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1952-05-07 第13回国会 参議院 経済安定・大蔵・通商産業・建設連合委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月七日(水曜日)    午後二時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長      佐々木良作君    理事             郡  祐一君             永井純一郎君    委員             奥 むめお君             山川 良一君   大蔵委員    委員長      平沼彌太郎君    理事             大矢半次郎君    委員             黒田 英雄君             小宮山常吉君             小林 政夫君             大野 幸一君             下條 恭兵君             波多野 鼎君             油井賢太郎君             木村禧八郎君   通商産業委員    委員長      竹中 七郎君    理事             結城 安次君             栗山 良夫君    委員             中川 以良君             松平 勇雄君             山本 米治君             高瀬荘太郎君             清澤 俊英君             小松 正雄君             境野 清雄君   建設委員    委員長      廣瀬與兵衞君    理事             赤木 正雄君             小川 久義君    委員             石川 榮一君             深水 六郎君             前田  穰君             門田 定藏君             東   隆君   衆議院議員             福田  一君   国務大臣    大 蔵 大 臣  池田 勇人君    国 務 大 臣  周東 英雄君   政府委員    公益事業委員会    委員      松永安左エ門君   事務局側    常任委員会專門    員        渡邊 一郎君    常任委員会專門    員        桑野  仁君    常任委員会專門    員        木村常次郎君    常任委員会專門    員        小田 正義君    常任委員会專門    員        山本友太郎君    常任委員会專門    員        小田橋貞壽君    常任委員会專門    員        林  誠一君    常任委員会專門    員        武井  篤君    常任委員会專門    員        菊地 璋三君   説明員    経済安定事務官  佐々木義武君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電源開発促進法案内閣送付)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは経済安定と、通商産業建設大蔵の四連合委員会を開会いたします。  電源開発促進法案に関する委員会でありまして、電源開発促進法案に関しましては第六回の委員会になつております。途中に大蔵委員会が参加されたのであります。質疑中でありますから、引続きまして質疑に入つて頂きたいと思いますが、その前に議事の進行につきまして、関係委員長のかたと大体あらかじめ打合せましたことにつきまして御報告をいたします。  今週十日までを第一週と見まして、逐次第二週、第三週と考えて、一応の日程を立てたわけでありますが、この電源開発促進法案に関しましては、今週第一週におきましては、今日七日と、次に九日の午後に開会する。なお途中でありますが、従来質疑通告順序に従いまして質疑を行なつて来たわけでありますが、委員会が四つの連合で非常に大きいものでありますから、質疑が片寄る傾向があるので、成るべくならば今日やるかやらんかということを事前にわかるようにして進めて行きたいというお話もありまして、それらを勘案いたしまして、関係委員長打合せましたところ、今日は、先日流会になりました委員会の継続でありますので、先ず優先的に、大蔵委員会のかたに優先的に発言願つて、時間があれば、或いは関連質問があれば、他の委員のかたにもやつて頂く。それから次の九日金曜日の午後の委員会におきましては、まだこれまで一回も発言がありませんために、建設委員会のかたを先ず優先的に取扱つて、そして大蔵委員会の残りがあるならばそれを附加える、こういうふうにいたしまして、第二週、十二日以降十七日までの第二週におきましては、一つ固めて通産委員関係のかたに質疑を成るべくならば中心に行なつて頂きたいということで、この間に二、三回、通産委員会日程と睨み合せまして、十二日から十七日までの間に二、三回委員会を開いて、そして優先的に通産委員のかたにやつて頂く、こういうような打合せになりました。そしてでき得るならばそれまでに一応の質疑を成るべくならば了したい。残つたものについては、第三週以降に讓るわけでありますが、一応第二週までで、でき得るならば質疑を包括的に行なつて頂きたい。一応は十九日、第三週の十九日を予定いたしまして、あとの質疑残つたもの等を併せて、ここで盡し、以後の御相談を申上げる、こういうような段取りに一応打合せました。と言いますことは、一つは、公聽会を開かなければならないだろうという話が付託されております経済安定委員会におきましても起つておりまして、それがためには一週間か十日前には通知をして公聽会準備を進める必要がありますので、その準備ために、一応第四週二十六、二十七日あたりを公聽会の目標としたいというところから、ずつと逆算をされて、今のような打合せなつたわけであります。次々に連合委員会を、開きまして、必要に応じて委員長さんがたと御相談しながら、なお具体的にきめて行きたいと思いますが、一応の予定を右のような恰好で進めて行きたいと、こう思いますので一応御了解をお願いいたします。従いまして本日の委員会は、前回をそのまま受けまして、大蔵委員のかたに優先的に質問をして頂くということになります。従いまして従来の既通告者からの答弁の要求がありました出席者は、発議者のほかには、周東経済安定本部長官、それから池田大蔵大臣、それから公益委員会関係代表者ということになつておりますが、現在のところ発議者のほかに安定本部総務長官、それから公益事業委員会からは、委員かたはちよつとお差支えがあるらしくて、事務総長の松田君が出席をされております。大蔵大臣はやがて出席するそうであります。なお大蔵大臣のほかに大蔵省関係の各局長、課長等々が補助的に出席はされております。それから発議者関係説明等の必要のため出席されておりますかたは、従来通りであります。  それでは前会に続きまして質疑を続行して頂きたいと思います。下條恭兵君どうぞ。
  3. 下條恭兵

    下條恭兵君 発議者に対しても私はお尋ねしたいと思つておりますけれども、先ず安本長官お尋ねいたします。この法案は非常に、提案理由を見ましても、又法案條文を読んでみましても、国の予算関係する点が大きいと思うのでありますが、特に国土総合開発関係等がありますので、政府におきましては、先般建設大臣は失言かどうか知りませんけれども、予算に関連するような法案議員提出にしてもらつては困るというようなことを言つておられた、かように聞いておりますにもかかわらず、この法案議員提出の形をとられたことについて、私はその理由がどこにあるかはつきりわからんのであります。私は今安本長官お尋ねしたいのは、先ずこの法案によりますると、このいわゆる電源開発の一社の構想であります。そのほかに九電力会社にも開発させるし、公共企業体にもやらせるし、自家発電もやらせると、こういうようになつておると思うのでありますが、安本長官立場で、こういうやり方でやつて行つて日本電力行政に対して将来支障が起きるか起きないかという点に対する御見解を先ず伺いたいと思います。
  4. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えをいたしますが、新らしい法案に基いての特殊機構によつて開発と、従来の九つの会社、或いは自治団体開発というのとを並行されて行つても、将来の電力行政について支障はないかというお尋ねでありますが、別に支障はございません。
  5. 下條恭兵

    下條恭兵君 この法案によりますと、今度この法案に基いてできる会社だけは、国土総合開発的な立場に立つて電力開発をやるし、ほかはそのような考え方余り強く持たなくてもいいのだという印象を與えるように思うのでありますが、私は電力開発は、たとえ規模の小さいものでありましても、関係する水利問題等からいたしまして、大規模のものと同じような考え方でやることによつて初めて国土の高度の利用もできるし、農業生産の発達も期待できると、こう考えるのでありますが、この点に対して安本長官は如何なる見解を持つておられるかお伺いしたいと思います。
  6. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お尋ねの点でありますが、何か今度の特殊機構によつて開発する個所だけは国の総合計画に入つておる。他の方面でやる開発各個ばらばらにやつてもよろしいということを是認するがごとく見えるというお尋ねであります。そういうことはないのであります。たまたま開発担当者として各種の形態が、主体があるということだけでありまして、今後の電源開発については無駄のないように、それぞれの個所についてはできる限り各関係するところのものについて、よくその影響するところを見極めて開発をして行きたい、かように考えております。
  7. 下條恭兵

    下條恭兵君 私はこの点について疑問を持つのでありまするが、これがいろいろと事業会社自家発電というような場合に、或いは九電力会社自分営業採算中心にしてやります場合に、果して国で求めるところのそういう公共性を含んだ電源開発が実行可能であるかどうかという点について多少疑惑を持つておるのでありますが、そういう点に対して将来支障が起きないというふうにするためには、政府としましてはどういう措置を講じてそういうふうな営利事業電源開発公共性というものを調整をとつて行こうという考えでおられますか、一つお尋ねしたいと思います。
  8. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) この点は質問者のよく御承知のことだと思いますが、今日まででも各会社等電源開発するに際しまして、どの河川でどの場所に発電所を作るか、どこにダムを作るかということに関連しては、或いは灌漑水の立場から或いは洪水の調整立場から或いは流木路の設定或いは魚梯の設置の問題ということは各地元地元意見をよく聞いて調整して、これが水利権の許可がされるわけであります。往々にしてお話のように、営利会社だから自分立場から考えついたから、そう余り人のことを考えておつては損をするのじやないかということで、そういうことはできにくかろうという御質問であります。これは勿論そういう個々の場合にいろいろ利害の衝突の起る場合もありますが、今日別途国土総合開発計画を進めておる立場からいたしまして、地方に特殊地域十九カ所を指定されております。そういう個所におきましては、今度新たにできる特殊会社のやる部分でない個所が相当あります。そういう点についてもやはり地方的にそういう面から見てこれは面白かろう、ここからやろうということを国で計画し、そういうことをやはり電力会社と相談してやつております。もとより権力的にこうやらなければいかんとか何とかということはないのでありますが、それはおのずから従来からもしておる通りであります。一面には私益と公益との調整を、何ぼ営利会社であるからといつても、それは調整されて行くべき筋合いのものであると私は考えております。
  9. 下條恭兵

    下條恭兵君 筋合い安本長官の御説明通りだと思いまするが、併し従来の例から言いまして、営利企業としてやる場合にそう私は公共性が尊重せられ、又一〇〇%できるとは思いませんので、このような質問をいたすわけでありまするが、今後日本電源を唯一の資産として経済の自立を図つて行こうという場合には、私はむしろこういういわゆる一社案をおやりになるのだから、そこで全部まとめてこの計画でおやりになるほうが妥当ではなかつたかと思うのでありますけれども、この点に対して安本長官の今のお言葉ですと、まあ営利企業であつて調整はできる、こう言つておられますが、更に一歩を進めて全部をこの一社でおやりになるほうが、より公共性を発揮できるというふうに考えられまするが、この点に対して安本長官はどういうふうにお考えでありますか伺いたい。
  10. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もなお尋ねであります。これは議論の分れるところであります。電力のごときものは全部国営でやつたらいい、こういう御意見もあることは承知しております。これはまあむしろ社会党のような立場をおとりになるところの考え方でありましよう。併し今日、急速に急ぐ場合に、一社でこれに大きな資本を持ち、あらゆる機関を持つて行くということは別といたしまして、今日の場合やはり従来の九社案、或いは地方的に、自治団体でやるという場合も見つめつつ、並行して早く着手して、早くたくさんの個所開発せられることが望ましいのでありまして、只今のところ全国開発を何もかも一社でやつてしまおうという考えは毛頭持ちません。
  11. 下條恭兵

