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1952-05-26 第13回国会 参議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            高田  寛君    委員            植竹 春彦君            高木 正夫君            小野  哲君            小酒井義男君            齋  武雄君           前之園喜一郎君   衆議院議員            岡田 五郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    運輸省自動車局    長       中村  豊君    航空庁長官   大庭 哲夫君    航空庁次長   粟沢 一男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡本 忠雄君    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    法制局側参事    (第二部長)  岸田  実君   —————————————   本日の会議に付した事件港湾法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○船舶安全法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○航空法案内閣送付) ○道路交通事業抵当法案植竹春彦君  外十三名発議)   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  先ず港湾法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  3. 高木正夫

    高木正夫君 前回の委員会におきまして、港湾工事費用受益者負担の割当につきまして、行政事件訴訟特例法適用があるようにしたらどうかという質問に対しまして、提案者岡田委員から、現行法では損傷者負担について行政事件訴訟特例法適用規定していないので、受益者負担についても同法の適用規定していないのだという御説明がありましたが、これは受益者負担損傷の場合とちよつと性質も違いますし、説明もちよつと不十分のように考えますので、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  4. 岡田五郎

    衆議院議員岡田五郎君) 過般の委員会におきまする私の答弁が非常に簡単過ぎまして、まだ御納得が行かないようでございますので、多少詳細に亘るかも知れませんが、御答弁申上げたいと存じます。先ず受益者負担に関しましてでございますが、この点に関しましては、先日申上げましたように、第四十三条の三の損傷者負担金と表裏の関係にあるから、この負担金についても又この行政訴訟特例法によらないのだ、こういう御答弁を申上げたのであります。御承知のようにこの負担金租税でもございません。又手数料とも違つた性質を有するものでありまして、訴願法に言ういわゆる租税及び手数料賦課に関する事件というのには該当しないと私は考えるのであります。従いまして、港湾法中にこの賦課に関する訴願規定を置かないのも一にこの理由に基くのでありますが、御質問の趣旨は、この五十九条を修正して、行政訴訟特例法によるようにしたらどうかというようなお考えもあつての御質問のようでございますが、この負担金賦課に関する争議は、行政事件訴訟特例法裁判手続によるかどうかということにつきましては、提案者、私はかような意見を持つておりますので、一応御答弁申上げたいのであります。  新憲法の第七十六条によりまして、一切の司法権裁判所に属し、行政裁判は廃止せられ、又これに基き、裁判所法の第三条は、裁判所が一切の法律上の訴訟裁判ずる権限を有する旨を規定してあります。又同法の附則では行政裁判法を廃止していますので、現在の制度におきましては、旧憲法下と異りまして、行政事件民事事件との区別は余り明らかでなくなつたのであります。単に裁判手続相違のみが残ることになつたのであります。ところで、受益者負担賦課行政事件訴訟特例法手続によるか、民事訴訟法手続によるべきかということに関しまして、立法論としていろいろ議論があると考えるのでありまするが、特許審判だとか或いは海難審判のごとく、極めてその行政技術的な色彩の大きいものと性質を異にいたしまするこの受益者負担金賦課金額の決定に関する不服のようなことは、むしろ旧土地収用法による補償金額争いの場合と同様にも考えられるのでありまして、従つて民事事件としてむしろ賦課に関する争いは取扱うのが妥当ではないか、かように私は考えておるのであります。かように考えまするが故に、私、提案者といたしましては、むしろ行政事件訴訟特例法というのによらないほうがいいのではないかと、かように実は考えておるような次第であります。
  5. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) その他に御質疑ございませんか——、その他ございませんか。別に御発言がなければ、これより直ちに討論に入ります。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それでは御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  7. 高田寛

    高田寛君 本問題は大して疑問になる点もないと思いますので、討論を省略して採決されることの動議を提出いたします。
  8. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今高田君から動議が出ましたが、討論を省略して直ちに採決に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは直ちにこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  10. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長口頭報告内容、その他爾余の手続等につきましては、慣例によりまして委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それではさように取計らいます。なお例によりまして本案を可とされたかたの御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    岡田 信次   高田  寛    植竹 春彦   高木 正夫    小野  哲   小酒井義男    齋  武雄  前之園喜一郎   —————————————
  12. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次に船舶安全法の一部を改正する法律案議題といたします。先ず審議の便宜上、専門員から調査いたしました結果を御報告することにいたします。
  13. 岡本忠雄

    専門員岡本忠雄君) 簡単に申上げます。政府平和条約に関する宣言におきまして「一九四八年海上における人命安全条約」に「日本国政府は、実行可能な最短期間内に、且つ、平和条約の最初の効力発生の後一年以内に、……正式に加入する意思を有する。」ということを表明しているのでありますが、この条約に加入するため必要とされる国内法規整備一つとしてこの法案が提案されたものでございます。本案は右の条約規定に基きまして現行船舶安全法改正しようとするものでありまして、その内容は、先般提案理由で非常に詳細に政府から御説明があつたのでありますが、要約いたしますと、第一無線電信を施設することを要する船舶として現行船舶安全法(四条一項)各号に掲げるものの外に新しく「旅客船又ハ総噸数五百噸以上ノ船舶ニシテ国際航海ニ従事スルモノ」を加えますと共に総噸数千六百噸未満の貨物船につきましては無線電信に代えて無線電話を施設し得ることの規定を設けること。  第二は従来内部的な職務指定による一検査官の地位を明確にしております。以上二点に要約されます。  なお右条約無線設備以外に船舶の構造、救命設備方位測定機信号灯、穀類及び危険物運送等に関しまして、或いは適用船舶現行規定より拡大し、或いは新規定を設けておりますが現行船舶安全法の体系におきましては法律改正を要するものは無線設備に関する事項のみでありまして、その他はみな省令規定されておりますので、省令改正で済むわけであります。又本案附則におきまして右条約実施期日たる本年十一月十九日より施行することを規定しております。以上の外詳細に検討いたしましたが、問題になる点は我々のところでは発見し得なかつたのであります。以上申上げます。
  14. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今専門員から調査の結果を報告いたしましたが、何かこれらに関する御質疑等がございましたら……ちよつと速記やめて。    〔速記中止
  15. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記開始。本件に関して御質疑ございませんか……別に御質疑がないようでありましたら、直ちにこれより討論に入りますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それでは、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  17. 小野哲

    小野哲君 討論は省略していいんじやないでしようか。
  18. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今小野君の御発言がありましたが、討論は省略して直ちに採決に入ることにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それでは直ちに採決に入ります。本案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  20. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告内容、その他の手続等に関しましては、慣例によりまして委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないと認めます。  なお本案を可とされたかたの御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    岡田 信次   高田  寛    植竹 春彦   高木 正夫    小野  哲   小酒井義男    齋  武雄  前之園喜一郎   —————————————
  22. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 続いて航空法案議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。ちよつと速記やめて。    〔速記中止
  23. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは速記開始。  次に航空法案議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  24. 小酒井義男

    小酒井義男君 航空法案審議するに当つて、やはり将来の国内航空生産運行両方関連を持つ考えて行く必要があると思うのです。これに対して運輸大臣としてお考え願つて、例えば曾て国内航空機生産に従事しておつて生産事業をやつてつた経験者等が、将来どういう立場で、この政府監督を受けて行くことが最善合理的で、生産の上にも必要なことであるというようなことについての意見を、広くお聞きになつたことがあるかどうか。或いはそれがないとすれば、この法案審議に当つてそれらの意見を聞かれる必要性をお認めになるかどうかと、こういうようなことをお答え願います。
  25. 村上義一

    国務大臣村上義一君) お答えいたしまするが、日本の戦後の航空事業の復興につきましては、とにかく七年間の空白な時代もありまして、事業性質上非常な、世界的に言えば進歩がそこに来ておるのであります。これを日本におきましても取り返す必要が出ることは申上げるまでもありません。一方において、国際民間航空条約というものができております。で、今回の平和条約十三条の(C)項におきまして、日本もこの条約に六カ月以内に加入する、こういうことが平和条約に明記しておるのであります。のみならず、調印に際しまして、宣言政府代表者はしておられるのであります。これらの国際民間航空条約並びにその附属書に定められておりまする各事項を織込んだ航空法制定というものが是非必要なんであります。従つて今後の航空事業運行につきましても、生産につきましても、整備につきましても、この条約附属書に織込んであるものを取入れまして、そうして将来の航空事業のあり方について定めることが必要なのである。そういう目的で航空法制定をして、その法律精神従つて航空行政を処理して行きたいと、こう考えまして、昨年の十一月、航空法制定審議会というものが運輸省内に設けられたのであります。この航空法制定審議会には、勿論今御指摘航空機生産業者代表したかたもその審議会委員に委嘱をいたしまして、その方面の意見も十分に取入れて起案をいたした次第であります。
  26. 小酒井義男

    小酒井義男君 この航空法案は、戦前においてもこうした法案制定をされておつたことがあつて、それらの法案と新らしく出されるものとには、何か特別の相違点というようなものが、新らしいこういう国際関係によつてできて来ておるかどうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  27. 大庭哲夫

