるくらいでありまして、国家資金を或る機関を通じて出した場合の監督の厳重、峻厳なることは当然国民が皆要求することで、これは当り前のことだと思つて全幅の賛成をいたしておきます。ただこの特殊会社も、私ども民間企業体だけで全部よくやれるという見通しが付けば、これは特殊会社の必要は或いは半減するかも知らんというお言葉で誠に御同感ですが、ただ私が特殊会社が余り面白くないというのは、実際これは過去の歴史が先ほど申上げました通り明白に示しておる。いわば日本で官業の見本と民業の見本の両大関は私は綿業と製鉄だと思うのです。綿業が政府の殆んど保護なしに今まで来て世界でどういう位置を持つているか、製鉄が明治三十年かに完全な国家の保護の下に始まつて、今どんな状態だろうか、而も両者共に原料は殆んど、綿業は全部でございましよう、海外に仰いでおります。製鉄も大部分は海外に仰いでおります。而も一方は官業、一方は民業、そうして今昭和二十七年の現状において、紡績業者は世界からコストが安過ぎるといつて非常にいわば迫害、というのは言葉の使い方が悪いでしようが、とにかく余り安くできるので困ると言われるほどうまく行つている。鉄のほうは紡績に比べれば今なお相当国家の保護は受けております。然るにかかわらず外国から見れば非常に高い、どうしてこういう結果に数十年なり来たつたかというと、これは過去の経営者の努力、創意工夫の結果にほかならんのであります。それで今まだ昭和以来の公団その他の特殊体系のものが余り面白い結果を持つておらんというときに、今更この特殊会社にするというのは、私としては甚だ了解に苦しむところなのであります。それで而もこの電源開発ということについて、場合によると大変な損害を與えます。例えばダムが一カ所潰れる、今新聞を賑わしております佐久間のダム、あれは百七、八十メートル、あのダムが仮に決潰したならば、浜松から東海道は一切なくなつてしまう、殆んど人畜をとどめないという惨害を與える。前に大井川の井川というところのダムも百九メートルで、これを調べたときに焼津というところまでは殆んど形がない。大井川、焼津間は形がないだろうと言われる、こういう大きな損害を與えるだろうと言われるのを、いわば将来電源ができた場合に、使う人とこしらえる人と別々でいいだろうか。これはやはり作つた人が使うか、作つた人が終いまで利害に関して責任を持つということにしなければ、本当の私は仕事ができないと思うのです。民間会社ダムが一カ所潰れれば殆んどその会社は滅亡です。立ちません。それですから結局作る人の熱が違つて来る。この間ももく星号事件で村上運輸大臣はどうもいろいろ責任が幾つにも分れては困る。ずつと一つの系統で責任を負えないから、責任がなかつたからこういう結果になつたのです。今後は是非一カ所で責任を持つようにしたい。統一あるものに責任体系を作りたいということを発表しておりまするが、私は全然これは同感でありまして、今なおあなたがたがこの法案において特殊会社案というのを主張される意味がわかりませんのですが、何か又特に特殊会社でなければできない、国家資金を投ずるという、特殊会社ということでありますが、それ以外に何か事情或いは理由がございませんでしようか。或いはなかつたのでございましようか。
  34. 福田一

    衆議院議員福田一君) 只今資金の面から一応いろいろのお話もあつたわけでございますが、私たちがこの特殊会社でやるというのは、法文にも明らかになつておりますように、大規模な地点でありまして、総合的に開発をやつたほうがいいと認められる地点或いは又国が治山治水の関係でやつております。これに関連したところであつて、特に発電所を作つたほうがいいというような地点、そういうものをこれでやるということにいたしておるわけでありまして、そういう観点からも一つ御考慮をお願いいたしたいと思うのであります。そういうようなものは九つ電力会社単独の力でやるといたしますというと、いろいろな支障ができまして、却つてできない、問題は電源開発なのであります。電源を充足することなのであります。それにいろいろ今言われましたような問題もありましようが、いろいろ御高説によると綿業その他鉄鋼業の面までお引合のようでございますが、私は又これについてはいろいろ考えもありますけれども、併しこれはお互いにここで議論をすべき問題ではございませんので、あえてこれは差控えますけれども、私はこういう特殊会社の形態をとつたから絶対に駄目だという結論も如何かと思うのでありまして、実は電源を充足するという面から考えて見ていろいろの支障がある。その支障を除き、又電源を充足するという意味と同時に、国土の総合開発という大きな見地もある。その面も充足して行く、併しそのやり方のうちには欠点の面も若干あるとすれば、比較勘案して行くというのが問題の解決ではなかろうかと考えるのでありまして、如何なる仕事をいたしまする場合にも、利益の面と弊害の面とが、これはつきまとうことは御承知通りであります。そこで我々としては、その比較勘案をいたしましたときにおいて、やはりこのやり方が最も適当であると、こういう結論を得てこの法案を出しておるわけでございます。
  35. 結城安次