    下條恭兵君 電源開発が非常に急を要することは、これはもう論を待たないところでありまして、一刻も早くやる必要があると思うのでありますけれども、併しながら電源開発が一遍方途を誤りますると、或いは拙速に堕することは私は禍根を長く民族の将来に残すと思うのであります。そこで従来考えられておりましたところの戰時中若しくは戦争以前におきましても、いろいろ電源開発計画はやつてつたと思うのであります。でありまするが、いろいろの外部の経験なんかを入れまして、戰後新たに案を立てられたものもあると思うのであります。  この優劣については勿論いろいろな見解もありましようし、いたしますけれども、私は案のいい惡いよりも、或いはいい案であつて片方のほうは長い間やつてつたために、具体的な設計などもでき上つておるし、片方は立派な案であつても、そうして若しかすると、そのほうの案が非常に理想的な案であつても、そういう具体的な計画なんかがなかつたために、いいほうの案が葬られるというような場合も、今の安本長官拙速主義ということが余り強く要求されますと起ると思うのでありまするが、政府におきましては、そういう点に対して、今後私は必ずこういう問題は具体的に起るだろうと思いますから、特に安本長官にお伺いするのでありまするが、どういう態度でお臨みになるか、一つお伺いしておきたいと思います。
  12. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お話の点は、この特殊な機構ができました後、実際の運用面において十分調節せられることであると思います。従来から調査済みの所でありまするならば、その従来の調査使つてこれを活用するということは十分できましよう。又新らしくできましたからといつて、何もかもすべて新らしい技術がなくても、従来の会社等における有能な人を活用し、使うこともできると思います。要は先ほど申しましたように、今日並行して二つのものがあるといつても、それがために常にそれは対立関係にあつて、そして別個の新らしい調査をやつてこれからスタートするというのでは私は遅いと思いますので、そういう点は十分活用して行くつもりであります。
  13. 下條恭兵

    下條恭兵君 もう一点お尋ねしたいと思いますが、今度のこの促進法議員提出になつておりまするが、併しこの法案に基く会社に対して、政府のほうは外資導入考えておられるかどうかという点について一つお尋ねしたいのであります。
  14. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) この電力開発等に関しまして、今日の日本の状態からいたしまして、外資導入されることは希望をいたしております。いろいろの面から努力はいたしておりまするが、この計画それ自体につきまして、仮に外資が止むを得なかつたという場合におきましても、計画はできない、こういうふうな行き方にはなつておりません。相手のあることでありますから、それがなくともやり得る計画、それがなくとも電源というものはすべての産業の基本になつているのですから、その開発をすることが今日の日本産業の復興上絶対に必要なものでありますから、これはすべてを優先的に考えて行くという建前でできております。
  15. 下條恭兵

    下條恭兵君 いま一点重ねてこの問題を伺いますが、先般来外資が入らなくても、この会社事業政府として遂行せられる決意であるということでありまするが、これは勿論当然であります。当然でありますけれども、私は政府としましてはこの会社に対して外資が入るほうがよりいいとお考えなら、私は議員提案にするよりも政府自体が立案いたしまして、政府として真劍な態度外資導入に対して努力をして出すほうが私はよりよかつたと思うのですが、この点について安本長官は如何にお考えになりますか、お尋ねいたします。
  16. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もなお尋ねでありますが、これは今日の政党政治のあり方といたしまして、與党政府は一体のものであります。且つ又電聞源開発のごとき比較的長期にかかわるものにつきましては、むしろこれは與党考えましたように、むしろ超党派汲的に如何なる場合であつてもこれを継続して行くということの必要性がありますので、むしろそういう立場から議員提出をしていいのじやないかという声が高くなりまして、いろいろと各党にもお話をしたはずであります。非常に急いでおりますのでその議がまとまらんうちに先ず早くということで、與党から出しております。従つて與党提出した内容につきましては、政府はもとよりこの内容については賛意を表してこれを支持いたしております。従つてこれが遂行に関しましては、あらゆる部面について政府はこれに対して努力、協力して行くという考えでおります。
  17. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 先ほど出席者を申上げましたほかに、つまり発議者周東安定本部長官その他の説明員のほかに、先ほど申上げましたように大蔵大臣及び公益事業委員会からは委員長代理松永安左エ門君が出席されておりますから、質問される場合におきましては御答弁の相手方を指定して一つ発言願いたいと思います。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 只今下條委員から最後にお尋ねがあつたのでありますが、私は專らこの電源開発についての資金繰りについて前回質疑を行なつておるわけでありますが、提案者福田氏にお尋ねをいたしましても十分な回答が得られない。むしろ大蔵大臣に尋ねて欲しいというような御答弁前回つたのであります。そこで先ほど周東長官お答えなつたように、この案は福田一氏ほかの議員提出ではあるけれども、政府は全面的に案自体についても責任を持ち、将来の遂行についても責任を持たれるのであるかどうか。特に資金繰りの点については大蔵大臣お尋ねをしたいと思います。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この法案提出に際しまして我々もそれに参画いたしております。吉田内閣といたしましては法案施行に万全の用意を持つております。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 そうしますと、いろいろ出された資料については全部政府責任提案者と共に負われると了解してよろしうございますか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資料はどんな資料が出ておるか存じませんが、責任を持つ資料とは如何なるものかわかりませんが、とにかく法案施行につきましては万全を期しております。
  22. 小林政夫

    小林政夫君 それでははつきり大蔵大臣お尋ねしていいかどうかということは疑問になつて来る問題も出て来るわけでありますが、一応お尋ねをいたしますと、先ず先般来私が二十八年度以降の資金繰りについていろいろお尋ねしたのであります。二十七年度までにおいては、おおむね私の要求する資料乃至説明があつたのでありますが、二十八年度以降の問題については、それぞれ関係者のかたも見えてどうもまだまとまつておらない、責任ある資料提出ができないということなのであります。基だその点は遺憾に存じますが、先ずこの法案によつてこしらえようとしておられる特殊会社の点について、特に一般会計から歳出を予定されておるこの二十八年度以降の政府株式、即ち二十八年度には百五十億、二十九年度百七十億、以下三十二年度まで、こういうふうに数字を挙げてありますが、これについて大蔵大臣責任を持たれますか。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二十八年度の一般会計からの歳出につきましてはまだ検討中でございます。どういう資料になつておるか、まだ見ておりません。
  24. 小林政夫

    小林政夫君 それから二十七年度においては電力会社電気事業者自己調達資金のうち借入金は二百数十億を予定し、その中で、この前の説明ですと、百億は金融債による紐付融資ということになつておりますが、又その後において説明に来られた人の話によると、百五十億ぐらい希望しておるのだというようなことでありますが、金融債引受については、資金運用部資金において二十七年度予算審議の際には計上しておらない。併しその後において財政余裕金金融債に振替えるという含みを以て百億の預託をされたというような問題もありますが、少くとも電気事業者に対して百億乃至百五十億の資金運用部資金による金融債引受けて、紐付でありますが、これは二十七年度についてでありますが、これについては大蔵大臣は必ずやるという意向でありますか。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十七年度におきまする電力開発の総体の金額は千億を超えておるかと思います。そのうち会社が自己調達いたしますものが五百数十億円だつたと記憶いたしております。これはお話のように社債の発行並びに増資によつて賄うことを予定いたしておるのでありますが、どうしても電力開発必要性から申しまして、そのくらいの計画は前から必要であると我々考えておりましたから、何とかして金融債のほうで資金運用部から援助したいと思つてつたのでありますが、各会計を通じての均衡予算上から予算審議のときには、金融債引受は見ていなかつた。併しその後の情勢によりまして、私は本年内において前年以上の、前年の計画は三百億でございましたが、資金運用部資金百八十五億と、これ以上の金融債発行資金運用部でいたしたいと計画いたしておりますからお話の二十七年度におきます金融債発行、主として電力は百億、百五十億以上とお考え願つて結構だと思います。
  26. 小林政夫

    小林政夫君 二十七年度の電気事業者自己調達資金というものは、大体大蔵大臣お話になつた通りであり、二十八年度においては六百十四億というものが予定されております。この内訳についてもはつきりしたことはわかりませんが、大体二十七年度並みであるということであると、やはり資金運用部資金においても同額のものを電源開発関係に要求しなければならんことになります。そういうことも二十八年度においても同様に見る。二十八年度が一番私の見るところでは資金繰り上苦しい年である。電源開発に関する限りにおいては、二十七年度が百億乃至百五十億であるならば、それ以上のものを資金運用部資金から出すという肚がなくてはいけないのではないか。更にこの提出された資料によると、二十八年度において見返資金によつて電気事業者に対して三百七十億円の融資をするということになつておりますが、二十七年度の予算審議の際に提出された資料によると、二十七年度から二十八年度に繰込みされる見返資金の量というものは百億であります。で、二十八年度に見返資金貸付額で回収される金が百八、九十億であるといたしましても、なかなかこの三百七十億というと、全額見返資金源電源開発に使わなければならない。更に国債の二十七年度において資金運用部資金に売却する三百億を除いて、その残が見返資金に百九十億ですか、あると思いますが、そういうものも売却しなければ見返資金として三百七十億も電源開発に用いるということは困難なんじやないか。こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろ專門的なお話でございますが、御承知の通り電力必要性は何人も認めておるのであります。あらゆる資金源を捕まえるよりほかにございません。お話通りに見返資金から二十七年度は三百億出しますが、来年度はその程度しか見返資金から出ない。造船資金は二十七年度百四十億出しますが、もう二十八年度にはない。で、どうするかという問題が起つて来ると思います。然るところ、只今の国民貯蓄の増強は非常にいいのであります。昭和二十六年度も貯蓄目標を五千三百億円と見込んでおりましたら、実績は六千三百億円になつておるのであります。こういうことでございますので、何も電力開発を見返資金とか資金運用部資金にのみ頼る必要はない。私は全般的に資金の蓄積を図り、そうして政府資金に頼らずに民間のほうで十分に供給し得るような態勢を、財政金融政策をとるべきだと思います。二十八年度につきましていろいろな見通しもありましようが、私としては何をおいても第一に電力、第二に造船、こういうことで金融政策をやつてつておりますので、今の見通しでは、どういう表を配つたかわかりませんが、昭和二十七年度におきましても、今まで配つたもの以上の電力開発資金を出したい、又大体その見通しが付いておる。丁度金融債引受を予定していないのは百五十億或いは二百億できる。或いはそれ以上できるようになることを見込んでいるのであります。どうぞその点は今まで出た資料よりも大蔵大臣のほうがもつと金を準備しておるとお心得願いたいと思います。
  28. 小林政夫

    小林政夫君 いろいろこの社債の引受であるとか、或いは予定されておる、作らんとしておられる特殊会社につきましても、民間社債を二十九年度以降においては持とう、又電気事業者のほうでもかなりの社債を持たなければならんし、又増資による自己資金の増加ということも図らなければならん。いろいろ相当の資金量を要するわけであつて、勿論大蔵大臣お話のように国民の資本蓄積の増加によらなければ到底賄えないということは、一応話としてはその通りでありますが、少くとも大蔵大臣限り、政府限りでやれる資金について、ここに提出されておるようなことは必ずやるのだ。又やり得る計画を……今のお話のようだと少くとも出されておる数字は最低限度である、それ以上のことをやりたいと思つておるということでありますが、この二十八年度以降について金の心配はない、結局大臣の答弁を要約すれば、金のことはおれに任せということになるわけでありますが、一方昭和三十年度末までには、少くとも需用端において四百八十億キロワツト・アワーの電力を確保するのだということを言われておる。そうすれば経済情勢はいろいろ変動するけれども、少くとも四百八十億キロワツト・アワーの電力を確保するということを確言されるに当つては、この際に第一期計画についての年度別の資金繰り、たとえ将来変ろうとも一応四百八十億キロワツト・アワーを生み出す資金繰りは確定しておらなければならんと思うのですが、その点についてただ大蔵大臣に任せ、金のことは心配するなということで我々は了承できないのじやないかというふうに思いますが……。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろんな場合に三年計画、五年計画という議論があるのでありまするが、今の日本の置かれております状態で三年計画、五年計画というのはなかなか作りにくいのであります。紙の上でございますと一応は作られます。併し二十七年度におきましても四、五カ月の間で、金融債引受が三、四カ月前にはわからなかつた。今では百五十億、二百億はできるような状態になつて来るのでございますから、私は問題はどこからどれだけの金を出すということよりも、蓄積される資金を、民間或いは政府資金でどの程度のものを第一義的に電力に出すか出さんか、これが問題だと思うのです。二十八年度計画が二十七年度よりも相当多いでございましようが、併し申上げておりますように五千三百億の貯蓄が六千三百億、或いは今年度は六千八百億と言つておりますが、それ以上になる、こういうことになつた場合に、最も重要な電力に千五百億そこらは何でもないことだと私は考えるのであります。若し出るだけの金がないという場合におきましては、ほかのほうを抑える。例えば昨年の場合におきましてもビルの建築を差しとめる、こうやつて行きますと相当の電力がその他へ廻るようになるのでありますから、これは二十八年、二十九年、三十年を今ここでどこからどれだけ出すということを議論なさるということはよろしうございますが、案外地につかん議論じやないかと思います。問題は電力を優先するのだ、こういうことがきまれば、千五百億程度のものは如何ようにしても出ると私は考えておるのであります。
  30. 小林政夫

