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1952-02-22 第13回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十二日(金曜日)     午前十時五十六分開議  出席分科員    主査 淺利 三朗君       江崎 真澄君    尾崎 末吉君       大泉 寛三君    中村 幸八君    兼務 林  百郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      荒木茂久二君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  菊池  明君         建 設 技 官         (住宅局長)  大村巳代治君  委員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         予算委員会專門         員       小竹 豊治君     ————————————— 二月二十二日  第二分科所属員林百郎君が本分科兼務なつた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計予算運輸省郵政省、  電気通信省及び建設省所管  昭和二十七年度特別会計予算郵政省電気通  信省及び建設省所管  昭和二十七年度政府関係機関予算運輸省及び  建設省所管     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和二十七年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算運輸省所管郵政省所管電気通信省所管及び建設省所管一括議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。大泉寛三君。
  3. 大泉寛三

    大泉委員 都市建設について二、三点伺いたいと思います。最近の都市建設は、あまり計画性を持つていないように思いますので、このままで都市が自然のままに放置しておかれたならば、将来交通地獄が必ず生ずると思う。そこで都市建設に対してどんな計画性を持つているか、また考えを持つておられるか、一応承りたいと思います。
  4. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 ただいまは非常に都市計画根本に触れました点についてのお尋ねでございまして、私どもといたしましても今お話のございました点につきましては、いろいろ苦慮いたしている問題の一つでございます。御承知通りに今お話のごとく、このままに放置しておくならば、交通地獄を初め、いろいろな点において混乱を来すのではないかという心配がございますが、都市計画というものは元来そういうようなものにつきまして、いろいろと計画立案をして参るということが根本でございます。今回私どもも実は都市計画の現行の法律というものを少しかえまして、何としましても都市計画基本になるものを一つ確立したいという気持は実は持つておるのでございます。従いましてその基礎的なものということになりますれば、第一番には、土地利用計画の区分をするということの問題でございます。従来この点がどちらかというとおろそかにされておつたということは、諸外国の例を見ましても多いのであります。アメリカあたりから帰つて参りました者のいろいろの話を聞きますと、都市計画の一番基本になるものとしましては、土地の合理的な利用住宅地域なら住宅地域として守つて行く、そうしていわゆるそこにいろいろの雑音とか、あるいは不衛生的なものを入れない。いわゆる地域によつて生活の安定を期して行くということをまずアメリカあたりにおいては中心に考えておるようでございます。私どもといたしましても現在都市計画法の中には、それぞれ地域制ということが引かれておるのでございます。御承知通り住居地域工業地域あるいは軽工業地域、また商業地域といつたぐあいに引かれておるのでございますので、こうしたいわゆる地域制につきまして、もつと細分化されたようなものをもつて市民生活あるいは事業の利便をはかつて行くことを考えるということが、まず都市計画。第一の根本問題だと思うのでございます。その次にはいわゆる交通網計画という問題でございます。これは第一番には道路の問題並びに交通機関の問題でございます。交通機関問題とい会議録第三号たしましても、交通調整の問題をどういうふうに取扱つて行くかということの問題は、これも都市計画に課せられておりまする大きな問題でございまするか、これはいろいろと利権関係相当にございますので、単に都市計画として触れるというだけでは相当むずかしい問題でございます。いわゆる事業調整という問題も入つて行かなければ、この問題の解決ということは非常にむずかしいことの一つであることは事実でございます。また道路網を確立するとかいつたようなことになりますれば、これは事業面ということになりまして、建設省方面におきましては比較的楽に問題が解決されて行きますので、今まではこうした道路網の政策の方面には多少補助をとつたりいたしまして、欠陥のあるところを是正して参つておるのでございますが、交通調整問題等になりますると、大都市では、現在まだそこまで手が伸びておらぬということは事実でございます。今回首都建設委員会におきましても、どうしても首都の中における交通調整の問題を、まず取扱わなければならぬだろうというので、先日来いろいろと各方面人たちに寄つていただきまして、懇談をいたしておるような情勢でございます。これがまたひいては衛星都市との結びつきをどうするかという問題が、大都市あたりにおきましては相当大きな問題になるのでございまして、問題がむずかしいだけにもつと慎重に研究をして参らなければならぬのでございまして、今後の研究課題といたしておるのでございます。その次の都市計画の問題といたしましては、いわゆる重要なる施設というものを、都市内におきましていかに合理的に配置をして参るかということの問題であります。公共施設で申しまするならば、官公署を初めといたしまして、あるいは公園なりその他市場なり、そうしたものをいかに都市内において合理的に配置をして市民の便益に供するかということが、基本的な問題として考えて行かなければならぬことだと考えます。あるいは上下水道の問題といつたようなものも、その重要施設の問題として考えられることだろうと思うのであります。そうした意味における都市計画基本的なものをつくり出しまするについて基本になるものを、われわれはここに打立てたいということを実は考えておるのでございまして、予算の上におきましても、行政部費の中に都市計画調査費というものをとりまして、今回三十都市ほど、大中小くらいの都市にわけまして、一つの総合的な合理性を持つ計画というものをつくるという意味において、実は調査を依頼いたしておるのでございまして、昭和二十七年度の予算におきましても、行政部費の中で、その調査費というものを実は要求いたしております。本年度と来年度ともうあと数年やりまして、さらに大中小、また都市性格、すなわち政治都市であるとかあるいは文化都市であるとか、あるいは工業都市といつたぐあいに、大きさのみならず性格によりましても一つの類型をつくりまして、都市計画設定基準を案出して参りまして、各都市指導に当つてみたいと私どもは思つておる次第でございます。従来ともあるのでございますけれども、御承知通り戰後相当情勢がかわつております。こういうものを新たに設定したいという趣旨を持つておる次第でございます。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 当局がそういう深い関心を持つておられることは非常に喜ばしいことでありますが、私どもはたまたま戰災をこうむつた都市に対して、こういう機会に多小権力を加えた計画性のあるものにしなければならぬのじやないか、こういうふうに考えておる次第でございます。いつも都市に対しては重大な関心を持つておりますが、特にこういう考えはありませんか。小さなブロツクに対する強制的な区画整理、具体的に言いますと、大きな建築物を建てんとするときに、その土地所有者が、多数の者は大きな共同建築をしようとするのに、少数の者が反対をして合理的な建築ができない、こういう場合に強制力を持つような、いわゆる法の適用によつて建設を合理化して行くことは考えておりませんか。
  6. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 ただいまの御質問まことに肯緊にあたりました質問でございまして、御承知通り都市計画というものは、一つ計画を持つてその計画に従わさせるどいうことが一番大きな問題でございます。現任までの都市計画法は、一応国か設定をするというような形に相成つておるのでございますが、気分といたしましては、だんだんそれぞれの自治団体において計画設定されるというような希望が一部において言われておるのでございます。いずれにいたしましても、都市計画を実施して参るためには、統制とある程度の強力なる権力というか、力がなければ不可能であることは、ただいま御指摘の通りでございます。個人の利益を守ると同時に、一方においては地方公共団体、いわゆる都市全体の態様を整えて参ることが一番大きな問題でございますので、個人々々の身にとつてみれば、非常にお気の毒なことであつても、都市全体の公共福祉のためには忍んでもらわなければならぬことが、都市計画の線上において実は非常に多いのでございます。土地の強制的な収用をしようという問題につきましては、現在のところ法律上の建前といたしましては、一つには土地収用法がございます。一つの面におきましては今各都市において行つております区画整理かございます。現在区画整理につきましては、戰災都市につきましては特別都市計画法というものが設定され、その他の都市におきましては都市計画法並びに耕地整理法による区間整理を実施いたしておるのでございますが、土地収用と同じように、それぞれの換地というもの——区画整理計画をつくりまして、そうして各人の宅地につきましての換地を与えて、ブロツクごと一つ区画をいたしまして、整然たる町をつくり出して行こう、これによつてまた公共施設各人負担において生み出して参ろう、いわゆるその地域全体の公共福祉のためには、各個人に対しまして多少の義務並びに負担を課すというのが、いわゆる区画整理建前ということに相なつておるのでございまして、これは相当権力的な、本人の意思を聞かずして一方的に行い得る処置ということに相なつておるのでございます。ただしかしながら、住民の全部の意向を聞くということはできませんので、住民の中から選ばれました区内整理委員意見を聞きまして、そうしてできるだけみなの納得の行くようにやつて参りたいという一応の建前に相なつておるのであります。しかし最後には、本人が聞かなくとも強制的に行えるということになつております。建築問題等につきましても、建築基準法の中には、一般の者には、いわゆる建築協定をして、変なものはつくらせぬという方法もございます。一方におきましては、共同のためにはいろいろなものをつくらせないというような方法ができないかというお話もございますが、この点につきましては、私どもとしましてはそういう必要性は認めておるのでございまして、個人権利関係との調和をいかにして参るかということにつきまして、ただいま研究をしておる次第でございます。御了承願います。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 最近大きな建築物に対して当局抑制しているという話を聞きます。完全な講和ができて来ますと、賠償問題があるから、とかくどうも相手国に対して遠慮をしなければならぬというようなことから、かなり建築を遠慮させるということを聞いておりますが、そういうことはありますか。
  8. 大村巳代治

    大村政府委員 昨年の十一月下旬でございましたか、大都市におきまする高層ビル建築抑制の件というのがございました。それは行政的に指導勧告をして、この際大きなヒルを多少遠慮させようということに相なりました。その原因は、もちろん客観情勢もございましようし、それから講和批准が済みますれば、多少接収されておるビルが返還されるから、むだに建てたということにならぬように指導した方がいいのではないかいとうような線で勧告をいたしたのが、大体百三十件ばかりあります。業界並びに建築側は非常に協力的でございまして、一時着手を中止する、あるいは閣議決定の線で中止しておるというような状況で、現在指導はなごやかに行つておるのであります。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 最近街頭において音響が非常に激しくなり、にぎやかな所では話もできないほど広告宣伝等音響がやかましくなつております。これに対してある程度抑制をするというような考えはありませんか。
  10. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 この音響の問題は、実はいろいろな音響を、たとえば軽犯罪の問題として取締るという問題はあるのでございます。これを一つ法律によつて統制をして参るということにつきましては、実はいろいろ要望もございますので、研究もしておりまするけれども、これを法文にして行くということについては、非常にむずかしい点がございますので、どの程度のものを音響として取締らなければならぬかというこの基準をきめて参ることの問題が、相当に困難な問題でございますので、もう少し研究課題として考えたいというふうに考えております。何とかしなければならぬという必要性は痛感いたすのでありますが、屋外広告物にはそういう音響の問題を入れておりませんので、それを入れてくれぬかという話合いもあるのでありますが、基準をいかにして設定して参るかということに迷つておる次第であります。
  11. 大泉寛三

