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1952-03-26 第13回国会 参議院 外務・人事連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十六日(水曜日)    午後二時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     有馬 英二君    理事            徳川 頼貞君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            伊達源一郎君            中山 福藏君            大隈 信幸君            兼岩 傳一君   人事委員    委員長     カニエ邦彦君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            森崎  隆君            紅露 みつ君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    法制局長    岡部 史郎君    外務政務次官  石原幹市郎君    外務大臣官房長 大江  晃君    外務事務官    (外務大臣官房    審議室勤務)  三宅喜二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       坂西 志保君    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外務公務員法案内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 只今から外務人事連合委員会を開会いたします。  昨日に引続きまして、外務公務員法につきまして御質疑を願います。
  3. 千葉信

    千葉信君 外務政務次官にお尋ねいたします。この法律は表面的に眺めますと、特別職外務公務員に関する規定を設けようとしたかになつておりますが、併し実質上は、この法律特別職その他について定めた規定よりも、むしろ一般職外務公務員について国家公務員法特例を設けて、原則として国家公務員法適用から除外しようとしている法律だというふうに私ども分析せざるを得ないのです。恐らく政府のほうとしては、この外務公務員法は、国家公務員法附則第十三條、これは改正になりました附則第十三條のほうにははつきり出ておりませんけれども、旧法の国家公務員法第十三條の附則では、外交官領事官その他の在外職員学校教員裁判所職員、こういう職種に対しては国家公務員法法律特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則でこれを規定することができる、こういうふうになつているわけでありまして、恐らくこの十三條から今度の外務公務員法提案なつたと思うのですが、どうしてこういう法律附則第十三條に言われているように、国家公務員特例法という形でお出しにならなかつたか、その点について御答弁をお願いいたします。
  4. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これはたしか昨日もここで申上げたかとも思うのでありますが、御指摘のように、明らかに国家公務員法特例法と見られる部分が多いのでございます。併しこれをよく御覧になるとおわかりになりまするように、特別職でありまする大、公使規定や、全権委員の代理或いは政府代表、そういう規定並びに名誉総領事領事規定や、又外国人採用等規定等もございまして、單なる特例法というよりも広い範囲の規律になつておりまするので、ここに名前外務公務員法と銘打ちまして提案したような次第であります。
  5. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁では、大体特別職大使公使等のほうに重点が置かれておるようなお話でございますが、それならそれでなぜ今度の外務公務員法の中に、一般職公務員外務職員としての立場から、或いは又その他外務本省勤務する職員等についても、国家公務員法適用から除外して、外務公務員法で律するという條件がこんなにたくさん出ておるのでありまするが、これはもう明らかに国家公務員法によつて保護されなければならない職員に対しても不利益な扱いをするという結果に陥つていると思うのです。そういう場合に、なぜ一般職外務公務員だけに限つて、例えば教育公務員特例法等にあるように、それから又この附則第十三條にあるように、国家公務員法等に牴触すると認められるに至つた場合には、国家公務員法が優先するという方法をおとりにならなかつたのか、この点を一般職職員保障のために十分慎重に考慮を加える必要があると思うのですが、この点についてもお尋ねいたします。
  6. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは外務公務員というものの勤務地世界各地に非常に亘つておりまするのと、その勤務に対する職務責任が対外的であり、国際的であり、従つていろいろそれに基く行動の秘密の保持であるとか、いろいろの問題等もございまして、かような意味からいたしまして、外地勤務する公務員に対して、いろいろの特例を設けねばならんということになつたのでありまして、なお本省勤務いたしまするものとの相関でございまするが、これはやはり人事の交流ということもございまするし、それから外務公務員は対外的にも、大体この課長は、例えば一等書記官であるとか、二等書記官であるとか、国際的に大体きまつた階級と言いますか、ランクがございまして、本省勤務のものといえども、やはりいろいろ国際会議その他にも出ると、こういうこともございまして、外地勤務のもの、本省勤務のもの、通じましてかような特例規定を定めておるのでございます。それから一般国家公務員法との関係につきましては、この外務公務員法の第三條に規定されておりまするように、この特例を除いたほか一切の外務職員適用されることとされておるのでございます。
  7. 森崎隆

    森崎隆君 今の問題に関連して……。今千葉委員からお話なつたこの点でございますが、政務次官のほうでは、今まあ外人の雇用とか、全権委員の問題とか、大使公使と、いろいろな問題が出ておるのでありますが、これは提案理由説明にも書いてはございます。このように法律国家公務員法特例以外のことも規定しておりまするので、というように出ておりますが、それだけの問題ではないように私は考えるわけであります。それはずつと逐條審議に入りましたならば、その際にはつきり露呈されて参ることでございますが、どうも私やはり人事院というものの権限から逸脱するというふうな、一つの意識的な働きがこの法案作つたかたがたには働いていたような、これは淺井総裁にもこの点ははつきりお聞きしたいのでありますが、若しさつき申されましたように、政務次官のおつしやるようなお言葉のままでございましたならば、こういう内容人事院権限から逸脱して、いわゆる国家公務員法と対立したような形で打出して行こうというような意図が十分現われている。こういう法律案を作るということ自体が非常に私は大きな疑問を感ずるのであります。これが特例法という形で昨日も人事院のかたが説明されておるように私は聞きましたが、それでしたら今千葉委員が申されましたように、はつきり教育公務員特例法と同じように、特例法としての性格は、はつきり私は打出すべきじやないか。今伺つたように、それ以外のことも入つておるというような理由で、外務公務員法という形には、実はその内容にはとんでもないいろいろな問題があると思いますが、この点で私は非常に十分納得しかねるわけであります。これについてはつきり、どういう意図でこういうような性格を持つ法案がここまで生まれて来たかについて、もう少し私は良心的な御説明を頂きたいと思うのであります。
  8. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 先ほど申上げたことでどうも御満足が行かないようでありまするが、これは先ほど申上げたことが全く真正直なところでございまして、勤務地世界各地に亘つておるのと、それから職務責任が対外的、国際的であるというところから、普通の国家公務員法だけでは律しられない面が多々出て参るのでありまして、そういうところの特例が非常に出て来るわけであります。それをまとめ、又その他先ほど申上げましたように、大、公使特別職とか、外国人関係規定とか、そういうものが入りますので、外務公務員法名前を定めて提出したわけでございまして、これはいずれ人事院のほうにお尋ねされても結構なのでありますが、意識的に計画的に国家公務員法を逸脱しようと、こういう意図でやつたものでは毛頭ないのでございまして、各條々々の御審議を願いますれば、必然的に御了解を願えることと私は思つております。
  9. 森崎隆

    森崎隆君 今の説明さつき説明と同じでございまして、結局これは具体的な各條審議に入りましたときに、具体的な問題を取上げて申し上げる以外に手がないのでございますが、丁度人事院総裁も来られましたから、総裁にいろいろお聞き頂いたらいいと思います。
  10. 有馬英二

    委員長有馬英二君) それでは只今浅井人事院総裁が御出席になりましたから、どうぞ総裁に御質問があるかたは、そのほうを先に質問をして頂きたいと思います。
  11. 森崎隆

    森崎隆君 昨日私実は初めてこの法案を頂きまして、やつと昨夜一通り読んだだけで、十分まだ頭に入つていないのでございますが、昨日他のかたから御質問がいろいろありました場合に、外務省関係でこの法案が作成される過程におきまして、人事院には緊密な連絡をされまして、大体まあ人事院としましては、この法案は一応これでいいといつたような御賛同があつたように聞きましたが、この点につきまして、総裁からどういうような折衝があつて総裁として、この法案につきまして、全般としてどういうお考えを持つていらつしやるか、お聞きいたしたいと思います。
  12. 淺井清

    政府委員淺井清君) お答えを申し上げますが、この外務公務員法の立案の当初から、人事院といたしましては、主務官庁である外務省から十分な連絡を受け、又当方からも種々意見を述べております。結果といたしまして、私の見るところでは、人事院の申し述べました意見というものは全部ここに盛られておるように思つております。
  13. 森崎隆

