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高橋(衞)
政府委員 昨日滞納整理の問題、酒の密造の取締りの
経費に関する問題並びに納税宣伝に関する問題について御質問があつたようでありますので、大体大綱について御
説明申し上げたいと思います。滞納の税額は、
昭和二十四
年度から二十五
年度に越します際におきましては、繰越した滞納額が実に千二百五十八億円という厖大な
金額になりまして私
どもその前途について非常な心配をいたしたのであります。その後二十五
年度中においても
相当努力いたしましたが、結局その
金額並びに件数もそれほど減少することができなくて二十五
年度から二十六
年度に越しました繰越し滞納税額は九百四十五億円、件数にいたしましてたしか七百二十万件くらいの件数を算したのであります。そのほか次々と新しい滞納もできて参りますので、新
年度の滞納と加えますと、毎月千億以上の滞納がずつと持ち越して参つたという
状態でございました。何とかしてこの滞納の税額並びに件数を一日も早く整理いたしまして、そうして昔の納税成績のよかつた時代の大体の標準、
課税額に対して五%
程度になれば大体平常の
状態になると思うのでありますが、そういうふうな
状態に持ち来したいという観点からいたしまして、各種の
努力をいたして参
つたのであります。そのうちで最も新しい方法として採用いたしましたのは、これは外国語を使
つて恐縮でありますが、一昨年の暮れから渋谷の税務署で試みにアメリカにおけるところのいろいろな方法に
示唆を得ましたところのインターナル・コントロール・システムというのを採用してや
つてみたのであります。その結果が非常に好成績を上げましたので、結局これを全国の大きな税務署、三百八十
程度の税務署について昨年の七月からこれを実施に移すということをいたしたのであります。この方法は、従来各納税者について、実は税目ごとにまた各納期ごとにそれぞれ滞納が残
つておるのが、なかなか件数が多いというような
関係で、名寄せができなかつた、一人の人についての全部の滞納、また各種の税についての滞納額が一体幾らあるかということについてのほんとうの整理がなかなかできにくいという
状況にあ
つたのであります。これをまず第一に完全に整理するということ、また従来は個々の税について納税者たちに臨んで資力の調査をして、そうして財産の差押えをするとか、または納税のお願いをするとかいうことをいたしたのでありますが、そういうようなことをいたしておりますと、まず第一になかなか現在の人手をも
つては全部を整理するのに非常に非能率的になるのであります。それで税務署においでを願うことは非常に恐縮ではありますが、やはりこれは順序よく税務署においでを願
つて、どうしてそういうふうな滞納にな
つたのであるか、その原因をよくお伺いする。また税務署においでを願えば、賦課
関係についてたいへん御不満があつたり、また誤りがあるという場合におきましては、税務署には賦課
関係の直税
関係または間税
関係の
職員もおります、また首脳部がおりますので、直接そういうふうなところで十分
お話を伺えば、そういうふうな誤りを訂正し得る機会もあるというような観点からいたしまして、そういうふうな整理された名簿に基いて、順序よく毎日税務署においでを願う。号そうして個々の方によくそれらの御不満なり、また間違いがあるかないかということを確かめた上で、滞納税額についてお納めを願うということについての御
努力を要請するということをいたして参
つたのであります。言いかえますと、その人の資力に応じて、いつ納めていただけるかということを誓約をしていただきまして、それの実行をお願いして参
つたのであります。その結果、いずれも過去についてのいろいろな御不満なり誤謬なりがその機会に訂正される場合が多いようでありますから、滞納件数についても
相当大きな効果を上げて参つたと思うのであります。それでその結果といたしまして昨年の十一月末におきましては、滞納の税額が七百三十八億であります。件数にいたしましてたしか四百七十万件
程度だと記憶しておりますその
程度まで減少することができたのであります。それで十二月末におきましては、納期も到来したものがあります
関係で、例年十二月末は滞納税額がふえるのが実情ではありますが、遺憾ながら昨年におきましても、また幾分
増加いたしまして税額八百二十九億円、件数において五百三十二万件、幾分
増加をいたして参りました。しかしながら先ほど申し上げましたインターナル・コントロール・システムにおきましても、漸次各税務署がその
仕事になれて参りまして、
仕事についての能率も上
つて参りました。従
つて今後漸次その能率が上
つて参りまして、おそらくは今年の秋末ごろには、この
金額がさらに
相当大幅に減少し得るであろうという明るい希望を持
つておる次第であります。かりにこの
金額が三、四百億
程度ということになりますと、賦課されるところの税額が、どうしても七千億近くになるのでありますから、それに対して五%
程度の税額、すなわち大体平常の
状態の税額になる。そうすれば、軒並みの滞納者があ
つて、滞納の整理に苦しむこともなくなるでありましようし、何とかしてあらゆる
努力を傾注して、今後その方向に進んで行きたい。そうして一日も早くそういうふうな
状況を持ち来したいというふうに考えて
努力をいたしておる次第であります。第二の点、密造の取締りにつきましは、各
年度における密造取締りの
