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1952-02-21 第13回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十一日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席分科員    主査 有田 二郎君       飯塚 定輔君    小坂善太郎君       永井 要造君    西村 久之君       井出一太郎君    川島 金次君       世耕 弘一君  出席政府委員         宮内庁次長   宇佐美 毅君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      龜徳 正之君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         国税庁長官   高橋  衞君         印刷庁長官   吉田 晴二君  分科員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      久米 武文君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         大蔵事務官         (主計官)   白石 正雄君         大蔵事務官         (主計官)   大庭 金平君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      田所 正幸君         大蔵事務官         (造幣庁総務部         会計課長)   面   實君         会計検査院事務         総長      池田  直君         会計検査院事務         官         (事務総長官房         会計課長)   高橋  豊君         最高裁判所事務         官         (事務総局経理         局長)     吉田  豊君         日本専売公社理         事         (経理局長)  内藤 敏男君         衆議院参事         (庶務部長)  山崎  高君         参議院参事         (事務次長)  芥川  治君         裁判官彈劾裁判         所参事         (事務局長)  隈井  享君         国立国会図書館         参事         (管理部経理課         長)      武内時之助君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所会計検査院及び大蔵省所管  昭和二十七年度特別会計予算大蔵省所管  昭和二十七年度政府関係機関予算大蔵省所管     ―――――――――――――
  2. 有田二郎

    有田主査 第一分科会を開会いたします。  昭和二十七年度一般会計予算大蔵省所管昭和二十七年度特別会計予算大蔵省所管昭和二十七年度政府関係機関予算大蔵省所管を議題といたします。質疑を継続いたします。  昨日日本銀行開発銀行国庫納付金について、資料を要求し、答弁を要求しておいたのですが、これに対して河野政府委員から御説明を承りたいと思います。
  3. 河野通一

    河野(通)政府委員 昨日御要求になりました、日本銀行経理及び日本開発銀行経理内容について御説明申し上げます。  日本銀行納付金関係する経理でありますが、これは御承知のように納付金の時期がずれますために、二十七年度予算に載つております納付金対象になります事業年度は、二十六年の下期と二十七年の上期ということに相なるわけであります。二十七年の下は、二十八年度会計年度一般会計収入に相なるわけであります。納付金年度中心にしてお話申し上げることになりますので、従いまして、ここで二十七年度と申しますのは、日本銀行事業年度から申しますと、二十六年の下と二十七年の上、それから二十六年度と申し上げますのは、二十五年の下と二十六年の上、こういうふうに御了承願いたいと思います。二十六年度は、日本銀行におきまして経営収益は二百二十九億であります。それに対して、人件費でありますとか、あるいは銀行券製造費でありますとか、そういつた経費が八十七億であります。差引いたしまして百四十二億の一応の利益、こういうことに相なるわけであります。このうちから、貸倒れ準備金その他の内部留保に充てますために四十四億を積み立てます。その積み立てた結果、留保した後の剰余金が九十八億、こういう数字になります。このうちから納付金として約八十四億、正確に申し上げますと八十三億九千万円であります。そのあとの残額を一般積立金及び配当金、それらのものに充てて参ります。これが今納付金年度で申し上げた二十六年度日銀経理であります。納付金年度で申し上げます二十七年度につきましては、これに予算でありますから、はつきりした数字は予想に属するところが非常に多うございますが、一応立てておりますのは、経営収益が二百六十三億、経費が百三十五億、差引百二十八億、そのうちから内部留保といたしまして約三十億を予定いたしております。内部留保は、二十六年度に比較いたしまして若干少く計上いたしておりますが、三十億を見ております。差引いたしまして剰余金が九十八億、納付金が、一応前年度同額程度と見込みまして八十三億九千万円、残りの十四億九千万円ばかりのものを、積立金配当金その他に充てるわけであります。今申し上げましたように、二十七年度と二十六年度を比較いたしますと、経営収益におきまして、二十七年度において増額いたしますことを予定いたしておりますが、それにもかかわらず納付金が同じ金額になるのはおかしいじやないか、こういう点があるのじやないかと思うのでありますが、この点は結局は、経費が二十六年度におきまして八十七億程度でありましたものが、百三十五億というふうに非常にふえている点にあると思います。この内訳は、第一に経費としてふえましたものは税金であります。これは収益が非常に年々上つて参ることを予定いたしまして、二十六年度に比較して税金の要納付額が大体二十七、八億円増加いたすと見込んでおります。それから銀行券製造費、これは紙の値上りその他の関係から、約九億余の増加を予定いたします。そのほか工事費とが、一般事務費等につきまして若干の増加が見込まれますので、これらを合せまして約四十億程度経費の増、こういうことになるわけであります。残りの約八億程度のものは、先ほど申しました税金二十七億の中には 一応予定される限外発行税も入つておりますが、さらに今後の情勢次第によりまして限外発行税相当多額に納めなければならぬような事態になるかもしれない、そういうようなこと等も考えまして、八億程度予備費として計上しております。ただいま御説明申し上げましたように、ごく普通の考え方から申しますと、経営收益相当増加すれば、それに応じて納付金増加するのが普通の筋かと思うのでありますが、内訳は今申し上げましたようなことで一応予算を立てておる次第であります。  なお日本銀行性格からいいまして、これが国の財政に直結いたしております点は、皆さん先刻御承知通りのところであります。経費節減にさらに一層努め、できるだけ機構縮小等もはかりまして、出て参ります余裕を納付金増加に充てるように、今後といえども努力をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。ただ発券銀行としての日本銀行の特殊の建前から、内部留保と申しますか、要するに発券準備としての自己資本の充実という観点から、留保をできるだけ厚くいたして参るということも、中央銀行たる日本銀行の性質からいつてまた当然かと思うのであります。これらの点を両面にらみ合せながら、一方で経費節減をはかり、内部留保をできるだけ厚くすることによりまして、さらに国家財政に対する寄與をできるだけ多くして行くという配慮のもとに今後は指導して参りたい、さように考えておる次第であります。  次に日本開発銀行の収支であります。お手元に資料としてお配りしてあります開発銀行納付金、二十七年度は約六十億ということに相なつておるわけでありますが、この出て参ります基礎の数字を御説明申し上げます。二十七年度は、貸付金利息が約八十四億一千万円、有価証券利息その他が九千万円、雑収入が千三百万円、合計いたしまして八十五億二千八百万円、こういう数字に相なります。それに対して支出が、事務費といたしまして六億八千九百万円、借入金の利子、これは今後見返り資金その他から借り入れることを予定しておりますが、これらの利子が七千三百万円、予備費といたしまして、二十六年度には六千万円を組んでおりますが、これを二十七年度におきましては二億五千万円、これは不時の経費支出に充てますために予備費として計上いたしております。これを合計いたしまして十億一千二百万円、こういう数字に相なります。先ほど申し上げました収入からその経費中心とした支出差引きまして、七十五億一千五百万円というものがいわば利益金、普通の事業利益金とは違うかもしれませんが、一応收入から支出を引いた差引利益金ということに相なるわけであります。この利益金のうち二割を銀行積立金貸倒れ準備金その他の積立金として積ませることにいたしまして、八割を国庫に納付する、こういうふうな制度で日本開発銀行法改正の提案をいたしたいと考えておるのでありますが、これによつて計算いたしますと約六十億というものが納付金という計算になるわけであります。納付金六十億と算出いたしました根拠は、今申し上げましたようなことであります。
  4. 有田二郎