    政府委員大庭哲夫君) 戦前におきましては、大正十年に航空法というものを出しまして、そうして民間航空事業並びにそれらの向上発展をやつていたわけでありますが、御承知のように終戦になると同時にそれを廃止すべきでありましたが、いろいろな事情から一昨年の十二月までそれを継続していたのでありますが、国内航空運送事業会というものを出しましたときに、附則としましてこの航空法の廃止をいたしたのでありまして、現在航空法はないわけであります。併したがら戦前にありました大正十年に出しました航空法は、パリ条約によりまして制定したものでありまして、御承知のようにパリ条約は一九二二年にでき上つたものでありまして、現在の航空機の性能の高度化された、且つ又航空事業の多辺的な、或いは航空事業が国際的になつているというようなものを勘案いたしまして、パリ条約条文では現在の世界的な航空事情には副わたいというわけで、一九四四年にシカゴにおきまして新らしく草案を作り上げたわけであります。これがいわゆる現在国際民間航空機構、いわゆるICAOの前身PICAOといつていた時代に作り上げた。これが一九四七年から効力を発生いたしたわけであります。各国共その国際民間航空条約条文に従いまして、又それの条文によつてできましたところの標準規則等に従いまして、各国法規を訂正いたしまして、そうして国際的、一元的なものに推進して行く、それに加盟している司が現在五十六カ国あるわけであります。御承知のように講和条約におきましても、日本はその国際民間航空機構に六カ月以内に加盟する、又その条約標準というものには順応するという宣言までいたしておるわけでありまして、従いまして日本におきまして、新らしく航空法を設定するこの機会を利用いたしまして、それらの国際民間航空機構条約或いはそれによりましたところの標準規定というものを全面的に取入れると共に、アメリカ、イギリスの航空法並びに従来ありました日本航空法を勘案いたしまして、その最適と存ぜられる条文を写しとりまして、一つ航空法案というものを設定いたした次第であります。さよう御了承願いたいと思います。
  28. 小酒井義男

    小酒井義男君 この航空法案にはいろいろな規定が沢山定められておるわけですが、これらの法案制定せられたのちにおけるところの法案に基くすべての条件を完備して行く上において、無論これらの規定は全部必要な規定が設けられておると思うわけですが、行政協定に基くところの特例というようなものと併行して、この法律規定を実施して行く上においてはいろいろむずかしい問題ができるのではないかということも考えられると思います。そういう点について、当局としては何らそれに対して心配するような点はないとお考えになつておるかどうか。一つその点を御回答願いたい。
  29. 大庭哲夫

    政府委員大庭哲夫君) 現存御承知のように、連合国並びにこのたびは駐留軍というものが駐留いたし、日本の空の防御を担当することに相成つたわけでありますが、それの極東空軍は全面的に国際民間航空機構の條約並び標準規定を尊重いたしているわけでありまして、一つ日本で実施している規定と申しますと、空軍と海軍と民間というものの標準規定を、皆合同審議によりまして、一つ合同規定というものを作り上げて、それを現在実施しているわけでありましてその精神とするところは、かかつて国際民間航空機構の條約というものを尊重した精神から作り上げているわけであります。従いまして、デフエンスという面を除けて、それ以外の運行面、いわゆる常時執行するこの運行面、いわゆる先方ではエア・トラフイツク・コントロールと申しておりますが、地上で航空機の管制をする、或いはそのために必要な援助施設保安施設と申しますが、援助施設、それらは一応全部民間航空機構の條約並び標準規則則つて極東空軍を作り上げているわけでありますから、それらの現在残つている駐留車というものと今後起きる日本民間航空事業というものを同時にその規則で併用いたしても支障は全然ないのであります。その点につきましては、駐留軍日本政府と私どもの運輸省との間に十分検討いたしまして、その結果支障ないだろうと思うのでありまして、勿論それらの建設、運用並び共同使用というものにつきましては、只今協定されています予備作業班において、又その航空分科会におきまして、十分の協定をとつて行くことになつていますけれども、それらの協定、今日なされつつあります協定精神も、今の国際民間航空機構条約並び標準規定に則るようにお互いに、その精神を以て協調いたしていますから、別に支障はないかと存ぜられます。ただデフエンスの面になりますと、これは全面的に空軍の全権能においてやるわけであります。その面におきましては一部分航空法除外、いわゆる特例が必要になつて来るわけであります。今国会にこの航空法と同時に並行して提出いたしているわけでありまして、一つ併せて御審議をお願いいたしたいと存じている次第でございます。その眼目とするところは、今後の空軍デフエンスのために、航空法の一部除外、これも結論的には行政協定の取極の線から生じました。日本政府としてこれを除外するのが適当でないかというところから除外をいたす所存であつて、これも先方と十分な協議の後に実施して行くということになつているわけであります。さよう御了承願いたいと思います。
  30. 小酒井義男

    小酒井義男君 少し質問がそれたようで、又軌道に戻して……。この法律案規定されておることは、航空輸送をする上において必要な条件、それと、やはりそれによるところの国民生活に与える安全性の維持という観点から、これらのことはすべて立案せられておるものであるということについては、質問するまでもたいと思うのでありますが、そういうようなものであるかどうかということと、それから大臣にお尋ねしたいことは、先ほどこれの立案に当つては、過去における航空機生産に携わつた者意見を聞いた上で立案をしたという御答弁でございましたが、今後の生産から運行に至るまでの航空行政一貫性と、それの監督を受けるものの立場として二重の監督を受けるということは、非常に不自由な、或いはそれに携わる者としてはなかなかむずかしい問題ができて来ると思うのであります。そういう点について、やはり今大臣としてそれらの一貫したところの監督をして行くということに対する必要性をお考えになつておるか。或いはそこに結論が行つておらんとすれば、監督を受ける者の意見というものをお聞きになることをお考えになつておるか。その点もう少しはつきりお聞かせ願いたいと思います。
  31. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 御指摘通り、すべて交通用具は、人命、財産に面接関係がある次第であります。自然その安全を確保するということが第一の要件であることは今更申上げるまでもないのであります。特に航空事業は高度の進歩を見まして、又本質上非常にスピーデイなものでありますが故に、一旦事故を発生した場合には誠に悲惨なる結果を来たすという次第であります。自然この航空行政最大眼目航空安全確保という点にあると確信をいたすものであります。で、航空の安全に対する責任が明確であるということが絶対必要であると思うのであります。言い換えますれば、生産、修理、検査運行というものはそれぞれ実は不可分に相連なる一連の航空行政として、一元的であることが最も望ましいと思うのであります。勿論観念的には生産運行とは区分し得るものでありますが、実際面におきましては両者は全く不可分な関係にあるのであります。本法案の各条文にも明記されておりまするごとく、例えば型式証明をするにつきましても、又最も必要な耐空証明というものを航空行政として発行する。そうして初めて運行の用に供し得るのであります。この型式証明は勿論のこと、耐空証明にしましても、ただ完成した飛行機だけを如何に検査しても耐空証明は自信を以てできないはずでありまして、生過過程における検査試験というものがこれは必要なんであります。もとよりこれらは型式証明に準拠して、生産工程においてそれぞれ試験或いは検査を要する次第であります。又部品につきましても、重要部品については同様のことが言い得る次第であります。そういうものを生産運行というものに区別して、ここに安全確保をするとか、或いはその安全性について一元的な責任行政上持つということは、実際面においては非常に困難なことであり、又至難だとも言い得るのであります。従いまして、昨年秋運輸省内に設けました航空法制定審議会においても、従つて生産から運行までを航空庁において行政責任を持つて一元的になすべきであるという結論が出て、実は三月の初め頃までにその審議会の決議に基いて法案ができた次第であります。で、その後諸般の情勢上、生産運行とを、つまり生産生産中の検査と区分する。そして生産通産省において監督して行く、行政を執つて行く。安全性検査試験等については運輸省責任を持つて処理する。こういうことに相なつた次第であります。とにかく本法案講和発効の日までに立案公布せられることが望ましくあつたのでありますが、国会の正規の期間最終日に辛うじてこの法案国会に提出し得たという次第であります。これは幾多の諸般事情もその間にあつた、変遷を経て来たということを意味しておる次第であります。私としましては、この生産過程におきまして、通産省当事者運輸省当事者と極めて緊密な協力態勢をとらなければ、この安全性確保し難いということを憂えておるのであります。是非とも両省関係当事者は緊密な努力をしてもらわなければならん、こう期待いたしておる次第であります。なお、生産者代表のかたも審議会委員に加えて、審議会案なるものは生産から運行まで一元的に航空庁において所管すべきものだという結論が出ておるのであります。その後最近に、御承知通り、一方は航空機製造法案が作られ、そして今お手許に差出してあります通りに、航空法案運輸省から提出したというような次第でありますから、又改めて事業管理について意見を徴するということも必要なことのように考えるのであります。要するに、今御指摘のごとく、責任が非常に不明確になる虞れがあるということも、もとよりでありまするが、航空機製造法におきましては、製造確認証であるとか或いは製造証明とかいうものを、航空機製造法に基いて通産大臣製造家に交付せられる。この交付を受けずしてこの運航業者に引渡すことは禁止されておるというような次第でありまして、自然業者立場から申しますると、安全性確保について責任を持つております運輸省との緊密な連携ももとより必要であり、又一方現在の法案に基いてこの航空機製造法案製造法になりました暁は、これに基いて製造確認とか或いは製造証明とかいうものをもらわなければ、注文の日に航空機を引渡すことができないというようなことになりまして、この点、製造業者としては二重の監督を受けることになる虞れが多分にあると思うのであります。こういうような点につきましても、一層両省当事者が緊密な連携を保持して協力態勢を確立して行かなければ、生産業者に与える支障はかなり大なるものがあると思つておる次第であります。
  32. 小酒井義男