    小林政夫君 下條委員も言われましたが、私はどうもいろいろ検討をして見て、この計画内容としてはいろいろ現在の情勢から考えるならば、二十八年度以降の資金繰りについては相当苦しい面がある。又学者の推定によつても、戰前電力量の増強と資本蓄積量とを比較して見ると、資本蓄積計数と電力量の増大計数とは大体同じである。而も最近においては、戰前よりも大分化学産業等に電力が要るわけであつて電力を使う量というものは計数的には戰前よりも殖えておる。資本蓄積計数と電力増大割合とが等しいとすると、昭和三十年度末において四百八十億キロワツト・アワーを生み出すのには、客観的にいつて六割の資本蓄積増を要するということになる。むしろそれ以上の増が要るということになりますが、そういつたような点から考えて、どうしても外資を引当てにされての計画ではないかということを思うのであります。まあ外資が入ればなお結構であつて、入らなくても何とか今のお話ではやるのだということでありますが、これはもとより総力を挙げて電源開発へやるので、何を捨ておいてもこれだけの資金は、外資が入らなくても国内において、大臣の責任において或いは政府責任において確保するのだというお話でありますが、実際にぶつつかつてそう行けるだろうか、非常に危惧するのであります。従つてもう少しよく考えさして頂かないと十分我我として納得ができがたいと思います。外資の問題については、下條委員からのお尋ねに対して安本長官は、入れば結構、入らなくてもやるのだということでありますが、全然引当にせずでも大蔵大臣もやつて行くというお考えですか。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 見通しの問題につきましては、先ほどお答えした通りであります。私は今どんな資料を出しているか詳しく存じませんが、日本経済状況から申しましたら、今まで考えておつたような電力の発電ではまだ足りないのだ。水力ばかりのことを考えておられるようですが、最近私は火力発電を相当やつて行きたい。今の計画が三十年、三十一年になつてやりますが、それまで待てないというふうな事情もあるのであります。従いまして電力開発資金のその計画以外に、私は火力発電のほうでも一つつて行きたい。火力発電の問題になりますると、近代的な火力発電機というものは日本でなかなかできない。技術は相当進んでおりますが、材料に日本でできないものがある。そういうものを入れて日本で発電機械を作るか、或いはアメリカのほうへ発電機械を注文するか。アメリカに発電機械を注文しますと相当の外貨導入があるのであります。即ちGEにいたしましてもウエステイングにいたしましても、その機械を購入するということになると輸出入銀行が参加してくれるのが例としている。こういう外貨導入考えなければならん。御質問の水力発電につきまして安本長官お答えされたように、外資が入つて来れば早急にできますし、いわゆる金繰りの心配も少ないのであります。入らなかつたからと言つてつておけない問題なので、これは第一番にやつて行きますので、私は、小林さんの御心配になるのは無理がないのでありますが、自分らとしてはこの計画以上に、水力は勿論火力も早急にやつて行きたいという気持があるのであります。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は先ず電源開発についての重要性については、それは大蔵大臣今言われましたが、勿論同感ですが、この電源開発特殊会社において、特殊会社の形態においてこれを行う理由です。その理由を先ず私説明して頂きたいと思います。これは安本長官に……。
  33. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今日の電源開発を急ぐという立場からいたしまして、従来の九つの電力会社を使うことは勿論でありますが、そのほかに相当規模の大きいところで、而も総合的、各般に関係するところの非常に多い、殊に公共事業費等によつて洪水調節、或いは灌漑用水というような立場から作つているダム等の総合的な利用の面から言えば、これを只今計画いたしておりますような特殊会社によつて急速に進めるということは、すべての関係のあるところに対して非常にスムースに行くということが一つ考え方であります。これは従来の九つの会社それ自体ではなかなか困難でありまして、一部伝えられるところによりますと公益事業委員会におきましても、むしろ現在の会社と併せて新らしく作つてやろうという意見もあるように聞いております。そういう意見もあつた。その際におきまして今言つたような総合性の立場から、而も比較的大きな立場から、これをどういたしましても新らしい場合における電源開発はコスト高を来たすのが普通であります。今日の場合できるだけ安く作るにいたしましても、一部は国家の出資をいたしている民間会社、特殊法人でありますけれども、民間会社にこれを担当せしめて、できるだけ比較的高い中にも安いコストのものを作ることが必要であるというような面からいたしまして、これと並行してやるわけであります。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 理由はその二つでございますか。只今お話を承わりますと、非常な大規模国土総合開発、そういう点、又その利用及び保全、こういう必要上からこの特殊会社の形態によるのがいい、これが第一点、第二の理由は、開発のコストが安くなる、こういうことが第二点、もう一つ重要な理由があるはずだと思うのですが、その二点だけでよろしうございますか。
  35. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 大体はそういう立場をとつております。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは先ほど来小林君からもそれから下條君からも質問されたところですが、その資金の問題に関係があると思うのです。これはこれまでしばしば政府が言われておつたと思うが、外資導入態勢の整備の必要上、こういう特殊会社の形態がいいのである、こういうことが一つの重要な理由であつたのではないか。これは私は落しておると思う。で、先ほど来この質疑を聞いて見ますと、この外資が入つても入らなくてもいいような答弁である。ところがこの電源開発促進法に基く特殊会社は、外資導入の受入態勢を作るということが重要な一つの私は狙いであつたと思うのです。総合開発上の必要から、又開発コストを下げるということも必要でありますが、第三に非常に重要な点としては、この外資導入態勢を整えるということが、これが重要な理由であつて、この外資導入を予定してこの電源開発計画を立てたのではありませんか。それが事情によつてつて来ておるのです。政府考えが最初はそうであつたのだけれども、事情が変化して外資導入が困難になつたので、先ほど大蔵大臣答弁されるような、非常に苦しい答弁をされて、小林君が非常に痛い所をつかれた。それは困るのは当り前です。それは最初は外資導入を予定して、それを前提として特殊会社の形態を作つたのであるから、それで私は電源開発特殊会社の形態においてやるという理由はやはり三つあると思う。その三つのうちの特に重要なのは外資導入の受入態勢、これを作るということであつたと思うのです。そうではないのですか。
  37. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 特殊機構の設定を必要とした理由については、只今申上げた通りであります。で、もとよりあなたの御指摘のように、今日の経済復興途上にある日本国内における資金繰りから考えて、外資導入があることを望むということは我々たびたび申上げた通りであります。併しいやしくも一つの重要な基幹産業にして、先ほど大蔵大臣も申しましたように、是非ともこれはやらなければならんという計画を立てるときに、人の褌を当てにして初めからこれだけ入るということを前提としての案を立てることは、これは愚なんです。私どもとしては外資というものは勿論望みまするが、それに対していろいろと努力はいたしますけれども、若しも最惡の場合は、如何なる場合もこれは是非やらなければならない。その計画に基いて資金計画をいたしておるのでありますから、それはよくはつきりと御承知を願つて置かなければならないと思う。初めからそういうふうな危ふやな計画は私どもは立てておりません。
  38. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今大蔵大臣からお話がありまして、三時半にどうしても行かなければならん所があるので、三時半までに若し質問があるならば優先的に大蔵大臣向けの質問をしてもらいたいというお話がありました。次回は九日でありますが、九日には又出席される予定であります。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の私の質問大蔵大臣に非常に密接な関係がありますので、続けて質問をいたしたいと思います。この特殊会社は、社債の発行限度、これは資本金ですか、その十倍まで認めるということになつております。これは他の電力会社の社債発行限度より著しく多いのです。どうしてこんなに多いのか、お伺いいたしたい。
  40. 福田一