    森崎隆君 それじや、この法案自体に対しても人事院としては一応満足であるというお気持を現在持つていらつしやるのですか。
  14. 淺井清

    政府委員淺井清君) お説の通りでございます。
  15. 森崎隆

    森崎隆君 具体的な問題はあとにいたしまして、私はまだ二、三度しか読まないので、或いは間違つておるかも知れませんが、全体としてこの外務公務員法というものが、法案が今も実は政務次官にもお尋ねいたしたのでございますが、人事院権限からこれは意識的に逸脱しておる、しようという意図が私はこの全体の中に十分に窺われるのでございますが、これはまあ綜合的な意味で、総裁がちつともそういうことはお考えにならないで、これは人事院権限というものは、公務員全体に対する人事院権限というものは完璧に守られておるというような自信なり、又具体的にそういうものをなし得る意思を持つていらつしやるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  16. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御承知通りに、初めて国家公務員法制定いたしましたときに、附則の十三條で、将来外交官領事官学校教員検察官等については特例を認めるということは、これは国会で御制定なつておる通りでございます。二十三年の公務員法改正でこの例示は取去られましたけれども、その趣旨でこれまで特例というものを制定して参つておるわけでございます。先ず第一は学校教員に対する教育公務員法、それから第二には検察官に対しましては検察庁法、これらはすべてその職務特殊性に基きまして必要な特例を認めておる、これ又国会で御制定になつた通りでございます。そこでここに提案されておりまするところの外務公務員法においても、外務公務員の特性に基いて若干の特例を定めておるのでございますが、只今示しのだんだん人事院権限を逸脱して参るという点から見ますれば、むしろ検察庁法や、教育公務員特例法のほうが、より高く逸脱しておると言えば言い得るのでございまして、それから見ますると、このほうはその程度は少いと思つております。その程度が少いということは、逸脱を私が認めておるわけではないのでございまして、ただ特例というものの設け方が、学校教員関係検察官よりはこのほうが少いと私は考えております。
  17. 千葉信

    千葉信君 只今の私は淺井さんの森崎さんに対する御答弁は了承しかねるのです。例えば具体的に申上げて、今淺井総裁が例証された附則第十五條の規定ですね。この点なんかについては、一応はつきりとここに附則第十三條の古いのには外交官領事官その他の在外職員、その他今淺井さんが言われた学校教員だとか、裁判所職員検察庁職員、こういうふうになつております。ところがこれは淺井さんも御承知のように、今度の外務公務員法で非常に大きな問題となる一般職職員、ここには例示されていない一般職職員領事事務に従事する外務省職員諸君、それから又第十九條から第二十二條にかけての外交機密漏洩等という問題については、これは今度の外務公務員法附則第二項にも、外務省本省勤務する一般職職員が全部包含されておる、こういう條件は実は今度の外務公務員法の大きな問題点であるわけであります。而も今申上げた職員諸君については、従来これは一般職職員として、人事院がその権限内においてこれらの職員の利益を擁護するという立場にあつたはずなんです。そういう附則第十三條、古い附則第十三條にも見られなかつた一般職職員が、今度の外務公務員法制定機会公務員法による保障から除外されようとしておる、そういう点には淺井さんは、今私に言わしむれば、ぬけぬけと人事院権限は何ら侵されておらない、そういう御答弁でございましたが、私はこれはどうも浅井さんは正気で答えておるかどうか疑わざるを得ないのです。例えばそういう人事院権限縮小されて行くというような状態に対して、具体的に申上げると、職階制格付の問題もそうです。当然人事院でやるべき職務人事院権限が仮に職階制格付の問題にしても、従来九級職以下については人事院のほうから各省の機関の長に委任してあつたとしても、これは人事院事後承認を願わなければならない、若しくは事前の承認も得なければならない。ところが今度の外務公務員法においては、外務省勤務する職員については、これはもう殆んどそういう職階級格付については、外務公務員については、これは外務大臣格付するという格好で、明らかに人事院権限が侵蝕されておるというふうに私ども考えざるを得ないのです。こういう状態は私どもの判断では、これは最近何か人事院に対して、一人事院機構改組であるとか、或いま権限縮小とかそういう問題が取上げられておる矢先に、まだその問題は具体的には決定しないようですが、側面から、裏面から、こういう外務公務員法等の設定を通じて人事院権限というものが縮小されて行く傾向がここにはつきり露呈されておるではないですか。私どもはこういう点について非常に心配しておるわけです。そういう点について浅井さんは、人事院としては、こういう外務公務員法等の、こういう制定の仕方によつて人事院権限は毫も侵されない、それから又今流布されておる人事院権限縮小とか、機構縮小というような問題にまでこの問題が関連しておる問題ではないというように明確なお見通しを持つておられるかどうか、その点についてこの際総裁に承わつておきたいと思います。
  18. 淺井清

    政府委員淺井清君) 先ず第一に千葉さんの御質疑に対して深く感謝をいたします。千葉さん、長年人事委員として御活躍下さいまして、常に人事院を守るというような立場に立つて質疑下さることは、私は第一に感謝をいたす次第でありますが、この法案につきましては少しく申上げたいのでございまするが、第一は、附則十三條の特例をお引きになりましたが、そこに掲げてないというような仰せでございまするが、これは申すまでもなく例示のことでございまするからして、必ずしもそこに明確な文字を以て記してない範囲にまでもこの特例法が及びましたといたしましても、必ずしもこの同僚の規定に反するとは申上げかねるかと存じております。次に、人事院権限から逸脱するということに関しては二つの例をお挙げになりましたが、第一は、外交機密を保持するための人事院公平審理の制度が除外されておるということでございまするが、これは決して保護をなくしておるわけではなくて、御承知のごとく別個の組織においてこれを保護すると、こういう立場で立案されておりまするから、人事院といたしましても了承いたしたものでございます。殊にその委員の一人といたしましては、人事院を代表する職員も加えることに相成つております。ただ外交機密を保持するということは現下において最も重大なことであることは申すまでもございませんから、多少保護の仕方が変つておるということで、決して保護を剥奪しておるものでない、公務員法に与えられた保護違つた形でここに現われておると、かように我々は考えておる次第でございます。第二点は、格付の点をお挙げになりましたが、現在におきましても、大体九級或いは十級以下でございまするか、その程度以下のものはこれは各省へ任せてございます。ただそれは人事院規則でやつておるのでございまして、たまたま外務公務員法制定されまする機会に、これを法律の明文として現わしましたのでございまして、ただその任しました範囲が少しく拡大されておりまするが、この程度のことは私は別に差支えないのじやないかと、かように考えておる次第でございます。なお各省に任しました点につきまして、事後承認が要るというような仰せでございましたが、私の記憶が間違つていなければ、あの委任しました範囲におきましては、事後承認は要らないのじやないかと思つております。
  19. 千葉信

    千葉信君 まあ職階制格付の問題だとか、それから今それに代る措置として設けられる新らしい審議会人事官が入るのだからいいんだということについては、私は全然これは了承できませんが、併しこれらの問題については、どうせあとから逐條的に入つて行く問題ですから、この点はあとに譲りますが、ただ併し今の職階制格付の問題について、浅井さんからはそういう承認は要らなかつたというふうなお話がございましたが、これは人事院規則六の一、それから人事院指令六の一、それから人事院細則六の一の一、これらの中にもはつきりありますように、今お話になりました十級か、九級以下のお話は、これは八級以下ということになつておりまして、その八級以下の場合にも人事院承認を得なければならないということに人事院自身が決定されている。そういう人事院規則指令細則を出されている。従つてこういう問題は、これはあとでこの格付等の問題については公平に、広い立場に立つて国の公務員全体の不公平が起らないような形においてなさるべき格付なんというものが、一省の調理に任された場合にどういう形でその全体的な公平が侵されて行くか、アン・バランスが生じて行くかということは誰でもわかる点だと思います。併しこういう点、細かい点についてはあとで又逐條審議の中でいろいろお尋ねしたいと思いますから、私はこの問題はこのくらいで……。
  20. 森崎隆