    小酒井義男君 今大臣からの御答弁で、諸般事情でこういうふうになつたという説明を受けたのですが、私はどこの省がやろうということは、これは最もそれを担当するに適当な省がやることになればいいと思うのですが、若し二つのそうしたところで監督をして来た場合に、事故が発生したときに、その事故原因についてのやはり責任の所在がお互いに不明確にされるというような懸念がされるのじやないかと思うのです。航空庁長官はその専門的な御経験を持つておられるのですが、そうした二つの監督を受けて来て、その結果起つた事故というようなものは、機械的なものか、或いは部分的なものか、どちらの責任だというようなことが明確に区別でき得るものであるかどうか。そういう点についてお答えを願いたい。
  33. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 航空庁長官から又詳細なお答えをしてくれると思いまするが、今お手許で御審議を願つておりまする航空法が実施されましたならば、その責任は挙げて運輸省にあるのであります。全面的に責任を持つことに相成つております。又そういう心構えでおる次第であります。従いまして、航空機製造法に基いて処理せられる製造確認であるとか或いは製造証明とかいうものを通産省から御発行になつても、運輸省としましてはこの航空法に基いてみずから信念のある検査その他試験を行なつて行かなくてはならない次第であります。先刻申上げるように、製造業者としてはこの間に両方の監督を受けてすべて処理をして行かなければならないということに相成るのは止むを得ないと実は考えておるような次第であります。
  34. 大庭哲夫

