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1952-05-31 第13回国会 参議院 経済安定・大蔵連合委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十一日(土曜日)    午前十一時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            郡  祐一君            永井純一郎君    委員            愛知 揆一君            奥 むめお君            杉山 昌作君            須藤 五郎君   大蔵委員    理事            伊藤 保平君            野溝  勝君    委員            黒田 英雄君            溝淵 春次君            小林 政夫君            江田 三郎君            下條 恭兵君            波多野 鼎君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    外務委員会事務    局長      賀屋 正雄君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       渡辺 一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外資に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは外資に関する法律の一部を改正する法律案につきましての第五回目の経済安定と大蔵連合委員会を開会いたします。  前回及び前々回におきまして、大蔵大臣に対する質疑が留保されておりますので、大蔵大臣に対する質疑がございましたならば優先的に先ずお願いいたします。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 これは大蔵委員会でも油井委員からだつたと思いますが、最近問題になつておる日軽金の問題について大蔵大臣のとつておられる措置等について事情を聞いたわけでありますが、いわゆる外国投資家による日本産業支配ということについて相当我々は心配な点もあるわけであります。従つてこの外資法、この法案だけによつては十分その目的が達せられないのじやないか、で、株式保有制限等についても一応法的に基準を置かなければならんのじやないかというような意見もあるわけであります。行政的措置として、そういうような点についても遺憾なきを期せらるるというお考えであるかどうか、成るべく具体的に御意見を承わりたいと思います。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外資導入につきまして、外国人日本会社株式を取得する場合或る程度基準によつて委任許可をきめる必要があると思う、然らばその基準はどういうふうにするか、こういう御質問でありまするが、今具体的に基準を設けることはなかなか困難であります。従いましていろいろな案件によりまして、個々のケースとして決定するよりほかはないと思います。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 具体的に日軽金の問題についてですね、設例として少しお話を願いたいと思います。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題は先般委員会は違いましたが、小林君に前に申上げた通りであります。今ここでもう一遍繰返せとおつしやれば繰返しますが、おわかりのことだと思います。新聞には五〇%だからいかんとか、これが日本基幹産業であるからいかんとかいうふうなことのみが伝えられておるようであります。私の考え方は、そういうこともさることながら、今後この会社外資導入してどういうふうにやつて行けるか、その見通しの問題につきまして、まだ十分私は聞いておりませんから留保しておきます。又フイフテイー・フイフテイーという問題以外に十円のプレミアム、即ち六十円で倍額増資が適当なりや否や、この六十円が提出されている、こういうことも検討を要するので、今懸案になつているわけでございます。
  7. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 大蔵大臣に対する質問を先に一つ……。
  8. 永井純一郎

    永井純一郎君 関連してお尋ねします。私もこの日軽金の具体的な問題は知らないのであります。今小林君からお尋ねがあつたのに対する池田さんのお答えでは、よくわからないのでありますが、今度の外資法改正では今おつしやるような措置が、例えば五十、五十であるとか、六十、四十にするとかいうようなことはできないことになつておると思います。そういたしますと、まあ新聞等の報道はよくわかりませんが、今のお答えですと、この外資法改正で、これができ上つたあとで、そういつた基幹産業だとか、重要なものに対する外国資本に一定の制限、抑制をするというようなことは一体どういうふうにされるのか承わりたいと思います。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと関連して……。大臣に対する質問ということで先ほど続けなかつたわけですが、今永井さんの質問賀屋さんから、条文のどれによつてやるのか、本改正案のどの条文によつて大蔵大臣の言われるようなことを抑えて行くのか……。
  10. 永井純一郎

    永井純一郎君 同時に答えてもらいたい。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 この改正後の……。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外資が入つて参りますときには、外資委員会認許可をすることになつております。それから今の御質問の、五十以上持たさないとかいうふうな法文はございません。そういう規定はないのであります。
  13. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 只今の御質問で、仮に五十以上持たすのは日本経済にとつて悪影響があるという外資委員会判定を下しました場合には、これを拒否いたします場合は、現行の第八条に(認可許可又は勧告の基準)という条文がございますが、これの第二項第一号に、「契約の条項が公正でない場合」、これはまあ五十、五十の点は具体的な問題でありませんが、殊に第三号あたり日本経済復興悪影響を及ぼすものと認められる場合」というような、非常に文句は抽象的ではございますが、これを援用することになると思います。
  14. 永井純一郎