    森崎隆君 格付の問題はこれは逐條審議の中に入ると思いますが、今千葉委員が申した通りで、私たち心配しておりますのは、各省に成文化しまして任せてしまつた場合、責任の所在、人事院権威権限の保全という問題から考えて、そのままでいいかどうかの問題、多少現在八級以下の問題というものにつきましては各省に任せてある、任せてありましても、責任人事院にある、人事院権威が保全できなくて、不正の問題、いろいろな問題が起きた場合には、明らかに総裁責任になる。人事院権威を以て是正しなければならない、そういう責任がある。それを私たちで守りたい、その気持で私は申しておる。それがここでは多少大きくなつて法文化され、成文化したというようなこと、その成文化する、しないが実は根本的な大きな開きであり、差異であり、違いであると考える。さつき千葉委員が申されましたように、私は特に総裁にこうしてお尋ねしますことは、人事院が現在置かれている立場、そういう点から考えまして、とにかく人事院は嚴としてその責任なり、権威だけは保持してもらいたい。私たちはその熱意以外の何ものでもないわけです。総裁をいじめるなんて、そういう気持は勿論持つておりません。又いじめられるかたでもないと思いますが、そういう意味で私は考えております。延いては公務員全体の、こういう規定につきまして、嚴とした国家法律権威というものをやはり保持して行かなければ、少しここでいろいろ例外特例ということに名を藉りて逸脱する部面がたくさん出て来ますと、結局それが延いておれの省にも特別の事情がある。おれの省にも特別の事情があるということになれば、結局しまいには国家公務員法そのものが解体されなければならん、そこへ行くんじやないか、それを心配しますから、こういうようにお聞きするわけです。その点について浅井総裁が今御答弁されたことにつきまして、非常に私どもも何と言いますか、不満というか、悲しい気持を持つわけです。その問題は又逐條審議で具体的な問題が出ますから、私はここで一応……。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今のに関連してですが、人事院総裁も、多少はこの人事院権限がこの法案の中で譲られているというようなことを、多少という表現でなされたのですが、人事院の守ろうとするところの国家公務員法の基礎が瓦解をして行くということを、今千葉森崎委員から心配されておるのですが、実際にはこういうものが崩れて行くという形は、一挙にこれは崩れるようなことになると思われるのか、やはり徐々に多少ずつ崩れて行くということになるのか、恐らく私は大きな機構の改革がない限りにおいては、やはり骨抜きになつて行くときには、多少徐々に崩れて行くのではなかろうか、そういう形をとるのじやなかろうか。それが一つのここに現われとして、先ず外務公務員法というものの中に出て来ている、次には又多少出て来る、あなたのようなお考えでおられると、まあ多少はよかろう、その次の多少もよかろう。その次の多少もよかろうというふうになつて行けば、これはだんだんとなくなつて、しまいには国家公務員法はどこへ行つたかというようなことになるのじやなかろうか。これは外務公務員特殊性に鑑みてということは、これは勿論あるでしよう。併しながら特殊性ということになり得れば、その度合は別といて、限界は別として、各省各庁においての多少なり特殊性というものはあり得るのですから、それが多少ずつ盛り込まれて、この前例に従つて行くということになり得れば一体どうなるか、こういう点であろうかと思うのですが、その点について多少ずつ認めるということは、結局最後にはゼロになるという意味になりはしないか、この点どういうお考えですか。
  22. 淺井清

    政府委員淺井清君) 誠に有難い御質疑なんでございますが、決して多少ずつ認めるというようなやり方をやつた覚えはございません。実はざつくばらんに申上げれば、いろいろな方面から、いろいろな事項に関しまして、御心配のような点は決してないとは言えないのであります。現に現在におきましても、こういう例外を認めてもらいたい、こういうふうなようにしてもらいたいというような要求は随分あるのでございます。併しながら人事院只今示しのような御趣旨従つて、できるだけ公務員保護するという立場から公務員法を成るべく多く適用をいたし、例外を成るべく少くするという方針でやつてつておる点は御了承願いたいと思います。ただこの外務公務員につきましては、最初公務員法を携えましたときから、すでに特例を認めることが附則において予想されておりますので、これは当然であると思つております。次に然らば、この中味がその人事院権限多少ずつ失われて行くというその多少の一部をなしていないかという御心配でございまするが、先ずこの程度は私は大丈夫だろうと思つております。
  23. 千葉信

    千葉信君 淺井さんにお尋ねしますが、淺井さんは頻りに国家公務員法附則第十三條、その附則に基く特例として、国家公務員法制定当時からすでにこの問題は考えられたのだということをおつしやいましたけれども、それならそれでなぜ附則第十三條に基く国家公務員法特例法という恰好でこれを作らせるように総裁としては努力をされなかつたのかどうか。御承知通り今度の外務公務員法の中では、どの條文を探して見たつて国家公務員法と抵触する場合には、国家公務員法が優先するのだなんという特例法としての條項なんか一つもないのです。この点はどうお考えですか。
  24. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御尤もでございまするけれども、御承知のように特例法だけというと、これは一般職である外務公務員だけしか縛れないのでございます。ところが御承知のごとく、大使公使その他の特別職をも併せて一緒に規律いたしまする関係上、外務公務員特例法としないで、外務公務員法として、そうして特別職一般職両方を縛る、こういうわけでございます。むしろ国家公務員法規定というものが実は特別職へも拡大されて適用されておるということは、この外務公務員法の中にもあるのでございまするから、私どもが仮に、決して千葉さんのおつしやることの揚足をとるわけではないのでございまするけれども、元来特別職には適用されない国家公務員法を、この外務公務員法においては逆に拡大して特別職にも若干適用されるのである、かように御了解願いたいと思います。
  25. 千葉信

    千葉信君 今総裁が自慢たらたらでお話されておる特別職適用される條件というのは、成るほど四つございます。これはまあ逐條審議の中で明らかにして参りますから、今ここで私はその点については触れません。淺井さん、今日若し時間がございましたらここにずつとおいで願えますか……。それではその次の問題について外務政務次官にお尋ねいたしますが、いいですか……。
  26. 森崎隆

    森崎隆君 第二條で第一項の四には全権委員の問題が入つておりますね、これは全権委員という言葉でありますが、第十一臨時国会ですか、議運で相当揉んだ問題で、一般職特別職の問題で随分議論したところでございますが、あのときの総裁の御意見と、今度この法案を作りましたときとはお考えが変られたのであろうかどうか、それをお聞きいたします。
  27. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは変りました。なぜ変つたかと申しますれば、それは主として国会の御意思に従う、つまりあのときは全権委員というものを一般職としていいのじやないかと思つておつたのでございます。ところが国会方面におきまして、これは特別職ではないかという御論議が非常にございましたので、そこで人事院といたしましても、これは国会の御意見通り特別職にいたすほうがよかろうと考えた次第でございます。
  28. 森崎隆

    森崎隆君 これは私は実はとんでもない御答弁だと思つて、むしろあきれるのでございますが、そういう国会の意思を尊重されるのでしたら、八月のときなぜ尊重されなかつたか、問題はそこにある。
  29. 淺井清

    政府委員淺井清君) あのときは至急に全権委員を任命する必要もあり、一応あれで御了承を願いたい。国家公務員法改正案を出さなければ、それはできないことでございまするからして、そこであの通りなつたと私は記憶いたしております。
  30. 森崎隆

