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1952-03-06 第13回国会 参議院 議院運営委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月六日(木曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員加藤武徳辞任につき、その 補欠として郡祐一君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            木村 守江君            赤木 正雄君           小笠原二三男君    委員            石川 榮一君            草葉 隆圓君            古池 信三君            郡  祐一君            寺尾  豊君            安井  謙君            加賀  操君            小宮山常吉君            高田  寛君            高橋 道男君            相馬 助治君            中村 正雄君            大隈 信幸君            油井賢太郎君            矢嶋 三義君            堀  眞琴君            兼岩 傳一君   委員外議員            山崎  恒君   —————————————    議長      佐藤 尚武君    副議長     三木 治朗君   —————————————   政府委員    内閣官房長官  保利  茂君   事務局側    事 務 総 長 近藤 英明君    参     事    (事務次長)  芥川  治君    参     事    (議事部長)  河野 義克君    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君    参     事    (第一部長)  今枝 常男君    参     事    (第二部長)  岸田  実君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員辞任及び補欠選任の件 ○理事補欠選任の件 ○議院運営小委員補欠選任の件 ○庶務関係小委員補欠選任の件 ○石油及び天然ガス採取の現状を実地  調査のため議員派遣要求の件 ○議員派遣に関する件 ○日米間安全保障條約第三條の規定に  基く行政協定に関する件   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 会議を開きます。  常任委員辞任及び補欠に関する件。
  3. 河野義克

    参事河野義克君) 自由党から外務委員小滝彬君、法務委員徳川頼貞君、議院運営委員加藤武徳君、決算委員郡祐一君がそれぞれ辞任せられて、外務委員徳川頼貞君、法務委員小滝彬君、議院運営委員郡祐一君、決算委員加藤武徳君をそれぞれ後任として指名せられたいというお申出が出ております。  又改進党から通商産業委員松浦定義君、建設委員櫻内辰郎君がそれぞれ辞任せられて、通産委員櫻内辰郎君、建設委員松浦定義君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。  それから日本社会党第四控室から予算委員小林孝平君、決算委員岡田宗司君、郵政委員小笠原二三男君、水産委員和田博雄君、建設委員門田定藏君がそれぞれ辞任せられて、予算委員岡田宗司君、決算委員小林孝平君、郵政委員和田博雄君、水産委員門田定藏君、建設委員小笠原二三男君をそれぞれ後任として指名せられたいというお申出が出ております。  それから日本社会党第二控室から運輸委員小泉秀吉君、地方行政委員曾祢益君がそれぞれ辞任せられて、運輸委員曾祢益君、地方行政委員小泉秀吉君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。  それから労働者農民党から運輸委員鈴木清一君、電気通信委員会水橋藤作君がそれぞれ辞任せられて、運輸委員水橋藤作君、電気通信委員鈴木清一君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。
  4. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは議事部長から報告いたしましたように、常任委員辞任及び補欠に関する件、承認することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければさよう決定いたします。   —————————————
  6. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に、理事補欠互選に関する件と議院運営小委員補欠選任に関する件、更に庶務関係小委員補欠選定に関する件、以上三案を一括して議題に供します。
  7. 宮坂完孝

    参事宮坂完孝君) 木村守江君が先に委員辞任によりまして補欠になつております。理事庶務関係小委員議院運営小委員に、又再び議運委員就任となりまして同君が推薦されております。又溝淵春次君の委員辞任に伴いまして、補欠として草葉隆圓君が議院運営小委員に推薦されております。
  8. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今委員部長から御報告しましたように一括いたしまして、三案につきまして御異議がなければさよう決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がないようでありますから、その通り決定いたします。   —————————————
  10. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に議員派遣要求に関する件、通商産業委員長からの提案であります。前側保留になつておる問題であります。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 昨日各般の論議が行われた次第でありまするが、続いてこのたび先般議員派遣をいたしましたものと同様の理由のあることを認めて、この際承認することに願いたいと思います。
  12. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今小笠原君の御意見に御異議ございませんか。
  13. 中村正雄

    中村正雄君 先般出ておりました通産委員会からの議員派遣要求については一応異議ございませんが、昨日申上げましたように、現在の原則を保持しながら例外々々ということになれば、すべて例外になつて来ると思うのです。従つて約一カ年半に亘つて議員派遣についての方針を実行して参つて相当検討する段階になつておると思いますので、通産委員会の具体的の問題が起きたのを契機にして、議員派遣のやはり原則について再検討して、そうして別な方針を打立てて、それに従つて通産委員派遣を認めるという方向に僕は持つてつて頂きたいと思うのです。従つて従来は国会開会中におきましては、突発的な事故の起きた場合等に派遣する場合及び公聽会等の場合以外にはやらないという方針を堅持しておつたわけですが、昨年度から各常任委員会にそれぞれ一カ年間の予算を割当ていたしまして、常任委員会自主性に基いてそれぞれ必要のあるものは閉会中並びに休会中の派遣を認めていたわけでありますが、今後は本会議等におきまして、格段の必要がない限りは各常任委員会自主性に任すということに方針決定して、その決定従つて通産委員派遣を認める、こういうふうに一応方針を変更願いたい。
  14. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今中村君の縷々お述べになりましたような方針に、従来の慣例を変更いたしましてその上で通産委員派遣について同意をしたい、こういう御意見であります。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 中村君の御意見については、賛否を私決するまでに会派として心構えができておりません。で、中村君のおつしやることはわかることでありまして、又そういうふうに枠を外して手放しにすること自体は、常任委員会職務執行上その限りにおいては当然だろうと考えております。ただ中村君のおつしやるように、国会運営上差支えない範囲においてはという限定は、実際適用する場合に何らの物差もないことであつて非常にむずかしい。結局はそういう限定限定にはならず、常任委員会自主性に一般的に任せるという手放し方針に戻るということになるだろうと思います。それでいいのかどうかということについては、ここで即決することは、私はちよつと今までの建前を堅持して来ておつた建前から言えば躊躇されるものがある。反対のための意見ではございません。躊躇されるものがあるのです。もう少しこれは何か意見交換をして決定されるように時間をかして頂きたいと考えます。従つて通産委員会の今回の議員派遣は、前後しますけれども派遣を認めておいてそうして中村君の意見を中心にして、ちよつと時間をかして、多分そうなるだろうとは思いますけれども、最終的に決定して頂くように中村君に飜意願えないか、お伺いしたいと思います。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 中村委員発言は、その従来の慣例を破れ、この枠を外すということを積極的に希望して言つているのではないのです。これは中村委員の一人の考え方ではなく、私ども会派でこれが議論と相成りました。その際にやはり例外々々と言つて認めて行くのでは困るから、而もいろいろな実情等から、今般は議運の中においても、私ども会派反対にもかかわらず賛成しようじやないかという空気もやや強げに見えるのです。そこで若しそうだとするならば、やはり原則的なものを直して、そうしてこれは認めて行きたい。そのことによつて又そういうことが陸続として行われて、議会の運営支障を来たすならば、再び原則をきめなければならないのじやないか。いわば私ども会派中村委員によつて代表された意見は、この議員派遣反対なんです。反対だけれども、これをきめるについては、これを例外措置として認めることでなくて、真劍にその大もとをはつきりさせて、そうして出すことのほうが筋が通るのじやないか、こういうわけなんです。従つてそれらの点について御了解を賜わつておきたいと思いますし、中村委員一人でこれを翻意するというわけに参らないのではないか、こういうふうに党内の事情を知つている私としては思われるので、あえて発言した次第です。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは先ほど申上げた私の意見を、積極的に中村君の意見と同様にお取計らい願います。
  18. 高橋道男