    大泉委員 それからこれも将来非常にやつかいな問題になろうと思いますが、都市浄化の問題として、特に空中の煤煙排除に対する考え方については、どういうお考えを持つておりますか。
  12. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 都市浄化の問題として特に煤煙の問題をお取上げになつたのでありますが、これも私どもにとりましては非常にむずかしい問題の一つでございます。これは先ほど申しましたように、現在のところとしては、地域制による方法以外には、現在の都市計画法においては解決方法はないのでございます。煤煙を出さないような科学的な方法はないかということの問題が残る問題だろうと思いますけれども都市計画の問題といたしましては、やはり工場地域を一箇所に集めるということ以外には私ども考えておりません。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 それはどうしても各都市自治体と緊密な連絡をとらなければならぬでしようが、最近東京都ではよく昔の河川を埋め立てております。あの河川を埋め立てたのを道路にでも利用するのかと思うとそうではなく、あそこに建築物を建てている。道路が狭いのにまた建築をするというようなことは、やはり一つの将来における道路に対する計画性がないということで、まつたく困つた問題だと私は思います。これは自治体がかつてにやつておるのだからといえばそれまでですが、あなたの方では、どういうふうな立場に立つてこれを見ておられますか。建築物は立体的にどんどんできて行くが道路だけは依然として同じだということでは私はいけないと思う。河川を埋め立てるけれども道路に使用することをしないが、これに対して当局としてはどんな考えを持つておりますか。
  14. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 東京の問題についてその例をあげられ、いろいろな堀を埋めてそこにいろいろなものを建てているということでありますが、向うの話を聞きますと、これは一つは戰災地でありましたので、そこのいろいろな廃物の捨て場所に困つたということがまず一つでございます。それを集めてその埋め場所に困つたために堀を埋めたということを言つておるようであります。それともう一つ都市計画上の必要なる財源を生み出すために、あの土地を売却して行きたいということがまず内部的にいわれておるようであります。しからばああいう土地を埋めることが、都市計画上よいか悪いかということが問題になると思うのであります。実は私ども都市計画欠点といえば欠点だろうと思うのでありますが、都市計画におきましては、市内におけるすべての道路河川を、横から縦から全部を都市計画として決定するのではなく、私の方としましては、重要なる幹線だけを一応つくつておるということに、実はいたしておりますので、一つの大きな幹線があつて、その幹線のほかにもつと道路をつくらなければならぬという場合におきましては、都市計画としては決定しておらぬ場合が相当多いのであります。従いましてこちらの知らぬうちに東京都がやつておるという場合が、実は非常に多いのでありまして、私どもとしては、個人的には都市計回の立場から見て、どうもおもしろくないという勧告をいたすことはございますけれども、しかし片方におきましては、やはり地方自治立場におきまして、都市計画法適用は受けない。その他の—あるいは各地百区の建築基準法適用により、それの違反でない限りはよいではないかということをいわれますと、国としてはそれに対して法律の上において干渉して参ることができない部面が相当にあるのであります。遺憾な点につきましては、私どもも事前に十分注意を与えて行きたいと考えておる次第であります。
  15. 大泉寛三

    大泉委員 要望しておきますが、とにかく東京都は東京都民だけの東京ではない。ほんとうに国全体を代表する都市なのでありますから、国として大きな関心を持つてこれに臨んでもらわなければ、りつぱな都市ができ上らないと思いますので、ぜひひとつ個人的にばかりでなく、いわゆる政府の公人として、大きな力をもつて臨んでいただきたいということを希望いたしておきます。  これで都市関係質問は終ります。
  16. 淺利三朗

  17. 江崎真澄

    江崎(真)委員 ちようど大臣が来られましたので、大臣お尋ねをいたしまするが、最初に建築制限の問題は、ただいま大泉委員からお尋ねがあつたようでございますが、これが昨年の秋に閣議決定を見たわけでありまして、その後の状況、特に閣議決定を見た場合に、これは直接の責任者である野田建設大臣首唱者であつたということを聞いておりますが、その理由、そしてその推移等について承りたい。
  18. 野田卯一

    野田国務大臣 建築制限の問題は、前々から政府部内でも問題になつてつたのてあります。特に講和条約の締結、それから批准を前にして、一面におきましては対外的に考慮も必要である。日本建築が、占領下であり、敗戰国であるにかかわらず、どしどしと行われましてこれが世界の人々の注意を引く、そしていろいろと批評をされるという状況になつて来た。また国内的に見ましても、セメント、鉄材等がいろいろと公共的な土木事業建築事業の進展に伴まして、漸次きゆうくつになるという傾向があります。これら各般の事情を顧みまして、建築制限をある程度実行する必要があるのではないか。こういう意見政府部内に有力となつて参りました。実行方法としまして、これを法制的措置によるかという問題が起つたのでありますが、なるべく重点的に、かつ実情に即するようにやりたいという考えから、勧告という制度をとることにいたしました。その後の実行状況は、御承知のように建築基準法によりまして、建築をしようとする者は届出をして確認を求めることになつておりまして、その届け出でた書類の中で、一定基準以上のものを集めまして、そして政府部内に三人委員会、つまり大蔵省の銀行局長、安本の官房長、それに私の方の住宅局長、この三人で委員会をつくりまして、その報告をすぐ集めて、そこで審査をいたしまして、そして時節柄必ずしも急を要しないと思われるようなものについては、しばらくこれを延期してくれないか、あるいはどうしてもつくりたいというような場合には、その建物規模を縮小する等の方法はとれないかということを勧告いたす方法をとつておるのであります。今までの成績はただいま数字はちよつと持ち合せておりませんが、工事がすでに始まつておるものと、まだ工事着手しておらないものと両方に対してあつたのであります。工事中に対してするというのは、もうでき上つたもの、完成に近づいておるものに対してでなく、根掘りといいますか、土台を固める基礎工事をやりかかつておるといつた程度のものに勧告行つたのでありますが、工事がすでに着手されておるものにつきましては、勧告をいたしましてもそれに承服いたしかねるというものが相当あります。しかしながらこれから着手しようとしておるものにつきましては、大体こちらの方の要望を入れてくれまして、二月十一日現在だつたと思いますが、二月十一日現在では、新たにやろうという未着手のものにつきましては、大体勧告が効を奏したのが八五%という成績になつております。残余の一五%につきましてもよく話し合つて納得ずくで、極力やめられるものはやめて行きたいというふうにいたしております。しかし中にはどうしても必要なものもあり、そういうものについては規模を縮小するなり、あるいは工事の進捗を、絶えずこちらの方の当局としよつちゆう連絡しながら進める等の方法によりまして、ある程度の緩和をはかつて行こうかというふうに考えております。
  19. 江崎真澄

    江崎(真)委員 詳細な御説明があつたわけでありますが、そうすると大体この建築制限の一番の根本は、賠償問題等と見合つて考慮せられたものであるということでありますか。
  20. 野田卯一

    野田国務大臣 そればかりではありませんが、そういうことも相当大きな動機になつておるということは申し上げ得るかと思います。
  21. 江崎真澄

    江崎(真)委員 結局この建築制限というものは自由党の政府になつてから非常にゆるやかになり、一般的にもどんどん家が建つて復興して来た。非常にいい傾向にあつたわけでありますが、にわかにこの措置が出て来た。もちろんこれは今勧告の線に沿つてこれという罰則もないし、一応話合いというゆるやかな含みはあるわけでありますが、一体今建つておる建物が、ほんとう復興であるというふうにはどうもわれわれ考えられない。いかにもやあビルが建つた。家が建つたといいますけれどもビルなんかは全国的に見ればごく少数のもので、あとほんとうバラツクであります。今度は不燃化建物に対する助成の措置も講ぜられて参つたわけでありますが、これも二億円というようなきわめて僅少なものであります。木造のバラツクがどんどん建つたことが一体復興であるかどうか、たいへん疑問だと思います。賠償ということが非常に考慮に入れられてこの建築制限がなされたということであれば、これは大臣あるいはその関係筋に対する説明、了承の方法が足りなかつたのではないか。高層建築物、たとえば日比谷にあるようなあんなりつぱなものは日本において一つしかありはしない。むしろそれよりももつと小さい——いつも共産党の諸君が申されることでありますが、それこそ畳一枚に二人も三人も住んでおるような実情があるのでありますが、そういうことを考えると、何もこの際建築制限ということをやらなくてもよかつたではないかという感じが非常に強くいたすのでありますが、この点いかがですか。
  22. 野田卯一

    野田国務大臣 政府といたしましては、建築制限と申しても全般的な建築抑制というものを考えているわけではなしに、たとえて申しますと工場とか、あるいは住宅とか、病院とか、学校とかいつたような施設につきましては、抑制措置はとつておらないのであります。抑制措置をとつておりますのは、われわれのねらいとしては娯楽施設に最重点を置きまして、それからコンマーシヤル・ビルデイングといいますか、いわゆる事務所というものに限つておるのであります。娯楽施設としては温泉ができるとか、あるいは大きなキヤバレーができるとか、そういうものが一番世界的にまで問題になるわけでありますが、こういうものをできるだけ押える。事務所もいろいろとどこかからか金が集まつて参りまして、大きなものをきそつて建てるものがあるのでありますが、こういうものもある程度がまんしてもらつて、どうしても必要なものにつきましては個々に御相談をいたす、こういうことになつております。
  23. 江崎真澄

