運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-20 第13回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十七年二月十八日(月曜日)委 員長指名で次の通り選任された。    主査 庄司 一郎君         甲木  保君  川端 佳夫君         鈴木 正文君  玉置  實君         中村  清君  早川  崇君         平川 篤雄君  岡  良一君         風早八十二君  石野 久男君     ————————————— 会議 昭和二十七年二月二十日(水曜日)     午後三時五分開議  出席分科員    主査 庄司 一郎君       甲木  保君    川端 佳夫君       首藤 新八君    玉置  實君       風早八十二君    石野 久男君    兼務 岡  良一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         文部政務次官  今村 忠助君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     小林 行雄君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (調査普及局         長)      久保田藤麿君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  分科員外出席者         人事院事務官         (給与局実施課         長)      藤巻  直君         大蔵事務官         (主計官)   岩動 道行君         予算委員会專門         員       小林幾次郎君     ————————————— 二月十九日  分科員岡良一辞任につき、その補欠として西  村榮一君が委員長指名分科員に選任された。 同月二十日  分科員鈴木正文君、早川崇君及び平川篤雄君辞  任につき、その補欠として首藤新八君、竹山祐  太郎君及び椎熊三郎君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員椎熊三郎辞任につき、その補欠として  早川崇君が委員長指名分科員に選任された。 同日  第二分科所属員岡良一君が本分科兼務なつた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計予算文部省所管     —————————————
  2. 庄司一郎

    庄司主査 ただいまより予算委員会第三分科会を開会いたします。  本分科会は、文部省所管厚生省所管及び労働省所管審議を進めることと相なつております。審議の都合上、本日の午後は文部省所管厚生省所管関係を進めたいと思います。明二十一日の午前は労働省所管の審査をいたしたいと存じます。右委員各位におかれまして御了承を願います。  これより文部省所管昭和二十七年度関係予算等に関し、恒例により天野文部大臣の御説明を一応聽取いたしたいと思います。天野文部大臣
  3. 天野貞祐

    天野国務大臣 昭和二十七年度文部省所管予算大要につきまして御説明申し上げます。  昭和二十七年度文部省所管予算額は三百五十二穂九千三百七十八万三千円でありまして、これを前年度予算額三百二十六億五千五百七十八万七千円に比較いたしますれば、二十六億三千七百九十九万六千円を増加いたしております。  次に昭和二十七年度予算額のうち重要な事項について申し述べたいと存じます。第一は、義務教育教科書無償配布に必要な経費であります。義務教育無償の原則を確立するため並びに国民的精神を培養するため小学校盲学校及び聾学校児童のうち、第一学年生約百五十五万七千人に対しまして、国語と算数の教科書無償で配布するため、教科書を買い上げるのに必要な経費三億六千四百五十三万六千円を全額国庫負担として、初等中等教育局に計上したのであります。  第二は、産業教育振興に必要な経費であります。産業教育振興法施行に伴いまして、経済自立に貢献する有為な国民を育成するため、産業教育振興をはかる必要がありますので、中央産業教育審議会運営費その他の本省事務費と、中学校及び高等学校研究指定校高等学校短期大学等設備費等の一部を地方公共団体補助するに必要な経費六億六千九百八十万四千円を、初等中等教育局に計上したのであります。なお本年度高等学校設備充実のための補助に最も重点を置くこととしたのであります。  第三は、育英事業の拡充に必要な経費であります。日本育英会法に基き、優秀であるが、経済的な理由によつて修学困難な学生生徒に学資を貸与する事業を行つております。日本育英会に対し、奨学資金を貸し付けるとともに、その事務費補助に必要な経費二十九穂五千九百十万二千円を、大学学術局に計上したのであります、なお貸付金の計算におきましては、大学学生学生総数の二〇%、約七万九千人、教育奨学生は六〇%、約二万七千人、高等学校生徒は三%、約五万三千人、その他特別奨学生等に対しまして育英資金を貸与することを予定し、また旧軍人遺家族援護の一対策として右のほかに約七千六百人の奨学生を採用することとしておるのであります。  第四は、学術振興に必要な経費であります。人文、自然両部門におきまして、不断に基礎的、応用的研究をつちかうため、研究者に重点的に交付または補助するに必要な経費五億六千万円を、民間学術研究機関等に対する補助に必要な経費六千六百万円を、外国より優秀な機械を購入いたしますための経費五千万円を、また国立大学等の有為な教官または研究員を海外に派遣留学させるための経費千八百五十八万円を、それぞれ大学学術局に計上したのであります。  第五は、オリンピック大会等選手派遣に必要な経費であります。本年六月、フィンランドにおきまして開催予定の、第十五回国際オリンピック大会及び本年度デヴイス杯争奪国際庭球試合に、それぞれ役員選手を派遣いたしますのに必要な旅費の一部を補助するための経費千七百万円を、社会教育局に計上したのであります。  第六は、博物館の助成に必要な経費であります。博物館法施行に伴いまして、公立薄物館の健全なる発達をはかるため、その設置運営に必要な事業費補助本省事務費とに必要な経費三百三十六万九千円を、社会教育局に計上したのであります。  第七は、私立学校振興会に対する出資に必要な経費であります。終戰後経済事情の変化に伴いまして、私立学校の経営はきわめて困難となつておりますので、その合理化の一助として私立つ学校に対して融資を行う機関設置し、これに対しまして出資するために必要な経費二億六千万円を、監理局に計上したのであります。これに関連いたしまして、別に私立学校振興会法案を今国会に提出するよう準備を進めております。  第八は、文教施設整備に必要な経費であります。戦災を受けました国立学校その他の建物復旧と、新学制の学年進行によつて緊急に必要な建物整備するための経費十三億三千五百十万円、六・三制中学校建物整備寒冷地中学校屋内体操場整備盲学校及び聾学校義務制学年進行による不足教室の補充、戦災を受けました公立高等学校及び公立大学建物復旧等公立文教施設整備に必要な経費三十八億六千二十七万七千円、昭和二十五年度及び昭和二十六年度に発生した台風等によりまして損害を受けました国立公立文教施設災害復旧に必要な経費二十一億八千七百四十万八千円を、それぞれ監理局に計上したのであります。  第九は、国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十一、国立高等学校八、大学附置研究所五十二、大学附属病院十九を維持管理いたしますのと、新たに北海道大学に獣医学部を、茨城大学に農学部を、岐阜大学に工学部を設置し、また小樽商科大学、福島大学及び千葉大学に夜間短期大学を創設する等の措置を講じますため必要な経費二百五億千九百三十四万六千円のうち、百五十二億七千七百六十八万六千円を国立学校に、十三億五百九十万四千円を大学附置研究所に、三十九億三千五百七十五万六千円を大学附属病院に計上したのであります。  第十は、文化財保存事業に必要な経費であります。文化財保存事業は、文化財保護法施行に伴いまして社会的関心を次第に高めつつありますが、その施策を講ずるに必要な経費五億六千三百二十一万七千円を、文化財保護委員会に計上したのであります。  なお、本年度京都市立博物館国立に移管し、奈良に新たに文化財研究所設置することとしたのであります。  このほか、ユネスコ国内委員会設置勤労青年学級開設、学徒の厚生援護現職教員、再教育講座開設通信教育実施教育文化統計調査教科用図書の改訂、発行、検定、中央教育審議会運営、その他文部行政及び学術振興上緊急敏くべからざる諸般の施策を講ずるため必要な経費を、それぞれ計上したのであります。  以上は文部省所管に屈する昭和二十七年度予算大要につきまして、御説明申上げた次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 庄司一郎

    庄司主査 ほかに文部当局におかれましては、文部大臣の一応の御説明に補足して述べたいというお方はありませんか——それではほかにないようでございますから通告順に従いまして質疑を進めたいと思います。玉置委員
  5. 玉置實

    玉置(實)委員 私は一、二の点につきまして文部当局へお尋ねをしたいと思うのであります。  ただいま問題になつております義務教育費国庫負担制度の問題でありますが、この点につきましては、文部当局におかれましても、おそらくまだ確定案が御決定になつておらないと思うのでありますが、文部省方面の御意見なり、あるいは大蔵省方面の御意見の調整につきまして、文部大臣といたしましてはどういうような御抱負を持つておられますか、概要の御説明をいただきたいと思うのであります。
  6. 天野貞祐

