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衆議院議員(福田一君) 只今より
電源開発促進法案の逐條の御説明を申上げたいと存じます。
本法案は第一章総則、第二章
電源開発調整審議会、第三章
電源開発株式会社の三章に分れておりまして、全文三十八條でございます。附則は二十一ございますが、これから逐次これを御説明いたしたいと思います。
本法案の目的といたしますことは、
提案理由において申上げました通り、三十一年には正需用端におきまして四百八十億キロワツト・アワーの電力を要することといたしました。これによりまして、日本の
鉱工業生産を大体二倍にし、なお
国民生活水準も約一〇%乃至一五%上げたい、こういうことを目途といたしまして急速に電源を開発する必要がある、その開発を促進するためにこの法案を出す。こういう意味でございます。
先ず第一章は、この意味での目的その他を書いてあるでございますが、第一條におきましては「この法律は、すみやかに電源の開発及び
送電変電施設の整備を行うことにより、電気の供給を増加し、もつて
わが国産業の振興及び発展に寄與することを目的とする。」かように書いておるのでございまして、この條文を御覧頂ければこの意味はおのずから明らかになるかと存じておるのであります。
なお、私御説明を申上げて参りますが、或いは皆様方の御要望に副い得ない面が出て来ては困る。成るべく忠実にやるつもりでおりますが、若しわかりませんことがございますれば、どうぞあとで十分御質問をお願いいたしたいと思うのでございます。この條文は、先ほども申上げましたように本法の目的を掲げたものでありまして、その直接の目的であります電力の供給の増加についてこれを規定し、これにより達成せしむる種々の究極の目的でありまする
日本産業の振興及び発展の問題を書いておるわけであります。なおこれが目的達成の方法といたしましては、速やかに
電源開発と、そうして送電その他
変電施設というようなものを整備しなければならないということを明らかにいたしたわけであります。本法が対象といたしておりますところは、
電源開発及び送電、
変電施設の整備に当りましては、
電力会社、
自家発電企業、公営企業及び
電源開発株式会社等の行う
発電施設でありまして水力、火力を利用するもの及びこの送電、
変電施設の新設、増設又は改良、こういうようなものを含めておるわけでございます。
第二條は、「この法律において「
電源開発」とは、発電のため必要なダム、水路、貯水池、建物、機械、器具その他の工作物の設置若しくは改良又はこれらのため必要な工作物の設置若しくは改良をいう」、こう規定しておるのであります。大体読んで頂きますればおわかりを願えるかと思うのでありますが、この法文に使いますところの
電源開発という用語の内容を定義しておるものでございます。
それから第三條は、
電源開発に関する
総合調整、いわゆるこれは水利権とか或いは灌漑、治山、治水の関係とか、いろいろ
電源開発には関連性の多いものがございますので、それが障害になりまして
電源開発ができないという場合が、まま従来例がございます。これを何とかして早く解決してやることが必要でありますが、そのためには
総合調整を考えなければいけないという意味で、この面を規定いたしたわけでございます。で、この第三條は「
経済安定本部総裁は、
電源開発の円滑な実施を図るため特に必要があると認めるときは、国土の総合的な開発、利用及び保全、電力の需給その他の事項を考慮して
関係行政機関の施策及び計画の
総合調整を行うものとする。」、こういたしたわけであります。
第四條でございますが、「国の
行政機関の長は、河川法その他の法令の規定による他の
行政機関の処分が、
電源開発の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該事項を所管する国の
行政機関の長に対し協議することができる。」、かように本文において規定しまして二項において「国の
行政機関の長は、前項の規定による協議をした場合において必要があるときは、
経済安定本部総裁に対し、その旨を申し立て
総合調整を行うべきことを求めることができる。」、なお第三項で、「
経済安定本部総裁は、前項の規定により
総合調整を行うべきことを求められたときは、
電源開発調整審議会の審議に付さなければならない。」、かように規定いたしておるのであります。で、
行政機関と申しますのは、この中に
行政機関という言葉が出ておりますが、この
行政機関というのは、府、省、庁、委員会及び
地方行政機関たる
地方支分部局並びに国の機関としての
地方公共団体を言つておるわけでございます。なお
関係行政機関というのは、
電源開発に関連を有しておる事項について権限を有しておる
行政機関を申しておるわけでございます。で、第四條におきまして「国の
行政機関」と言つておりますのは、
国家行政組織法第二條によつて設置された府、省、委員会及び庁を言うのでありまして、国の事務を行う物合における
府県知事はこの意味には含んでおりません。なお、その他こういう面に関しまして細かいことがございますれば、あとで御質問を承わりたいと思います。要するにこの機構は、この條文は
安定本部長官に
総合調整の機能を認めるということを前提として第二項を設けておるわけでございます。
次に資金の確保について第五條において規定をいたしております。「政府は、
電源開発及び
送電変電施設の整備(以下「
電源開発」という。)に必要な資金の確保に努めなければならない。」、かように規定いたしたのでありまして、従来といえども政府はこの資金面の確保につきましては努力をいたしておりますし、
公共事業体或いは自家発或いは九
電力会社に対しましていろいろと資金の確保について援助を、協力をいたしておるわけでありますけれども、この條文を一項加えまして、政府としてはそういう今後電源の開発を行う場合においては、必要な資金の確保に努めなければならないという一種の制限規定をここに置きまして、はつきりと政府にその面の義務付けをいたしたわけでございます。
なお、
公共事業の施行及び費用の負担の面につきまして、第六條で「国又は
地方公共団体は、公共の利益のため河川、湖、沼又は道路に関して国又は
地方公共団体が施行する工事(以下「
公共事業という。」が
電源開発等と密接な関連を有する場合においては、
電源開発を行う者に対し、
当該公共事業の施行を委託することができる。」、で、二項で「前項の規定により委託する場合における
公共事業の施行のため、必要な費用の負担の方法及び割合は、政令で定める。」、こういうことを規定いたしたのであります。これは御存じのように、今まででも岩手県その他でしばしば例があるのでございますが、ダムを造りまして、そうしてそれを直結しました発電所を作つた場合でも、或いはダムから流水いたしまして、そうして発電所を作つた場合におきましても、この水を利用するという面でダムを造らなければ発電所ができない。その場合に発電所の経費としてどれだけを計上し、又ダムを造るのは
