○
参考人(
梁瀬長太郎君) それでは
OASの
委員として申上げます。極く最近に
機械局の
車両部自動車課から我々
業者に対して今後はこういうふうにするというものを発表されたのについて、それを
ちよつと先ず時間が短うございますから趣く必要な点だけ申上げて見ます。
一九五一年には
外国車を二千八百入れて
国産車を三千二百、五十二年には
外国車が二千二百のドメステイツクのものを六千台、一九五三年、来年は
外国車全部で千台、
内国車を七千台、その翌年には七百台、七百台、七百台とこういうふうに小さい数に落してしまう、そうして
国産車は七千、七千、七千と続けて行く。すると五十六年までのトータルを見てみると
輸入車は八千百台にな
つて、
国産車が三万七千二百になる。こういう明瞭なる
数字を示されたのを見まして、私
ども輸入車に
関係している者はびつくりしてしま
つて、これは大変である、根本的の間違いに陥
つておるということがわか
つたのについて、どうしてもここに
意見を申上げたいということができて来たわけでございます。それでこればかりの、大体から
言つて七千七百ばかりを以て
日本の
乗用自動車を満たして行くならば、しまいには何にもなくな
つてしま
つて大変な
状態ができる。
文化国家どころの騒ぎではない、必要なる用も間に合わすことができないような時代に向
つて進みつつあるという、こういうことが見付か
つたので、我々の
意見を申上げまして、そんな妙なことをしては駄目である、如何にも
事情に暗いお
かたの
考えのようであるからして、そんなに
自動車のことを知らないのならば
一つ代つて頂いてもよし、又
製造ということのみに頭を
突込んで
通商ということは見えないのならば、その
通商のほうは別途の
通商局などで扱
つてもら
つて代えて見たらどうか。余りに何か
自動車に暗く、且つ
製造のことに頭を
突込んだきりでわけのわからない
かたのようである、こう判断するわけです。先ほど
小酒井さんからも御
発言がありましたが、
機械局の
かたが見えないことは誠に遺憾と思います。大体を申しますと、今国内に保有している量は約六万台と我々は
考えております。そのうちで月に一割ずつ六千台ずつは今後殖えて行くのが自然の形勢であると思います。それで、その六万台のすでにある車のうちの三万台というものは、又詳しい
かたがあとから申上げましようが、すでに車の年も十三年何ヵ月を経て
老朽にも何にも
人間にすれば八、九十にな
つた車が三万台あります。これはもう直ちに代えなければどうにもしようがない。これを
国産車を以て代えればどうかというと、
国産車の
寿命というものは悲しいかな今は誠に短く、不完全なものであ
つて、一年もたてばがたがたし始めて、二年もたてば
寿命が終るというふうに、みんな営業を長くした
人間は思
つております。私
どももここに四十年近くこの業をしておるために、頭の中に平均こうなるんだということが見えておりますが、まあその頭に基くとこんなものが出て来ます。三ヵ年間にこれを代えるというと一ヵ年に一万台ずつ要るのです。即ち六千台の増し車、取替え用の車一万台を加えると一万六千台ずつ要るのです。今年度
国産車が六千できるとして引いて見ると、あとの一万台はどうしても外車を入れなければならないという算盤が出て来ます。そのほかに駐留軍人の持
つておる車が約二万三千台、
運輸省の前調べであるそうです。これも五年間れだんだんに彼らが売
つて日本人のほうに廻すとして、二割を見ますと四千六百台、これは
日本人用にだんだん廻
つて来る。その四千六百台を一万台から引くと新車が五千四百台くらい
日本人用に向けられなくては
現状さえも保てないというふうに減
つてしまうのであります。それでその軍人が又新らしい車を要求する、自分の車を出すと同時に彼らは買求めるのですから、その四千六百台は又あとから附加えなくちやなりませんので、結局年々一万台くらいを入れなければ
現状を保
つて、非常なる
老朽車を代替をして行くということはできなくなるのです。ここに
ちよつと差挟んで
国産車の
状態を申上げますると、一九三八年で
外国車の
輸入はぴ
つたりとめて、これは