    天野国務大臣 御承知のように義務教育費は、究極においては国の責任において営むことでございますが、それが現在は義務教育費平衡交付金の中へ入つております。従つてこの義務教育費が、地方においてややもすれば道路とか水道とか、いろいろなそういう手近な仕事に用いられるというおそれがある。そのために義務教育費を何とか確保したいという考えは、長く私どもが持つて来た考えでございまして、それならどうしたらよいかということにつきまして、現在私ども考えておりますことは、全額国庫負担という考えもございますけれども、もし全額国庫負担にいたしますと、市町村関心が薄くなるというおそれがある。まだ経済力のある府県とない府県との間に不公平が生じて来る。富んでいても全額持ち、富まなくてもそうだということになつて、この点に不公平が起つて来る。半額にしますと、地方中央と持つということはあつても、そういう経済力というものに無関係になつて来るから、そこで経済力従つて地方が一部分を負担し、その負担額は現在負担しているくらいな額を負担し、残り中央から出すということにしてはどうかというような大体の構想をもつて目下研究をし、また関係の省と交渉をいたしておる次第であります。
  7. 玉置實

    玉置(實)委員 平衡交付金との関係につきまして、大臣は技術的にどういうふうになさるお考えを持つておられますか。
  8. 天野貞祐

    天野国務大臣 それは平衡交付金の中においてひもをつけるということを従来は考えて来たのですけれども、そうではなく、このたびは平衡交付金の中から取出して義務教育費としよう、そうしてその額は、ただいま申したように、現在地方が持つているくらい地方が出し、残り中央が出す。もしもう少しくわしいことが御必要でしたら事務当局から説明させます。
  9. 玉置實

    玉置(實)委員 事務当局の御説明を、ごく簡単でけつこうでございますから、お願いいたします。
  10. 田中義男

    田中政府委員 一応平衡交付金からはずしまして、そうして別途の法律によつてこれをまかなうようにいたしたい、かように考えまして、その判定その他につきましては、まず教員の数を学級数等をもとにいたしましてこれを算定いたします。それには一学級についてあるいは一人、その他いろいろ養護教諭とかあるいは欠勤、その他の関係もありますので、その率は一五くらいになろうかと思つております。そういうふうにいたしまして、まず教員の数を算定いたしまして、その数によりまして、一定単価によりまして、教員給与算出いたします。なお経常費につきましては、従来の統計もとに、なおまた最近行いました実態調査に基きまして、ある程度の率を算定いたしまして、それをもつて一応経常費算出をいたすわけでございます。なおまた学校建築費につきましても、大体一学級当りの坪数をおよそ私どもは四十五坪にいたしたいと考えておりまするが、その標準をきめまして、その坪当り単価を出し、それをある年限の償却と見まして、そうして学級当り建築費を計算いたしたい、かように考えまして準備をいたしておるのであります。なお地方負担額につきましては、一応都道府県につきましては大体所得税をとりますのが最も適当かと考えまして、それに対する一定の率、なおまた市町村におきましては、固定資産評価額基準にとりまして、それに対する一定の率をもつて、大体地方の適当なる負担額とする。かような算出をいたしたいと考えております。それらのもと最低義務教育費算定方法法律できめまして、その一部を各地方公共団体財政能力に応じて負担する。その残りの全部を国が負担をし、そうして終局的には義務教育財政面保障を国家がしよう、かように考えまして、いろいろ詳細な点について目下検討をいたしておるのでございます。
  11. 玉置實

    玉置(實)委員 大体の御構想を承りまして、ただいま大臣から御説明がございました全額国庫負担にするのがよいのか、あるいはある程度地方公共団体にも責任負担させまして、国と公共団体両者もとに、義務教育財源を確保して行く、こういう構想の方がよいのか、これは今後まだ検討を要すると思いますが、一応文部大臣の御説明にございましたような御構想でもけつこうでありまするが、でき得ますならば、これは二十七年度からでも開始をしていただきたい、こういうふうに念願する次第でありまするが、この見通しにつきまして、大臣はどういう御見解をお持ちでございましようか。
  12. 天野貞祐

    天野国務大臣 これがもし法律として成立をいたしますれば、私は二十七年度からでもできるという考えであります。
  13. 玉置實

    玉置(實)委員 義務教育費の問題につきましてはその程度にいたしまして、あと一点大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。文教振興上におきまして、社会教育が占める地位は相当今後東かつ大なるものがあると思うのでありまするが、とかく社会教育はなおざりにされる懸念が多いようであります。大臣は最近の青年層あるいは婦人層の思想的な動きに対しまして、社会教育上どんな構想をもつて将来おやりになる御見解を持つておられますか、この点をお伺いしたいと思います。
  14. 天野貞祐

    天野国務大臣 今お説の通り、私も社会局仕事というのは非常に重大だと思つております。それに対して今文部省社会局は非常に貧弱だ、これではほんとうに十分な仕事はしにくいと思つております。さしあたり青年学級なんかも、こんなに貧弱な予算ではとうていしかたがないのであつて公民館でも、いつも同じ予算でもつて数が増して行くということではいけないので、そういうことについても、できることなら来二十八年度においては、大拡張をしなければならないというふうに考えております。
  15. 玉置實

    玉置(實)委員 いなかの方に参りますと、青年層婦人層の思想的な動向といたしましては、とかくよりどころがない。文部大臣の一応の素案と申しますか、日本をいかに持つて行くかというような思想的な基準につきまして、御見解発言があつたようでありますが、とにかく青年層なり婦人層が、今後の日本をいかなる方向に持つて行くか、つまり昔のような、たとえば教育勅語のごとき指導理念が現在は全然ない。ここに私たちは非常な不安と懸念を持つのでありますが、でき得ますならば、社会教育の一端といたしまして、特に農村方面において集団的な善導をする施設がほしいのではなかろうか、こういうふうに特に痛感する次第であります。ただいま大臣公民館における社会教育ということについて御言及がございましたが、特にこの面につきまして、文部当局におかれましては、予算の面その他につきまして、格段の御配慮をいただきたいと思う次第でございますが、社会教育に関します現在の予算満足の行くような程度にあるかないか、ごく簡単に御説明をいただきたいと思います。
  16. 天野貞祐

    天野国務大臣 現在は非常に貧弱で、これではとうてい満足の行くどころの話ではない。たとえば青年学級についても、五百万円であるとかいうようなごく少額で、これではまつたく問題にならないというふうに考えております。
  17. 玉置實

    玉置(實)委員 それでは最後の一点でございますが、ただいまの社会教育につきましては、特に御配慮をお願いいたしておきます。二十七年度予算に計上されました産業教育振興費でありますが、予算要求額といたしましては、一応六億七千万円余を提出されておるようでありますが、これは一応三分の一の補助金となつておりますが、あとの三分の二につきましては地方公共団体負担ということでありますけれども、その財源について文部省といたしましてはどういう御見解を持つておられますか、承りたいと思います。
  18. 天野貞祐

    天野国務大臣 これは国が三分の一持ち、地方が三分の二持つというのでは、私は非常にいけないと思いますが、よんどころなく一応こういうことになつております。けれども少くも二分の一程度は国が持つというのでなければならない。とにかくさしあたつて起債によつて地方負担をもつと少くするように考えて行きたいと思つております。
  19. 玉置實

    玉置(實)委員 起債交渉につきまして、相当関係当局におかれまして問題があるようでありまするが、大蔵省なり、地方財政委員会との交渉によりまして、一応起債の額のお見通しはおつきになつたかどうか、この点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  20. 天野貞祐

    天野国務大臣 それは非常にむずかしいとも思いますけれども、しかし今熱心に交渉をいたしております。
  21. 玉置實

    玉置(實)委員 御熱心に御交渉をいただいておりますのはけつこうでありまするが、地方側といたしましては、三分の二の負担につきまして、相当の不安と懸念を持つておるようであります。要望といたしましては、三分の二の負担相当面につきまして、起債が許し得られまするようなごあつせんと御配慮を、特にお願いいたします。これで私の質疑を終ります。
  22. 庄司一郎

    庄司主査 先ほど玉置委員質問に対して、田中政府委員よりのお答えでございますが、あのお答えは一応伺つただけでは、私のような鈍感な者にはなかなか内容が明瞭に納得できません。それで参考のために、田中政府委員お答えになられた要項を、特に一種の略図のような、鳥瞰図のようなものでもけつこうでありますが、それに説明を加えられたものをプリントにして、明日までに本委員会に御配付をお願い申し上げておきます。  次は甲木委員
  23. 甲木保

    甲木委員 まず第一に、五大都市教職員一般教職員との待遇がはなはだしい差異があるのでございます。この差額を是正するためには、平衡交付金五大都市に対して直接交付され、地方教職員は県からこれが支払われるというような関係で、この差額が出るのだろうと思うのです。この点を文部省はひとつ是正していただきたいと思うのであります。そのお考えをお漏らし願いたいと思います。
  24. 天野貞祐