    江崎(真)委員 娯楽施設を制限するということはよくわかります。しかし事務所なんかはやはり一面からいえば工場と併立させなければいけないような場合もあるでしようし、そういう点には十分考慮を払うということでありますから、あえてくどい話を申し上げませんが、その委員会勧告に際して不公平のありませんように、話合いというものはとかく不公平に流れる、同時にまた納得づくというものが、ややもすれば彈圧にかわる場合があるのではないか、そしてまたこの話合い納得づくというものが転じて、ややもすると今度は非常な情実がまじつて来たり、個人々々の感情がまじつてみたりというようなことにもなりやすいのでありまして、その点はもちろん大臣に十分御注意をいただけることと思いますが、一体これはいつごろまで続くものでありますか、見通しは立たぬものでしようか。ここのところしばらくこのまま行こうというのか、あるいはこういう事態の変化があつた措置をかえるとか、何か一つの目安と申しますか、段階があるものか、その点について御所見を承りたい。
  24. 野田卯一

    野田国務大臣 これは私一存で申し上げかねるのですが、実際は先ほど申し上げましたように私の担当ではないのでありまして、三人委員会という機関が、どちらかというと閣議に直属になつてそこでやつておるわけでありますが、たまたま私の方の住宅局長が出ているのと、建設という割合に関係が深いという意味から私にお尋ねがあるのだと思いますが、いつまでも建築制限をやつておるかどうかということについてはいろいろ考慮を進めております。特にビルデイングあたりは、もしこれを押えてしまうと役所自体でも困るような点がある、しかし一面におきましては講和條約発効とともに、進駐軍が今接収している家屋の開放がある。これがかりに開放されますと相当な数になつて来るというような点も見合つてよく考えて行きたい、とにかく永久的措置とは考えておらない、勧告の制度をとつて非常に伸縮性を持たしておるというような点も十分御了承を願います。
  25. 江崎真澄

    江崎(真)委員 大体わかりましたが、日本が十分復興しているならとにかく、まだ復興途上にあるときに、ややもすれば制限という言葉が一般に与える政治的な影響のみならず、実際的な今日の不自由さ、こういう点も考慮されて、大臣におかれてはどうかすみやかに制限を解かれるように努力していただきたいと思います。  なお続いて住宅関係の問題があるのでありますが、今建設委員会住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案をお出しになつておるようであります。にわかにこれが通過したということになると、今まで転用建物に入つてつた人たちは、当然立ちのきをしなければならぬと思うのでありますが、いろいろ建設委員会での御議論等を承つておりますと、この立ちのき先のない者は公営住宅に入れるというお含みのように聞いておるのであります。はたして公営住宅がこの緊急措置令の廃止と見合つてほんとうに収容し得るものかどうか、こういうものが軽々に出されますと、にわかに行く先のない君たちが街頭にほおり出される。ほおり出されるより大体出て行けないという形になるわけでありますが、その辺はいかがでありますか。
  26. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいま御審議中の予算案によりますと、昭和二十七年度における公営住宅の建設予定数は二万五千になつております。そして今度強制的に立ちのきさせられて、何とかどこかの公営住宅に入れてやらなければならぬ、優先入居を認めなければならないという数が、大体二千五百くらいの見込みで、約一側に相当するのであります。これは各土地々々によつて事情が違うと思いますから、各土地の事情を聽取して、二方五千を各方面に割振る際に十分考慮して行きたいと考えております。
  27. 江崎真澄

    江崎(真)委員 公営住宅は在来の継続としてそれぞれ申込者が殺到しておるわけでありますが、転用建物に入つていて行く先のない人々を、それに十分収容し得るというわけですか。
  28. 野田卯一

    野田国務大臣 全体的に申しますと、二万五千でも私は足りないと思いますが、今のところこの二万五千がど  こに幾らと割振られておりませんので、優先入居を認めなければならぬ者を調べて勘案できるような割振りをいたしたい。なお将来の問題といたしましては、補正予算等の機会がありますれば、そういう際にさらに増加方につ  いて適当の努力をしたいと考えております。
  29. 江崎真澄

    江崎(真)委員 これは大事なことだと思うのですが、公営住宅に二万五千戸を割振られ五十億円を計上されているのですが、もうこれに殺到しておつて、今の住宅不足緩和にはそれこそ焼け石に水の状況である。割振りは十分考慮して立ちのき先のない千五百戸に充てるということですが、これはそう簡単には行かぬだろうと思う。結局今度の公営住宅の二万五千戸は、千五百戸も当然見込んでおやりになつたのですか。
  30. 野田卯一

    野田国務大臣 これは前後の関係があるのでありますが、強制的に立ちのかせて優先的に入居を認めなければならない者の数字はごく最近に出て来たのであります。それからこの予算の二万五千戸は昨年の秋から調査してまとまつたものでありますから、率直に申しますと、必ずそこに入れるとかなんとか深い関連性を持つて始められたということは、はつきり申し上げかねるのであります。
  31. 江崎真澄

    江崎(真)委員 神奈川県では、特に行く先のない世帯が多くて八百戸あるのですが、公営住宅計画は一千戸程度である。するとこれは明らかに問題にならぬ。ですから今の住宅緊急措置令等の廃止に関連して、立ちのき先のない者をそのままにほつたらかしておくということは、一番重大な問題だと思います。その点とくと考慮されませんと、思わざる事態が出て来るということも考えられるわけでありますから、特にこの点は御配慮願いたいのであります。あわせて公営住宅は、立ちのき先のない者を考慮に入れない計画であるとすれば、ただにこれを重点的に配分するというだけでなしに、何かはかに建設省としてこれが対策をお持ちであるかどうか。これは大臣よりも局長にお尋ねした方がいいかもしれません。
  32. 大村巳代治

    大村政府委員 緊急措置令の廃止に伴つての入居者の処置でございますが、これはただいま大臣の御説明にあつた通りでございます。事務当局としては相当に努力しなければならぬと思つているわけでございますが、御承知のように大部分が東京都と神奈川県側に集まつておりますので、東京都と神奈川県の事情をよくただいま聞きただしております。東京都については従来から相当に手がけておりまして、順調に行きそうな模様でありますが、神奈川県の方が、御説のようになかなかむずかしい問題があるということが最近にわかつたものですから、一年間の期限を努力目標として、もし一年間で片づかないようでございましたならば、事態によつては期限をもう一箇年法律改正によつて延ばして、それで善処して行きたいと思つております。
  33. 江崎真澄

    江崎(真)委員 期限を延ばすということはどうしても必要なことではないかと思いますが、さりとて法律を廃止したわ、いつまでも荏苒日を延ばすのも困る。これはただ出て行けということでありますか。何かそこに物質的な措置方法ということも、ある程度とられるのでありますか。
  34. 大村巳代治

    大村政府委員 実は予算の折衝のときにいろいろ議論がありましたが、財政の状況で、約五百三十三万円程度の補助金をもつてやろうということになつたわけであります。これについては、できるだけ移転者の便宜をはかるように、たとえば市の所有しているトラツクなども動員してお手伝いをしてあげる、また国としては先ほどの公営住宅の割当を特別に勘案すると同時に、起債の面でも特別考慮して、なるべく市の財政が苦しまないようにして行ききたいと考えております。
  35. 江崎真澄

    江崎(真)委員 今の五百二十三万円は、主として何にお使いになるのですか。
  36. 大村巳代治

    大村政府委員 従来建物所有者については、当時戰争直後でありましたので、住宅営団とか、貸家組合、同胞援護会などが事業主体になつてつてつたのでございますが、だんだんに事業主体の方が御承知のように弱体化いたしまして、現在は半ば公共団体がお手伝いをしておるような状況で、入居者から使用料をいただいて、これを建物所有者の方へ補償料として渡しておるわけであります。これは値上げもむずかしゆうございまして、非常に微微たるもので、所有者の方も損害をこうむつておる。それでこれを所有者に返しで、原形復旧をするために、主として充てようと考えております。
  37. 江崎真澄

    江崎(真)委員 そうすると、これは行先のない者に対する補償とか、そういうことにはきわめて薄いことになるわけですが、こういう法律が廃止されることになると、千五百世帯と口では一言うけれども、これはたいへんなことだと思いますので、特に建設大臣は御考慮を払われて、たとえば公営住宅について今後補正予算でも組む場合に、この点についてもとくと考慮されるよう要望しておきます。  時間がないようでございますから、道路の問題につきまして簡単にお尋ねいたしたいと思います。特に戰争後の道路の荒廃は、喋々するまでもなく、たいへんなものがあるわけで、政府与党の自由党においても、十大政策の一つ道路の建設補修というようなことを取上げておりますが、この道路政策について、大臣はどういうふうにお考えになつておられるものか。また橋梁は全国で約二十七万橋あるそうでありますが、その半数以上の約十六万橋が腐りかけた木橋である。当然二重制限が加えられて、非常な不便を感じつつ道路道路をつないでいるという事態、しかも一旦災害があつて一つの橋が流れると、当然うしろの橋や前の橋にこれが押しかかつてつて、また押し流されるというようなあり方で、いかにもひどいのであります。今度は予算も多少ふえたと思いましたが、この道路の問題について大臣の重点的な御構想を承りたい。
  38. 野田卯一

    野田国務大臣 御承知のようにわが国の道路は非常に悪くて、国際的に見ましてもきわめて低い地位にあり、道らしい道というものはきわめて少いのであります。従つて道路に関することはすべてやらなければならない状態でありまして、改修の問題から、道路の舗裝の問題から、あるいは橋梁の永久橋化の問題等、いずれも取上げてやつて行かなければならないということから、来年度の予算の編成の際にも大いに努力したのであります。また自由党の江崎委員その他の方々からも非常な御支援をいただいて、その結果ようやくあそこまでこぎ着けたのでありますが、幸い舗裝の問題につきましては、今まで禁止しておつた司令部の制約も解かれまして、むしろ舗裝するようにということを希望されているようでありますから、昭和二十七年度からは相当舗裝に力を入れまして、あの土ぼこりで満つるような道を克服したいと考えております。また道路の全体の問題といたしましては、道路法を改正いたしまして、国道の整備その他道路の補修、砂利道の補修につきましては、できるだけ今後これを機械化するという方向に向つて行きたいと考えまして、所要の予算も二十七年度からは計上し、道路につきましてはほとんど全面的にいろいろな措置を講じまして、これが改善をはかつて行きたいと考えております。
  39. 江崎真澄