    永井純一郎君 第八条の今のその「日本経済復興に」という条文ですね、今度のもそうなつておりますが、そういう条文で六十と四十とか、或いは七十と三十とかいうようなことをきめるのは非常に困難ではないか、法律の解釈上、若しあなたがそういうお考えであれば、私どもその点についてすでに法文修正の案を持つておるわけですが、現行法文のああいう文句だけでは、私はそれによつて五十以上持たせるとか、六十以上持たせるということは無理だと思うのですが、若し今の現行法でもそれで行けるということであれば、石油については八十まで持たせる、アルミについては六十まで持たせるというようなことをきめて行くということですか、その場合にどういうふうに一体その基準考えるかということが必要であると思いまするし、その点を先ず伺いたいわけでありまするか、と同時に、二点は、まあそういう意図を以て行政庁裁量でやるならば、法律事項として、そういうことはもう少しはつきりしておくことが法律、の体裁としても私はいいと、こう思うわけですが、この二つの点について……。
  15. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 先ほど大臣からの御答弁にもございましたように、一つ案件が出て参りました場合にいろいろな要素考えなければならないのでございまして、結局いろいろな持株比率の点でありますとか、そういつた比率によつて株式を持たせましたことによつて、どういう長所があるか、原材料の供給の面でありますとか、或いは技術援助の面でありますとか、そういつたいろいろな要素を勘案いたしまして、総合的に判断をいたすわけであります。それをいろいろな細かい点に亙りまして、すべて法律に明記するということは、成るほど行政庁裁量をなくすという意味で公平を期することには相成ろうかと思いまするが、実際問題としてかなり細かい具体的な基準を書くことも困難でありますので、現行法建前として、そういつた五十、五十の持株比率の点のみならず、その提携から結果いたしますところのいろいろな点を総合判断いたしまして、それが結局日本経済復興悪影響を及ぼすということになれば不認可をする、従いまして場合によりますれば、たとえ比率が五〇%以上になりましても、そのケースは認めざるを得ない、認めたほうが却つて日本経済にとつて有益であるというような場合もあろうかと考えられますので、法律の書き方といたしましては、そこまで具体的に書くと却つて動きがとれなくなるようなことになりはしないかと思います。
  16. 永井純一郎

    永井純一郎君 これは法律の技術的な問題になりますが、今の現行法では「日本経済復興悪影響を及ぼす」と書いてあります。そういう復興という言葉だけで、今あなたが言われるような行政庁裁量はこれは与えられた権限より大分出てしまうと思う。そこで私どもは少くとも今度の修正案ではそういう今の事務局長のような考えであれば、日本経済自立と安全に悪影響を及ぼすというようなふうに、少くとも法文を変えなければいけないのじやないかということを今私は言つておるわけです。第二点は、先ほど申上げましたこれは安全という言葉は適当であるかどうか、余り経済関係法律にはないのですが、平和条約にこういう日本財政経済の安全を云々という言葉があるわけですが、そういう点から言つて自立とやはり安全に悪影響がある場合には認めん、ただ復興にということであれば、一〇〇%持つても八〇%持つて復興には役立つわけです。そういう考え行政庁裁量で、うま味を持たして裁量持株等を適宜に制限して行こうというならば、そういう意図法律事項にもう少しはつきり出しておいたほうがいいのじやないかと、こういう考えですが、これに対して一つお答え願います。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 「日本経済復興悪影響を及ぼすものと認められる場合」で賄えるのじやないかと思います。併し御意見は御意見として承わつておきます。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の御答弁ですが、それは出資の場合、例えば技術援助というような場合は一応今御答弁のようで、まあ取締りとして市場を通ずる株式取得の場合、これは商法ではそういうことは禁じてないわけですね、これはどうなんですか。その株式を買う場合、これが何%になるからいいとか悪いとかいう形で取締れるものなんですか、どうなんですか。市場を通ずる株式取得の場合、それについて今みたいな形で制限できるのかどうか。
  19. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 市場を通じ株式を取得いたします場合と、それから初めから経営に参与するという目的株式を取得いたします場合とでは、成るほど初めの意図においては確かに相違がございますが、仮に市場を通じました場合にも、これが非常にパーセンテージが高くなりまして、そのことだけをとつて見れば、その会社支配権を握られるという結果になつて、場合によつてはこの第三項に該当して悪影響がありという結論になる場合もあり得ると思います。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう場合にどうするのですか。
  21. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) そういう場合が仮にあるとしますれば、不認可処分をせざるを得んのではないかと思います。
  22. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつとそれじや関連しまして……。そういう場合、市場を通じて買つた場合、買つたあとでその買つた株式の総額を計算して見て、この会社の六〇%、八〇%にも及んでおるということが初めてわかるので、買う前に許可を受けますか。
  23. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 市場を通じて買います場合にも事前に認可は必要でございます。
  24. 波多野鼎

    波多野鼎君 何株買うということが……。
  25. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) そうでございます。
  26. 小林政夫

    小林政夫君 今の外貨送金保証を求める場合は確かにそうでありますが、第十一条第二項によつて新株を引受け、而も元本回収金外国へ向けた支払により受領しようとしないものについては、経営支配をしようということだけで行こうとすれば、そのほかにいろいろ経営支配をすれば利便が考えられるが、外貨送金保証は得なくてもという意味考えれば、第十一条二項の規定でやれるのじやないか、これがチエツクする方法はない……。