    政府委員大庭哲夫君) 只今議題になりました通りに、航空機の生権と運行というものが二元的になつた場合、或いはよしんば生涯の血におきましてもそれが二元的になつた場合には、これは航空機の安全のためにはゆゆしき問題である。航空の安全と申すのはその責任の帰趨が明らかであつて初めて航空の安全を司つて行けるわけであります。責任の帰趨を明らかにするということが安全の根本問題じやないかと思う。いわゆる飛行機が事故を起してから、その安全がどうであつたか、どこに事故が起きたかということを調べるのは次の問題であります。安全と申すのは、飛行機を安全に飛ばして事故を起させないようにするということが積極的安全の問題であります。国家としましても、それに副うようにすべての行政機構或いは検査機関というものを一元的にこれを持つて行くことによつて、初めてその安全が確保されるものと、私たちは存じ上げているわけであります。今、大臣がら御説明を申しましたように、このたびの内閣の決裁によりますと、製造工程中におきましてその検査官は通産省の職員である。併しながらその任命或いはそれが日常やる仕事については運輸大臣監督指導を受ける。且つ又それが実施する検査要領、検査機構というものにつきましては、運輸大臣の決定する検査規則検査方法によつて検査を実施するということになつているわけでありまして、ただ組織上或いは成文上には一応の形態はなしているわけでありますが、その他の観点から申しまして、果して他庁の人間を、そういうような法規的な取締によつてこれを実施した暁において、果してうまく行くかどうかということは大きな疑問があり不安心な点であります。私たちは内閣できめられた一つの方針に基いて極力最善の努力を尽して行きたいとは存じているわけでありますが、問題は人的要素、人にかかつているわけであります。最初にいくら任命を連輸大臣に御相談を受けたにしても、その後のその人間の心的変化状況というものまではわらないわけであります。今後幾多の問題は派生して起きると存じているわけであります。航空の安全を確保する上において誠にこの問題は当局者として一つの大きな疑問に問われているわけであります。今も申しました通り、最善の努力は尽して行きたいと存じているわけであります。先ほどお話にありましたけれども、御質問があつた点につきまして大臣に補足して申しますと、私たちとしましては、航空法を設定するとき、従来の航空機製造事業など、或いはそれらを大部分指導していました学識経験者という中には、あらゆる角度においてそれらの十分お話を伺つて結論的に生産運行も一元的に持つて行くのが、今後の民間航空事業を興す、又それを世界の水準まで立上らすために唯一の方策である、方途であるという結論に達した。但し御承知のように、戦前も又特に戦争中には、製造業者の中に入つていた検査官というものは大部分が陸軍の検査官であり海軍の検査官であつた。軍人でありました。あらゆる権限を持つてそこに臨んでいたわけでありますが、御承知のように、民間航空機検査官と申すのは、戦前航空局の職員が終戦まで検査していたわけでありまして、それらに対する業者間の異論というものは起きていなかつたわけであります。ただ軍人がやつたその悪弊が現在まで残つていて、製造業者がいろいろ杞憂を感じていられるわけでありますが、そのときの航空局の職員においては、そういう面はなく、むしろ製造業者は、その技術の提携において、技術の発展において、むしろ航空局の検査官と相提携して一つの安全な飛行機を作り上げるというところにむしろ喜びさえ持つていたというのが、過去の実績であつたと、彼らは申しているわけであります。この点、軍人のいわゆる軍人が万能を持つて工場に臨んでいたというのと、航空局の職員はただ技術の面において検査をし且つ又それに協力をしていたというのと、そこに違いがあるわけであります。一つこの点は十分御認識をお願いしたいと存じている次第であります。
  35. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつとお諮りをいたします。運輸大臣は衆議院の委員会に呼ばれておりますので、運輸大臣に対する御質疑は後にして、只今野田国務大臣が見えておりますから、野田国務大臣に対して質疑を先にして頂きたいと思います。
  36. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 野田大臣は非常に御多忙のところ御出席をお願いして甚だ恐縮に存じます。御所管である行政機構に関連いたしまして、航空法航空機製造法等について御所見を承わりたいと思います。この行政機構の問題は吉田内閣の最も大きな眼目であると我々も考えておるわけでありますが、これが実施に当つては非常にあらゆる面において御困難な事情が発生する。或いは党の関係において、或いは国会関係においてその他行政機構の対象になる官僚等の関係においていろいろ厄介であろうということもよくわかります。ただ併し野田大臣は非常に信念の強いお方であると我々は信じておるのであります。毅然としてあらゆるものを排除して御決行にたるお方であろうと考えるわけであります。すでにそれぞれの法案も出ておるわけでありますが、大変失礼な質問でありまするけれども、先ず第一に私は大臣行政機構改革に対する眼目をどこに置いておられるかということについて御所見を承わりたいと考えます。
  37. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 今回の行政機構の改革のねらいは、御承知通りに我が国に行政機構が戦争中並びに戦後を通じましていろいろの事情のために複雑厖大化して参りまして、又必ずしも日本の国情に適合しないような形のものも生まれて来たわけであります。併しながら、いよいよ平和条約も成立いたしまして、日本が真の意味の独立国になつて初めから新らしいスタートを切るという事態に照らしまして、過去のいろいろな事情で出て来ました行政機構もありまして、幾多改変を必要とする面もあるのでありまして、この従来の行政機構に対しましてでき得る限りこれを簡素化する。複雑厖大になつておりますので、これをできるだけ簡素化して行きたい。そして責任関係も明白にいたしまして、筋の通つたしつかりした行政を行なつて行きたい、こういうふうに考えておるのでありまして、それにつきましては、いろいろな機構の改革の案が考えられておつたのでありますが、最近の実情というものを中心にいたしまして、先ず現在ではこの程度の行政機構が適当であるという程度のものを取上げて、今回のそれを実施せんとしておるのであります。
  38. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 只今の御答弁によつて、機構の簡素化によつて責任の明確化を期するのだと、その他人員の縮小、経費の減少、そういうことが目標になつてつておられるのだと、こういうことはよくわかりましたが、非常に厖大な行政機構の負担の中には、大臣の志と違つた結果を生んでおるものもあるのではないかという気持がするわけであります。例えば私のよく知つております自由党内部の関係或いは閣議等の関係或いは又省と省との縄張り等の関係において、不測の結果に陥つておるものもあるのではないかという気持がするのでありますが、只今の御答弁では十分行政簡素化によるところの趣旨を貫いておるという御明答はあると思うのですが、どうでしようか。
  39. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 行政機構の改革につきましては、今まで私が知つているだけでも殆んど十ぐらい近いようないろいろな案が今まですでに提出されております。こういうような案も十分参考にし、且つ又最近の一般の世論といいますか、そういうものにも注意を払いつつ、又各省の意見、それから政党の希望、そういうものを全部引つくるめまして、現在としてはこの程度の行政機構が適当であろうというような結論に達しておるわけであります。
  40. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 昭和二十七年の四月二十六日の持廻り閣議において決定しておるところの航空機生産の所管等に関する件、こういう書類の配布を受けておるわけでありますが、これは本当に昭和二十七年の四月二十六日に御決定になつたのでありましようか。
  41. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) お手許にお持ちのと私の持つておるのとは違うかも知れませんが、私の持つておりますのは一から七までの七つの項目に分かれております。恐らく同じかと思いますが、これが決定になつております。
  42. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 これは最初から大臣が御腹案になつたそのままのものが閣議において決定されておるのか、或いは又これが決定するまでに紆余曲折を経ておるのであるかどうか、そういう点について御答弁願いたい。
  43. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) この航空機生産の所管に関しましては、いろいろと官庁間におきましても或いはその他におきましてもいろいろな意見がありまして、相当長い間検討いたしておつたのでありますが、漸くまとまつたのであります。併しながら一方、航空法の提案というものをどうしても早くやらなければならんという事情に差迫りまして、何とか打開をしなければならないというその結果、閣議におきましてこの問題を閣僚の中の小委員会というものに付託されたものであります。私はその小委員会委員になりましてこの問題の解決に当つたわけであります。小委員三人を以て構成されておりましたが、私は行政管理庁長官をやつておる関係からいたしまして、私に案を作れというようなお話でありましたので、私はそれから一生懸命いろいろ各方面に折衝したり研究したりいたしまして、一応案を作りまして、そしてそれを小委員の方々並びに各方面の方方の意見を加えまして、お手許にあるような航空機生産の所管に関する件というようなものをお手許に配布したような次第であります。
  44. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 小委員の中には航空に関する所管の大臣も入つておるわけでありますか。これは入つておりませんか。
  45. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) これは通商産業省と運輸省との間に所管の問題でいろいろと議論があるところでありますので、直接の利害関係があるかたは入つて頂かないほうがいいだろうということで、小委員の中には加わつておられませんでした。
  46. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 結局いろいろな案が出て、その結果、こういうような閣議決定になつたわけなんですね。
  47. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) いろいろな意見がありましたが、それをいろいろ検討いたしましてそしてこれならばこの程度であれば或いは運輸大臣において或いは通産大臣において承服願えるだろうと考える案を作つたわけでございます。
  48. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 一通り私もこれは読んでおりますが、私ども頭が悪いのかどうか、どうもはつきりせぬ点が非常に多いのです。大変お手数でありますが、一から七まで具体的に御説明を願いたいと思います。
  49. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) それでは極く簡単に、私も大分前でありますから、或いは多く記憶はだんだん薄れて行くわけなんでありますが、  一、の航空機型式証明(又は型式承認)は、運輸大臣の所管とすること。但し、生産関係の重要事項については、通産大臣意見を徴すること。  これは航空機型式証明、どういうタイプの航空機を作ることを認めるかということにつきましては、これは飛行機を実際運営している方面のかたがそのことに対する所管をされればよろしいじやないかというような観点からいたしまして、このようにいたしたのであります。併しながら飛行機の生産につきましてどういうタイプの飛行機を作るといいましても、それが日本の現在の工場の生殖設備なり或いは原材料、生産能力といいますか、そういうものを無視して、或いはそれに余り注意を払わないでするのは、そのタイプが実際上生産を不可能とするというようなことになりますので、そういうような生産関係の重要事項については通産大臣意見を十分聞いてやつてもろうことにいたしまして、これは意見を徴するのでありまして、協議ではないのであります。協議になりますと共管みたいになりますから、意見を徴するということにいたしまして、これらの最後の責任はこの問題は運輸大臣にあるのだということにいたしまして、共管を避け、必要な程度において運輸大臣意見を十分聴取すると、こういうことにいたしたのであります。  第二点の航空機生産工場の生産施設に関する証明は、通産大臣がこれを行う。  いわば航空機生産工場の中の問題でありますので、この生産施設に関する証明というものが現在行われているかいないか、近い将来に行われるか行われないかということは、又別にいたしまして、こういうような種類の事柄については、こういうものがある場合におきましては通産大臣がこれを行うという範囲を明確にしたのであります。第三点の生産過程における検査については、(イ)生産技術検査通産大臣の所管とし、(ロ)安全性検査は、運輸大臣の所管とする。  この生産過程における検査の問題が先ず論点になつたのでありますが、これはいろいろと専門家の意見を聞き、いろいろと研究いたしておりまと、この検査を二色の種類に分け得るということになつてつたのであります。この(イ)に書いてあります生産技術検査は、或いは言葉を換えて申しますと、製造検査と言つてもいいのであります。製造の全過程においての検査でありまして、この問題につきましては通産大臣の所管とする。併しながら飛行機はその安全性を非常に重要視されるものでありますから、この安全性検査については飽くまでも運輸大臣責任を持つて頂くという意味におきまして、飛行機の生産過程における安全性検査はこれを運輸大臣の所管とすることに、こういうことに、はつきりいたしたのであります。安全性という点については飽くまで運輸大臣責任一本にするということを考えておるのでありまして、それが製造過程検査においてこういうふうに現われて来たというふうに御了承願いたいと思います。第四の前項(ロ)の検査は、(A)当該工場の従業員(運輸、通産両省共同にて行う検査試験に合格したる者)及び(B)通産省の職員(その任命については運輸大臣に協議することを要する。)に委託して行わしめる。検査は(A)が主としてこれに当り、(B)は極く少数とし極めて緊要なる検査のみをなすこと。検査規則検査標準等は運輸、通産共同の省令等にて厳密詳細に規定すること。  こういうふうになつております。これは安全性検査についてどういうやり方をするかということを規定したわけでありまして、これにつきましては、先ず任に当る人の問題でありますが、人は先ず原則といたしまして当該工場の従業員にやらせよう、部分の検査は従業員にやつてもらう。併しその従業員は重要な任務を行うのでありますから、運輸、通産共同で行う検査試験に合格した者である。それから次に通産省の職員の検査は全然やらないのかと申しますと、全部を当該工場の従業員に任せきりにするのも如何かと思われる現状でありますので、極くキー・ポイントについては職員も検査をすることができるという結論に達しましたので、どこの役人にさせるかということにつきましては、これは通産省の職員を使おう。併し通産省の職員であつても、これが安全性検査を担当するのでありますから、安全性検査というものは先ほど申しましたように、運輸大臣の所管とするというふうになつておりますから、身分的に申しましても、その人がこの職員になる場合には、通産大臣運輸大臣に十分協議して、これなら大丈夫だと運輸大臣が安心するような人を任命するということになりまして、この安全性検査自身につきましては先ず運輸大臣の指揮監督に服するということにいたしたのであります。現在今申しましたように大体二項に従業員にやらせることが建前でありまして、職員がやるということは極く少い、極く緊要な部分にしようと、こういうことにいたしまして、職員がたくさん工場内に入つて来まして、あれこれと口出しをすることを極力戒めて行きたいということであります。第三項は、この検査規則並び検査基準というものは、これは非常に大切なのでありまして、最近のアメリカの航空機生産工場の実情をいろいろ詳細に聞きましても、しつかりしたものを作りまして、それによつて検査員は殆んど機械的に検査をして行く。でありますから、検査員そのものはそんなに優秀じやなくても、この基準、検査標準というものはしつかりできておりますから、機械的にやつて十分成績が挙げられるということに、こういうふうになつておるということを聞いておるのであります。日本でも是非将来そうしたい。各国ともそういうふうになりつつあると思います。この検査規則とか検査基準というものは厳密詳細に規定したい。これは運輸省通産省において共同で以て省令とかその他について共同でよく相談して作つて頂きたい、こういうことであります。この検査運輸大臣の所管である。併し製造工場の所管は通産大臣が全面的な権限を持つておりますので、その間の調節に大変苦心をいたしまして、こういう検査方法をとることにいたしたのであります。  第五、の耐空証明は、運輸大臣の所管とすること。  これは殆んど問題ないように思うのでありまして、耐空の証明は運輸大臣にやらせる。  それから第六、の航空機の修理については、(イ)航空運送事業者又は航空機使用事業者の行う自家修理及びこれに準ずるものについては運輸大臣の所管とし、(ロ)航空機生産工場にて行うものは製造の場合に準ずる。  この(イ)は、例えば日航であるとかその他航空機を使用する事業者が自分の所で行う修理、これにつきましては運輸大臣が所管をする。又そういう事業者が集まつて作るような修理工場、例えば今具体的の計画といたしましては、日航とノース・ウエストが共同出資をいたしまして修理工場を羽田の飛行場に作るという計画があるのでありますが、若しそういうものができたときには、そういう工場における修理は運輸大臣の所管とするということを規定したのであります。それから(ロ)のほうは、航空機生産工場で行うものは、当然大規模な修理になると思いますが、そういうものにつきましては、製造の場合と同じように安全性検査運輸大臣の所管とすると、それから製造全体の検査通産大臣の所管とするというような、この製造の場合のあれが準用される、こういうことに相成るのであります。  それから七は、予備品証明は、製造の場合に準ずる。但し、同一品に対する第二回以後の証明は運輸大臣の所管とすること。  これは予備品については、御承知のようにプロペラであるとか、エンジンであるとか、予備品の証明は製造の場合と同じである。但し、飛行機のプロぺラ或いはエンジンというものは、一年間は型式証明はあるが、一年間経つてしまつてそれを使うという場合におきましては、もう一遍検査証明を受けなければならん。こういうものにつきましては運輸大臣の所管とするということにいたしたのであります。甚だ複雑なように見えますが、実際はそんなに複雑にしておらないのでありまして製造工場につきましては製造工場の所管大臣である通産大臣というものの地位を或る程度認めまして、併しながらこの飛行機の安全性という点につきましては飽くまで運輸大臣責任としてそれを一貫しておるというところに、この裁定案の狙いがあるということを付加えておきたいと思うのであります。
  50. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 いろいろと細かい点についてお尋ねしたいところがありますが、重要な問題からお尋ねいたします。最も大きな問題は三、だろうと思うのでありますが、(イ)の生産技術の検査、いわゆる生産過程における通産大臣の所管として行われる生産技術の検査、これはどういう過程においてどういう技術的検査をやられるのであるか、少しく詳細に御説明を願いたい。
  51. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 私は専門家でありませんが、専門家の説明で見ますと、ダグラスD・C・3というものにつきましては、体の構造を除きまして五百万のピースから成つておるということを聞きます。非常に複雑でいろいろなものを継ぎ合していると思いますが、製造検査というものは、その全体について検査をすれば、例えば設計通りつておるか、品質がいいかどうかということを専門について検査する。それは通産大臣がやるということになつております。こういう意味合いであります。
  52. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 次に、この生産過程における検査にいたしましても、完成した暁における検査にいたしましても、安全の問題だと思うわけであります。結局安全に飛行機が飛ぶことができるということに帰着すると思うわけでありますが、(イ)の場合、生産技術の検査と安全技術の安全性検査というようなものが同時に行われるものであろうか、或いはこれは全然別に小竹われるものでありますか。
  53. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 生産技術検査と製造検査考えを異にしておりまして、製造検査というのは、それは設計通りつておるかどうか、製造技術の粋を集めておるかどうか、或いは能力がいいかどうかといういろいろな点から見るものでありまして、安全性というものは、その飛行機が安全であるかどうかということを中心に見るのでありまして、必ずしも同じではないと思うのであります。勿論重なつて来るものがあると思うのであります。製造検査は全般的な検査になります。ところが安全性というものは全部を見る必要はないのでありまして、例えばこの議会の議事堂なら、これを耐震、耐火という点において見るならば、建物全部を見る必要はないのでありまして、耐震、耐火という点から、部分的に、これとこれとを押えて行けば、果してこれは耐震であるか耐火であるかということはわかる。建築検査でありますと、この建物全体のあらゆるところを見なければならんと、こういうふうになつて来るのでありまして、その範囲に、勿論相当重複しますけれども、その深さにおきましても、製造検査の場合とそれから安全の検査の場合におきましては、例えばプロペラ、エンジンその他の計器にいたしましても、或いは胴体と羽とのつなぎ目の安全性という点からいたしまして非常に深く入つて行きまして、かなり深刻な検査をせなければならん。安全性の極端な場合が破壊検査です。これも全部破壊できないから、サンプリングによる破壊検査というものが私はこの安全性検査の基礎になると、こういうふうに考えますが、この製造検査につきましては、そこまで深刻にやるかどうかという点は問題であります。むしろ安全性検査に任せるべきである。こういうふうに考えまして、部分的に飛行機の安A性という点だけを考えますと、飛行機はいろいろな何百万のピースで成つておりますから、見るべき点は徹底的に見なければならない。こういう点において検査性質が相当違つて来る。こういうふうに考えられるのであります。
  54. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 生産過程における生産技術の検査が仮に通過したといたしましても、安全性検査においてこれが通過しないという場合もあり得ると思うのですが、そういう場合は、この所管別によつて運輸大臣は更に安全性検査に合格するまでこれはやはり直させるということもあり得るわけでありますね。
