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1952-04-14 第13回国会 参議院 外務・人事連合委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十四日(月曜日)    午後二時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     有馬 英二君    理事            徳川 頼貞君            吉川末次郎君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            伊達源一郎君            金子 洋文君            加藤シヅエ君            大隈 信幸君            兼岩 傳一君   人事委員    委員長     カニエ邦彦君    理事            千葉  信君    委員            北村 一男君            溝口 三郎君            木下 源吾君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    外務政務次官  石原幹市郎君    外務大臣官房長 大江  晃君    外務大臣官房会    計課長     高野 藤吉君   事務局側    常任委員会専門    員       坂西 志保君    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○在外公館に勤務する外務公務員の給  与に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは只今から外務人事連合委員会を開会いたします。  在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律案を議題といたします。御質疑のおありのおかたは順次御質疑を願います。
  3. 木下源吾

    木下源吾君 恐縮ですが、私のほうからお願いしたいと思います。皆さんの御了解を得て。
  4. 有馬英二

    委員長有馬英二君) どうぞ。
  5. 木下源吾

    木下源吾君 ちよつとお尋ねしますが、これに在勤手当というものの給与本質は、一体これは何で、どういう本質を持つているのですか。例えば国内勤務地手当であるとか、或いは旅費に該当するものであるとか、何かこういうような本質はどういうところにあるのか。ここで見ますると、衣食住というようなことになつておるようでありますが、それだけではただ漠然としているので、一つ給与本質をお伺いしたいと思います。
  6. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは、御案内のように、本俸特別職であるなら特別職本俸、それから一般職のものは一般職本俸を受けるわけでありまするが、勤務地外地でありまするので、生活水準等も非常に異つておりまするし、又いわゆる衣食住等においても異なるのでありまするが、その他に交際費でありまするとか、或いは又保健衛生費といいまするか、教育費或いは交通、通信、修養、娯楽その他一般生活に必要なる諸雑費等内地勤務の場合とは非常に異なるのでありまするので、そういうものを総括して含めました意味在勤俸給与する、こういう考え方なつております。
  7. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、交際費というようなことを一例を挙げて言われたんですが、公けの交際費というものはないのですか。
  8. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 只今私が申上げました交際費というのは、向うにおりまするといろいろプライベートな交際関係に使うという意味交際費でありまして、公けの交際費というのはこれは公館長つまり大公使公館長がこれを使う。こういうことになつております。
  9. 木下源吾

    木下源吾君 交際費はどのくらいありますか。例えばアメリカの場合……。
  10. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 交際費は大体一館、一つの館で年間一万ドルでございますが、併しこの経費大使館公使館領事館仕事の重点乃至は仕事のたくさんあるところに重点的に使いまして、アメリカイギリスフランス等の大きな且つ重要な大使館にはそれ以上廻すということになりまして、アメリカ大使館にはどれだけというふうには、その範囲内において彼我融通して、いろいろ催し物が多い場合にはそこに使う、そういうふうになつております。
  11. 木下源吾

    木下源吾君 今の一万ドルというのは何ですか、一大使館に一万ドルですか。
  12. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 約外貨にいたしまして四十九万ドルでございまして、これを各館に割りますと、一カ年一万ドル、月に千ドル足らずということになりまして、小さい領事館においてはそれ以下、大使館については一万五千ドル乃至二万ドル廻り得るかと存じます。
  13. 木下源吾

    木下源吾君 そうすると家族全部向う行つた場合にはどうなんです。こつちのほうに家族はおらんという場合に本法との関係はどうなるのですか。
  14. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 家族を全部海外に同伴いたした場合には、特別職には家族手当というものはございませんが、一般職には家族手当がございまして、その場合でも内地におけると同じように円で計算しまして、それをドルに換算いたしまして、額といたしましては内地においても外地においても額は同じでございます。但し配偶者の場合には在勤加俸というものが在外におきましてはつきますから、その場合に内地はおける配偶者に相当する扶養家族手当は当然落しまして配偶者加俸だけ受けるということになるわけであります。
  15. 木下源吾