    森崎隆君 重ねて……。あの当時官房長官であられた岡崎さんにこの問題を聞きましたとき、法律改正その他を全部一応考えて検討済みだ、衆議院で大多数を持つておる自由党としては、これはいいということでこのようにしたというのです。だから考える時間はあつた。法律改正の時間はあつたわけです。けれども淺井総裁は自由党の考えと私は同じ考えでございまするから、この際はこうだというようにはつきり押して行かれたのです。そのときはそうであつたが今は考えが変りました。変る根本は、国会の意思を尊重したと言われるのでは、私たちはどうもこれは納得行かないのです。非常にこれはおかしい矛盾だと思う。そのときは突つ張つたんです。国会の意思は相当それであつたんですが、多少あの十一国会が開かれたときは、それは手遅れかも知れませんが、その前に準備の時期が相当あつたわけです。その時期を全然考えずして、間がなくなつたからというので一応押して、今になつ国会の意思を尊重すると言われたのでは、これは総裁権威にかかわると思うのですが、あの当時随分曾彌益君並びに吉田法晴君かちもこれについては質疑があつたんですが、総裁のほうでははつきり、これは例えば私一、二拾つて読んで見ましようか。これは曾彌委員質問に対してですがね、淺井さんは、特別職に入れるべきだという質問に対して、只今のお考えを承わりますると、何か特別職のほうに入れるのが正しいように承わつたのでございまするが、という言葉があるのです。これはやはり信念の問題だと思う。それが今になつて変るということはおかしいと思うのです。言換えたならば、そのときどきの時流に従いまして、法律の解釈は、今の憲法の解決も同じですが、法律の解釈がそのときの便利のいいように変えられたのではとんでもない問題が起ると思う。これにつきましては、淺井さんのほうでは、これはこのときには信念で言われたのかどうか、今になつ国会の意思尊重云々はいいのでございますけれども、どういう心理的経過の根本的な動因があられるか、詳しく承わりたいと思います。
  31. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御尤もですが、その官房長官のほうと私のほうとは又別の問題でございまするが、それは官房長官がこう申しましたから、私が追従いたしたわけではないのでございます。御指摘のように、あのときはこれを特別職にするか、或いは一般職にするか、若しも特別職にするならば国家公務員法改正を要する。どつちにするかは考えたのでございます。ところがそこでまあ一般職でもよかろうというような考えを持つてつて、さて国会へ参つて審議を願いますると、これは特別職でなければならんというような御意見が多かつたのでございまするからして、今回、つまり政府のほうでこれを特別職にすることに同意をいたしておる次第でございます。政府のほうといたしましては、これを特別職にすることにきめましたので、その政府意見はどうか私は存じませんが、人事院といたしましては、これは特別職になることに同意したわけで、そう国会がものを言つたから変つてはいかんと仰せられますると、ちよつと困るのでございまするが、人事院といたしましては国会の御意向を十分尊重いたす。従つて従来考えておりましたことでも国会の御意向に従つて変えるということは、これは当然のことのように思つておるので、そのために前の考えがあやふやであつたからこうなつたとか、何とかいうことですと、非常に迷惑に存ずる次第でございます。
  32. 森崎隆

    森崎隆君 淺井総裁がこういう問題について素人であられまするならば、私はそれは結構だと思います。こういう問題につきまして專門家で責任者であると私は思うのです。そこで私はあなたにはつきりしたお答えを頂きたい。国会の意思がどうだ、こうだということは、今はそういうように申されますが、今日の御答弁の中にも、この外務公務員の問題はもう初めから予想されて考えられておる問題だ。又この前の第十一臨時国会でも全権委員なんというのは、これは明治の初め頃からちやんとあつたのだということすら謳われております。だからこれはもう急に出た問題じやない。だからこれを分けて言いますると、あらかじめこの問題を研究して、これに対処すべきである。あなたのほうでその対処するところの作業を怠つておられると思う。そのときになつ政府からいろいろ言われて、それでまあそのときだけ通用する、押し切るための方便的な説明であのときを済ましたのか。そしてその後において正式な法案が出されようとしている今日において、はやはり良心的に考えて、これは特別職だというような根本の、私は今になつて変えてくれては困ると言つておるのではない、当然これは特別職にしてもらわなければならんと思いますが、あのときのああいう考え自体に是非御反省を願いたい。ああいうときにこそ本当は総裁として、これはこうでございます、たとえ日にちがなくても、何日か延ばしましても、この点だけは改正をして、正式に安心して、全権委員が何のこだわりもなくして安心して行けるようにしなければならんということを特にあなたに申上げたいためにこれを質問するのであります。私は特にこれを意地にこだわつてどうとかという意思は毛頭ないのでありますので、その点だけは今後再びこういう轍は踏まないように、過ちを冒さないように、今後は慎重に人事院総裁としての権威の上に立たれて御善処願いたいということを特にお願いいたします。
  33. 千葉信

    千葉信君 今の問題については、これはもう今まで何回も人事委員会なんかで私ども淺井さんにいろいろ御意見を承わる場合に、淺井さんのほうでは大体、例えば給与法等の問題についても、常に淺井さんは、それはまあいつの国会においてか、こういう結論を出されたのでありますから、つまりその可決された法律を楯にとつて、これが国会の御意見でございますから、私どもその国会の御意見に従うわけでございます。とこういう答弁を始終されておりましたが、今日は淺井さんはすつかり態度を変更されて、少数の意見だつたその意見を取上げて、国会の御論議だつたということを今日おつしやつて、その御論議を参考になさつたというのですから、これは私は淺井さんとしては大きな進歩だと思います。どうか一つ将来も、法律が通つたのだから、国会がこうだからとの一点張りで押し切らずに、この法律審議された場合のたくさんの意見というものも、今の御答弁のように十分尊重されるように、この際特に淺井さんに御要望申上げて、私は次の質問に入ります。外務政務次官にお尋ねいたしますが、これはたしか昨日の連合委員会でも御答弁があつたかのように伺つておりまするが、重ねて昨日欠席したものですから、お伺いしたいことは、第二條の第四項に『外務職員』としてきめるものに、「外交領事事務」に従事するもの、その他「一般的補助業務」という言葉がありますが、この「外交領事事務」というのは一体どういうものを具体的には外務省令できめておられるか。それから又「その一般的補助業務」についても一体どういうふうな具体的なお考えをお持ちか。その点をもう一度はつきり承わつておきたいと思います。
  34. 大江晃

    政府委員(大江晃君) お答えいたします。外交領事事務というものは、外交領事事務に従事いたしまする外務公務員に関連いたしまして、人事とか、或いは外国の文書校正、こういう仕事を担当する公務員を含んで考えております。又一般的補助業務というものは、いわゆる庶務的な仕事をいたす書記、こういう種類のものを指しております。
  35. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、これは非常に範囲が広いというふうに考えられますね。それで一体、今ここではつきりお聞きすることは無理かと思いますが、この法律提案されていろいろこの外務省令等についてもお考えをお持ちだと思いますから、参考のためにお伺いしたいのですが、大体人員としては、外務本省勤務する一般職職員のうちで、この業務に従事するだろうと思われる人員は一体幾らくらいになりますか。
  36. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 只今詳しく何名という数字を申上げるわけに行きませんですが、現在外務省職員といたしておるものは約千五百名ございますが、その半分以下のものがこれに該当いたします。
  37. 千葉信

    千葉信君 これは淺井総裁にお尋ねいたしますが、第五條の……。
  38. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 第五條に行くまでに第二條の点でありますが、「一般的補助業務に従事する者で外務省令で定めるもの」、この「外務省令で定めるもの」の範囲はどういうものになるのですか。
  39. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 運転手、タイピスト、印刷工、こういう特殊の技術を除くもの全部でございます。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、この外務職員以外のもので、そうして一般国家公務員法によつて縛られているというものは一体どういう種類のものがあるのですか。
  41. 大江晃