    結城安次君 電源開発の趣旨においては全く御同感です。又いろいろやつた結果、やれないもの、或いはこういうふうにしなければやれないからこうするのだという御議論で、それは誠に御同感ですが、ただこれを具体化した場合に、それぞれの各地点を審査いたしまして、若し民間でやれるのだということになれば、これは民間にさせるのだというお考えのほどもありましたように存じまするので、私はこの特殊会社の可否についてはこれでやめておきますが、併し民間でできないというのは、何ができないかというと金なのです。資金があれば私は恐らく民間でできない地点は今ないのじやないか、資金がないのでできないのです。ところが国がやれば資金があるのだ、民間でやれば資金がないのだというのはどうもおかしいのです。いずれも団の金なので、民間でやつても官でやつても、これは誰でも勝手に使えるものじやない。国家資金といえども、やはりこれは国民の金なんですから、金を廻せばできるというところが金がないから実際はできないのであります。各方面で出願しておるようでございますが、みんな見返資金でござる、何でござると駆け廻つておるのは金がないからです。金が思う通りに出るならば、私は日本電源開発はちつとも心配がないのじやないか。こういうふうに思いまするので、ただ金ということに帰着すれば、おのずからこの点は解決すると存じておりまするので、これ以上申上げませんが、ただ金と同時にこの工事は相当に強い組織体を要する。いわば人というものが非常に必要になつて来る、平たく申しますと、今九電力会社でやつておる以外にこういう大工事をやるものが、引受けるものがあるだろうか。組においてまあるでしようが、組の会社の社員として現場におつてやる人が、実際問題においてどうやるかということになると私は非常に心細い。人はありましよう、何々工学博士、何々技師とありますが、砂とセメントと砂利と混ぜても、枡に入れて引つくり返せばばらばらになる。これをどうしてもはつきり同じ型になる、どうやつてもしつかり食つ付いておるというような組がなければ、簡単に工事はできるものじやない。それらについてこの特殊会社ができた場合には、そういうものが、これは実際問題になりまするが、会社で組織し得るというようなお考え、或いは御調査はおありになるのでございますか。
  36. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私たちはあなたの仰せられておる資金の問題について、これ以上申上げるところはないのでありますけれども、要するに特殊会社作つてやろうとしておるのは、国土総合開発の見地から、而も大規模なものである、そういうようなものはやはり官庁その他との関連性も多いし、そういうところで公平に見て仕事をしたほうかよろしい、ところが今の電力会社は成るほど公共性を多分持つおりますけれども、営利会社でございます。そういうような営利会社がやりまするいうと、やはり自分の営利という問題を考えてやるということになつて、一面において又そういう弊害が起きる可能性もあり、又一般にも疑惑を與えることになる。こういう国土総合開発の見地というものと、そうして国の資金というものと、両方資金をどうして出して行くかというと、両方充足させるには、こういうような特殊会社の形態が一番いいのだ、かように申上げておるということをもう一度御説明申上げたいのであります。なお只今質問の何と言いますか、人の問題でございますが、果して立派なエンジニアーを得て、そうして立派な首脳部を得てこの仕事ができるかどうか、かように大変御心配を願つておるわけでございますが、私たちといたしましては、この法案立案いたしますまでに、いろいろの方面に御意見を承わりまして、そうして十分できるであろうということを考えておるのでありまして、現に公益事業委員会あたりでは、四つの会社作つてでもやつたほうがいいということを言つておられるのであります。四つの会社を作る億どの人員がありますならば、これは当然一つ会社を作るくらいは何でもないことじやないかという一つ考え方も浮かんで来るわけであります。これは私はあえて引例をいたしておるわけではありませんが、そういうこともありますが、とにかくそういうような人の問題というものも立派に私はやつて行けるものだと、かように考えて提案をいたした次第でございます。
  37. 結城安次

    結城安次君 只今のお話の通りでございまして、公益事業委員会、四つの会社云々と申しますが、つまり東京と名古屋と組むとか、或いは東京と東北と組むというような場、百ならば、それぞれの両者から人を出す、それで一つのつまり組ができますが、これを会社にもさせる、それから特殊会社も作るというところにも私は疑問を持つのであります。会社がやるならば、会社がそれぞれ出願してそこのところに全力を挙げる。その以外に又こういう一つの組織体を必要とすると、これはなかなか得られるものではない。というのは、私どもは過去の経験から心配の余り申上げるので、皆さんも御承知でしようが、東北振興、東北六県が非常に困る、振興するために電力会社を作るという、当時は内務省からたしか人が行つたと心得ておりますが、その人の話にも、行つて三年ぐらいは本当にレールに乗らなかつた。みんなの連絡、何のかんので工合よく行かんものだ。漸くこの頃は思い切り仕事ができるということを、二、三年経つてから本人から聞いたことがありますが、若しこの会社が最初の御説明通りに三十一年、三十二年あたりまでに作り上げて、そうして電力会社に引渡すというようなお考えですと、まだ馴れない土木工事としては最も不熟練、非能率の間が三十一年くらいまでかかるのではなかろうかという懸念を私は持つのであります。これが現在の九電力会社の話合いで一つの組を作るならば、ただ單に誰はこう、あれとあれはこうと、よくわかつておりますから、一つの団体で行きますが、完全に独立した特殊会社ができた場合に、こういうことができるだろうか、どうだろうか。これもあなたと同様電源開発は一日も早かれと祈願するために私はこういう心配をするわけでありますので、あなたの今の御説明では四会社を作るというのだから、一つ会社くらいできるだろうというのは、若し四会社を作らせない、又地方にはさせないのだというならばよろしうございますが、会社にもさせる、自家用もさせると言いながら、まだこういうものができるというのは私は心配でありましたので、ちよつとお伺いいたした次第であります。
  38. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私の申上げましたのは、電源開発はこれは国民の要望でございます。そこで何人といえども電源開発には皆協力したいという気持を持つておられるだろうと思う。とにかく二つの電力会社が寄つてその成果を搾り出せる人員があるというならばこれは議論になります。それは感情の問題を入れますというと、そういうことはなかなかむずかしいことになることはございましようけれども、十分それだけの余剰力があるということに私は相成るのじやないかと思うのでありまして、こういう意味合いで見ましても、私は人の問題は解決し得るものだと思う。又当然この会社電力会社に対しましても大いに協力を求め、更に又この出向とか、嘱託とかいうような制度をとつて、大いに電力会社の協力を求めるつもりでおるのでございまして、私たちといたしましては、そういう意味でも人の充足はできると思いますが、併し電力会社に御関係、今直接御関係のない人もまだ相当あられることと思います。成るほどそういうものをやりますれば、今言つたように、一年なり、二年なり、三年なりの間は、なかなか社内がうまく行かないという点を御懸念のようでございますが、これは首脳部とか、或いは入られる人の気持によつて又違つて来るものであり、そういうような面を虞れることによつてつて電源開発の促進が遅れて行くということで、私は本来の目的を逸するのではないか。むしろどうしてもこの形でやれば金が出る。而も国の考えている国土総合開発というような大きな高い目的も充足できることであるならば、私はやはりこういう会社を発足させて、そうしてできるだけそういう、只今仰せられましたような弊害を除去し、更に又電力会社との協力も求めて、一日も速かに日本電力を充実するということ、この目的のために一つこういうものを是非やつて頂きたい、かように考えておるわけでございます。
  39. 結城安次

    結城安次君 どうも人の問題その他は意見の相異でございましようから、出向とかいろいろのお言葉がありましたが、ただ軍に出向するとか、これはあなたも或いは御経験かも存じませんが、出向させるとか何とかで簡単に仕事ができるものと思つて行くと、案外結果は悪いのじやないか。役所同士の出向ですら、これはうまく行つておらんというのに、この民間会社から出向させるというような考えでおいでになつている、これを私は非常に心配するものであります。併しこれは議論のところですから申上げませんが、この特殊会社は竣工後民間に渡すというようなことをこの前御説明でありましたが、その場合の評価方法とか、何かは基準をおきめになつておるのでありますか、その点についてお伺いいたします。
  40. 福田一