経費を簡單に
説明申し上げますと、
昭和二十四
年度におきましては三千五百万円を計上いたしてお
つたのであります。二十五
年度においてそれを五千三百万円に増額いたしました。さらに二十六
年度におきましては八千五百万円に増額したのであります。ただ二十六
年度におきましは、当初
予算は八千五百万円でありましたが、
政府全体の実行上の節約という
意味をもちまして、五%の節約をされましたために、結局七千七百八十八万円という
金額でも
つて実行するということに相な
つたのであります。しこうしてこれらの
経費をも
つて密造取締りのために出動したところの
人員、並びに検挙の件数を簡単に申し上げますと、取締りのために動員いたしました
人員は、二十四
年度におきましは八万六千人、二十五
年度におきましては十八万六千人、二十六
年度におきましては、これはまだ最近までの
数字でありますが、二十二万九千人というふうに
相当増加して参
つております。これは二十六
年度一ぱいを経適すれば、さらに
相当人数が上ると思
つております。なお検挙件数を申し上げますと、二十四
年度が二万三千件、二十五
年度四万六千件、二十六
年度はまだ
年度途中でありますが、すでに四万八千五百件と相な
つております。告発件数を申し上げますと、二十四
年度が、告発をいたしまして検察庁に送付いたしましたものが、四千件、二十五
年度が七千百件、二十六
年度は実に今日までに二万一千三百件告発をいたしております。さらに二十七
年度におきましては
経費を総額一億六千万円計上をいたしておるのであります。これらの
経費によりまして、たとえば密造取締りについて最も大きな
経費を要しまするのは、これらの密造に動員いたしますためのトラックの借上料でありますとか、または押収物品を運搬いたします人夫の
経費であるとか、またはその際におけるところの作業費であるとか、写真またはアルコールの度数計であるとかなどいろいろずいぶんたんさんいるのでありますが、そういうようなもの、並びに動員いたします税務
職員の旅費その他に振当てる次第であります。税務
職員の数が行政整理によ
つて相当減少にな
つたのでありますが、密造
関係の
職員につきましてはほとんど減少しないで、他の方面でできるだけ
人員の減少をいたしまして、密造の
職員については従来減少することはできるだけ避けまして、この増額された
経費によ
つて、最も効率的に密造取締りの完遂を期したいと考えておる次第であります。
第三に、納税宣伝費につきましては、御
承知の
通り私
ども税務官庁側といたしましては、納税者に信頼をし、また納税者の信頼を得るという相互の信頼
関係に立
つて、税務行政の
改善を企図いたしておるのでございますが、どうしても納税者の方によく税法をわか
つていただいて、納税
事務を完遂するような意欲を持
つていただくということが、絶対に必要なのでございます。そういうふうな趣旨をもちまして、納税宣伝をずつとや
つて参つたのでございますが、その
経費といたしましては、二十六
年度は九千万円、二十七
年度は実は減額いたしまして五千万円という
金額に相
つておるのであります。これは納税宣伝自体を軽視したということじやなしに、何とかして納税宣伝の方法をもつと能率的な方法に切りかえて行きたいということで減額いたしたわけでございます。それでこれは
経費に全然
関係なしに、実は納税宣伝のことを私
ども相当努力いたしておる事柄があるのでございます。それは一昨年ごろでありますが、約二年あまり前に、従来パンフレットとかいろいろな印刷物を納税者の方にお配りいたしたのでありますが、役所で配りますと、どうしても文章もうまくない、意匠もあまりよくない、また役所から配られたものは、何としてもなかなか読みにくいもので、従
つてすぐ読まれずにくずかごに捨てられるというふうな
状況でありましたので、これは何とかして納税者の方がわずかでもいいから自分でお金を出して読んでいただくという意欲を持
つていただくというふうなことができぬだろうかという観点からいたしまして、納税知識の普及宣伝という趣旨をもちまして、税のしるべという刊行物を出すことにいたしたのであります。この企画が
相当成功いたしまして、現在では約四十万部
程度、月に二同ずつ出しておるのでありますが、一箇月十円というきわめてわずかな、安い
経費でございますが、とにかく金を出してお買いになるということ並びにそういうことのために何とかしてお読み願いたい、また売れるようにやりたいという趣旨をもちまして、記事の
内容その他についても、非常な勉強をいたしました結果といたしまして、何とはなしにそういうような点についても
相当大きな効果をあげているように見ておるのでありますこの税のしるべに関しましては、もちろん今後値段を上げるというようなことは毛頭考えませんで、紙代その他の
経費も
相当値段が上
つて参りましたけれ
ども、もしも不足がある場合におきましては、官庁の
経費によ
つてある
程度補填するような心構えをも
つて内容もさらに
改善をし、さらに納税宣伝の効果を上げる方向に
努力して行きたい、そういうふうな、つまり
経費の問題じやなしに、何とか創意くふうをこらして、納税宣伝というものを効果あらしめるという方向にぜひ推進して行きたい、そういうふうに考えておりまするので、二十七
年度におきましては、
金額としては約半額に減少はいたしましたけれ
ども、私
どもはこれでも
つてより以上の効果のあるところの納税宣伝の実効を上げたいというふろに考えておる次第であります