    江崎(真)委員 道路の問題に関連して、有料道路制度というものが今日言われておるのでありますが、これについて大体どのような構想をお持ちであるか、具体的に例示しつつお話を承りたいと思います。
  40. 野田卯一

    野田国務大臣 有料道路は、二十七年度からデビユーするわけであります。道路あるいは橋梁から金をとるということは、私は国家財政が許せば、なるべくそういうふうにしたくないと思いますが、今日の日本の国情からいたしますとどうしても一日も早く道路、橋梁を整備しなければならぬ。こういう観点から、現在各国におきましてもやつておりまする有料道路、橋梁の制度を採用したいと思つております。その仕組みは、政府にこのための特別会計をつくりまして、この特別会計へ資金といたしましては資金運用部の資金を繰入れまして、この金をもつて政府が直接道路の建設をやる、あるいは地方団体が行います道路の建設に金を出す。政府がやりますのはその会計から直接出しますが、地方団体がいたしますものについては、この会計から地方団体にその建設資金を貸し付けてやらせる。そうしてその貸し付けた金、あるいは政府が建設に使つた金は、でき上りましてから、その道路を通るもの、または橋梁を使用するもの——ものと申しましても大体自動車に限られるわけでありますが、そのいうものから一定の料金を徴收しまして、元利償還をはかつて行きたいと考えております。その料金の程度は、大体その道路を通ることによつて、あるいはその橋を通ることによつて得る利益というもののうち半分、あるいはそれ以下の程度をねらいまして料金を設定して行きたい、こういうふうに考えておるのであります。具体的な例といたしましては、江崎さのんお近くのところでは、濃尾大橋をこの有料橋にいたしたいと考えております。それから多治見と名古屋をつないでおる愛岐道路、これも有料道路でやつて行きたい。その他全国十数箇所にわたつてつて行きたいと考えております。
  41. 江崎真澄

    江崎(真)委員 その有料道路——今濃尾大橋という言葉も出ましたが、たとえば京浜新国道といつたようなものから料金をとる場合には、具体的にどんなふうになるのか。その計算の根拠というか、あるいはどういうふうにとるというような点について、具体的な御構想があれば、これは局長から承りたい。
  42. 菊池明

    ○菊池政府委員 予算書に載つておりまする計画表に、一応箇所と初年度の金額が載つておりますが、これは各箇所ごとに何年間で完成するという計画を立てまして、——これは特別会計に入れられまする金額に応じてかわつて来るわけでありますが、ただいまのところ三年ないし四年でもつてやりたいという気持で、初年度十五億を計上しております。これを大体想定されまする自動車の交通量に応じまして、あるいはただいま大臣がおつしやいましたように、それを通行するために車両の方はどれくらい助かるかということから、ある通行料金を設定します。それで計算をいたしまして、何年間ぐらいで元利償却ができるかということを算定いたしまして、これは交通量によつて、短かいものは五年か七年で行くものもあります。またものによつては二十年もかかるものもあるかと思いますが、そういうものおのおの出しまして、その賃金をとるわけであります。とる方法としましては、橋梁とかトンネル等は、これは出入口もありますし、簡単でありますが、道路についてはなお相当考究を要します。これは百パーセント徴収するということはむずかしいと思いますが、逃げるものも考えて、相当のところをとつて行こう、それで償還年限を出す、こういうわけであります。
  43. 江崎真澄

    江崎(真)委員 たいへんおもしろいお話で、数字的な問題は大体予算書で承知をしておるわけですが、これは逃げるものをおいこらこらで、ばかに厳格に追いかけるということでは、せつかくの野田大臣の名案もこわれるわけでありまして、やはり道路というものは、みながしよつちゆう恩恵に浴し、同時に利用をしておるものでありますから、有料道路なつたからといつて、ただちにその運営面において、おいこら式の不愉快な道路ということになりませんように、この点は今後の問題ではありますが、たまたま質問に出ました機会に、とくと御考慮方をお願い申し上げておきたいと思います。と同時にもう一つ具体的に、たとえば計算の基礎で、いろいろ自動車になり何なりが受ける利益率の半額程度というような構想もあるようでございますが、具体的にいつて、たとえば京浜国道は最高どのくらいの目安になるか。たとえば片道百円とか二百円とか。これはむろんその道々の利益率によつて違うわけですがどんなものでありますか。その辺のおよその目安と申しまするか、これは何も厳格な話でなしに、そういつたものがわかれば承つておきたいと思います。
  44. 菊池明

    ○菊池政府委員 金額はただいままだ研究中なのでございますが、大体キロ当り幾らというふうなきめ方で参りまして、逓減する方法をとるとか、いろいろ講じなければなりません。それからまた輸送面を扱つておられます方の輸送賃金等も考えなければなりませんから、もちろんただいま申し上げるものが結論であるとはお考え願いたくないのでありますが、たとえばかりに今考えておりますものは、橋梁等ではトラツク等一台で五百円くらいというところであります。この五百円はいかにも高いようでありますが、現実に渡し船等をやつております所でのトラツクの渡し賃は千円以上でございますので、そう非常に高いものではなかろうと思つておりますが、これはただいま申しましたように、まだ研究の余地は多分にあるのであります。
  45. 江崎真澄

    江崎(真)委員 今道路の構想について、有料道路の問題あるいは道路費用もだんだんふやして来たというようなことでいろいろ承つたのでありますが、有力な道路財源として、これは今日に始まつたことではありませんが、ガソリン税を当然これは道路費に繰入れるべきではないかという声が、民間からも非常に強くあげられておるのでございます。ガソリンは自動車によつてそのほとんどが消費されております。従つてガソリン税そのものは一種の道路利用税ともみなされるもので、当然これらは道路費に還元さるべきものであるというふうに考えておるのであります。たとえば昭和二十六年のガソリン税は百二十億、ところが本予算はわずかに六十七億、たいへんな食い違いです。これは大蔵省におられた野田さんよくおれかりと思いますが、大蔵省ではガソリン税の予算額を四十六億円と見ております。実はこういうところにあなた方の今までの魔術や味があつたのかもしれませんが、もう建設大臣であられるのですから、こういうところからひとつ財源を見つけて来て、当然自動車によつて消費されるガソリンの税金は道路利用税であるので、これは永久といわなくとも当分の間、道路がもう少しきれいに整備せられるまでは、ガソリン税というものを目的税として、あるいは目的税という言葉が他とのつり合い上悪ければ、その程度のものは道路予算として確保するということが一つの行き方ではないかと思うのでありますが、この点大臣はいかがお考えでありましようか。
  46. 野田卯一

    野田国務大臣 ガソリン税を道路建設改良等に要する費用、いわゆる目的税にするかどうかということにつきましては、前々から問題になつておりますので私も研究いたしておるところであります。しかし目的税というのは、現在日本の税制でもほとんど認められておらないのでありまして、目的税というものがよいかどうか、目的税にいたしますとそれだけでやれというような思想が伴うわけでありまして、道路の新設改良は、ガソリン税だけでやれといわれてもまた困るのであります。現在持つております建設省考え方構想というものは、相当大きな道路改善の構想を持つておりますので、ガソリン税だけで初めから縛られますと、それによつて動きがつかなくなるおそれがあると思いますから、御説のように少くともガソリン税の収入に見合う程度以上の道路の関係の費用にしたいという方向で、大蔵省に対して努力を進めておるような実情であります。
  47. 江崎真澄

    江崎(真)委員 私は永久にガソリン税を巻きつけよということを申し上げておるわけではないのでありまして、当分の間少くともガソリン税より道路費用が下まわるうちは、ガソリン税と見合つて行くべきであるということを申し上げたわけであります。さらにこの問題については深甚の御考慮をお願いいたしておきたいと思います。  建設省予算が少い、公共事業費の配分も苦しいという実情はよくわかります。わかりますけれども道路というものはお互い同士が毎日利用しておるだけに、ややもすれば目につきにくい、災害というとやはり河川災害の方に行く、むろんわれわれは河川災害ということをなおざりにするものではありません。これは当然大いに促進をしなければならないわけでありますが、一方道路の面においても、やれ文化国家だの独立国家だのといつても、このような道路のあり方では問題にならぬと思います。特に大臣におかれましても今後とも道路予算に対しては十分に御考慮を払われたいと思います。  もう一つつけ加えて余談を言うならば、自由党の十大政策ということで大いに総務会にも私奔命いたしたわけでありますが、当時大蔵省と与党との間では、九十六億五千万円程度は出してもよいというときになつて大臣が、とにかく公共事業費が少いから河川の方へまわしてくれ、道路の方は九十何億もいりませんというお話があつたということを、われわれ政府与党総務会の一員として代表折衝者から聞いて、はなはだ遺憾に思つたことがあります。さようなことがあつたかどうかということを私申しませんが、有料道路とかいろいろな問題が起きております折柄、この道路問題に対して大臣に御考慮方をお願い申し上げたいと思います。  なおまた大臣はたいへんお忙しいそうでありますから、私くどい話はやめますが、非常に大臣は御勉強になられて、それこそ日曜もほとんどつぶしで、百聞は一見にしかずというので、あちらこちら見て歩かれる。それはたいへんけつこうでありますが、一面またあまり大臣が出張してくれるので、機宜の措置がとりにくいというような部内の声も聞えるのです。私は与党の者ですからいやみで申し上げるのではなく、好意的に率直に申し上げるのです。またややともすると各局の出張旅費をさいて大臣の出張費に充てて行かなければならぬという苦しい場面もあるように聞いておりますが、その辺どんなものでありますか。
  48. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいまのお話でありますが、私はほとんどあらゆる議員の方からぜひ見てくれという御要求がありまして、毎日々々なぜ自分のところに見に来ないかとしかられている実情であります。しかし私は普通の日は忙しいので、日曜しか出ないので、それがために公務にさしつかえるということはほとんどないのではないかと考えております。それから旅費のことは会計課の方にまかせてあるので、私はよく存じません。
  49. 江崎真澄