  27. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) これは細かい話になりますが、第十一条第二項で、いわゆる法人の財産の増加をもたらす場合は、送金保証を要求しない場合は届出でいいということになつておりますが、これの一番多く出て参ります例は、いわゆる増資の場合でございますので、増資で旧株主に割当てます場合は、大体同じ比率で割当てるのが通例でございまして、これで支配権が殖える、持株率が上るということが普通のケースとして余り考えられない。
  28. 小林政夫

    小林政夫君 そういうことは、大体そういう考え届出になつておるのだと私も了解しておるのですが、併し今のような場合に、経営支配をすることによつて有利な条件を持たして、この面については特にそういうことで株式増資して、新株については全面的に渡すということが考えられる。そういうことの場合には、十分に今の日本企業自主性を保持ずることが困難なんじやないか、普通の場合は一対一というあれで旧株主に行きますけれども、特別にそういうことを伏せておいて、一応外国投資家から借入れをする、借入れをするということで相当の金を借りる、外資を……。そういう契約で一方に有利な、会社として有利な契約をさしてもらつておるので、一応増資については、それを倍額増資或いは三倍増資をやつて、そのほうから渡すという結果も起る場合も考えられる。これは完全に離すと、株主が納得して一対一でなければならんということを言わずに、旧株主に対する新株割当権を放棄するということも考えられる。
  29. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 従いまして結局株主が承知いたしますれば、一対一という点は或いは例外的なことが起るかも知れませんが、外資委員会認可も、今度日軽金に関しましても、日軽金がそういう株主総会増資を決議するということが前提になつておりまして、それから国が処分をいたすわけであります。仮に株主が承知いたしましても、その結果が日本経済悪影響があるという判定を下しますれば委員会としては認可しません。それからそうでなくて、たとえ五〇%以上の比率になつても、その利害の而においていろいろ日本経済にとつてメリットがあるという判定を下しますれば、これを認可するということであります。
  30. 小林政夫

    小林政夫君 それは認可する、せんということでなく、新株の場合に、外貨送金保証を受ける場合は、先ほど来言われておるように、あなたのほうで外資委員会でチェックできるわけだと思う、けれどもそういう外貨保証を求めない増資で相手が満足し、而も一方に例えば技術援助というような名前で技術料として援助料として年々相当多額ドル送金させる、従つてこれを同時にやれば気が付いて日本技術援助のほうの契約をあなたのほうは阻止されるが、それだけを先に認可をとつてあとでこういう増資のものについてやるという二段落しでやるということも考えられる、一応技術援助についてはこれは相当その産業にいいし、許可してもいい、そこで許可が下りる、そういうことの技術援助料等保証というか、確実に送金させるとか、或いは市場について会社に恣意的なことをやらさないというようなために、あとから増資決議をしてこういう全然外貨保証を求めない増資をやるということが考えられる。
  31. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 只今の御質問最初ちよつと聞き違えたかと思いますが、例えば仮に今の日軽金の問題が、向うの会社配当保証は要らないといつて来た場合、今度の株は増資新株であるから届出でいい、そうしてこれが五〇%以上になり得る場合が考えられるのではないかと、こういう御質問ですか。
  32. 小林政夫

    小林政夫君 而もそれが日軽金の場合にもう一つ技術援助云々がある、それと増資を切離して今の増資新株を引受けるとか何とかいうことは伏せて置いて、技術援助であなたのほうの認可をとる、それから間を置いて会社増資をして全部渡すというようなことが考えられる。
  33. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 御質問のような場合は想定として考えられないこともないかと思いますが、多くの場合、技術援助契約をいたしますような場合に、やはり会社経営に参与してその配当を持帰えるというのが例でございまして、殊に日本経済相当利害関係のありますような産業相当まとまつた金額で入つて参ります場合、ただ円価で以て投資して配当保証は要らないということはちよつと想定としてはあり得ますが、実際問題としては起り得ないのではないか、殊に外貨を持つて参ります場合には、そういう場合が多いだろうと思うのでありますが、外貨現実に持つて参りまして、そういう株式を取得いたしました場合に、その配当金なり、元本送金保証を求めないということは、これは投資家例の心理としては到底考えられないことじやないか。
  34. 小林政夫

    小林政夫君 それはあなたはそう言われるけれども、実際実業をやつておればそうでない。その会社経営権を握つてできた製品販売等について十分コントロールしてほかのほうで収益を挙げるということが考えられる、今の技術援助の場合においても、配当金相当するような技術料というものを高くして、その価でカバーすることも考えられる、実業人としては……。
  35. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 市場協定でプライスを支配するだけでも相当収益です。技術援助契約が、そういつた場合これが出て来るわけでありますが、この技術援助契約相当の念を入れて審査いたしまして、そういうような意図あとに含まれておりまして殊更に技術援助料を高くとつて来るというようなことは審査の過程において恐らくはつきりとして、その技術援助契約そのものが認めがたいということになるのではないかと思います。
  36. 小林政夫

    小林政夫君 高く取らなくてもいいのです。その製品をコントロールしさえすれば、本国で作るよりも他の市場作つた製品についてうんと上げるとか、要するにこういう経営権を握ろうなんというものは、それによつて市場支配を狙つておる場合が考えられる。それによつて世界市場をコントロールするとか、或いは日本市場をコントロールするということによつて相当別の利益が投資家としては得られる、全然想定できないというケースじやないと思います。
  37. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 仮設の問題についてのあれでございますので、ちよつとこれ以上は御答弁いたしかねると思います。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この第十一条の一項は何のためにあるのですか。そういう場合をやはり想定されてあるのでしよう。
