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吉川末次郎君 それからもう
一つ、今読上げました、引用した
国家公務員法の第
五條の末項の
人事官の任命に関する
規定でありますが、そのうちの二人が、同一政党に属してはならないということと、その次の「同一の大学学部を卒業した者となることとな
つてはならない。」ということであります。これは私は
日本の民主化のためには非常に重要な
規定であるとその当時から
考えてお
つたのであります。このことは非常に重要なことであると
考えるのであります。それから従来とも
官吏は官学の出身者であるというような
意味で、今申しましたところの山縣公が文官任用令を作りまして、そうして政党員の猟官性を排除すると同時に、
官吏になることについての
試験制度を確立した。即ち高等官でありますならば、高等文官の任用令のようなものを、及びそれに対する
試験というようなものの
規定を作
つたのでありますが、同時にまだ人材もなか
つたことであるので、
官吏を作るということの
目的として帝国大学、特に
東京帝国大学が作られたということは、これは大学の歴史から見ましても明白なことだと思うのであります。ところが、そのために非常な官学閥の独占の弊を生みまして、そのことが官僚の独善主義を生む
一つの基本ともなり、又学生の気分を非常にかたよ
つたものとし、又そうした
考えが延いて
日本の民主々義の発展を阻害して来たことは極めて顯著なことであると思うのであります。大体におきまして
戰後マツカーサーが
日本の政府に行わしめましたところの新憲法の制定、その他の
制度につきましては局部的にいろいろ再検討しなくてはならん点は相当あると思いますけれども、併し
日本の人が気付かなか
つたところの
日本の欠陷を衝いて、そうして
日本の大きな改革をするということに非常な貢献をしたことは、私はその功労極めて大なるものが多くの面にあると
考えるのであります。例えば農地改革とか、或いは労働
関係法の制定とか、こういう大事なものでありますが、それと相並んで学閥の打破ということを
考えて、
日本の民主主義の未発達の原因が
一つのその官学閥の独占ということにあ
つたということに気が付いて、これを矯正しようとしております見解のごときは、これは現在の
官吏諸君からいたしまするというと、非常に愉快に思われないことかも知れませんけれども、広い目で見ますというと、これは極めて重要なことだと
考えるのであります。それで
外交官は大体今日まで帝国大学出身者及び一ツ橋の商科大学の出身者等に独占されて来たと思うのでありますが、これも広く人材をこの国内に開放して、立派な人材を広いフイールドから求めるようにして行かなくちやならん。併しながら現在の
外務省の
人事行政の質的な構成の立場から言いますというと、やはりそうした特殊の学校の学閥の勢力というものが、牢固として私は抜くべからざるものがあることは、これはもう現実として動かすべからざるところであると思うのでありますが、そのためにもこの
国家公務員法の第
五條に
規定されておりますところの
人事官の任命について「同一の大学学部を卒業した者となることとな
つてはならない。」という
規定、その中に今引用しましたこの同一の政党に属するものが二人以上お
つてはならんということと同じように、必然的にこれは
日本の民主化のために、又
外交官の広く人材を求めるという立場から、どうしても
考えて行かなくちやならんことだと思うのでありますが、こういの
規定がやはりこのなかに挿入されて行く必要があると非常に
考えられますが、どうでしよう。