    江崎(真)委員 何も私はこまかいことを聞こうというのではありませんが、そういう声なき声もあるから、ちようど分科会はなごやかな会でありますから申し上げているのであります。悪意をもつて言うならば予算委員会でやるのですが、そういう意味でなしに申し上げておいた方がよいというので申し上げたわけであります。もう一つ中田次官とうまく行かぬということも聞いております。これは一方的な言葉であろうと思いますが、長年官界におられて、練達堪能の野田大臣にしてそんなばかなことはあり得ないのみならず、中田次官も営々として今日まで築き上げた次官でありまして、私もたまたま政政務官として管理局長当時におつき合いを願つていたことがありますので、さようなことは信じませんが、練達堪能の大臣のところで、特にこれから別な面でも行政機構の大改革をなさろうというような抱負のおありになる大臣にして、一次官が反駁したから協調できないというようなことではいかぬので、この点もあわせて御考慮を願いたいと思います。これは私の無責任な放言ではございません。いろいろそういう声が出ているようであります。今旅費の問題が出ましたが、会計課長がアメリカへ出張した。会計課長は当然最右翼だと考えます。そうすると他省から来たのか、あるいは大臣がお連れになつた秘書官か知らぬが、それがにわかに会計課長代理になつたというようなことも聞いております。各省々々それぞれ伝統があると思いますので、そういう事態がほんとうにあるとするならば、やはり大臣としてはそれこそ御考慮なつた方がいいことではないかと思うのですが、会計課長の代理の問題はどういうことでありますか。
  50. 野田卯一

    野田国務大臣 私前に大蔵省の主計局長をしていたときに、会計がうまく行かないところが相当ありまして、そういうところから大蔵省に推薦してくれと言われまして、私が練達の士をそこの会計課長に推薦しまして、今までのところはたいへん成績をあげて喜ばれておりまして、非難を受けたことはない。今度ちよつと三箇月ばかり建設省の会計課長が出張しました。金子君は御承知のように大蔵省でも長く経理課長をやつておりました。警察予備隊でも名会計課長とうたわれていた人であります。ごく短期間でありますし、後任に練達の人がいませんので、金子君にその問題を取扱わせたいということです。やはりもちはもち屋なんですから、こういうふうにやればいいぞということで、建設省の中が非常にやりよくなる。会計課の動きいかんが非常に役所の活動に影響するものであります。今まで植田君も非常によくやつておりますけれども、さらにそれをよくした方がいいというので、それをいたしたのであります。暫定的な措置であります。
  51. 江崎真澄

    江崎(真)委員 各省との折衝には好評かもしれませんが、部内の声を聞いておるとどうもよくない。今まで各課長及びその部下が信頼しておつた最古参の課長にかえるに、あまり内部事情に通じない者をぽかつと持つて来た。しかも中田次官は一言も相談にあずからなかつたといううわさも聞えるのであります。こういうことでは、われわれ建設行政に関心を持つ者は憂慮にたえない。特に大臣は行政機構改革という大問題を持つておられるようですから、そういう声が外部に出ないように、やはり重大な建設行政だけに、円滑なる運営を期待して私の質問を終りたいと思います。
  52. 野田卯一

    野田国務大臣 ちよつとお断りしておきたいと思います。中田君の名前が出ましたが、これは個人の問題ですから申し上げたいと思います。中田君には相談をしてやつておりました。相談しないではやつておりません。個人の名前が出ましたので、中田君も迷惑するといけませんので、一言申し上げておきます。
  53. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 今その御質問を申し上げるつもりでなかつたのですが、江崎委員からごくやさしく御質問があつたので、私もちよつと違つた角度から申し上げておきます。昨今国会でも問題となつておるのですが、追放解除組で、次の選挙に立候補したい人たちが選挙運動をやつておる。このことが相当問題になりまして、大分騒いでおるようであります。そこで私はこの問題に関連するので一言申し上げておきます。これはひとり建設省だけでなく、ほかの省にもそういうのがあるように私ども聞いておるわけであります。大臣のような方があつちこつちと時間を割いて御多忙の中から御視察を願うことは、非常にけつこうでありまして、私はできるだけ多くやつていただきたいと希望するのであります。ところが自分の所管の仕事のために各地を調査、視察するのでなく、一府県等に限つて盛んに出張して、河川だの堤防だの、山だのを見てまわつて、選挙運動の下準備をやつておるという声が相当あるわけであります。これはあなたの省だけでなく、ほかにもあるようであります。そういう声はどこから出て参るかというと、われわれの仲間から出るのではなく、これらの府県の町村長さん方から、いろいろな手紙が来たりするのであります。むろんそれは大臣ではなく、大臣以下の方々で、そういう方々が出かけて行つてあつちの川を見、こつちの堤防を見るというので、二、三箇所の町村長が集ますと歓迎会をやつたり、ついてまわつたりする。そうするとたいてい一箇所の歓迎会に少くて十万円くらい、多いところは二十万円もかかる。そういうことをやられて、はたして調査つた結果、できるのかできないのかわからないのに、見ればやはり放つて置けないということで、非常に困るのだという手紙があちこちから来るのです。これは各省にも関係があることでありますし、建設省にも関係があると私は聞いております。これは厳に自粛してもらわなければいかぬと考えます。特に今機構改革その他で、江崎委員も申されましたように、政府としては思い切つた機構改革をやつてもらいたい—と思います。こういう点について特に御留意を願いたい。  そこで一、二簡単に大きな問題を伺いたいと思います。それは、大臣就任以来、災害の復旧については格段の御尽力を願つた結果、過年度災害を大体三箇年で全部復旧しよう、その中で二十七年度においては、三五%復旧しようという御計画なつたことはまことにけつこうなのでありまして、感謝申し上げるのでありますが、この過年度災害の復旧をやる順序であります。たとえばごく最近起つた災害から先に手をつけるのか、過年度中の一番古いものから手をつけるのか、そうした順序についての御計画があるかどうかということが一つ。それから現在までやつて来たような程度でなく、思い切つた防災計画に向つて進まなければならぬと思いますが、積極的の防災計画について、何か御構想があるかどうか、まずこの二つを伺いたい。
  54. 野田卯一

    野田国務大臣 防災の問題につきましては、御承知のように最近の建設省の方針としては、できるだけ水源に近いところで押えて行くという行き方をしております。多目的ダムの建設などは今最も重点を置いてやつておりますが、これはまさに防災の大きなねらいを持つておるのであります。上流から水が急に流れて参りますと、いくら堤防を高くしても間に合いませんので、元を固めて行く砂防をやるということで、今上流に相当重点を置いて努力いたしておる次第であります。  それから災害復旧の問題につきましては、できるだけ災害が起つた年か、あるいはその翌年の出水期までに手当をするという方向で進んでおります。私前に三、五、二の割合で災害復旧をいたしたいということを申し上げたことは御承知だと思いますが、国家財政の関係からそれがなかなか実現できません。しかしながら今まで当該年度で一割三、三分であつたものが、いろいろ交渉の結果、ルース台風にいたつては二割二分程度にふえて参りました。これを今後も努力いたしまして、当年度でその率をふやして行きたいと考えております。まず当年度と翌年度に一番重点を置いて行きたい、こういうように考えております。
  55. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 その点はわかりました。そこでこれもまた非常に御努力を願つた問題でありましたが、昨年のルース台風災害の復旧状況及び御尽力を願つたあらましを、ごく簡単でけつこうでありますからお聞かせ願いたいと思います。
  56. 野田卯一

    野田国務大臣 ルース台風の災害復旧につきましては、ただいま申しましたように、当年度二十六年度におきまして、大体二割二分の復旧率になるわけであります。予算的に申しますと、本年度の予算の残りの二十五億程度を使いまして、二十七年度の予算の中には四十一億計上されております。これはこぶつきとして取り扱つて来たものでありますが、この四十一億と二十五億が、ルース台風に対する二十六年度の復旧費、こういうふうにお考え願えればいいと思います。但し四十一億は来年度へまわりますので、その間つなぎ資金を五十億放出する。一番初めに十二億五千万円、その次に五十億つなぎ資金を出して、実際上の工事を進めて参りまして、予算的には二十七年度の予算に四十一億追加計上するという措置をとつて、対処いたしております。
  57. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 住宅施設に必要な災害復旧に関するものが、八億七千万円三十七年度に見積られておるようでありますが、この災害復旧の住宅施設は、二十七年度だけではなく、二十八年度以後も継続しておやりになるつもりであるかどうか。
  58. 野田卯一

    野田国務大臣 本年初めて災害の住宅復旧費を入れたのであります。普通であれば、当年度災害復旧費の中から出すべきものであつたのでありますが、先ほど申し上げましたように、ルース台風があつて、それで足りないものでありますから、当年度の災害復旧費の中から一億八千万円くらい出しまして、来年度八億数千万円、約九億近く出すことにいたしたのであります。今後はできる限り当年度災害復旧費から出したいという建前で進みたいと思つております。
  59. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それから百六十七億六千九百万円という河川改修事業費の中の中小河川道路負担金、局部の改修、災害土木助成金等を含めて、三十五億七千万円しかないようでありますが、百六十七億六千万円の中から三十五億では、あまりに均衡がとれないように思われるのであります。これは一体どういう基準によつてこういう割当になつたのであるか。その御構想を伺いたいのであります。
  60. 伊藤大三

    ○伊藤説明員 河川改修の問題ですが、大体現在におきます河川改修の大きな部分を占めておりますものは、直轄で施行いたしておりますいわゆる直轄河川改修であります。これは長年継続しておるのでありますが、その経済効果も非常に大きいのであります。そのために破堤の場合における惨害は、とても中小河川の比ではございません。そういうことで伝統的にこの直轄河川改修というものは大きくクローズ・アツプされて来ておるわけであります。中小河川が内務省時代から区取上げられましたのは、大体昭和六年以後でございまして、その後から下流の改修と相まつて支川並びに上流地方の問題がだんだんとやかましくなりまして、こういうふうになつて来たのであります。現在におきまして直轄河川中小河川の関係は、大体昨年度における比率と今年度における比率におきましても大差ないようになつておる。むしろ中小河川における改修補助の方が、だんだんと伸びて来ておるようなかつこうでございます。今のところ河川費といたしましても、十分いただけていない関係上、御要求のように、大きく伸びない。この点われわれといたしましても非常に不本意であります。ただ上流、中流のみにあまり力を入れることは、下流との関係もありますので、これは勘案してやつて参るつもりでございます。
  61. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 大体わかりましたが、ただ中小河川及び局部の改修等につきましては、ごく短い時間ででき上るし、経費も少くて済み、しかもたんぼなり、畑なんかの利用価値が非常に大きいところがあるのでありますから、そういうものを総合して考えて参りますと、どうしても中小河川及び局部の改修等の方に、相当の大きな力を尽した方がいいのではないか、こういう気持がいたしておりますので、これらの点についてなお特段の御尽力を要望して、時間がないようでありますから、建設省関係はこれでやめます。
  62. 淺利三朗