治山治水等の関係があつてやるのだから、その面でどれだけを負担するかというようなことから、この割合がはつきりきまつておりませんために、それと係争事件が起きまして、お互いに主張をし合つたために
ダム工事自体も遅れたり、又
発電所工事自体も遅れる、こういうような場合がしばしばございますので、本文においてそういうことは今後ないように先ずすることが一つ、もう一つはもつと根本的なものでありますが、本法にあります。ように、とにかく
電源開発を行うものに
公共事業の一部を施行することを委託することができる。その場合においてどの程度の経費を発電の部門とし、どの程度をダムの部門とするか、いわゆる
治山治水関係の
公共事業の分とするかというようなことについては、これは政令を以て定めることといたしまして、疑義の生じないように、ちやんとそれがうまく割り振りができるようにしたい、こういう意味でこの條文を覆いたわけでございます。
なお、第二章は先ほど申上げましたが、
電源開発調整審議会に関するものでございます。
で、第七條におきましては、「
経済安定本部に、
電源開発調整審議会を置く。」ということをきめております。第八條では、「審議会は、左に掲げる事項をつかさどる。」審議会がどういうことをするかということをきめておるのでありまして、「但し、第二号から第四号までの事項については、第四條第三項の規定により、その審議に付せられた場合に限る。」、即ち国の
行政機関がそういうことをしてもらいたいということを要求した場合であります。で、一は
電源開発基本計画に関し
調査審議する、二は
電源開発を行う者の決定に関し
調査審議する、三は
電源開発の規模、方式等に関し
調査審議する、四は
電源開発のための水及び土地に関する権利の調整に関し
調査審議する、五は第六條第二項の規定による費用の負担の方法及び割合の基準を作成する。六は前各号に掲げるものの外、
電源開発の促進及び
総合調整に関し必要な事項を
調査審議する。かように相成つておるのでありますが、このうちで審議会かどうしても審議しなければならないいわゆる審議会の根本の使命というのは、一項の
電源開発基本計画に関し
調査審議する、五の「第六條第二項の規定による費用の負担の方法及び割合の基準を作成すること」これが審議会が当然審議をする面でございまして、二、三、四は他の
行政機関からの申出があつた場合においてこれを行うことを規定しておるものであります。なお一項の
電源開発基本計画と申しますのは、どういう規模の、将来に亘つてどの程度の電気を必要とするか、又その電気を起す場合には九
電力会社でどのくらい、或いは公営でどのくらい、自家発でどれくらい、
特殊会社でどれくらい、又その資金の面は、それぞれの資金面においてどういうふうな充足方法を講ずるというような基本的な問題を決定するという意味でございます。この
基本計画というものはそういう意味でございます。なおそういうように決定いたします場合には、勿論裏付といたしましては一応どこそこの地点はどうするというような
参考資料というものが出て参るわけでありまするけれども、これは
特殊会社がやるとか、或いはこれのほうは自家発にやらせるというような、而も自家発でもどこそこにやらせるというような面が出て来るわけでございますけれども、そういう場合においてもまあ疑義があつたり、それでは困るというような事情が生ずれば、勿論、この
関係地方長官を通じてこの審議会に
調査審議を要求することができる、こういうふうになつておるわけでございます。
次に組織でございます。この審議会かどんな組織であるか。
審議会は、会長及び委員十人をもつて組織する。
2、会長は、
経済安定本郷総裁をもつて充てる。
3、委員は、左に掲げる者をもつて充てる。一、大蔵大臣、二、農林大臣、三、
通商産業大臣、四
建設大臣、五、
経済安定本部総務長官、六、
公益事業委員会委員長、七、
地方自治庁長官、八、
電源開発に関し
学識経験を有する者のうちから、
経済安定本部総裁が任命する者三人。
4、会長及び委員は、非常勤とする。
かようにいたしておるのであります。この場合において、非常に関係各大臣が多い、大臣が多くなつておりますが、何と申しましても
電源開発は、この
国土総合開発、或いは国の経済の復興というような面に亘りまして、
大変関係事項が各省に多いわけでございまして、
従つて関係事項が多いだけに各省が協力しないとなかなか電源の開発ができない、こういう場合が多いのでございます。そこで先ず関係のある各大臣を委員とすることにいたしたわけでございます。なお
学識経験者を三人といたしましたのは、特別の事情はないのでございまして、余り多くてもどうかと思つて実は三人ということにいたしたのでありますが、これは申上げていいのかどうかわかりませんけれども、衆議院の審査の過程におきましては、これは余り人が少な過ぎるのではないか、もう少し殖やしてはどうかという御意見も大分あつたようでございまして、提案者といたしましてはこれについては十分考慮することも結構だ、かように思つておるような次第でございます。
次が
関係都道府県知事の意見の聽取、御存じのように
電源開発というものは各地方に非常な影響がございますし、又現在の河川法の規定によりますと
都道府県知事に或る程度の河川に対する使用の認可権があります。又
電源開発の実際工事を担当する場合におきまして地方民との間に感情の疎隔がございましては、この法自体が円満に運行することができません。そこで
関係府県知事の意見というものは相当強く見て、これを参考意見として取入れなければならない、かように考えますので、そこで「審議会は、その所掌事務を処理するため必要があるときは
関係都道府県知事の出席を求め、その意見をきかなければならない。」こう規定いたしたわけでございます。なお、これを
臨時委員にしてはどうかというような御質問もあるかと思いますが、私たちはこの程度を以て一番適当な方法と考えてこの規定を設けたわけでございます。
第十一條においては、この審議会を運営いたして行きます場合におきまして、勿論幹事会のようなもの、或いは或る程度の
下部組織のもの、事務員のようなもの、その他必要でありましようし、その他関連の問題もございますので、こういうようなことは今までにもすでに例も多くあることでございますから、第十一條におきまして「この法律に定めるものの外、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」、こういう政令への委任を規定いたしたわけでございます。
次が三章の
電源開発株式会社でございます。
先ずこの第十二條におきましては、この
電源開発株式会社の目的を定めたのでございます。條文を読みますと、「
電源開発株式会社(以下「会社」という。)は、政府の定める
電源開発基本計画に基き、