  55. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 安全性検査運輸大臣の所管でおりまして、これではいかんとなれば、当然やはり試験に合格するまでやり直すとかその他の方法を講じなければならんと思います。
  56. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そういう場合には、形式の問題としてはどういうふうなことになるのですか。運輸大臣から通産大臣に対して具体的にこれこれの点が非常に不完全であるというようなことを相談をするのですか。
  57. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) それは、私は、直接に運輸大臣が権限を持つておるのであるから、一つ一つ通産大臣に相談するという問題ではない。生産検査を受けるのは工場でありますが、検査をする人は通産省の職員がやるわけであります。勿論通産省の職員は、その仕事の執行については運輸大臣の指揮監督に服するのでありますから、(イ)の通産大臣に相談をしてとか何とかいう問題ではない。
  58. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今、私の質問が悪かつたのか御答弁の要領がよくわからなかつたのでありますが、いわゆる生産過程における安全検査であるとか或いは生産過程におけるところの技術検査であるが、その所管がおのおの分れている。(イ)のほうは通産大臣であり、(ロ)のほうは運輸大臣であるから、その結果において、結局技術検査というものが通過しておつても、安全検査がだめだということになるならば、やはり所管の上から他の大臣に対して折衝すべきものじやないのですか。
  59. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) それは私は通産大臣の一般的な製造検査がよくても、揃つておりましても、運輸大臣のほうの安全性検査というものが、先ほど申しましたように安全性検査というものは非常に深刻な深い検査でありますから、徹底的な検査でありますから、その点から見て、いけないということであればやり直す、こういうふうに定めております。
  60. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると、生産者が製造する過程において安全検査に通らなければだめだということになるのですか。今の御答弁によると、安全検査を深くやられると言われますが、私のほうではやはり技術検査も深いものでなければならんと思う。技術検査に合格するものは安全検査に合格する程度のものでなければいかんのじやないかと思うのです。それで、一つ法案を作るときに、技術検査のほうは安全検査よりも軽く見ておられるという感じがするわけです。仮に安全検査に通らないという場合にはこれは通らないぞというだけでいいわけですね。
  61. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) これは勿論安全性検査に通らないという結果になるから、安全性検査に通らない場合には適当な措置が当然とられなければならんと思います。
  62. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私は素人だからよくわかりませんが、製造の過程において安全検査に通らないぞというならば、改めて安全検査に通るような方法をとるべきものじやないのですか。通らないぞと言えばそれでいいのですか。
  63. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) それは当然だと思います。そういうものは技術的の問題で、そういう複雑な過程は当然自分の権限でおやりになるのですから、……。
  64. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 技術検査、これは通産大臣の権限で、安全検査だけが運輸大臣の権限だから、私が今お聞きするのは、技術検査と同時に、安全検査に通らない場合に、運輸大臣は自分の権限においてこれは通らないぞと言いつぱなしでいいのかどうか。過程において通るように何か適当な方法を講ずべきものじやないか。
  65. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) それは当然検査に通らなければ飛行機ができないのでありますから、工場としてやはり試験に合格しないならば、どこが悪いのか直さなければならない。
  66. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 その間の手続はどうするのですか。
  67. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) これはもう具体的な工場の中のことですから、適当にやると思います。
  68. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 所管の問題だと私は思うのです。はつきり所管が、技術検査通産大臣、安全検査運輸大臣と分れておるから、同一工場内のことだとは言えないのじやないか。権限が違うから……。
  69. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 権限が違うかも知れませんが、ほかの場合でもやはりいろいろな過程からみて、こちらから見たりあちらから見たりする場合である。その場合に片一方の検査が通つても片一方の検査が通らないということがあります。通らない場合にはどうしてもこれを直して通らせるということになると思います。
  70. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 第四項の(ロ)の条であります。検査を行う工場の従業員はどういう工場の従業員ということになるわけですか。従業員のどういう人たちがこれは従事するのか。なお検査試験に合格したものであるということにこれはなつておるかどうか。検査員の資格というものはどういう程度の試験をするのか。或いはどういう範囲の工場員が試験を受けることができるのか。そうしてその試験は誰がするのかというようなことを、これは規則ができるのでありましようか。一応この際承わつておきたい。
  71. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) それは閣議決定では……そういう細かいことは事務当局で御研究になればわかることでありますので、そういう細かいことは事務当局にお任せいたしまして、根本の方針というものを決定したわけであります。この文句をきめますときには、各省の人を呼んで、法制局も入りましてきめております。細かいことにつきましては私がいろいろ申上げるよりも、こういうものを担当しておられる行政官庁であれば相当おわかりであるから、私に細かい内容まで入つて説明しろと言われても、そこまでは閣議決定しておつたわけではありませんので、あとは所管大臣責任を持つてつてもらう、こういうふうになつておるわけであります。
  72. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 勿論これは誰が検査をするということが根本なんです。検査が不十分で、例えば技術検査でも安全検査でも不十分であれば許可にならない。だから、どういう程度の試験で、どういう程度の検査をするかということが根本問題になつて来ると思うのですが。
  73. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) それは勿論根本でありますけれども、そういう技術的なことは、この規定を作るときにはそういう技術的なことがわからなければできんことだから、そういう詳しいことは、どういう試験でどういう科目をするかということは、これは行政管理庁長官である普通の閣僚ではわからない。そういうことは、所管大臣がそこにおられますので、この精神に即応して各所管大臣で以て詳しくおきめになるということでありまして、細かいことは各省大臣でやる、こういう趣旨だということを申上げておきます。
  74. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そこで前に返りますが、この航空法制定の問題、或いは航空機製造の問題について小委員会を設けられた、その小委員の連中に所管大臣は入つていないわけですね。いや、これは当然この問題に触れられたと思いますが、検査ということが根本である。如何にして安全性を保つかということはこれは根本だと思うのです。所管大臣がこれに参加していないということは、又その後において十分に協議をされなかつたということは、今日大きな問題になつておるのじやないかと思うのです。
  75. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 誤解がありますから……これはこの閣議決定を小委員会できめますけれども、承認の場合には各大臣全部寄つて通産大臣運輸大臣もその席においてこれを承認しておられる。従つてそれをどうなさるかということは、むしろ運輸大臣通産大臣責任においておきめになる、こういうことになつております。
  76. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 理論としては一応あなたの言われる通りであるかも知れない。併し実際問題としてはこれは今日大きな問題になつておる。衆議院の委員会においても恐らくこういう質問が出ておるだろうと思います。衆議院においても参議院においても、或いは通産当局、運輸当局においても、大きな問題になつておる。大きな波紋を巻き起しつつあるわけです。私はやはり運輸大臣通産大臣にこの問題について十分に協議されなかつたということが今日の禍根を招来しておる原因じやないかと思うのです。それで小委員会という偏頗なものを作られて、曲りなりにもこういうものを作られたけれども、結果においては非常にまずいものになつたという気持がするので、なぜ私はそのときに若し所管大臣が入らなかつたならば、その後において十分にこれらの問題について御協議をなされなかつたか。この問題について券に協議をされなかつたということは非常におかしいと思う。
  77. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) これは私は少し意見を異にするのでありまして、これは大体のことをきめておるのでありまして、これは閣議ではお互いに所管大臣というものがありまして、その所管大臣が参画してこれは最後的に閣議できまるのでありますから、お引受になるという場合には、これでやれるという自信があつてお引受になるのですから、共同してやるという、詳しいことは省令をきめるとかその元の規則をどうするかということは、所管大臣責任を持つてやれるのでありまして、それは私は責任を持つて所管大臣がやられる、こういう建前になつておる。そこを一つ十分御了承を願いたいと思います。
  78. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 閣議では非常にいやでも或いは圧迫を受けてしぶしぶ承認する場合もあり得ると思います。今日所管大臣が全面的にこれを承認しているとは考えられない。先ほど運輸大臣の御答弁を速記をお読みになつてもわかりますが、これは明らかに閣議決定に何か無理があるのではないか。行政機構の改革の目的からいつて、当然行政簡素化は責任の明確化である。そうして人員を縮小して局部の負担を軽減するにあるのだ、こういう御答弁なつた。その通りである。この航空法或いは又航空機製造法を見ると、これが責任の明確にはならない。むしろこれはその責任を回避をする一つ法律になつてしまうかも知れないと思われるのであります。私どもは、この航空機事故というものは単に機械或いは人だけ物だけによつて起るものとは考えない。それらの点について、航空機の事故は、この前三原山の府政もありましたが、そういう事故はどういうふうにして起るか。単に人の問題だけであると考えておるか。機械或いは物その他の関連性によつて事故になつておるのではないか。それらの点について一つ御所見を承わつておきたい。
  79. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 私は航空機の所管ではありませんので、一般的に申上げるので、ただこの閣議決定をしたときの起草に当つたということでありますから、その間の詳しいことは、所管大臣がおられますから、その人からやつて頂ければ紛更を来たさないと思います。この間の三原山の飛行機のことにつきましては私は調べておりませんから、私がとやかく申上げるよりも、これは運輸大臣がお答えになるほうが間違いないと思います。
  80. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 あなたは最初に、行政機構の簡素化は責任の明確化にあると、こういうことをおつしやるから、無論その通りである。それならば、これを各方面から錯綜したような、責任の所在がどこにあるかわからないような法律制定では非常に困ると、私けそういう意味のことを言つておる。だから責任の明確化ということは、一省或いは二省にまたがるよりも、一省に全責任を持たして、そうしてすべての検査航空機のすべてのことを一元的にやることが本当にいいのじやないか。これが航空機の安全を保たせる最大のものじやないかと、こういうことを私は質問している。この点について御答弁願いたい。
  81. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 今の点は私もよくわかつたのでありますが、これは責任の明確化ということは当然やらなければならない大きな命題でありますが、同時に政府考え方としては、製造工場というものはこれは通産大臣の所管であるという原則から、行政組織上行政を分担する建前からいたしまして、製造工場は通産省である、こういう考え方を持つております。運営関係は運輸当局という一つの大きな線がありますから、ここにおきまして飛行機の安全性という観点から責任の明確化を貫くにはどうしたらいいかという観点から研究した結論が、只今御披露いたしまし光閣議決定になつたと、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  82. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 これを二元的に監督するということになりますと、一元的に監督するよりもずつと安全性その他において弱くなるとお考えにはならないでしようか。
  83. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 私は、この制度を運輸大臣が通じて責任を持つておやりになれば弱くなることはないと、そういうふうに考えております。
  84. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 最近の新聞に、保安庁で自衛のために航空機を使用するということが伝えられておるのです。その点について大臣は御承知でしようか。
  85. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) この問題は保安庁の関係のことでありますから、保安庁から御説明してもらつたほうがいいと思います。
  86. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 閣僚の一人としてあなたは御承知かどうかということです。
  87. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 私よく存じません。
  88. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 恐らく新聞にああいうふうにあるのだから、一応そういうことになるだろうと思うのです。そういうことになると、結局航空というものに対して一体二元的であるものが更に三元的になるかも知れないというようなことを我々非常に恐れるわけなんです。むしろこれを従来の、今は通産、運輸にまたがつたわけでありますが、更に保安庁で自衛のために航空機を使うということになると、三つになる。これを統一して或いは内閣の庁とか或いは局というようなものに置き換えることが非常に効果的であると私は考えるのでありますが、そういう点について大臣は御研究になつたことはないのですか。
  89. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 只今の御質問の点は勿論これを研究する場合にはいろいろな点を考えました。現在並びに将来のことを考えたのでありますが、余りに将来のことを考えますと、今日の制度を作る点から非常に問題が起つて来ますので、私はそれに余り触れたくないのでありますが、試みに戦前日本の姿はどうであつたかということになりますと、御承知のように軍需省というところで航空兵器総局というのがありまして一元的にやつておりました。そこで全部検査をして皆軍需省が責任を持つてつた。そのときに安全性耐空証明などどこで出したかというのでありますが、これは別のところで出しておりました。航空機工場のことは全部軍需省で一元的にやつてつたと私は聞いておる。これも一つ考え方だと思います。
  90. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 軍国主義時代と今日では非常に違うと思います。飛行機について大臣にとやかくお伺いすることも或いは行き過ぎであるかと思うのでありますけれども、この航空局というものはこれは今漸く発足したばかりである。どうしてもこれは世界的な水準まで持つて行かなければならない。これについては相当に同家がこれを補助し指導し助成して行かなければならんと思うわけでありますが、これらの点について閣議その他の関係において御研究になつたことがあつたでしようか、どうでしようか。
  91. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 速記を停止して頂きたいと思います。
  92. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をとめて。    〔速記中止
  93. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をつけて。
  94. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 結局私の質問は、根本の問題は行政機構についてお伺いしておるわけであります。これは複雑微妙であるから、もう今日においてはこういうふうな制度をとるが、将来のことはわからないという御答弁であれば、これはいつ頃までこれを、若しこの法律が通過してやられるかということを、仔細に聞かなければならんということになつて来ますが、それは今は私はもう詳しく申上げませんが、大臣の頭にはピンと来ていると思います。運輸省においても、或いは衆議院においても、参議院においても、大きな問題になつておる。二元的にやるということがむしろこの法律の逆効果を来たすだろうと私は考える。それはそういうことはないと断言なさるかも知れないけれども、恐らくそういうことになるのではないかということを我々は非常に心配しておる。ですから、委員会においてもわざわざあなたの御出席を願つて、そして検討しておるわけです。運輸大臣としても又従来数回に亘つて質疑を重ねて、その間、運輸大臣意見というものは大体においてキャツチしておるわけであります。その問、大臣運輸大臣との御意見の中には相当に相違があると私は思う。今日の問題においてもこれは相当明確なものがあるわけです。法律が通ればこれは運輸大臣責任として責任も負うが、その間に非常な不安があるというような気持は、私どもは認めるわけなんであります。それでは私ども委員として非常に困るから、どうしてもこれは安心して当局がやつて行かれるようにするには、これを一元化する必要があるんじやないかということが、今日おいでを願つた目的なんです。ですから、通り一遍のやりとりでなくして、日本航空機行政が漸く生れ変つて発足したばかりなんです。これを育てて行くことについては、少くとも世界の標準にまで持つて行くについては、これからお互いに研究もしなければならんし、或いは国家的な政策も考えなければならんし、運用も考えなければならんわけである。それでいろいろな質問をしたわけですが、最後にもう一つお聞きしたいことは、この閣議決定というものは、無論これは法案になつて現われて、国会において自由に修正もできれば否決もできる。できるわけでありますが、併し法案の中には、どうしても通したい、このまま持つて行きたいというものもあるわけであります。今政府でやつておられる破防法の問題、或いは行政機構の問題、これはどうしても通さなければならない。或いは否決してもいいというような問題もある。この航空法或いは航空機製造法というものも、当然これはこのままで通さなければならないという堅い御決意を持つておられるかどうかということを、最後にお伺いしておきたい。これはまあ非常にお急ぎになることはわかります。非常に私どもも急いでおるのであります。ただ問題は、これをこのまま通すということは非常に問題だと思うのであります。政府のお考えはどうしてもこのまま通さなければならんというお考えなのかどうか。そういうお考えなら通さぬこともないか、ざつくばらんのお話としてお聞きしておるわけなんです。
  95. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 航空法の必要なことは、ここにいられる委員は私よりよく御承知と思います。政府もその点、非常に急ぎまして、それは講和条約が発効する前にこの法律案を非常に急いで提案したわけでありますが、政府としては是非この法律を成立させたいと、こういう意図を持つておるのであります。
  96. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それはいろいろ事情があるでしようけれども、ただ問題はこれをこのまま通すかどうかということは非常に問題だと思うのです。政府のお考えとしてはどうしてもこのまま通さなければならんというお考えなのかどうかということを、ざつくばらんな御意見としてお聞きしておるわけなんです。
  97. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 本案につきましては十分政府部内で討議を尽して出したものでありますから、原案で成立するということを切に願つております。
  98. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この法律が通過して、そうして極めて円滑に両省の間で運営ができるということは、私は非常に期待しておる。それから又航空の発達に支障を来すようなことがあるのではないかという気持がするのですが、ですから、私はもう一遍こういうものを引つくるめて一元的なものにして出し直してもらいたいという気持を持つておるわけです。それは政府としてはやらないでしようが。そういう強い気持を持つておるということは十分に御了承になる必要があると思うのです。恐らく近い将来にこれは二元的にも三元的にもなることによつて、そういうことが必ず起るから、そういうことのないように我々心を砕いておるわけなんです。その点は十分に御了承を願いたいと思います。大分私だけで時間をとりましたから、一応私の質問はこれで終ります。
  99. 小酒井義男