    木下源吾君 私のお尋ねしているのはですね、特別職つまり給与は、国内においての給与を受けるわけです。大使は一号五万七千円、二号六万円、三号六万四千円、こういう受けるのが皆家族を連れて赴任してしまつたならば、こちらの本俸は要らないというように考える。それを今聞いておるわけなんです。
  16. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 家族を全部大使公使在外に連れて行かれる場合でも、子供乃至親、両親につきましては、そういう在外におきましては手当がつきませんし、子供内地においておる場合には内地における経費が要るわけでありますから、それは本人内地において希望があれば支払うことがございます。それから外国に参つた場合にはこれは基本給でございますから、特別職及び一般職当然つける次第でございまして、在勤俸は一種の勤務地手当ということになりまして、額は本俸在勤俸の額が違いますが、公務員として当然の本俸でありますから、これを織込んだものでありまして、外国に行きました者でも、特別職及び一般職本俸はそのまま受けるということになつております。
  17. 木下源吾

    木下源吾君 今のお話本俸というのは、その構成の今の基礎は、生活費に充てるということが基本なつておる。名目ではないのだなあ。ところが実際こちらにおらんのに、本人がおらんのに、本俸をこちらで支払うということは、やはり私どもは昔の給与と違うんだ、今のやつは給与構成は御承知通りCPSとか、CPI或いはマーケツト・バスケツトとか、いろいろ生計費標準にして給与しておるわけです。ところがおらないのにやるというのはどういうわけですか。それから家族の場合でもですなあ、今の扶養家族手当というものがある。それはあるのですが、本人生活のためにやる本俸海外行つてつて向う衣食住、いわゆる生活費という、給与だということになれば、二重になるように考えられる。こういう点は私は矛盾しておるのじやないか。こういうように思うのですがどういうわけですか。
  18. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この本俸はこれは当然その人本人についておる給与でございまして、ただここで考えておりまするのは、家族内地に残つておるような場合に、便宜内地家族本俸を取らしてやるような、便宜措置を講じておるというだけのことでありまして、これは当然本人についておる給与でございまするから、向うにおれば当然向う在勤俸加俸もやはりもらう、これが建前だろうと思います。それで在勤俸というようなものはやはり本俸があるということを建前の下にこの在勤俸ということが考えられておるわけであります。ですから別に私どもは矛盾があるようにはちよつと考えられない。
  19. 木下源吾

    木下源吾君 今内地勤務のものは、これはよそへ出る場合には旅費だとか日当であるとかいうことになる。私ども先ほども言うように、いわゆる基本給本俸というものは、特に本俸というものは生活のためにですね、生活費に当てるためにやつておるのです。今はそういうことになつておるのです。ところが在外に勤務するというこの法律で行くと向う生活する、衣食住ですから。向うでも生活費なんです。そういうことになると二重につまり給与するということになる。こういうようにまあ私ども考えられるのです。先ほど勤務地手当と言われたのですが、勤務地手当というのは、御承知通り、その勤務地における物価差によつてこれは支払われておるので、こういうように明らかに衣食住とその人の生活ということを謳つている以上は重複すると私ども考える。これは人事院に伺えばもう明らかになると思うのです。ですからその建前が、一体内地なら旅費日当に該当するものであるとかなんとか、そういうようなものであれば私はいいと思うのですけれども衣食住ということになりやそれは生活費なんです。殊に配偶者行つた場合は配偶者生活費もここへ手当として出すわけですね、生活費ということになりや二軍になりやせんか、重複することになるのではないか、こういうふうにまあ考えられるわけです。
  20. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 人事院のほうは今政府委員を呼んでおるようでありまするから、参りましたならば更にお答えを願うことにいたしまするが、こちらといたしましても、十分人事院と打合せの上で規定ができておるのでありまして、先ほども申上げましたように、本人についている本俸というものは、別であるという建前の下にこの在勤俸というものは計算されておるといいますか、仕組まれておるのでありまして、その間別に二重になつているというふうには我々は考えていないのであります。ただ家族を残している場合には、便宜こちらでその家族本人本俸を取らし得るようにしておると、こういう建前をとつておるわけであります。
  21. 木下源吾

    木下源吾君 そういたしますと本俸というものをやる建前で今度の別表が作られておる……。そうするとやはりこれの計算つまり基準ですね。基準というものがなければならない。こういう基準は一体どこに置かれているか。
  22. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 在勤俸基準ですか。
  23. 木下源吾