電源開発のうち、その規模が大であり、又は国土の総合的な開発、利用及び保全に関し特に考慮することを要するものであるため、政府において会社が行うべきものと定めたものをすみやかに行い、電気の供給を増加することを目的とする
株式会社とする。」、かように会社の目的をはつきりきめておるわけでございます。従いましてこの條文をお読み下さいましてもわかりますように、自発というものは、これは
独占会社でございまして五千キロワツト以上の発電所というものは殆んど全部持つておるというような、非常な広汎な権限を持つた
独占会社であります。ところがこの会社がやりますところのものは、ここに規定してありますように国土の総合的な開発、利用及び保全に関し特に考慮をすることを必要とするものであるため、政府において会社が行うべきものと定めたものだけを行う、こう規定いたしておるわけでございまして大体第一次、第二次計画を総合して考えて見ましても、日本の第二次計画の済んだ燒において、日本の発電所の約一三%を建設するに過ぎないものでございます。日発が七〇%の発電所を所有しておつたのとは、大分これはその量においても非常な違いがあるわけでございまして、又その性格においても今
言つたように発電所の建設を行なつて、電気の供給を増加することを目的とする。電気を殖やすことを目的とする、こうはつきり規定いたしておるわけでございます。この條文にあります
電源開発会社の目的は、なお後刻御質問を承わりましていろいろ御説明申上げたほうがよいかと考えますので、この程度にいたそうかと存ずるのでありますが、なぜこの会社を
特殊会社としたか、こういうことは、これは国土のこの條文にもありますように、総合的な
開発利用及び保全ということをして行く面から考えて見ますというと、今の九つの
電力会社にこれをやらせるということにいたしましても、なかなかいろいろの関連性の問題でありまして、電気の関係というか、
電源開発に関連性のある法律といいますと、河川法とか
文化財保護法、
国立公園法、森林法、
土地改良法、
農地調整法、その他のいろいろな法律があります。又数府県に亘つたようなものでございますというと、一地域を独占しておるところの
電力会社が実際に工事をいたそりといたしましても、なかなか
関係府県の間でそれがまとまらないというような場合がある。そういうような非常にむずかしいというか、一
電力会社として解決するには非常にむずかしい面があり、又、一
電力会社をしてやらせることはこういう法律の調整その他の面、今言いました実際上の工事の面等から見ても余り無理がかかりはしないか。そういうものはやはりこの
特殊会社を
作つて建設をしたほうがいいのじやないか、こういう意味で
特殊会社といたしたようなわけでございます。それから更に河川別に作つてはどうか、そういう
特殊会社を作るのはよろしいけれども、これを河川別に作つてはどうか。こういう御意見もあつたのでございます。併し河川別に作るといいましても、今、この
電源開発に充当いたしまするところの国家の資金というものは、それほど多額にあるわけではございません。河川別に作りまして、こちらへも資金をもらいたい、あちらへも資金をもらいたいと言つて四カ地点か五カ地点が皆で競争し合つて見ましても、元金というものが知れておつるわけでございますから、方々へ分けますと
電源開発を遅らせる、電気を豊富にするということにはならない。そこで一応一つの会社として発足させて置きますならば、将来そういうものはどうしてもやらせる必要があると、資金も殖えて来ておるからやれるのだということであれば、別でございますけれども、差当りといたしましては、私は一社で出たほうがいいと思うのでありまして、又一社にして置きますれば開発のコストと総掛り費というような面も非常に安く済むのではないか、又機械とか或いは資材の転用とかいうようなもの、実際の工事をやります場合のそういう問題も割合に融通がつきまして、経営費が安く済むのではないか、かように考えておるわけでございます。なお、もう一つの面におきましては御存じのようにこれは政府のほうでもいろいろ申述べておるので、
皆様がたもすでに御承知と存ずるのでございますが、私たちは
電源開発をやりまする場合におきましては、これはもうどうしても国民の生活を安定し、日本の
産業経済を復興するという意味で、是非やらなければならないと考えておりますので、
政府資金を以てこれをやるということを建前といたしておるのです。又、この計画は
政府資金を中核といたしまして、この
特殊会社がやりますところの
電源開発は十分できるとは考えておりますけれども、併し若しできるならば、外資が導入されれば
日本経済に與える好影響はもう
皆様がたも十分おわかり願えると思います。その意味で
外資導入という面も考慮いたして見ますというと、それは今の
電力会社に外資が入るということを決して私たちは反対するものでも何でもありません。それも必要だと思いますけれども、現在の
電力会社に対しましてすぐに外資が入るということは、これもなかなかむずかしいような状況に考えられまして、そういう意味ではこの新らしい
開発会社を作りましてから、そうしてこれに
外資導入をするほうが、外資の導入が容易ではないかという見通しの下に、やはり
特殊法人を作りたい。こういう意味でその会社を作つて、電源を開発させることに、この法案をきめておるわけでございます。
なお、詳しいことは一つ後刻御質問頂くことにしまして次は事務所でございます。これは読みますればおわかり願えると思うのでありますが、「会社は、本店を東京都に置く。2、会社は必要な地に支店又は出張所を置くことができる。」、かように規定してございます。
株式の面では、これはどういう
株式組織にするかということでございます。それで條文を読みますと、「第十四條 会社の発行する株式の総数は、一億株とする。2、会社の株式は、額面株式とし、一株の金額を千円とする。3、政府は、常時、会社の
発行済株式の総数の二分の一以上に当る株式を保有していなければならない。4、会社は、その設立に際し、五百万株を発行するものとする。5、会社は、新株を発行しようとするときは、主務官庁の認可を受けなければならない。」、かように規定いたしておるのであります。この條文のうちで一番主要点となりますのは、大体この株式が千円でございますが、大体この会社の資本を一千億円と、こう予定いたしておるのでございます。併し一遍に一千億円
拂込むというやり方でなくて、順次拂込みいたして、いわゆる授権制度によりまして順次株式を拂込むことによつてこの会社は成立できるという建前においてこの條文を作つておりますが、併しいずれにいたしましても株式の二分の一以上は常に政府がこれを持つていなければならないということをはつきり規定いたしておるわけであります。これは先ほど来申上げましたように、政府の資金を中核といたしまして、いわゆる