    小酒井義男君 簡単なことを一、二点お尋ねしたいのですが、行政機構を改正せられるについていろいろ御研究になつたのでしようが、航空機生産というような問題について諸外国ではどういう役所でこれを担当してやつておるかということについて、何か御研究になつた結果がありましたら承わりたいと思います。
  100. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 私は外国のことは一応調べましたが、今確かな記憶はありません。アメリカでは商務省に航空局があつて、そこでやつております。丁度日本通産省とあれと一結になつてつておる。航空局が一緒になつておるので、そういう問題が非常に少いと聞いております。
  101. 小酒井義男

    小酒井義男君 航空機などは御説明なつ通りに非常にたくさんの部品が集つてでき上つておるので、その生産過程では一応検査を通つても、それが安全検査を行なつたのちに使用する過程で事故が起つたと、而も検査するときは一応それで検査は通つたのであるが、使用する時間的な使用年度を経過して故障の起り得るというような場合があると思うのです。生産技術検査過程において原因がすでにあつたものが、のちにおいて事故の原因になるという場合があると、私はこういう飛行機の場合にはあると思うのですが、それに対して全部運輸大臣責任を持つということは非常にどうかと思うのです。例えばこの安全検査をするまでを一つの役所が担当して、そしてこれで大丈夫となれば使つてもいいという責任を持つて、今度は別の使うほうがその飛行機を運行して行くというようなことは考えられなかつたか。
  102. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) お話のような考え方もあるわけであります。ざつくばらんに申しますと、通産省の管轄からすればそういう考え方になる。作るまでは通産省責任を持つ、作つてしまつてからは運輸省責任を持つ、こういう考え方もあるわけです。併し飛行機ができ上つてからもいろいろな欠点があるわけでありますから、製造の過程において十分な検査をしなければ、飛行機はこれで大丈夫だという耐空証明が出せないというわけですから、そこで問題は、工場内の安全性検査ということにさかのぼつて来るわけでありますが、こういうところに非常にむずかしい問題があつてこういう考え方になつたと、こういう点を御了承願いたいと思います。
  103. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) その他御質疑ございませんか。
  104. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 最後にちよつと申上げておきたいのですが、この問題の処理につきましては、政府部内といたしましては、どうしても運輸省通産省とは緊密な連絡をとつてつてもらわなければいかん。それをこういう対抗的な気持でこれを運営されますと私は非常にいけないと思います。各省が一緒になつてつて行こうという気持があればそうむずかしくはない。それぞれしつかりやつてもらえば御心配になる点は十分除けるのじやないか。これは又是非やつてもらいたい。こういうように村上さんにも高橋さんにもお願いしておきます。
  105. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) その他御質疑ございませんか。  それでは多少時間が残つておりますから……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  106. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて下さい。   —————————————
  107. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは引続いて道路交通事業抵当法案議題といたします。本件について御質疑のあるかたは御質疑を願います。
  108. 小酒井義男