    衆議院議員福田一君) 実は衆議院で原案に修正が加えられまして、相手方の、譲り渡す相手方或いは評価の基準ですね、評価の対象とか、基準とかいうようなものは審議会へかけまして、そうして一応基準をきめて、そうして実際にこれをやるのは通産大臣がやるといたしますれば、通産大臣が認可をいたすわけでありますから、その認可をする場合には、その基準は尊重してやらなければならないということを実は法文に追加いたした次第でございます。さようなわけでありまして、法文としては、そういうふうに一応の整備が成つておりますが、従来の例によりますというと、日発がこの電力会社を統合いたしたような例、或いはよその会社が買うような場合におきましては、御承知のように建設費に対しまして利用価値というものを加味してそうして評価をするというのが原則になつております。この原則というものが一応基準になつて参るだろうと思うのでありますが、併しその点をはつきりいたしておきませんというと、或いは電力会社が儲け過ぎたり、或いは損をしたりするようなことがあつてはいけませんので、そういう面は実は追加をして法文の中に修正を加えた次第であります。
  41. 結城安次

    結城安次君 これは本法案に直接関係ないものでありますが、若しお聞かせ願えるならば、お伺いしておきたいと思うので、今私どものところへ復元問題がたくさん来ておりますが、この復元問題の、この復元する価格のことで、何か今後やはり今あなたのお話のようなことで行く、どうでしようか。或いはこれは管轄外かも知れませんが、安本長官あたりで、これに関するお考えがあつたら何つて置きたい。復元のときの価格問題であります。
  42. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 復元の問題でありますが、これは元県営とか、或いは特設の企業会社自家発電を持つてつたのを日発の際に取上げた、あのときのことですか。
  43. 結城安次

    結城安次君 そうです。
  44. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) この点については、倉の場合なかなか電力が全体に足らんときでありますから、今すぐにどうということはまだ考えておりませんが、併し行く行くやはり曾つて取上げたものに対する電源を復元するという問題については考慮して行くべき問題だと考えております。これについては愼重に研究を進める必要があると考えております。
  45. 結城安次

    結城安次君  私の伺いたいのは、もうこの間この法案でない別の法案ですが、復元の措置の講ぜられるまで云々という字句のあつたときに、内閣においてはもう殆んどでき上つておるというようなお話がありましたので、実はほうほうから復元運動に迫られておりますので、何とか目鼻でも付いておりますれば、こんなふうで復元になるだろう、価格はこういう方針じやないかというくらいのことを聞かしてもらいたいと思つてつたのでありますが、これ以上お伺いするのは無理かもわかりませんが、若しお聞かせ願えるなら願いたいのですが、お願いできますか。
  46. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 関連質問で……。
  47. 福田一

    衆議院議員福田一君) ちよつとお答えしてから……。その問題は自由党のほうとしては今研究中でございます。まあ政府のほうともそのうちお打合せをするように相成つており、又政府のほうも或いは安本関係ではございませんが、研究されておる部局があるかも知れませんが、併しいずれにいたしましても、まだ決定に至つておりません。研究をいたしておる状況でございますから、さよう御承知願いたいと思います。
  48. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今の復元問題につきましては非常に重要な問題を含んでおるので、先ほど周東長官も、電力の足りないときであるので慎重に考慮して措置しなければならんということを言われたのでありますが、我々も毎々の国会における委員会でそういう請願が参りましたときに、多数の意思で可決をいたす際にも、條件を附しまして、電力の需給のバランスが一応完全にとれるまでは、公共の福祉にそぐわないものであるというような観点でむずかしかろうということを力説をし、そうしてそういうことを了承の上で請願書なども通つておるのであります。然るに提案者は、自由党内において目下研究課題として進めておる。こういうお話でありましたが、過日の通商産業委員会におきまして、公共事業令の一部を改正する法律案の説明に立たれました神田代議士は、公共事業令の法律案としての改正は講和條約の発効後百八十日以内に行わなければならん。従つて復元の立法措置はそんな悠長なものでない。ここ三、四カ月の間に必らず立法措置を講ずるようにしたい。もうすでに自由党の中では相当な準備が進んでおるということを言われたのでありますが、同じ自由党に所属されておる福田議員或いは周東安本長官等の御見解とは甚だしく相違をするように考えるのでありますが、それはどういう実情になつておるかお伺いいたします。
  49. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたしますが、これは同じことをあなたも言つておられると思います。曾つて自家発電を持つていたもので、現に取上げられないで使つている企業自体もある。これがために非常に比較的安い電力を使つておる会社がある。これに比べて取上げられて、そうして自分が高い電力を使うということに対しても非常な不満があるところもある。これは本来言えば復元されるのが当然でありましよう。併し御指摘のように自由党でいろいろ研究しておるということは、その本来の本質から言つて、そういうものであつてもです、やつぱり実質的にその復元の時期の問題もありましようし、又それをやるとして、工場電力を公共のためにどの部分はどういうふうに分けなければいかんというような、一例を挙げれば條件を附ける方法もありましよう。こういうふうな考え方は愼重にやるとしても、いろいろな点について考慮を払わなければならん。やるとして時期はどうかという問題が各位各様みな違つておると思う。そういう点を私は今福田君が自由党において研究しておりますということを申上げ、政府においても愼重に研究を加えておるということを申しておるのであります。神田君がどういう答弁をいたしたか、それは聞いておりませんが、恐らくその考え方としては同じことであると申上げる次第であります。
  50. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは速記録を只今つておりませんから、私の感じた気持を申上げるわけでありますが、今長官が述べられたような、そういう意味合よりはもつと緊迫感の出ている、即ち曾つての非統合者の熱心な申出によりまして、どうしても復元させてやりたいと考えている。そしてそれを一日も早くやるためには、今度の公共事業令の改正のときに是非とも織込んで、そうしてその実現を図りたい、こういう工合に具体的に所信が述べられておるわけであります。その点はあなたの只今の御答弁と神田君の話とは大分表裏があるわけであります。従いまして、これは今これ以上お聞きしても処置のない問題でありますが、極めて重要な問題である。而して周東長官の只今の御説のような、愼重な態度を以て臨まなければならん問題であろうと考えますので、一つ自由党内において、そういう議論がありまする場合には愼重な態度を持されるように、自由党出身の閣僚としての周東長官にも重ねてお願いしておきます。
  51. 結城安次