    天野国務大臣 今御説のように、教員給与というものは、二十四年度などにはほぼ全国一律であつたのが、二十六度に至れば非常なアンバランスができてしまつている。これは何とか解決しなければならない。それを解決したいということが、ただいま私ども考えておる義務教育国庫保障制度の一つのねらいでございます。そういう方法によつて、解決できるのではないかと思います。
  25. 甲木保

    甲木委員 ここに神奈川県の例を申しますと、在職年数が二年十一箇月、これは市の方であります。このときの年数で退職した場合は二万一千三百円、県の方は二年十箇月で四千二百十一円、それで恩給とか、退職当時の本俸の額とかいうもの左総合してみますると、市の方は二万六千三百三十一円、県の方は二万五千八百三十一円、こういうふうに違つておるのでございますが、初任給はもちろんでございますが、そのほかボーナスとか、あるいはその他の手当も、非常に違つて来ているのでございます。東京と横浜との差額でも、四号から六号の差異があるのでございます。こうした差異を同一区内において生ずることは、今後の教育の立場がら重大な影響があると思うのでございますから、ぜひともすみやかにこういうことは是正していただくように希望する次第であります。  それから地方公務員法第五十七條は、公立学校教職員特例を設けることを規定しているのであります。教職員とは、校長教員及び事務職員であることを明記されておるのでありますが、校長職員のみに教育公務員特例法を適用することは、この規定に反するものと思うのでございまするが、いかがでございますか、大臣の御答弁を願いたいと思います。
  26. 庄司一郎

    庄司主査 この際文部省政府委員の諸君に申し上げますが、各局長がお出ましになつておるようであります。これは分科会でございます。努めて直接責任のある局長さん等より詳細なことをお答え願うのが、分科会恒例と相なつております。大臣の御答弁もちろんけつこうでありますけれども、各政府委員はそのために御列席を願つておるのでございますから、分科会の特性を発揮するために、どうか努めて政府委員の御発言をお願いしたいと思います。
  27. 天野貞祐

    天野国務大臣 それは直接教鞭をとつている者だけにやつておるのであります。
  28. 甲木保

    甲木委員 文部大臣は昨年八月二十日の参議院文部委員会において矢嶋委員緊急質問に対しまして、本件に対しまして事務職員重要性を認め、かつ同じ屋根の下におる教員と何かに一つけて差異のあることは、情的に見ても、学校運営上おもしろくないから、何とかして早く解決したいというお答えをしておられますから、この点も何とぞすみやかに御解決を願いたいと希望をいたす次第でございます。  戦死者遺族に対しては、育英資金の特典を特に文部省として考慮をされておりますが、留守家族に対しては何らこれに対する処置を講じておられないのでございます。この留守家族の者にも、帰還して来るまで育英資金の恩典を受けるようにおとりはからい願えるものか、この点を事務当局からでもよろしゆうございますから、御回答を願います。
  29. 稻田清助

    ○稻田政府委員 育英会におきまして、各個人別奨学金を決定いたしますときに、家族生計状況を調査いたします。従いまして特別のわくは設けておりませんけれども、お話のような事例につきましては、十分考慮せらるべきことだと考えております。
  30. 庄司一郎

    庄司主査 ちよつと主査より伺いますが、ただいまの質問留守家族に関しての質問でございますが、留守家族というお言葉がただいまなかつたようですが、さような意味でございますか。
  31. 稻田清助

    ○稻田政府委員 さような意味においてお答えいたしたつもりであります。
  32. 庄司一郎

    庄司主査 了承いたします。
  33. 川端佳夫

    川端委員 今後の分科会運営にあたりまして、主査の呼び方を、平素われわれは委員長という呼び方をしているものでございますから、主査と言うのが非常に言いにくいのですが、われわれは委員長と呼んで、速記録には主査と書いてもらう、こういうふうにして、主査という言葉速記録には統一されてもらえばいいのだから、委員長と呼んで主査と書いてもらう、こういうおとりはからいに願いたいと思います。
  34. 庄司一郎

    庄司主査 委員長と呼ばれますと、なんとなく偉くなつたようで、けつこうでございますが、実はこれは分科会の小委員長と呼んだ方が、私は改正の国会法ではよろしいと考えております。これは帝国議会時代の遺物でございまして、それは適当に速記者諸君において、さような場合は、速記には主査と御訂正願いたいと思います。
  35. 甲木保

    甲木委員 これは大蔵省が来るとよろしゆうございますけれども国立大学の電気料とかあるいはガス代、こういうものは地方税において一割くらいの免税をしてもらうということになれば、相当財源が浮くだろうと思う。科学費が非常に少うございますから、こういう点からでも埋め合せてもらう、こういうことを文部省は大蔵省へ交渉なさつたらどうかと思うのです。この点についてはどんなお考えでございましようか。
  36. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、これはおもに地方税の関係でございますので、地方自治庁には交渉いたしておりますが、なかなかまだ解決には至つていない現状でございます。
  37. 甲木保

    甲木委員 それから先般から小委員会を開いて、いろいろわれわれの党でも、また文部省でも研究して来られましたが、神戸商船大学の開設に関する予算問題でございます。昭和二十七年度文部省予算の中に、近代美術館の設置に必要な経費として、一億円を計上せられておるのでございます。しかもこの経費はすでに昭和二十六年度予算において、同一経費として同様に一億円の計上を見ておるのでございます。現にこれを使つてある建物を購入しかかつておるということを、文部当局から私は承つておりますが、かりに万一この購入手続が中途で挫折するといたしましても、来る三月三十一日までは、別の建物を物色して購入することができるはずでございます。ですからその可能性が残つている現在、先走りいたしまして二十七年度にも、同一建物の購入なりあるいは新築なりを目標とする予算を重複して計上することは、妥当を欠くものじやないかと思われるのでございます。これにつきまして事務当局からでもよろしゆうございますが、御回答を願いたいと思う次第でございます。
  38. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 近代美術館の設置費が昭和二十六年度に一億円ございまして、これによりまして昭和二十六年度において適当なる建物を購入するため、ほとんどその全額を支出する予定を立てておるのであります。しかし昭和二十七年度においても、もし二十六年度交渉ができなかつた場合というような意味で、一億の計上を見たのでありますが、この一億は、今年度の一億を使いまして、大体施設すなわち建物購入費に充てました場合、二十七年度においてその運営費が必要になります。運営費といいますのは、内部設備費並びに職員経費等でございますが、それが相当額必要でありますので、その面でこれを使うというふうな約束になつておるのでございます。
  39. 庄司一郎

    庄司主査 甲木委員に申し上げますが、大蔵省の政府委員と、地方財政の事務局の方が出席されましたので、あらためて御質問を願いたいと思います。
  40. 甲木保

    甲木委員 それでは近代美術館設置費を神戸商船大学設置費に充当することは、これは文部省と大蔵省との話し合いの上に、この費用を振りかえることはできないものでございますか。
  41. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 二十七年度の近代美術館設置費は、項目といたしましては、社会教育局教育及び研究施設運営費という中に計上されておるのでありますが、その項目の経費を他の目的である経費に移用することはできないというのが、会計法規の規定でございます。ただ予算の執行上必要がある場合に、あらかじめ予算をもつて国会の議決を経た場合に限り、大蔵大臣の承認を経て移用することができるということがございます。その移用する場合は、予算総則によりまして、その第十四條に特別な事項を掲げまして、たとえば裁判費であるとか、国家地方警察官署の経費であるとか、その他各種の項目がございますが、そういう項目の経費に限つて、今言つたような手続をもつて移用することができるということになつておる次第でございます。商船大学の施設費は、これは項目的に申しますと、文教施設費ということになりますので、この近代美術館設置費をそのまま国立大学文教施設費にまわすということは、予算的に不可能なことであるというふうに解釈をいたしております。
  42. 甲木保

    甲木委員 大蔵省にお尋ねしますが、それでは予備費から出すというような方法はないものでございますか。
  43. 岩動道行

    岩動説明員 神戸の商船大学を新しくつくることが政府で決定いたされまして、それが予算の成立後でありますれば予備費から使用するということは、予算上可能な問題であると思います。
  44. 甲木保