    高橋道男君 中村委員意見は、一切の枠を外すというのは、我々の原則を御破算にするという意味は、閉会中、休会中だけに盡きるという枠を外すというのですか。
  19. 中村正雄

    中村正雄君 いや、すべて派遣につきましての、一班が二名以内であるとか、一つ常任委員会は二班以内で、出身地は除くとかいうことは関係ないわけです。今問題になつております今までの派遣原則としては、閉会中若しくは休会中ということに派遣原則的にしまして、開会中の場合は今言つた北海道に災害があるとか、或いは地方公聽会を開くとかいうとき以外は認めないという原則であつたわけなんですが、実のところ人事委員会からも話がありまして、昨日会派議論があつたわけです。実際昨日通産委員長お話を聞いておりましても、一つ常任委員会が、これは絶対に必要なものだときめて議運に諮られた場合、議運としては恐らくこれは緊急ではないということは言えない状態であろうと思うのです。これはどんな常任委員会でも各会派の人が寄つてつてきめれば、その人が各会派で問題になつたときに、何とか認めてくれとか、何とか言います。従つて議運例外々々というのを認めるよりも、少くとも各常任委員会としましても、それぞれ良識的に動かれるわけですから、いわゆる閉会若しくは休会中に限るという條件を外しましまして……。
  20. 高橋道男

    高橋道男君 それだけですか。
  21. 中村正雄

    中村正雄君 開会中であつても、本会議その他に重大な支障があるというような場合は、これは駄目だけれども、それ以外は常任委員会に任すということで、例外を認めても……、認めるような扱いをするのと同じ結果になると思うのです。従つてそういうふうにすれば、通産委員会は是非とも必要だということになればムスーズに運ぶのではないか。従つて通産委員会に認める場合に、例外ということで認めるのでなくして、今まで開会中はいけないというような原則を外して、本会議等に重大な支障がない限り、常任委員会自主性にお任せするということにすればうまく行くのではないかと思つて提案したわけです。
  22. 木村守江

    木村守江君 只今小笠原君、中村君、相馬君からいろいろ御意見もありましたが、結局中村君の言うようなことになるかも知れませんが、やはり各派にはいろいろやはり考えがあると思うのです。中村君のほうではまあすでにそういう問題について検討をしたそうですが、ほかのほうではまだそこまで突込んで検討しておりません。そういう点から言つて、先ほど小笠原君の言われたように、今回の問題はまあ通産委員長の昨日のお話もあつたのですが、あれをきめておいて、なおその根本的な原則論各派に持帰つて相談して、この次の委員会ででもまとめるようにしたほうがいいのじやないかと思うのですが。
  23. 中村正雄

    中村正雄君 木村君の発言も、小笠原君の発言も同じことで、尤もだと思います。ただそのために昨日の、私は最後の議運のときに、通産委員長の主張を認めるということだけでなくして、根本原則も併せて各会派協議願いたい、同時にきめたいということを発言して、各委員に了承願つて帰られて僕は協議願つたものだと思う。ところが今木村君の意見を聞けば、通産委員会の件だけやつてもらいたいというようにきめたように聞えるのだけれども、そうすれば昨日の議院運営委員会決定と違うのだと思う。(「そうだ」と呼ぶ者あり)併しそうかといつて、きめてないものをこの際ここできめるということもどうかと思います。ただ私のほうとしましては、昨日会派会議では、通産委員会だけに例外を認めるのは困る、根本的にきめてもらいたいという意見つたので、その意見を表明しておくわけです。
  24. 木村守江

    木村守江君 今中村君の言われる通り、昨日はやはり通産委員会の問題だけじやない、根本的な問題を検討することにしようというようなことを申されたのですが、実際問題のほうは諮つていなかつたというので、その点御了承を願います。
  25. 中村正雄

    中村正雄君 いや、結構です。又あとで……。
  26. 川村松助

    委員長川村松助君) どうでしよう。いろいろ会派事情もあるようですから、一応保留いたしまして、各会派にお持ち帰り願つて、改めて協議の上で……。会派に帰りましてから……。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一つ、あなたがおつしやつたのは一年の旅費の枠ですね。これはさまつているのですね。
  28. 中村正雄

    中村正雄君 そうです。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 それならよろしうございます。
  30. 川村松助

    委員長川村松助君) 如何でしよう。一応保留しまして、会派にお持ち帰りの上御協議願つて、改めて……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 川村松助

    委員長川村松助君) それじや異議がなければ保留といたします。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何を……。
  33. 川村松助

    委員長川村松助君) 今の……。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 原則論保留、今回の議員派遣の件は決定ですか。
  35. 川村松助

    委員長川村松助君) いや、そうじやありません。全部保留です。    〔「異議なし」「一日戻つたわけだ」と呼ぶ者あり〕
  36. 川村松助

    委員長川村松助君) 社会党第二控室のほうでは承認しがたい……。
  37. 中村正雄

    中村正雄君 そうです。昨日の総会決定では、例外では困るから、根本的に方針を変えてもらいたいということで発言したわけですから、従つて私のほうで、じやよろしいとは言えませんが、多数の御意見通産だけ今日は認めようとおつしやるのであれば、我々は黙つております。(「そうだ」「積極的な反対じやない」と呼ぶ者あり)
  38. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは小笠原君の御発言に対しましてお諮りいたしたいと思います。小笠原君の御意見賛成のかたは……。
  39. 堀眞琴