財政資金を使つてやるものでございますからして、これに対しては相当の監督も必要であります。政府としてもそれだけの責任を持つて運営して行かなければならないのでありますから、株式の面においても二分の一以上当然持つていなければならないのと同時に、この
会社自体に対する投資と言いますか、出資と言いますか、これは我々といたしましては、主として
政府資金というものを予定いたしておりますので、こういう面からも規定を置くことが正しいと考えておるわけでございます。
なお、次は利息配当の問題でございます。第十五條におきまして「会社は、開業前に利息の配当をすべきことを定めた場合においても、政府の保有する株式については、利息の配当をすることができない。」と、こういうことをきめたわけでございます。これは建設利息の配当を認めておるのでございまして、民間からも資金が入ります場合を考慮いたしまして建設利息の配当は認めておるのでありますが、政府が出資をいたしまして、そうしてまだ発電所ができない、利益も何も挙らない場合に配当をとる、又これを足りない分を補つて行くというようなことは、これはどうも二重の手間になりますので、そこで政府の保有する株式については開業前には利息の配当をしないと、こういうことをはつきり條文で語つたわけでございます。
次は商号の使用制限でございます。第十六條は「会社以外の者は、その商号中に
電源開発株式会社という文字を使用してはならない。」ということを規定いたしました。これは類似のものができていろいろ不便を生じていけないので、一応法文の体裁として今までの他の法律に皆ありますものを書いたわけでございます。
その次は役員でございます。役員の面におきましては、又従業員の面もさようでございまするが、成るべくこの会社は少い人数でやらせなければいけない。それは国の金を使つてとにかく電源を開発しようということでございまするからしてどうしても経費を節約しなければならない、こういうところへ重点を一つ置いて行かなければならないわけで、これは成るべく少くするという建前で第十七條に役員といたしまして、「会社に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事五人以内及び監事二人を置く。」、第十八條におきまして「総裁は、会社を代表する。」と、代表者のことを規定してあるのであります。「2、副総裁は、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。3、理事は、総裁及び副総裁に事故があるときは総裁の職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときは総裁の職務を行う。4、監事は、会社の会計を監査する。」かように規定いたしておるわけであります。なお総裁、副総裁、理事及び監事は、この会社が政府の
財政資金を以て行なつて行く建前から見ましても、これは一応政府としてはそれだけの義務があり、責務があるのでありますから、そういう意味合いから申しましても、これは内閣が任命することにしたほうがいいという意味で、任命のことを第十九條で規定いたしておるわけであります。
第二十條には任期が書いてあるのでありますが、御承知の通り新らしい商法によりますというと、役員の権限というものが非常に増大をいたしておるのでありまして、役員会というものが非常に大きな権限を持つております。そういうような権限がございますので、従つてこの役員が長い間留まることができるようなことにいたしますというと、いろいろ弊害が起きることもございますので、新商法でも役員の任期は成るべく短かくするというふうに向いておるわけであります。こういう意味合いから「総裁、副総裁及び理事の任期は、二年、監事の任期は、一年とする。2、総裁、副総裁、理事及び監事は、再任されることができる。」まあいい人だつたら何度でもやればいい、こういうふうに規定いたしたわけであります。
第二十一條は「総裁、副総裁及び理事は、他の職務又は商業に従事することができない。」こういうような重要な事項に携わる人は、專心その仕事に当つてもらわなければならないから、従つて総裁、副総裁、理事は、これはほかのことはやらないでこのことに專念するようにしてもらう、こういう規定を作つたわけであります。併しそう言つても特殊の事情がありまして何か委員会一つぐらいに一月に一度か二度出るという、その人が特殊の技能を持つておつて、この人でなければできないというような場合が起つたときの不便もございますので、その例外としては「主務官庁の承認を受けたときはこの限りでない。」、かように規定いたしておるのであります。
次に事業の範囲でございます。この会社は以上のような目的を以て、以上のような役員を以て、以上のような
株式組織を以て成立するのでありますが、そこで一体どういう仕事を行うか、その事業の範囲を目的に従つて明らかにしたのが第二十二條でございます。「会社は、その目的を達成するため、左の事業を営むものとする。一、水力を利用する発電のための
電源開発及びこれに附帶する
送電変電施設の整備、二、
発電施設及び
送電変電施設の貸付又は讓渡、三「電気事業者に対する電気の供給、四、前各号に掲げるものの外、その目的を達成するために必要な事業」、かように規定いたしたわけでございます。それで2ですが、「会社が前項第二号の規定により
発電施設及び
送電変電施設を貸し付け、若しくは讓渡し又は同項第四号に掲げる事業を営もうとするときは、主務官庁の認可を受けなければならない。」、かように規定したわけでございます。で、この目的といたしましては第一項にもありますように、又この会社の目的において述べましたように、建設を目的とする、ここに重点を入れております。併しそういうふうに建設をいたしました場合において
電力会社にこれを讓渡し又は貸付ける。そういうことを本旨といたしておるのでありますからして、それは相手方のあることでありますからして或いは讓渡を望む者がなかつたり、或いは又貸付を望む者がなかつたような場合、又発電所を作つております場合に一部だけが完成いたしまして、全部が完成していない場合においては、一部発電する場合もあることは御承知の通りでございます。そういうような場合に電気を起してこれを国民に供給することができないということは非常に困りますので、そういうことができるように規定してあるわけでございます。なお第四号で「前各号に掲げるものの外、その目的を達成するために必要な事業」、この規定いたしましたもののうちには、これは皆様方もよく御存じの通り、ダムを作りますというと住民が立退きをしなければならないというようなことがしばしば起るのでございます。これは住民の権利を侵害するという意味合いにおきまして重大な問題でもあります。こういう場合を考慮いたしまして、できたダムで養魚場を作つて、そういう人たちの生計を助けるような仕事を考えてやる、或いはその他これに類似の、そういう人たちを救う意味での仕事もこの條文によつてできるようにしてあるつもりでございます。なお、この讓渡、貸付でございますが、讓渡、貸付という場合におきまして国の経費を使つて、そうして建設したものを法外に安く