    淺利主査 建設大臣に対する御質問はありませんか。     —————————————
  63. 淺利三朗

    淺利主査 それでは電通省関係に移ります。
  64. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ごく簡単に二、三伺います。第一に電話の問題です。終戰以来非常に電話がいたんでおつて、通話に困難を来しておつた状況が、だんだんこのごろはよくなつて来たように思いますが、今後の復旧の状況、早く申しますれば、一昨年から昨年の前半ころまでは、三べん電話をかけて一ぺんしか通じないということがあつたが、最近でも受話器をとつたとたんに、がたがた音がして、聞かれないような場合があつて、急ぐ場合は困るのでありますので、復旧の状況のあらましを伺いたいのであります。
  65. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 電話の復旧状況につきましては私ども日夜努力をいたしておりますけれども、まだ一般のお客様にお満足を与えるまでに至つていないことははなはだ遺憾に存じます。しかしこれは電話の使用度数が相当ふえて来ておることもいなめない現象でございます。たとえて申し上げますと、日本橋とか茅場町という繁華なところは、一日使われる電話の平均度数は大体十六回でございます。日本全国でこれをならしますと、一日八回でございます。これを電話設備が非常にいいといわれておるアメリカあたりの例で申しますと、三回であります。日本ではそれが三倍にも五倍にもなつております。この状態があつて、御指摘のように、電話をかけてもなかなかかからないということになつておるわけであります。これは私ども通話の完了率の向上というものに鋭意努力しております。このためには電話の個数も増し、それから電話の機能それ自身もよくする。すなわち保守と建設の両面から考えて行かなければならぬわけであります。ところが建設の面は基礎工事からかからなければならない。ただ電話の個数をふやすだけではいけませんので、むしろ電話の個数を今のままの状態でふやしますとなおかからない度数が多くなるわけであります。これは基本設備、基礎設備からかかつて行かなければならない。この点におきましては基礎設備を、東京でも、大阪でも、名古屋でも、大きな都会地におきましてはできるだけ力を入れてやつて行く。そういうことと見合いまして年間電話を十二、三万増設を行つているような次第であります。一方電話の設備をよくしますためには保守に力を入れなければならない。この保守が十分に至りませんとなかなかかからない。この保守には一昨年来非常に力を入れまして、障害したと言えばすぐ障害の受付をいたしまして、これについて非常な努力を払つております。努力を払いました結果は、現在では大分大きな原因を除き得まして、特別な大雪とか大雨なんかになりますと、また事障が出ますけれども、通常の状態では持ち越して行くような障害はほとんどなくなるまでに、保守の面はよく仕上げたわけです。この上は電話の基礎設備をよく多くしまして、頻繁に電話をかけたり電話が来たりするところに、電話をさらに増設して行く。そういうことに手を向けなければならないと考えております。
  66. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そこで伺いますが、二十六年度と二十七年度の両年度におきまして、市内電話の加入の申込みが、数といたしましてどのくらいあつて、それが二十六年度においては幾らできたか、二十七年度においてはどのくらいでき得る見込みか、これをお伺いいたしたいと思います。
  67. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 電話の申込みの状態を私どもはかように見ております。実際電話を窓口または現在は電話でお申込みを受付けておりますが、そういうものはみな窓口で集めております。その需要数と、そういうことを何もなさらないで、とにかく電話が引ければ欲しいなというような需要——それを潜在需要と申しますが、そういうものがどのくらいあるだろうか。実は昨年の上半期の時分には、窓口にお申込みを受けましたものは約五十万くらい全国的にありました。ところが昨年の七月一日から電話の架設につきましては負担金を頂載する、つまりお借りするという制度を設けまして、そこで一応その需要は頭打ちになりました。そういう負担をお願いしても、電話をおつけになりますか、どうですかということをみなお申込みの方にお尋ねいたしました。そうすると相当減りまして、昨年末では三十五、六万の需要数であります。つまり顕在需要数をかように押えております。これに対しましてもちろん重点的にそのお申込みに応じているわけでありますが、現在前年度の分で約十万ばかり架設いたしております。ごく大ざつぱな数字でございますけれども、また二十七年度の予算にも、十万五千程度予算を一応は見込んであるわけであります。これは先ほど申しましたように、数をふやすよりも基礎設備をふやさなければならない。基礎設備が十分でなければ、かえつて電話の疏通を乱してしまう。こういう観点からいたしまして、来年度には基礎設備の重点化を考えたいと考えております。
  68. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そこでお伺いいたしますが、その架設申込みの中に共同加入を希望している者がどのくらいあるかということと、それから共同加入の方法を奨励なさつているか、また共同加入をすることをきらう理由というのは、結局よその電話がこつちで傍受される。こういうことできらうのでしようが、技術の進んだ今日でありますから、何か御研究の結果、共同加入をしておつても、甲の者が通話中に乙の方には聞えない——何かブザーを鳴らすとか何らかの方法で、そういう技術の研究はできないのかどうか、その三つをひつくるめて御説明を願います。
  69. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 ただいま申し上げました三十数万の顕在需要の中には、共同加入は入つておりません。共同加入を奨励してはという御指摘ですが、これは私ども極力やつております。単独ではかからないが、むしろ共同ならばこれはつくかもしれません。だからお客さんの方で近所に共同してやろうという方があるならば、それをどうかひとつ勧誘してくださいということをお願いいたしております。それから他人の話の傍受を押える方法は、と今仰せられましたが、共同加入には大体二種類ございまして、多数共同加入というものと、二個または三個の共同加入、こういうふうな二つの制度を考えております。多数共同加入というのは大体いなかの方に考えておるのでありまして、これは一つの線に最大十個まで電話をぶら下げる。これは盗聽といいますか、傍聽といいますか、そういうことは防ぎ得ないのでございます。ところが東京都内でも実行しようと考えております共同加入は、これは明らかにスウイツチを切りまして、切つておる間は盗聽はできない。こういう方法でやることを考えて、今実施しつつあるわけであります。これは非常にけつこうな方法考え今後大いにやつて行く考えでおります。
  70. 大泉寛三

    大泉委員 簡単にひとつお尋ねします。国鉄は運賃に対して私鉄とどういう関係において調整をしておられるか。これをお伺いします。
  71. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 運賃の調整を国鉄と私鉄の間をどういうふうにしておるか、こういう御質問でございますが、国鉄と私鉄はベースが違つておりますので、大体別個の見地で、原価計算をもとにしてやつておるわけでありますが、しかしまだ大都市付近の私鉄でございますと、並行線等もございまして、そこに競争関係を生じますのでそういう場合においては大体国鉄の方と同率でやるというふうにいたしまして、実情的に考えておるわけであります。国鉄と関係のないところでございまして、立地條件の悪いようなところでありますと、非常に原価が高くかかるというような状況になつております。
  72. 大泉寛三

    大泉委員 私鉄の方は地方税の負担が今かけられるようになつております。ところで国鉄の方は公共企業体として、あらゆる国家の産業に重要な根幹的な関連を持つておるのであり、私鉄関係においても同様であるが、この点相当考慮しておられるでしようが、現在の私鉄は、国鉄に比してまだサービスの点において相当落ちておる。こういう点を引上げなければならぬというようにわれわれ誓えておる。そこで国鉄と私鉄とは何らかの関係において、やはり運賃関係の収入の面における一般国民の納得の行く一つの線において、これを協定していかなければならぬのではないかと私は思うのであります。それをただ並行線のところは同じ料金にして行くというようなことでなく、だれもが納得する合理的な一つの方針をもつて行かなければならないと思うのであります。そうした考えを持つておられるかどうか伺いたい。
  73. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 運賃を幾らにきめるかということは非常にむずかしい問題でございまして、国鉄と私鉄との関係もありますし、またバス、トラツクというようなその他の競争関係にある交通機関もございますし、それから原価の面もございますし、いろいろの面を考えまして、総合的にできるだけ合理的に調整することに努力いたしておるわけでございます。
  74. 大泉寛三

    大泉委員 私は具体的に聞きたいのですが、時間もあまりないので詳しいことは次の機会に伺うことにして、国鉄とか、郵政省も、電気通信省も同じですが、こういういわゆる公共企業体の役所というものは、一般の産業界とたいしてかわらない。しかしかわつているのは、給与とかその他の待遇の点において、産業界と比較すると給与なんかが非常に安い。こういうことはなぜ安いかというと、いろいろありましようが、職務上安全であるからとか、あるいは相当大きな権力を持つているからというようなことになるのでしようが、しかしあくまでもサービスを中心として行かなければならない業務であるから、少くとも一般民間の産業界における待遇と同じところまで引上げなければならないと思うのです。これに対してやはり昔の鉄道省の立場において、待遇は民間と全然同じでなくてもよろしいのだというような考えを持つていられるかどうか伺つておきたい。
  75. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 御承知のように公共企業体というものは特殊な形態でございますので、ある場合には非常に国に近づけて考え、ある場合にはこれを民間会社に近づけて考えるというような、いろいろ御議論あるわけでございますが、ただその主体が公共企業体でありましようとも、会社でありましようとも、その労務に対する正当な報酬を与えるという考えはなければならぬと考えているわけでございまして、現在におきましても公務員とは別個の考え方をいたしておるわけであります。
  76. 大泉寛三