  39. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 十一条の第二項は、これは御承知のように、この沿革を申上げますと、外資に関する法律の前は政令五十一号というポツダム政令で以て、殆んど全面的に外国人株式を持ちますことについて禁止乃至は認可を要するということになつてつたのでありますが、だんだん外資導入必要性がとられて参りまして、この制限を漸次廃止乃至は緩和して行こうというような沿革から改正せられまして、これが入つたものでありまして、成るべく認可にかからせずに、事後の届出だけでも持たせる場合を認めようじやないかということで、これは昨年の通常国会におきまして改正いたしましたものが、そのまま残つておるわけでございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、この二項によりますと、外国配当金送金しないという建前で受領するために取得する場合には届出るのでしよう。それからそういう場合に、これは今の商法では制限がないわけですね。株式取得について、そうでしよう。ただ届出だけでいいのじやないのですか。そういう場合に五〇%以上株式が取得されるあれがないか、届出だけでいいのですか、その送金をしない場合です。
  41. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) これは送金しないということの要件と、もう一つはいわゆる新株と申しまして、増資の場合の株或いは会社が設立されますときの株のことを言つておるのでありまして、いわゆる市場で売買されます株は、これは旧株の場合に該当いたしますので、この十一条第二項の適用は受けないわけであります。従いまして若しそういつた増資の株だとか、設立新株の場合でありまして、且つこの配当送金を求めないという場合でありますれば、届出だけでいいわけでありますので、或いは今の小林委員の御質問のように、場合によつては五〇%以上になることがあろうかと思います。但しその場合には、先ほども申上げましたように、多くの場合増資の場合でありますれば同じ比率で割当てられますので、実際は弊害はなかろう、それからまとまつた金額が入ります場合には、やはり日本で預けました円貨だけでは不十分で、現実に海外からドル乃至はドル相当するような非常に有益な物資、機械等を持つて参るわけであります。そういつたものを入れて置きながら、その配当金保証を求めないということは投資家としてはちよつと普通の場合は考えられないのではないかということで、或いは小林委員の御質問のようなケースが起り得るかとも思いますが、まあ私どもは大体この十一条の第二項がありますために、この欠陥が起ることはなかろうかと思います。
  42. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 第八条あたり大蔵大臣許可というのが、前にあつたのは削られたというのはどういう理由なのですか。大蔵大臣は今度の日軽金あたりでも重大な意見を発表され、それが又影響するところは非常に大きい点があるのですが、こういう規定がなくなるというと、発言権がなくなつて外資委員会だけで以て何でも処理して行くというふうになるのですか。
  43. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 前の改正前の法律大蔵大臣許可という言葉が、例えば基準のところあたりで出て参りますが、これは投資の一形態として、十三条に貸付金認可を要するという条文がございますが、この場合に大蔵大臣と何と申しますか、共管のような規定が前の条文ではあつたわけであります。これを今回は事務の簡素をも図りまして又現実大蔵省代表委員外資委員会に出ておられますので、不都合はなかろうという結論から今回は大蔵大臣を削つたわけであります。
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ではあれですね。今度のように日軽金のような場合には、大蔵大臣発言はウエートが重いのですが、別に条文がなくても、そういうことは今まで通りに取計らわれると解釈してよろしいですね。
  45. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 大蔵大臣の御意見は当然外資委員会委員の一人たる大蔵省を代表する委員によつて完全に委員会に反映するというふうに考えております。
  46. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それから一遍許可した投資ですね、投資先手持有価証券等市場販売をして、その代金で他の株を取得することはやはり一々許可しておるのですか。
  47. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 新らしく買います場合に、認可が要る場合は、その原因となります原価がどういう場合であろうと変りはないわけであります。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に大蔵大臣にお伺いしたいのですが、先般のこの委員会で、大臣日軽金の例を挙げて、資産再評価をすればまだまだ相当株価値があるのを、六十円で処分するということは余り感服できないというようなお話なのですが、日軽金の株の動きを見ておりますと、前は八十円見当時代も一年前からあつたのですね。まあ増資して六十円というと大差はないというようなことにもなるのですが、そういう点から見て日本の有力な株式値段の上下というものは相当激しいですな、而も再評価をすれば、まだまだ値段が高くなるという株も相当あると思うのです。そういうために外資問題とも関連しますけれども、将来やはり再評価無税で以てどんどんさして行くというようなことも必要が起つて来はしないかと思うのですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  49. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 再評価に対しまして、今六%とつておりまするが、無税にするという考えも多くございました。今のような御意見もあると思いますが、私は六%程度の税は必要じやないかと考えております。これは償却もうんとできるようになると思いまするから、六%の税は今後もとつて行く考えでおります。