電力会社に売渡したり、或いは貸付けたりするということであつてはなりませんので、そこでこれを讓り渡そうとするときには、主務官庁の認可を受けなければならない、かように規定しておるのであります。従つてその主務官庁というのは、先ほど私が説明を落したのでありますが、通産省と私たちは考えておるわけでありますが、通産大臣といたしましてはその監督の十分な責任を持つておるわけでございます。又貸付、讓渡をいたします場合の條件というものに至りましては、又御質問があればお答えしようと思つておつたのでございますが、これは建設の原価というものは誰が見ましてもはつきり出て来るものでございまして、この建設原価に利用価値というものを考慮いたしまして、そうしてこの讓渡をしたり、或いは貸付をしたりすべきものと我々考えておるのでございます。この点は今まで、日本発送電ができました場合におきましても、或いはその他の場合において発電所が讓り渡されたり、或いは又貸付の行われた場合においては常にこの二点を考えまして、そうして妥当なる価額というものを割出しておるのであります。この慣例が当然適用されますので、私はこれによつて不当に、国の金で以て作つた発電所が或いは変電所が安く
電力会社の意思で国民の利益を侵害するというようなことはあり得ないと考えておる次第でございます。
次に社債発行限度の特例でございます。社債というものは、御承知のように新商法によりますというと、資本及び準備金の額それから最終の貸借対照表により会社に現存している総資産額のいずれか少いものだけしか借りられない、こういうことに相成つておるのでありますが、この場合において電源を開発して行きます場合におきましては、或る程度余計、その資本の拂込資本よりも余計のまあ政府出資がございますので、余計借りられるような方途を講じて置きませんというと、いわゆる予算に縛られて工事がうまく行かないというような面が出て来ることを非常に憂えまして、この意味で相当程度何と言いますか、社債を余計殖やすようにしなければならん、もう一つは外資が導入されるというような場合も考慮いたしまして、外資が、外国からこの会社へ金を貸すという場合に社債の形で入るといたしまして、そのときにはその資本金の額で抑えられてしまうということでは外資が非常に入りにくくなりますので、こういう面も考慮いたしまして、この本法にありますように「会社は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七條の規定による制限をこえて社債を募集することができる。但し、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額のいずれか少い額の十倍をこえてはならない。」まあこれは大幅にこの点で社債が募集できるような規定を設けたわけでございます。
次に担保の問題でございますが、担保は一般担保といたしておるのでありまして、第二十四條に「会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」、これはほかの法律にもままあるところでありまして、今更御説明しないでもおわかり願えると思うのでありますが、2において、「前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。」、かように規定いたしておるわけであります。
次に外貨債務の補償の問題でございます。で、外国から外資が入つて来る場合におきましては、ただ担保があるだけでは外資が入らないであろう、こういう考慮からいたしまして、外貨債務についての補償を第二十五條において規定いたしてございます。「政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三條の規定にかかわらず、国会の議決を得た金額の範囲内において、会社の外貨で支拂わなければならない債務について、保証契約をすることができる。」、かように規定をいたしておるわけでございます。まあ外資の導入を容易ならしめる意味においてこの項を置いたわけでございます。
次に土地の立入等でございます。まあ土地收用法とか鉱業法とかにもこの土地の立入規定はあるのでありますが、電源を開発いたします場合には、どうしても調査その地の関係からいたしまして、他人の土地へ入らなければそれができない、併しそれだからといつて、無暗にその私有財産権を侵害されては迷惑至極でございますので、それが一応の秩序において又一応適当なる補償の下において行われることを規定しておかなければいけない、こういう意味合いで第二十六條を置いたわけでございます。
二十六條は、「会社は、
発電施設又は
送電変電施設の設置又は改良に関する測量、実地調査又は工事のため必要があるときは、
都道府県知事の許可を受けて、その職員に、他人の土地に立ち入り、又は支障となる竹木を伐採させることができる。」、これがないと、まあ発電工事などというものは、こういうことができなければできないと言つて、それを無闇にさせることはいけないので次に「2、
都道府県知事は、前項の許可の申請があつたときは、土地の所有者及び占有者又は竹木の所有者にその旨を通知して、意見書を提出する機会を與えなければならない。」、ちやんとその意思表示をさせる。では、「会社は、第一項の規定によりその職員に他人の土地に立ち入り、又は竹木を伐採させるときは、あらかじめ土地の占有者又は竹木の所有者に通知しなければならない。」、会社側からもそれをする。4は、「第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は竹木を伐採する会社の職員は、
都道府県知事の許可を受けたことを証明する書面を携帶し、」、俺は許可を受けて来ておるのだと言うだけではいけないという意味であります。「土地の占有者又は竹木の所有者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。」、無闇に入れないというわけであります。なお、5は、「会社は、第一項の規定によりその職員に他人の土地に立ち入り、又は竹木を伐採させたときは、これによつて生じた損失を補償しなければならない。」、相当程度補償する。これは一応合意でございますけれども、併し合意の上成り立たないという場合
においては、或いは民事の訴訟を以てこれを行うということになるでありましようが、特にこの規定を入れまして、はつきりと補償義務を会社に持たせるということを一層明確にしたわけでございます。