    結城安次君 安本長官にちよつとお伺いいたしますが、この特殊会社電力を安くするために、税法その他で種種の便法、免税その他の便法を講じているようでありますが、電力特殊会社が安くするばかりでなく、いわゆる今の九会社もやはり安くできるならば  したらいいじやないか。そうすると、特殊会社にだけ別の固定資産とか、或いは発電の何とかいうことを免税するばかりでなく、一般の営業とする電力会社にその免税の恩典を及ぼすというようなお考えは今のところございませんですか。
  52. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 御意見御尤もでありますが、免税の特典等に関しては、純然たる営利機関と言いますか、民間会社についてはなかなかやりにくい点があるのであります。趣旨としてはむしろ電力会社に関する限りやつたほうがいいじやないかという一般的な議論はある、と思います。そこにまあ一つの線を引いてやれば、或る程度ほかの出資に持つている特殊な会社等は免税をしやすいという点があります。これは今度独立になりましたから、その点いろいろ考え直す点もありましよう。そういう点は非常に厳格であります。そういうところから区別が付いております。併し電力会社にも一部免税は勿論あるはずであります。こちらのほうも税の関係についてはえらい違いにはなつておらないようであります。併し趣旨としてはそういう意味で区別があればなされるというわけであります。
  53. 結城安次

    結城安次君 だんだん何ですが……。この間同僚赤木委員の御質問に、河川のつまり整備と申しますか、ダムを作るとか、その他は容易なものじやない。これは非常に長い調査期間を要するので、現にアメリカのフーバー・ダムあたりは十数年調査した結果やつたのだというので、愼重にやつてもらいたいという御質問がありました。私は全然同感で、これらから出た第一期、第二期の計画、あれに二十七年からずつと年々進行して、河川名とかだんだんありましたが、どうもあれほど……、私は、赤木君なんかの質問を重く見てくれるなら、ああはできないはずだ。日本でどこの河川もそう完全に調査は届いてないはずだ。いわば私どもが聞いている限りにおいては、利根川、只見川は十数年来でややできている。大井川、天龍川、木曽川、飛騨川、これが約三十何年に亘るのでほぼ完了している。庄川、黒部、これらがやや利根川に毛の生えたくらいの調査だというくらいにこの前伺つてつたのですが、今度の計画で見よすと、ずつとどこも一様に二十七年から始めるのかどうか。十何河川でありましたか、これはやはり赤木委員なんかの御指摘のようなすべての調査が整つた上の御計画なんでしようか。これは安本関係のかたにお伺いしたい。
  54. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 御指摘の点は御尤もでありますが、現在の計画と言いますか、一つの見込案として考えておるものの中にも、調査ができているものから着手して行くつもりになつております。それから附加えて申しますが、私はこの間赤木さんの御意見を聞いておると、誠に御尤もだと思います。私は赤木さんの御説に反対ではございませんが、そういう点もやはり一面には今度の総合的な国土開発計画と並んで行かなければならんという一つの点であります。これはダムに繋つておるわけではなくて、本来ならば山元の植林関係がはつきりしておらなければならない。若し山にしつかりと木を植えて砂防工事ができておるということになれば砂を流さない。そのほうがあと廻しになつて、下のほうへダムを先に作れば砂がたまる。或いは上のほうへ作つても砂がたまつて困る、或いは水害が起ることは困るということは誠に御尤もだと思いますが、同時に私は今のそういう点があるからこそ、総合的に治山治水ということを並び考えダムの箇所を考えて行くということが一つの必要な最も大きな点だと、こういうように思つております。それは附加えて申上げて置きます。
  55. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと結城さんにお伺いいたしますが、周東長官が今衆議院の何委員会か忘れましたけれども、要求されておりますが。
  56. 結城安次

    結城安次君 もう五、六分で済みます。或いは河東長官の御意見があれば伺いたいと思います。私一人でやつていてもいけませんから、この辺で打切りますが、私は周東長官のお話に全然御同感なんです。本当に植林、砂防ということから行くという場合に、日本の今後需用が増加する電力というものについて、すでに今まで調査の済んだ所から完全にどんどんやつて行けば、それで大体年に四十万や五十万はできるという目算を持つておるのでありますが、こういうふうにこれをほうぼう特殊会社で拡げるということはどうかと思うので長いこと御質問いたした次第でありますが、電源開発の必要性ということは、これはもう立案者、朝野すべてが同感なんでありますが、ただ私は企業形態の如何ということについて少し違うということを申上げてこの質問を打切りますが、是非これはどうしても電源を早く開発しなければならんのだから、お前ならばどうするかというならば、私は政府資金を導入する一つの機関を作つて、金だけをそこで扱うということだけならば非常に賛成いたしたいと思います。その政府資金なり何なり、自分仕事もしなくちやならんというのが、結果において国民の期待に反するのではないかという懸念から長いこと申上げた次第でありまするが、若し金だけを貸すのだということなら、私は全幅の賛意を表する次第であります。それからこの次までで結構でございますが、頂戴した表の第三でしたか、何かに、公共事業体の電力発電端の費用が二円幾ら民間より高くなつておりますが、どうも公共事業でやつておる電力民間より高いというのはどうかと思いますので、この計算を頂戴いたしたいと思います。それから一期、二期、この特殊会社ができた場合に二円七十、何かございましたが、六歩の利息を出したときと、それからそれを出さないときとか、いろいろございましたが、あの差がどうしてできるかを、つまりあれは送電線の開設は何キロで幾ら、発電所が幾ら、それをこの次までにお伺いいたしたい。それからこの間頂戴いたしたうちに、発電費用が大分安い所があるのでありますが、これはお間違いじやないでしようかと思うのですが、これは念のためにお伺いいたします。石狩川とか、ずつと十幾つ並べてありますが、大体九万八千円から十三万円ぐらいまでの建設費でありますが、本名発電が五万円切つておるのであります。四万三、四千円でできるようになつておりますが、これは誤まりでないかどうかをこの次までで結構でございますから、御報告願いたいと思います。私はこれで打切ります。
  57. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 時間もあれですが、境野さんからの一応の要求者として発議者と公益事業委員会となつておりましたので……。
  58. 境野清雄

    ○境野清雄君 この前の質問のとき出て来ました外資の問題に関して発議者のほうに承わろうと思いましたら、発議者のほうから安本長官がこの前お答えしたという話があつたので、私のほうは今外資導入の問題に関しては安本長官にお聞きしようと思つてつたのですが、安本長官帰られれば、又月曜日にいたすとして、発議者のほうに一、二点お伺いいたします。前の委員会で頂きました参考資料の三というものについて検討して見ましたので、この点について二、三点御質問したいと思うのであります。ただ私がこれについて質疑を続けますについては、資料三についてやりますので、数字の面が多くなると思いますので、その点一つお書き留め置き願いまして御答弁願いたいと思うのであります。
  59. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと発言中ですが、ちよつと聞き落したのですが、安本長官に御質問でございますか。
  60. 境野清雄