    甲木委員 老朽校舎の問題でございますが、これは予算委員会でもいろいろと論議されましたが、私ども地方を視察して、ことに老朽校舎を見ると、柱の表面はそのままで、腐つているような感じは与えませんが、それを指先でほじくつてみるとぼろぼろする。それで後にはほんのわずかな中心が残るというようなことで、こういう老朽校舎に数十の生徒が入つておるというまつたく危險千万な状態でございます。大体文部省としましては、こういう老朽校舎が全国にどのくらいあるか御調査になつておられるかどうか、伺つてみたいと思います。そうしてこれに対してどのくらいの予算が必要であるか。大体のところを伺いたいと思います。
  45. 近藤直人

    ○近藤(直)政府委員 お答えします。ただいまの老朽校舎の現況でありますが、二十六年の四月末の調査によりますと、概数で申し上げますが、四十年未満のものが幼稚園、小学校中学校、高等学校、各種学校、盲聾唖学校を入れまして約千六百六十万坪、四十年以上の老朽校舎が約二百七十八万坪、合計いたしまして約千九百四十五万坪ということになつております。この四十年以上の老朽校舎のうち、改築を一日も待てないというものが、概数でありますが、四十四万八千坪ということになつておりますので、文部省といたしましても、この問題につきましては各段の考慮を払いまして、実は二十七年度予算といたしまして、二十二億の予算の要求をいたしたのでございます。しかしながら財政の都合によりまして、遺憾ながら全部認められない状況に相なつた次第でございます。従いまして、今後はこの分につきまして、起債の面で何とか考慮したいと思いまして、目下せつかく地方財政委員会の方と起債交渉をいたしております。昭和二十六年度の計数を御参考までに申し上げますと、これもやはり起債で考慮してもらいまして、この老朽概念のために約十六億の起債が認められたのでございますが、本年は約倍額の起債の要求をいたして、目下折衝中でございます。
  46. 甲木保

    甲木委員 この起債見通しはつくのですか。
  47. 近藤直人

    ○近藤(直)政府委員 昨年の起債の総わくは四百億で、そのうち六・三関係が四十億、老朽校舎が十六億、本年の起債の総わくは六百二十億と開いておりますので、従いまして老朽校舎に対しまして約三十億程度のものを要求いたしたのでございますが、決して楽観は許せませんが、目下努力をいたしております。
  48. 甲木保

    甲木委員 今日六・三制の建築や、不便な二部制の教室もさりながら、一応こうした校舎に対しては、一大悲惨事が起らぬ前に早く対策を講じないと、あとからでは取返しのつかないようなことになりますから、予算の面についても、大蔵省の方から認められなければ、文部省がもう少し積極的に行つて、大蔵省の係官とともにあの老朽校舎を私は見ていただきたいと思うのです。おそらくそういう学校を見たら、もう戰慄せずにはおられない。ぜひひとつ文部省は大蔵省と共同で一度視察をしてもらつて、早くこれの対策を講じていただきたいと思うのでございます。  それからこれは私、昨年の国会でも予算委員で、文部大臣にお尋ねしましたが、農学校の供出の問題です。これは一般の農家と同じ供出をやつておるのでございますが、学校としましては、それがために研究の量がない。ことに食い盛りの学生を働かせれば間食もさせなければならぬのでございますが、そういう関係で、自分のお晝の弁当を半分食つて間食に半分食べるというような状態だそうです。この点は文部省も農林省とかけ合われて、この学校の供出は、研究の一つの材料も必要でございますから、除外していただくということを私希望いたしまして、私の質問を打切る次第であります。
  49. 庄司一郎

    庄司主査 ただいま甲木委員より切なる御要望のようでございまするが、老朽学校等の現在の危険な状態をぜひ現地において以てもらいたいという御要望ごもつともと思いますが、大蔵省の政府委員並びに地方財政委員会の事務局長荻田政府委員等の御意見はいかがでございましようか。御意見があられればお述べを願いたいと思います。
  50. 岩動道行

    岩動説明員 老朽校舎の問題は、たいへん重要な問題でもありますし、また差追つて相当緊急性のある問題とも私ども承知いたしております。ただ、それに要する建築資金を、財政的な見地からだけで二十七年度予算に計上しなかつたのではございませんので、大蔵省といたしましてはさらにこういつた校舎は本来設置義務者において用意をいたすべきものであるという建前に立つております。従つて必ずしも財政上の問題のみならず、建前の問題としてもこの問題を考えて行くべきものだという見地から、二十七年度予算にはこれを計上しないということに決定をいたした次第であります。しかしながら、これをただほつておくということは、政府としては重大な問題でありますので、この問題を解決するにつきまして、ただいま委員長からお話がありましたように、大蔵省と文部省と協力いたしまして、実情をさらにつぶさに視察いたしまして、対策の樹立に努力いたしたい、かように考えております。  なおこの機会に、先ほど私、予備費の問題についてお話を申し上げましたが、若干言葉が不足であつたので補足をさせていただきたいと思います。先ほど予備費の使用は可能であるということを申し上げたのでありますが、これはただいま二十七年度予算審議中に、ある学校が設立されるということが予定される限りにおきましては、当然予算の修正をもつて行うべきでありまして、予備費を使うということを初めから予定すべきものではないと思つておるのであります。予算が成立して、その後においてまつたく予見をしがたい事柄として起つた場合には、そのでき上つた学校に対する経費を予備費でまかなうということは、理論上可能であるという趣旨で申し上げたのであります。またただ予備費だけを使うという道があるのではないので、国会の開会中であれば、当然これは補正予算を組んで所要経費を計上して、国会の議決を経るというのが建前だろうと考えております。若干補足して申し上げます。
  51. 庄司一郎

    庄司主査 ちよつと地方財政委員会の荻田事務局長にお尋ねしておきたいと思います。先ほどあなたが御臨席のちよつと前に、甲木委員より国立大学等の理学部あるいは工学部等々において、学術研究上、教授、生徒等が必要欠くべからざる電気料あるいはガス代の税金というような方面は、特に目的が教育にあるのであるから、他の一般の営利的な事業等と比較して若干の割引をしていいじやないか、かような意味の御質問があられました。その際地方財政関係の問題でございますので、政府委員より御答弁がございませんでした。さような趣旨の御質問であられたのでございますが、何か荻田さんにおかれて御意見があればこの際聴取いたしておきたいと思います。
  52. 荻田保

    ○荻田政府委員 電気ガス税につきましては、これは特に重要産業といいますか、むしろ電気を主体とするような産業、たとえば硫安製造だとか、こういうようなものだけが免税になつておりまして、そのほかには、官庁用でありましても、全部これは課税することになつております。従いましてそういう振合いから申しまして、研究機関等の電気ガス税を免税する、軽減するということは適当でないと考えております。  それから起債の問題でありまするが、なるほど来年の起伏の総額は百五十億程度増加することになりまするが、一方公共事業費予算が非常に多額に増額されておりまして、その地方負担だけでも百三十億程度のものが増加することになる。なおそのほかに水道事業とか、公営で始めております電気事業等に来年度相当大きく着手しております。事業そのものが大きくなつて参りまするので、起債の総額はふえましたけれども、実際の感じから申せば、なかなか楽になつたという感じはしないのであります。しかしながら、今までもそうでありましたが、この公共事業以外の、また公営企業以外の、いわゆる一般単独事業と申しておりますが、その中で老朽校舎というものは最も優先的に考えておりますから、昨年度に比べて幾分でも余裕があれば、まず主体をこの方に向けまして、なるべく地方の要望にこたえたいと思つております。
  53. 風早八十二

    風早委員 文部大臣はどうされましたか。
  54. 庄司一郎

    庄司主査 今緊急余儀ないことで、ちよつと主査の了解を得て出られましたが、間もなくこれを呼んで答弁させたいと考えております。そこで文部大臣でない他の政府委員で御都合のいい御質問があられましたら、御継続を願いたいと思います。
  55. 風早八十二

    風早委員 それではほかの個々の問題から御質問します。産業教育振興費というものがあるわけですが、経団連では教育は国策にサービスするものというようなことを申しております。大体産業教育の場合に、同じようなことを文部当局としては考えておられるか。その場合口には、国策とはいかなることを意味するか、これをちよつと御説明願いたい。これは文部大臣でなければだめですか。
  56. 庄司一郎

    庄司主査 風早君に御照会申し上げますが、経団連というのは、経営者の連合会というような意味でございますか。
  57. 風早八十二

    風早委員 そういうような意味でなく、これは個有名詞でありまして、経済団体連合会のことを言つております。おわかりにならなければ、一応文部当局として産業教育なるものの本旨を話してもらえばいいです。
  58. 今村忠助