次は監督の問題でございます。監督はこれは大体余り監督を嚴重にいたしましても……、というのは、これは国の公社のようなものにいたしまして、予算に縛られるようなことをしますというと、工事がうまく行かない、或いは非常にその予算額に縛られる。余り嚴重にしてもいかんが、それかといつて、こういう大事なものをルーズにすることは勿論できませんので、その間を勘案いたしまして、大体二十七條から三十條まで監督の規定を設けたわけでございます。「第二十七條 会社は、主務官庁が、この法律の定めるところに従い監督する。」、主務官庁はこの法律の定めたところによつて会社を監督するのであつて、何でもかんでも監督するのではない。「2、主務官庁は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」、この法律施行上特に必要があるという場合には、そういうような権限を與えておく必要があるというわけでございます。「第二十八條会社は、弁済期限が一年をこえる資金を借り入れようとするときは、主務官庁の認可を受けなければならない。」、一時、一月か二月ちよつと金を借りて返すというような場合においては、総裁、副総裁並びに役員等が必要だと思えばそれができるわけでありますが、いやしくも一年以上の金を借りるというような場合においては、これは当然主務官庁の、長期の債務を負う場合には主務官庁の許可を受けなければならない、こう規定いたしたわけであります。
なお、この会社は、会計検査院法にちやんと規定がございまして、半分以上政府出資の場合には会計検査院はこれを検査しなければならないことになつております。この会社はすでに半分、二分の一以上を政府が出資するのでありますから、当然会計検査院の検査を受けるわけでございますが、この点は法文には明らかにいたしておりませんけれども、会計検査院法で当然さよう相成るわけでございます。
第二十九條は、「会社の定款の変更、利益金の処分、社債の募集、合併及び解散の決議は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」、役員会できめただけでは効力が出ないで、主務官庁の認可を経なければその効力が出ないことをここにきめたわけでございます。で、定款の変更であるとか、利益金の処分とか、社債の募集であるとか、合併とか、解散とか、それはもう会社にとつてはその会社の存立に関係する重大な問題でございますので、こういうことは当然この主務官庁の認可を受けなければその効力が出ない、こういうことを規定いたしたわけであります。「第三十條 会社は、毎営業第度の事業計画を定め、主務官庁の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」、で、この面では会社を公社にいたしますというと、予算においてちやんともう縛られてしまいます。予算の審議で以てこれがどれだけの仕事をするか、どういう内容の仕事をするかということをきめることができるのでありますが、そういうふうにいたしますというと、いわゆる彈力性のある仕事ができない、
電源開発工事のごときは、これはなかなか時と場合によりましては相当弾力性を持つた仕事をしなければ所期の目的を達することができないのでありますから、そこでまあ
特殊法人といたしたわけであります。いたした一つの理由になつておるのでありますが、併しそれだからと言つて、会社が何でもかんでもできるというようなことになつてもいけませんので、一応事業の計画を定め、その事業計画は主務官庁である通産大臣の認可を受けなければできないことになつておるのでありますそれかと言つて、一遍きめたものを公社のように議会で補正予算を組まなければならないというようなことに対しましては、先ほど
言つたように特性が失われることになりますから、これを変更しようとするときは、主務官庁の認可を受ければできる、かようにいたしたわけでございます。
次は役員の解任でございます。役員は先ほど申上げましたように、内閣が任命するのでございますからして、解任の場合におきましてもこれは内閣が解任するのは当然でございますが、ここにおいては「法令若しくは法令に基く処分又は定款に違反すると認めるときは、これを解任することができる。」、一遍任命したらここに列記してあるようなことがあつてもそのままにしておかにやならんということは不合理でございますから、この種の法文には皆あるものをここに並べたわけでございます。
次は報告及び検査でございます。先ほど申上げましたように、この監督をいたすのでございますが、報告及び検査をすることができるように、この規定を入れておるわけでございます。「第三十二條主務官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務の状況に関する報告を徴し、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。」、これは監督をいたします立場から言いまして、当然この程度の権限は持たなければならないかと存ずるのでございます。「2、前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帶し、関係人に呈示しなければならない。」、これは誰でも入つて来れるということでは僞の者が……僞者を防止するという意味であります。「3、第一項の規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」まあ余り誤解が起きてこれは大変だというような、そういうような意味のことを規定しておるのではないのでありまして、会社を監督する意味でやるのだから、その程度の権限を與えておるのだということを明らかにいたしまして、検査官の越権行為を防止しておるわけでございます。
次は罰則でございます。罰則は以下三十三條より三十八條まででございますが、これは開発銀行法、輸出入銀行法等に適用されておりまするところの、現在行われておりまするその法律をここに大体持つて来ておるわけでございまして、同種類のものであります。ただそういうふうにいたしたわけでございます。それでよろしかろうというわけでありますが、これは一応公務員法が適用されますので、会社の職員には收賄罪が成立することにも相成つておるわけでございます。
第三十三條 前條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした会社の役員又は職員は、五万円以下の罰金に処する。
第三十四條 第三十二條第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、五万円以下の罰金に処する。
第三十五條会社の役員又は職員が会社の業務に関し前二條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、会社に対して各本條の刑を科する。
第三十六條 左の各号に掲げる違反があつた場合においては、その行為をした会社の役員又は職員は、三十万円以下の過料に処する。
一 第十四條第五項、第二十八條又は第三十條の規定に違反したとき
二 第二十三條但書の規定に違反して、社債を募集したとき。