    衆議院議員福田一君) お答えいたします。前にも申上げたのでございますが、実は先ほど来御指摘がありましたように、外資導入されることを我我は希望いたしておるのでありますが、その希望が実現いたしました曉におきまして、政府といたしまして、特殊会社外資を如何なる形でやるか知りませんが、社債の形でこれをなすというような場合が起きますときには、相当額のものが入つて来た場合に、社債の発行限度を余り従来のように少くいたしておきますというと非常な不便が起る。そこで十倍にしておいたらよかろう、かような意味でそういうことにいたしたわけであります。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の御答弁のように、社債発行限度、この一つを見ても外資導入を前提にしておつたのです。それが事情が変つてマーカツト声明等等において入つて来なくなつた、電源開発に直接ですよ……。これが明らかになつたから、外資導入を希望してこういうものを作つたのだ、そういうような答弁に変つて来ておる。これは私はごまかしだと思う。ごまかしです、確かに……。この点はもつとはつきりさせませんと、この日本の自立経済計画の一番基本になる電源開発外資導入を前提として行われるのと、外資導入を今度は前提としないで、入つて来ない、こういうことでやるのと、日本経済に対する影響というものは非常に私は違うと思うのです。そこで私は安本長官に伺いたいのですが、この電源開発計画の一番の基本になつたのは、安本で立てられたあの自立経済計画であつたのじやないかと思うのです。これが基本になつておるのじやないのですか。あの安本の自立経済計画というものは、一応外資導入というものが、外資の援助というものが優先になつてつたと思う。これについても、外資導入ということが入つて来なくても、あることは希望はするが、なくてもやつて行く。併し外資がないということになると、あの自立経済計画自体も非常に私は変つて来ると思うのです。この点をいつもごまかしておるのです。この点をもつとはつきりすべきであると思うのです。若しそうでないとするならば、どうしてこの特殊会社形態をとるか、特殊会社形態をとらなくたつて外資を当てにしてやらんというなら、前の公益事業委員会、あそこで電力会社でやらしたらいいじやないかという案もあるのです。或いは又建設省では国営案もあつたわけです。それを特に特殊会社形態にしたというのは、外資導入ということが非常に重要であつたのじやないですか。私はこの企業形態と、外資導入というものが密接不可分のものであつて、それを外資が入つてもいいのだ、入らなくてもいいのだというような、私はそんなものじやなかつたと思うのですが、これを作るときは……、この点をごまかさないようにはつきりと御答弁を願いたいと思います。そうしなければ影響が違うのですから、非常に嘘を言つたことになるのです。
  42. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これはこの間からたびたび御質問に出ておるのです。勿論外資導入というものを希望し、これが計画であつたことは事実です。併し私がこの前からお尋ねにはつきり申上げておりますが、然らば外資導入が全然駄目になつた今日やめるのかやめないのか、それが変るだろうというお尋ねがあつたことをはつきりと覚えております。それにつきましては、一体問題は、希望し、それに応ずるように計画は立てるけれども、併しそれがなければやめるかということにはなりませんのです。そういう場合にはおのずからほかのほうの資金に比べて、こちらへ優先的にでも持つて来なければ、そのことは資金のみならず、資材についても、鋼材、セメント等についてもそういうことが起るだろう。併し我々としては他の産業に多少の影響がありましても、先ず基本産業である電力のほうをやる。これを優先的にやる。そうしてやることによつて次の段階において日本経済の復活が早くなる。あつちもこつちもやるというような恰好に、八方美人的に資金のない時代に使つてつたのでは、到底思い切つた進み方はできない。こういう考え方で進めております。従つてお話の自立経済というものについて、若しもそういうふうな極端な場合には、ほかの産業をやらないで、待たしても優先的にやるということになれば、多少の影響があるということは当然だということをこの前私は申上げました。この点をはつきり区別してお考えを願いたいし、私どもはつきりそういうふうに考えております。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、外資導入を当てにしなくてもやらなければならん、こういうお話ですが、それは私も電源開発はやらなければならんと思うのです。併しその場合、今度は外資を予定しないとなると、この電源開発による影響が、外資導入を予定した場合と違つて来ます。私はこれによるインフレの問題、インフレ要因の問題があると思うのです。相当外資を予定した場合と違つて外資を予定しない場合にはこれが相当のインフレ要因になると思うのです。そこで大蔵大臣はこのインフレを抑えるために、不急不要産業のほうの融資を抑えて行く、そうだと思う。ですから不急不要産業のほうの融資規制ということが非常に重要な問題になつて来ると思う。それを大蔵大臣はどの程度に……、この電源開発によるインフレをどういう形でこれを抑えて行くか。そういう不要不急産業に対する融資の規制というものをどの程度に、又どういう方法によつて行うか。先ほどビルの建築を抑えると言われましたが、その程度で……、その程度のことか、或いはもつと、相当融資規制を強化しなければならん、そういうお考えを持つておられるか、その点をお伺いしたい。
  44. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済は生き物でございますから、その都度々々適当な措置をとつて行きたいと考えております。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう……私は根拠を挙げて質問しておるのでありますから、生き物だからそのときどき行き当りばつたり、無計画、無政府的な、そういうような経済計画というものになつてしまう。で、私はここで質問するのですが、外資導入を予定したとき、あのときは国民生活水準を徐々にではあるが引上げる、こういう前提になつてつたのです。ところが外資導入を予定しないでやるとすれば、もう明らかじやないですか。不急不要産業のほうを抑えなければならんとなれば、それによつて電源開発以外の産業のほう、それから抑えられる産業、こういうものは非常な不景気になる。失業も生ずるでしよう。国民生活水準は下るでしよう。そうすると安本で予定したような自立経済計画は実行できない。或いは国民生活を徐々にでも上げるということは嘘であつて、あれは外資導入を予定したときの計画だと思うのです。そこに非常にごまかしがある。嘘があるから私はしつこく聞くわけでありまして、大蔵大臣がその場その場でそのときになつて考えると、そんな御答弁では私は満足できない。一応それは計画の構想なりをお示しになるのが当り前じやないかと思うのです。そんな行き当りばつたりでよろしいのですか。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 行き当りばつたりではございません。自分としてはインフレを起さないような方法でやつて行こうとしておるのであります。そこで外資導入電力にあつた場合にどうなるか。今例えば昭和二十七年度で千百億円の電力開発に、仮に三億五千万ドル、ドルが日本に積まれた場合にどうなるか、これをお考えになると、あなたのおつしやることになると非常にインフレです。だから私は外資導入につきまして努力はいたしますが、外資の要るときと要らないとき、あつて困るとき、例えば輸出が非常に殖えてドルが溜つて来た。インフレ防止のためにインベントリー・フアイナンスをやると、それだけ税金を取らなければならん、こういうことになりますと輸出が必ずしもいいか惡いか、金融的にはそういう問題が起つて来るのであります。で、今までの日本電源開発外資によつたということを言われますが、これは外資によつたのでありまするが、その外資は直接に開発のほうへ入つたのじやない。日本の輸入超過というものをカバーするための材料として電力開発電力社債が出たのであります。それでこの外資導入とインフレ論ということはよほど考えて行かないと変な結論が出て来るのです。丁度あなたが今電力開発をやるとそのほかの産業が潰れて、電力関係だけよくなるとおつしやいますが、これは又逆で、電力開発しないと生産が落ちて非常に困るのじやないですか。だから私はインフレを起さないように、而もできるだけ国内資金を有効に使う。それには電力開発のほうがプライオリナイを持つ。そして今度は国際貸借面から言つても今は非常に外貨が溜つておりまするが、将来を考えると二十九年度、三十年度或いは三十一年度頃になりますと、今のような特需がないということを想像いたしますと、外資導入を是非とも考えなければならない。併し外資導入を叫んでいる去年の秋頃のときに、二十六年度の外貨獲得が、ドル收入が、特需、新特需などで八億になると誰が想像したでしようか。だからその外資導入もやはりほかのほうとの兼合いにおいて議論しなければならんという問題だと思うのです。で、私は今急に三億五千万ドル、ドルを積まれてこれで電力開発するのだ、こうやつて行きますと、我々の予定していた千百億円というものはどこへ行きますか。これは変な使い方をすると非常なインフレになる。だから今外資導入とインフレ論につきましては、よほどこれはゆつくりお考え願わないといけないので、私は将来どうしても外資導入考えなければなりませんが、今のところこれがこの二十七年度はないから、我々はあることを期待して努力はいたしておりますが、ないからといつて電力開発ができんと結論を出すものじやないのであります。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは大蔵大臣は詭弁を言つているけれども、外資導入をするとインフレになる、そんな子供だましみたいなことを答弁せられるのはおかしいと思うのです。それは導入の方法であつて外資クレジツトを向うに置いておいて、見返りに円資金を出せばそうなります。併し最初の電源開発の前提としての外資導入考え方はそうじやなかつたはずであります。電源開発のほうに資材が相当たくさん固定化すれば、セメントとか鋼材とか銅とか固定化すれば輸出用材料が減るから、輸出が減るのを外資導入によつてカバーすると、外貨資金によつてカバーをする、そうして必要物資をこれを輸入するということになれば、これはむしろ電源開発によるインフレをそれで抑制する、いわゆる民需物資或いは輸出物資の減少をその外資導入によつてこれをカバーするという形になるのであつて、むしろこれはインフレを抑制する形において外資導入が行われると、こういうことになるのです。やり方であつて、そういう外貨を見返りとしての円資金の放出には、アメリカは反対であるということを新聞で書いております。私はそういうような子供だましみたいな御答弁では満足できないのです。もつとこの問題は真劔に考えなければならん。どうして私しつこくこう質問するかというと、やはり国民生活水準の問題に影響して来るのであつて、若し外資を当てにしないでやるならば、国民に対する生活水準が上るなんていうことを、そんな楽観的なことを言うべきじやないと思うのです。今後講和後の日本経済電源開発中心として本当に事実やらなければならないならば耐乏生活をやらなければならん。国民生活水準が下るかも知らん。そのくらいの私はまじめな意見を発表すべきである。それで講和調印前には、何か生活水準が講和が済めば上るかごとく宣伝しておいて、それは一切外資導入に頼つてつた。それが駄目になる。そうしてあとでその朝鮮動乱によつて多少蓄積された外貨があるので、これを使えば外資は当面は要らんとか、そういうようなふうに当面を糊塗するだけの政策しか持ち合せていないと思うのです。私は大蔵大臣はもつとこの問題については真劔に考えられておると思いましたが、何かそうやつて当面をごまかせばいい、何か素人に大蔵大臣みたいに説明すれば本当にインフレが起ると思うかも知れないが、私はそんなものじやないと思うのです。
  48. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は先ほど大蔵大臣お尋ねしようと思つて準備として安本長官にもお尋ねしておつたのですが、今小林委員に対する答弁を聞いておりまして、私は非常に不安になるのであります。なぜかというと、電源開発などは長期の計画であるので、それも今年の資金計画については見込があるけれども、来年以後は行き当りばつたり、まあどこからでも絞り出して来てやるというようなことで、外貨を当てにしない場合といえども、我々はここでこの法案を審議するにしましても、それでは私は審議はできないと思うのです。政府では農業生産についても五カ年計画なんていうものを最近発表しておるように思うし、又安本からは経済再建五カ年計画というようなことを発表しまして、昭和二十八年度までならば国民生活がこれこれになるというようなことをやつておられるのであります。ところが電源開発資金だけは二十七年度はわかつておるけれども、来年以降は一向わからんということは非常におかしいと思うのです。私は先ほどから外資の問題をいろいろお尋ねしたのは、今木村さんが言つているように、実は私もこの会社が、一つの狙いは外資導入する便法のために、本来ならば自由党或いは吉田内閣はこういう一社案のような、我々が推奨しそうな案はおきらいなはずだと思つてつたのに、あえてこれをやるということは外資を狙つたのであろうと、私はこういうふうに理解しておつたわけであります。そこで私は大蔵大臣お尋ねしますが、今大蔵大臣は若し本当に外資を入れずにやつてのけられるという自信があるならば、私はこの会社か一応の目標を達成するまでの長期資金計画をお示し下さるべきであると思うのであります。安本長官にしましてもそうだと思うのであります。それで外資導入を今甚だこう気乗り薄のようなことを言つておりますが、私はこれもおかしく思うのであります。なぜかというと、大蔵大臣は今外資法の一部改正を大蔵委員会に提案しておられる。これは外資導入ための措置としての一部改正なんであります。だから外資を当てにしないとか何とか言つておられること自体が私はおかしいと思うので、大蔵大臣お尋ねするのは、この法案で今大蔵大臣の言うように、或いは今日現在は外資は要らんかも知らんが、絶対要らんということは大蔵大臣も、安本長官も言つておられないのでありますから、果してこの法案が通過しても、会社ができたら外資導入の條件を備えるかどうかということに対する大蔵大臣見解お尋ねしたい。
  49. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外資が要らないとかいうようなことを言つていないのでございます。外資があればベターである、こういうこと、よりいい。併し相手のあることですから、自分らが要る要ると言つたつて相手か貸してくれなければ仕方がない。そこで私は電力外資も或いはその他の産業外資も、国際貸借上は同じでございますから、これは電力のほうで入ればほかのほうも入る。例えば電力でも火力発電ならば外資はこれはすぐ直ちに入つて来る。発電機の幾分は輸出入銀行が負担する。これも外資導入、それから日本の株を持つということも外資導入、あの手この手でやつておるのであります。外資というものは、何も電力外資とセメントの外資と或いは纖維関係外資と違つたわけじやないのです。大蔵大臣としては、資金が不足でございまするので、できるだけの努力はいたしておるのであります。それからこの会社ができたならば外資がすぐ来るかどうか、これは相手があることでわかりませんが、九電力会社が個々に外資を募るよりも、一電力会社が募るほうがやりいい、ベターであると私は考えておるのであります。従いましてこれが発足し、日本資金でどんどんやつて行くならば、これに応じて信用がついて来ますから、外資導入に非常に益することと私は考えております。
  50. 下條恭兵