  50. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 再評価をしないというと、六%の税金を納めるのが嫌さに再評価を思い切つてしないという会社相当にあると思うのです。それでそれは外資導入の対象となるときに、非常に内容がよくても市場価格というものはその割に上つていないというところも相当あると思うのですね。そういうところでは、一々これはどうも内容と比べて株が安いから許可するのはどうかなというようなことにでもなるというと、何のために外資導入を声を大きくしなくてはならないかという妙なことになると思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の点はつきりいたしませんが、これは今いろいろな議論があるのでございます。例えばパーセンテージを今言つておられますが、これはもう個々の大きな会社つたらパーセンテージは殆んど問題にならんと思つております。それで今の日軽金なんかも六億二千万円でございますが、再評価は三十億ばかりいたしております。最近の様子を見ますと、あなたのおつしやるように六%では困るから再評価しないという説もありますが、やはり再評価して組入れた場合配当率が下るということが一番強い考えではないかと思います。我々税という立場から見ますと、本当に価値のあるものなら再評価しまして、そうして償却をしたならば六%くらいの課税は何でもない、現在法人税の税率が四二%になつていますので、あのときの計算とは多少違つているのでございますが、二十年以上の償却のものだつたら、ちつと納めてもそれぞれ再評価したほうが得でございます。我々はできるだけ実態に副うように再評価して、そうして償却をせられるということになれば、六%くらいは何でもないことだと私は考えておるのであります。
  52. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に第八条の認可基準ですが、先ほど小林委員からも質問がありましたが、この認可基準というのは、行政措置で以て、そのときの情勢に応じて適当にやるというふうに我々は解釈するのですが、外資を向うから持つて来るほうに対して、どの条項でどういうふうにして、いわゆるあなたがたのほうで、外資委員会でこれを拒否したいというときに、何の意向で以て拒否するんだというような抗議を申し込まれた場合、はつきりとこの法律によつて対抗できるということは確信していいですか。
  53. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど政府委員から申上げた通りでございまして、八条のあれによつてつておるわけであります。
  54. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次にもう一点ですが、三年間の据置期間が置いてありますが、私どもは三年間という長い年限は必要ないのじやないか、多少の据置期間として一年程度でよろしいのではないかと思うのですが、この点については政府当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
  55. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろな議論のあるところでございます。私がこの基本をきめますときには、大体アメリカのチエンバー・オブ・コマースの連中と話をしたり、又サンフランシスコへ行きました場合、ベイチエ、その他日本投資をしたいという連中の希望なども聞きましてやつたのであります。三年にするか、一年にするか、或いは五年据置くか、いろいろ議論があるでありましようが、大体この程度で私はいいのではないかと考えております。併し最近に私の所ヘアメリカから希望条項を申し出たものを見ますと、成るべく短かくしてくれという希望もあるようでございます。併しこれはやはり将来の外資の進出等も見極めてやらなければならん。問題は非常に甘くすると外資は入りいい。それからきつくしたり基準がわからんと入りにくい。痛し痒しで、外貨収支の問題から申しますと、きつくしたほうがいいのですが、外資導入を便宜ならしむるためには甘くしたほうがいい。そこの兼ね合いが問題でございまして、いろいろ議論があると思います。私は只今のところでは、三年でも相当つて来るのではないか、こう見ておるのであります。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 例えば一年とした場合、この一年を情勢に応じて三年に延ばすというようなときには、やはり海外筋では相当いい感じは持たれなくなると思うんですけれども、併しそういうふうな途は、日本も独立したのですから、情勢に応じてやることは差支えないと思うのです。そこで現在の事情からいうと、大臣は大体三年見当で差支えないというお舌ですが、やはり希望に応じて一カ年くらいでも私はいいと思うのですが、大臣としては一年では余り短か過ぎるというようなお考えは、別にないでしようか。
  57. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは毎年二割ということで五年でございますから、全体として八年にするか、六年にするかという問題でございます。まあ私は三年程度でいいのじやないか、すぐ持つて帰られるというふうなものでも困る、こういう気持で三年ということにいたしておるのでございます。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この外資導入で一年がいい、三年がいい、五年がいいというような意見もいろいろありますが、大臣に私はお尋ねするのですが、私はこの外資導入の成否は、この法案によつて成功し、失敗するものではないと思います。根本的に問題があると思うのですが、それはやはり国の信用が土台になるのじやないかと思うのです。ところが今政府のやつていることは、どうも余り信用のできないようなことばかり考えているように私たちにはとれるのですが、私最近聞きますと、政府の或る責任のある大臣が議員との懇談会におきまして、戦争は必至だというようなことを発言しているようです。そうしますと、これは幾ら法案を練つて見たところで外資はなかなか入つて来ないのじやないか。そういう危険な所へ投資をする人はないのじやないかというふうに考えます。又そういう危険な所に投資をするような資本ならば碌な資本じやなしに、日本から資本を盗んで行くほうの投資といいますか、そういう後者のような性格を持つた投資が盛んになるので、いい意味投資というものは来ないのじやないか、そういうふうに私は考えるのですが、その点大臣意見を先ず伺つておきたい。