第三十七條 左の各号に掲げる違反があつた場合においては、その行為をした会社の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 第二十二條第二項の規定に違反したとき。
二 第二十七條第二項の規定による命令に違反したとき。
第三十八條第十六條の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
かように規定をいたしておるのでございます。これは関係條文を御参照願いますればおわかり願うと思うのでありますが、建前といたしましては、現行法の、この種の会社に類似のものの罰則をここに持つて来ておるわけでございます。
次は附則でございます。この附則は御承知のように電気事業というものは先ほど来申上げたのでありますが、大変広汎いろいろな面に関係ございますので、この附則でも或る程度関係しておる面があるのでありますが、先ずこの附則において施行の日をきめます。これはどこにもあることであります。「1、この法律は、公布の日から施行する。」、「2、主務官庁は、設立委員を命じて、会社の設立に関する事務を処理させるこれはいよいよこの法律ができました場合においては設立をなさなければならない、この場合において非常に立派な人を選んで、そうして首脳部に就けること、或いは又適材を適所に置くということも非常に大事でありますが、こういうことに関しましては、この種の会社を作る場合には、当然設立委員というものが作られ、これは関係官庁の人たち或いは民間の有識者を選びまして、そうして設立委員を作つてこれをやる、こういう規定と、それから株式の申込証、こういうふうにいたしたものが実は十項まであるわけでございます。これを読んで見ますというと、
3、設立委員は、定款を作成して主務官庁の認可を受けなければならない。
4、設立委員は、前項の認可を受けたときは、遅滞なく、会社の設立に際し発行する株式の総数のうち、政府が引き受けない株式につき、株主を募集しなければならない。
5、株式申込証には、定款の認可の年月日を記載しなければならない。
6、設立委員は、株主の募集を終つたときは、株式申込証を政府に提出し、その検査を受けなければならない。
7、設立委員は、前項の検査を受けた後、遅滞なく、各株につきその発行価額の全額の拂込をさせなければならない。
8、前項の拂込があつたときは、設立委員は、遅滞なく、創立総会を招集しなければならない。
9、創立総会が終結したときは、設立委員は、その事務を会社の総裁に引き渡さなければならない。
10、商法第百六十七條、第百八十一條及び第百八十五條の規定は、会社の設立については、適用しない。
かように規定をいたしておるわけであります。
11は
電源開発株式会社の商号の問題について規定しておるのでありまして、
11、この法律の施行の際、現にその商号中に
電源開発株式会社という文字を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその商号を変更しなければならない。
これは従来、この種の法律が出ましたときには常にある規定でございます。
12、第十六條の規定は、前項の期間内は、同項に規定する者には、適用しない。
次が日本開発銀行の出資の問題でございまして、
13、日本開発銀行は、当分の間、日本開発銀行法第十八條の規定にかかわらず、会社の株式を引き受けることができる。
14、第十四條第三項及び第十五條の規定の適用に関しては、日本開発銀行が前項の規定により引き受けて保有する株式は、政府において保有するものとみなす。
15、第四項の規定の適用に関しては、日本開発銀行が第十三項の規定によつてする引受は、政府においてする引受とみなす。
こういうふうに規定してあるわけであります。即ち政府出資は、今回の出資につきまして五十億というものになつておるのでありますが、これは実は予算に組込みまして予算の審議をお願いいたすことに予定をいたしておつたのでございまするが、御存じのように、予算提出の時期とこの法案提出の時期との間にズレがございまして、これが又いろいろの事情でそのズレが長引いたりいたしまして、相成るべくは予算に組込んで出すべきものと考えて、極力私たちも努力をいたしたのでありますが、総司令部の認可を受けるとかいろいろ手続もありまして、時間的なズレができてしまいました。そこで今回に限りましては、開発銀行に新株式を引受けさせ、これは政府の株式とみなすことができる、こういう特例を認めて頂くことにいたした次第でございます。
16、
経済安定本部設置法の一部を次のように改正する。
これは国土
調査審議会の項の次に、
電源開発調整審議会というものを安定本部でやることができるということを明らかにするために挿入したわけでございます。
17、経済関係罰則の整備に関する法律の一部を次のように改正する。
別表乙号第十号を次のように改める。十
電源開発株式会社
これは、先ほどもちよつと申上げたのでありますが、この会社は
特殊法人ではありますけれども、併しこの会社に使用される人たちは公務員に準じた取扱をすることにいたしまして、公務員ではないけれども、この罰則の適用の面におきましては監督を強化するという意味において公務員に準じた取扱をする、かようにいたすために、この項を設けたわけでございます。
18 租税特別措置法の一郷を次のように改正する。
第十條の次に次の一條を加える。
第十條の二
電源開発株式会社が、左の各号に掲げる事項について、登記を受ける場合における登録税は、これを免除する。但し、第一号及び第二号の登記については、資本の金額又は増加資本の金額のうち、政府出資に係るものに限る。
一 会社の設立
二 会社の資本増加
三
電源開発及びこれに附帶する
送電変電施設の整備の用に供する土地又は建物に関する権利の取得又は所有権の保存
電源開発株式会社が発行する社債であつて、商法第三百三條又はその準用規定による拂込があつた日から最終の償還期限に至る期間が一年をこえるものの拂込の登記についての登録税の額は、登録税法第六條第十一号の規定にかかわらず、千分の一・五とする。
かように規定いたしましたのは、
電源開発というものはどうしてもやらなければならない、非常に国民的要請のあるものでありまして、これをやる意味においては、これを促進することをしなければならない。そういう意味で、先ず
電源開発株式会社につきましては登録税のうちに法人税等に関する特殊の規定があるのでありますが、その中で、会社の設立と会社の資本増加をいたしました場合における登録税は、それは政府が出資した分についてはこれを免除する。政府以外のものが出資した場合はやはり千分の七の登録税をかける、こういうことに相成るわけであります。又、
電源開発及びこれに附帶する
送電変電施設の整備の用に供する土地又は建物に関する権利の取得又は所有権の保存、これは必ずしも