    ○境野清雄君 私が突然この前のときに外資導入の問題を提案者にお聞きしましたら、提案者が安本長官のほうへという話がありましたので、私は大体提案者と、それから公益事業委員会というものを予定しておつたのですが、この前の質問のときに突然そういう問題が出て来たので、安本長官に伺いたいと、こういうふうに思つてつたのですが、安本長官が帰られましたから、提案者の分だけ二、三点質問したいと思つて、こういうふうに訂正して質問を続けるわけです。只今申上げた通り前回委員会で頂きました参考資料三について二、三点お伺い申上げます。それにつきましては、只今申上げたように数字がたくさん並ぶと思いますので、その点お書き留めを願いまして御答弁を願いたいと思うのであります。大体この発電の原価につきましても資料三にありますように、第一期の工事が完成後におきまする特殊会社電力会社、それから公営、こういうような順序に見ますと、それぞれ特殊会社が二円四十銭、それから電気会社が二円六十五銭、公営が二円七十三銭というような順になつておりまして、特殊会社の分が最も安く示されておるのであります。次にその前に頂きました参考資料の電源開発地点表という配付資料によりまして、特殊会社公営につきましての第一期工事の総平均による計算、又電力会社の分につきましては二十六年の着工分、それから二十七年度の着工分共におおむね昭和三十年には完成するのでありますけれども、全部の合計を用いまして、キロワツト当りの建設費及びキロワツト・アワー当りの建設費を出して見ましたところが、特殊会社の分はキロワツト当り約九万円、それは詳細に申上げますと、特殊会社の分は八万九十六百円、それからキロワツト・アワー当りは十九円八十銭、電力会社の分は八万九千円、そうしてキロワツト・アワー当りは十七円五十銭、公営の分は十万二千円になつておりまして、キロワツトアワー当りが十九円六十銭、こういうような数字が出たのであります。只今私の申上げました表を基礎にして提案者なり或いは事務当局でも結構なのでありますが、お答えを願いたいのでありまするが、特殊会社電力会社と比較しまして、建設費がキロワツト当りに対しまして、又キロワツト・アワー当りにしましても、電力会社のほうが安いのに電力料金原価が特殊会社のほうが安いというのはどういうところに原因しておるのですか。この点を承わりたいと思います。
  61. 福田一

    衆議院議員福田一君) これは建設中の利息、利子というものがございませんことが一つ、それから政府資金を使つておりまして六分の配当ということになつておりますので、その面が電力会社よりは非常に負担が軽いわけでございまして、そういう面が大きく影響いたしおるわけでございます。この前も松永委員長代理が言われましたように、電源開発の一番大きな電気料金に及ぼす影響というものは利息が一番大きいのでございまして、利息とか、配当とかいうようなものがかなりウエートを占めて来る、特に利子が多いわけであります。そういうことが相違いたしておりますことが、この数字の上でそういう差を来たしておるものと考えておるわけであります。
  62. 境野清雄

    ○境野清雄君 その点に関して私のほうで大体計算をして見たのでありますけれども、第一期工事の完成後の特殊会社工事は提出資料によりますと、約七百五十億円でありまして、その固定資産税を一般並に見まして千分の十六というものを払うことにしますと、六億円の増加になる。然るに今お話のありました六分の配当を前提といたしますと、法人税が約二十六億円必要となり、合計しまして三十二億円というものが特殊会社なるが故に軽減される。そういたしまして、一般電力会社ならそれだけ余分に支出しなければならないことになるのじやないか、これを特殊会社が三十二年度の経費約八十九億円というものに加算しますと、発電原価は一躍三円三十銭ほどになりはしないか、結局特殊会社の発電原価が安いのは税の関係というふうにどうしても考えられるのでありますけれども、その点を提案者はお認めになるのかどうか、若し私の数字が間違つておりましたら、あとで訂正いたしますが、一応そういうような関係から行きまして、大体法人税の問題、それから固定資産税の一般並の計算というようなものからして、どうしても私は税金の問題で多くなるのじやないか、こういうようなふうに思うのでありますけれども、提案者のお考えはどうでありますか、お伺いいたします。
  63. 福田一

    衆議院議員福田一君) お説のように、固定資産税とか或いはその他の面が軽減されておることが単価が安くなつておる理由になつております。
  64. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうなりますと、只今の税の減免というものの影響は、結局先ほど私の申上げました三円三十銭対二円四十五銭というものになりまして、三割五分も違つてしまう。仮に電力会社でも同様の減免をするとしますと、同率で安くなるという計算でありまして、資料にあります二円六十五銭というものは一円九十六銭という計算になるのじやないか、特殊会社の第一期発電量は三十六億キロワツトでありまして、同様の特典を電力会社に與えまするなら七十五億キロワツト・アワーの電力量が一円九十六銭で供給できるというような計算になるのでありまして、そういうような計算から行きますと、特殊会社の二倍の効果があるというようなふうに考えられるのでありますが、電力開発をこれほど重要視しておる際におきまして、この方法がなぜとれなかつたか、理由はどこにあるのか、その点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  65. 福田一

    衆議院議員福田一君) 一応数字の説明説明員からさせまして、その後お答えいたします。
  66. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 御説明申上げます。先ほど御質問のありました固定資産税につきましては、一・六の半分の〇・八%で計算しております。その意味の軽減は電力会社分につきましても、やはり本法案によりまして半減されることになりますので、同率の〇・八%で計算をしております。法人税につきましては、特殊会社につきまして三十二年度はまだ免税ということになつておりますので入つておりません。その意味において単価が引下げられておる、これだけでできるという点はお説の通りでございます。それから先ほどの御質問の中に、電力会社建設単価がキロワツト当り八万九千円という工合におつしやられたと記憶いたしますが、大体九万円ちよつと出るという形になつて特殊会社と大体同じ程度考えております。それから電力会社の新設の水火力の原価の出し方を一応御説明しておいたほうがよろしいと思いますので、御説明申上げますと、飛びますが、便宜上修繕費のほうから申します。修繕費につきましては建設費の〇・五%をとつております。火力につきましては一考を計上いたしております。それから減価償却費につきましては、水力につきましては四十五年、火力につきましては二十五年の年限で定額償却をやるという従来の方法によつております。支払利息につきましては見返資金の金利は七分五厘、その他の、一応その他は全部社債、借入によるという仮定にいたしまして、その分につきましては一割一分の金利を払うという計算でございます。それから燃料費に戻りまして、燃料費につきましては、これは新設でどれだけ発電をするかという新設火力設備の負荷率の問題で非常に変つて来る問題でありますが、一応新設設備で三十三億キロワット・アワー程度の発電をいたすことにいたしました。これに要する石炭量が二百四十万トン程度考えまして、現在における発電用炭の価格によりまして計算したものであります。従いまして、新設火力設備の負荷率としては五〇%乃至五五%程度のものになつておるはずであります。その他の人件費、業務分担金、それから一番下の欄の「その他」という項目のものにつきましては、現行料金の原価の算定基準、現行と申します。と昭和二十六年度のものでございますが、それの経費をとりまして、新設設備と既設設備との比率を考えまして計算をしたものであります。それによつて出しましたものが水力二円六十五銭、火力は六円二十銭ということに相成ります。これの総合になりますと、必ずしも火力と水力との組合せの量はマツチしておりませんので、或いは総合の単価三円七十五銭というのは、そのまま使える数字にはならないと思いますが、一応挙げた数字でございます。  それから、公営の単価につきまして、先ほど結城委員から資料の御要求がありましたので、又ほかの資料と共にのちほど御説明の資料を差上げてもよろしうございますが、一応説明いたします。この単価が一番高い理由は、先ず建設単価が比較的高いということ、これは御承知のように、ダム式のものばかりでありまして、電力会社のものに比較しますと、質的に見ますと必ずしも高くはないと考えられますけれども、多少そういう傾向がある。一割程度あるということが考えられます。それから業務分担金その他におきましての計算が多少電力会社等よりも高めになつております。実はこれにつきましては、実績等の資料もございませんので、自信ある計算ができないわけでありますが、一応県営のものにつきましては、各県一地点くらいずつ持つておるのでありまして、電力会社或いは特殊会社のごとく、多くの地点を一括運営するという形とは大分異なつて参ると思いますので、一応業務分担金で申上げますと、総経費の約一割というものを仮に計上したわけであります。そういう結果、二円七十三銭という單価が出て参つたわけであります。以上であります。
  67. 福田一