  59. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは日本経済が信用のあるものにならなければ、外資はなかなか来ないというのはお説の通りでございます。幸いに私は信用が非常に殖えて来たと考えておるのであります。外資も年々だんだん多くなつて来ておるようであります。そから戦争が必至だとか何とかと言つた閣僚がありましたものかどうか存じませんが、私は今までの経済政策を推進めて行けば外資は入つて来る。而も今までは外資が入つたままで全然出る途をあけてなかつた。今度は出る途もこういうふうにできるわけであります。異論もありますが、あけておけば相当つて来ると確信いたしておるのであります。只今申上げましたように、アメリカの連中の意見も十分私は聞いて只今つておるわけでございます。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 さつきも或る委員から株価の投機的な操作がなされるのではないかというような意見があつたと思うんですが、自由自在に外人が日本株式を取得できるようなことになりますと、悪い意味の投機が外人の手によりてなされるという心配が起つて来るのではないかと思います。この前の委員会でもちつよつと述べたんですが、この点大臣に伺つておきたいと思いますが、例を挙げれば百ドルを持つて来ると三万六千円ですか、そうしますと二十六円の株が一千株買える。そうするとここでアメリカ方面から或る調査団が日本へやつて来て、そうして今度アメリカから新特需でどこどこの会社に、機械株でしたらどこどこの機械株へ新特需が出るというような調査団から発言がなされると、そこの株が一遍にぱつと上つてしまう。二倍に上ると七十二円になるわけですが、その場合、そういうような操作がアメリカの資本の手によつてなされる。そうしてそのとき高騰した株を日本で売つてしまう。そうすると百ドルが二百ドルになるというようなことが起つて来る。そういうことによつて日本株式界が混乱させられるような心配が起るのじやないかと思うのですが、これに対してどういうふうな防止策があるのか、その点伺いたいと思います。
  61. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 前ほどからお答えしておる通りでございます。お話のような心配は私は万々ないと考えております。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 株式投資もですが、もつと気を付けなければならんのは短期の融資の問題じやないかと思うのですが、まあ御承知のようにアメリカは非常に金利が安い。日本はアメリカに比較すると四倍ほど金利が高いような状態ですから、短期の融資というものは相当つて来ることも考えられると思うのですが、例を挙げますと、三井船舶がアメリカ海運業者マツコイ氏を通じてバンク・オブ・アメリカから八百五十万ドルを借りている。そして二万トンの油槽船を三隻造る計画を持つているようですが、この融資期間は十八カ月間の融資期間だというふうに言われておるのです。ところがこれに一つの紐が付いて来るわけです。運賃を横取りにしてアメリカの業者と話合いをしなければいかんというような、そういう紐付の融資になつているように聞いておるわけです。それからもう一つ例を挙げますと、日東汽船でカルテツクス石油会社を通じて借りる計画の場合は、もつとはつきりとしておりまして船ができてから七年間カルテツクスの傭船にならなければならんというような条件が付いているというふうにも聞くのですが、短期融資にこういうアメリカの紐が付いて来るということは、結局日本会社をアメリカに従属さす心配が起つて来るのではないかと思うのですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  63. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 具体的の問題は存じませんので、政府委員から答弁させます。
  64. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) タンカーの造船資金の外資導入の問題は、ここ二、三カ月前から大分世間を騒がしておるようであります。このほど最近まとまりました例は、三井船舶に対するバンク・オブ・アメリカの融資がただ一件でございまして、そのほかの会社に対する融資はまだ具体化しておらないようでございます。この三井船舶に対する融資はタンカー一隻の建造資金の三分の二を外資に仰ぐということでございまして、初めは今おつしやいましたようなマツコイを通じて云々、或ついは外国の石油会社との傭船契約とか何とかいうようなことがございましたが、今回私どものほうで認可いたしましたケースは、それとは全然話が違いまして、これは完全な融資ということで、銀行融資に過ぎないのでありまして、これによつて建造いたしました船舶の運航の自主権は完全に日本側の会社にあるということになつております。
  65. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一点だけ、この向うから現金の、ドルが現金で入つて来る場合はともかく、技術援助や品物で入つて来るような場合が考えられると思うのです。それは日本石油がカルテツクス石油会社から油槽船三隻をもらつた。ところがそれは二十億ドルに値踏みされて二十億ドルの株がそちらのほうに行つた。そうすると油槽船二隻によつて二十億ドル日本の株がそつちに行くわけですね。そうするとそれがドルになつて向うへ送り返される性格を帯びて来るということになるのですが、こういうことがだんだんいろいろな形で行われて来ると思うのですが、その場合にドル不足の激化が起つて来ないのかどうか。大臣のお考えを伺いたい。
  66. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) タンカー、その他の問題は今ドルを稼いでおるのであります。その稼いだドルが行くのでありますから、又そのためにドル不足が起るということはないと思います。ただ短期間に一遍に払うと、こういうことになりまするとドル不足が起るので、毎年二割ずつ五年間、こういうような制限をとつております。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 技術援助の場合はどういうふうに考えていらつしやいますか。
  68. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 技術援助外国への輸出その他国内の生産増のためでございまするから、同じように考えております。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 簡単に考えていらつしやるが……。
  70. 永井純一郎

    永井純一郎君 大臣に少し何つておきたいのですが、外資導入の問題については、例のマーケット談話が総司令部がある当時正式に発表がありましたが、まあ私どもはマーケットと大蔵大臣との話合いのときに、こういう外資法を作つた外資が入るだろうというような話が恐らくあつたのだろうと思いますが、この程度法律をいじくつたことによりまして外資が入つて来るというふうには考えられないと思います。で、私は大蔵大臣に伺いたいのは、マーケット談話では、御承知の通り大体重要な点を三つばかり指摘しておるのであります。日本の事業が外国借款を受けるほどいい仕事があれば、先ず日本の政府予算なり或いは民間筋の国内の融資をしたらいいじやないかというようなことを言つておりますし、又日本の今日の経済、財政状態は援助をするようなことではなくて、非常にいい状態にあるというようなことも言つておる。従いましてこの政治借款というようなことは少しも考えておらないというようなことを大略言つておるようにあれを読むと考える。