トラツクまでとめたのです。それで軍が世話をして
自動車製造事業法というものを作
つて、誰か
国産車を作らんか、私
どもも再三慫慂されたけれ
ども、これは算盤の合わない芸当ですから、おやめになるように、そうして
外国と組むようにという案を立てて上げたのですけれ
ども、あとから喧嘩をしなくちやならんと組むわけにも行かなか
つたと見えて陸軍が許しませんでした。それで日産やトヨダの
会社がこれに携わ
つた。その後は
トラツクのみを作
つてお
つて、たまに楽しみくらいに
乗用車を作
つたけれ
ども、それは殆んど
乗用車係りの稽古は今日までしていなか
つた。先ほど
お話のように二百や三百作
つても只のお稽古で、向うでは
プレスというようなぽこんぽこんと打ちあけたようなボデイーを作
つている際に、こちらではハンマーでひつぱたいてでこぼこのボデイーを作
つて、横から見ると情ないような始末であります。こういうものであるからして、私の大きな
考えは、
国産車は大体においてトラックとデイーゼルのバスと……デイーゼルなんかは
アメリカでも数が少いからなかなか値が高いのです。競争しやすいものであるからこの辺をしつかりお作りにな
つて、輸出向けに作らせるのもよし、だんだん安いよい鋼鉄を取入れるようにする。
アメリカのように
乗用車を作るということは
プレス技術もいいようでありますけれ
ども、
アメリカのミシガン湖の北側の成るスチールでなければよくて値の安いスチールは得られないというような細かいところまで行
つておる。そういうような
状態ですから、この点、はよく
考えて算盤の合うトラック、バスでも精を出して作
つて頂いて、
乗用車には手をお染めにならんほうが経済上却
つてよくもあり、国家全体としても又徳用である。何となればあとで
業者の
かたが御説明になるでしよう、六万台中主に自家用車が多いのですが 一万台ほどはバス、
トラツク、タクシー、ハイヤーの
かたが使
つておることは、これは数が少いが朝から晩まで営業として使われておるのであるから、あらゆる計数を勘定し、算盤に合う合わんとかいろいろ細かい計算ができております。
従つてどういうものが得であるかということは、非常によくわか
つて、どうも
日本では不思議に、不思議ではない、世界中そうであるけれ
ども、
アメリカ製の車が長く持
つてわり
かた徳用であ
つて、
人間の数も乗せられて一番使
つて徳用なのです。次にはヨーロツパの或る種類の車が徳用である。国産は残念ながら壽命も短かし、乗り心地も悪いし、今のところでは
関税と
輸入税の暴騰によ
つて、或いは
輸入の制限統制によ
つて、一脈小さき命を保
つておるのであるけれ
ども、これは
国産車自動車製造業者のために十分にお
考えにな
つてやめられたほうがお得であると差出がましいけれ
ども、私
どもは思うのです。それで何が故にこれをお作りになるかというと、恐らくは私は経営者のほうはつまらんということはおわかりであるが、
技術者が
国産乗用車ぐらい作らせなければ面白くない、何とか我々の楽しみに作らせろ、そうは言わんけれ
どもそういう気分を持
つて言うので、これが抑え切れないのでこれをお作りにな
つているのではないかとさえ思
つた。淺原君でもいればこの点話合
つてわかると思いますが、私はこれを長い経験で以て信じております。それですから細かいことを
ちよつとまだ時間がありまするので申上げて見まするというと、この業を我々はやることによ
つて過去四ヵ年間に
外国人に
アメリカの車を渡して二割五分くらいのドルの利益を攻めました。四ヵ年や
つて二割五分であるから殆んど元銭は取返して、今国家のドルのお世話に私
どもはほんのぽつちりな
つているかな
つていないかであります。今後ともこれを
利用するならば、
外国人から二割五分
程度の、もつと多いのもありますが、平均して二割五分以上の利益をもら
つております。で、これを以てどんどん売れて行きますから国家のドルはなくさないという算盤になります。そして
アメリカ車とヨーロツパ車の比較はどうかいうと、どうしても
アメリカ車を入れたほうが国家のため徳用です。使用者のためにどうしても徳用であるから大きな
数字を