    有田主査 さらに銀行局長にお尋ねしたいことは大体この開発銀行の六十億は納得できるのですが、日本銀行の八十三億ということについては、大体先般も一万田日銀総裁が、日本銀行利益が多過ぎるということは、たくさん出るということは喜ぶべき現象でない、かように私の質問に対して答弁しておつたのでありますが、まつたくその通りでありまして、一応政府国立銀行なのでありますから、社内保留する金があるなら、今日国民は重税で非常に困つておるのであつて、一銭でも国庫納付をして、国民の負担を軽減する、その他日本開発銀行と比較してみて、経費の点で非常に多過ぎる、これは大まかな目で見て言うわけでありますが、そういう感を受けるのでありますが、銀行局長としての御所見を承りたいと思います。
  5. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。日本銀行経費が非常に厖大であつて、いわゆるむだ使いいたされておるのではないかという点でございます。これはたびたび有田さんからはおしかりを受け、私もいろいろな機会で御答弁を申し上げておるのでありますが、極力経費節減については努力をいたして参つたつもりではありますし、今後におきましても、この点は努力を進めて参らなければならぬと思います。経費節減につきましては、日本銀行職員の数が多過ぎるじやないかという点がまず第一点であります。この点はたびたび御指摘を受けおる通り、戰争前の数字に比べましてきわめて大きな膨脹をいたしておることは事実であります。この原因はいろいろございますが、特に国の関係事務、たとえば外国為替事務でありますとか、あるいは国庫事務であります。そういう国の事務を取扱わせる部面が非常に多いために、相当人員がふえて参つておるということはございますたとえば今外国為替管理委員会仕事日本銀行で事実上取扱つておりますが、これは実は政府仕事であつて外国為替管理委員会に十分なスタツプがそろつておれば、日本銀行がこれを特に取扱う必要はないのでありますが、今はごく簡素な形で外国為替管理委員会というものが構成されております。事実上の下請の仕事はほとんど全部日本銀行でやつておる、これに従事いたしております者がやはり数百人おるわけであります。一例でございますが、そういうふうなことで、ただ普通の銀行と違いまして、事務量から言いますと、人数が多いというふうな点もございますので、今申し上げましたような理由もあることをひとつ御了解いただきたいと思います。しかしいずれにいたしましても人員をできるだけ縮減して、能率を上げて、これによつて出て来る経費節減と国の納付金増加に充てるということは今後といえども一層努力をいたさなければならぬと考えております。現に機構につきましては、今年の初めに五つの事務所を廃止いたしまして、これによつて相当人数も浮きましたが、この方針で機構及び人員の整理につきまして、さらに今後といえども強力に指導いたして参りたい、かように考えておる次第であります。  次に職員給與でありますが、この点もたびたび御指摘を受けている。日本銀行職員給與は非常に高いのではないかという点が御指摘を受けているわけであります。この点は現在調べてみましたところによりますと、年に何回か出ます賞與を月々の計算に組み入れて、定例給與に組み入れて、これは適期ベースというようなことを言つておりますが、賞與を組み入れた計算で一人当りをはじいてみますと大体一万八千円程度になつております。市中の大銀行給與ベースが今申し上げましたような適期計算で二万円前後であるかと思いますが、まあそこらあたりから比較いたしまして、もちろん国家公務員給與ベースに比較いたしますと相当高いのでありますが、一般事業界、ことに金融機関等から比較いたしますと、必ずしも高いとも考えられません。また一般金融機関以外の事業会社給與ベースに比較いたしましても、人員の構成、たとえば学歴、年令、そういつた点を考慮いたしますと、今のところ特に高過ぎるということもないかと考えております。ただ職員に対する住宅等厚生施設の点が、日本銀行といたしましては相当に整備されております。これらの点から金銭上の給與以外に、そういつた厚生施設から来る利益というものは、これは計算なかなかむずかしいのでありますが、相当ゆたかに施設されていることは事実であります。これは過去におきまする住宅事情その他からすでに過去において施設されたものであります。現在においては全部これはさしとめてございます。またその職員厚生施設を使用いたしまする代価、家賃と申しますか、そういつたものが非常に安いという御非難もたびたび承つておるのであります。これらの点につきましても十分検討いたしまして、適当なるところまで引上げるように指導いたして参りたい。かように考えている次第であります。  なおただいま有田さんからお話がごが、内部留保を厚くする問題であります。これはもちろん程度の問題でありまして、非常に納付金金額を減らしてまで内部留保を厚うするということはいいとも考えておりませんが、現在日本銀行は四千数百億の発券に対して資本金はわずかに一億というようなことになつているわけであります。このバランスがとれておらないことは十分皆さん方もおわかり願えると思うのであります。これがためには資本金という形における金額にかかわらず、広い意味発券準備になりまするほんとうの意味自己資本を充実することは、これはどうしても必要であろうと思う。もちろん程度の問題でありますが、内部留保金額はそんなに多くする必要はないという御意見もあるかと思いますが、今申し上げましたような発券銀行としての特質から言いまして、ある程度厚く準備を積むということは、公称資本金が現在一億という数字にすぎないという点を考えまして、程度の問題ではありますけれども相当厚く内部留保を積んで行くことが必要であろう、かように考えている次第であります
  6. 有田二郎