    大泉委員 一般民間産業の幹部級と比べますと、公共企業体の幹部の給与が非常に低い、昔のお役人の待遇で律するから、結局能率が上らないのだと思う。民間会社の重役くらいになりますと、わずか一千万円や、二千万円の小さな会社でも、相当高い月給あるいは賞与をとつている。やはり幹部そのものの待遇をよくするということは、企業全体の成績を上げるためにも必要なことであろうと思いますが、これに対して公共企業体の幹部級に対する待遇はきわめて悪いが、もつと待遇をよくする考えがあるかどうか伺いたい。
  77. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 御存じのように幹部級、いわゆる理事以上の給与が非常に低いわけでございます。これも一挙にというわけにも参りませんが、逐次こういつた方向に進むように努力いたしたいと思います。
  78. 大泉寛三

    大泉委員 汚職事件等が問題になるのも、結局主脳部の幹部級の者が、権力あるいは職権に比してあまりにも待遇が悪いから、そういう悪の場所に接近することになるのだと思います。努めてこれは注意をしてやらなければ全般の能率が上らないと思いますので、どうかそういう方向に持つてつてもらいたいと思います。  それから公共企業体は事務系統の方を優遇して、技術系統の方を冷遇するきらいがあるが、これに対して改善する意思があるかどうか伺いたい。
  79. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 よく技術系統が冷遇されるというようなことがいわれますが、鉄道は御存じのようにもともと技術屋から発足しておりますので、私の見たところでは技術系統が冷遇されているということはございませんので、事務といわず、技術といわず、実力のある人がその地位についておる、こういうふうに考えるわけであります。一般官庁ではそういうことがいわれておるようでございますが、特に鉄道は、御存じのように建設から始まつて初期から優秀なる技師がたくさんいたのでありますから、そういうせいもあるのだろうと思いますが、国鉄においてはそういうことはないのじやないか、こういうふうに思います。
  80. 大泉寛三

    大泉委員 私の要望しておきたいことは、責任のある位置にある者に対しては、相当優遇された給与を出す。一般  の人は低くていいかというと、これはどこの民間の事業界においても同じであるから、どこまでも同じにしなければなりませんけれども、特に責任とかあるいは権利を持つておられる者に対しては、優遇の措置をとつて行かなければ、企業全体が能率が上らないということでありまして、先ほども申し上げた通りであります。そこで技術系統の人は冷遇はされていないと言いますけれども、とかく技術系統の人は視野が狭い、であるからあまり事務系統のように上層幹部には抜摺されないということは私も言えると思います。ここで技術系統の人は深く研究もされる、あるいはまたあまり表面に現われない力をみな自分の深みに持つているというようなことがあるのでありますが、これを努めて優遇してやらなければならぬと思うのです。とかく今まで社会の人材は、みな陸海軍あるいはその他役所の方面に吸収せられて、実業界の特に技術の方面は、二流三流のところに織り込まれてしまう、こういうことでは日本の産業界が発達するということはまつたく望めない。特に国鉄関係などは、日本の産業を代表しているひとつの基幹産業であるから、こういう方面において技術者を優遇してもらいたいということを私は要望しておきます。  それから労働問題に対して私は相当深い関心を持つておるのだが、国鉄の従業員が、もしこの前の二・一事件のような場面に遭遇したならば、これは翼の独立国家となつ日本が、あの大きな権力を背景とした二・一のマツカーサー指令によつて停止されたようなことがもし想像されるというと、今日においてがつしりこれに組んで行かなければまつたく不安にたえない。そこでこの問題に対して国鉄はどんな方式によつて研究せられておるかということを、私は一応聞いておきたい。
  81. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 労資の協調ということが一番望ましいわけでありまして、労働者や組合側にもいろいろと主張があることと思いますが、それを調整するために団体交渉をし、団体交渉によつて妥結点に持つて行くということを建前としておるわけでございますが、妥結をしない場合におきましては、公共企業体労働関係法の規定するところによりまして、調停、仲裁にかかるわけであります。仲裁がありますと、その事項について予算措置を要するならば刻々に国会に諮る、こういうことになつておるわけでございます。なおストライキはできないことに相なつております。しかしながら現在におきましては使用者側も被使用者側も逐次協調的でございまして、労働慣行としていい方向に向つておるように考えておりますし、また私たちとしてもその方向に向つて常に努力しておる次第でございます。
  82. 大泉寛三

    大泉委員 私は労働問題に対して研究機関があるかどうかということを聞いておるのでありまして、それは労働組合の行動にまかせつぱなしでは私は不安にたえないと思うのです。それはないのですか。それでは別に伺います。私は事業というものは、すべて個人個人の持つておる力と、自分の与えられる給与とがぴつたり行つていれば問題はないのだが、不合理な立場、不均衡な立場に置くといろいろな問題が起る。そこで人件費に対する支出でございますが、人件費に対する支出を、作業の能率とどんなふうに結びつけて経営しておられるか。
  83. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 高能率、高賃金ということが最も望ましいことでありまして、国鉄においてもそういつた考えは常に取入れておるわけでございます。現在におきましても報償金、能率賃金というように、能率的な面を加味してやつておるわけでございます。しかし普通の請負的なものにはなつておりませんで、まだ研究の余地がありますが、あくまで高能率、高賃金ということで給与体系を組んでおるつもりでございます。
  84. 淺利三朗

    淺利主査 なるべく時間を切り詰めて願います。
  85. 大泉寛三

    大泉委員 どうも私の聞かんとするところに答えられないようですが、私の聞いておるのは、各個人々々の給与が自分の作業能率とどういうふうに結合されておるか。もし一人々々の請負ならそれは簡単ですが、それが請負の作業でない限りは、ある一つの団体とかグループというように、団体的な能率を基準において給与をされる場合もございましよう。また大きな駅においては、大きな立場において、これだけの人員でこれだけの作業能率をどうしてもあげなければならぬ、この人員でこれだけの仕事の維持管理が十分であるというふうに、一応個人々々を単位として、その人数をひつくるめて給与を考える、こういうふうに考えなければ、個人の能力と作業全体の立場というものは結びついて行かないと思うのであります。ただ漠然とこれだけの人数がいるからこれだけの賃金を払うのだというようなことでは、やはり企業体としてはあまり合理的でないと私は思う。こうした個人々々の給与と作業全体の立場においてどういう結びつきをして、人件費を計上して支払つておられるか、こういうことであります。
  86. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいまのお話、先ほど幹部についてのお話もございましたが、終戰後給与の水準の問題からいたしまして、多分に生活給といつたような色彩が強かつたために、給与を本人の能率なり、能力によつて支給するという点が、戰前の状態から比べますと非常に薄くなつて、いわば一律的な給与になつておるということは争えないところであります。それでこれにつきましては、数次のペース・アツプもございまして大分よくなつて参りました。国有鉄道の能率を上げるためには、お説のような能力あるいは能率によつて出すということが、企業を経営して行く面から最も必要なことだと思う。そういう方向に逐次持つてつておるのでございますが、まだ全般的にこれを実施するという段階に至つておりません。二、三の例を申し上げますと、たとえば仕事の結果が非常にはつきり出ます工場の技工といつたような問題につきましては、出来一局を尊重いたしまして、能率によつて支給しております。それからそのほかに手当の形式あるいは報奨金の形式によつて、いわゆる俸給ではございませんで、別な形で能率給的な色彩を加味いたしたものもございます。たとえば荷扱手がある一定の数量以上働いた場合に、それに対して幾らというものを支給いたしますとか、あるいは最近石炭の節約というような問題か非常にやかましい問題でありますが、機関車乗務員が石炭を節約して非常に成績を上げたということに対して支給するというようなことをいたしております。ただ全般にこれを採用いたすことを原則として国有鉄道ではいたしておるのでございますが、ノルマと申しますな基準ということは、非常に複雑ないろいろの仕事をつしておりりますので、方法が非常にむずかしいという点がございましいろいろ研究をいたしておるような次第でございます。  なお先ほど監督局長からも申しまつしたが、昇給等につきましてほ、戰後しばらくの間は、ほとんど一律に特別な事故のないような者については上げるという方式でございましたが、最近は能力あるいは成績によりまして昇給の方においては相当な差別をつけて参つております。
  87. 淺利三朗