アメリカのものにして頂いて、小さくなる、ほどよきところをヨーロツパに廻わして頂く。ただ今パウンド・スターリングの金が余
つている。又オープン・アカウントの金が余
つているからこのほうは入れてもいい。
日本人が円で売
つてもいい、
アメリカのほうはドルが拂底だから円で売
つてはいかんという御沙汰が出ておりますが、この辺も少々おかしいと思うのであ
つて、
日本の車のほうがドルを稼ぐことができるのみならず、強さにおいてえらい違いがあ
つて、
ちよつと目先で東京駅から駈出す車は、
小型は値が安いからなんというふうな乗り方を今しておりますが、あれは壽命が短かいので年々衰えて来る。経営者が驚き、お客も疲れが多いのでくたびれて来るであろうと思う。かようにして長い道中を見れば、パウンド・スターリングというものはしよつちゆう余るべきものでもありますまいし、将来輸出の途もありましようから、幾らかその傾向はあるでしようけれ
ども、ドルとても随分たくさんの分量が、今でも四、五億ドルが
日本の手持ちにな
つているので、あんまりこれを悲しんでびくびくせんでもよろしいのであ
つて、
ちよつと
アメリカなどの気分を変ちくりんにしてしま
つて、
日本から出る品物に
輸入税をうんとぶつかけられたら大変なことになると思います。
輸入税も今四割というのも
ちよつと……。戰前も三割五分でありましたが、三割五分ぐらいにして部分品も何とか二割五分ぐらいにして、今
アメリカのチエンバー・オブ・コンマースの連中にしても、
日本の
トラツクまで取上げない。競争すれば皆取れることは彼らは百も二百も
承知でありますけれ
ども、そこまで行かずに
乗用車だけを入れさせるのが穏当であろうと彼らも
言つております。私
どももたびたびこれを聞きますが、国と国との間の、單に
人間と
人間との話合いというものはこの辺につくべきものではないかと私
どもは信じているのでございます。それから時間がもう少しある。
自動車の
輸入高というものを全体の
輸入の金額に比べて見ますると、僅か〇・五五%しかなりません。実に九牛の一毛でこの
自動車のみを神経過敏にそんなに見なくても、くだらないもつと
人間の役に僅かしか立たんものがたくさん
輸入されておるから、
自動車というものはなりが大きいので目立ちますけれ
ども、さすがに
人間を運び、企業の開発に役に立ち、どうしても仕事を起す、
日本を再興するのには荷物の運搬よりは
人間の運搬、重要なる
人間が自由に足早く相談するということが真つ先でなければならん。私は関東大震災のあと、全部がぶち壤されたあとに、私は
人間が、先だという見込でたくさんの
乗用車を入れて見ました。或る者は荷物が、先だと
言つてトラツクを入れて見ましたら、これは
乗用車のほうが勝ちまして何層倍かの車が売れました。これは
皆さんの御
承知の
通り、世界中で
トラツクの数が多くて、
乗用車が少いという国は非常に非文明国の証拠にな
つております。
日本の
乗用車は十万台くらいなければ一人前の働きはできないと、これは身勝手かもわかりませんが、そう思うのであります。それから中古
自動車取扱上の諸問題、これもどうも変なことをして二千台クーポンを出したからこれを売れという、然るにほんの僅かばかり七十五万ドルのドルをくれたきりで実際買わないから、この実効は、半数以上はクーポンに終
つております。如何に
事情がわからんでも余りくだらんことはなさらんほうが国家のためよろしいと思います。かくのごときものでありまするからして国家全体の上から見てほどよきところに御処置を下す
つて、今
外国車の
輸入をやめて
国産車で間に合せるということは甚だつまらん
考えであ
つて、例えば三、四歳の子供の手を取
つて、これを引つぱり廻せば一人前の競走に出られるか、オリンピツクに三つ、四つの子供の手を引いて出そうという
考えのように我々には見えます。もつと実情に副
つたお
考えをこの国会の諸公に持
つて頂いて、
機械局長などに来て聞いてもらいたいのですが、今日いないのは残念ですが、(「いるぞ」と呼ぶ声あり)おられるのですか、これは失礼しました。私はこれを四十年の経験に照して固く信ずるものであります。時間が参りましたので、これで失礼いたします。