    衆議院議員福田一君) 只今境野さんの御質問は、電源開発が必要であるとするならば、特殊会社だけに何も法人税を減免をしないで、電力会社にも減免していいじやないか、そうして安い電気を造らせるようにしたらどうか、こういう御質問だと解釈してよろしうございますか……。それでございまするならば、実は御承知のように、九つ電力会社を作りましたときには、いわゆる独立採算制という言葉が使われたのでございますが、とにかく九つ電力会社はやはり営利を目的にいたしておるわけであります。併し、営利だけではないのでありまして、公共性の面も十分あるのでございますが、併し、何と言つても、配当を一割五分するというようなことを言つておられるように、営利性というものが多分に含まれておるわけでございますが、特殊会社のほうは、御承知のように、配当と言いましても六分という非常に安いのでありまして、今の常識から言いますならば、普通の会社つたら三割、四割という配当をしておるところもままあるのでありますが、併し、九つ電力会社が一割五分というのは、やはり公共性が物を言つておるために二割、三割というように考えることができない、こういうわけであります。こういうような営利性を持つておる会社でございますので、成るほど電源開発は必要でございます。併しそれだからといつて、これに対して法人税を減免するということは、営利会社に対してそういうことをするということは如何なものであろう、これはそういう見地から、実は営利会社に対しましては、いわゆる九つ電力会社に対しましては、そういう措置が取り得ないわけでございます。
  68. 境野清雄

    ○境野清雄君 次に公営開発電力会社の分と比較いたしますと、発電原価が大差ないにもかかわらず、建設單価のほうはキロワツト当り十万二千円、キロワツト・アワー当り十九円六十銭となつておりまして、キロワツト当り建設費は最も高くなつておる。公営の分が建設費の割合に発電原価の安いのは、特殊会社と同様に税金関係であると考えられるのでございますが、特殊会社公営共に建設費の高いということは、これは問題じやないかというふうに考えられるのであります。大体本法案説明に当りまして、資金資材を有効に使用するために総合開発を推進するということをしばしば提案者のほうでは言われておるのでありますが、総合開発公営特殊会社建設費が電力会社建設費より高いということはどうもこれは不可解なことじやないか。先ず第一点は、この点を私は明瞭にされて頂きたい。併せて総合開発における電気事業の分担金を電源開発地点表のほうについて見ますと、少数の例外を除きまして、大体十万円となつておるのでありまして、総合開発により発電原価を引下げることなく、一般会社並みに、税金を払つた電力会社の発電原価と同等となるまで総合開発においても電気事業の分担金を上げておるということが資料を一貫して流れておる思想じやないか、こういうふうにこの資料を拝見しておるのであります。これを言い換えますと、できる限り電気事業工事費を負担せしめて総合開発を成立せしめる、総合開発をせしめるという総合開発の促進法であるということを資料は明かに示しておるじやないか。即ち、再度申上げまするが、これは電気事業工事費を負担せしめて、総合開発を成立させるところの総合開発促進法であるということを資料が示しておるのにもかかわらず、総合開発それ自体は勿論必要なことでありまして、やらなくちやならないのでありますけれども、この法案の第一條を見ますと、これは電源開発の緊急性と法案の裏付となる第一條の問題と、今私の申上げました資料に一貫して流れております思想というものが、どうも法案自体と資料とが幾分相容れない関係になつておりはしないか、こういうふうに思うのでありまして、この公益事業者と電気事業者負担金との調整、設計の調整等の面倒が多い上に、総会日ダムでもなかなか安くないというような面から行きましても、資金に不足を来たす場合には、先ず総合ダムというものからこの計画は崩れやしないかというようなことを考えるのでありますけど、その点は提案者のほうのお考えはどんなであるかお伺いいたしたいと思います。
  69. 福田一