    下條恭兵君 どうも大蔵大臣の言われていることは、外資は必要だけれども、さりとてそう熱意を持たなくてもいいというふうに言われますけれども、私はこれはおかしいと思う。なぜかと言えば、電源開発外資導入の最も適当な対象だということは、これは世間常識的に言われていることであります。それに対して、この会社に対して特に外資を入れるため努力をする必要がないという考え方は、私は甚だ腑に落ちないのであります。で、私は大蔵大臣にもう一度お尋ねしたいのでありますが、確かに今大蔵大臣はあの手この手ということを言つておられます。今日の毎日新聞を見ますると、根本元農林大臣をして華僑資本の導入を工作せしめたというようなことが載つておりますが、これはどうあつても、いろいろな手段を盡しておられることは私わかるのでありますが、そこでこの会社が今大蔵大臣の言われるように、まあ九会社が分れて外資導入を図るよりも、一社がいい。これは大蔵大臣の言われることをまともに私は受入れます。受入れますが、今この会社が内地の資本についても、政府の支出その他が来年のことは皆目わからんような状況に置いておいて、それで外資導入が可能であるとお考えになるかどうか、一つお尋ねます。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二十八年度のことは皆目わからんとは言つていないのです。これはあなたがたがそうおとりになるのですが、私は日本資金の蓄積は六、七千億円、而も皆さんが電力は第一だということになれば、これはもうわかり切つておる。これは千五百億円程度のものは一般蓄積か、民間蓄積か、政府の今までの投資の回収、或いは財政資金、これでやつて行くということは、これは皆目わからんのじやない。はつきりしておる。どの答えよりも私ははつきりしておると思う。それを預金部から幾らとか、或いは民間から幾らとか、或いは自己投資がどうだということは、これは狂いやすい。だから私は皆目わからんということは言つておりませんから、どうぞそのおつもりで御審議願いたいと思います。二十八年度におきまして、我我の努力が奏効して外資が来れば非常にいいのでありますが、外資が来ない場合におきましても、今の計画以上に私はやつて行きたいというので努力いたしておるのであります。
  52. 下條恭兵

    下條恭兵君 それではやはり私が言うように、当然政府としましては、この会社の設立に際しての長期の資金計画というものを我々の資料としてお出し下さることを先ず私は要求します。その他の点につきましては、大蔵大臣は非常に御多忙だそうですから、一先ず私はこれを以て打切つておきます。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど大蔵大臣外資を入れるとすれば、今度の特殊会社を作つたほうが一番入りやすい。まあ九電力会社が個々にやるよりは、一特殊会社を作つて政府が補償してやるほうが、外資が入るとすればそれが一番入るということでありますが、併しこの点については、先般下條委員質問に対する公益事業委員会委員長松本さんの答弁にもあつたことく、こういつた建設だけをやつて、四、五年後にはその会社は解体するのだ。そうしていつまで続くかわからんような会社外資が普通の常識では入らないという意見がありました。私も同様に思うのでありますが、従つてこの特殊会社を作るに当つては、こういう会社を作ればこれだけ入れようという、はつきりした約束があつたから、こういう案が生まれたということなら了承できますが、そういうことは今までの御答弁によつては絶対にないようであります。そうすると、こういう特殊会社に、今大蔵大臣の言われたように外資が入るとして、この特殊会社が一番受入れ態勢としていいということは、言いにくいのじやないか。その点について大蔵大臣はやはりそう思われますか。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは松本さんの御意見を聞いておりませんが、私は個々の電力会社がやるよりも、先ほどお答えしましたように、政府補償の一電力会社でやつたほうがいいと思います。外資の議論をしておられますが、四億五千万ドルに相当する借金の払い方もまだ我々自身がきめていないので、それがきまつて、それからあとにいろいろな問題が起つて来る。小林君の言われるように、金を幾ら貸してくれるかということをきめて、そうして会社をこしらえるのでは間に合わない。だから我々は会社もこしらえ、そうして外資導入の前提條件の、今までの日本政府の借金四億五千万ドルをどういうふうにして払うかということもきめる。そうしなきや金を貸してくれん。今までの金をふんだくつて金を貸してくれと言うことはなかなかむずかしい。我々は貸してくれることを予定してから、きまつてから、会社を建てるほど待つておられない。早くこしらえて、そうして工事を始め、そうしてその会社がどの程度までやつておるかということになると、向うも金を貸そうかということになる。日本も今までの外債をどういうふうに払うかということで、全体を一緒にして行かなければ、借金の払い方も言わないでおいて、金を貸せと言うのも無理でございますので、いろいろな点で早急に外資が入るように努力いたします。
  55. 小林政夫