    有田主査 さらに銀行局長にお尋ねいたしたいのでありますが、私一昨年の八月に国政調査のため大阪に参りました。日本銀行大阪支店文書課長給與は、一昨年の八月で五万数千円、ボーナスが一箇年通算して十一万円という状態でありまして一般公務員と比較してまず四倍、五倍の給與である。しかるに家賃公務員が一坪六十五円なのに対しまして日本銀行職員家賃は坪が四円と六円と八円で、約十分の一であります。給與公務員の五倍をとり、家賃は十分の一という状態を発見して、銀行局注意をいたしたのでありますが、漸次それからよくなりつつあることは事実でありますが、なお今日一坪二十何円、四円、六円、八円を値上げして二十何円と承り、さらにまた結婚をする場合もその費用は全部日銀から出る。葬式費用も全部日本銀行から出る。今銀行局長厚生施設が非常にぜいたくであるというお話でありましたが、まつたくその通りであります。こういう場合において、さらに主税局調査課長龜徳政府委員にもあわせてお尋ねしたいのでありますが、こういう葬式代銀行から出す場合、結婚式の費用銀行から出す場合においては、これは所得に入りますか、損金に落すのか、これもあわせてお尋ね申し上げます。まず銀行局長から御答弁を承りたい。
  7. 河野通一

    河野(通)政府委員 税の問題はあと主税局の方からお答え申し上げると思いますが、今お話の点まことにごもつともなことでございます。今後微力ではございますが、極力御趣旨の点は十分完徹いたしますように努力をいたして参りたいと思います。  なお家賃の点は、先ほどちよつと申し上げましたが、さらに大幅の引上げを近く実施させることにいたしたいと考えておりますので、今どの程度ということをちよつと申し上げかねますが、相当大幅に引上げて参りたい、かように考えております。
  8. 有田二郎

    有田主査 私は日本銀行職員給與が高いとは決して考えていないのであります。おそらく普通であろうと思うのでありますが、国家公務員給與関係方面示唆もあり、また日本の経済とにらみ合せて今日非常に押えられている。国家公務員耐乏生活を強要されているのにかかわらず、日本銀行が普通の平時並給與をもらつているということはアンバランスである。私はかような見解をとるものでありますが、さらにその点について河野政府委員の御答弁を承りたいと思います
  9. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。日本銀行国家的な機関でありますことはもちろんであります。しかしながらこれは完全に政府機関というわけでもございません。現に日本銀行よりもさらに政府機関的色彩が強いといわれておりまする日本開発銀行日本輸出銀行につきましても、これも御承知のように国家公務員と同列の給與ということにも相なつておりません。従いまして私どもといたしましては、必ずしも国家公務員と絶対的に水準が同じものでなければならぬというふうにかたく考える必要はないのではないか。しかしながらそれにいたしましても、普通の営利会社と違うことは御指摘通りであります。これらの日本銀行としての性格本質等にかんがみましておのずから給與水準というものもきまつて参るものと考えております。そういう意味で、現在の給與が高いか安いかという点につきましては、いろいろ御見解もあろうかと思いますが、少くとも国家公務員と同じベースでなければならぬということにはならぬかと私は考えております。
  10. 有田二郎

