○平林太一君 この際項目を提示いたしまして、
質疑を一括して申述べたいと存じます。どうぞそのお心組で順次御答弁を煩わしたいのであります。
第一に申述べたいと存じますことは、
只今委員長より三
条約に対しての
質疑というお話がありましたが、当然それにも相関連いたしまして、当面緊急の問題として
質問をいたしたいところを先ず以て先に申上げたいと思います。
国連軍は、今回休戦会談進行中の現在におきまして、何故に水豊発電所を爆撃したか、
国民等しくその
内容を知りたいと存じておるところであります。このことは、国連側の政策の変更を
意味するものであるかどうか、この点お伺い申上げるのであります。更にこの結果が休戦会談に及ぼす
影響及び見通しは如何なるものであるか。これと平行いたしまして、国連の今回の水豊ダム爆撃の
措置について、中共、北鮮側が報復処置をとる虞れはないか。とるとすれば、どのようなことが予想せらるるものでありますかどうか。更にこれが原因とな
つて、大戦に発展する危険はないかどうか。中共、北鮮側の出方はどのような出方をするものであるかどうか。更に目下このことに当面をいたしまして、諸外国の批判及び反響というようなものが大いに注目せられるのでありまするが、このことにつきまして、先ず以て
総理の御支障のない御範囲において御所懐を承わりたいのであります。
次は、
北太平洋漁業
条約は、今後アジア
諸国等との漁業
条約を
締結する場合に、
日本の立場を不利に導く虞れがありはしないかとの説をなすものあり、又しばしば巷間これが心配を伝えられておるのであります。即ち侵された公海の自由が先例とな
つては困るのであるという心配であります。現に
我が国の漁獲の実情は、戦前の二百分の一に減退をいたしておるところの現状に鑑みましても、北洋漁業の再開による殊にさけ、ます等を対象とするものは極めて重大に取扱われるべきものであると思いますが故に、この点
総理のお
考えを承わりたいのであります。勿論本
条約は、私の記憶するところによりますれば、昨年の十一月、いわゆる昨年の中秋の候の前後に取結ばれたのでありますが、当時といたしましては、
サンフランシスコにおける
平和条約締結の直後第一回に結ばれた
条約でありまして、当時私の
考えを以ていたしましても、いわゆる米国が非常な寛大と寛容を示して、この講和後の第一回の
我が国に対する非常な好意を示したということを忘れることができないのであります。併しながら講和の発効を済ましました今日におきまして、これに対しまする非難と心配がいたされて参
つたのでありまするが、これらのことにつきましても、すでに
条約を
締結いたしました我々は、当時の米国に対する信を今日といえども忘れることができないのであります。このことを併せて勘案いたしまして、この
条約に対する是非の感覚を公正にいたさなければならないと私は存じておるのであります。具体的のことにつきまして、
総理より伺いたいのであります。
次に、この日華
平和条約は、吉田
総理のダレス特使宛書簡の線に沿
つて締結せられたと思うのでありますが、この点併せて
総理から御所見を承わりたい。更に第一条の
関係から中間大陸について
戦争状態が終了いたしたと思うのでありますが、この点に関連をいたしまして、この点如何ようにお
考えになりますか、又これに関連をいたしまして、今後中共政権に対する我が
政府の方針は如何ように臨まれるか、如何ようなお
考えを以て臨まれるのか、承わりたいのであります。
次に申述べたいと思いますことは、日印
平和条約の
サンフランシスコ条約と異なる特徴をこの機会に
総理からこれを挙げて頂きたいと思うのであります。私もひそかにこれを承わりたいのであります。この
条約の成立を機として、将来の日印友好
関係を如何にして一層緊密ならしめて行くかということは、我々はむしろこの
条約の本質を通しまして、深い感謝と親愛の情を以ちまして、これに思いをいたしておるのでありまするが、この点
総理のお
考えを承わりたい。更に
インドと鉄鉱開発の噂が先般来よりこの日印
条約の
締結を契機といたしまして伝えられておりまするが、どのようなこれが経緯、条件によ
つて実行せられるのでありますか、切にこれが実現を
希望いたしまするが故に、殊にこのことに対して詳細のことに対しまして承われれば、非常に仕合せと存ずるのであります。
最後に申上げたいと思いますことは、現下外交の全般に亘る問題について、
総理の御見解を伺いたいのであります。即ち言葉を換えて申上げますれば、
我が国外交の根本
原則は何かということについてであります。即ち
政府において国家外交の根幹、方針ともいうべきものが樹立されず、又それらの基本
原則が
国際間の相互の間に了解、徹底されていないとするならば、今後の対外
交渉に当り思わざる誤解を受け、又それによ
つてしばしば事の前に先方から軽侮を受け、或いは軽視せらるるというような
影響も受けるのではないかということを虞れ、且つ憂えるのであります。さらでだに独立後日なお浅き今日の
国際情勢下に処するに当りまして、ただ事件が起るごとにその都度都度の行当り主義の追随、服従の余儀なき結果に至るということにも相成るにはあらざるやと心配をいたすのであります。故にこの際講和の発効を完全に期して多難の中にこれを成就し得ましたる吉田
総理におかれましては、定めしこの機会において、将来に期するものがあり、
我が国外交の基本
原則、根本方針をここに置くべきものとして肝胆をお砕きになられておることと拝察をいたすのであります。以て
外務大臣以下、我が外交当局の向うべき方針をここに明らかにせらるるということを私は深く期待して止まないのであります。この
総理大臣といたしまして、今いわゆる独立国として
我が国の自主外交がここに新しく発足するに当りまして、この方針の確固下動のものを明示せられまして、又これを内外に闡明せられますことによりまして、時に事あり又時の変化によ
つてその内閣変るといえども、この根本方針は、暫らくの間次代の内閣がこれを継承し、これを伝えて
我が国外交の不動の態勢、対外
交渉の大
原則というものをここに樹立いたすということに相成ること極めて緊要な事柄と存じまして、この点まさに国家の運命を今後左右する重大なる原因とも相成るべきことを深く痛感いたしまするが故に、この点あえて
総理のこれに対しまする御見解を承わりたいと存じます。取りあえず以上であります。