    淺利主査 なお大泉委員江崎委員から郵政省関係の御質問が留保されておりますけれども、時間が切迫しておりますので、しばらくこれを留保し、予算総会において質問をされるということであります。この際、林百郎君から特に発言の申出があります。よつてこれを許しますが、時間はすでに迫つておりますので、特に十分間延長いたしまして、十分間の範囲内で簡潔におやりくださつて、足らざるところは予算総会において御発言あるように希望申し上げまして、林百郎君に質問を許します。林君。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 電通関係の方にお聞きします。今度見返り資金を債務として返済しなければならないということになつておりますが、電通関係に投資されている見返り資金については、将来もし返済するということになると、どういう方法でこれを返済することをお考えになりますか。
  89. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 お答えいたします。電気通事業の方に見返り資金の入りましたのは、昭和二十四年と二十五年でございます。二十四年におきましては、公債を発行したのを見返り資金特別会計で引受けていたわけでございます。私どもの方は、ただ公債ということだけになつておりますので問題はないことと存じます。それから二十五年におきましては、見返り資金が入つて参つりましたが、それはグラーントとして、私どもの方に自己資本の増として入つております。私どもの方の会計処理は繰入れ資金として出入りしてりおりますので、これにつきましても返還という問題は起らないと信じている次第でございます。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこの見返り資金は、日本の電通事業における外国資本の持分という形で、将来これが発言権を日本電気通事業に持つて来るということは考えられませんか。たとえば一九四九年にCCSから出している不還負債証書というような形にして、讓渡を自由にするという形で、電気通事業を見返りとして出された負債証書を、見返り資金担当分だけアメリカが持つという形は出て来ませんか。そういうことは考えられませんか。
  91. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 お答えいたします。昨年見返り資金からグラーントとして繰入れますときに、今お尋ねのような不審もややあつたようでありまして、大蔵省の方でその筋に伺われたようでありますが、そういう点は心配ないということになりまして、私どもの方は今お尋ねのような心配はないものと存じております。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると一九四九年CCSから出されたこの電気通事業に対する勧告については、電気通信省としては、全然考慮の余地なしとしてこの方針については実施方を考えておらないのですか。もしこれが何らか実施を考慮しなければならないということになれば、当分はそういう時代があつても、将来はやはりこれが外国の資本として導入されている見返り資金について、自己資本並びに国債という形で入つておるものは、電気通事業の見返りとして出された債務なりそのほかに肩がわりされて、向うが発言権を持つて来るように考えられますが、このCCSの勧告については、あなたの言われるように、勧告こそあつても何の心配もないといつて無視しておられる気ですか。私たちの聞いているところによるとCCSの勧告については、綿密な計画のもとにこれを着々実行しているというような実相を聞いておりますが、どうですか。
  93. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 CCSからからいろな勧告を受けまして事業の経営をやつて来たのは事実でございます。私どもの方の事業の経営のやり方につきましては、いろいろと新しい面から指導を受けましたが、このグラーントとして入りましたものにつきましては、CCSからは別に何らの指示も受けておりません。従いまして電気通信省といたしましては、何らの懸念も持つておりません。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 大分楽観的なことをおつしやつていますが、将来事態は私の心配するのがほんとうになるか、あなたの言うような手放しの楽観が許されるかが問題だと思います。  そこでお尋ねいたしますが、電気通事業の公社化、要するに日本国有鉄道と同じような公共企業体にする、場合によつてはかつて満州電信電話株式会社というような会社を日本が満州国に持つておりましたが、ああいうような私企業の形にする、こういうことはCCSにちやんとあるわけですが、このことについては電気通信省では考えておらないのですか。
  95. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 今のお尋ねは、CCSで考えておるのと日本考えておるのと関連性があるかというようにもちよつととれるのでございますが、そういうことは一切私どもは関連性はないと考えております。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、CCSの中には、将来日本電気通事業を公社あるいは私企業的な方向へ持つて行けという勧告があつたかどうかということが一つ。もう一つは、これと別個か、関係があるかは別として電気通信省としては電気通事業について公社あるいは純粋なる私企業としての形態を持つことを検討されておるかどうか。
  97. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 現在CCSはありませんが、CCS勧告のときに、そういうことも将来考えられる線ではあろうというようには私たちも聞いておりますけれども、そうしなければならないとはつきり固まつたものはないのではないかと思う。現にその後一応の案として、公社ということを研究してみようと思うがという意見を向うにたたきましたときに、先方では、それはまだ時期が早い、そのことは見送つたがいいといつたような、言葉は違いますが、そういうサゼスチヨンを受けておるくらいでございます。それから電通省自身としましては、現在機構改革の問題もございますので、新聞に伝えられるがごとく公社ということに相なりますならば、その線をわれわれはとらなければならぬと思いますが、研究はしつつあります。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 私の心配しておるのは、あなたもおわかりだと思います。CCS勧告が出たころは、公企体にする、あるいは私企業にするということには、電気通事業の内容が十分採算のとれるような健全なものではなかつた。だからまだする時期ではない。そこで郵政事業電気通事業を分離したし、電気通事業の中で、さらに経営の合理化のためにどういうように事業をやつて行くか、どういうような行政機構にするか、資産をどういうように評価するかということで、その後いろいろこまかい問題について指示が出て来ておる。そうして大体公企体、私企業として採算がとれるということになると、初めて向うから考えろといつて来ると思う。それからCCS勧告が来たころ、そしてこちらからお伺いを立てたころ、まだ早いと言つたからといつて、向うが公企体あるいは私企業にすることは考えていないとは言えない。私が憂えておるのは、電気通事業を公企体あるいは私企業にしてそこに入つて来るものを讓渡可能な債権という形で向うが持つ、従つて講和後も日本電気通事業について十分な発言権を持つ、そういうことを向うは考えておるのではないかということを非常に心配しておるのです。ですからその点について私が今御質問しておるのであります。  さらに、別な観点から質問したい。特需固定関係で、昨年度の歳入欠陥三十一億のうち、終戰処理費関係、国連軍関係の納入延期を受けておるものは、金額にしてどのくらいありますか。
  99. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 昨年度の進駐軍関係と国連軍関係の収入についてのお尋ねでありますが、これは債権を確定いたしますのにて手間取りましたので、今別によく調べませんと、はつきりした数字はお答え困難でございますが、十七、八億くらいの調定ができない事態があつたと記憶いたします。しかしながら現在においては、もうほとんどその全部が入つておりまして、順調に経理は進んでおります。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方の資料によりますと、二十七億円の歳入欠陥が二十六年度にはあつた。これが電気通事業の経営に非常に大きな重圧を加えて来ておるということを聞いておるのであります。  次に一言だけお聞きしますが、今連合軍関係に使われている回線の数、それから回線数のパーセンテージ、またアメリカ軍のために使われておる大体の人員をお聞きしておきたいと思います。長距離関係だと回線数三〇%以上は向うが利用しておるのじやないか。人員からいうと、大体三万から四万近くが、連合軍用のサービスに使われておる。しかもこの日当はこちらが全部払うのであつて、ただ超過勤務手当だけを向うが持つておる。それから電話料については高過ぎる安過ぎるというようないろいろ問題があつて、なかなかこの支払いが遅れておる。また向うの軍関係の命令で保守を命じて来る場合には、非常に厳重に期限が限られて、優秀な材料を使わなければならない。しかもその材料の値段について、電気通信省側と軍関係の間に評価が違つて来る。また納める資材についても、昔買つたころの値段で納入しなければならないというようなことで、特需関係あるいは軍関係の仕事のため一に、電気通信省では非常な犠牲を背負つておる。このために赤字を余儀なくされておるというようなことを、われわれは調査の結果持つておるのであります。従つてこういう回線を向うが利用しておる率、それから電気通信省の従業員の関係で向うのサービスに使われておる人たちを、将来行政協定によつてこれをどういうようにとりきめて、日本電気通事業日本の国家事業としての自主性をとりもどすことを考えておるか、ぜひ聞いておきたい。聞くところによると最近の電気通信省の中における不正事件とか何とかいうものは、もちろん不正じみたことがあるかもしれないが、むしろこういうことを真剣に考え電気通信省の首脳部連中を、汚職というような汚名のもとに——今どきの役人ですから、汚職というようなことで掘れば何かもやもやしたものが出るのはあたりまえですが、これを口実に、電気通事業の自主性をとりもどしたいとまじめに考えておる人たちに、彈圧を加えて来ておるということすら聞いておる。従つて電気通信省の自主性を日本ほんとうにとりもどすかどうかということは、非常に重要な問題であると思うのであります。これについてはもちろん電気通信省側から、行政協定についての希望意見も出ておるということも聞いておりますが、将来行政協定についてどういうことを希望しておるかということ聞いておけば、われわれこれから外務委員会なりほかの委員会で、電気通事業が自主性をとりもどすという点では、あなた方に協力できると思いますから、率直に聞いておきたいと思います。
  101. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 ただいま軍側に專用せられておる回線が現在三割程度、人員が三万とか四万とか仰せられたのでありますが、私どもの調べではそんなにはなつておりません。これの数字をパーセンテージだけで申しますことも、始終いろんなことでかわつておりますから、資料としては十分につかみ得ないのでありますが、しかし軍に提供しておるものの割合は、今おつしやつた数字よりははるかに下まわつておると考えます。それから先方に提供いたしております人員は約二千人でございます。仰せられた三万とか四万というのは、それはもちろん公衆通信も扱つておりますから、その中継所とか、あるいは電話局、電信局の中には、日本の公衆電話の線もあるが、また向うの線も入つておる。それを一緒に保守したりなんかしておるものもありますから、それをあげて来れば相当大きな数字になりますが、それは料金も相当割のよい料金をもらつておるのが事実であります。現実に向うの手助けのために提供しておる人間は約二千人であります。これに対しましてはわれわれの方は一文も経費を負担することなく、先方から経費をもらつております。それから全体的に申し上げまして、ただいまのあなたの方の御調査がどういうところから、どういうふうにおとりになつたか存じませんが、大体において食い違つておると考えます。仕事の上において少しでもレベルを上げるように要求はされております。しかしできないことはできないと言つてつております。一般の公衆経営にも、よいことであればわれわれも努力してそれだけのサービスは上げるように努力しておりますが、より以上に進んだような圧迫、あるいはさらに今残念ながら起つておりますところの汚職に、何か軍側の圧力があるかのごとく、聞き違いかもしれませんが伺つたのでありますが、そういうことは私の知つております限り、みじんもないということを断言いたしたいのであります。  それから行政協定についてどう考えるか。これはなるほど今まで占領下いろいろなことで、日本の国内にないようなサービスも間々要求されて参りまして、ある程度応じておるものもございますが、こういうものはできるだけ日本の国内サービスと同じサービスの線に、またレベルも同じレベルにおいてやるように、いわゆるあなたのおつしやいました自主権を完全にとりもどすことに対しては、深い配慮と熱意を持つておるわけであります。まだ先方と何ら折衝する時期になつていないのでありますから、折衝はいたしておりませんが、決意だけはさように持つておるわけであります。
  102. 淺利三朗

    淺利主査 これにて昭和二十七年度一般会計予算昭和二十七年度特別会計予算、及び昭和二十七年度政府関係機関予算中、運輸省郵政省電気通信省所管及び建設省所管について、本分科会における質疑は全部終了いたしました。  江崎真澄君より発言を求められております。
  103. 江崎真澄

    江崎(真)委員 この際動議を提出いたします。本分科会において審査いたしました昭和二十七年度一般会計予算、同じく特列会計予算及び同じく政府関係機関予算中の運輸省所管郵政省所管電気通信省所管、及び建設省所管についての討論採決は、これを予算総会に讓られんことを望みます。
  104. 淺利三朗

    淺利主査 江崎君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 淺利三朗

    淺利主査 御異議なければさように決定いたします。よつて分科会で審査いたしました部分についての討論採決は予算委員会に譲ることに決します。  なお予算委員会における本分科会の主査の報告につきましては、主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 淺利三朗

    淺利主査 御異議なきものと認めまして、さよう決定いたしました。  委員各位連日の御心労を深く感謝いたしまして、これにて散会いたします。     午後一時二十五分散会