特殊会社だけではないのでありまして、一般の会社でありましても、こういうものを取得した場合には登録税を免除する、こういうことを三において明らかにいたしました。なお社債でございますが、社債について登録税が規定されておるのでありまして、従来社債は三年以上のものは千分の四、千分の三に、これは数字が或いは違いましたら後刻訂正をいたしますが、なつておるのであります。これを千分の一五にする。こういうことにして、成るべく安い電気ができるような措置を講じておるわけであります。
19、地方税法の一部を次のように改正する。
第三百四十九條の次に次の一條を加える。
(
発電施設に対する固定資産税の税率の特例)
第三百四十九條の二 発電、送電又は変電のための家屋(もつぱら発電、送電又は変電の用に供する機械器具を收容するものに限る。)及び償却資産であつて、昭和二十七年四月一日以後に固定資産税課税台帳に登録されたものに対して課する固定資産税の税率は、登録された日の属する年の翌年の四月一月から三年間は、前條の規定にかかわらず、百分の〇・八をこえることができない。
こういうふうに改正するわけであります。これはこの固定資産税のほうは、大体百分の一・六から百分の三までとることができるように規定されておるのでありますが、この場合におきましては百分の〇・八以下と規定しております。だから百分の一・六から三までとれるのを、幅を持つたものを、今度は或る一定限度以下とする、こういうことにいたしたわけであります。
20、資金運用部資金法の一部を次のように改正する。
第七條第一項第九号の次に次の二号を加える。十
電源開発株式会社の発行する社債
十一
電源開発株式会社に対する貸付
これは資金運用部資金を借受けまして工事をするということが予定されておりますので、そこで資金運用部資金法の一部をこのように改正する、こういう意味でございます。次は、
21、土地收用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三條第十七号の次に次の一号を加える。
十七の二
電源開発株大会社が設置し、又は改良する
発電施設又は
送電変電施設
これは土地收用法をこの
電源開発会社に適用するために、この條文を設けたわけであります。
以上申上げましたのが法文の内容と大体の御説明でありまして、或いは意を盡さざることが多かつたと存じますが、その点は一つ後日御質問を願いまして、お答えをさして頂きたいと考えるのであります。
なお、先般の委員会におきまして資料の提出を御要求になりましたので、資料を一部本日お手許に差出した次第でありますが、先ず既提出のものも、これは法案審議の上で御入用と思いますので、もう一度御覧願いたいと思うのでありますが、
皆様がたに差上げてありまする資料は、すでにお渡しいたしたのは、
電源開発計画年度別、それから企業体別の計画表附表一というのでございます。これは開発の出力、所要の資金、資金調達の年度、年度別の電力増加表、こういうものが入つておるわけであります。その後要求されましたもので、本日お渡しいたしましたのは、
電源開発地点表附表、これは企業体別地点別開発規模、着工年次、進行年度、所要資金、こういうものが入つておるわけでありまして、これは堀木さん、栗山さん、結城さん、田中さん等の各委員の御希望によつてお出しを申上げたのであります。次が
電源開発用所要資材表でございます。これは一部をお渡しいたしたのでありまして、その中で所要機具生産能力の分は目下作成いたしておりますので、二十二日までに成るべく速かな時期にお手許にお出ししたいと思うのであります。これは栗山さん、田中さん等のかたから御要求がございました。なお電力の需用見通しの基礎としての昨年の規模、これは栗山さん、堀木さんから御要求があつたのでありまして、二十七年度分もできる限りにおいて、我々が得られる限度においてのこの資料を差出したわけでございます。総合資金計画と電力の所要資金、いわゆる一般の資金と電力資金との対比の問題でございますが、これも非常に実はむずかしい問題でありまして、二十七年度についてはこれは明瞭に予算を執行する以上はできておるのは当然でありますけれども、あとの分につきましては、これは三十一年を基準といたしまして、できる限りの数字を提出するようにいたしたわけであります。これは堀木さんらの御要求でございました。なおまだ、御要求に相成りましたものの中で、提出をするために、今作成をいたしておりまするのは九
電力会社の考課長というのを田中さんから御要求がございました。これは公益事業委員会にその資料を提出いたすよう連絡をしております。それから
特殊会社の内容につきまして、栗山さんから年度別の資金調達表、それから、人員の充足、それから
開発会社の発電価値予想、発電コストと言いますか、そういうものを出されております。これは目下作成をいたしております。栗山さんから九ブロツク別の
電源開発資料としまして、地域別の出力増加、それから地域別の電力量増加表、こういうものを出せという御要求でございますので、これも目下調製をいたしておる次第でありまして、遅くも二十二日までにはお手許に差出したいと考えておるわけであります。なおこのほかに資料の御要求がございまするならば、どうぞ御提出を願いたいのでございますが、ただここで資料の要求に当りまして一言概括的にお断わりをいたしたいと思いますことは、御存じのように、見返資金の按分に対しましても、二十七年度分はまだ全部が決定いたしておるわけではありません。従つて二十八、二十九、三十といようなあとあとの資金の面までも含めたその資金割の内容を、地域別に示すというようなことは、これはちよつと今のところはできかねるものでありまして、この種の御要求があつたようでございますが、これは提出者といたしましては、私はちよつと今のところで私の手許から出すことはできない。まあ政府が、又公益事業委員会がきめておらないものを、私が予定してきめるということはできない、こういう意味においていたしかねると思うのであります。
なお又各地の地域別の電力の需要の問題、或いはそれの割当の問題等もございますが、これは御存じのように、今でも三千キロワツト以上のものは安本が調整をいたしまして、割当をいたしておる。又公益事業委員会もこれに関連を有して、この配分をいたしておるような次第でありまして、そのときどきの事情によつてこれが変つて来るのであります。こういうことをするために今は公益事業委員会或いは通産省の一部というようなものがあるのでありますから、余り将来に亘りまして……二十七年度の分について一応の推定を出せということでございますれば、これは御無理もないことでありまして、予算を編成しておる建前からいつて当然一応の推定はできますのでありますが、二十八年、二十九年、三十年、三十一年、ずつとおしまいまで、どういうふうになるのか、全部そういうふうなものを出せということになりますと、ちよつとこれはむずかしいように相成るかと思うのでありまして、この点は一つまあその点私が申上げました趣旨をお酌み取り下さいまして、御了承を願いたい、かように考えておる次第であります。大変長い間有難うございました。