    小酒井義男君 発議者の一人なのですが、実施面について当局のほうに少し伺いたいと思います。例えば事業単位の認定をする場合、この法律によつて事業の一部分についての単位認定ということが可能であるかどうか。具体的に申しますと、二つの線を持つておる会社の一つの線路だけを事業単位として認定することができるかどうか。こういう場合に、車両を五十両なら五十両持つておる。その車両が両方の路線を使つておる。営業所或いは車庫も一カ所だというような場合、これはどういうふうにそれを設定して行くことになるのか。この取扱いについて一つつておきたい。
  109. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 事業が大きい場合は、事業全体を一括して財団にせずに、一部だけにして、後は将来の問題に残して置くということも考えられますので、一部分についても事業単位を認定することを考えなければいけないと思うのであります。ただ併しながら、財団抵当の趣旨より見まして、事業の細分化を防止しなければいけないという点と、当然、所属主義を貫く上で、物件が所属するということを明確にして置かなければいけない。こういう問題があるわけでございます。従いまして、事業単位を認定する場合には「事業が独立して運営され、且つ適当な右業規模を有する」と規定しておる。その適正なる基準としましては、我我現在考えておりますのは、第一に事業の当該部分の用に供する主要な自動車、主要な設備、車庫のようなものが、その他の部分に共用される恐れがないということが一つ考えられます。第二の基準としましては、事業の当該部分の路線又は事業区域が独立性を持つておるということが考えられます。第三に、事業の当該部分が通常の経営において採算が可能な規模であるということが考えられます。更に第四として、事業の当該部分が分離することによつて、当該事業に属する路線、事業区域或いは取扱い区域における輸送の事業に対して適切じやない状態が生ずる恐れがないというようなことが考えられます。このような基準で選定して認定しておけば、後で紛更を起すような問題は生じないと、かように思つておるわけであります。
  110. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に、事業単位を認定をするいろいろの基準がきめられておりますが、あれだけの基準でいいかどうか、あれだけの基準以外に後で何かそうしたものに必要な条件というものはお気附きになつておらんかどうか、この点について伺います。
  111. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 只今申上げましたような基準で慎重に具体的な事案を判断すれば、先ず事業の細分化を起したり、当然所属主義の観点から所属が不明になるという恐れはたいと思いますので、大体適当であろうと思つております。
  112. 小酒井義男

    小酒井義男君 明らかに基準に適応するような事業でもれば全部これは認定するのだということになるわけですか。
  113. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この法案の趣旨は、できるだけ金融の途をつけたいという趣旨でございますから、決して事案を阻害し妨げるという意思はありません。できるだけ簡便に認定し、できるだけ敏速簡易に金融の途をつけたいと思つております。
  114. 小酒井義男

    小酒井義男君 本法が制定された場合には、この事業財団抵当の認定申請が相当申出があるというふうに当局としてはお考えになつておりますか。
  115. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 旧自動車交通事業時代の自動車交通業財団では割に利用されなかつたのでありますけれども、その当時に事情をいろいろ参酌しますると、だんだんとこの制度が一般に知らされて来た頃に戦争その他で事業拡張の途がなくなつて来まして、事業を縮小する一方でありましたので、金融の必要が減少して来たために利用されなかつたのでありますが、最近は、自動車事業、通運事業は非常に拡充の一方でございますので、業界の要望は、一日も早くこの制度を成立してもらいたいという要望が非常に強いのでございます。又金融方面におきましても、このような制度をとれば、我我としてもできるだけ金融の途をつけて上げたいと申入れておるくらいでございますので、非常にこの制度の活用されるということを期待しておるのでございます。又旧制度に比べまして手続も簡易化をいろいろ考えておりますので、ますます活用の見込は強くなつておると思います。
  116. 小酒井義男

    小酒井義男君 只今の説明では相当利用者はあるだろうというのですが、運輸大臣が認定すれば直ちに金融の方途が講ぜられるかということと、若し一時に多くの申請がなされた場合があつても、それは大体無制限に申請に応ぜられるだけの金融の見通しがあるのかどうか伺います。
  117. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 運輸大臣は先ほど申上げるような基準によつて認定するだけでございまして、後は認定を取られた事業者が金融機関と交渉するというわけでございますから、その点について運輸省として確信を以て御回答できないのは残念に思います。併しながら事業の健全な発達を促進する運輸省といたしまして、できるだけ金融機関と、この方法によつて融資の途を講じて頂くように折衝なり或いは斡旋をいたしたいと思つております。現有におきましても、自動車運送事業及び通運事業の金融の方法を講ずることについて極力当つておるのでございますが、御承知のような資金難の折柄でありますので、十分な成果を挙げていないのを非常に残念に思います。併しながら最近大いに努力しておりますのは、開発銀行による政府資金の重点的な配分、これに自動車関係事業は特に取上げる業種として落ちておるのでございますけれども、いろいろと安本及び開発銀行のほうと最近打合せをしまして、何らかの追加をして行くということを今やつておるわけでございます。こういうように、政府資金の重点的な配分部門に追加して行くということになれば、資金の枠も相当とれるだろうと思います。又その他中小企業に対する一般の融資ということについても市中銀行にいろいろ斡旋をいたして行きたい、かように思つておりますので、今までよりも担保力が大きくなり、しつかりして来て、従来よりも、もつとこの業種に対して融資の方法がついて来るだろう、又そのように努力いたしたいと思つております。
  118. 小野哲