    木下源吾君 そうです。
  24. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 在勤俸計算基準は、先ず法律案別表アメリカ合衆国の十号、下から三段目でございますが、一号、二号、三号とございますが、この十号の二千七百五十ドルというものを、一応アメリカにおきまして大学乃至專門学校を出て初めて任官いたしまして大体衣食のできるというのを基礎にいたしまして、これを月額にいたしますと約二百三十ドルになるわけでございまして、これがアメリカにおける生活水準から見ますと、大体下の上ということになりまして、これを標準といたしまして級が上るごとに、勤務年限が上るごとに、だんだんに国内給与体系及び諸外国給与体系の率を勘案いたしまして、係数をかけて行きまして九号は三千三十、八号が三千五百八十、段々上げて行つたわけであります。それから地域差と申しますか、横の各国との差は、アメリカを一〇〇といたしまして、物価水準の差を計算いたしまして、系数をかけて同じく十号を出しまして、それを同じく基礎といたしまして九号、八号、七号というふうに算出いたしたものでございます。そういたしますと各地域の差は、アメリカを一〇〇といたしまして、アメリカよりも物価の高いところがございますが、これを一〇〇に抑えまして、イギリスフランス皆一〇〇になります。あとイタリア、ベルギー、ドイツが九五、そういうふうに各国とも一応率が出て参りまして、この率で計算いたします。但し大使公使の場合におきましては、そこに館の人数の多寡及び仕事の複雑、重要性と申しますか、そういうのを別に勘案いたしまして、やはりアメリカを一〇〇と抑えましてイギリスが約九七というような率で、又大使公使につきましては別の標準をとつたのでございます。
  25. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 木下君に申上げますが、人事院給与局長瀧本忠男君が見えましたから御質問があつたらば……。
  26. 木下源吾

    木下源吾君 いよいよ以て、これは勤務地手当というようなものではないというふうに考えられる。勤務地手当というのは、御承知通り物価差によつて本俸の何%、こういうふうにまあ割合をきめているわけで、これはそうではなく十号なら十号を標準として、そうして能率給だとか、その他のつまり條件を入れて、そうしてこの大使幾らというようにきめておられるようなんで、内地の場合における、いわゆる本俸とちつとも変らんのじやないか、こういうように考えられるんですが、そういう点はどうですか。
  27. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 普通の場合と申しますか、日本と諸外国との生活様式乃至生活水準が非常に似ている場合には本俸中心といたしまして、あとそれよりも本俸を一〇〇にいたした場合、在勤俸が二〇乃至三〇の差額でよろしうございますが、日本の場合には生活様式及び水準が非常に異なるのでその率が逆になりまして、例えば大使におきまして特別職本俸が六万円といたしまして、これが米貨にいたしますと約月に百六十六ドルになるわけでございます。そういたしますと年間約二千ドル足らずになるわけでございますが、この月百六十六ドルでは大使がこれを本俸といたしまして、それに若干の差額をつけて向う生活なり、外交官体面を保つて生活ができませんですから、理論的には木下委員の言われる通りですが、実際面といたしましては額の開きが非常に多いということで、結果におきまして何か在勤俸のほうが本俸というような感じを与えるのでございますが、考え方としては本俸中心としてやるのが理論的なんですが、実際面におきましては先ず大使で百五十ドルということではちよつと生活は勿論、向う外交活動ができませんので、在勤俸基本みたいな感じですが、理論的にはいわゆる勤務地手当と申しますか、差額を支給するというのでございますが、額が違い過ぎるので在勤俸基本になるような考えになるのですが、その点は現在生活水準なり物価水準が非常に違うので、そういう矛盾したようなあれになつて来るわけであります。
  28. 木下源吾

    木下源吾君 アメリカ大使の場合は、アメリカ公務員のどのくらいのところに、これを本俸としてみなして匹敵しているんですか。
  29. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) アメリカの場合、大使年間……土地によつて違いますが、イギリスフランス等におきましては本俸が二万五千ドルほど、それに在勤俸がつきまして約三万一千ドル、公使本俸が一万七千五百ドル、在勤俸を含めまして約二方四千ドルという次第でございます。それからアメリカにおけるアメリカ公務員、これは日本におきまして局長クラスが大体一万ドルから一万四千ドル、課長クラスで五千ドルから約八千八百ドル程度となつております。それから御参考までにアメリカにおきまして各省長官年間二万二千ドル、それから各省政務次官会計検査院長官が一万七千五百ドル、そういうような大体計算なつております。
  30. 木下源吾