    有田主査 国家公務員と同じベースでなければならぬとは私も考えていない。しかしあまりひど過ぎる。アンバランスであり過ぎる。国家公務員給與が今日非常な安いところに押えられているのにかかわらず、日本銀行普通並である。しかもその間の開きが相当あるのに、結婚したら結婚費用日銀で持つ、あるいは葬式が出たらその葬式日本銀行で引受ける。これが私は妥当であると考えられないのです。これについてこれは損金として認めるのか、やはり所得として考えられるのか。この点について龜徳政府委員説明を承りたい。
  11. 龜徳正之

    龜徳政府委員 お答えいたします。日本銀行からその行員に結婚費用、あるいは、なくなりました場合に葬儀費用を出す、それがどういう形で行われているか、実は私詳しくは承知しておりませんので、今銀行局総務課長から伺いました状況によりますと、共助会というものができておりまして共助会から何か支給する、そうして共助会日本銀行補助金を出すというような形になつているようであります。この共助会に対して日本銀行の支給いたします補助金を、金額経費として認めているか、あるいはその一部を否認しているかという点が問題かと思うのでありますが、この点一部否認しているやに聞いているという総務課長お話でございますが、なお正確にお答えするためにちよつと調べさしていただきたい。なお結婚費用をもらいました場合はもらつた側からいえば当然一時所得として課税対象になる。ただ葬儀費用は香典その他が非課税になつておりますので、その点共助会から少額程度を香奠としてもらうというのであれば、もらつた方にもこれは課税できないのではないだろうか。ただ結婚費用につきましては一時所得として課税対象になる、こういう関係になろうかと思います
  12. 有田二郎

    有田主査 この共助会が問題のところであつて、先般坂田日銀監理官ができましたときにもこの共助会が一番問題になつたのでありますが、日本銀行から共助会に金を入れて共助会がいろいろな名目で費用を出している。するとここで所得がこまかされるという例が幾多あるのでありまして、これはもうひとつ東京国税局の方でもしつかり調べてもらわないといけない点だろうと思う。ですからまた銀行局長日銀監理官を兼務しておられるわけでありますから、この共助会のあり方についてひとつ河野銀行局長の手腕によつてこれをある程度アンバランスをなくする。公務員給與がよくなつて来て、日銀給與が平均してよくなつて来ることはわれわれ決して異存はないわけですが、今日日本銀行は非常な権力を持つてローマ法王庁といわれるくらいの権力を持つて、しかも給與がいい。しかも家賃が安い。そうして出て行くときにはどんどん各銀行の頭取とかいろいろなところに出て行く。国家公務員は二箇年間それに関係したところに就職することができない。こういうようなことを考えて、国会議員としてこれを考えてみると、あまりにアンバランスであるという感を受けるのであります。従つて日銀としては当然自粛なさるべき点が多々あるのじやないか、こう考えるのでありまして、もう一度重ねてではありますが、河野銀行局長のこういう点の共助会の点もあわせて御答弁を賜わりたいと思う。
  13. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。日本銀行運営及び経費の使い方あるいは給與待遇、種々の待遇等につきましては、いろいろ御注意まただきまして、かねがね私どもといたしましても十分真劍に検討を加えなければならぬ問題だと考えて検討して参つてすでに一部につきましては御指摘の点につきましても改善措置をとつて参つたつもりでございます。なかなかそのテンポと申しますか、改善改合がにぶいということでおしかりを受けているわけで、はなはだ恐縮に存ずる次第でありますが、今後といえども十分御指摘の点は注意をして参りまして、具体的に改善措置を講じて参りたいと思います。なお共助会につきましても御指摘は先般来るたびたび受けているのであります。この点についてもその運営内容及び経理状況等につきまして十分検討を加えて、改むべきところは改めるように措置をいたしたい、かように考えております。
  14. 有田二郎

    有田主査 さらに銀行局長にお尋ねしたいのは、石橋構想で行きますと、いわゆるローマ法王庁権力がなくなつて来るように思われるのですが、石橋構想池田構想をあまり喜んでいないようですが、石橋構想に対して銀行局長としての御所見を承りたい。
  15. 河野通一

    河野(通)政府委員 石橋構想その他いろいろオーバー・ローンの問題について御意見が出ております。非常に示唆に富んだ御意見であろうと存じます。ただ私といたしましては、この際まだこの問題についての見解を申し上げる段階に実はございませんので、もう少し十分に検討いたしまして、いいところはとり、改めるところは改めるということで研究を続けさしていただきたい、かように考えております
  16. 井出一太郎

