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政府委員(
松永安左エ門君) 実は私自身が元来そういう商売人でありますから、
公益委員会に参
つても、專らそのそろばんを第一にしてものを
考える癖、習慣がついておりますので、そこで
お話のようなことも
考えてどうかして早く、そうして良質な、又できるだけ安い
電力を供給することによ
つて、供給する側もそれの
ために奬励を受け、又国民一般もその
ために繁栄を増して行くという
考え方で、このコストの問題については常に研究いたしておりますけれども、
提案者の数字を不幸にしてまだ拜見しておりません。よく拜見しないでこれを批評がましいことを申すのは失礼でもあり、且つ間違いであると思いますから、これはよく拜見してそれを
説明せよ、或いは批判せよという御希望の折に伺
つて申上げることにいたしまして、私大体に二つのことを今日
大蔵大臣、
周東君及び
提案者福田君の
お話などを聞いて
考えるのでありますが、
大蔵大臣は火力を多く作らなければならんものであり、且つこれはインポートエキスポート・バンクから金も借りられるというような
お話もありまして、割合に素人としては
電力のことがよくおわかりにな
つていると思うて感心してはおりまするが、実は私どもも水力を作るのはなかなか相当金もかかり骨も折れまするので、成るべくウエステイングハウスとか、或いはGEというところの機械を大口に輸入して、そうして今の
電力の不足のバランスを一応合わすということは
只今目下の二十八年、二十九年にかけての非常な急務であります。或いはそれ以前、二十七年にもその急務が押迫
つたのでありますけれども、如何せん事実アメリカの軍備拡張、或いは西欧各国の
産業及び軍備の拡張の
ために向うの機械をそつくり
只今にわかに持
つて来るということの事情は非常に困難であるのであります。先般ウエステイングの
代表者も参りましたし、又GEの
代表者もこちらにおるものを呼んでよく相談いたしてありまするけれども、現在のアメリカ並びにイギリス、ドイツあたりのタービンを僅か二十カ月乃至三十カ月以内で輸入しようということは今のところ困難なように見受けておりまするので、止むを得ず内地で間に合うだけの火力の改善、或いは置換えということに
努力いたしておる次第であります。これとても非常に金がかかります。又石炭も食います。又石炭も不足でありますことは御承知の
通りであります。
従つてかようなものをごたごた使えば使うほどコストを下げることは困難なことはもう無論皆さん御承知の
通りでありまして、誠に或る意味において窮地に陷
つているのでありますが、止むを得ず大きなダムのある
発電所をできるだけ作りたいと思うて目下
努力しております。これは必ずしも見込ないことでないのでありまして、ただ工事用の大きな機械を使い仕事を急ぎさえすれば、二カ年、或いは早いものは一カ年半のうちに或る程度の
電力を出すことができまするので、金はかかりますなれど、その方面に
努力しております。その
ためにいろいろと各
会社の話合いをつけて、もどいてやる仕事はもどいてや
つてもらい、
関係のあるものは
関係のあるところで金を出してもら
つたり、或いは技術を共同したりしてやることに目下進んでおります。そういうわけで
只今拜見しても
提案者のお出しにな
つておる原価計算の中でも、火力の燃料費というものが非常に大きな多大の数字を占めております。これをできるだけ将来削減して
行つて、このことを英語で申しますと、リデユースと申しますが、レートをだんだん低くして行く、殊にそれからできるだけ現在の窮乏しておる
電力のバランスに間に合わせることとの間の工作を如何にするかということが九
会社の人々ばかりでなく、又九
会社の連絡会議におきましても、
公益委員会の
調査会にいたしましても、或いは需用方面については安本あたりの御意向も聞いてこのくらいはどうしても早く安い
電力を作り且つ間に合わせなければならんということに
努力しておる次第でございますが、ともかく火力を使う
ためのこれはコストというものがどうしても下げ得られんということはもう明らかでありますからどうかして早くこの水力の
開発に移りたい。これは
只今もうすぐどころじやなく再編成が行われたその日から
調査にかか
つて数回
調査をやり、又実施に移り、天龍、只見、熊野、又昨日私が旅行から帰りました四国の大きな
電源開発、これらのごときも人任せにできない、或いはその
会社のみに任すことはできませんので、
自分で
行つて技術者を連れ、相当專門家を連れて
行つてその現場で話を聞いてこれらのごときも必ず促進してやらなければならん、促進してやることによ
つて日本の
電力原価も下げ得られるものとまあ信ずるのであります。そこで先般私のほうの
委員長が当
委員会に来て
お話しに
なつたときは私も一緒に参りましてその
お話を聞いたのでありますが、皆さんも御承知の
通りに水力電気のコストというものは要するに金利なんです。金利がもうコストの殆んど全部であります。
只今自動化などということが行われるようになりましたが、尤も一万キロの水力に五十人も七十人も人間のお