    政府委員(大江晃君) それは只今申上げた運転手、タイピスト、印刷工、こういうものを除いたものでございます。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、先ほどから議論をされておつた外務省の事務の特殊性に鑑みという、その特殊性範囲というものは、外務省の殆んど全員と、こういうことになつてしまうわけになるので、非常に先ほどから何かこう私聞いておつたのですが、ほかの同僚委員との間の質疑の間でも、私は特に外務省機密漏洩に関する重要なその職務にあるかたとか、或いは又特別職の特別のものであるとか、こういうものがこの法令によつて運用されて行くんだという印象を非常に強く持つておつたのです。で、そういうことかと思つて、今逐條にぼちぼち入りかけたのですが、入ると途端に、もう殆んど今のあなたの説によればですよ、運転手、タイピストとか、或いは又その他の雑役人夫のようなもの以外のものということなれば、殆んど全部と言つちやつたほうが早いのではないか、この点はどうなんです。はつきり一つ……。先ほど言われておつたのと非常に違うように考えられるのですが、あなたの今のお考え通りなんですか。
  43. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは私先ほどちよつと申上げたと思うのでありますが、国の内外の間における人事の交流等も非常に頻繁に行われまするし、それから又職務が非常に密接に関連して参るのでありまして、そういう関係からいたしまして、これをむしろ一本にまとめて規定するほうがよろしいのではないかと、かようなことから、これを一本に内外を問わず、先ほど申上げました一部のものを除きまして、全部一本にして行こうと、こういう考えで申上げたのであります。
  44. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 外務省のほかの職にある者が、その職場を変るというようなことをも含めて総括して考えると、そういうようなことを仮に言われるのならば、外務省以外の一般職のかたが、或いは通産省の、特に貿易関係の業務に従事しておつたものが、これ又外交官になり得るということは、これは絶対にないというわけにも参りませんし、そういうような、いわゆるその基礎的な観念でどんどんと進めて行くということになると、先ほどから議論されておつた国家公務員の体系の基礎までも潰して行くという結果になるのですよ。特に本質的な、この法案のいわゆる性格というか、要素というものがあるのではないかと思うのですが、そういうことではてんで外務省外務省で、そういう特殊性だからと言つて、殆んど外務省を挙げて別のいわゆる公務員法を作り、そうして又その他の各省各庁においても特殊性考えて、それを非常な広範囲な、いわゆる限外にまで引き伸ばして單独な法律案を作つて行くというようなことになつたら、一体公務員の建前というものはどういうことになるのですか、そんな常識から考えつて、自動車の運転手やタイピスト、仮に今あなたが言われておるタイピストといえども重要な外交の事務の機密に関するものをタイプするのですから、それまで言えばタイピストもいつそ入れちやつたらどうか、運転手もそういつたいわゆる重要な任務を持つておる人を乘せて運ぶのだから、これ又どこに誰が行つたか、或いはどこにいつ誰が行つたというようなこともわかるので、具体的に言えばこれも機密に関しますよ。そういうようなことで、これを如何にも外務省の特殊事情に鑑みとか、或いは外交機密に属するとかいう理由で、そこまで拡大、広義に延長さして行つたならば一体どうなるか、この点一つどうですか。
  45. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほども触れたのでありまするが、こういう特例を認める、設けなければならんということは、外務公務員勤務が外国に勤務する場合が多い。外国の非常に遠い所に勤務しておる。それから外交事務のこういう特殊性等からいろいろの特例を設けなければならんということは先ほど申上げたのでありますが、それを本省勤務しておりまするものも、これに大部分のものを包含いたすということは、先ほど申上げましたように、人事の交流等も頻繁に行われまして、本省におるものもいつ外国勤務になるかもわかりません。それからこちらにおきましても、これは申上げるまでもないことと思うのでありまするが、いろいろの会議に出るということもありまするし、いわゆる外交領事事務関係機密の保持というような問題もございまして、そういう関連からして、これを一本にまとめて外務公務員特例法をまとめたと、こういうことになつておるのであります。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうなると、私が今言つたように、あなたの言われるような特例ではないのですよ、特例ではなくして、むしろ一般例ですよ、それはそこまで外務省の全部の職務がそうだというようなことにしてしまうならば、特例意味は少しもないのですよ。仮に外国へ赴任しておるものもあるからと言うなら、その部分を特例にすればよいのであつて、赴任する勤務地が変つたというときに特例にすればよいのであつて、何も一般のものまでやる必要はないのじやないか。この点はどうも特例々々ということを言つておられることと、実際この法の内容規定されておることとは必ずしも私は一致しておらんように思うのですが、それはどうですか。
  47. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは御審議願えばわかることと思うのでありまするが、職階制についても、もう大部分一般公務員法適用を受けるのでありまするし、そうして恩給法は全部適用を受けるのであります。任務についても大部分は国家公務員法適用を受けるのでありまして、又機密の保持ということにつきましても、通常の機密保持の点は、これはもう国家公務員法適用を受けるのでありまして、ただ外務公務員におきましては、つまり外交機密の漏洩によつて国家の重大な機密を毀損したときとか、こういうような外交事務と、勤務地が外国であるという特殊性から生まれて来る特例をずつと拾い集めたものでありまして、それで内外を通じましたいわゆる、これは御納得が行かなければどうも仕方がないのでありまするが、人事の交流が相当頻繁に行われる、こういうことからいたしまして、内外を通じた、それからいろいろの会議外交等には本省勤務するものも出るのでありまして、そういうのに対して或いは何等書記官であるとか、或いは何等理事官であるとか、副理事官であるとか、そういう名前をも使用して行かねばならん場合が多々出て来ると思うのであります。それで本省勤務しておりまするものも在京の外交団等といろいろ折衝する面があるのでございまして、そういう点からも在外者と同じように考えて行かなければならん場合も出て来るかと思うのであります。そういうことから一本に取りまとめておる次第であります。
  48. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この本質的な問題については、これは今も政務次官が言われるように、逐條審議をして頂けばおわかりになるということですが、逐條審議をやればやるほどそういつたものが暴露され、露呈されて来ると思うので、これはその逆じやないか。併しまあ徐々に逐條審議に移りますから、そのたびに一つ矛盾のないようにお答えを願いたい。
  49. 千葉信

    千葉信君 次にお尋ねしたいのは、第五條の外務職員の官職の格付の問題ですが、これは先ほども触れましたけれども、この問題については改めて申上げるまでもなく、国家公務員法制定というのは、非常に公務員諸君の利益を擁護しなければならないという点ばかりじやなく、公務員の採用、昇任等についても機会均等、公平の原則に基いて行こうとするのが公務員法の建前だと思うのです。従つてそれと同じように、この職階制の問題についても、国家公務員の官職をあらゆる官職を広い範囲において捕まえて、そうしてそれの職種の分類であるとか、或いは職級明細というようなものを作つて、それの格付ということが、飽くまでも公務員の官職の全体の公平を図る形において行われなければならないと思うのです。ところが今度の外務公務員法の第五條によりますと、外務職員限つては、これは外務大臣が行うと書いてある。これは先ほど淺井総裁は従来でも九級職以下は委任事項になつておるというようなお話がございましたが、それは誤まりでございます。八級職から委任されておりますし、それから又昇任云々の問題も人事院規則なり、或いは人事院指令等にはつきり出ております。こういう点から行きますと、今度のこの権限の委譲というか、外務大臣がやるというやり方は、少くとも従来の公務員法の中における職階制の観念を、この点についてはもう完全に混乱させる、つまり外務職員に関しては外務大臣の思う通りに取扱いができる。で、まあこの点については何かこれは私は真偽のほどはわかりませんけれども、昨日は、外務省職員については外務大臣がやるということになれば、何も他の公務員に比べて不利益な取扱いなんかはすることはないと思うから大丈夫だというような御答弁があつたように仄聞いたしておりまするが、私ども心配するのは、有利とか、不利とかいう條件ではなくて、他の公務員諸君と公平に扱われるかどうかということに大きな関心を持たざるを得ないと思うのです。そういう点で私はこの五條のやり方は少くとも公務員法を遵守し、而も公務員法を擁護しなければならない立場淺井総裁としては、この條項だけは賛成できないと思うのですが、如何ですか。
  50. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御尤もでございますけれども、まあこの職階制をだんだんやりますと、当初におきましては、人事院がすべて中央集権的に権限を持つていまして、一元的にやり始めたのであります。併しながら、このだんだんと職階制が完成するに従つて各省庁へすべて権限をだんだんと委譲して参つた、又それで大丈夫やれると思つております。最前から千葉さんの御引用になります指令は少し古いのじやないかと思つておりますが、その後改正をいたしまして、各省ともたしか十級職以下は皆任せております。それから承認の制度も最近やめたように私は記憶しておるのであります。そういうわけでだんだんと任せて参りましたが、各省の協力によりまして、これは大丈夫やれると思つております。ただ外務公務員の場合には、それよりも少しく広くなつておるというので、少しお目ざわりのようになつておりますが、ほかの各省と比べまして、それほどは違つてないように思つております。
  51. 千葉信

    千葉信君 そうすると、これは古い証文を持ち出して私が追及したことになるのですか。一体改正されたというのはいつですか、これは……。
  52. 淺井清

    政府委員淺井清君) ちよつと調べまして……。
  53. 千葉信

    千葉信君 二十六年の二月八日制定、これには明らかに承認をしなければならない、人事院承認をしなければならないことになつております。そういうふうな理論では、同じくこの第五條の問題ですが、外務職員については、外務大臣が行うその官職の格付は政令できめる、必要な事項は政令できめるというふうになつておりますが、これに対して外務省は一体どういう御計画をお持ちか、この点を伺いたい。
  54. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 只今吟味いたしております格付外務政令案について申上げますれば、格付の基準といたしましては、国家公務員職階制に関する法律及び又これに基きまする、この法律に基きます人事院規則及び人事院指令、それから職階明細書、在外の公館長から提出いたしまする職級の説明書、こういうようなものを基準にしてやつております。
  55. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、職階制に関する格付等には全く人事院の方針通り指令その他を尊重してやるというふうに了解して差支えありませんか。
  56. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 人事院と十分連絡をとりまして、そういう方針でやつております。
  57. 千葉信