    堀眞琴君 小笠原君の意見というと……。内容をもう一度お願いいたします。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 中村君の御意見は昨日来の手続として尤もな御意見であります。ただ通産委員会としましては昨日の論議……、こういうことは言いたくございませんけれども、昨日の論議によつて通産委員会自体として予想される事態に対する態度等協議をなされておつたようであります。それらの事情を推察します場合において、議員派遣の日時には支障を来たさないにしましても、何日もこの問題の回答を委員会に與えないということは、やはりしこりを残す問題もあると心配される点もありますので、中村君の提案を前後させまして、通産委員会のそれは例外措置として今回だけ議員派遣を認めておいて、そうして中村君のおつしやる原則論は、次回のこの委員会までに、各会派中村君の意見を持ち帰つて相談の上、改めて結論を出して爾後のものに対して処理するという、こういう意見でございます。
  41. 堀眞琴

    堀眞琴君 それは今日やるはずだつたのじやないですか。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それをやるはずでしたが、我が会派においては議員総会その他において相談しておりませんので、大変怠慢の点は恐縮でありまして重々お詫びいたしておきます。
  43. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今小笠原君の御意見に対しまして、中村君のほうはどうですか。
  44. 中村正雄

    中村正雄君 私のほうは賛成しないという結論が出ておりますが、御決定願つてよいと思います。
  45. 相馬助治

    相馬助治君 再言いたしますと、小笠原君の御提案の趣旨よくわかりました。私ども会派では態度をきめた。即ち前提になる問題を解決して、然る後に賛成しようというのです。ところが小笠原君の提案は、諸般の事情から勘案して、通産委員のほうだけを先ずきめて、それから原則的なものをゆつくりきめようというので、時間的に我々と見解を異にしておる。併し本委員会がそういうふうにおきめ下さることは何ら支障はない。異議はありません。我々としては、会派の立場としては、にわかに賛成はできないけれども、おきめ願わないで持ち帰る時間をお與え下さるということなら又別です。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 お諮り願いたい。
  47. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは小笠原君の御意見をお諮りいたします。小笠原君の御意見に対しまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければ、さよう決定します。   —————————————
  49. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に行政協定に関する件、政府見解について……。
  50. 中村正雄

    中村正雄君 官房長官見えになつておりますか。
  51. 川村松助

    委員長川村松助君) お見えになつております。
  52. 中村正雄

    中村正雄君 昨日から議院運営委員会でいろいろ問題になつておりますのは、行政協定国会承認を経べきものであるかどうかということで議論になつておりまして、我々は行政協定国会承認を経べき性質のものであるというふうに考えておるわけですが、政府はこれは国会承認は要しないと、こういうように各委員会における各大臣答弁を総合して見ますると、その点においては一致しておると思うのです。なぜ国会承認を要しないかという理由につきましては、相当食い違つておる点もあると思いますので、内閣統一した見解をお聞きしたいと思います。
  53. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定は両政府間の権限内において取極め得る事項について取極めるものであるという解釈の下に、従つて政府権限を逸脱しないように、行政事項の折衝に当つても細心の注意を拂つて参りました。従つて政府といたしましては、先ほどの本会議でも総理大臣から申上げておられますように、政府としては行政協定は両政府間の取極でございまして、国会承認手続を要しないもの、先ほどの総理大臣の本会議における御答弁政府統一解釈と御理解願いたいと思います。
  54. 中村正雄

    中村正雄君 本会議におきまする総理大臣答弁を聞いておつたわけですが、どうもはつきりしない点があるわけなんであります。それをお尋ねするわけですが、今保利さんの答弁によりますと、国会意思が全然加わらないところの国家間の約束というものがあるのでしようか。どうでしようか。
  55. 保利茂

    政府委員保利茂君) それはどういう意味なんですか。
  56. 中村正雄

    中村正雄君 私のお尋ねしておりますのは、国会意思の加わらないところの国家間の約束というものは、日本国憲法で許されるかどうかということをお聞きしておるわけなんです。
  57. 保利茂

    政府委員保利茂君) それは安全保障條約の第三條で、配備を規律する條件について、両政府間で取極を行うということで、国会意思が働いてきめられておる、その国会意思の働いたところにおいて、それを逸脱しないように注意をして行政協定をきめると、そういうことであります。
  58. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、行政協定は、憲法の七十三條に言う條約というふうに政府はお考えになつておると解釈していいですか。
  59. 保利茂

    政府委員保利茂君) それは全然解釈を異にしております。
  60. 中村正雄

    中村正雄君 七十三條に言う條約ではないと、こういうふうに政府考えておるわけですか。
  61. 保利茂

    政府委員保利茂君) そう考えております。
  62. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますると、それが政府解釈であるとしますれば、衆議院の予算委員会なり、その他におきまして、これはまあ政府代表と思われまする大橋国務大臣が、行政協定憲法七十三條に言うところの條約であるということを再三再四繰返して答弁いたしておるのと食い違つておりますが、その点どうですか。
  63. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定は七十三條の條約だという解釈政府はとつておりませんから、そういう発言はあつたと私は思いません。
  64. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、條約でないということになりますれば、行政協定国家間の合意ではないわけですか。
  65. 保利茂

    政府委員保利茂君) いいえ、それは安全保障條約第三條による国家間の、両政府間の取極めである。
  66. 中村正雄

    中村正雄君 私は国際法関係は余り精しくはないわけですが、併しどの本を見ましても、條約というものは国家間の文書による合意というものが條約と、どの学者規定いたしております。従つて名称は條約という名称を使う場合もあろうし、協定という名称を使う場合もあろうし、或いは覚書という名称を使う場合もありましようし、最近は憲章という名称を使う場合もあります。従つて名称如何にかかわらず、国家間の文書による合意というものが條約であるということは誰しも否定しないわけなんです。では、行政協定国家間の合意ではないと、こういうふうに政府考えておるように受取れるわけですが、国家間の合意でないとすれば行政協定はどういう性格のものか、答弁願いたいと思います。
  67. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定国家間の合意でないと政府考えておりません。それは併しながら両政府間において、両政府権限内において取極め得る事項を取極めておる。それは当然国家間の合意によるものであるということは……それ以上の御見解になつて来れば、私のような素養のない者では十分御満足頂けないと思いますから、條約局長なり、法制意見長官なりお喚び出し頂いて十分説明をお聞き願います。
  68. 中村正雄

