○
小笠原二三男君 大体
質問も出つくしたようでありますが、
先ほどからの
質問の経過をお伺いしておりましても、どうも
人事官の
任命については不用意な行届がない点があ
つたのではないだろうかと考えられる向きが多いのであります。この問題について
国会の
承認を求めるということは、新らしい
公務員制度を確立する、その
国家公務員法の
趣旨が生かされて行くような人について
国会が特段な配慮をすることを義務付けておるとも考えられるのであります。
従つて、
人事官任命に当
つてはその個人の如何を問わずこの新らしい
公務員制度を確立して行こうという立法の
趣旨に副うような
適格要件を持たなければならんと思うのであります。ところが最近において
人事院を廃止して
総理府の一部局としよう、そうしてやはり
官僚機構の中にこれを取入れて行くという動きのあることも否定できない。その前駆として、と言うと
保利長官にはひどい話になると思うのですが、旧
官僚を入れて来る、而もその
理由は
人事行政のエキスパートだと言う。併し大正十五年に東京帝国大学を出た
内務官僚の当時のそれが、今日における近代的な
人事行政のエキスパートであるという証拠や或いはその実践や
経歴はない。誰かをどこかのポストにつけることについて
官僚的な支配によ
つてや
つてお
つたような過去の
人事行政のエキスパートではあるかも知れませんけれ
ども、近代的な科学的な基準を設定し、その基準がどういうポストに適合して行くものであるかという一般的な原則を掲げるところにおいては、誰をどこにというような
人事行政のエキスパートでない。而も
内務官僚と申しましても歴然としてこれは警保局
官僚、こういう人をこの際、個人としては確かに御立派なお話も私は党内において承わ
つておりますが、あえて日本中の中から選りすぐ
つて三人の
人事官の中に選ばなければならないほど日本に人材が払底しておるとは考えられない。而も今の
人事官の構成から言えば、能率とかその他本当に科学的なそのほうのエキスパートを要望しておるのでありますから、
民間の各種の能率研究所、或いは労働問題の研究所等において相当のエキスパートがある。にもかかわらずどうしてもいわゆる旧
官僚と称せらるる人を近代的な新らしい
公務員制度を立てて行く頂点にすえるということは、これは逆行しておるということだけは私間違いないと思う。而もそれが
人事院の権能を制限して
総理府の一部局としようとするような動きもあるこの際においては、なおのことこういうことは法の
趣旨を守る
国会の
立場としては
承認できない。而も
先ほど学閥の問題も言いましたが、確かに同一大学の同一学部ではないけれ
ども山下さんはやはり東大工学部でありこのお方は東大法学部である。こういう近似した系統に属する人をあえてた
つた三人の
人事官の中にすえなければならないというほど、私はそれほど重要なお方だとは考えない。而も私は個人
入江さんに対する一切の誹謗を申上げるのではないので個人
入江さんに対しては誠にお気の毒でありますが、併し真に近代的な
公務員制度を確立したいと念願してそうして
人事官になることを承諾せられておるような
入江さんであるならば、こういう論議を聞くならば、自分がならないことによ
つて却つて新らしい
公務員制度ができるということであるならば、な
つて新らしくいいものを作ろうと考えるのと同一の結果であるから、私は下
つてもよろしいということをおつしやるだろうと思う。それほど
人格高潔なかたであろうと思う。けれ
ども私は
先ほど申上げました
通り根本的な原則において、而も重要な原則においてこの新らしい
公務員制度を確立する頂点に立つ
人事官としては、こういう
経歴系統のかたは根本的に不
適格であるというふうに考えるのであります。而もこのことがこの
議運におきまして多数決を以てそうして決せられて行くとしましても、重大な
異議が起
つてお
つてそうして
任命せられて行くというようなことでは、それで多数党で押切
つたからとて勝
つたのだ或いは負けたのだとか、そういうような形でこの問題は取扱われべきものだとは私は考えない。それで
相当数の会派において原則的な条件において欠けるものありとするような場合においては、そういうぎりぎりの
段階に至る前に
政府側において善処せられることを私は望みたいのです。而も
保利長官は
民間人である、そうして労働
大臣として近代的な労働
行政をや
つて、そうして真に民主的な労働運動の発展を願うのであるということを口をすつぱくしておつしや
つてお
つた当事者であります。そのかたが
長官になられた途端に旧
官僚を引張り出して来てそうして近代的な
公務員制度を確立させるのだということでは、私は
保利長官はどうも前
大臣時代からの首尾一貫した日本のあらゆる問題に対して民主化の方向に進んで行こうとする意欲を、こういうつまらない、というと大変失礼でありますが、こういうことで一貫しないものに見受けられることは、私は
長官のために誠に遺憾とするものであります。各会派の御
意見等もございましようが、私たち
社会党第四
控室としましては、個人に対しては非常に恐縮でありますけれ
ども、根本的に原則的に相容れないものがある。近代的の
公務員制度に過去における
官僚のそれを、而も
内務官僚のそれをすえることはできない。而も大正十五年東大卒業といいますとこれは旧
官僚中の元老級に属するかたである。こういうかたたちにおいていわゆる
国家公務員法の目指す進歩的な民主的な
運営を期待するという前に、もう一度広く人材を官界等でなく、
民間等から選んで、本当に三人が三本の足で民主的な
運営ができるように
政府側において特段の考慮をお願いしたい。
而も最後に申上げますが、
人事院総裁である
浅井さんと
連絡をと
つたことが誠に民主的な
手続のようなふうにお考えにな
つてや
つたようなふうに聞きとれたのですが、私はこれについては逆な
意見を持
つてお
つて、
人事院総裁がその人はいい人だ、歓迎しますというようなことを言う
事態さえ私は越権だと思う。
人事院総裁は何の権限があ
つて人事官の候補その他について
連絡があ
つた場合に意思を表示することができるか、共に自分と同じ
立場に
任命されるかたなんであ
つて、自分がその
任命に対して
同意を与えるようなそんなうぬぼれた考えを持たれたのでは私は困ると思う。而も又そういうふうに
人事官同士の意に合う者を
人事官として迎えるということであるならば、三人
人事委員会というようなものはあ
つても無
意味なものである。それぞれ
意見と
立場と或いは性格と或いはその特技、それぞれが
違つてお
つてこそその間の調和を期待し真に民主的な
運営ができるとさえ考える。この点について
連絡があ
つて人事院側のほうで大体了承しておるのだからというようなことについては私は絶対受取ることはできない、
手続上から
言つて。この点も附加えまして残念ながら
同意を与えることはできません。私たちの
立場は、
政府責任で
任命するものですから、国民の信頼を得て
内閣をと
つてお
つて、その
内閣の
責任でやることについて積極的に
国会側が反対だなどと
言つて人事院に立入ることは厳重に自粛しなければならないものであるというふうに考えて、今日まであらゆる
同意、
承認の問題について処して来たつもりであります。けちをつけるというような考えは毛頭我が会派においては持
つておらなか
つたのでありますが、今回はどうしても根本的に法の
趣旨から見て相容れないものがある。
先ほど菊川君が申されましたが、フーバー労働課長のときに
国家公務員法ができて、その場合
国会側からも
人事委員会の
議員諸君がたしかよばれて行
つて、旧
官僚組織、東大閥のそれを打破すべきであるというようなことで法の中にそれを盛込むことが一応あ
つて相当な警告を受けて来て、それを了としておる。我々も組合
関係に当時おりましたときによばれてそのことは厳重に言われたことなのです。
従つてこういう或る種の復活というふうな誤解を受けるような
人事については我が党としては賛成できません。