○国務
大臣(村上義一君)
只今お話の
通り、以前には
日本の特異性ある観光資源が大いに欧米人にアトラクシヨンであつたということもさることながら、お説のごとく
旅行費が比較的低廉であるということが非常な魅力であつたと私も思うのであります。然るに最近におきましては、それが全く逆転しておるということでありまするので、ニユーヨークを初めその他ツーリスト・マーケツトに
宣伝機関を設けて
外客誘致に当るということももとよりこれはやらんければなりませんが、
受入態勢がお説のごとく非常に欠点があるということは非常な問題だと思うのであります。過日も、これは特別のかただと思いますけれども、一日平均四十三ドルを要したということで、世界中で最も
日本が
旅行の費用の多く要る場所だというような説も聞いたのであります。これを是非とも安くするということがツーリスト
事業を盛んならしめて、貿易外の
收入を多からしめる、特にドルの獲得に貢献するという上において必要だと思うのであります。で、
旅行費が高いということは、今も部長が話しましたごとく、
日本に参る乘物の運賃が高いということも一つの
理由であると思うのであります。勿論遠隔の地でありますから、飛行機の運賃にしましても又船運賃にしましても高いというのはもとより当然でありまするが、併し当然という以上に今日高いというふうに感ずるのでありまして、これは先般ハワイで開かれました
旅行に関する国際会議におきましてもこの問題が取上げられたのでありまして、是非とも飛行機の運賃なり又船運賃というものの引下げを実現せしめたい。一方
日本内地におきましての自動車賃も又高いということを聞かされるのであります。勿論自動車の発達の
程度が
米国等に比較して雲泥の差があるということから生じておることに違いないのでありますが、これは自動車の発達と同時に道路の
整備ということにも力をいたして、内地
旅行中における自動車料金の低廉ということも是非実現せしめたいと念願しておる次第でありますが、最も主なる点は、やはり今御指摘になりましたように、ホテルが足りないということにあると思うのであります。而も大部分のツーリスト・ホテルが占拠せられまして、終
戰後にできたホテルはいずれも
建設費が高額であるということから胚胎しておると思うのでありますけれども、根本はやはりホテルが足りない。つまり需要に対して供給が少い。従つて何と申しますか、ホテル業者の勉強が足りないという点にあると思うのであります。御承知の
通り、相当ホテルの占拠も
解除せられつつあります。特に
運輸省としましては、ツーリスト・ポイント及びその順路におけるホテルの全面的な返還を外務省を通じて要望しておるような次第であります。大体において希望は達成せられるものと期待いたしておるのでありまして、ホテルの占領が
解除せられましたならば、大部分の
解除ができましたならば、自然宿泊料もノルマルな料金に
なつて行くというふうに考えておるのであります。
なお御指摘になりました税金でありまするが、固定資産税のごとき、終
戰後非常な高額な
建設費を投じてできたものに対して固定資産税が賦課される。勿論登録ホテルに対しましては、国際観光ホテルの
整備法にも不均一税の賦課を規定せられておりますので、十二、三県におきましては、大体半額
程度の固定資産税に
なつておりまするが、併しそれにしてもなお
経営者の負担は大きいのでありまして、ために宿泊料のコストに非常な
影響があることはもとよりであります。なお遊興飲食税も宿泊料に対して相当大きい
影響があることは明瞭でありまして、バイヤース・ホテルが今日まで無税であることは御承知の
通りであります。現在遊興を伴わざる飲食税に対しましては二割ということに
なつておりますが、これを一割に減らすということを今進めつつあるような次第であります。併し現在のところ、税法の改正につきましてはなおGHQの意向も尊重せんければならないのでありまして、なおこの交渉がどういうことに落着きますか、相当難航をしておるやに承知いたしておるような次第であります。いずれにしても、遊興飲食税を軽減する、又固定資産税の特別取扱をいたすということは、是非とも実現せしめたいと念願いたしておる次第であります。
なおガイドのお話がありましたが、これ又誠に御尤も至極でありまして、国語の違うという
関係上、今日一日千円というのが大体の相場のようであります。この千円の日給以外に、やはり宿泊料、運賃等もその雇主が拂わんければならんという実情にあるのでありまして、若し自動車の運転手がガイドも兼ねられる、昔東京あたりの見物、内地人の見物に対して人力車夫がガイドをした、案内をしたというような式に自動車の運転手自体がガイドもできるというようなことになりますれば、誠に旅費の軽減になると思いますが、これはちよつと望み得ないと思うのであります。どうしても
関係している従事員が盡力をするということ、更に
旅行慣れたツーリストならばガイドなしに歩けるという手引きを捕えることも極めて必要だと思うのでありまして、今
戰前にありましたオフイツシヤル・ガイドを改版しつつあるのであります。改版のために約二百万円の
経費を計上したことは御承知の
通りであります。本年末には是非出版いたしたいと考えているような次第であります。その他ツーリスト円を作るとか或いは又今後
建設せられるホテルの
資金に対しまして長期低利の融資を考慮するということももとより必要なことであると信じておりますが、併し見返
資金ももう微細に相成りまして、本
年度の分でも神戸のホテルは見返
資金の貸與ができましたが、今日名古屋におけるホテルの見返
資金は、まあ一旦きまつておつたものが又問題に
なつているというような実情に置かれてあるのであります。なお開発銀行等からの融資としましても、これは長期ではありまするが低利とは言えないのでありまして、のみならず一方において建築制限、これは特殊の
理由のために建築制限が行われているという現状でありまして、なかなか新たにホテルを作つて行くということは希望しても困難じやないかというふうに、特殊の方法を講ぜざる限りは困難ではないかと思つているのであります。むしろまあ占拠中のホテルを
解除、返還してもらいたいということに努力をすることが効果的だと考えて、その面に最善をいたしているような次第であります。