    中村正雄君 私のお聞きしているのは、内閣代表者として、そうして内閣統一のある見解を伺いたいというのでお聞きしておるわけで、專門家であろうと、なかろうと、私はかまわない。従つて今まで内閣代表しておる内閣官房長官の御答弁によれば、行政協定憲法第七十三條に言うところの條約にあらず、従つてこれは国会承認は要らない、こういうような内閣態度であるということを明言されておるわけなんですが、私は行政協定は、協定という名称を使つておるけれども憲法七十三條に言う條約であると、こう考えておるわけなんで、これは恐らくどの学者、各委員にお聞きしましても、條約の定義は、これは文書による国家間の合意であるということは間違いないわけなんで、政府権限内とおつしやいますけれども、條約の締結権はこれは政府にあるわけなんです。従つて政府権限外の條約ということはあり得ないわけなんで、私は行政協定は條約であると思うわけなんですが、もう一度重ねて、行政協定が條約でないとすれば、どういう性質のものであるかということを改めてお聞きしたいと思います。
  69. 保利茂

    政府委員保利茂君) 政府の、中村さんと見解が違うようでございますけれども政府といたしましては、前国会において安全保障條約の御審議を頂きましたとき以来繰返し申上げておりますように、日米安全保障條約第三條の規定による行政協定は、両政府間で定めることに御審議を頂いたわけであります。従つてこの行政協定は、しばしば申しておられますように、いわゆる安全保障條約の実施細目につき両政府限りにおいて取極めし得る事項について取極をいたした。従つてこの協定自体についでは、国会の改めて承認議決を要する事項ではない、こういう解釈をとつておる。従つてこの行政協定の折衝に当りましても、そういう行政協定権限を逸脱するようなことのないように注意を拂つて折衝をいたして協定をいたしたわけでございます。
  70. 中村正雄

    中村正雄君 従つて私のお聞きしますのは、行政協定国会承認を要しないということの理由は二つあると思うのです。一つは、條約でないから国会承認を必要としないという考え方と、もう一つは、安保條約第三條によつて白紙委任状をもらつておるから、憲法第七十三條に言うところの條約ではあるけれども、改めて承認は必要でないという二つの解釈があると思うのです。ところが政府統一ある解釈として、保利官房長官の御答弁によりますると、行政協定は條約ではないから七十三條の適用はない、こういうように御答弁になつておるわけなんです。そういう答弁になつておるとすれば、安全保障條約第三條を援用する必要はないのです。従つてどういう御関係から第三條を援用になつておるか、この点重ねてお聞きしたい。重ねて補足しますと、行政協定という制度は日本の憲法にはありません。アメリカには、御承知と思いますが、條約という名称を使えば、上院の三分の二が必要になつておる。而も軍に関する統帥権は、アメリカでは大統領が持つております。従つて軍の行動に関することは行政協定でやれるという恰好ができておりますが、日本の総理大臣は、日本に軍備がありません関係上、軍の統帥権はありません。従つて行政協定というものは日本には存在しないわけなんです。国会承認を要しない條約の一つの範疇としての行政協定というものは存在しないのです。こういうふうに考えておるわけなんですが、どういうようにお考えですか。
  71. 保利茂

    政府委員保利茂君) 大変むずかしいようですが、どういう意味ですか。
  72. 中村正雄

    中村正雄君 集約して申上げますと、今政府答弁は、国会承認を要しないということは、條約でないから憲法七十三條の適用がないのだ、こういうふうにお考えになつておるわけなんですが、今まで衆議院の予算委員会等で御答弁なつ政府答弁によりますると、七十三條の條約ではあるけれども、安保條約第三條によつて包括委任を受けておるのだから、改めて国会承認は要らないという答弁もあるわけで、従つて保利官房長官は、條約でないから要らないというふうに政府統一して解釈しておるとおつしやつておるのですが、その点をもう一度確認したいということと、條約でないから要らないということであれば、安保條約第三條を援用する答弁はおかしいと思うので、行政協定とはどういう性格のものなりやということをお伺いしておるわけなんです。
  73. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定は、安全保障條約第三條に基く両政府間の、行政府権限内において取極め得る事項について両国間の取極を行うということに基いて行政協定は行われておるわけでございますから、これに対する御見解いろいろあろうと存じますけれども政府解釈といたしましては、先ほど来申上げておる通りであります。
  74. 中村正雄

    中村正雄君 先ほど来申上げておる通りと言いますのは、七十三條の條約ではないから、国会承認は要らないというふうに答弁されておるわけなんですが、それに間違いがないか、もう一遍確認しておるわけなんです。
  75. 保利茂

    政府委員保利茂君) 七十三條の條約に基いて……この條約の條項に基いて、そうして取極めておる協定であると、こう申上げておるわけなんです。
  76. 中村正雄

    中村正雄君 そうすると前から大分答弁が変つておるわけなんですが、私のお聞きしておるのは、條約ではないから国会承認は要らないという解釈か。條約ではあるけれども、前に承認をもらつておるから今更要らないという解釈であるか。いずれをおとりになつておるかということを確認しておるわけなんです。保利官房長官が前からずつとおつしやつておるのは、七十三條の條約ではない、こういうことを承認を要しない理由として挙げられておりまするが、衆議院の予算委員会等で各大臣答弁、特に大橋国務大臣答弁によれば、行政協定憲法七十三條に言うところの條約ではあるけれども、安保條約の第三條で委任を受けておるのだから今更要らないと、こういう答弁もされておる節があるわけなんで、いずれが政府統一ある見解か、このことを確認するためにお尋ねしておるわけなんです。
  77. 保利茂

    政府委員保利茂君) そういう專門的な御見解になれば、(「專門的ではない」と呼ぶ者あり)いや、專門的でなかろうと專門的であろうと……、要するに安全保障條約第三條に基いて両政府間で取極する、いわゆるこの実施細目をきめる、これを條約なり、或いは條約でないという御見解はいろいろあろうと思います。併しこれは事実その通り憲法七十三條に基く安全保障條約の規定に因由して、それによつて取極め得る両政府間の取極事項であると……。
  78. 中村正雄

    中村正雄君 いろいろ見解があるから僕は政府に聞いておるわけなんで、政府はこれを條約なりとお考えになつておるか、條約でないとお考えになつておるか、この点を聞いておるわけなんです。
  79. 保利茂