ああいう談話が発表されてから、外資導入の問題については特に池田さんは直接お会いになつてその後いろいろ折衝をなさつたというふうに伺つておりますが、今日のアメリカの、例えば関親等を考えますと、マーケットが言つた通りのことが実現しておるように国民は取つておる。というのは、例にば一番ドルを手つ取り早く獲得しやすいまぐろの罐詰でありますとか、ミシンといつたものは遠慮会釈なく関税をどんどんと取つおり、そうして一方では中共の貿易等ができませんから、鉄鉱石だとか粘結炭だとかの高いものをくれる。従つていつまでたつて日本の重要な産業というものの合理化はなかなかできて行きません。今我々が考えておるのは、こういう法律の末端をいじくることではなくて、我が国の基幹産業、重要な産業の合理化、施設の改善、そういつたことこそ先にやるのでなければ、そういうことができない限り、立派な外資導入というものはあり得ない。このような法律で入つて来るのは、極く投機的な商業的な資本で、先ほど須藤さんがおつしやつたように、盗みの投資が行われるということは明かであります。今日まですでに入つて来ておる外資はくだらないパテントによつて多くの利益を受けておる。古い青写真一枚で多くの利益を受けておる。或いは余つてしようがない物資を持つて来ておる。それによつて株を取得し、経営を牛耳つておるというようなことが現実に今日までは行われておるように思える。こういうふうに考えて来ますと、外資を入れる最も基本は、私は外資を入れる基本は、我が国の重要産業の合理化を早くやれるための外資が先ず必要だ。ところがマーケツトが言つておるのは、コンマーシアル・べースの上に立たなければ外資が入れられないと、こう言つておりますけれども、合理化ができなければコンマーシアル・ベースの上には立てない実情が日本経済の実情でございますから、そこでどうしても、曽つて政府が考えておつたという、或いはあなたが考えておられたという政治借款というようなものがそういう方面に入らざるを得ない。これが先ず私は先決であるというふうに考えられるのであります。そこで、こういう点については単にコンマーシアル・ベースであれば入るんだというような簡単なことで大蔵大臣とマーケツトは話合いをされた、こんなことであれば別に、わかり切つたことであつて話合いも何も要らないので、あの談話を見ればわかることでありますから、そういうことで一つこの点、独立もしたことでありますから率直に、マーケツトは日本外資導入についてどういうふうに言つてつたの一つお聞かせを願いたい、こういうふうに考えるわけであります。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) マーケツト少将がどいうふうに言つてつたかという問題でございますが、もう独立いたしましてから経済科学局長ではないので、今ここで蒸し返しても私は余り効果のないことだと思いますが、あの当時新聞に出ましたことは、マーケツトの真意とはかなり違つておるようであります。勿論金を借りる場合におきましては、支払いが確立しなきやなりません。それはやはり経済基礎のあるコンマーシアル、べースによらなきやならんことは誰もわかつておる。当り前のことを言つておるだけだと私は考えておるわけであります。
  72. 永井純一郎

    永井純一郎君 その程度のことであれば、あなたに答弁を頂くまでのこともないのであつて、アメリカの政府或いは業者の考えがやはりあの当時のマーケツトに反映をしておると、こう思うから我々は聞こうと、こういうわけだつたのですが……。それでは、昨日からの新聞には、国際開発銀行の機構に加入ができるというようなことにだんだんなりそうでありまするが、これもまだ未定だという答えがあるかも知れませんが、外資導入について特に重要な基本産業、特に電源の開発といつたようなものに外資が重要な問題として考えられますが、新聞の伝えるところでは、総理も、外資の問題は打切つたわけでもなし入らないというわけでもない。むしろ必ず入るというようなことを何かの会合で言つておられたやに拝聴しておりますが、この国際開発の銀行に加入ができるということで、このことを大体当てにして、当局が外資の問題はまだ十分行けるというふうに言つておられるのか。又電源開発についてこの開発銀行のほうからの融資を考えておられるのではないかと思いまするが、その辺、大蔵大臣から説明をしてもらいたい。
  73. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 我々はあらゆる方面で外資導入に努力いたしておるのであります。而して見通しでありまするが、外資導入も今の民間投資の問題のみならず、アメリカの輸出入銀行或いは国際通貨基金等の一部である開発銀行等からも入るということを期待しております。
  74. 永井純一郎

    永井純一郎君 最後にもう一つ大蔵大臣に伺つておきたいのですが、私は先ほど申しますように、外資導入の基本はやはり日本の基本産業、重要産業の企業の合理化ができるためのそういういい外資でなければならんと思いまするが、先ほど来事務当局の話等もいろいろ伺つておると、ただどんなものでも入つて来ればいいんだ、そのために入りやすいような法律を作つておくのだというふうに結局なりそうなのでありまするが、私は大蔵大臣に伺いたいのは、相当具体的になりますが、今後の見通しとしてどういつたような事業に、産業外資が入り得る見通しであるのか、それを伺つておきたいと思います。
  75. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは、この八条の、「日本経済復興悪影響を及ぼす」ようなものであつてはいかないのでございます。従いまして、とにかく生産の拡充、企業の合理化、こういう方面に入つて来ることを望んでおるのであります。相手のあることでございまするから、向うがこういう株式を持ちたい、こういう会社に貸付けたいというときにおきましては、この外資法によつて外資認許可するということにいたしたいと思つております。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律案は結局まあこれまで市場を通ずる株式については配当送金を認めたのを、これを拡大して元本送金も認めるようにしよう、それを以て市場を通ずる外資導入に資しよう、こういうまあ点が一つの大きな狙いだと思うのです。そこで大臣に伺つておきたいのは、どうも我我実際から見ますと、根本的に日本に信用がなければ外資が入らん問題もありますが、技術的に見てこの法律案の狙いとして、こういう形で相当外資が入ると思われるかどうか。我々聞くところによれば、こういう元本送金についてもつと期限を長くして、例えば権利株の場合から認めればそれはいいかどうかわかりませんが、問題のあるところでしようが、そういう形をとれば入つて来るでありましようが、配当送金をこういう形で認めるということによつて市場を通ずる外資相当つて来ると考えるのは、これは実際に即しない、こういう議論があり、この法律案一つの的外れである、こういう意見があるのですけれども大蔵大臣はどうでしようか。