    井出委員 ただいま有田主査から日銀経理内容その他について詰問的な御指摘がありましたが、伺つておりましてわれもしごくもつともだと思うのであります。日銀が中央発券銀行として今日の金融界に君臨をしておる形から申しましても、日銀自体がみずから引締めることによつてその他一般金融機関もこれにならうということでなければならぬと思います。これはもう私はむし返すつもりはありません。そこで、今局長の御答弁の中にありました日銀資本金というものが、戰前の名目数字そのままで今日に繰越しておる。これは大蔵省が一般民間の事業会社などに対しても増資をことに奨励をしていらつしやるという立場からいたしまして、当面これをもう少しふやす御構想があるのかどうか。またどの程度にそれを持つて行かれるお見込みであるか。ないしは再評価というものをいたしました場合に、日銀の現在の資本というものはどれくらいに見積られるか、こういう点をひとつ伺いたいのであります
  17. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。発券銀行資本金というものがどの程度のものであつたらいいかという問題につきましては、これは学説上いろいろむずかしい問題があるようであります。私もその点につきましてはまだ研究は十分遂げておりませんし、さらに突き進みましては、中央銀行の組織をどういう形にしたらいいか、つまりまつたく国有の制度にしたらいいのか、あるいは今のような制度でいいのか、あるいは完全にアメリカ式の連邦準備銀行というような制度にしたらいいか、これらの組織をどうするかという問題とも、日銀資本金をどうするかということは当然関係して来ます。これを完全な国有にしてしまえば、場合によつて資本金はゼロでいいということになるかもしれない。そういうふうな点でこの御説明はなかなかむずかしいかとも思いますが、少くとも現在の四千数百億を発行いたしておりまして――一部はもちろん政府の出資でありますが、民間の出資も相当程度これに入つておる、こういう中央銀行の現在の組織からいたしますると、ただ資本金だけが自己資本としてあります場合には、一億というものは少いと思います。しかしながら一方で、ただ名目的な資本金だけでなくして、諸準備金、諸積立金といつたものをひつくるめて自己資本というものが発券債務の保証になつておると考えますならば、その一億というものが多いとか少いとかいうことは形式論になるかとも考えております。それで試みに自己資本として考えられますものを申し上げますと、今の資本金一億のほかに諸積立金――これは法定上積立てておりますもの、別途に積立てておりますものを加えまして二十六億三千万円ばかりになります。そのほかに償却準備金、これは貸倒れ準備金といつたようなことを言つておりますが、これが七十三億四千万、合計いたしまして約百億程度評価がえして出せば出て来る。従つて資本金の一億という名目的なものは、必ずしもそれだけで、自己資本がそれだけしかないというわけではございません。全体としてひつくるめて約百億のものが発券準備金になつておる、こう御了解を願いたいと思います
  18. 井出一太郎

    井出委員 現在の固定資産――土地、建物そういうものを再評価したらどんなことになりますか
  19. 河野通一

    河野(通)政府委員 ちよつと今この数字は手元にございません。日本銀行の本店の建物を評価がえをしますと相当出ると思いますが、今手元にございません。必要でありますれば調査をして御報告いたします
  20. 井出一太郎

    井出委員 この間私は大蔵大臣と金融に関する問題は大体問答を完了をしたつもりでありますが、その際残つた問題が一、二ありますので、この機会にお伺いをしておきたいと思います。  一つは不動産金融の問題でございます。特に土地担保金融といいますか、これは農地改革の後には、農地の評価というものが実際問題としてはなくなつてしまつたというような形だと思います。けれども最近の農村経済の逼迫から申しますると、生産手段の最大なるものが農地でありまして、林地などもこれにもちろん関連をいたして考えるべきでございますが、こういうもので金融ができるならば営農をして行きまする上にも非常に便宜が多い。もちろん新しい農地法の精神というものは、それによつて土地の兼併が行われたり、昔の小作制度が復活したりということは防止しなければなりますまいけれども、今のままで不動産金融がまつたく顧みられないということは、一国の金融の操作して参るという上においても非常に片手落ちの問題だと思うのです。これをあなたはどうお考えになつていらつしやるか伺いたいと思います
  21. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。不動産金融と申しましても、これは広い意味、狭い意味といろいろ意味がございます。今の井出さんの御質問は主として農地の担保金融の問題と了解いたしますが、この問題につきましては、御指摘のように農地改革以来農地の担保権の設定ということが非常に制約されて参りましたため、担保としての価値がなくなつた。従つて担保としての不動産担保金融というものが、実際問題としてなかなかうまく動いておらぬことは御指摘通りであります。一般の民間の普通の金融に乗るようにするためには、やはりこれがある程度担保力を持つようにしなけば一般の金融にはなかなか乗りがたい。これはよしあしは別として事実としてそういうことではないかと思います。しかしながら他方におきまして、一般の金融が農地の改良その他のための資金としてうまく流れないという欠点を是正いたしますために、昨年来、農地漁業特別会計によりまして農林漁業の融通法をつくりまして、昨年も数十億、来年度は二百億程度の資金をこれに流して行く。そうして農地の改良その他による農地の高度利用のための金融は、この道を通してできるだけつけて参りたい、かように考えておる次第であります。もちろんそのほかに耕地を担保とした金融の必要がある部面はあると思いますけれども、今のところはそれだけで農地の生産力をふやして行く。できるだけ農家の経済を改善いたしますための金融というものは、そう特別の措置でもつて金融をつけて参りたい、かように考えておるわけであります。そのほか都市におるける不動産金融、あるいは事業金融としての不動産担保金融につきましても、いろいろ問題がございますけれども、御質問の点は農地金融のことでありますので……。
  22. 井出一太郎