    千葉信君 淺井さんにお尋ねしますが、今の外務当局の説明から行きますと、これはもう人事院のほうで採用され、人事院のほうで計画され、立案されておるその方針に全く従つてやるというふうに外務省のほうでもお考えなつておられるのですか。
  58. 淺井清

    政府委員淺井清君) どの官職をどこへ格付けするかはこの法案にある通り外務大臣がやるのであります。併しながら、それは何でも勝手にどこへでも格付けできるというふうにはなつておらんのであります。これは職級明細書というものがあつて、それに従つてやります。その職級明細書は人事院がこしらえるのですから、言葉はおかしいのでありますが、人事院が嵌めた枠の中でやるということを今度政令できめると、こういうことですから、その限りにおいては、人事院の方針というものは外務省においても尊重してやれる、こういうふうに考えております。
  59. 千葉信

    千葉信君 若し只今外務省当局の御答弁淺井総裁の御答弁通り運ぶとすれば、この條文は全く不必要なものを生かしたことになると思うのですね、私ども併し実はそうは行かないと思うのです。これはもう全く外務大臣の或る程度の越権行為、というのは少し失当かも知れませんが、そういう状態が起るのではないかという心配を私としては持つておるわけです。これが單に杞憂だけならいいのですけれども、殷鑑遠からず、この国会職員の中にこういう問題で過去において大きな問題があつたのです。例えば專門調査員の問題、今專門員と言つておりますが、この專門員は当然全部十五級に格付されなければならない官職であるにかかわらず、十三級、十四級で放任されているという問題があつたのです。そういう点があるとすれば、それらの公務員諸君の利益を擁護しなければならないという人事官立場から言つて、ちつとも心配なしに、あなたがたの答弁通り行われるとすれば、要りもしないような條文を設けることによつて、そういう不利益だとかいつたようなことが起つて来るという状態心配されて来るわけです。淺井さんの立場から、こういう條文を設けるということについて反対されるというのが当然だと思うのですが、そういう点については淺井さんはちつとも御心配なくお任せになるつもりですか、どうですか。
  60. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御尤もでありまするが、專門員のことがございましたが、これは職階制による格付ではなくして、それ以前の現行法の問題でございます。これは又いろいろ特殊の問題があつたので遅れたわけでございまするが、結局当初のようになつておるように私は考えております。それから格付でありまするけれども、これはすべて人事院がやるということは、これは実際不可能なんでございます。ですから各省等の長に対しまして或る一定のクラス以下はこれは任せてやらしておるというのが、すでに現状であります。それから外務公務員につきましては、それより少し高い席を任せておるという、その違いについて問題があると思うのでありまするが、その違いになるところは非常に実は少ないのであります。そこでそのものの不利益になるような格付をやるというようなお話がございましたが、その方面からのみならば決して御心配は要らないのでありまして、むしろ高く格付をし過ぎる弊害のほうが多いのでございます。恐らく各省大臣といたしましては、自分の部下を成るべく高く格付するというところに弊害が起れば起るのでございます。併しながらこれは大体衆人環視の中にやるのでございまして、決して闇取引はできない制度でございまするから、お互いに制し合いますからして、そのようなことは現に起つておりません。その本人の不利益によつて下へ格付するということは、これは実際問題として殆んど考えられないように思います。
  61. 千葉信

    千葉信君 專門員の問題については、実は案外淺井さんのおつしやつておるように今そのことが正確に行われていないのです。それはあなたがおつしやるように、今の国家公務員法の第二十九條の第四項ですか、第五項ですかの職階制並びに給与準則が確立するまでの暫定措置としての現在の一般職職員に対する給与の法律によつて律せられておるわけですがそうすると、そのうちで、例えば今申上げたような專門員の格付の問題が起つたわけです。それは勿論職階制の確立以前の問題でございまするから、私は職階制そのものだと言つて申上げておるのではなくして、こういう例があつたということについて淺井総裁の反省を促すつもりで私はその点は持出したわけです。その点はいいとして、その次に今淺井さんからの御答弁で私は不思議な御答弁だと思うのは、いずれかの官職に格付するという仕事は、これは飽くまでも人事院責任であり、そして委任した事項についてもその最終的な責任については人事院が負わなければならないことに、はつきり国家公務員法の第三十一條でなつておるのです。ところが今度のこの第五條による措置では、これは実際上格付がむずかしいか、むずかしくないかということによつて人事院でやつたり、或いは委任事項としてやつたりしておるやり方で、而も最終的には人事院責任を負つて来た。従来の格付が完全に人事院から今後離れるわけです。たとえ基礎的な分類であるとか、或いは格付の方針等が人事院の規則や、或いは人事院の分類や、或いは人事院指令等によるとしても、その格付に対する責任は今度は人事院ではなくして、外務大臣になるということなんです。その場合に淺井さんに言わせると、巧みに低く不利益に格付される場合だけのことを例にとられて、そういう心配はないからというお話でございましたが、私はその点は全くそうだと思うのです。併し私はその点については、冒頭質問でも申上げたように、一つの省に任された場合に、今淺井さんが言われるように、不利益になる格付はしないでしよう。不利には格付しない反対の現象として、特に有利に格付するという現象はこれは十分考えられると思うのです。今淺井さんも自分で言われたように、自分の省の格付において不利に扱うことはないじやないか。だからそんなことを心配しないでいいと言われたけれども、丁度その淺井さんが言われたお考えと同じように、自分の省の職員に対して他の職員よりも不利に扱うということはないと同時に、有利に扱うという虞れは十分あると思うのです。そうすれば、これは全体としての立場から公平に決定し、公平に格付しなければならない問題が、少なくともどこかで崩れて来るということは、全体の公平を欠くということになりはしないか、この点について淺井さんは、この第五條があつてもなくてもいいような恰好で御答弁なつた。この條文を設けたことによつて折角今民主的に決定されようとする職階制がここから崩れて来やしないか、この点を私は心配するのです。
  62. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御尤もでございまするけれども只今質疑のほうで、低く格付するということをおつしやいましたから、高く絡付することが多いと申上げたばかりであつて、実際低くするのも惡ければ高くするのも惡いのであります。これは公平に、お示しのようにやらなければいかんというのでありまするが、すべての格付人事院がみずからやるということは、これは不可能であります。何が最終的な権限一つ人事院が握つておれば、それでよろしいのじやないかと思つております。それはやはり公務員法の三十一條の格付の訂正をやる権限は、これは離さない、これは外務公務員法によつても離さんことになつておりますから、最後は人事院で締めくくりはするのだ、これだけはあるつもりでおります。
  63. 千葉信

    千葉信君 国家公務員法第三十一條の官職の格付に関する問題については、淺井さんはその第二項の、必要と認めるときは、これを訂正するとか、或いは再審査とかという、この権限だけは人事院で持つておるというお話でございましたが、一体それはどこにそういう権限が残つておりますか。
  64. 淺井清

    政府委員淺井清君) 先ずこの外務公務員法の第三條によりますれば、国家公務員法及びこれに基く法令の規定は、この外務公務員法特例を定める場合以外はすべて適用されるという一応の建前になつております。従いまして国家公務員法第三十一條はそのまま適用がある。従つて三十一條二項の格付を訂正する権限人事院にそのまま残つておる、これは消えてない、こういうふうに言つたつもりであります。
  65. 千葉信

    千葉信君 淺井さんのそういう御答弁を立証する法律はどこにもないのですがね。この外務公務員法の第五條の條文を見て下さい、ここには国家公務員法第三十一條に規定する官職の格付は第三十一條全体を指しております。格付の問題です。格付は何も最初に格付したものを格付というのじやなくして、格付の問題に関連する第三十一條の二項の権限もこれは包含されております。そうすると、包含されておるとすれば、第三十一條によるところの、国家公務員法並びにこれに基く法令は、この法律特例を定める場合を除くのほか……そんなものはありはしません。
  66. 淺井清

    政府委員淺井清君) そうは解釈していないのでございますが、これは法制局長から申上げます。
  67. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) その点につきましては、いささか或いは法文が明確を欠くというような御意見もあろうかと思うのであります。その点につきましては、今御論議になつた点は初めてのことではないのでございまして、十分外務省とも打合せしておりまして、格付の改訂というようなことにつきましての第三十一條の第二項の権限人事院にあるものという考えなつております。この点は外務省とも打合済でございます。
  68. 千葉信