    木下源吾君 現在の在外事務所で一番多く支払つておるつまり給与の総額はどのくらいになつておりますか。
  31. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 約七千ドルでございます。
  32. 木下源吾

    木下源吾君 それは七千ドルというのは何々ですか。
  33. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) これは今御審議願つておる法案と給与の組み方が違いまして、妻加俸というのは全然入つておりませんで、單なる在勤俸と申しますか、それで級別に六級か七級になつておりまして、所長が七千ドル、それからあと級別によつてだんだん少くなつて来るというので、現在御審議願つておる兼任加俸とか代理加俸、そういうものは全然考えておらないのであります。
  34. 木下源吾

    木下源吾君 今の在外におる所長、これは実際において向うでいわゆる日本在外事務所長としての体面を保ち、衣食住をやるのに十分なわけだと思うのですが、この何では大使としては足らんという根拠はどこにあるんですか。
  35. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 現在の在外事務所長は御承知のように講和発効前の一応の極く限られたる権限と、限られたる事務を掌つておりまして、従つて横各国との領事館乃至大使館との交際もございませんし、向う政府とのいわゆる外交と申しますか、交際らしきものもございませんので、本当に内輪な限られた生活で、交際は殆んどいたさずにやつておる次第でございまして、これでも現実には非常に足りないというので各地方からいろいろ要求、要望が来ておる次第であります。現在においてすらそういう状態で、これはいずれ改正しなければならない。殊に講和が開ければ当然事務も殖えますし、人も殖えますし、各国大使館公使館領事館との交際も殖えて来る次第でございまして、大巾に改正を要する次第と存ずる次第であります。
  36. 木下源吾

    木下源吾君 結局今度の場合、今お聞きしておるというと、内地におけるいわゆる給与本俸とは私は変らぬものというように考えられるのですが、これは在勤俸というような、こういうことをやめて、一般職及び特別職給与法の中に特別俸給表を作つたほうがすつきりするんではないかという考えを持つんですが、そういう点についてはどういうように考えておられますか。
  37. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほどから繰返して申したことと同じでありまするが、この在勤俸はやはり衣食住を補充するという意味考えられたのでありまして、今木下さんが言われましたように、本俸在勤俸を合せた一つ俸給を作つて見るということも一応は考えることは考えたのであります。併しそうなりまするというと、特別職一般職との職階上におきましても、いろいろ根本的に変更を要するようなこともあり、人事院等とも相談をいたしました結果、今回の建前のような方式で行こう、こういうことになつたのでありまして、木下委員の言われましたようなことも一応考えてみることは考えたのであります。
  38. 木下源吾

    木下源吾君 この第七條八條でいわゆる審議会が、給与改訂調査や、勧告権を持つよう定めておるのはこれは人事院権限を侵すのではないか、こういうように考えられますが、この点についてはどういう御見解か承わりたい。
  39. 大江晃

    政府委員大江晃君) 七條八條におきまして、在外公館長が各地の実情を報告いたしまして、実際の、現地におきまする調査報告によつて審議会がこれを大臣勧告する。これは現実の問題といたしまして、外務省におきまして、いろいろ調査研究いたさないと、わからない問題でございますので、外務大臣権限といたしまして、在勤俸改訂をやることが一番適当じやないか、こう考えております。
  40. 木下源吾