    小野哲君 今、話が出たのでありますが、私どもも関連してお伺いしておきたいのでありますが、中村自動車局長が尽力されておるということを伺つて、極めて適切なやり方であると、私ども敬意を表しているわけであります心こうした道路交通事業抵当法案ができたのも、設備資金等の長期資金の調達の円滑化を図つて行くということが目的でありますので、従つてこの道路交通事業抵当法が成立いたしました暁において、法律における制度は一歩前進するわけでありますが、実際上の金融の措置がこれに伴わないということになりますと、画龍点睛を欠くきらいがないとも限らないわけであります。一体、今開発銀行等と御折衝になり、又安本その他と御連絡をおとりになつて、陸運事業についてはどれくらいの政府の資金の融資の枠をお考えになつておられるか。この際、併せて伺つておきたいと思います。
  119. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 先ほど申しましたように、自動車運送事業及び通運事業に対する金融の方法としては、開発銀行による政府資金の融資という方法と、中小企業に対する見返資金の融資という道もあると思うのでありますが、後者につきましては市中銀行によることでありますので陸運局長が現地についていちいち御斡旋をしておるのでございまして、その効果も多少ずつ上つて来たように聞いております。前者の開発銀行による政府資金の問題でございますが、これは本年の二月閣議了解がございまして、それによつて政府資金を開発銀行を通じて融資する事業種別が指定されたのでございますが、その際には遺憾ながら陸連部門は、自動車と言わず、通運と言わず、或いは鉄道、私鉄関係が皆落されたのでございまして、この点は我々として非常に努力が足りなかつたのを残念に思うのでございますが、何とかこの事業の重要性に鑑みて融資の方法を付けたいと思いまして、目下安本及び開発銀行と折衝しておることは先ほど申上げた通りでございます。ところが何しろ資金の需要が非常に多いのに対して、開発銀行の運用すべき資金の枠が非常に少くて、そこに持つて来て更に業種を追加することは大変困難なことであるということで、実は折衝が難航しておりまするけれども、特に自動車運送事業については、何らかの方法で多少の枠をもらえるめどがついて来たことを喜んでおるわけであります。そのように非常に遅れていたしましたので、最初から大きな枠をとれるという見込みはちよつとないのでございますけれども、何とか少しでも枠をとつて、それを基礎にしてだんだんと認識して頂こうと思つて、目下折衝の段階でありまして具体的な数字を申上げるまでに至つていないのを残念に思います。勿論、政府資金の融資でございますから、何と申しますか、国際的に重要なものでなければなりませんので、一般の自動車運送事業或いは通運事業全体について融資するというのではなくて、そういう事業の中で特に資源開発上必要なものであるとか或いは他に交通機関がなくて唯一の交通手段である場合であるとか、或いは外貨獲得に非常に貢献するものであるとか、そういうふうに性格を限定しまして、それによつて選ばなければいけない、こういうことで現在具体的に各卒業者の内容を審査しておる、こういう段階でございます。
  120. 小野哲

    小野哲君 よくわかりましたが大体運輸省としては、通運事業なり或いは自動車運送事業に対してどの程度の資金の枠を獲得できればよいかと、多少希望的な観測も加えまして、どの程度の額をお考えになつておるのか。これが若し差支えなければお話頂きたいと思います。
  121. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 考え方によりまして非常に枠が大きくもなり少くもなるのでございますけれども、我々といたしまして、できるだけ厳重に査定いたしまして、なお且つ必要な額としては相当な額になるのでございます。何分にも事業事業種の数が非常に多いものでございますから、一専業当りは僅かでありましても、全体をまとめれば相当な額になります。大体考えておりますのは、バス事業のうち特に資金の便宜を図るべき事業者四十五業者について七億六千三百万円、それからハイヤー事業のうち外貨獲得その他に必要な八業者について見ますと一億三千五百万円、トラック事業五十業者について五億三千百万円、通運事業十五業者について七千七百万円、合計十五億七百万円ばかりがほしいと思うのでございます。併しながら更にこれを厳重に審査に審査を加えまして、開発銀行に対して政府資金の配分をお願いしたいと思つておりますのは、バスについて二億三千九百万円、トラック事業について九千二百万円、このくらいを査定に査定を加えても最小限度要ると考えております。
  122. 小野哲

    小野哲君 これらの査定をされる場合に、先ほどお話になりました厳格な基準によつておやりになることと思うのでありますが、大体各事業を総合いたしまして十五億円程度のものが運輸省としては何とか金融の円滑化を図りたい、こういうふうな考えのように受け取つたわけでございまして、金融の道に陸運事業が抜けておつたということは誠に遺憾千万なことで、是非運輸当局の格別な御尽力によつてこの措置が目的が達せられるように一層の御努力を要望いたしたいのであります。この道路交通事業抵当法案がこの委員会において議員提出として提案されて審議いたしておりますることは、金融との関連において重要性があるということについて雄弁に物語つておりますので、この法律が成立いたしまして実施されます場合におきましては、大蔵省の金融措置の裏付けと相待つて、これが十分に効果があるように、私どもは努力をしなければなりませんし、又それを非常に期待をいたしておるわけであります。それについて更に伺つておきたいことは、道路交通事業抵当法が実施されました場合において、例えば私鉄当局については主として日本興業銀行が主になつて世話をしておつたし、又現にしておるのじやたいかと思いますが、この道路交通事業抵当法が金融の方面からのみ制定を要望されておる点に鑑みまして、どこか長期信用の取扱いをするような特定の銀行が世話掛りになるということが、極めて業界に対しましても一つの安定感を与えるゆえんではないかと思うのでありますが、かような点についてどんなふうな御準備ができておりますか。実施面の問題として伺つておきたいと思います。
  123. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この法案運輸省としてもいろいろ希望いたしまして構想をねつておりました頃には、日本興業銀行のほうからもその専門のかたが来られて、立案の最初にいろいろと御意見を伺つておるのでございまして、興銀方面は非常に力を入れられておるのではないかと思います。併しながらその他の銀行に対して、どこか幹事役になつて、どういう呼びかけをし、どういう組織を作つて頂くというところまでは、まだ具体的に話は進んでおりませんけれども、御尤もなお示しだと思いますので、かような方法をいろいろ考えて、この法案を成立さして頂きましたならば、かような方法によつて是非促進いたしたいと思つております。
  124. 小野哲

    小野哲君 まだ多少よろしうございますか。
  125. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) はい、どうぞ。
  126. 小野哲

    小野哲君 それでは、道路交通専業抵当制度の確立と相待つて、現在運輸当局が非常に努力をされております金融措置の確立、これらが我が国における陸運事業の健全なる発達を促進することに相成ることを私どもは強く期待し、又及ばずながら努力もいたしたいと思つておるわけでありますが、ただ政府の意思として、これが強く国策的な効果を挙げて行くというためには、閣議決定その他の方法によつて陸運事業に対する金融措置を明らかにされることが必要ではないかと思うのでありますが、従来この問題につきましては政府自体として強い意思表示がなかつたように考えられますので、折角道路交通事業抵当制度を将来実施して行こうという矢先でもありますので、陸運事業の重要性に鑑みて、政府としての意思決定をするために閣議決定等の措置をとられるお考えがあり、女御研究をされておるか。勿論この点については運輸大臣に伺うべきことが至当であろうと思いますが、自動車局長としては、その当局者としてどのようなお考えを持つておられるか。あらかじめ御意見を伺つておきたいと思います。
  127. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自動車関係事業に対する金融の方策について閣議決定その他の明確な意思決定をすべきであるという御趣旨は誠に尤もだと思うのでございますが、未だにかような方策が確立していないのは誠に残念と思い、我々の力の足りないのを申訳けないと思つておるのでございます。ただこの事業は申すまでもなく非常に特殊な事業でありまして、中小企業と世間では一般に言われております事業に当るものが多いのでございますが、併しながらそれよりは少し規模が大きくなつてつておりますので、中小企業の仲間としては余り相手にされない。そうかと言つて、おのおのの事業が独立で自己の信用力で以て資金を調達するほどの力もない。勿論例外はございまして、特殊な日通運という会社でありますとか、或いはバス事業を兼業しておるところの大きな地方の鉄道軌道会社、或いは公共団体としての事業というものは、おのおの独自の信用力で金融面を開拓しておられますけれども、そういう特殊の例外を除けば、自己の信用力で独力で融資の確保するのもなかなかむずかしいという、いわば中ぶらりんな中間地帯に彷徨しておるような事業だという感じがするのでございます。そこで、とにかく政府の意思決定のときには、それは中小企業で行けばいいのじやないかというので、中小企業の枠に押込められまして、先ほど申したように中小企業の見返資金の中で中小企業の枠で金融をとりなさいと、こういうふうに持つて行かれたのでありまして、その点がどうも事業界全体をまとめてみますと非常に大きな力を持ち、重要な輸送を持つておるのでございますけれども、一つ一つ事業がさような中間的な状態にあるので、明確にされた姿が突き出て来ない、こういう感じがするのでございます。今後我々といたしましては、何とかこういう中小企業の枠に入れずに、陸運或いは自動車運送事業、通運事業独自の部門をはつきりと打出して、金融の道をつけるような方策を立てたいと、できるだけの努力をいたしたいと思つております。
  128. 小野哲

    小野哲君 伺いますが、時間の関係もありますので、なお、この法律案審議は続行になされますか、質疑はまだですか。
  129. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をとめて。    〔速記中止
  130. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記をつけて。
  131. 小野哲

    小野哲君 只今中村局長から非常に熱意のあるところを伺つて意を強くするものでありますが、段階はありますが、一つの特殊な事業形態をとつておるのであるし、而も全国的に一つのサービスを行なつておるような事業でありますので、単純な中小企業と同じような扱いをすることは適当でないということは私も同感であります。ただその場合において、政府がどの程度まで熱意を示して、この種事業の金融政策に努力をするかしないかというところに、業界の将来のあり方というものが相当左右せられて来るということを心配をいたしておりますので、只今の御答弁にあるそのお気持を持つて、今後とも一層の御努力を願うことを期待をし且つ要求をしておきたいと思います。なお、この道路交通抵当事業法の実施につきましてのいろいろの問題を政府当局の準備なりお心構えを聞きたいと思いますが、これは次の機会に譲るとして、本日は一応この程度でとどめておきたいと思います。
  132. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に御質問がなければ本日はこの程度で委員会を終りたいと思います。    午後四時二十二分散会