    ○今村政府委員 今、経団連の何か所見というようなことと関連しての御質問でしたから、はつきりしなかつたのですが、文部省として産業教育振興しようという考えは、従来の理論的あるいは観念的教育のほかに、実際社会に出て役立つような産業教育というものが多少不十分だつたのではなかろうか、こういう見地からいわゆる産業教育振興しようという意図を持つたものでありまして、今いう経団連とは直接何の関係もないものであります。
  59. 風早八十二

    風早委員 あなたは経団連ということも御存じなかつたようでありますから、あなたとしてはそう考えておられるかもしれない。しかし文部当局としては、いやしくも産業教育ということを考えておられる限りは、これは経済団体の連合会でありますから、その経済団体の連合会という全国の代表機関が、産業教育の問題に関して、教育は国策にサービスするものにしなければならないという意見を発表しているということについては、重大なる関心を持たなければならぬものだと思いますが、これは御存じなければやむを得ません。  そうしますと、学校でいろいろ機械設備がなければ実際産業教育というものはやれないわけです。しかしながら、実際には学校に機械設備というものが非常に不足しております。従つてどうしても工場へ出向いて行つてやらなければならない。例の戰前、戰時のいわゆる勤労動員的なあの型が、事実行われているのではないかと思うのでありますが、そういう点はどういうふうにお考えでしようか。
  60. 今村忠助

    ○今村政府委員 第一に、文部省は経団連の文部省でないことを申し上げておきます。経団連を知らぬのじやありません。経団連がどう言つたからそれについてどうかと言われるから、その言葉がはつきりしないと申し上げたのであります。  次に産業教育が、工場へ戰時のように動員されるとか、あるいは見習うとかいうようなことで行くのか行かぬのかという御質問のようでありますが、ここでいう産業教育振興は、各学校、主として高等学校において、いわゆる産業教育施設等をして参りたいということでありまして、戰時中のものと関連があるとかないとかいうことは一切ありません。
  61. 風早八十二

    風早委員 この産業教育にはどの程度まで熱意を示しておられるのですか。これはぜひ伺つておきたいのです。
  62. 今村忠助

    ○今村政府委員 熱意の程度でありますが、これはいろいろのことを考えましても、予算がこれに伴わなければそれだけの十分のことができないのでありまして、予算に盛られたこの数字は決して十分だとは思つておりません。けれども敗戰後の日本の財政事情というような点から考えれば、いろいろ折衝した結果こう現われたものでありまして、この数字と熱意とはただちに比例しているというものではありません。
  63. 風早八十二

    風早委員 それにしましても、大体四百億の要求を文部当局としては出しておられるのに対して、わずか六億七千万というのは、これははなはだ問題にならないのじやないかと思うのです。これはおそらく与党の諸君としても非常に困つておられるのじやないかと思うのです。ですから私は、文部当局としてこの産業教育費に対してはどの程度の熱意を示しておられるか。これはなるほど予算が通らなければそれまでだと言われればすべてそうなんです。産業教育というものを、あなたの言われるようにそのまま理解すれば、これは非常に大事なことだと思いますが、事実これがほとんど名目だけのものになつていることを私はおそれるわけです。これに対して具体的にどうしようとされるのか。具体的にそれではこの六億七千万円をもつてしてどうしようとされますか。
  64. 田中義男

    田中政府委員 産業教育振興のために来年度認められました予算は六億四千万円なにがしでございます。これは大体重点を高等学校の設備に置きまして、その他は中学校における研究指定校の設備、また公私立の短期大学におきまする実験、実習を主とした設備充実に要する経費補助、また教員の現職教育のために内地留学の制度考えて行きたい。またその他設備の一部といたしまして、水産高等学校における共同実習船の建造費、あるいは各学校間の共同実習所の設備費に対する助成、もう一つ、高等学校におきまする研究指定校の研究費の補助というふうな事柄につきまして、一応その補助を予定いたしているのであります。  なおそれらの内訳を申し上げますると、高等学校産業教育設備費補助といたしまして、ただいまのところ五億六千五百数万円を予定いたしております。次には高等学校産業教育に関する共同実習船の建造費につきまして、その補助三千万円を予定いたしております。高等学校産業教育研究の指定校の補助といたしまして四百数十万円、中学校産業教育研究指定校に対しまして二千数十万円、また短期大学の産業教育設備費補助につきまして三百数十万円、産業教育共同実習所の設備費補助といたしまして一千数十万円、最後に、さつき申しました内地留学生の費用補助といたしまして六百数十万円というようになろうかと思うのでありますが、具体的な詳細につきましては目下係等におきまして詳細検討中でございまして、ただいま申しましたのはほんのただいまの目標にすぎません。
  65. 風早八十二

    風早委員 この問題の重点はやはり実際に機械設備を学校が持つということだと思う。それでなければ、いくら産業教育と申しましても、私が先ほど申し政府委員はこれを否定されましたけれども、実際工場に出かけて行かなければ産業教育は事実上できないことになる。そういうことではまだ戰前戰時の——これは後にもまた勤労青年学級の問題やいろいろ通信教授の問題なんかありますが、とにかくとして、一つはやはり学生生徒の側からその経済上の理由から、もう一つは学校自身に機械設備がないということから自然にそちらへ引き入れられる。そうしますとやはり工場あるいはその経営の利害関係にどうしてもいくら否定されても事実上従属せざるを得ない。そういうようなことになつたのではしようがないのであつて、やはり学校で機械設備を持たなければいけない。そこに重点があると考えるのでありますが、ですからどこにどれだけの費用ということを言われる場合に、全体として今産業教育にとつて必要なる機械設備がどれくらい足りないか、それをこの予算でどこまで実際に充実しようとされるのかということを、一口言つてもらえばいいわけです。現にある学校で——学校の名前は預かりますが、ある学校は百貨店と契約をいたしまして、その百貨店との契約で実際に学生を集団的にそこヘアルバイトに出しているわけです。そうしてそのうち三分の二はその学校がとるのです。あとの三分の一を生徒にわけている。こういうふうな学校も実はあるわけです。さらに昨年の年末あたりから、これは荒川のある中学であります。これも名前は預かつておきます。この中学におきましては日本建鉄に事実四十人ばかりアルバイトに出しております。これはよく調べてもらいたい。星製薬にも出ています。こういうことは——星製薬の場合も私はそうだと思いますが、日本建鉄なんかの場合には、明らかにこれは今軍需品をつくつているのでありまして、そういうところへどういう名目にしろ学生を出して行つてやらせる。これは勤労動員に対する禁止令というものがポ政令でも出ておりまして、まだそれは生きておる。こういうものを考えましても、非常な重大な問題を含んでいるわけです。そういうことには関連して、まともに産業教育を授けて行くというのであれば、学校の機械設備そのものを充実しなければならないんだが、その目標は今はどのくらいであり、どのくらいまでこれをふやそうとしておられるか、その点をお答え願いたいと思います。
  66. 田中義男

    田中政府委員 各学校の設備の状態につきましては、過去一年以上ずいぶん詳細なる調査を、私どもといたしましてはいたしております。その結果に基きまして、別に基準を設けておりますので、その基準と現有の設備との差を出しまして、その差額補助いたしまして、別に定めた設置基準に即するようにしよう……。
  67. 風早八十二

    風早委員 途中ではなはだ失礼ですが、そういう予算技術よりも、目標はこの予算でどこへ置いておられるか、これを一言答えてもらいたいわけです。今機械設備が実際の必要に対して何パーセントしかない、これを何パーセントまで上げる、こういうことを明確にしてもらえば、それでいいのです。
  68. 田中義男

    田中政府委員 各学校によりまして、ずいぶん差別がありますので、助成いたします目標といたしましては、現在の設備があまり貧弱でありますものを、この際限られた予算額でまかなうわけに参りませんので、大体それぞれの実業過程において中以上にあるもの——その基準につきましても、現有設備があまり貧弱なものについて助成いたしますことも当面許しませんので、基準の五〇%以上を現有いたしておるものという標準をもちまして、ただいまその対象となるものを算定いたしておるのであります。
  69. 風早八十二

    風早委員 それによつて実際産業教育ができる、つまり基準に持つて行かれる学校数を教えてもらいたいと思います。
  70. 田中義男

    田中政府委員 学校数はまだ確定いたしておりません。ただいま資料によりまして算定を急いでおりますので、さよう御了承願います。
  71. 風早八十二

    風早委員 どうも非常にはつきりしないのですが、この問題は勤労青年学級の問題にも関連しております。次に私がお尋ねしたいのは、学校に行けない青年をどうするかという問題なんです。そういう人たちが夜遊ぶのを防いで、夜学のようなものをやるというふうにして、勤労青年学級というものができておると思うのですが、まだこれに対する予算が一学級にたつた一万円しかないと聞いております。もしそうだとすると、これでは学級というのは名ばかりであつて、事実それで何がやれるかと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えなんでしようか。
  72. 今村忠助