    木下源吾君 私は国家公務員法が現存している以上、一つ人事院権限というものは、おのずからきまつていると思うのです。そこへ持つて行つて別審議会を作り、そうしてそこから勧告をする。いわゆる行政が重複するわけですね。殊に人事院勧告政府並びに国会にするわけです。でそういう観点からすると誠にこれは不適当のように考えられる。外務省だけのこういう点は当初、この前の法律にもあつたように、民主的だと言つても民主的でないように考えられるのです。そのほうがやりいいというだけで根本の問題がちつとも解決にならないと思うのです。やりたければ勝手に誰でもやる。大臣は、外務大臣がやりいいからやる。と言つても、勿論人事院が今何もかも給与問題等にタツチしている  わけじやない。やはり各省からいろいろそういう調査の結果を集めて、そうしてやつているので、俺のほうだけはここでやりいいからやるというのは、私はいい場合もあるだろうけれども却つて私は民主的にもつと明るくやつたらどうかと、こう思うのですが、こういう点についてはどうですか。人事院瀧本さんにお伺いして見たいのです。何か特別にしなければならんということで御同意なさつたのかどうか。
  41. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 只今の御質問でございますが、外務公務員といえども一般職国家公務員たることに変りはないと思うのです。外務公務員在外で勤務されている際には、現在の日本為替事情等によりまして、国内俸給というものだけによつて賄えないだろうということはよくわかるのです。ところでそういうかたも在外におられるだけではございませんで、やはり帰つて来られる、そうして内地で勤務されるという場合も勿論ある。そうして又そういうかたが退職されます場合には一般職の職員と歩調をとりまして、恩給の問題も起つて来るということになろうと思います。従いまして我我といたしましては基本的にはこういう在外公務員につきましても国内における一般職公務員と同様な給与法が適用されるということが必要であろう。その意味におきまして在外公務員につきましても基本的には一般職給与法が適用される。又職階制に基く給与準則ができました暁におきましては、やはりその我々の作ります給与準則というものが適用されるということが原則になろうというふうに考えております。ただ先ほども申しましたように為替事情等もございますので、そういう国内における給与額だけで海外行つていろいろな活動をされるという場合に、これはことごとにいろいろと支障が起つて来るであろうと考えます。従いまして現在のような事情におきましては、在外公務員には、ここに法律案にも書いてございまするように、在外公館において勤務いたしまする際の必要な衣食住等経費に充当いたしまするために、何か補足手段が講ぜられなければならないだろうと思うのです。こういうものが現在の場合におきましては額の上では非常に大きなものに、総体的には俸給に比べましてなるのでありますけれども、やはりこういうものが必要であると考えます。実際問題といたしましては、人事院が国外に赴きまして、そういう資料を一一收集するということはなかなか困難な事情があるということもこれ又事実でございますので、こういうことは外国に勤務されております公務員を多数に擁しておられます外務省におかれましては、その資料收集等が非常に容易であろうというふうに思います。従いましてそういう為替関係等も始終変ることでございますから、そういう意味におきまして、恐らくはこういうふうな立案がされているのであろう。又人事院の能力の面からいたしましても便宜的にこういうものをつけるということは止むを得んのではなかろうかと考えている次第であります。
  42. 木下源吾

    木下源吾君 さつきから為替相場ということを、いろいろそういうことを言つておるのですが、そういうときには勝手にやれるように法律には書いてある。そうして現在あなたがたも御承知通り日本公務員と仮にアメリカ公務員とを比較して、どのくらいの何になつているかというと約十分の一でしよう。これは、そういう点は瀧本さんのほうでわかつていると思う。アメリカ公務員日本公務員標準生活費比率はどのくらいになつておりますか。
  43. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) それは先ほど外務省のほうからお話がございましたように、俸給額で見て参りますと相当の差額がございます。併し生活様式等も違いますることでありますから、生計費を、アメリカにおけるアメリカ公務員生計費と、日本における日本公務員生計費を、比率幾らで抑えて行くかということは相当困難であろうと思います。
  44. 木下源吾

    木下源吾君 ベースで現わすのです。アメリカ公務員ベース日本の場合とはどのくらい、例えば十分の一とか二十分の一とかの、日本ベースはそれはわかるでしよう。
  45. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 名目的なベースですか。
  46. 木下源吾

    木下源吾君 そう……。
  47. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 名目的なベースで参りますと、これは又先ほどからお話が出ておりますように、為替相場ということを勘案して参りませんと、なかなか比率が出しがたいのであります。先ほどからお話がありましたように、アメリカ公務員におきましては、局長級なつて参りますと、年額一万ドルというような数字になつております。ベースから申しますとやはり相当日本のほうが低いということは事実です。
  48. 木下源吾

    木下源吾君 低いのはどれくらい低いか、あなたのほうでわかつておりますか。
  49. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ちよつと調べます。
  50. 木下源吾

    木下源吾君 それではその点は又あとにしまして、今度の在勤俸とか、いろいろの加俸に対しては、日本の税金ですね。これはどうなりますか、所得税は……。
  51. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) これは現行法によつてかからないことになつています。
  52. 木下源吾

    木下源吾君 何の法律によつて……。
  53. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 現行所得税法の第一條第二項第三号によりまして、「この法律の施行地において、俸給、給料、賃金……又はこれらの性質を有する給与の支払を受けるとき。」というので、要するに国内において受けるときはかける。従つて反対解釈によつてこれはかけない。この規定の解釈として国税庁長官から通達が出ておりますが、併しこれが本国会におきまして新らしくはつきりした規定として所得税法の一部を改正する法律案が今国会に上程されておりまして、そこにははつきり外国において勤務するものには所得税をかけないという改正案が出ております。今までは解釈上、今度新らしくはつきりかけないという法律案を現在上程されております。
  54. 木下源吾