    千葉信君 只今法制局長から御明快な御答弁がありましたけれども、遺憾ながらこの法律の條文では、全然それは只今の御答弁はこの法律の條文に関する限りは通用いたしません。第三十一條の規定については、これはもう外務大臣が行うということがはつきりしておるのです。これは若し只今法制局長の御答弁なり、御見解の通りだとすれば、この第五條は修正しなければならない。よく読んで下さい。
  69. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは私ども考えは今法制局長から敷衍した通りでございますが、ここに第五條を見ましても、同條及び職階法十二條の規定にかかわらず、格付を行う権限外務大臣が行うだけでございますから、格付に関する権限ではないのであります。格付外務大臣が行うので、格付のその再審査をやる権限は留保しておると、こういうふうに思つて作つたんであります。これは決して言い逃れではなくて、そのつもりでおるのでありますから、どうぞそのつもりで御了承を願います。
  70. 千葉信

    千葉信君 これは当然答弁の如何にかかわらず、若しそういうふうなつもりで提案されたならば、当然これは提案者自身のほうから第五條については御修正願いたいと思います。はつきりとそういうふうに明確に……。
  71. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 只今千葉さんからお述べになりました点につきましては、今私からその点は初めてではないということを申上げたのですが、昨日実は木下委員からもこの点につきましては詳しいお尋ねがございましたから……格付というものは、その権限を委任いたしましても決して勝手にできるものではない。その一つの例といたしましては、結局人事院格付を行うのは各省の課長以上の官職でございますが、各省の課長或いは局長についての官職につきましては、これは例えばほかの省の課長がそれぞれ第二等級に格付人事院がいたしました場合におきまして、外務省だけ外務大臣格付権限を有するにいたしましても、これを或いは外務省の局長だけ第一等級にする、或いは第三等級にするということができるものではないから、そういう意味においてバランスというものは失われないと、こういうことを申上げましたわけで、先ほど千葉さん御指摘の、不利にならないとか、或いは有利にならないとかというような、一方に偏したことを申上げるつもりではなかつたのであります。第二には、等級別定数というもの、級別定数というものがございまして、これは行政組織法の組織の如何によつても影響されるわけでありますが、外務省に九つ局長の数があるといたしまするならば、大体或いはまあ局長級のポストが九つあるといたしまするならば、第二等級に格付される官職の数は九つということを定めておきまするならば、課長クラスのものを第二等級に外務省格付できるものではないわけなんです。そういうことにおきまして、おのずからそこにバランスがとれるんであつて、條文の最初のほうにありまするんで、衆議院の御審議の場合におきましても、この点が先ず第一に問題になりましたが、私どものほうといたしましては、これは全く御心配の点は、実際においては最初にお考えのほどはなかろうということを確信しておる次第でございます。それから第三に、昨日その改訂の点につきましても木下さんに申上げまして、三十一條二項に基く改訂の権限は、人事院が持つているということも併せてその際に申上げておりますから、申し添えておきます。
  72. 千葉信

    千葉信君 まあ今の御答弁は、これは人事院としては希望的な御意見としては私どもわかりますけれども、それがそつくりこういう條文が成立したあとで通用するということはあり得ないと思うのです。例えば今度の外務公務員法制定して、その制定の仕方の中にも、明らかにもう各條文の中には人事院権限縮小されて行つているんです。そういう縮小されて行くような形の條文の中で、そんな只今の御答弁のような解釈の出つこのない法文が、ちやんと確定したあとにおいて、権限縮小され続けておる人事院が、そういう拡張解釈をこういう條文だけでとろうとしたつて、そういうことは通用しないことは明らかと思うのです。第三十一條の点については、これは條文の状態から言つても官職の格付、これは第三十一帳、そうすると、その中で第一項、第二項に分れていて、第一項、第二項の中には何にもその中味には相違はないのです。飽くまでも第三十一條は官職の格付ということを決定したのだと、而も第三十一條全体はここでははつきり外務大臣に委任されている。而もそのあとに附いている国家公務員職階制に関する法律第十二條の規定についても、その規定の如何にかかわらず外務大臣に委任するということに、外務大臣がこれを行うということに、はつきりこの條文がなつておるのです。ですから、これは岡部さんの只今の御意見は、私ども人事院の希望的の意見としてはわかるけれども、この法律制定趣旨、傾向に鑑みても、私はそういう意見は将来通用する意見ではないというふうに考えざるを得ない。が併し、この問題については当委員会としての立場から、この問題はあとでいろいろ審査するということになると思うのですから、私はこの問題についてはこれ以上御答弁を必要といたしません。
  73. 森崎隆

    森崎隆君 今の問題につきまして、やはりこの解釈に不徹底な面があるというところに、将来問題が起るという余地があると思いますので、これは了解事項とか、公約とか、不文律で審議しておるのではなくて、法律案審議しておるという建前から行きますと、これは千葉委員の言われたように、こういうことで将来問題が起きた場合に、これでどちらがどうだ。再審査の権限があるとか、ないとか言いましても、これは両方で水喧嘩になつてしまつて結局ここに問題が起る。法律を作る趣旨としては、問題が起らないように、明快にはつきりすべきところは明らかにして頂きたい。そういう点におきまして、この点は再考慮を加えるようにお願いいたす次第であります。
  74. 千葉信

    千葉信君 それから只今の私の質疑に追加いたしますが、この第五條の中に「同條及び国家公務員職階制に関する法律(昭和二十五年法律第百八十号)第十二條の規定にかかわらず、外務職員については、外務大臣が行う。」つまり職階制に関する第十二條の法律全体が外務職員の場合には排除されているわけです。而も職階制に関する法律の第三章第十二條、その第四項には、「人事院は、官職が第一項又は第二項の規定従つて格付されているかどうかを確認するため、随時、格付の再審査を行い、格付が適正に行われていないことを発見したときは、これを改訂しなければならない。」という條項が含まれ、この條項が全体が排除されておる。排除されておれば、今のような人事院意見というものは全然通用しないということになる。少くとも職階制法律に関する限りは第三十一條の第二項の範囲として、これは人事院権限内にあるというような御答弁があつた事項は、遺憾ながら職階制に関する法律の第十二條に包含されて、而もそれも全部ここに排除されておる。「規定にかかわらず、外務職員については、外務大臣が行う。」、こうなつていれば論議の余地がないと思うのです。これは私の附加した質問であります。
  75. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御答弁していいかどうかわかりませんが、私どもは決してそうは考えておらないのであります。若し千葉さんの御論議のようでございますれば、人事院としては勿論反対をしなければならんと思つております。成るほど「かかわらず、」という言葉はございまするが、公務員法の三十一條及び十二條では、格付というものと格付の審査とか、変更とかいうものは全然別物のように思つております。これは格付外務大臣に委任しておるのであつて、その再審査等の権限というものは、この「かかわらず、」という文字にかかわらず、これは人事院が留保しておる、こう私信じておるのであります。なぜかというと、これは何も人事院千葉さんの御答弁をごまかすような立場にないのでありまして、人事院としましては、この点は十分自分の権限を守つて答弁をしなければならんのでありますからして、これは決してそうではなくて、私どもはそのつもりで、本当にそうだと思つております。
  76. 千葉信