    政府委員保利茂君) いわゆる第七十三條に言う條約そのものではないと考えております。(「然り」と呼ぶ者あり)
  80. 中村正雄

    中村正雄君 その点がはつきりしておるのであれば、恐らく私は官房長官、もう一度お帰りになつて閣議でも開かれていろいろ御検討なさつたら、今日の発言は取消さなくちやいかんという立場が来るのじやいかんと思つて、念のために僕は申上げるわけなんですが、條約ではないと、こういうことになるとすれば、私が申上げますように、條約というものは、專門的だとおつしやいますか知れませんけれども国家間の文書による合意というものが條約だという点については、恐らくどの学者反対しないだろうと思うのです。そうしますれば、内閣は日本国の国会の出した代表です。これは内閣だけという法人があるものじやございません。日本国を代表するものが内閣であつてその内閣が契約の当事者になつて調印したものは当然日本の国に効力を及ぼす、やはり契約の当事者は日本国であるわけなんです。そうすればアメリカの全権委任状を持つておるところの代表と日本の代表との間におきまして文書による国家間の合意ができた以上、これは私は條約だと考えるわけなんです。恐らくこの点について條約でないとお考えになる人は非常に少い思うわけなんですが、私はこれ以上御質問申上げても恐らく官房長官無理だと思いますので、今官房長官がお答えになつ行政協定は、七十三條による條約ではないということが確かかどうか、もう一日ぐらい余裕を置いてもいいと思いますから、もう一度僕は帰つて御相談願つて、責任ある回答をもう一度お願いしたいと思つて、私の質問を打切ります。
  81. 保利茂

    政府委員保利茂君) 国家間の文書による取極は、これは條約であるかどうであるか、これは学者間に相当異論があろうと思います。(中村正雄君「異論はありません」と述ぶ)あろうと思います。従つてこの行政協定が七十三條の條約そのものであるかということが問題であるわけである。(「そうそう」と呼ぶ者あり)いわゆる広義の解釈をとれば、国家間の合意による文書の取極というものは、それは広い意味においてはすべて條約だ、広義においては。そういう解釈も私は十分成り立とうと思います。それを否定するものではございませんけれども、七十三條にいうこの條約が、この行政協定であるかどうか、これについては政府安全保障條約の第三條による、それに基く両政府間の権限内において取極め得る事項について取極めておるから、従つて七十三條による国会承認を得るいわゆる七十三條の條約そのものではない、こう申しておるのです。
  82. 中村正雄

    中村正雄君 じや私は、発言を打切ろうと思つたわけですが、そうしますると、もうちよつと確認しておきたいのは、行政協定は七十三條による條約でないから、これは国会承認を要しないということに間違いない。従つて大橋国務大臣答弁しているところを速記録で見ますると、行政協定は七十三條による條約ではあるけれども、すでに安保條約によつて承認を求めておるのだから、あの第二項乃至は但書は適用はないのだと、こういう解釈政府はとらないということをはつきりとおつしやるわけかどうか。もう一遍確認しておきます。
  83. 保利茂

    政府委員保利茂君) 大橋国務大臣がどういう……。当時法務総裁でございましようか、法務総裁としてどういう御見解を持つておられるか、私は無論未熟でございますから、そういうことについては発言をいたしません。よくその点については、何しますが、一応常識論としましては、私の考え政府答弁としてお聞き取り願いたいと思います。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も全くの素人で、常識論でお伺いしておきますが、本日は何ら、主張は違つておりますけれども政府を追及しようという意味合いで申上げようとするものではございません。議論を整理するために簡單にお尋ねいたしますが、この日米間の行政協定にかかわりない一般的な問題を先ず伺つておきたい。行政協定というものはどういうことであるか。行政協定とはどういうことを意味するのか。政府見解を伺いたい。
  85. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定を……。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 行政協定とは何ぞや……。
  87. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定とは何ぞや……(笑声)国際間における行政上の取極事項であると思います。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国際間における行政上の取極ということはどういうことであるかということを承わりたいのですが、と言うことは、これは言葉がちよつとあれで、両政府間の行政権に基く取極という意味を行政上の取極と言つておるのかと思いますが、これでよろしいのでございますか。
  89. 保利茂

    政府委員保利茂君) いろいろの場合があり得るのじやないかと思いますけれども、将来起るいろいろの場合が……、国際間の取極についてですね……。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いろいろの内容を持つたものがあり得ることがわかるので、私はその形式を尋ねておるので、行政府において行政権の範囲内において取極めたものですから、さまざまなものがあるだろうが、その中に行政協定という名称もある、附けられる、こう考えていいのか。(「わかつておるじやないか」と呼ぶ者あり)
  91. 保利茂

    政府委員保利茂君) 私もそう思つております。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう行政協定を、然らば日本の憲法によつてなし得る範囲としては、飽くまでもそれは行政権の範囲内ということであつて、そのことは條約を締結するとか何とかいう形式上の権限ではなくて、内容としては既存の法律或いは憲法その他に抵触しない、行政府内で執行権を持ち得るものの内容だけしか取極めることができない。その場合は国会承認を求める必要は無論ない。そうではなくて、既存の法律その他を侵す或いは制限するような一般的な行政協定は、これは国会承認を要する、こういうふうに二つに分けて考えられると思いますが、そういうふうに考えてよろしうございますか。……何でもかんでも行政協定は一般的に国会承認を要しないとは言えないと思う。その内容の如何によつては、行政協定であつてもですね、それは名はそういうものであつても、国会承認を要するという建前憲法上あると思うのです。それを明確に考えて行く場合には、行政権の範囲内の内容として取り結ぶものは国会承認を要しない。併し既存の法律その他に抵触して来るようなものは、政府で單独で取極めて法律を発布するということはできない。国会承認を必要とする。こう考えてよろしいか。今のやつは一般論ですから、安保條約のことではない……。
  93. 保利茂