    衆議院議員福田一君) 公共事業体の場合におきましての御質問考えるのでありますが、私たちは何も資料を作ります場合にそういう考えは持つておりません。併し御承知のように、電気の料金というものが一応数字が出ましても、その電気自体が持つている質がいい、或いはロスが少い、或いはそれをすぐ工場に使えるということによつて電気の価値が非常に違つて来るのでありまして、電気のキロワツト・アワーの単価が幾らに出ているかということだけでは、この発電所がいいか悪いかという結論は急に出て参らんのじやないかと私は考えておるのであります。まして、この公共事業で或る程度ダムを作りまして、今度はその仕事が済んでしまつたあとで又別にそれに追加して工事をするというようなことになりますと、非常に高くつきます。そこで、むしろこれは一緒にやつて、そして電気を殖やしたほうがいい、こういうような問題がありますなら、私は、二円七十三銭という数字が出ておりますけれども、これでも十分ペイすると言うか、やはり作つてすぐ売れる、又効能があると、かような見地が取入れられまして、そしてこの公共事業体にも仕事をさしておると、こういうように相成つておるわけでございます。なお、もう一つ細かい数字の点は説明員から説明いたさせます。
  70. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 最初に、先ほどの私の御説明の中で多少誤解を招きはしないかと思われる説明の仕方がございましたので、もう一遍説明さして頂きますが、附表の三の、参考資料の三の二円六十五銭と二円四十五銭との比較のときに、国定資産税は電力会社並びに特殊会社とも同率でございますと申上げましたのですが、そのほかに、法人税の問題が単価の差に大きな影響を與えているかのごとく申上げたのかも知れませんが、この新設の分の計算につきましては、電力会社のものも法人税関係は殆んど入つておらない形になつておりますので、その差はないことになります、と申しますのは、先ほど御説明申上げましたように、建設資金は、見返資金とそれ以外に社債関係、社債借入金でやる形になつております。で、それに対して一割一分という関係に計算しておりまして、税金関係を一応計上しておりませんので、その面からの電力原価への影響の差は余りないと……、従いまして、主として差が起りますのは、金利が違つておるということであります。先ほど、見返資金は七分五厘、それから社債借入につきましては一割一分で計算したと申上げましたが、大体ウエイナツド・ミーンをとりまして九分ぐらいに当つております。電力会社が……。それに対しまして特殊会社のものにつきましては、配当を含めまして約七分五厘程度に当つております。そしてその差によつて起るものと思います。それから先ほどの御質問の事で建設費が特殊会社のものは電力会社のものよりは高い、公営のものも高い、こういうお話でございましたが、確かにその地点自身としましては高いのでありまして、大規模の貯水池でありますので御承知通り補償費等も割高になりますし、その程度の差は起つて参ると考えられますが、電力の質の点を考えまずと、電力会社のものは比較的水路式或いは調節式で而も経費が比較的に少くて補償費等も割合に少いといつたようなものでありまして、従いまして電力の質から申せば渇水期の下り方がやはり特殊会社の候補地点となるべき地点の発電力といつたものに比べますと、相当の差があると考えられますので、それを考慮いたしますればむしろ特殊会社のほうが安いくらいであると考えておるわけでございます。
  71. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ちよつと関連して……只今公営特殊会社のほうが電気の質がいい、民間会社は流れ込み式その他で以て能率が悪い、こういうお話がありましたので、ちよつと伺うのでありますが、私が計算いたしますと、大体この提出になりました電源開発地点でありますが、これで計算しますと、大体電力会社のやりますものは三十八カ地点平均いたしまして、キロワツト・アワーあたりの年間発電量は五千キロワット・アワーになつておる、ところが公営事業のほうはキロワツト・アワーあたりの年間発電量は四千八百キロワツト・アワー、それから特殊会社のほうは平均いたしまして第一期工事が四千五百、それから第二期工事は三千三百であります。これを見ると今あなたのおつしやつたこととはまるで正反対であります。
  72. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) お答えいたします。キロワツト・アワーあたりの発電電力量は栗山委員からのお話の通りであります。これを月別の発電量にいたしまして考えてみますと、渇水期の出力を比較いたしまして、電力会社の平均的なものよりも上廻る分というものを火力の代用と、それから一方又豊水期に飛び出る分を特殊電力という工合に考えまして一応のウエイトを置きまして計算いたしますと、大体同程度の価値がある或いは特殊会社の候補地点、これは厳密に言いますと第一期計画のものに挙げておるものの地点のものはややよくなるのではないかと計算されます。  第二期工事の予定地点に挙げております地点は設備、出力あたりの発電電力量は更に下つて来ているというのは御説の通りでありますが、これも同様な傾向であると考えております。
  73. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは特殊会社、それから公営事業電力会社の分は先ほどの言葉と違つて大体同じくらいのものだと、こういう工合に言われたのですか。
  74. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) お答えいたします。大体同じか、或いはむしろ特殊会社のほうがよいと判断できると申上げたのでございますが、なおキロワツト・アワー以外にもピークの調整能力等を考えますと、更に有利であるという工合に我々は考えておるわけでございます。
  75. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大電源ダム式発電所が降雪降雨量の一滴も余さないでこれを電力化しようという計画の下に進めるわけでありますから能率はいいはずであります。いいはずでありますけれども、そして出された結果がやはり年間五千キロワツト・アワーを割つておるわけであります。これはやはりそれだけ設備が過剰に見積られておるわけであります。若しそれが理想とするものならば八千六百五十キロとればいい、本当にコンスタントに出ればそうすればいい、そう出ないところにやはり設計上のロスがあると認めざるを得ない、而もあなたは特殊会社のほうが能率がいいと言われましたけれども、いいならば少くとも電力会社がやる五千キロワツト・アワーよりは私は上廻つていなければおかしいと思う。若しこれがあなたがおつしやるならばこれはもつと論究しなければならん。それから更に第二期計画における三千三百なんというのはこれは恐ろしく悪い、それはあなたのお考えが私は少し違うのじやないかと思う。それから更に火力補給であるとか、或いは調整によつて不定時の電力が出るというようなお話がありましたけれども、今日非常に電力は逼迫しておるわけです。従つて不定時の電力も殆んど無駄に流していないで、そういうものを使いながら全部生産にマツチさせて行く、そうして足らざるところを随時火力によつて補給しているわけであります。従つて全発電電力量というものは最も有効に利用するという前提の下に設計されておるわけです。今あなたのおつしやつた発生電力の時期的な問題、或いは時間的な問題における議論というものは只今の私なり、境野委員から発言をしておりますところの内容の答弁とはちよつと私食い違つておる、こう考えております。その点私はそういう工合に確信をしておる。若し私の考え方が誤つておるなら一つお教えを願いたい。
  76. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 先ほどの私の御説明は言葉が私は足りなかつたかとも思いますが、ピークを調整能力と申上げたものの中には、栗山さん専門家で甚だ恐縮なんですか、デイリピークをとるための季節的な調整ばかりでなく、デイリピークを考えまして相当のピークをとるためには発電所の設備容量を相当大にする。そのために必ずしも季節的に片寄つた発電の仕方でなくても、年間の負荷率というものは相当下つて来るということも止むを得ないのでありまして、勿論どの程度どの地点でピークをとり、そのためにはどの程度まで、或る地点で年間負荷率を下げてまでも設備容量を増さなければならない、どこまでが経済的であるかといつた問題につきましては相当いろいろなフアクターを考えまして慎重に計画すべきものでありまして、我々の計画が修正さるべき点がありますれば、以後検討いたしまして、設備容量その他につきまして順次修正をして行くべきものと考えております。
  77. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はたまたま境野議員が質問されて、余りにもおかしい答弁をされるので、私は関連質問をしたのでありまして、ただ一つのエキサンプルにとつただけであります。問題は特殊会社が非常に優秀である、公営が優秀であるということを力説したいために、こういうようなことをおつしやつたんだろうと思いますけれども、事実は事実として数字に出たことは事実でありますから、そこは一つごまかさないで正確に御説明して頂きたい。それからこの際丁度機会ですから、もう一言尋ねておきます。特殊会社が行うような大規模のいわゆるダム式発電所の発電する電力というものは、これはベース・ロードにお使いになるのか、ピーク・ロードにお使いになるのですか。又これは火力代用になるわけでありますが、火力発電所の運転との相互関係はどういう工合にお考えになつておりますか、そういう点をやはり十分に吟味しなければ、特殊会社電気の率がいいとか悪いとか、そういうものは俄かに判定が付かないと思います。
  78. 福田一