    千葉信君 よくお気持はわかりますので、この点についてはやはりそういう御意見でございましたら、これはどうしても第五條のこの條文を、国家公務員法第三十一條第一項に規定するという恰好で直さなければいけないし、それから又公務員法職階制に関する第十二條の場合については、これは同條第四項はこの場合から除外しなければならないから、これは当然我々としては法改正の問題を、この提案された條文の改正ということは当然これは考慮しなければならないと信ずるものであります。併し私はこの問題はこれくらいにして、その次の問題に入りたいと思います。次は第七條の問題ですが、第七條の関係する問題は、外務公務員の欠格の事由の問題です。国家公務員法の第三十八條に該当する場合のほか、もう一つこういう條件外務公務員の欠格事由として入つたわけですが、その入つた中に、特に私どもとして一応の問題となると思われる点は、「国籍を有しない者」とか、「若しくは外国の国籍を有する者」とか、この点については一応余り大きな問題には実際問題としてならないかも知れないけれども、「又はこれを配偶者とする者は、」という條件が入るということになると、実際問題として、これに該当する公務員が出る危険が相当多いと思うのです。他の公務員の場合と違つて外務省関係職員で、而もしよつ中在外公館等に勤務することになる外務公務員のごときは、これに該当する職員が相当数出るだろうということは当然これは予想されるのです。而もこういう條件に対して同條の第二項のほうでは、「前條の規定により外務公務員となることができなくなつたときは、政令で定める場合を除く外、当然失職する。」という形で、国家公務員法の三十八條から見ると、相当しよつぱい規定なつておるわけです。一体こういう点については、「これを配偶者とする者」というものが相当あるというふうにお考えなつて、而もどういう下都合が起るというので、こういう取扱いをされることにしたか、先ずその点からお伺いしたいと思います。
  77. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 第七條の規定で「国籍を有しない者」又は外国籍を有する者を配偶者とすることができないというわけではないのでございまして、当該国の国籍を離脱いたしまして、日本の国籍をとれば配偶者とすることができるのであります。第二項におきまして、その場合に実際上の手続の上で猶予期間を与えなければならんというわけで、そういう点を政令で運ぶ、こういうわけでございます。
  78. 千葉信

    千葉信君 わかりました。それでは次の……。
  79. 森崎隆

    森崎隆君 政令で定めまして、万一国籍がはつきりしなかつた場合は、やはり外務公務員という資格を喪失するわけですね。
  80. 大江晃

    政府委員(大江晃君) そうでございます。
  81. 森崎隆

    森崎隆君 従いまして、そうなつた場合に一般職公務員であつて、その中から特に外務公務員なつたものが、そういう配偶者の国籍の問題で失格いたしたときには、言換えますと、元の一般職国家公務員にも、その資格に帰るというわけじやないのですね。いわゆる失職になつてしまうのですね。その点はどうなるのでしようか。そうなると、その点が一般職の場合と相当大きな差ができると思いますがね。
  82. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 外務公務員としてはやはり失職いたすのでございます。
  83. 森崎隆

    森崎隆君 というのは、やはりそれ切り首にするわけですね。
  84. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 首にすると申しますか、職を辞めるわけでございます。
  85. 森崎隆

    森崎隆君 この点は一般職とは全然違うのですね。非常に不利な立場にあるわけですね。
  86. 大江晃

    政府委員(大江晃君) これは一般職とは違いまして、外国籍を持つためにいろいろな支障があるというような点から、どうしても外務公務員としては適当でない、こういう観点からやはり辞めてもらうというふうに考えております。
  87. 森崎隆

    森崎隆君 その政令できめる内容はまだでき上つていないと思いますのですが、これまでの慣習なんかで大体どういうふうになるのですか、その関係は……。成規の手続をとる機関とか、その資格の判断とか、又例えば内地に配偶者がおりました場合、これとの関係を切つて新らしく外国人との間の婚約を成立せしめるとかいつたような場合について、何か判断の基準なり、法的な手続上の問題等いろいろあるのじやないかと思いますが、その点で今御説明頂ける何かありましたならば、して頂きたい。若しなければ結構でございます。
  88. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 現在研究中でございまして、今まとまつた基準とか、そういうものはできておりません。
  89. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 第八條の「大使及び公使の任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。」という点ですが、天皇が認証するということの根拠になつたものはどういうことなんですか。
  90. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは憲法第七條の五号、「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免竝びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。」という、これから出ております。
  91. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは第九條のお答えでないかと思うので、第八條の場合のお答えにはならんのじやないかと思いますが……。今の政務次官が申されましたのは、第九條に対する答えであつて、私は第八條に対して聞いておるのです。
  92. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) これは先ほども読上げました第五号の「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免」と、この大公使のごとき重要なる国を代表する職責を持ちまする官吏であります「法律の定めるその他の官吏の任免」、ここでこの「認証」ということの根拠を求めておるわけであります。
  93. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その法律で定めるという、その範囲は一体内容は何と何とになつておりますか、大公使だけですか、それは……。
  94. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) つまりこの外務公務員法のここで、第八條で大公使の任免を天皇が認証すると、これがいわゆる法律の定める大公使についてはこの外務公務員法の第八條が準拠になつておるわけでございます。
  95. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは次の第九條において「大使及び公使の信任状及び解任状、全権委任状並びに領事官の委任状」と、これらの委任状に対しては天皇が認証すると、これはそれでいいと思う。ところが「大使及び公使の任免は、」これは別に天皇の認証を必要とするのではなかろう、そうせなくてはならないという理由にはならないのじやないか。
  96. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) この「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免」に根拠を持つわけでありまするが、これはしなければならんとはありませんが、してもいいわけでありまして、こういう重要な職責を持ちまする大公使の任免を、天皇の認証制に外務公務員法においてしよう、こういうことになつておるわけであります。
  97. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 むしろこの場合はですね、これは非常に天皇が国権の統帥権を持つておつた当時の古い観念からすれば、当然こういうことにすべきであると考え得られるのでありますが、この場合においては、むしろ天皇がこれを認証するということより、国会がこれを承認するというほうがむしろ適当でないか。で、この九條の場合は、私はこれは天皇が勿論これは認証するということはこれは適当だろう、この場合において必らずしも天皇がこれを認証するということでなく、この場合はむしろ国権の最高機関たる国会がこれを承認するということのほうが適切ではなかろうか、この点についてはどうですか。
  98. 石原幹市郎

    政府委員石原幹市郎君) 国会承認を求めるようにしたらどうかというような御意見は、意見として衆議院の外務委員会においても出たのでありまするが、この外交事務は内閣のいわゆる行政面の仕事といたしまして行われる。それを代表する大使公使でありまするので、国会承認を求めるような立場に置くのはどうかと、こうまあ考えるわけであります。承認を求めまする官吏、役人といたしましては、まあ例えば裁判官、人事官のようなもの、或いは会計検査官のようなものはそういうことになつておりまするが、純粋に行政事務をやりまする大公使についてはその点はどうかと思いまするので、それから一々国会承認を求めるということになりますると、この大公使の任免については相手国のアグレマンを求めましたり、いろいろの関係もございまするので、それを一々国会承認制にするということは如何かと考えまして、こういう建前にしている次第であります。
  99. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今会計検査官或いはその他の例を挙げられましたが、この場合においても、これは一般職でなく、大使公使は重要な職であり、従つてこれは特別職である。これらの他の特別職が全部国会承認を得るということになつているのに、ここだけ、この特別職だけは天皇の認証にせなければならないというような、法的な根拠というものはどこにあるのですか、法的な根拠は……。
  100. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 私からお答えを申上げますが、天皇の認証という制度と、任命につきまして承認を要するという制度とは全然別問題でございます。その前に一言申上げておきますと、この大使公使の認証の第八條の規定は、今度の公務員法に初めて入つた規定ではございませんで、従来外務省設置法のうちに、確か二十三條か、二十四條だつたと思いますが、そこにありましたのを、今度外務省設置法を改正いたしました際に、こちらのほうを削つて、本来の大使公使の任命に関する規定でありまするから、この公務員法に移したわけでございます。新たに設けた規定ではございません。ところでこの認証というものは、今政務次官から御説明通り、憲法第七條に基いて一般職若しくは特別職を問わずに、特定の大体まあ高級の官職につきまして、内閣その他の任命権者が行なつた任命行為を天皇が確認するという制度が認証でございまして、その認証を如何なる官職について行うかということは、それぞれの官職の設置法できめるわけでございます。人事官の認証につきましては国家公務員法で定める。検事総長、次長、検事長の認証につきましては、それを検察庁法で定める。裁判官の認証につきましては、裁判所法がこれを定める、各個の根拠法規においてこれを定めております。又認証は只今申上げました通り人事官でありますとか、会計検査官でありまするとかいう特別職及び国務大臣、これは国務大臣も特別職でありますが、そういう特別職について行われますと同時に、一般職である検事総長、次長検事、検事長或いはその他の官職、宮内庁長官は特別職でありますが、そういうような一般職特別職を問わず、とにかく法規において天皇が認証するということを規定すれば、それによつて認証の根拠が得られる、こう考えます。
  101. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 議事進行についてちよつと……速記をとめて頂きたいのですが。
  102. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  103. 有馬英二

    委員長有馬英二君) 速記を始めて……。本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十八分散会