つたものが
只今十二万キロの
発電所は二人ぐらいでオペレートすることができるようになりました。送電線もオペレーシヨンが非常に上手にな
つております。或いは変電所も自動化ということが非常に楽にできるようにな
つております。要するに資本そのものに対する金利がコストである。そのほかにもうコストというものは殆んどウエイトをおかないということは明らかなんです。さてそういう問題の起
つたときに先般一月九日でしたか、
周東安本長官、高橋通産大臣おられたかどうか知りませんが、
建設大臣、
大蔵大臣、私と松本
委員長と伺
つて、総理大臣官邸に第一回に
お話したときに、私どもはその金利の問題について深い関心を持
つている
ため、どうしても
外資を幾らか
導入なす
つて下さらんと困る。先刻から
お話聞いても
外資は
電力に使うのではない、それは為替作用にするのだというような
お話がありますが、それは
大蔵大臣としての御
意見としては御尤もでありますが、その
電力の経営者としてはそれは全く違う。私どもが今ワールド・バンクのほうも調べ、そしてワールド・バンクの担保になるものは、只見川どうすりやいいか、天龍川どうすりやいいかということについて一々ODI等とも相談し、或いは外国にも手紙を出し、或いは
大蔵省そのほかの外務省方面のかたがたの御助力も
願つて、いろいろの
調査をして、どうすれば幾らか安い金が
日本の
電力に借りられるかということについて
調査をしているので、私どもはインフレーシヨンとか、或いは又為替の作用の
ためにとかいうようなことは第二義に置いております。要するにコストを安くして、如何に早く、如何に将来長く
日本国民に安い
電力を使い得られるか、これによ
つて輸出
産業を多くし、そしてこれによ
つて国民生活の基準を上げて行きたいという以外に何ら
考えを持たず、又九
会社の人も
自分の力の及ばぬだけは隣り同士で金を出し合わせても、或いは借金をする場合は共に
会社の担保を出し合わせてでもや
つて行こう。尤も
只今のところで
日本政府が何らか力を入れて頂かなければできないことは当然でありますけれども、まあ
公益委員会も一種の
政府でありますからこれも
大蔵省、安本等と御相談して、それぞれその場合にはやはり
外資の
導入を図
つて、
只今のところで三分の一、或いは四分の一、仮に四分五厘二十五年の
外資が入るといたしましてもそのほか
政府が多少長期に貸して頂くことができる、或いは民間の自己
資金等が相当
自分の蓄積、又は長期の社債等によ
つて多少安くできるということを
計画の
一つに入れまして、そうしてどこの
会社もおよそ二十五年乃至三十年の間には相当償却をするし、そうして国民に
余り高くない
電力を売
つて、そうして
会社もそれによ
つて適当な配当を、公正な配当をして行く、これは要するに金利政策よりほかにはない。その時分に、総理官邸に出入りした時分にも、私のところの
委員長は頻りにその問題について
お話がありましたときに、
周東さんも又
大蔵大臣もそれは
外資を狙うのが本当なんだ、その
外資なんだ、それはとても民間じや駄目だ、
自分らが
政府的構成の下にやりたい、いや
政府的構成ではとても駄目だというので、理窟が少し花が咲いたものですから、その日はそれで終
つたのでありますが、そのとき述べられたことの一部分というよりは、大部分は先般
委員会に
委員長が申されました、私はそれに一言も附加えるところがないのであります。要するに
電力の構成のコストというものは金利に依存して……。然るに先刻来問答を聞いておりましても何だかわからない、ともかくそのときの工合でや
つて行くのだというような状態で、この国民の血液となり栄養となる
電力の
開発を企てるなどということは、素人の甚だむちやくちやな
考え方で、到底私ども商売人でなり立
つて、この年に入
つて国家の前途を杞憂する以外に何も
考えないものにと
つては甚だ心配に堪えないのであります。どうかやはり外国の資本が
日本に入りよいように、而もそれは
電力に成るべく入るようにして頂きたい。例えば紡績に
外資が入る。或いは造船に
外資が入るということは、償却が五年か三年かで済みますけれども、
電力の償却はどうしても二十五年乃至三十年かかります。これは一厘一毛といえども、一キロワツトも国民の消費量の値段に影響するものでありますが
ために、單に財政
計画ということと、即ち金利
計画ということと、それから需給のバランスをとるということと、火力を成るべく使わずに、石炭は有用な方面に
使つて、そして
電力を以てできるだけこれに置換えるという政策を国がとらない限りは、いつまでも貧乏するということをはつきり申上げてよいと思いますが、詳しいことは、こちらで批評をせよとおつしやれば遠慮なく申上げますが、先刻
福田君は
公益事業委員会に何か
資料を出せという話があ
つたというのですが、今そこに来ておられる事務局の人に聞きますと、何もそういう御要求はなか
つたそうです。これは多分安本の間違いだろう。これも一言申上げます。
福田君とは懇意ですけれども、これだけはつきり言
つておきます。