    政府委員保利茂君) 只今小笠原さんの御趣旨に対しては私どもも同感でございます。そこで私もう一点はつきりいたしておきたいと思いますことは、この前総理大臣からこの件に関して国参でしばしば発言せられておりまするように、今回のいわゆる行政協定の取極めは、安全保障條約の第三條によつて政府に委任されておるから、改めて国会に提起をして……、只今小笠原さんの言われましたような事案につきまして、即ち若し国民の権利義務に関連する問題、即ち立法上の措置を要する事項或いは予算上の措置を必要とするものにつきましては、これは国会承認を得るということを申しておる通りであります。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 官房長官には先走つて答弁を頂きましたが、おいおいお伺いいたします。そういうふうに行政協定国会承認を要する場合は、既存の法律に牴触する一般的取極めである場合には、行われなければならない。それは憲法の條章に照らしてみますならば、七十三條のこれは三号と言えばいいわけですか、わからんのですが、三号に言う條約という條項を適用することになると思うので、名は行政協定であろうが、或いは協約であろうが、協定であろうが、概念としては、既存の法律その他に牴触し……政府が締結し、調印することはできるが、その効力は独断で発生することはできない。そういう権限を有しておらない、條約であるという解釈になると思うのですが、これでよろしうございますか。
  95. 保利茂

    政府委員保利茂君) その通りでございます。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 簡單に申しますと、一般的な行政協定でも、條約でも何でもかまいませんが、国際間の、政府間の取極が既存の法律に牴触し、それを乗越えて行くというような問題については、事前であろうが、事後であろうがかまいませんが、国会承認を要するという建前は、それは憲法上の適用條項として七十三條の三号しかないわけです。そういう場合の行政協定或いはその他の協約、協定というものは、條約という概念と同一規定になるのではないかということを伺わなければならない。
  97. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定中に、国会の立法事項に牴触し、或いは予算事項に牴触する事項について、立法措置乃至は予算措置が講じられないというものについては、この限りにおいては私は効力を発生しないだろうと思います。この国内においてはそういうふうに考えております。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は安保條約による行政協定を尋ねているのではない。一般的に行政協定を取結んだ場合に、例えば百カ條の中に二十カ條は既存の法律に牴触するという場合には、それは法律改正等を事後においてなせばいいことであつて、そういうことの前に政府間だけの取極として効力を発生させることができるという意味合いに今の話では聞えるのですが、そうではない。行政協定自体国会承認を全体として要するということは先ほど確認しておるわけなんです。行政協定を二通りに分けて確認しておる立場から言えば、今の官房長官の言うことはおかしいじやないですか。
  99. 保利茂

    政府委員保利茂君) ちつともおかしくない。安全保障條約の第三條に……。
  100. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 安保條約にこだわるから駄目なんで、私はそれを聞いているのじやないのです。行政協定という国際間の取極が……。
  101. 保利茂

    政府委員保利茂君) 全体の抽象論に対しては、いろいろこれは抽象論に対しては御見解があるだろうと思いますが、具体的に今回の行政協定の性格をどう……。
  102. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はこの安保條約のことを聞きたいがために、概念規定についてお伺いをしているわけなんです。今それで抽象論とか何とかいうことじやない、これは一般論なんです、私の申上げているのは……。それで国際間の取極において名は行政協定と言われるもののある場合、それは政府が行政権として保有している権限に基いて取結んだものは、それは国会承認は要しないのでございましよう、その通りだと言う、それから政府に行政権として確認をしておらない、既存の法律或いは予算等に牴触する諸問題、諸事項について行政協定として取極めた場合には、これはその行政協定国会承認を要するであろうと言いました。そう分けた場合に官房長官はそれは国会承認を要する……。
  103. 保利茂

    政府委員保利茂君) いやいや、そうは言つておりません。新たなる立法措置乃至は予算措置をしなければ効力を発生しない、こう申しております。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そう申しますと、政府はどんどん国際間の取極をあらゆる場合にやつて、そうして既存の法律に抵触し、或いは予算に関する問題等がその内容としてある場合には、事後においてその法律だけを国会審議に委ねてよろしい、こういうお考えのようでありますが、念のためにもう一度確認しておきます。
  105. 保利茂

    政府委員保利茂君) 原則論に対して私はお答えすることは御遠慮いたしたいと思います。今回の行政協定のみの範囲においてお答えを申上げたいと思います。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今官房長官の御答弁では……私は聞いておるのじやないのです、安保條約については……。今までの行政協定ですよ、行政協定は一般的に政府間の取極をして、それが既存の法律に牴触するというような場合には、法律改正だけを国会提案して、その通りすればいいのだ、これが行政協定なんだ、行政協定自体としてまるまる国会承認を要するという手続は要らないのだ、こういうことになりますと、新らしい憲法上この国会ができ、国会法を以て運営するこの国会においては、行政府が或る部分については優越して、そうして国際的な取極をして、その取極の拘束の中に、その限界の中に、国会審議権がある、こういうことになるわけなんです。その点について疑義があるので、原則論にはお答えしませんなどということではなく、これは国会と行政府との関係において、明確に行政府としての見解を伺つておきたいというわけなんです。それは答弁はしませんということは、これはいかんと思います。その御答弁がないと、安保條約についてそれぞれ国会と行政府間のそれを解釈することはできないと思います。
  107. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政協定の問題は国会承認事項であるか、承認事項でないか、いずれであるかということをお尋ねになつておるわけだと思いますが、今回の行政協定は、安全保障條約第三條によつて、行政府に委任されておる事項について、両政府間の権限において取極めし得ることを取極めまして、そうして、但しこれに要する立法措置乃至は予算措置については国会承認得るということはしばしば申上げておる通りであります。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 委員長に念のためにお願いしておきますが、質問の範囲を逸脱するような答弁は控えさせて頂きたいと思います。で、私は安保條約には一切まだ触れておりません。一般概念規定をして行かないと、安保條約について統一的な見解を承わることができないので、こういうことをお尋ねしておるわけなんです。論理的にそう飛躍されますというと、我々のような頭の惡い者はさつぱりわからなくなつてしまう。で、先ほど申しますように、行政協定というものは如何なる場合においても行政協定自体として国会承認は要しない部分、立法措置その他に牴触するようなものは、その改正を事後においてやつて行けばよろしいのである。この答弁についてはまあ我我は見解を異にしますけれども、先ほど申しますように今日それを追及することではございませんから……。次に漸くその建前に立つて安保條約をお尋ねするわけでありますが、その解釈によつて安保條約を考える場合には、安保條約に基く行政協定であるから国会承認を要しないというばかりでなくて、行政協定そのものの性格が先ほど言いましたようなそういう概念規定であるから、初めから国会承認を一切行政協定なるものは要しない、そういう理由も成立つというふうに考えてよろしうございますか。安保條約第三條によるから、もう何も要らん、行政協定というものはそういうものだ、そう考えてよろしうございますか。
  109. 保利茂