    木下源吾君 この法律はつまり国家公務員法の第六十三條に定めた給与準則ですね、この給与準則とみなしていいのかどうか。
  55. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) そうみなしてよろしいかと思います。
  56. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほど木下委員から御質問のございました、アメリカ公務員給与水準日本公務員給与水準の大略の話でございますが、平均でお話申上げますと、アメリカ国家公務員は約十倍程度になつておるかと思います。
  57. 木下源吾

    木下源吾君 そこで何です。私はさつき大体十倍と言うたのですが、日本つまり大使の、特別職給与法によると、三号がつまり最高で六万四千円、そこで十倍というと年額六十四万円、そういうことになると思うのです。今日出されておるこの別表を見まするというと、大使の最高一万八千八百ドル、それに配偶者加俸、それは百分の四十、これを何するというと、日本の円に直して大体九百四十七万五千円になるのですね。而も一方は税金を一つも払わないのです。そうでしよう。税金を払わない。先ほど局長の話でも言われたが、これはアメリカで私は所得税があるかどうかわからないのですが、何ぼアメリカでも税金を払わないわけはないと思うのですが、とにかくも私は先ほどからこの表を見ておつて外務省は一体何を基準にして、さつきからの話によると、アメリカを一〇〇%にして、どこを何%と言われているが、一向に別表基準がわからんのだが、或る場合には本俸のごとく、或る場合はそうでないかのごとく、能率給のごとく、生活給のごとく、ちつともこれは体系をなしてないと思う。これだから私はさつきから言うように、国家公務員法に基く人事院というものを私は引き合いに出しておるわけです。大体外務省というのは素人です。このくらい金が要るからよこせと言つたつて国民は納得しませんよ。こういうようなことの基準がわからんというと我々審議のしようがない。じや又この次にお尋ねしますが、一般職公務員の場合では、給与改訂はどんな場合でも嚴格な法律改正の手続をとつてやるのでありますが、この九條を見ますというと、いわゆる在勤俸の額は政令で自由にこれを改めることができる、こういうことになつておるのですが、一体これで一般公務員とのバランスがとれるのかどうか。外務公務員だけはいろいろの事情で政令でやる。国内公務員は皆これは法律改正でやつておるのです。あなたがたそれをよくわかつておる。給与法の一部改正ということで皆やつておるわけです。在外のつまりこの公務員だけが政令で勝手にやるということになつて、それはまあ勝手にやることもいいでしよう。特別なものだからいいでしよう。けれどもそれでは、つまり一般職国家公務員法によつてということを言われているのだが、バランスはちつともとれないのじやないですか。どういうところで一体バランスをとるつもりか、そういうことを一つ伺いたい。
  58. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 私は一応総則的に申上げたいと思いますが、原則はこれは勿論、法律で改正して行かなければならんということは当然であります。ただ国会の閉会中等におきまして、これは物価であるとか、或いは為替相場等の非常な著るしい変動が起きました際に、海外に勤務しておりまする者は国内に勤務する者と違いまして、別に縁故者というものもなければ、そこに生活上の根ざした基盤というものを持つておるわけでもございませんので、而も又、一方外交官としての体面の維持ということを事欠くわけにも行きませんので、そういう場合に処するためにこういう規定を設けておるわけでございまして、これは現行の旅費法の中にも附則第十項におきまして、この旅費の定額の改訂についても大体これと同様の規定が設けられておるのでございます。こういう規定を設けましたのは、只今申上げたような趣旨からでございます。
  59. 木下源吾