    小林政夫君 ここに松本委員長答弁を刷つたのがありますが、大蔵大臣、一遍読んで答弁を聞きたいと思います。私も全く同感であります、松本さんの御意見は、私の言つた意味は、はつきり今も統制があるということを承知をいたしておりますが、わざわざ特殊会社を作つて電源開発をやるということについては、こうやればこうするという約束があつて外資をどれだけ入れるということならわかるけれども、今のように電源開発は急ぐから、特殊会社を作つて先ずどんどんやつてつて、来るのを待つと言つても、こういう状態では普通の経済常識からは外資は入らないのじやないか。政府補償すると言われるが、政府は補償してはいかんと言うのではないので、電源開発については総力を挙げてやるということであるならば、外資を入れる條件として補償するというので補償すればよいと思う。而して私は相当の外資が入るとすれば、必ずしもその外資導入の條件として政府補償を要求するとも考えないし、そういう点はペイするということであれば外資は入る。こういうような形から行くと、どうも木村さんの御質問にもあつたように、どうもこの特殊会社を作るということの意味が、外資を前提としない以上は意味が少いのじやないかということを考える。これ以上は意見になりますからやめます。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣時間がないそうでありますから簡單に一つ申上げますが、この電源開発については非常にたくさんの資金があつてやることになつておりますが、一期、二期合せて六千六百億くらい、一期計画だけでも約四千五百億くらい、而も財政資金に依存する幅が非常に大きい。そこで二十七年度については一応資金繰りがつくとしても、二十八年度以降になると、大蔵大臣御承知のように、いわゆる防衛力漸増計画、いわゆる再軍備、そういうような支出が多くなつて来て、結局赤字公債でも出さなければ財政資金の調達ができない、こういうようなことに私はなるのじやないかと思うのですが、この点、従つてこの電源開発計画資金の調達を考える場合には、将来の財政計画というものも一応これは見通しておかなければ、財政資金に依存するところが非常に大きなわけですから、赤字公債を出されないでやつて行ける確信があるのかどうか。この財政の将来の見通しは非常に困難でしようが、一応その見通しを持たなければこの問題は私は検討することは困難であると思う。その点についてお伺いいたします。
  57. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 小林さんの御意見に対して私の意見を一応言つておきますが、一社案ではいかん、九社案で行つたほうが外資導入がやりやすい、こういうようなお見込はこれは意見の問題であります。併し九会社外資を募るのにも政府は何ら邪魔はしていないのであります。どうぞ九電力会社が各自の力で外資導入をして頂きたい。我々はそのほかに政府で特殊の会社をこしらえて外資導入を図る。アメリカは相当資本がございますから、九会社のかたが御熱心におやりになるなら我々も援助をいたします。予算は五百億の枠がきまつておるわけではない。だから九会社のほうでやるほうがいいというなら九会社のほうでやつて頂きたいと思います。  それから木村さんの御意見、財政資金で行くか、民間資金で行くかということは、そのときの財政状況、民間の資本蓄積の状況によつてきめなければならん問題だと思います。民間資金にいたしましても、自己の増資で行くか、社債で行くか、借入金で行くか、その場合においても金融債で行くか、一般の市中銀行の引受けで行くか、いろいろな場合があるのであります。而して私は財政の面といたしましては、余り産業資金に財政資金が行くということは常道ではない。特殊のものに対しましては勿論財政資金というものは必要でございますが、できるだけ民間資金産業経済を賄うのが本質であるのであります。二十八年度の財政計画を見なければ困るというお話でございまするが、これは二十八年度の財政計画も我々としては作りたい。ずつと昔で見れば、財政演説の場合には五カ年財政計画ということを言つてつた。併し今の日本の置かれた状態が、二十八年度の財政をどうするかということは、ちよつと私は言いにくいのではないか。大蔵大臣としてそういうことを言う時ではないと思います。例えば財政計画で今までよりも新らしいものといたしましては、外債をどういうふうな払い方をするか、或いは賠償をどういうふうにするか、それからアメリカの援助資金をどういうふうにして払うか、これが一番むずかしい問題でございます。これは大蔵大臣として、二十八年度こういうふうにするのだということは、今言うのは早いかと思います。  それから警察予備隊その他治安関係経費のほうは、私はたびたび申しておりますように、二十八年度千八百二十億円より殖やさないようにするということは、予算委員会でも言つておるのであります。それより以下にするとははつきり言えませんが、増税をしない。そうして治安関係経費は千八百二十億よりは余り殖やさない。これは私は言い得ると思います。そうして行つた場合には、財政資金も或る程度出せまするが、今後におきましては、電力のほうはやはり民間資金を相当当てにしなければならんものと思います。財政資金と見返資金のほうで三百億円余くらいの余裕はいつでも予想できまするが、そういうふうにして行きたい。赤字公債を出して電力開発に当ることがいいか悪いかという問題は、日本経済力の底力がどのくらいできたかということできめるべき問題だと思います。アメリカのように経済界が非常な強いものであれば、赤字公債をやつておりますが、これはそれによつて、そうインフレを起さない。日本は常に申上げますように、病気あがりでございます。そういう赤字公債という食い過ぎをすることは、これはできない。で、赤字公債は三十年、三十一年頃、日本経済がよくなつて、赤字公債を出してもいいというときには、これは第一の分はその時の情勢によることでありますが、赤字公債はやるかもわからない。それには日本経済が強くなつて行くということが條件でなければならないと思います。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣は理想論と現実論とごつちやにされておるようですが、成るほど電源開発或いは産業開発は民間資金で成るべくやるという意見はわかるのですが、この電源開発をするような非常な長期資金、長期に亘る資金を民間で今急速に電源開発をする場合、この民間資金を調達することは困難ですから、財政資金に頼るのであつて、而も財政資金には余りに余裕がないから外資に頼ると、こういうことになるのではないかと思うのです。従つて民間資金、民間資金と言いますけれども、実際問題としてどうしても急速にこの電源開発をしようとする場合には、財政資金に依存しなければならない点が非常に多いと思う。そういう意味でも、こういう特殊形態がとられたと私は思う。先ほど大蔵大臣答弁では、結局赤字公債を出すかも知れない、日本経済の実力如何によつてはと言いますけれども、そこも私は非常に問題だと思うのです。実力如何も、これも判定の問題になるので、しばしば大蔵大臣がインフレをインフレではないと言つたり、デフレをデフレでないと言つたり、これは認定如何でどうにもなるのです。私はそういう意味で、大蔵大臣は結論として、赤字公債も出さざるを得なくなる、こういうように言われたことと了承いたしておきます。
  59. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 赤字公債を出さなければならないとは答えておりません。いつもあなたはそういうふうにおとりになるのですが、そういうふうに答えておりませんから、速記を御覧願います。赤字公債を出してもインフレにならないような日本経済にしたい、こういう念願でございます。赤字公債を今は出さない。併しアメリカのように経済界ががつちりして、非常に力があるものならば、赤字公債をやつても……赤字公債どころではない、もう三年分前くらいの、二、三百億ドルくらいをいつでも出してもいいようになつて、赤字公債をやつております。それは力が強い。日本はそういうふうに今できない。そういうふうにできることになつたら赤字公債は積極的に、インフレを起さないようにして、どんどん産業開発して行く。そういうふうに食い過ぎをしてもいい立派な体になりたい。私は赤字公債は今は絶対にしない。私は就任以来、常にこれを言つておる。曲解されないように……。
  60. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 大蔵大臣は次回では工合が悪いですか。……では次回に大蔵大臣に対する質疑を継続して頂きたいと思います。他に答弁者がおられますから、他の質問を……。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 安本長官に続いてお尋ねしたいのでありますが、この電源開発の目標として、まあ三十一年四百八十億キロワツト時、末端において六百十億キロワツト時の電力を供給するようにしたいと、こういう案になつておるのですが、これはその前提となる需用というものをどういうふうに見込んだか、これを聞きたいのです。で、今後の電力の需用については、日本の景気の如何にもよりましようし、それから日米経済協力という、この問題もあるでしようし、再軍備の問題もあるでしようが、この需用をどういうふうに見込んだか。そうしてどういう方面からどの程度の需用が見込まれて、こういう供給計画を立てられたか、その点を伺いたい。
  62. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは個々の問題を申上げるよりも、結論的に申上げますると、昭和三十一年度以降において、日本経済の幅と言いますか、生産力の基準を一九〇程度に持つて行くために必要な電力量と、こういうふうに考えております。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この提案理由を拜見しますと、提案理由の一番、第一として、この自立経済計画を達成するためというふうになつておりますが、そうして、昭和三十一年度の鉱工業生産を約二倍として、日米経済協力並びに東南アジア開発計画に伴う産業需用を充足し、以て国民生活の水準向上を図ろうとするのが狙いであるということになつておるのであります。そうしますと、その前提が、自立経済の前提が国民生活水準の向上、それから東南アジア開発計画、日米経済協力、こういうものがまあ前提になつておるのです。が、この前提は相当今後変化を私は来たすのじやないかと思うのです。特にこの日米経済協力ですが、これはまあアメリカの軍需生産の下請をやることになるのですが、最近アメリカの軍拡テンポがゆるんで、一九五三年をトツプ・レベルといたしましたが、一九五五年にこれを延しております。又戦争の危險がない、平和の状態が今後続くということになると、そういうことを前提にしてこういう長期の計画を立てる場合、相当私は基礎條件が狂つて来ると思うのですが、そういう場合には、どういう対処をされるのか。その電力が余らなければ結構なんですが、併しやり方によつては一時余るというようなこともないとも限らんと思うのです。そういうその前提條件が最近これを計画された頃と大分違つておるのです。大分違つておりますので、前提條件についてはどういうふうにお考えになつておるか。
  64. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お話の点御尤もでありますが、一足飛びに今三十年、三十一年においてこの計画がそのまま進められたときには、電力が余つて困りはせんかというまあ御質問であります。その前提として、アメリカにおける軍需生産の計画が延ばされたその結果、恐らくまあ日本が困る結果が来ないか、こういう御意見のようであります。私どもはさように考えませんのです。もとより国際経済に結び付いておる今後の日本経済の動き方でありますから、世界経済の変転によつて影響をなしとはこれは申せません。併しその影響が起るだろうから、今から電力開発を少し遅らしておいたらどうか。少くしたらどうかという考え方には私は同意しがたいのであります。あなたがよく言われる国民生活の徐々にでも向上ということを私ども申しておりますのは、何と申しましても終戰後において世界各地から追い環えされた日本人の人口の増加、一足飛びに、六、七百万、こういうものを抱えて、年々の人口増加の問題を考えたときに、根本は国民生活の安定の上から立てば、相当に生産の向上と輸出増進をしなければ、これは日本経済が成立たんことはあなたがいつも言つておられる通りです。食糧こそ或る程度自給度に近いところまで……国内におきますところの生活の必需物資の大半を外国から仰いでおるということなら、それを買うために辛抱しなければならんということは当然であります。そのために、例えば日米経済協力と言い、東南アジアの開発と言い、共に将来における日本の市場を考え、且つ現在の基礎としての問題、それらをやるについては日本の生産を上げなければ受取勘定も支払勘定もできない。この大きな見地に立つて見れば、ただ一つのアメリカなどの軍需景気がどうだとかこうだとかいうことで、一番生産の基礎をなす動力源を増加しようということについての一応の御心配は御尤もですが、これはもつと積極的に進んで然るべきたと思います。だから私どもとしては、現在日本の未稼動工場の影響の状態等を考え、且つ将来に向つての国民生活の維持向上をして行く一つ考え方として、このくらいの、戰前の約倍近くの生産の増加を考え、それに必要な動力源を求めると、こういうことであります。それはもとよりあなたがおつしやるように、目前の問題としては日米経済協力の問題もあるし、東南アジアの開発もありましようが、併しその計画は、何も軍需生産に必要なものだけではなくて、やはり東南アジアという、将来に向つて大きな日本の大事なお得意様に出すべき商品の生産について今から大きく考えて行くことが必要なんですが、現実の一時的の問題について伸び縮みがあることについていろいろ御心配があることは当然であります、国際経済に結びついておる今日……。併しそれがあるために将来の計画を今日から誤つては相成らんと思います。電源開発が今日行なつて明日開発せられるものならば、向うの状況が変つたから縮めよう、向うの状況が変つたから延ばそう、こういうことは到底できるはずはございません。それはあなたがよく御存じのはずであります。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併しまあ長期計画を立てる場合には、そういうことも考えなければいけないと思いますが、議論になりますから……。  次に、特殊会社を作る一つの目的は、開発コストを安くする、それで電気料金はどうなるのですか。これによつて相当安くなるのかどうか。こういう特殊会社の形態でなければ開発コストは安くならないのかどうか、その点お伺いしたいのです。
  66. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは日本の置かれた地位として、今日の状態から言えば普通の形ではなかなか電力コストは高いと思います。で、或る程度政府の出資その他を考え、或いは財政資金等の融通によつて利率が低いものを考えつつ、或いは免税の点も考えつつ、できるだけコストを安くしたい、こういう考えでおります。細かいことは……。
  67. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 補足説明されますか。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何か資料でもございましたら……。資料があつた提出して頂きたいのです。只今周東安本長官お話によると、例えば政府資金を使うとか、或いは税を免除するとか等々の方法によつて安くしと、こういうのですが、それはですね、そういう形で安くなるということは、何も合理的に安いというのではないのですね、特典を與えるから安くなる、こういうことだと思うのですが、その点は経済的に言つて安いという意味ではないので、特典を與えるから安いとこういう意味なんですか。
  69. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) もとより最初の開発に関して投下さるべき資本に対する措置として、そういう特典の問題は重要な関係を持つのであります。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その電力料金はどのくらいになる見込ですか。
  71. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 御説明申上げます。資料は、同じような質問が前にもございまして、委員のかたがたに提出済のものでございますが、改めて御説明申上げます。
  72. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) どの資料ですか。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつとそれはですね、例えば資金運用部資金を貸す場合に、利息がどのくらいで、火災の場合はどのくらいの金利を見ておるとか、減価償却をどのくらいに見るとか、修繕費をどのくらいに見るとか、固定資産税をどのくらいに見るとか、水利権の使用料をどのくらいに見るとか、こういうような資料が……。
  74. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) あります。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ありましたら……。
  76. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) ただ各利子の種別は、それはこの文面には出ておりませんので、何でしたら口頭で申上げます。今申上げましたような修繕費とか減価償却とか支払利息のトータルといつたようなものは各業種別に出ております。
  77. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 配付されておる資料のどれですか。
  78. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 参考資料の三を御覧願えば大体おわかりになると思いますが、新らしく第一期計画で、上欄の表は新らしく建設します設備に関しまして、旧電力会社の分はどのくらいででき、公営事業、併しこれは県営でありますが、それでやつた場合はどういうことになり、特殊会社で一応試算上、まだ最終的な決定はいたしておりませんが、仮に予定地点を選びまして計算をいたしますと、新規に作るダムの個所はこういうことになりますというのが前段のほうでございまして、二番目の表は三十一年度にそれでは新旧の……今のコストは非常に安うございますから、それと新らしくできるのと併せて考えた場合にはどういうコストになるかという二つに分けて計算しております。前段の電力会社の分で見て参りますと、その内訳はいずれの担当社も同じでありまして、人件費と燃料費、修繕費、減価償却、支払利息、業務分担金、その他、これは水利使用料その他の使用料を含んでおりますが、そういうものを併せまして出してございます。電力会社の第一期分の計画といたしましては、水力の分は大体二円六十五銭でできる予定になつております。火力の分に関しましては六円二十銭でございまして、それを総合いたしますと三円七十五銭で、発電コストとしてキロワツト・アワー当りを大体推定できるように考えられます。それから公営の分は二円七十三銭でございます。次の特殊会社の分は、三十一年度と三十二年度と両方に分けてございますが、これは三十二年度になつて、別の資料にもございますように、本格的経営に入り得るというような一応の予定になつてございますので、三十一年度では正確な意味の本勘定とは申されんのでございますが、仮に三十一年度をとつて見ますと、発電端で一円八十七銭、三十二年度になりますと、本経営に入りまして、一応この案では政府株と申しますか、民間株を合せまして六分の配当をいたして一律にいたしたいという計算になつておりますので、その配当をいたします関係上、單価が繰上りまして、二円四十五銭という計算になります。従いまして、電力会社の水力分より六分配当をいたしましても、二円六十五銭に比しまして若干安い。勿論火力に対しますると安いわけでありまして、それを総合いたしました三円七十五銭に比較いたしまして、勿論安いわけでございます。県営の場合にいたしましても若干安くなるという見通しでございます。その主たる原因は、特殊会社資金繰りを御覧願いますとおわかりでございますが、大半が大体政府の出資になつておりまして、三十一年度までは配当しないで、民間株に対しましては建設配当をいたしますけれども、政府の株に対しましては建設配当をいたしませんで、三十二年度になつて初めて配当をするという関係で、勿論運用部資金から借ります金等は、あとで金利の点は申上げますが、勿論別に特典はございませんのですけれども、要するに、出資をするという関係から非常に割安になるという計算になります。電力会社のコストは木村委員も御承知だと思いますが、主として金利の関係が非常に支配的な関係でありますので、配当金利を如何に見るかということで、非常に大きく違つて参ります。ちなみに、この金利関係の計算の基礎を申しますと、一般市中金利は一割一分で押えております。それから、運用部資金の配当はいろいろ種類がございまして、特殊会社に出す分は、主として貯蓄債券で賄うという恰好になつておりますので、これは九分で押えて置くというふうに考えております。それから見返資金から出す電力会社に対する分は、七分五厘で出してございます。その他現に出しておる運用部資金の一般の地方債の分は、たしか六分五厘に押えておりまして、そういう計算で全部配当いたします。  それから下の段の分を申上げますと、三十一年度に、現在の電力会社で持つておる分と、新規にできました今の分と総合いたしまして、一体その当時の発電原価が今より一体どれくらい割高になるかという見通しでございますが、この形で見まするに、仮に三十二年度に六分特殊会社で配当した場合ですら一応二円二十四銭という形になりまして、電力会社の現在の総合した二円二十二銭より若干高くなりますが、全部を総合いたしましても、水力が県営、特殊会社等が主でありまするから、その関係上殆んど高くならないということになります。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 只今お話があつたように、相当原価計算については金利ということが問題なんです。にもかかわらず、これだけの原価計算をしてあるならば、一体資金運用部資金がどれだけだとか、或いは見返資金からどうだとか、一般の社債がどうだとか、一応ここに計画書がございますが、二十八年度以降のそういつた資料を以て確信ある答弁ができずに、こういう原価計算が何故できるのか。我々もこの資料をもらつて検討しました。併しこれを質問するだけの勇気がない。二十八年度以降の資金繰りがわからない状態においては、こういうものが、審議の対象にならないということだけ言つて置きます。それから先ほどは見逃したのですが、提案者に特にお尋ねしますが、提案者は先般私の質問に対して、この特殊会社の少くとも一般会計からする政府出資等の二十八年度以降のものについて確信があるのかという私の質問に対して、十分大蔵大臣とも打合せ済みであるということである。従つて私はそれでは先般の財政法の改正によつて継続費という制度を認められておるのだから、この法案が通つた曉においては継続費まで織込む決意があるかどうかということまで押してお尋ねしたわけであります。勿論この法案が出るときには審議中で、特殊会社を作るも作らんもきまつていないのだから、継続費云々ということは問題になりませんが、通つた曉には継続費にまで織り込んで予算を確保する意思があるかという問いに対しては、大体そういう確信がある、大蔵大臣と十分打合せ済みだ、大蔵大臣に聞いてくれということであつた。ところが先ほどの大蔵大臣答弁は、二十八年度以降は全然数字も見たことがありませんということでは、提案者も恐らく基だ不本意であろうと思いますが、その点は如何ですか。
  80. 福田一