    井出委員 あわせてその点も……。
  23. 河野通一

    河野(通)政府委員 都市の不動産金融につきましては、これは不動産金融といつても二つの意味がございます。一つは事業を営みますための金融方法として不動産を担保にする。たとえば商店なり機械なり、持つておりますものを担保にして事業の資金を貸りる。担保は不動産であるけれども、資金は事業資金だというものと、單に消費資金とは申しませんが、納税資金であるとかいろいろそういつたふうな資金を、不動産だけを持つておる人がそれを担保にして、そういつた資金の融通を受けたいというような面と、二つあると思います。後者につきましては、いろいろ最近の情勢から、居住権というものが非常に強くなつて参つておりまして、住宅等の担保の力というものは、事実問題として、農地のようにはつきり制度上そうなつておるわけではありませんが、なかなかきゆうくつなような事態でございます。十分円滑な金融がついておるとは、私も思いません。今般予算委員会で、大蔵大臣から申し上げましたように、投資銀行と申しますか、長期信用銀行と申しますか、そういう特別の制度をつくりまして、長期資金の確保をはかつて参りたいと思いますが、その構想のうちには、主として事業金融たる不動産担保金融を中心にいたすのでありますけれども、その本来の業務に妨げのない限りにおきましては、必ずしも事業金融でなくても、不動産の担保の金融は行わせて参りたい。これらによりまして、もちろん金額は無制限ではありませんから、十分とは参らぬかと存じますが、余裕のあります限り、そういう方面の金融に活動させて参りたい、かように考えます。
  24. 井出一太郎

    井出委員 大体承りましたが、戰前ノルマルな形でしめておつた金融の中における不動産金融の位地、特に農地担保金融の立場というものは、現在金融ないしは経済外的な要因によつて阻害されておるわけでありまして、なかなか思うようには行きがたい点は認めるのであります。これは過渡的な諸條件というものがもう少し解決されて、一つの軌道に乗るというような時期には、当然正常なる地歩を回復しなければならぬと思いますが、そういう御配慮をもつてひとつやつていただきたいのであります。  それから現在は、かつての融資規制というような、直接的な金融統制はないわけでありましようが、しかし経済界の最近の混乱などにかんがみますと、当然何らかの間接統制がなければならぬ。また現にこれは大蔵省もそういう意識を持つてつていらつしやるとは思うのですが、これは先般来予算委員会でも問題になりましたように、不急不要な部門へ資金が流れ過ぎた。たとえば東京都内におけるあの林立しているビルの建築というようなものなどは、まさにその好個の例だと思うのですが、これは今後今以上に計画性を持たせて、これを強化するというような方向をおとりになるかどうか、こういう点を伺いたいと思います。
  25. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。今後におきます経済の動きに対処いたしまして、金融政策の基本をどこに置くかという御指摘の点は、非常に重要な問題だと思います。この前も予算委員会で、補足説明といたしまして、私から申し上げた点もございますが、やはり資本の足りない現在、資本の蓄積を大いに促進して行くとともに、それでもなお十分でない資本を、最も効率的、有効的に使つて行くということの配慮は、今後におきましては、さらに一層重要であろうと思います。この意味におきまして、現在までとつて参りましたいわゆる不急不要の資金の抑制に関する措置をさらに進めて参つて、この目的の達成に大いに努めて参りたいと思います。ただやり方といたしましては、極力御指摘もありましたような、直接統制の形を避ける。法的直接統制の形を避けて、できるだけ国の政策にマッチするような、金融機関の自主的判断を促進して行くという配慮のもとに進んで参りたいと思います。現在の金融機関といたしましては、自主的融資規制――抑制でしたか、委員会というものを設けまして、これは相当動いております。ただ問題は、抑制する方の立場から強く出て参りますために、表立つたいろいろなはでな成果というものがなかなか止りませんが、現在ではこれをさらに督促いたしまして、この活動をさらに強化して行く。それとともに、私どもといたしましても、いろいろな指導上の立場から、個々にいろいろな措置はとつて参りたいと考えております。特に問題は長期の設備資金の問題が非常に大きな問題になつて参ります。この点につきましては、先ほど有田主査からお話のありました、オーバー・ローンの問題等とも関連いたしまして、今後の金融政策の最も重要な重点になると考えております。これらの点につきましても、国全体の産業政策と裏表になつた、妥当な金融行政の指導をやつて参りたい、かように考えておる次第であります。
  26. 井出一太郎