    木下源吾君 今法律の規定と言われるが、これも法律によつて自由にやることができる規定なんです。そういうものをここで我々は引合いに出されるのは大きな迷惑なんです。それよりももつと考えられることは、標準生計費が、先ほど十号で二千七百五十ドルということが出ておる。若しそういう著るしい変動があつても飢死することはないわけです、少くとも八倍からの給与を受けるわけなんですから。若しそういうことを予測するならば、国家公務員の場合は、その給与の〇・五の変動があつた場合にはやると、こういうことになつております。やはりそういうことをきめておかなければ私はどのくらい上つたのか、下つたのかわからない。このくらいで一つ政令でやつてくれ、よしやろうというようなことでは、私は正確を期するわけにも行かんし、殊に国家公務員の場合は、国会閉会中云々ということを言われますが、現行のベースは、給与は昨年の五月ですよ。それから急激に上つて行つても、未だに据置ですよ。どのくらい上つておるか、すぐわかる。それに国会が開会中でもそれを直さない。殊に閉会中だつて政府はそんなことを気にしたことはない。何故にこればかりがこういうことをせなければならんのか。一体どのくらい変動したらどのくらいにするかということは、やはり定められなければならないのじやないかと思う。
  60. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは全体の別表を全部変えてしまおうとかいうようなことを考えておるのではないのでございまして、例えば或る国におきまして、そこで非常に極端な例かも知れませんが、革命でもあつて非常な変動が起つた。こういう場合等もこれはあり得ることでありまして、極端な例でございまするが、そういう場合等も一応考えておかなければならんと思うのであります。これは先般の外務委員会でありましたが、逆に委員のかたから、そういう場合には一体どうするのかと、こういうような一方から質問もありましたような次第でございまして、全体の別表を全部引繰り返すというようなことは考えておるのではなく、一国において特殊な事変が起つたとか、事情があつて変動があつたというような、こういうような場合を考えておるのであります。そこでやはり外務人事審議会等にも勿論相談いたしましてやることでありますので、そこらの運営につきましては十分嚴格と正確を期して行かなければならないと思います。
  61. 木下源吾

    木下源吾君 兼勤加俸の場合のことをお伺いしますが、国家公務員法第百一條第一項の規定には明らかにこれは反するのだ、こういう考えを持つのです。どうしてこういうように例外な規定を設けなければならないか、その理由を一つ
  62. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは兼勤国に……兼勤を命ぜられておりまする国に対する関係におきまして、それだけいわゆる外交事務が殖えると申しまするか、職務の定量が殖えるのでございまして、そういう意味からいたしまして兼勤加俸の制度を設けた次第であります。
  63. 木下源吾

    木下源吾君 こういう例は一体どこかにありますか。今でも在外事務所あたりでも何かやつておるのですか。
  64. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは戰前にもやはりこういう制度はあつたのでありまして、只今在外事務所には兼勤の制度はございませんのでこれは設けてございませんが、従来もやはりこういう兼任地加俸というような名前でやられておつたかと思いますが、そういう制度があつたのであります。
  65. 木下源吾

    木下源吾君 戰前には国家公務員法というのがなかつたのですが、これは瀧本さんにお伺いしますが、今のこの法律の第十二條の第四ですが、「国家公務員法第百一條第一項、後段の規定にかかわらず、支給する。」となつております。こういうことは、そういう必要はやはり人事院はあると思つておられるのか。
  66. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 我々が了承しておりまする点は、兼勤というのはこれは兼職とは違うのではなかろうかというふうに思うのであります。数少い在外公務員であらゆる国と折衝される必要があるという場合に、一つの国に派遣されておりまする公務員が、隣接の二、三の国とも折衝しなければならんというような事情が起ろうかというふうに思うのであります。そういう場合には兼務するという物の考え方でなくして、これはむしろ職務内容が増加しておるのである、そういうふうに我々は受取りまして、これは兼務とは違うというふうに了承いたしております。
  67. 木下源吾

    木下源吾君 第二十條の語学手当というものの一体性格はどういうものですか。
  68. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) この語学手当は法文にもございます通り、「特殊語学手当」でございまして、英語、フランス語、ドイツ語というような一般的と申しますか、広い範囲の、広く使われておる言葉以外の、例えばマレー語とか、ペルシヤ語とか、そういう特殊な言葉で、その在勤地におきましてやはりそういう仕事の必要上特別に勉強しなければ仕事もできないと同時に、その勉強には先生とか、辞書とか、教科書というのは余りなかつたりするために、勉強するのに相当に苦心も要るし、その勤務を外れますと他の国へ行つては通用しない、労力の割には余りほかへ行つて通用しない言葉を若い館員に特別に勉強させるというために、その要る先生をとるとか、教科書乃至は辞引を買う特別の出費を補填するためにこれを出すのです。英語とか、フランス語とか、ドイツ語とか、そういう言葉を勉強するのは当然外務省の任務でございますから、これは上のほうの館長とか、そういうものには出しませんが、若いものには出費を補填するという意味で出すのであります。
  69. 木下源吾