    ○今村政府委員 その点は仰せの通りであります。予算がこれだけだということは、まことに文部当局としても遺憾に思つております。大蔵省との折衝においても、その点には実に力を入れたのですが、従来の例等からこの程度でなければ予算が認められないという結果になつたのであります。
  73. 風早八十二

    風早委員 今初めて率直なお答えを得たわけであります。これはわれわれは非常に遺憾と考えておる次第であります。この問題は後に実際学校に行かれない青年の問題について、さらに総括して文部大臣におたずねしたいと思いますから、この程度で一応打切ります。  次に、育英資金の問題についてお尋ねしたいと思います。授業料の値上げが三千六百円から六千円になる、これは国立大学のことでありますが、この授業料の値上げの問題は、必然的にそれからそれへと他の地方大学、特に私立大学に対して大きな影響を与える。それに輪をかけて授業料の値上げが行われつつあることは御承知の通りです。そうなるとどうしても学生の父兄の負担が非常に加重される。今まで普通に受けておつた者までが相当に食い込んで、今度は育英費を要求するに至る。そこで育英費というものは今まで貧乏な学生諸君の一つのホープであつたのですが、ますますそうならざるを得なくなる。そういうふうに追い込まれて行くこともはなはだ問題なのでありますが、さて育英費を見ると、今度は一見絶対額はふえておるように思われますけれども、一学級ふえておるために実際には絶対額はうんと減つておることになるわけです。そういう点について文部当局としてはどういう御見解か、むろん不満足であろうと思いますが、その点はつきり言つていただきたいと思います。
  74. 今村忠助

    ○今村政府委員 この点も仰せの通り物価値上り等の指数から、本年度予算総額あるいは文部予算を見て参りますと、もとより不十分でありますけれども、これも敗戦のあとの講和費というようなものも考え、なかなかこれ以上税金を上げることもできない。限られた予算の範囲内で最善の努力をするという建前から考えたのでありまして、日本育英会経費も、昨年から見れば多少でも増加されておるのであります。これらは努力した結果がここに出ておるのでありまして、もとより甘んじておるのではありませんが、やむなきものと考えておるのであります。
  75. 風早八十二

    風早委員 これはその要求がまちまちでありますけれども学生は少くとも四千円から一万円くらいなければ事実やつて行けない。今は二千円ですか、これはおそらく大学生でも最高でないかと思いますが、二千円くらいしかもらつておらない。ですから中途半端で、結局六・三制を実行して行くことができないようなことになつておるのではないかと思うのです。そういう点で、敗戦後六年も七年もたとうとしておる今日、同じような理由を理由にされて行くということは、非常な矛盾じやないかと思うのです。私は文部省と大蔵省とは同じ政府だとは思いますけれども、あまりに腰が弱過ぎるのではないか、というよりも、事実学生やその他学校関係の、父兄やそういう人たちの声をあまりに無視しているのではないかということを考えざるを得ないのであります。もう一つ育英資金の問題については、遺家族の援護費と育英資金との間の関係が、どうも何か不明朗なものがあるように聞いておるわけであります。言いかえれば、援護資金の一部がそちらへまわるというようなことも伝えられておると思うのでありますが、そういう点はどういうふうになつてつて、どうされるおつもりであるか、その点をちよつとお伺いいたします。
  76. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまのお話の遺家族に対しまする奨学生といたしましては、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、従来の大学及び高等学校に対しまする二〇・二八%、あるいは三%の外に、七千六百人の奨学生採用を予定して、予算を作成いたしております。
  77. 庄司一郎

    庄司主査 風早さんに御紹介申し上げますが、文部大臣はただいま御自分の健康上病院におられますので、今病院まで呼び出しをかけておるのでありますが、かなりおくれる公算が多いので、もしおくれましたら、適当な機会まで文部大臣に対しての御質問は保留されていただきたいと思います。
  78. 風早八十二

    風早委員 これは問題がずつと関連していて、文部大臣にだんだんと近づいて来るのです。その点ははなはだ遺憾ですが、しかし御病気であるということになればこれはいたし方ありませんから、その点だけは後に保留したいと思います。  次に給食の問題であります。これもおそらく同僚委員がすでに出された問題ではないかと思いますが、これはわれわれとしても非常に重大視しておりますので、一点だけお話してみたいと思います。それは、御承知の通り今度給食費というものが全然なくなつてしまつた、これを食管特別会計の麦や米や、砂糖の値上り分で何とかまかなおうというようなことだと聞いておりますが、そういうことをされるつもりなんでありますか、その点を伺いたい。
  79. 今村忠助

    ○今村政府委員 経費の出どころについては農林関係で計上されておりまして、そのしさいについてはわれわれよく存じておりません。ただ農林関係でさような予算の計上があつて、実際事務を文部省でいたして、給食面の従来に近い程度の要望にこたえて行く、こういう建前になつております。
  80. 風早八十二

    風早委員 今のお答えが、私にははつきりのみこめないのでありますが、結局どうなるのですか。こういうところから何か話合いがあつて、もうその了解があるというふうに了解していいわけですか。つまり食管特別会計の方から融通してもらう、こういうふうに了解していいわけですか。
  81. 今村忠助

    ○今村政府委員 予算編成上農林省の側の今言う食管その他のどういう内容かにおいてかような数字が計上されておるというのでありまして、その経費がどういう形で出ておるかということについては、文部省においては関知しておらぬということであります。
  82. 風早八十二

    風早委員 これは主査にもお願いしたいのですが、今の御答弁では、私にはよくわからないのです。これは別に否定されておるわけとは受取れないのです。この両会計の間の関係ですから、これはおそらく大蔵大臣ではないかと思います。そうなりますと、この最終の答弁はやつぱり給食の問題でありますから、この分科会の間に大蔵大臣にもぜひ出てもらつて、この間の関係を明らかにしていただくことを希望いたします。
  83. 庄司一郎

    庄司主査 お答え申し上げます。ただいまの御質問の御趣旨は私にはよくわかりました。なお御参考まで、はなはだ恐縮でございますけれども、給食の原料は予算の措置の上から農林省が責任を持つて出される、それを公正に配給させる事務的の指導費が文部省予算に百二十万円計上されております。文部省は各現地の義務教育学校において、従来通り学校教職員の方々に御配慮を願つて給食の責に任じさせる、かようなことに相なつているということは予算委員会において主管大臣より説明を聴取しておりましたので、その点だけは私も承知しておりますが、なお御希望がございますので、適当な機会に参考のために大蔵大臣あるいは農林関係等を招致して、あなたの御質問満足させたいと考えております。
  84. 風早八十二

    風早委員 どうもありがとうございます。私も予算委員ですが、その質疑応答を聞いておらなかつたので、重複しておつたかもしれません。しかしながら問題は文部当局がその点について御存じないのか、あるいはその点を特に言われないのか、私は今の態度ははなはだおかしいと思うのです。これははなはだ遺憾な態度を示しておられると思うのです。事実は事実でありますから、はつきりざれたらいいと思うのです。その点ははなはだ遺憾だと思います。いずれにしても、それではこれが父兄の負担にならないのかというと、どうもそうでもないらしい。  問題は次に移りまして、今まで父兄の負担しておつたのが大体百八十円くらいでしようが、国が負担しておつたのが百円近くで、二百七十円から八十円になるといわれておりますが、文部省は大体そういう見通しを持つておられるのですか。
  85. 近藤直人

    ○近藤政府委員 父兄の負担の点でございますが、従来完全給食と申しまして、御承知と思いますが、パンとミルクと副食を学童に給食しておるわけであります。そのうちパンの原価が二円六十六銭、ミルクが三十銭、合せて約三円でございました。それが御承知のようにアメリカのガリオアによる援助資金がとまりまして、自前でまかなわねばならぬことになりましたものですから、パンの原料である小麦の値段を半額程度にするということで、その操作を食管特別会計でまかなうということに承知いたしております。従いましてその半額程度負担が従来のパンの値段にかぶさるわけでございます。それが大体二円四十銭となるかと思います。従いまして。パンの一食分の価格が約五円、それからミルクでございますが、これはやはりガリオアの関係がストップいたしましたので、自前でまかなわねばなりません。ただし買入れに要する資金の利子補給は国が負担する。これは食糧庁の予算に約九千六百万円が計上されておると思います。従いましてこのミルク代金は、三円五十銭負担増になります。従いましてミルクの値段は二十七年度におきましては二円八十銭ということになりますので、先ほど申し上げました。パンの値段が約五円、ミルクが三円八十銭、合せまして約九円になります。それで従来、先ほど申し上げましたように、約三円で済んでおつたものが、約九円になりますので、差引六円程度のものが父兄負担になるわけでございます。しかしながらこれによりまして、従来とかわりなく、年に約二百十五日、パンは一食百グラム、ミルクは百二十二グラムというものが学童に——しかも学童の数は五百五十万と想定いたしておりますが、従来とかわりなく支給できるものと考えております。
  86. 風早八十二