    井出委員 大体了承いたしましたが、今言われた長期資金の問題になると、これは私は国の金融政策の方にも大きな責任があると思うのです。戰後の一挙に壊滅した日本経済を立て直すという点から、正常なる資本蓄積の道というものは、これはなかなか一朝一夕には達しがたいのであつて、官民ともに非常な努力をこれに傾注しなければならぬことはもとよりでありますが、しかし長期金融の面について、従来のこの機能を担当しておつた復興金融金庫というようなものが、途中不幸な問題等から世論の批判を浴びて、結末としては、何か復金というと、非常にあと味の悪い印象が国民には残つておりますけれども、しかし復金が果した役割というものは、私どもは大きく評価しなければならぬと思うのです。その後にこれを換骨奪胎した意味の、新しい長期金融機関の発足において、政府が、――これはドツジ・ラインというようなものともからみ合せて考えねばいけませんが、そういうものによつて長期金融の道がおろそかにされたという感じを私は持つておるのであります。それはそれといたしまして、現在金融の面における資金の供給と需要との間に、何かマッチしないものが相当あるのであつて、こういつたでこぼこが、いわばやみ金融というような形において出て参つておると思います。ある時期においては、むしろやみ金融の方が普通であつたといわれるほどに、これが大きくのさばつておつた時代もございますが、最近ではよほど緩和されておりましよう。しかしこの面に関する正確な調査、統計というものは、もちろん把握はできますまいけれども、現在やみ金融というものが、市中においてどの程度のウエイトを持つておるか、あなた方のお立場において、非常にこれは至るところまだ氾濫しておつて、金融全体の比重の中で、相当な面を占めるというふうにごらんになつておるのか、それとも今の状況では、これはそう大したことはない、少くともこれは本流からはまつたくはずれた微々たるものである、こう認識されていらつしやるか、この点いかがですか。
  27. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。いわゆるやみ金融の問題、これはいろいろな形で実は行われております。金額全体といたしましては、一部には、ある種類のものにおきましては十億程度の資金の量を集めておるというふうにいわれてもおります。しかしこの点は私どもも正式に検査をいたす権限があるかないかの問題もありまして、検査もいたしておりませんので、はつきりした数字はわかりませんが、大きいものでは、その程度を一軒で持つておるところもあるように聞いております。しかしながら、これを全体として見ました場合には、金融全体に非常に大きな混乱を起すとか、害毒を流すという問題は、その資金量の面から見れば、私は大したことはないと思います。しかしながら、ここで一番問題になりますのは、いろいろな形で金が集められた場合に、これは各人が血と汗でかせいで来られた資金を預けられるわけでありますから、それが万一のことがあつて返せられないような運用をしておつたら、一般の公衆の方々、ことに零細な蓄積をなさつた公衆に非常に迷惑を及ぼすということになつては、これはたいへんだ。その方が実は大きい問題ではないか、この点につきましては、法律論あるいは制度論としていろいろな御意見も拝聴いたしております。またいろいろな御提案も実は受けておるのでありますけれども、この問題をいかにして処置して参るのがいいか、あるいはほつておくのがいいかということにつきまして、目下私どもの部分でいろいろ慎重に検討を加えている段階でございます。まだ結論に実は到達しておりません。
  28. 井出一太郎

    井出委員 もう一、二点これは簡単な問題を伺つておきますが、無記名定期預金がスタートをしまして若干の成果が上つた。その数字等も新聞等で拝見しております。これはわれわれも従来主張をして参つたところであつて、資金吸収の妙手だ、こうは考えますが、これがほかへ波及をいたしまして、たとえば投資信託なんぞが伸び方が減つたとか、あるいは従来の普通の定期預金がこれに肩がわりをされたとか、こういうふうな現象が表面無記名定期のふえておるものを減殺しているというような向きが今日現われておりはせぬか、この点をお伺いいたします。
  29. 河野通一

    河野(通)政府委員 無記名定期予金を去る二月十一日から実施いたしたのであります。その後の経過は新聞等にも報道されております通り、すべり出しはきわめて順調に参つております。しかしながら、まだ末端と申しますか、地方の末端などには徹底が十分ではありませんので、まだ出足が相当鈍い点もございます。しかしながら今後これが徹底して参りますれば、資金の蓄積には大いに寄與するものと私は期待いたしておる次第であります。今お話の、従来の定期預金が横流れをする問題、あるいは投資信託等に向うべきものが、この無記名定期に向うというような点がないかというお話でありますが、これはおそらくある程度はあると思います。しかしながら私どもが当初危惧いたしましたほどには、実は今度の無記名預金の預入の状況を見ますと、そんなに強くは出ておりません。現に大体現金をもつて預け入れをしておる方が、少くとも私ども最近調査をいたしました報告を徴しましたところでは、大部分を占めておるようであります。今後におきまして、やはりある程度は横流れということももちろん免れぬかと思いますが、できるだけ本筋の蓄積を大いにふやして行く、寝ておる金を預金の形で資金化して生かして行くという方向を促進するように金融機関も指導して参りたい、こう思つております。
  30. 井出一太郎

    井出委員 三月末、つまり二十六年度末の日銀兌換券の数字をおよそどんなところに見ていらつしやるか、これをひとつ伺います。
  31. 河野通一

    河野(通)政府委員 大体四千五、六百億程度ではないかと考えております。
  32. 井出一太郎

    井出委員 去年と比較して……。
  33. 河野通一

    河野(通)政府委員 去年のはちよつと今調べてお答えいたします。
  34. 井出一太郎

    井出委員 これは銀行局長にお伺いする問題ではないかとも思いますが、きわめて簡単なことですが、最近私のもとへそういう注意がはがきによつて喚起をされたもので、一言申し添えておくのです。それは十円の硬貨はニツケル貨か何だか知りませんが、十円の硬貨を近く出されるという御用意がおありになるのか、しかもそれはいつごろから出されるか、さらにその私に寄せた注意によりますと、戰後の硬貨というものが実にまちまちであつて、デザインその他もいろいろでしようが、統一を欠いておつたがために非常に不便であり、煩瑣であり、本来ならば、かような硬貨というものは国民の便益に資せらるべきにもかかわらず、この点が非常にまずかつたという指摘を受けておるのでありますが、こういう点に対してのお答えを、あなたを煩わす問題かどうか知りませんが、お答えを願いたい。
  35. 河野通一