  77. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほどから申上げておりますように、今の一年、三年の問題、毎年二割の送金の問題、いろいろな問題があるのであります。アメリカその他の投資家から見れば、何も制限がないほうがこれは一番よろしうございます。日本人と同じように勝手にできるということになつておれば望ましいと向うは申しましようが、為替管理をしております建前上、又将来の国際収支等を考えまして、私はこの程度でも相当期待し得るのではないかと考えております。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この三年という基準は何を基準にして据置く期間なんですか。
  79. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 何を基準ということもございませんが、まあ入つて来たらすぐ出てもいいのだということでなしに、三年程度は一応据置くのが適当だと、こう考えておるのであります。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最初聞くところによると、大蔵大臣は五年程度考えておると言われておつたのですが、それで或る外人の会の席上、例えば三年据置き二〇%、こういうことを話されたので三年ということが出て来たと伝えられているのですが、それはまあ事実かどうか知りませんが、日本にとつては、今後経済が将来激増するような場合には、やはり据置期間を長くしておいたほうが有利であることは明らかで、長くしておいてなお入つて来るならばこれはいいことは明らかだと思います。大体五年でも入つて来るだろう、併し今のような状態で仮に三年にしたところでそんなに入らないのじやないか。それで大蔵大臣は大体向うの証券ブローカーのベイチエという人ですか、そういう人と会つて意見を聞いて大体こういうような法案を出されたのじやないかと言われているのですが、やはり長くて入るなら私はもつと五年程度で、やはり国際的なあれを見てもよろしいのじやないかと思うのです。それでこの外資送金について、これをもう非常に外国投資家に有利にする国は、大体植民地なんか多いのであります。植民地ほどこれを有利にしておる。有利の度合が大きいほど植民地的であつて、大体そうでない国はやはり今も国際情勢上為替管理とか何とか相当強化しておる。従つて私は五年程度でも差支えないのじやないか、こう思うのですが、大蔵大臣はどうですか。
  81. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 内部のことを申上げて恐縮でございますが、五年というのは事務当局の案で、事務当局が強く五年と言つた、私はいかん、三年だ、こう言つたので、話がきまつてないときに三年と言つてしまつた。私は初めから三年と考えておつた外国人に言われてどうこうしたわけじやございません。それから為替管理なんか、これは実を言つたら、今はやりでアメリカあたりで殆んどやつておりますが、常態に早く復せるようにいたしたいものだ、こう考えておるのでございます。先ほど来一年という案もありましたが、五年というお考えもあるようですので、その間を取つて三年とした……。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度仮にこの法律案が通るとして、それで非常な弊害が伴わないかどうか、これに違反して元本送金なんかが起るようなことがないかどうか、この点についてはどうですか。
  83. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 違反のないように十分法に権威を持たしたいと思います。具体的には事務当局から……。
  84. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 認可いたしましたところによつて、今度現実に対外送金いたします場合には、日本銀行の窓口へ円を持つて参りまして、それをドルに換えて送金するわけでありますが、その際に手続は詳細に規定いたしまして、違反のないようにしております。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはですね、最近ブラジルで問題が起つておるやに聞いておるのであります。相当違反があつて、最近ではブラジルで法令を、昨年暮ですか、改正してこれを強化しなければならん、こういう例がある。そこで念のために質問したわけなんですけれども、ただ手続や何かを厳重にするといつても、外国にこういう例があるのですから、そういう実情もよく調べて、どういうわけでそういう違反が多かつたのか、そういう点調べて、これを実施後そう違反が多くて、どんどん国外へ行くようなことでは重大な問題ですので、実情を調べて又報告して頂きたいと思います。ブラジルの例であります。
  86. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ブラジルの例の問題、お答えになりませんか。
  87. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) よくブラジルの例を取調べまして、現実に違反の起らないように十分注意して参りたいと思います。
  88. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) よろしうございますか。それでは質疑も大体終了したようにも見受けられますけれども、この本委員会の運用の問題、本法案の処理問題を含めまして御懇談的に御相談申上げたいと思います。従いまして委員会はこれを一応打切つて置いたほうがいいと思いますが……、それとも速記でもとめたままでやりましようか、必要があれば……。速記をとめて下さい。    午後零時二十五分速記中止    —————・—————    午後零時四十分速記開始
  89. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは速記を始めて下さい。では今御懇談申上げましたように、この連合委員会におきましては大体質疑は終了したように見受けますので、この連合委員会は、なお大蔵委員長からもたびたび希望もありましたので、今日で以て打切りたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは今日で以て連合委員会を打切りたいと思います。なお御懇談中に申上げましたように、修正意見等がありましたならば、この次経済安定委員会を開きます際に一つ御提出なり、適宜な処置ができますようにお願いをしておきます。特別な御発言もなければ、これで散会いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは散会いたします。    午後零時四十一分散会