    木下源吾君 館長代理というものの加俸の性格も承わつておきたい。
  70. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) これは参事官乃至一等書記官が公使及び大使を代理する場合には当然交際範囲も広まりますし、又交際の程度も激しくなりますので、その受ける在勤俸では足りないのではなかろうかということで、自分の受ける在勤俸の百分の二十に相当する額を支給するのでございます。併しそれが館長プロパーにおける額よりも多い場合には、これをその額にとどめる。要するに地位は下でございますが、仕事の内容及び責任において同じようなことをするし、従つて出費も多いということも考えまして、これを補填するという意味でございます。
  71. 木下源吾

    木下源吾君 第六條の「在勤俸の号の適用に関し必要な事項」ということを書いてあるのですな、これは第六條の二ですね、「必要な事項は、外務省令で定める、」こうなつておりますが、この「必要な事項」というのは、どういうことでございますか、具体的に……。
  72. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) これは何号を支給するという場合に、その在官年限及び学歴、今までの経歴及び在官年限、それから学歴及び試験を通つているか、国家試験を通つているかいないか、そういうものを勘案いたしまして何号を支給するというふうに外務省令できめるものでございまして、大体一号が現在の国家公務員の十五乃至十四級に相当するという考えでございますが、これは在外公館には各省公務員も参りますし、又民間のかたも参りますから、普通何級何号を、一般公務員国内の何級何号を、在勤俸何号を支給すると言いましても合わない場合がございますので、今までの在勤、在官年限とか、学校の卒業及び今までの仕事の内容、年数を勘案して外務省令できめて何号を支給するということにして参りたいと思います。
  73. 木下源吾

    木下源吾君 瀧本さんにちよつと……。只今のこの問題ですが、これは職階制の格付、それとは違いますか。
  74. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) これは直接には職階制の格付とは違うと思います。ただ精神は幾らか取入れてあるのではなかろうかと思います。
  75. 木下源吾

    木下源吾君 じやこの場合、具体的に今の必要な事項というものを、この場合一つ明確にして置いて下さい、もう一遍。
  76. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 号別の基準は、一号に相当するものは外交官、領事官試験の合格者については在官年限が二十一年以上を大体一号にいたしたいと思います。それから同じく二号には、十七年、三号には十三年、四号には十年、五号には七年、だんだん下がりまして、九号には在官一年未満の場合をいたしたい、それから書記生試験の合格者については、二号にするには在官三十年以上、三号には在官二十五年以上というふうにだんだん区別して行きまして、十号には在官一年未満、それから試験が通つておりませんで大学卒業者の場合は、二号には在官二十七年以上、三号には在官二十二年以上、ずつと行きまして、十一号には、大学卒業して在職一年未満の場合には十一号になれる、高等学校、專門学校は今の率で少し在官年数を殖やしまして、二号になる場合には三十年以上、中学卒業者の場合には在官三十六年以上でなければ二号俸はもらえない。それから高等小学校だけの場合は、在官三十七年以上でなければ三号になれない、そういうふうに大体考えておる次第であります。
  77. 木下源吾

    木下源吾君 先ほど御答弁の中にですね、アメリカ物価を一〇〇としてですね、地域差計算してといういろいろお話の中に、フランスも入つておつたようですが、フランスの対米為替レートは、今日日本とは大差ないと考えておりますが、今のこの表の基礎は、フランスの物価は米国と同様に見ておるようなわけですが、これは少し間違いじやないかと、こう考えますが、どうですか。
  78. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) フランスは、たしか一ドル三百五十フランかと覚えておりますが、物価が円とフランとの購買力になつて来るわけでありますが、為替レートは、そういうふうになつておりますが、向うのほうは高いというふうに考えておる次第であります。
  79. 木下源吾

    木下源吾君 私の質問はこれで終ります。どうも有難うございました。
  80. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは人事委員会との連合委員会は、これを以て終了いたし、直ちに外務委員会に移りたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 人事委員会と連繋をとられたのですか、人事委員長と連繋をとつてお話ですか。懇談で結構です。
  82. 有馬英二

    委員長有馬英二君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  83. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 速記を始めて。それでは御異議ないと認めます。連合委員会を散会いたします。    午後三時三十分散会