    衆議院議員福田一君) 継続費として入れるべきではないかという御質問がありましたので、それは入れるほうがいいということを申上げましたけれども、その点について政府打合せをしたということを私申上げたことはないように記憶しております。その点は一つ速記録を見て頂きまして、あれを私のほうで見まして間違つておれば訂正をいたします。私はたしかそう申上げたことはないと思つております。それから前段の御質問でございますけれども、大蔵大臣といわゆる政府とこの点について打合せがしてあるかというお話でございましたから、私のほうとしては打合せをいたしたということを申上げたのであります。先ほど来大蔵大臣から、二十八年度以降の計画につきましていろいろ御説明があつたのでありますが、実は私が打合せをいたしましたときにもあのようなお考えであつたわけでありまして、私といたしましては、それて一つおわかりが願えるものと考えておつたのでありますけれども、私のようなまあ財政関係余り権威のない者が余り大きなことを申しては却つて御機嫌を損じては如何かと思いましたので、それで大蔵大臣に出て頂いて一つよく聞いて頂きたいということを申上げたわけであります。問題は電源開発すべきかどうか、電源開発が必要であるかどうかということでありまして、そうして今のような経済情勢の下におきまして財政計画を立てるといたしましても、数年後に亘つていろいろの、一応のペーパー・プランはできるとしても、それに応じて非常にテンポの早くなつた国際経済、或いは日本経済という見地から見まするならば、電気というものをどの程度にウエイトをおいて行くか、造船にはどの程度のウエイトをおいて行くか、こういう点さえはつきりしていれば、私たちとしてはその計画でやつて行くべきものである。又やれるものである。先ほどの大蔵大臣の言われました通り日本の資本の蓄積の問題もそれほど悲観すべき状態ではない、かように考えまして私はできるものと、提案者としては大蔵大臣と同意見考えておるものでありますが、併しこれは或いはその程度では非常に杜撰だ、こう申されると、どうもそこのところは意見の相違に相成るかと思うのであります。但し一応の計画がなければならないじやないかというお話でありまして、この点について特殊会社の分についてはお手許に資料提出してありますが、特殊会社の分については大体の計画が全部載つておるわけであります。大蔵大臣としてはこれ以上のもつと援助をし、これ以上の支出をし、電源開発をすべきであるというふうな強い意見を持つておられます。ところが御承知のように今の電力会社というものの建前は、九つの電力会社にいたしましても、自家発にいたしましても或いは府県営にいたしましても、いろいろ事情が違つてはおりますけれども、これはそれぞれの会社において営利性を或る程度見て、公共団体のほうはこれはございませんが、自家発と九電力会社というものは営利性を或る程度見ておりまして、それぞれ計画を立てております。御承知のようにこれは電力というものは、公共性と営利性と二つありますためにいろいろの問題が起きるのでありまして、公共性のみを主張いたしまして電力問題を解決いたすということにすると、又問題が起きて来る。営利性のみを主張いたしますと、これも又問題が起きるように私は考えるのであります。そこでそういう公共性と営利性を持つた電力会社というものがやる計画ということになりますと、今後計画を立てます上ではなかなかそう先々のところまでは立たないので、その情勢に応じてやつて行くのだ、会社としてもそういう立場をとらざるを得ないのではないか、こういう意味合いで、できれば小林さんの御要求になりましたような資料をとにかく取りまとめたいと思いまして、公益事業委員会にも要求いたしまして、電力会社がどういう計画でやつておるかということを一つ早く調べてもらいたいと公益事業委員会のほうに連絡したのでありますが、どうもなかなかそれが公益事業委員会のほうではうまく今のところは集まらない。集まらないのも一応事情があるように私どもは考えますので、そこのところを一つ大局的の、勿論私がこういうことを申上げては失礼に当るかと思いますけれども、電源開発が必要かどうか。日本の未稼働工場を動かし、そうして日本の国民生活を向上させる準備をするのだ。その準備ため電源開発が必要かどうか。必要とあらば一応将来の問題はあつてもそれだけはやつておいて、そうして対処して行くべきものではないだろうか。又これをやつておきますと、これは特殊会社のほうでございますけれども、これは御承知のようにダム式の発電所でございまして、これは多くは火力代用になるものでございます。今電気というものは非常に火力を使いますために高いのであります。若し電気が余る場合におきましては火力代用になりまして、そのときには非常に私はやはり国民生活を潤して行くことになる、かように考えておるわけでありますから、どうかその提案者考え方をかように御了解願つて、この法案の御審議を願いたいと思うのであります。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 一応お聞取り違いがあるから申上げますが、継続費についてあなたが大蔵大臣と十分打合せをしたということをあなたは言つておられますが、二十八年度以降の一般会計出資、二十八年が百五十億、二十九年が百七十億、三十年が二百億、三十一年が二百五十億というようなことについて十分大蔵大臣打合せをしており、なお委細は大蔵大臣に聞いてくれという前回の御答弁であつたということを私は言つておるのであります。今の電源開発の重要性ということは勿論私も認めますが、この特殊会社を作つてやるかどうかということについて問題があるのであります。そうして特殊会社の三十二年までの資金繰りも一応はありますが、例えば民間社債につきましても二十九年度が二十一億、三十年度が六十五億、三十一年度が七十七億、三十二年が百億というような割振りになつておる。これだけは、よしんば特殊会社を作つてやろうとすれば、これだけはできるかも知れません。併しその半面に電力債というものは、九電力会社のほうで要求されておる社債が集らないかも知れません。これは資本の蓄積の関係もありましよう。そこで全体の電源開発資金繰りお尋ねしておるわけであります。ただ特殊会社だけをもつてこれは是非ともこうやるのだというだけではないという意味でお尋ねしておるわけであります。
  82. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 小林さんの御質問お答えいたします。資金計画は、一応の計画はお出してあります。詳しい数字は私記憶しておりませんが、大蔵大臣と大体の話合いはできております。併し事柄は二十八年度からなんぼ出すということは、あなたのお話のように継続費できめない限りわかりません。ほかのものとも関係しますから……。それでその点はさつきの大蔵大臣答弁でも、二十八年度よりもむしろ計画はそれ以上に出すつもりだと言つております。問題を一つ捕えて申しますと、あなたが御指摘になりました全体の電源開発については私知つておりますが、三百七十億見返資金から出ると思います。これなんかそんなにあるかと思われましようけれども、これは二十七度からの繰越金、それから回收金が二百億程度、その他あなたの御指摘の通り公債があります。これも今から売るということは言えませんが、その時の事情により、これを或る程度売るということも考えられております。併しこういう計画がありましても、やはり今後において資金運用部資金からどれだけ出るかというようなことと睨み合せなければなりません。併し一応のこういう計画はありましても、これに変更を及ぼすことはあり得ることを御承知願わなければなりません。確定的に予備費で幾ら、継続費で幾らときめておいても、従来戰前の通常国会において財政上継続費の減少になることも起り得るのですから、そのことは私は一応御了解を願いたいと思います。一応参考にして欲しいという、こういう目標の下に新計画を出しておるのであります。先ほど大蔵大臣は頻りに千五百億くらいのことはということを言つておりますが、二十八年度は千五百億以下である。つまり初年度は千二百億足らず、二年度はたしか千三百億くらいであつたかと思いますが、こういうような形で三年度から八百何十億になつたかと思います。千億以下です。これくらいのことは政府としても是が非でもやらなければならんし、又大蔵大臣の言葉を借りて言えば、資金運用部資金の集まり方が今年なんかは非常に多かつた。こういうことでこれをもつと大きく考えたいと言つておるくらいで、全然ないというわけではなくて、お手許に出してあるように、資料で確定的にしつかりと一歩といえども変らんというか、これはなかなか全体の計画というものはこれは来年度のことでありますから、この点を私はエラステイツクなふうにお答えをしたと思うのであります。
  83. 小林政夫

    小林政夫君 その点は安本長官余り質疑をしておりませんから、私の質問の意味を多少お取違いになつておる。経済は勿論生きものであるから、変ることは、もう情勢の変化ということはあり得るのだと、併し一応三十年度末において四百八十億キロワツト・アワーというものは確保するのだということの、電力量の面において計画が立つているならば、将来変るかも知れませんけれども、一応その四百八十億キロワツト・アワーにするのだという、まあきめられた、立案された瞬間においては、資金繰りもそれに合わした資金繰りがあるはずだと、こういうことを言つておるんです。それで勿論金輪際変らぬ計画を示せということを言つておるんじやない。それから又三百七十億の問題についてもそういう一応見返資金の保有国債を売ればできるということはわかつております。併しそれだけのことで如何に電源開発が重要だといつても、今の造船資金その他の産業資金を犠牲にしてもこれだけをやるのかどうか、三百七十億はここに挙げられた資金は必ず確保すると言い切れるかどうか。勿論その三百七十億が出なくなれば他の方法で工面するということもあるでしよう。併し二十八年度の見返資金量を約五百億と見て、そのうち三百七十億は必ず電源開発に向ける、今の決意においては、ということをお尋ねしておるわけです。又資金運用部資金等において相当の資金電源開発に割かなければならない。そういう点で、それだけの決意を以て政府は向かわれるかどうかということであります。その点は十分それ以上のことを考えておるがということでありましたが、それだけの決意があるならば、少くとも現段階において一応の資金繰りがあつて、この線は多少費目が彼此融通、変つても、こういうふうな方法で絶対確保する。絶対確保するという以上は、或る程度そういう現段階においての計画が立つて然るべきだと思うのであります。
  84. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点只今お答えしたようにそういうようなエラステイツクな考え方であれば、すでに三十年度までの資金計画が出ておるはずです。それについては先ほど大蔵大臣が言つたように費目的な変化も起りましようし、或いはそれよりも余計出すつもりだと言つておるのはその点だと思います。それから見返資金についてのお尋ねですが、今年も見返資金については非常に少かつたが、公債を売却した三百億全部を電源のほうに持つて来て、来年度あたりは、これは速記を御覧になればわかると思いますが、大蔵大臣の御答弁にしても、電源開発が第一で、第二が造船、こういうふうに考えておるということをはつきり申しております。政府としての決意は相当固いのであります。
  85. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今小林委員から云々と言われる資料安本長官が出してあると言われる資料とちよつと資料の勘違いがあるのじやないか。
  86. 小林政夫

    小林政夫君 今それを要求しておるのです。一応の資金繰りは出ておるわけですが、私の言つておるのは、この一番問題になつておるのは、電気業者の自己調達資金です。これの内訳が、その中には金融債を引当てとしての借入金のようなものがある。資金運用部資金をどれたけ使うかというようなことについて総合的に考えて見たいのに、内訳がわからないということです。
  87. 福田一