    風早委員 この学童の給食すべき対象は、大体千百万人くらいじやないのですか。たいへんどうも数が違うように思いますが……。
  87. 近藤直人

    ○近藤政府委員 学童の数は約千百三十万と覚えておりますが、それは全学童でございまして、ただいままで給食の対象にしておりましたのは、約七百万と思つております。そのうち完全給食——先ほどのパンとミルクと副食の完全給食の学童数が四百万、それから一部町村の学校で行われておりましたミルクだけの、いわゆる補食給食と申しますものが、約三百万従来やつておつたのでございますが、このたびいろいろな都合によりまして完全給食を主といたしまして、従来の四百万に加えまして、百五十万というものを追加いたしまして、五百五十万と考えております。
  88. 庄司一郎

    庄司主査 風早君にお願いがございますが、あと質問の御希望者が四人ございますので、あと文部大臣の方は保留をお願い申し上げて……。
  89. 風早八十二

    風早委員 一点だけお尋ねいたします。今の点も問題が大分残つておるのでありまして、とにかく父兄の負担相当ふえるということはわかりました。従つて給食制度を維持することがよろしいという前提に立つ限り、どんなむりをしても、今の食管特別会計との関係を操作しましても、なお非常な負担が父兄の上にかかつて来るということは事実であつて、どうしてもこれは予算上にむりがある、不足があるということは明瞭になつて来たと思います。この点はあとで一括して質問することにいたします。  最後にもう一点お尋ねしたいことは、六・三建築の問題であります。この六・三建築は今年中一人当り〇・七坪というものでやられるということでありまして、これで一体完成できるつもりなのかどうかということをまずお聞きしておきたい。
  90. 今村忠助

    ○今村政府委員 これは大蔵省といろいろ折衝の結果、本年度〇・七坪で完成したいという意向であつたようでありますが、実際三十七億では不十分でありまして、学童の自然増加でありますとか、算出数字に大蔵省側と文部省側に違いのあつた点の是認というようなことや、いろいろの点から、将来において六三制校舎の完備ということについて予算の計上されることを一応了解を得ております。金額等のことはもとより将来のことでありますが、これをもつて完全に終つたと思つておりませんし、大蔵省の側でもその点を認めてくれた、こう申すのであります。
  91. 風早八十二

    風早委員 今の大蔵省が認めたと言われることは重大なことでありまして、ここに二十三億の大きな誤差があつたわけです。認めてそれで大蔵省はどうするというわけですか。実際にどういう措置をとつてくれるというわけですか。
  92. 今村忠助

    ○今村政府委員 次年度においてまた予算に計上して、これが完備するように努めて参りたい、こういうことなのであります。この点を大蔵省が認めてくれたということであります。
  93. 風早八十二

    風早委員 次年産といいますと、二十八年度ということになるわけで、それではまつたく認めた意味がないわけです。間違つたわけですから、これは速急に本会期中にでも補正予算を出すべきが当然だと思うのですが、そういう点はあなたの方ではどういうことを考えられておるのですか。一年間指をくわえて待つているということはできないと思います。
  94. 今村忠助

    ○今村政府委員 その点はいろいろ折衝した結果、総体の予算においても、先ほど来申し上げるように、不十分なのです。この点だけを十分にするということは不可能でありまして、それを次年度になお継続して実現を期する、こういうように文部当局考えておるのであります。
  95. 庄司一郎

    庄司主査 風早さんは今までの三人の委員よりもあなたお一人で多くの時間をとつております。きようはこの程度でいかがでございましよう。また明日もありますから。
  96. 風早八十二

    風早委員 それじやあと一問だけ…。これじやけりがつかない。文部大臣に対する継ぎまでも行かないのですが、一応六・三建築の問題にとどめます。六・三建築の一人当り〇・七坪というものの完成と言いますけれども、この場合に私はここではつきりしておいてもらいたいことが二つあると思うのです。一つは、来年度の就学児童の数がはつきりしないのじやないか、非常にふえるのじやないかということが考えられます。早い話が、終戦直後外国の軍人がたくさん入つて参りました。そしてさつそくたくさん混血児ができておるわけです。こういう人たちがことしは学齢に達しておるわけです。これはおそらく国籍その他いろいろ問題があると思うのです。今どういうふうにこれが扱われておるか、この人たちの学校というものはどういうことになるのか、数そのものも実はお尋ねしたい。またこれに対しては何か特別な措置をいろいろ講ぜられるつもりであれば、それも実は答えてもらいたいのです。そういうわけで、本年度の入学者の数は今までと違つた條件が一つ出て来ていることを考えてもらいたいということです。  それからもう一つは老朽校舎がたいへん多いと思います。これは四十年以上もたつてぼろぼろになつている老朽校舎がおそらく数十万坪あると思います。こういつたようなものをそのままに放置した計算であるのか。〇・七坪といいましても、これはもう少し正確に考えてもらいたい。そういうことを考えますと、いよいよもつてこの建築費の非常に不足していることがわかつて来るじやないかと思います。  その他寒冷地の、たとえば屋内体操場といつたようなものも問題になつていると思いますが、いろいろ新しい條件が出、また新しく要求されている事項がたくさんあるわけでありまして、これらをみな含めて考えておられるのか。そういう点をあわせてお答え願いたいと思います。
  97. 今村忠助

    ○今村政府委員 風早さんにお似合いにならない御質問のようですが、進駐軍の兵隊の落した子供が数字を狂わすほど莫大なもののように申されるのですが、われわれとしては六・三制の教室の問題に影響を与えるほど莫大なものでないと考えております。これは常識的にお考えくださつてもわかると思うのであります。数万とか数十万に及ぶものではないと思うのでありまして、数百とか数千の程度であれば、この六・三制の教室の計画を狂わすようなことはないと思う。風早先生に似合わぬ御質問で驚きかえるのですが、そのあとの老朽校舎と六・三制の完備とは直接関係がないのでありますが、ある中学がこの老朽校舎を使つて開設しているというようなことはなきにしもあらずでありますけれども、それは微微たるものでありまして、老朽校舎が六・三制の計画の上にあつて、その数字を狂わすというようなこともないのであります。要はこの敗戦のどん底の急迫している経済の中で、限られた数字をどういうように国策の面に持つて行くかという努力を、各省各面ともいたしているのでありまして、さような点は最も御理解あるはずの共産党の方たちとしては十分お認め願えると思つております。急迫した生活の中では、思う存分の施設を理想通りになかなか行い得ないのでありまして、この点はひとつ了としていただきたいと思います。
  98. 風早八十二

    風早委員 六・三制は基本政策じやないですか。
  99. 今村忠助

    ○今村政府委員 もとより基本政策でありますから、できるだけの数字を見ているわけでありまして、三十七億という、ほかの数字から見ると大きなものが計上されているのであります。次に屋内体操場等の問題でありますが、これは何としてもまず教室が完備して、そして屋内体操場等も順次設備して行くということを考えているのでありまして、本年度に計上されたものはもとより微々たるものでありますけれども、これを初めとして今後に努力を続けて参る、こういうふうに考えているのであります。
  100. 庄司一郎

    庄司主査 川端君。
  101. 川端佳夫

    川端委員 私は簡単に五項目について伺いたいと思います。  まず第一に教職員の手当の問題と関連しまして、過般地域給の問題が勧告を見たのでありますが、この地域給について、将来も従来のように物価その他の諸條件の変遷に伴つてだんだん改正して行く御予定であるかどうか。私がこのことを伺いたいという考え方のもとは、地域給をこうしてだんだんおかえになつて行かれることもあるいは必要でありましようが、山間僻地における人たちの身分を守つて行く給与の形が整えられなければならぬじやないか。特殊勤務手当ですが、これは文部省の人にもあわせて伺つて——かけ足の質問でありますが、教職員関係が特殊勤務手当の中でどういうふうな僻地給式の手当を受けているかということ、それで人事院ではそういう僻地給式の特殊勤務手当の方面でもう少しこれを改正するお見通しはないかという点を伺います。
  102. 藤巻直