    政府委員保利茂君) 先ほど来申上げておりますように、本行政協定の内容を完全に実施いたしまするために、新たに要すべき立法措置乃至予算措置については、国会承認を得なければならない、こういうふうに考えております。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほど来お話しておることでありまするが、行政協定如何なるものでも国会承認は要しない、牴触する部分については法律改正その他の措置を事後においてとればいいのだというようなこの解釈については、我々は真向から反対であります。新らしい憲法がそれを許しているわけのものではないと考えます。而もその新らしい憲法を成立させるまでの国会における討論の過程に鑑みましても、一切の国際間の取極は国会承認を要する意味合いを以てこの憲法七十三條の三号ができているように我々は記録を以て解釈するのであります。従つてそういういわゆる行政協定なれば何ら国会承認を要しないというだけのことで国会承認を要しないということは、憲法上我々としては重大な疑義がある。けれどもここで又官房長官にこれ以上押問答しても解決のつかないことでありますから、これは別途の方法を以て我々としましてはいろいろ意見を質して、そうして統一した参議院の結論を得なければならんと考えます。従つて先ず私は官房長官に対する質問はこの程度でやめておきます。
  111. 中村正雄

    中村正雄君 議事進行について発言いたしますが、官房長官は私の質問なり小笠原君の質問なりにつきまして御答弁になつておりますが、相当前後食い違つておる点もあると思うのです。私ちよつと発言しましたように、官房長官の御答弁、いわゆる七十三條による條約ではないから承認を要しないという、これが政府態度だということにつきましてはちよつと疑いがあるわけなんです。従つてこれ以上お聞きしましても、官房長官としては答弁できないことも相当あると思いますので、一応帰られまして、明日又議運を開いてもらつて、そのときにはもつとはつきりとこの條約なり安保條約の性格等について答弁できる国務大臣に出てもらいまして続行したい。従つて本日の速記録を内閣におきまして十分御検討願つて、間違つておる点があれば明日直してもらつて、そうしてこの質疑を続行したいと思いますので、本日はこの程度で打切つてもらつたらどうかと思います。
  112. 堀眞琴

    堀眞琴君 ちよつと僕に質問さして頂きたいと思うのです。どうも官房長官答弁は納得できないのです。先ほどの御答弁では、とにかく安保條約第三條の施行細目として行政権の権限と責任において結んだのが行政協定である、従つてこれは條約でないと、こういうのですね、官房長官のお答えは……。官房長官そういう意味ですね。
  113. 保利茂

    政府委員保利茂君) ですから、広い意味において、広義の條約と言えば條約でございましよう。併し憲法七十三條に言うところの條約そのものであるかということにつきましては、そのものではないと、こう申しておるわけです。
  114. 堀眞琴

    堀眞琴君 官房長官の言われるのは、そうするというと、結局安保條約第三條の施行細目として行政権の権限と責任において取結んだものだと、こういうわけですね。
  115. 保利茂

    政府委員保利茂君) そうでございます。
  116. 堀眞琴

    堀眞琴君 そうしますと一、二点お伺いしたいのでございますが、安保條約の第三條の施行細目としてすでに包括的に承認を受けておるのだという御趣旨のようですが、その第三條の施行細目としての内容が、非常に日本の主権に対する制限があつて、或いは国民の基本的な権利義務に重大な関係を持つような場合に、果してそれを執行権の権限において行政協定として結び得るのだということの理由一つお伺いしたいのです。
  117. 保利茂

    政府委員保利茂君) 安全保障條約の第三條に基く、これはまあ委任と言つて言葉が当りますかどうですか、とにかく安全保障條約の第三條によつて政府に委任せられたと政府解釈をして、そうしてそれによつてできるだけ行政権限内を逸脱しないようにという注意を拂つてこの取極をいたしたわけであります。併しながらその内容について新たなる立法措置、新たなる予算措置を講じなければ完全な実施ができない面につきましては新たな立法措置、予算措置を講じます。それについては当然国会承認がなければならない。
  118. 堀眞琴

    堀眞琴君 私の質問の要旨をちよつと取違えておられるのではないかと思います。一体、安保條約第三條の施行細目として行政権の権限において協定されたものが、その安保條約そのものの内容からかなり逸脱して、主権を制限したり、国民の基本的な権利義務を制限したりするような、そういうような内容を含んだものでも、なお国会承認なしに行政協定として結ぶことができるのかということをお尋ねしておるのです。
  119. 保利茂

    政府委員保利茂君) 行政府権限によつて協定を結びましても、そのことが国会の立法措置なり予算措置を講じない面につきましては効力を持たない……。
  120. 堀眞琴

    堀眞琴君 その立法措置や予算措置を必要とするものを云々ということは、それは聞いていないのです。私は内容の上からいつて、主権を制限したり国民の権利義務に対して重大関係のあるような内容を持つものについては、改めて国会承認を必要とすべきではないかということを尋ねておるのです。
  121. 保利茂

    政府委員保利茂君) 政府安全保障條約の目的を達するために、第三條の規定従つて政府間の行政協定を取極めました。
  122. 堀眞琴

    堀眞琴君 どうも答弁がちつとも的を射ておらんのですが……。それからもう一つ、一体安保條約を国会承認したところで、その安保條約に基いて行政協定が結ばれた、その行政協定の内容が日本の主権に対して重大なる影響を與えるものであるという場合ですね、第三條によつて包括的な承認を得たものであるからして、事後の承認は必要としないというその根拠をお尋ねしたいのです。
  123. 保利茂

    政府委員保利茂君) 安全保障條約の第三條に根拠を置いて協定をいたしておるわけです。
  124. 堀眞琴

    堀眞琴君 どうもはつきりしたお答えになつておらんのですが、結局そうすると、安保條約というのは一種の授権法的な性格を持つたものかということをもう一遍お尋ねしたいのです。
  125. 保利茂

    政府委員保利茂君) 先ほど来申上げておるところで一つ御理解を頂きたいと思います。
  126. 川村松助

    委員長川村松助君) どうでしよう、中村君から提案になつておりますが、本日はこの程度にしまして……。
  127. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 議事進行について。それは官房長官がいなくてもいいのですから、やはりよく相談して……、中村君の動議についてはあれでしよう。官房長官いなくたつていいのですから……。
  128. 中村正雄