    衆議院議員福田一君) 計画を立てました場合においてどういうような考え方をとつてつたかということについて、特に特殊会社のみならず電力会社の分にしても、その他の分にしても、よく研究しておかなければいけないというお考えは御尤もなお考えであります。それにつきまして私としても数字も一応の数字でありますが、作ることはできると思いますので、実はそれ以来督励さして、あなたの御質問がありましたので、督励さして今作らしておりますので、或いは近くお手許へ差上げることができるかと思います。併しそれは飽くまでも安本長官大蔵大臣が言つたような意味において動き得るものであるということだけは一つ御承知おき願いたいと思うのであります。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど電力料金について伺つたのですが、松永さんが見えておられるので、先ほど開発コスト、或いは電力料金についての説明がありましたが、この電力界の長老で一番電力経営に御経験のある松永さんがお見えになつておりますので、その開発コスト、或いは電力料金等についてこの特殊会社案による場合、只今説明があつたような計算で原価計算して行けるかどうか、電力料金がさつき説明があつた程度の電力料金で済むかどうか、こういう点についての御意見を伺いたいのです。
  89. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 只今木村さんのお尋ねは、或いは聞き違えかも存じませんが、福田君あたりの提案しておられるような資本構成、或いはそのほかの方法で電力料金の支払並びに電力経営というものが行けるかどうかというふうにお聞き下さつたと思いますが……。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その通りです。
  91. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 実は私自身が元来そういう商売人でありますから、公益委員会に参つても、專らそのそろばんを第一にしてものを考える癖、習慣がついておりますので、そこでお話のようなことも考えてどうかして早く、そうして良質な、又できるだけ安い電力を供給することによつて、供給する側もそれのために奬励を受け、又国民一般もそのために繁栄を増して行くという考え方で、このコストの問題については常に研究いたしておりますけれども、提案者の数字を不幸にしてまだ拜見しておりません。よく拜見しないでこれを批評がましいことを申すのは失礼でもあり、且つ間違いであると思いますから、これはよく拜見してそれを説明せよ、或いは批判せよという御希望の折に伺つて申上げることにいたしまして、私大体に二つのことを今日大蔵大臣周東君及び提案者福田君のお話などを聞いて考えるのでありますが、大蔵大臣は火力を多く作らなければならんものであり、且つこれはインポートエキスポート・バンクから金も借りられるというようなお話もありまして、割合に素人としては電力のことがよくおわかりになつていると思うて感心してはおりまするが、実は私どもも水力を作るのはなかなか相当金もかかり骨も折れまするので、成るべくウエステイングハウスとか、或いはGEというところの機械を大口に輸入して、そうして今の電力の不足のバランスを一応合わすということは只今目下の二十八年、二十九年にかけての非常な急務であります。或いはそれ以前、二十七年にもその急務が押迫つたのでありますけれども、如何せん事実アメリカの軍備拡張、或いは西欧各国の産業及び軍備の拡張のために向うの機械をそつくり只今にわかに持つて来るということの事情は非常に困難であるのであります。先般ウエステイングの代表者も参りましたし、又GEの代表者もこちらにおるものを呼んでよく相談いたしてありまするけれども、現在のアメリカ並びにイギリス、ドイツあたりのタービンを僅か二十カ月乃至三十カ月以内で輸入しようということは今のところ困難なように見受けておりまするので、止むを得ず内地で間に合うだけの火力の改善、或いは置換えということに努力いたしておる次第であります。これとても非常に金がかかります。又石炭も食います。又石炭も不足でありますことは御承知の通りであります。従つてかようなものをごたごた使えば使うほどコストを下げることは困難なことはもう無論皆さん御承知の通りでありまして、誠に或る意味において窮地に陷つているのでありますが、止むを得ず大きなダムのある発電所をできるだけ作りたいと思うて目下努力しております。これは必ずしも見込ないことでないのでありまして、ただ工事用の大きな機械を使い仕事を急ぎさえすれば、二カ年、或いは早いものは一カ年半のうちに或る程度の電力を出すことができまするので、金はかかりますなれど、その方面に努力しております。そのためにいろいろと各会社の話合いをつけて、もどいてやる仕事はもどいてやつてもらい、関係のあるものは関係のあるところで金を出してもらつたり、或いは技術を共同したりしてやることに目下進んでおります。そういうわけで只今拜見しても提案者のお出しになつておる原価計算の中でも、火力の燃料費というものが非常に大きな多大の数字を占めております。これをできるだけ将来削減して行つて、このことを英語で申しますと、リデユースと申しますが、レートをだんだん低くして行く、殊にそれからできるだけ現在の窮乏しておる電力のバランスに間に合わせることとの間の工作を如何にするかということが九会社の人々ばかりでなく、又九会社の連絡会議におきましても、公益委員会調査会にいたしましても、或いは需用方面については安本あたりの御意向も聞いてこのくらいはどうしても早く安い電力を作り且つ間に合わせなければならんということに努力しておる次第でございますが、ともかく火力を使うためのこれはコストというものがどうしても下げ得られんということはもう明らかでありますからどうかして早くこの水力の開発に移りたい。これは只今もうすぐどころじやなく再編成が行われたその日から調査にかかつて数回調査をやり、又実施に移り、天龍、只見、熊野、又昨日私が旅行から帰りました四国の大きな電源開発、これらのごときも人任せにできない、或いはその会社のみに任すことはできませんので、自分行つて技術者を連れ、相当專門家を連れて行つてその現場で話を聞いてこれらのごときも必ず促進してやらなければならん、促進してやることによつて日本電力原価も下げ得られるものとまあ信ずるのであります。そこで先般私のほうの委員長が当委員会に来てお話しになつたときは私も一緒に参りましてそのお話を聞いたのでありますが、皆さんも御承知の通りに水力電気のコストというものは要するに金利なんです。金利がもうコストの殆んど全部であります。只今自動化などということが行われるようになりましたが、尤も一万キロの水力に五十人も七十人も人間のおつたものが只今十二万キロの発電所は二人ぐらいでオペレートすることができるようになりました。送電線もオペレーシヨンが非常に上手になつております。或いは変電所も自動化ということが非常に楽にできるようになつております。要するに資本そのものに対する金利がコストである。そのほかにもうコストというものは殆んどウエイトをおかないということは明らかなんです。さてそういう問題の起つたときに先般一月九日でしたか、周東安本長官、高橋通産大臣おられたかどうか知りませんが、建設大臣大蔵大臣、私と松本委員長と伺つて、総理大臣官邸に第一回にお話したときに、私どもはその金利の問題について深い関心を持つているため、どうしても外資を幾らか導入なすつて下さらんと困る。先刻からお話聞いても外資電力に使うのではない、それは為替作用にするのだというようなお話がありますが、それは大蔵大臣としての御意見としては御尤もでありますが、その電力の経営者としてはそれは全く違う。私どもが今ワールド・バンクのほうも調べ、そしてワールド・バンクの担保になるものは、只見川どうすりやいいか、天龍川どうすりやいいかということについて一々ODI等とも相談し、或いは外国にも手紙を出し、或いは大蔵省そのほかの外務省方面のかたがたの御助力も願つて、いろいろの調査をして、どうすれば幾らか安い金が日本電力に借りられるかということについて調査をしているので、私どもはインフレーシヨンとか、或いは又為替の作用のためにとかいうようなことは第二義に置いております。要するにコストを安くして、如何に早く、如何に将来長く日本国民に安い電力を使い得られるか、これによつて輸出産業を多くし、そしてこれによつて国民生活の基準を上げて行きたいという以外に何ら考えを持たず、又九会社の人も自分の力の及ばぬだけは隣り同士で金を出し合わせても、或いは借金をする場合は共に会社の担保を出し合わせてでもやつて行こう。尤も只今のところで日本政府が何らか力を入れて頂かなければできないことは当然でありますけれども、まあ公益委員会も一種の政府でありますからこれも大蔵省、安本等と御相談して、それぞれその場合にはやはり外資導入を図つて只今のところで三分の一、或いは四分の一、仮に四分五厘二十五年の外資が入るといたしましてもそのほか政府が多少長期に貸して頂くことができる、或いは民間の自己資金等が相当自分の蓄積、又は長期の社債等によつて多少安くできるということを計画一つに入れまして、そうしてどこの会社もおよそ二十五年乃至三十年の間には相当償却をするし、そうして国民に余り高くない電力を売つて、そうして会社もそれによつて適当な配当を、公正な配当をして行く、これは要するに金利政策よりほかにはない。その時分に、総理官邸に出入りした時分にも、私のところの委員長は頻りにその問題についてお話がありましたときに、周東さんも又大蔵大臣もそれは外資を狙うのが本当なんだ、その外資なんだ、それはとても民間じや駄目だ、自分らが政府的構成の下にやりたい、いや政府的構成ではとても駄目だというので、理窟が少し花が咲いたものですから、その日はそれで終つたのでありますが、そのとき述べられたことの一部分というよりは、大部分は先般委員会委員長が申されました、私はそれに一言も附加えるところがないのであります。要するに電力の構成のコストというものは金利に依存して……。然るに先刻来問答を聞いておりましても何だかわからない、ともかくそのときの工合でやつて行くのだというような状態で、この国民の血液となり栄養となる電力開発を企てるなどということは、素人の甚だむちやくちやな考え方で、到底私ども商売人でなり立つて、この年に入つて国家の前途を杞憂する以外に何も考えないものにとつては甚だ心配に堪えないのであります。どうかやはり外国の資本が日本に入りよいように、而もそれは電力に成るべく入るようにして頂きたい。例えば紡績に外資が入る。或いは造船に外資が入るということは、償却が五年か三年かで済みますけれども、電力の償却はどうしても二十五年乃至三十年かかります。これは一厘一毛といえども、一キロワツトも国民の消費量の値段に影響するものでありますがために、單に財政計画ということと、即ち金利計画ということと、それから需給のバランスをとるということと、火力を成るべく使わずに、石炭は有用な方面に使つて、そして電力を以てできるだけこれに置換えるという政策を国がとらない限りは、いつまでも貧乏するということをはつきり申上げてよいと思いますが、詳しいことは、こちらで批評をせよとおつしやれば遠慮なく申上げますが、先刻福田君は公益事業委員会に何か資料を出せという話があつたというのですが、今そこに来ておられる事務局の人に聞きますと、何もそういう御要求はなかつたそうです。これは多分安本の間違いだろう。これも一言申上げます。福田君とは懇意ですけれども、これだけはつきり言つておきます。
  92. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  93. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて。
  94. 福田一

    衆議院議員福田一君) 只今松永さんからいろいろお話がありましたのですが、これは質問に対するあれでないので、いろいろその間の事情についての御説明であつたのですが、一応やはり提案者としても一言だけ申上げておいたほうがいいかと思うのですが、実は政府のほうといろいろ御協議になつたときのお話その他あつたわけでありまして、松永さん並びに松本さんからもいろいろ御意見があつたわけであります。ただ私はこの委員会には提案者として只今質問を受けてお答えするという立場において出ておりますので、何というか、申されましたことを何か反駁するとか何かすることは却つておかしなことに、私の立場を越えることになりますので、そういうことは申上げることはいつも差控えているわけであります。そういう機会がないのでございます。又言いたいこともありますけれども私はここでは申上げません。ただ皆様がた、公正なる皆様がたがよく私の申上げている中から提案者の真意をお酌み取り願うことだけを一つここで特にお願いをいたしまして、私はあえて松本さん或いは松永さんに対する反対討論のような弁明をしないということを一つ御了解願いたいのであります。私はこれが席を改めて、私が皆様がたの席に坐らして頂いてやるのでありますならば、たとえ松永さんといえども、松本さんといえどもあの議論に負けるほどの私は自信がなくしてこの法案を出しておるのではないということだけをよく御了解を願いたいと思います。
  95. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 提案者といたしましては質問以外の答弁が別な答弁者からなされておることに対しまして、特に御不満もあるだろうと思います。委員長もいろいろ聞いておりますというと、提案されるまでの過程或いは内容等につきましても委員長自身もいろいろ聞きたい点もありますので、この審議の途中におきまして、何らかの方法をとつていろいろ話も聞きたいと思いますので、そういうチヤンスを考えておることを申上げて置きたいと思います。  それでは特に御発言がなければこれで散会してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこれで散会いたします。    午後四時四十三分散会