    ○藤巻説明員 お答えいたします。現行の僻地の手当の制度は特殊勤務手当の政令の中にありまして、僻地の指定等は人事院がいたすことになつております。それで御承知の通り、僻地は一級から五級までにわかれておりまして、最低が月額百五十円、最高が月額七百五十円、これは五級地であります。この僻地の指定は二十四年の三月から八月までの間に大蔵省が第一次指定をいたしました。その後この指定はいたしておりません。ただいま人事院といたしましては、既指定の箇所が九百五十六箇所、この九百五十六箇所に新たに八百七十四箇所をつけ加えようというふうに考えております。一応この成案を得まして、現在大蔵省の方と予算折衝をいたしております。ただいまも大蔵省の方と打合せをしておりますので、予算が通りさえすれば、本年度から——あしたからでも実施いたしたいというふうに考えております。この中には当然山間の郵便局あるいは警察等がございますので、国家公務員であるところの先生は僻地の方におりませんが、地方の実情によりまして、郵便局あるいは警察等が指定されますれば、それと均衡を得るために、ひいて地方の先生方の方にも及ぼうかというふうに考えております。
  103. 川端佳夫

    川端委員 この予算で今大蔵省と折衝中の予算額はどのくらいになりましようか。
  104. 藤巻直

    ○藤巻説明員 月額にいたしまして、非常に僅少でございまして、百三万円、年額にいたしまして千二百万円の額でございます。この点につきましては、二十七年度予算においては計上を見ております。ただ問題は本年度において実施するかどうか、その点を折衝いたしているわけであります。
  105. 川端佳夫

    川端委員 今人事院のお話の教職員関係のお話と関連してちよつと私は伺いたいのでありますが、文部省で今山間僻地に教鞭をとつておる教職員はどのくらいおりましようか。この特殊勤務手当の該当地区にいる人数がおわかりになれば参考までに一応伺います。
  106. 藤巻直

    ○藤巻説明員 ただいまの御質問に対しまして、直接のお答えになるかどうかはつきりいたしませんが、国家公務員といたしまして僻地手当の支給を受けております総人員は大体四千六百六十七名くらいであろうかと思います。従つて先生方の数も、私の方の考えといたしましては大体この辺くらいになるのではなかろうかと存じております。と申しますのは、官署の数は多うございましても、先生の数は非常に少い。一名、二名というようなことになろうかと存じます。
  107. 川端佳夫

    川端委員 それでは文部省にちよつと伺いますが、初等中等教育局関係でありまして、特殊教育助成費という中に、盲聾兒童就学奨励費補助金というようなのが出ております。今この該当の児童がどのくらい就学いたしておりましようか。それからこの予算はどういう率で出されているのでございましようか。それから将来就学さすべき対象の人間はどのくらいあるか、これをまず伺います。
  108. 田中義男

    田中政府委員 現存就学をいたしております者の数は、義務制におきまして盲六千——これは統計が低過ぎるかもしれません。現在は多少の異動はあるかもしれませんが、最近調べましたところでは、盲六千百六十一、聾が一万三千三百四十五、計一万九千五百六名となつておりまして、その就学率は盲学校が大体七二%、聾学校が七七%となつております。
  109. 川端佳夫

    川端委員 この就学奨励費というのはどういうふうに使うのですか。
  110. 田中義男

    田中政府委員 この助成費の内容を申しますと、通学費、それと父兄が尋ねて参りますが、面会費を対象とたしまして、その補助を一人につきまして、三千四百二十円が通勤費、それから面会費は七千四百四円、こういう内訳で補助することに予定いたしております。
  111. 川端佳夫

    川端委員 面会費というのはどういう形なんですか。
  112. 田中義男

    田中政府委員 父兄が面会に参りますその費用でございます。御承知のように、大体寄宿舎に入れることになつておりますので、そのために父兄が出て参ります。それを見ているわけであります。
  113. 川端佳夫

    川端委員 それでは次に給食の問題、先ほど風早委員からお話がございましたので、私もあの中で農林省が負担する分がどうして捻出されるのか、そういう点を、先ほどの御答弁から、具体的にまだお答えができにくそうでありますから、これは後日でようございますが、言つていただきたい。そしてこの給食のことは文部当局はいろいろ熱心にお考えのことだし、前監理局長の久保田さんも非常に熱心であることをわれわれはよく知つております。ところで伺いたい点は、この給食によつて就学率に変動があれば参考に伺いたい。
  114. 今村忠助

    ○今村政府委員 今のところ給食と就学率との関係についての詳しい調査はちよつとわかりかねるのでありますが、一応係の者に調べさして、御報告するようにいたします。
  115. 川端佳夫

    川端委員 これは私は別の角度から給食問題の意義を究めたい、こういうことでありまして、私は給食支持論者であります。従つてこれは不確実ではありますが、これによつて都市部の貧困者の学童については、あるいは七%とか、一割だとか、こういうようなものが、就学というとちよつと語弊があるかもしれませんが、出席率がよくなる。あるいは町村部におきましても相当数の者がそういう傾向がある、こういうようなことも聞いているのであります。この点も御調査がありましたら伺いたい、こう思つております。——そういう御調査がなければ次へ進みます。  国立国語研究関係でありますが、私がここで伺いたいのは、私最近いろいろな機会に聞いて参つたのでありますが、制限漢字の是正をしなければならぬじやないか、こういうことなのであります。国立国語研究所は国語審議会と関連があるものであるか、まず伺います。
  116. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 ただいまの御質問は、国語研究所が漢字制限の上にどういう関連を持つているかということであろうかと思いますが、国語研究所の方は純科学的な意味合いから、国語、従つて漢字制限の問題も研究しておりますし、国語審議会の方では是正の面を研究しております。それらがちようどそこで結び合つて、先ほどお話のように、是正すべきものがあれば是正して行く、そういう立場において関連がございます。
  117. 川端佳夫

    川端委員 私の伺いたいのは制限漢字は、非常に了解できにくい点が数々ある、これの是正をはからなければならぬじやないか。国語を簡易化しようというような趣旨でもつて、国語の制限が行われたのでありましたが、これが少し、われわれが非常にたやすいと思うような漢字が制限されまして、むずかしい漢字が許されておるというような例は、非常に多うございます。これは例を申し上げるまでもないと思いまするが、たとえば、「一銭也、二銭也」の「也」も制限であります。それから弘法大師の「弘」も制限、それから伊藤博文の「伊」も「藤」も制限です。岡崎国務相の「岡」も「崎」も制限なんです。まだ何ぼでも私は覚えておりますが、こういう式のものが例にあるのです。こういうようなことは、どうも国語を簡易化しよう、平易化しよう、こういうような趣旨とは違うのではないかというふうな感じをもつて、私は、こうして文部当局にお目にかかると、しばしば言つておるのでありまするが、その後これに対して何の対策も講ぜられておらぬようです。かろうじて名前をつける問題は、私がそういう話をして、かえられましたが、一般の制限漢字についても是正してもらわなければ、いかぬ点があるが、この点についてどういうふうにお考えになつておるか、どういうふうにしてもらえますか、お伺いいたします。
  118. 今村忠助

    ○今村政府委員 漢字制限問題について、それが適当でないではないか、ことに日常必要なものが使用できないという結果になるではないかというお尋ねでありますが、この点はおそらく他にも同じ考えを持たれる方があると思うのでありますが、私なども強くその、点を感じておるのであります。いろいろの制度によつてこれらの研究がなされた結果行われたものとは考えますけれども、今の点につきましては、なお研究いたすよういたしたいと考えております。
  119. 庄司一郎

    庄司主査 川端委員に御紹介申し上げます。他の四分科会もすでに散会しておりますので、あと一問だけで……。
  120. 川端佳夫

    川端委員 それでは最後に、今のお話はぜひひとつ御検討を願いたい。私も語学を専門にいたしておりまして、日本の国語を簡易化して行きたい。これは文化向上のためにも大いに必要だという観点からお願いいたしておるわけであります。  次に地方自治庁の——地方自治庁はお帰りになりましたか。
  121. 庄司一郎

    庄司主査 これは全然主査にも無断でお帰りになつたようですが、はなはだ遺憾であります。
  122. 川端佳夫

    川端委員 地方自治庁に一点だけ伺いたかつたのでありますが、それでは保留といたしまして、私の質問を終ります。
  123. 庄司一郎

    庄司主査 それでは他の四分科会も、それぞれ五時前に散会に相なつておるようでございます。本第三分科会も、相当勉強をしていただいたつもりでございますが、遺憾ながら文部大臣その他いろいろの関係もあり、本日はこれをもつて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。     午後五時十五分散会