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政府委員(今
井田研二郎君) お話の点で、本年度の
実施予算のうちに、
只今御
指摘のありましたような
利根川開発に関する
予算が全然見込んでないのではないかというお尋ねでありますが、これは成るほど
総合開発という項目ではそういう
予算は計上してございませんが、本来の
公共事業費のうちで、
利根川総合開発計画に関する部分が
相当入
つておるのであります。それが
総合開発という項目にな
つておりませんので、大臣はそういうお答えを申上げなかつたかと思うのでありますが、事業費は
公共事業費で出ておりますので、その点は御
了承願いたいと思
つております。なおこの際先ほど
石川委員から、
政府側から詳細な点を答えろというお話でございますので、若干補足しまして、主として
重要河川法、先ほど
石川委員からお話になりました
利根川総合開発法案が
重要河川総合開発法となりましたので、それとの間の調整方について若干補足的に御
説明申上げたいと思います。
重要河川総合開発法と本法との調整しました部分につきましては、先般も私この
委員会で御
説明申上げましたので、重複するかも知れませんが、第一の点は第四條であります。第四條の第一項に「
国土総合開発審議会は、
総合開発計画及びその
実施に関し必要な事項について調査
審議し」ということがございますが、この「及びその
実施に関し必要な事項」という、これは新らしく附け加えた点でありまして、
重要河川総合開発法におきましては、予想されております
審議会は
計画を作成するのではなくして、その
実施を促進するための
審議会であるという
性格を持
つてお
つたのであります。その精神をこの
法案の中に入れまして、
総合開発審議会におきましては従来
計画の作成だけに当
つてお
つたのでありますが、今後は
実施の促進に関しても必要な事項を調査
審議し、
総理大臣に勧告するというふうな権限を持たしたのでありまして、この点は
重要河川法の精神を酌み入れた第一点であります。
それから第二の点は同じく第六條の二項でございますが、
重要河川総合開発法は
審議会の構成を主として衆参両院の
議員によ
つて構成されるような仕組にな
つたのでありまして、やはりその諸先生がたの
政治力により
実施の促進を図るというのが
狙いの最大のものであります。そこで今回、従来三十名でありました
審議会の
委員に新たに衆参両院の人を十五名附け加えまして、同じような
狙いを
審議会に持たせるということにいたしまして、この点も妥協しました
一つの点であります。こういうふうに
審議会の機能と組織を根本的に従来の
開発法案で、或いは
重要河川総合開発法でお述べにな
つておりました点を、全面的に
審議会の組織の点においては取入れてあるわけでありまして、この点は全く御意思を尊重しておるつもりであります。それからその次に取入れました点は、主として第六條の二を御覧願えればおわかりにらると思うのでありますが、御承知のようにこの第六條の二におきましては、「特に重要と認める
河川を含む
特定地域又はその他の
特定地域」につきましては特別
委員会というものを構成することにな
つておるのであります。この点は従来の
総合開発審議会は、
河川地域であろうと、或いはその他の地域であろうと平板的に取扱うから不満足であるという御
趣旨でございましたので、今回は特別に、重要なる
河川を含む地域等を特別に取上げまして、これを特別
委員会という形によりまして取上げて、
計画的にその土地の
開発を促進する、他の地域と同じような平板的な扱いをしないで、
計画的にこれを取上げて行くというふうな構成を取りました。この点も両
法案の一致を図りました
一つの点であります。
それからその次は、先ほど
石川委員から御
説明になりました十條及び十二條、十三條の一連の関係でございますが、これは今回の私
どもの
改正は先ほど来、或いは先般来、利根
開発法に刺戟されてこういう
法案が生れたというふうな御発言もあつたようでありますが、その点も確かにございますが、私
どもといたしましては
実施の段階に入りました今日におきましては、従前の
開発法案では飽き足らないのであります。それはしばしば御
指摘にありますような
実施という面が従来の
開発法には全然ありませんでしたので、仮りに利根
開発法、
重要河川というような
法案が出ませんでも、
実施の面を強調し、或いは促進するというような法的態勢を整備いたしませんと、
総合開発という行政の取上げ方が絶対に進んで参りませんので、その独自の見地からもこういう
実施の
目的としました
改正を行いたいという
考え方はかねがね持
つてお
つたのでありまして、たまたまその点につきましては
重要河川、或いは
利根川開発法と全く
目的を同じくするのでありまして、
従つて十條の二におきましては、先ほど
石川委員が御
説明に相成りましたごとく、
特定地域におきましては少くともこの
計画、
特定地域の
計画を
閣議の
決定といたしまして、国の行政方針とする、そうして国の
各省に対する拘束力を持たせ、その
実施を
政府の道義的な
責任にするというふうな、最も
政府の行政的な措置としてはでき得る最高の方法を十條の二によ
つて取りますことによりまして、
実施の確保を先ず図
つたのであります。
その次に十二條におきまして
年度計画を作成するという方針を取
つたのであります。従来の
重要河川開発法或いは利根
開発法におきましてはやはり
閣議決定という
構想はございまして、その場合におきましては年次
計画という
構想によりまして
実施計画を取上げてあ
つたのであります。即ち
計画を立てます当初におきまして、数カ年間の
計画を立てるということにな
つてお
つたのであります。ところがそういう年次
計画は往々にしまして国の財政力の変動によりまして、必ずしも当初
計画を立てましたときのようには進んで行
つておらんというのが現在の
状況でございますので、その点を多少動的に扱いますために
政府は当初立てられました全体
計画即ち
閣議決定せられましたる全体の
総合開発計画に基きまして、国の財政力なり或いは諸般の
情勢を勘案いたしまして、毎年度毎年度
実施計画を作成する、その
実施計画の担当者はそれぞれの所管業務を担当しております
行政機関が、
閣議決定に基きまして当該年度の
実施計画を作成いたしまして、それを
安本長官が調整する。今回
衆議院におきまして修正を加えられましたものによりますると、更にそれに基いて資金の面からもその点を調整するというふうなことになりまして、一段とこの点は
実施につきましての確保を図
つておるような規定にな
つておるのであります。御承知のように従来
予算関係の規定を設けております各般の
法律はございますが、大体十條と十三條、即ち全体
計画を
閣議で
決定をいたしまして、
政府は
予算の許す範囲内において、財政の許す範囲内においてこれの
予算化に努めなければならないというふうな、規定の仕組にな
つておるのでございますが、今回はこの十二條を設け、更に次に第十三條によりまして
予算の許す範囲内において、財政の許す範囲内において
予算化を図らなければならないというような規定を設けておるのでありまして、この点に関しては法体系といたしましては私は一段の
進歩ではなかろうか、即ちここで全体
計画を尊重して行けというホール・ピクチユアーに対しまして
予算を付けるというような行き方ではなしに、毎年度
実施計画を作り、その
実施計画に対して
予算の確保を図れという道義的な
責任を
政府に負わせておりますので、
実施の促進、こういう方面におきましてはこういう
法律の組み方は、従前の
予算にあつた各般の法規の中で一番
進歩したものではなかろうか。従いまして
実施という面につきましては先ほど来いろいろ問題にな
つておりますけれ
ども、私はむしろその点につきましては、従前の利根
開発法や、或いは
重要河川総合開発法よりも更に
進歩したものではなかろうかとすら
考えておるのでありまして、十分
実施という面につきましては考慮しておるつもりでございます。