    中村正雄君 議事進行の動議を出しましたのは、これ以上官房長官に質問しても要を得ないと思うのです。私は私の感じで速記録をもう一度調べて見ないとわかりませんが、私の答弁の場合と、その後、小笠原君、堀君等に対する答弁は相当変つて来ておると思うのであります。(「その通り、その通り」と呼ぶ者あり)従つて一応今日の速記録を政府は御覧になつて、そうして官房長官答弁が間違つておるかどうか、明日議運を開いて、そのときに一応御確認を願いたいのと、同時に、明日の議運にはもう少しこの條約についての識見のある国務大臣内閣代表してやつて来てもらつて質疑を続行したい。従つて本日はこの程度で打切りたい。こういう動議を出しておるわけです。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  129. 安井謙

    ○安井謙君 ちよつと中村君の提案に対して、私、最後に念のために伺いますが、官房長官政府代表してされた答弁が食い違つておるという中村さんのお話がございましたが、念のために簡單に伺います。その上で中村さんの提案について私ども意見をあれしたいと思います。  中村さんの問われたのは、今回の行政協定は、憲法第七十三條三号に言う條約であるかどうかという質問に対して、官房長官は、今回の行政協定そのものは七十三條三号による條約、即ち事前又は事後に国会承認を要するという性質の條約には該当しない。なぜならば、それは婆全保障條約の三條にすでに承認を得た範囲内の取極であるからである。但し抽象的に言つてこの国際間の行政取極が、或いは文書による契約が、條約というような解釈ができるかどうかは、これは或いはそういう場合もあるであろう、こういう御答弁で終始しておつたと私は思うのですが、その点、念のために官房長官に……。
  130. 保利茂

    政府委員保利茂君) その通りであります。
  131. 安井謙

    ○安井謙君 それで、若しそうであるならば、一応政府見解というものは、私は非常に、いい惡いは別ですが、御了解になるならないは別ですが、そういう意味において了解いたしましたので、改めてこの問題をいろいろな外交上、或いは法文上の解釈から、或いは各大臣答弁の食い違つたといつた点を追及するのは、これは少し議運の職責以上に逸脱しておるのじやないか、今日の或る程度突込まれた議論も、部分によつては非常にデリケートで、むずかしい問題があるわけでございますが、少し逸脱しておるところがあるのじやなかろうか(「ノーノー」と呼ぶ者あり)という感じもするものですから、できればこれは別の專門のそれぞれの機関にお移し頂くようにお計らいになつて如何かと思います。
  132. 中村正雄

    中村正雄君 私のお聞きしておるのは、いわゆる議運で取上げておる問題は、行政協定国会承認を要すべきものかどうかということが焦点になつておるのです。要しないという理由としては、七十三條に言う條約ではないから要しないという解釈と、七十三條に言う條約ではあるけれども、安保條約によつて白紙委任状をもらつておるから要しないという理由と、二つあるわけであります。従つて今までの政府答弁はまちまちになつておるから、統一ある答弁を願いたい。こう言つたときに、官房長官答弁は、七十三條に言う條約ではありません、これを国会承認を要しない理由にしておられますから、私はもう一度閣議でも開くなり、或いは帰つて総理にお尋ねになるなりして、政府方針がそれで間違いなければ、私はその面で国会承認を経なければいけないという考え方を持つておるのだから、改めて御質問したいと、こう思つておるのです。ところが私の質問のときにはそういう答弁であつて、あとから又だらだらして、いわゆる條約ではあるけれども、安保條約三條によつて任されておるのだから、これは要らないのだというような答弁ちよちよい聞いておるのです。一貫しておらないから、もう一遍帰つてよく検討願つて、明日の議運には、これはどういうことになつておるかは速記録を見てもらつたらわかるのだから、従つて安井君の言うことが正しいか、私の言うことが正しいか、速記録を見たらはつきりするのですから、政府は一応速記録をお調べになつて、間違つておる所があれば、明日間違つたからと言つて直してもらつてもいいですね。もうちよつと、物わかりのいい国務大臣を出してくれというわけなんです。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 安井君のさつき確認されたことによつて、その事前に行われた質疑の過程の速記録というものが集約されたものとはみなされないのです。それはあなたがあなたとして取りまとめてそうするとなつただけで、その限りの確認でありますから、その事前に行われた質疑の過程というものは速記においてやはり御覧頂いて、政府側でも、もう一度、質問に対する答弁というようなことではなく、例えば質問書の提出された場合に、文書を以て明快に回答を與えるというような方式で、覚悟をしつかりきめて、これしかない、これが限界だというきつちりした答弁をしてもらつて政府見解というものがここに出て来れば、それに対して今度は異議のある者は異議あるということで、いろいろやはりどれが真実であるか真理であるか、明らかにして行く方法をとつて行くことが必要である。そういうふうにやつてもらいたい。先ほど私なんかの一般論の論議などにおいては、行政協定そのものは如何なる場合でも国会承認は要しない、必要の法律その他に牴触するようなものは事後において法律案として出せばいいのだというような答弁をしておる。そうなれば安保條約に基く云々というようなことも必要でない。行政協定政府間で自由にできるという論になる。そうなれば條約なんという名前はつけないで、みんな行政協定でやつてしまつたら、一切憲法七十三條の三号なんというものは要らない。政府の勝手なことは何でもできる。そうして辻棲の合わぬ場合は、法律を以てその協定の範囲内において国会に押しつけて、これはもう効力を発生するようになつておるのだからと言つて、無條件で法律化して行く、こんなべらぼうなことは許されたものではないし、未だ曾つて総理大臣も岡崎国務大臣も、そういう意味合いで以て答弁しておらない。然るに今日はそういう珍説まで出ておる。だからこれはどうもおかしいので、中村君の言うことに私賛成ですから、明日、もう官房長官もいやでしようから、押問答しないように、これきりなんだというところをぴたつと明日は出して頂くように、どなたか適当な人をお出し願いたい。
  134. 川村松助

    委員長川村松助君) 官房長官に退席して頂いて異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長しつかりして頂きたいのですが、これ以上幾らやつても時間を費すばかりだから、中村君が議事進行に関する動議を出されておるのですから、それを諮つて頂きたいと思います。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  136. 川村松助

    委員長川村松助君) 中村君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 川村松助

    委員長川村松助君) 異議なければ、中村君の動議は成立いたしました。   —————————————
  138. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に過日保留になつておりました国際捕鯨委員会委員任命につき本院の議決を求めるの件、外国為替管理委員会の木内委員長任命につき本院の同意を求めるの件がまだ残つておりますが……。    〔「保留々々」と呼ぶ者あり〕
  139. 川村松助

    委員長川村松助君) それではこの件は保留にいたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二十分散会