    衆議院議員福田一君) 説明委員がいろいろ申上げおりました意味は私もさように考えておるのでありますが、栗山さんの仰せられるように、特殊会社のやつておるのが非常にいい、公営のやるのが安いのだというような建前で、こういうものを出しておるのではないのでありまして、現に御指摘になりましたように、逆に或る意味で言うと、出る電力の量というものは却つて少いというような結果が出ておる。併し私どもはこれをなぜやろうと言つておるかと言えば、実際は若しこれをやらなかつたならば、まだまだ火力を焚かなければいけない。それは栗山さんの御心配になつておるように、大変電気の料金を上げることになるから、地域差を増進するのであるから、だからやはりこの程度のものであるならば、今申しましたような目的を達成する意味において、十分に価値があると私たち考えて、こういう地点をやつたらどうか、その意味合で法案を出しておるわけであります。又これをコンスタントな流し方をするのか、或いはピーク時に出すのか、こういうような御質問でありますが、これはその時のいわゆる電力事情によりまして、変つて来るものでありまして、あらかじめ予定して、私はそれぞれの発電所によりまして、若干相違があるのでありまして、その点は十分そういうふうに考えて運用して行けるように思います。例えば猪苗代湖のごときは渇期水のために今までやつてつたのでありますけれども、非常に電気がなくなりますと、これを無理に使つた例も昨年もあるのであります。ダム式発電所を使つたらこれはもう絶対に火力代用としてだけ使う、こういうふうに考えるものでは私はないんじやないか、かように解釈しておるわけであります。
  79. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは電力のいわゆる何というか、発電されたものの運営の基本に触れる点で、そういうことでは僕はいかんと思います。それは去年の猪苗代のあの水を九月に相当使つたとかいうのは、これは何十年来の渇水に対する非常措置なんです。そういうことをあなたがおつしやるならば、昨年の関西の尼ケ崎発電所、いわゆる常時発電を設備されていない発電所は相当無理に使つたらしいのです。これは計画性を外れて酷使したわけなんです。これもやはり非常に数十年来の異常渇水が来たからそういうことをやつているのであつて、発電所の運転というものは、そういう気まぐれなことによつてつたのでは、これは能率が挙るものではない。やはり一番最初に設計するときからこれはどういう目的のために使うということがはつきりきまつて、そうしてそれによつてやはり給電計画なり発電計画なりが立てられて行かなければならん。それは私は福田さんのおつしやることはちよつと了承しかねます。
  80. 福田一

    衆議院議員福田一君) 私の申上げたのは、個々の発電所によつて、それがウエイトが違つて来るんじやないか、押しなべてこれはこの発電所はどういうふうに使うんだ、全部としてこういうふうな使い方をするという意味ではない、個々の発電所についてそれぞれ私は今あなたの仰せられたウエイトが違つて来るんではないか、こういうことを申したつもりであります。
  81. 境野清雄

    ○境野清雄君 時間も大変遅くなりましたので、私のほうとしましては、今度法案自体の面で一、二点お伺いしたいと思います。大体ここにあります第十八條の規定なんでありますが、十八條によりますと、大体新商法の二百六十一條によりまして、新商法は代表取締役制になつておる。ところがこの第十八條の第三項の規定によりますと、総裁、副総裁、理事の全員を代表取締役とせねばならないというようなことになるというように解釈できるのでありますけれど、これは何か間違いじやないかと思いますけれど、この点如何ですか。
  82. 福田一

    衆議院議員福田一君) 代表取締役は総裁だけでありまして、あとは事務の代理と考えておるわけでございます。
  83. 境野清雄

    ○境野清雄君 もう一つお伺いいたしたいのは二十四條の問題であります。大体提案者が従来説明せられておりましたところでは、特殊会社でも仕事は自由にやらせるということでありますけれど、会計検査院の検査を受ける会社というものは、どうしても私どもは常識的に考えても早く安くでき上るということは、これは常識的に考えられない。結局安く早くということは本法案ではなかなか期待し難いのじやないかというふうに思うのでありまして、そういうような上からでき上りました発電所を既設電力会社に譲渡するときに、若し原価で売却することができ得ないという場合に損失が出るんじやないか、そういうような場合にこの二十四條を適用しまして、社債権者に損失が及ぶ腐れがありますときは、二十四條の一般担保制に対しまして、担保制の執行が前例がなくてこれは不明である、こういうような場合にどういうようなふうに取扱うのか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  84. 福田一

    衆議院議員福田一君) 只今のお話は、建設中にやり方が悪かつたために損をするような場合が起きる、いわゆる取得原価と利用価値との間において非常に差ができた場合において担保権者に対する損失の補償はどうするのか、こういうお話と了解いたすのでありますが、工事の過程におきまして不測の問題、即ち止むを得ざる事情というか、善良なる管理者の注意を以てやつてもうまく行かなかつたというような不測の事態ができて来たとしますれば、これは会社の場合においても特殊会社の場合においてもこれは起き得ることでございますが、これはやはり国の損失ということになり得るわけだと私は思うのであります。そうして、その場合において、いわゆる債権者に対してそういうような、それによつて損失を及ぼすというようなことのないようにこれは措置さるものだと、かように考えるのでありまして、或いは私の申上げておることがあなたの御質問の趣旨をよく呑み込んでおらないかも知れませんが、若しそうでありましたらもう一遍御質問願いたいのであります。
  85. 境野清雄

    ○境野清雄君 私の質問は大体今日はこの辺で打切りまして、あと月曜日にやらしてもらいたいと思うのでありますが、なお先ほど委員長理事の打合会で同僚栗栖議員から委員外発言を求められておると思いますが、それに対して栗栖氏から私に話のありましたのと合せて、私の質問するものにつきまして、月曜日の委員会におきましては建設大臣と安本長官並びに大蔵省の理財局長をお呼び願いたい、そうお願いいたしまして今日の私の質問は打切ります。
  86. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 承知いたしました。今日ほかに質問を予定されておるかたはありませんか。別にないようでありましたら打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは今日の委員会はこれで散会いたします。    午後四時三十八分散会、