    河野(通)政府委員 私の所管でございませんが、便宜私からお答えいたします。  青銅貨を今製造いたしております。十円でありますが、これは大体この秋から暮れにかけてだんだん市中にありますものと引きかえていくように、今製造を急いでおるような状態であります。  それから硬貨の問題につきましては、ほかからも同じようなまぎらわしいものがたくさん出て困るというような御非難も受けておつたわけであります。また紙幣と申しますか、紙の札とどつちがいいのかという問題もいろいろ御議論が出ております。この点は部内におきましても慎重に検討いたしまして、耐久性の問題その他からも考えまして、やはり正常化するに従つて硬貨で行くべきであろう、しかもその硬貨も朝令暮改的に、去年出したものと今年出したものと同じ大きさで五円だ十円だというように、同じようなまぎらわしいものは極力避けなければならぬ。今申しました製造中の青銅貨によつて大体統一をして参りたい。まぎらわしいものがないように、授受の不便を避けて行くように徐々に引きかえて行きたい、こういう考えのもとにやつております。
  36. 井出一太郎

    井出委員 十円の青銅貨が出るということは非常に便宜だと思いますが、今申されたように、一ぺん出したらあまりかえないのだという方向でお願いをしたいのであります。それと関連をして、かりに十円の貨幣が出たとしても、これは昔の五銭玉か十銭玉という見当だと思います。銭の位と円の位と同じようになつてしまつておる。物価指数からいえば二百倍、二百五十倍という数字になると思いますが、いわゆるデノミネーシヨンと申しますか、これは平価切下げというようなこととも関連をするかもしれませんけれども、今日銀行方面などでは、なにせ窓口で一々勘定をするということがたいへんだ、帳簿へ記載をするにも、ゼロをうんと幾つもつけなければならぬ。これを何とか二桁ぐらい切り落す方が楽だという主張もあるようですが、こういう問題はどうお考えですか
  37. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答えいたします。この問題はなかなか議論の多い問題でございますが、現在のところではいろいろ札の計算その他につきまして不便があることは事実でありましようが、私どもといたしましては、いわゆるデノミネーシヨン平価切下げといつたような、あるいは新しい貨幣単位を置くといつたようなことは全然考えておりません。
  38. 有田二郎

    有田主査 私よりちよつと銀行局長総務課長にお願いしたいのでありますが、さつき申しました日銀給與の問題について、銀行局長から大して高くないというような感じを受ける答弁があつたのであります。これについては大分前のことでありましたが、日本銀行の営業局次長の原博君――ただいま日本銀行の新潟支店長をいたしておりますが、これが某造船会社の原簿君田という人と間違えられて、東京国税局の査察官が日本銀行へ参りまして原博君を調べたことがあるのであります。どうして人違いをしたのかということを私が調査しますると、これは大森税務署管内であつて、その前の年の所得が二十数万円であつたものが、一年間に六十数万円に一ぺんにふえた。ここに某造船会社の原博君と日本銀行の原博君と間違えて査察が入つた原因がある。一昨年々の九月に日銀給與は約倍額に上つたのであります。その当時日本銀行の監理官がなくて――日本銀行の監理官が一年有半空席であつたことは御存じの通りでありますが、大蔵省銀行局の監督不行届きのためにこういうふうに給與がめちやくちやに上つた。しかもそれが査察官が間違つて査察に行くような原因をつくつたという点もあわせお考え願つて、どうかひとつ日本銀行の問題については、銀行として過去の責任、過去の監督不行届きの責めをつぐなう意味においても十が御監督を賜わりたい、こう思うのであります。銀行局長の御答辯を頂載したいと思います。
  39. 河野通一

    河野(通)政府委員 おしかりを受けましてはなはだ申訳ない次第であります。御趣旨の点は先ほど来申し上げておるように、十分くみ入れまして善処いたしたいと思つております。ただ給與がおととしですか、倍額に上つたという点ですが、これは別に弁解を申し上げるつもりはないのでありますが、給與ベースとしてはお話のように倍近くになつたかと思いますが、これは臨時的に出しておりましたものと平均給與に組み入れたという措置をいたしましたために、相当目的なペースが上つたのではないかと思うのであります。いずれにいたしましても、御指摘の点、は重々私ども責任を感じておりますので、今後十分改善措置をとりたいと考えております。
  40. 有田二郎

    有田主査 今銀行局長の御答弁で了解したのでありますが、ただいま私が申しました通りに、ただ表面的に帳面づらを表へ出すというだけならば、大森税務署における原博君の所得が二十数万円が六十数万円になるということになると、原博君が脱税しておつたということになる。今の銀行局長の御答弁で行きますと、実は給與を上げたのではなくて、隠れたものを表へ出して来ただけだ、こういう御答弁であります。一例でありまけれども日本銀行職員給與というものは、ほとんどそういう調子で大体比例して上つて来ておるわけであります。査察官にどうして間違つて日本銀行に査察に行つたかと尋ねましたら、実は大森税務署で所得を調べますと、一年間に二十数万円が六十数万円になつた。これはどうも脱税しておるのではないかという容疑がかかつたのだという理由を承つて、まことに銀行局の監督不行届きで、これは銀行局で一ぺん御勉強になるといいと思うのでありますが、一ぺんに全体の收入が倍になつておる。本給だけが倍になつたのではないのでありまして、あらゆる給與が、大体二万五千円くらいのものが五万円くらいになつたという状態である。私は大阪国税局の源泉課税を基礎として持つて参つて、それ以来日銀給與についてやかましく言うようになつたわけでありますが、どうかひとつ一般公務員の今日の状態とあわせお考え願つて日銀だけが特別に国家公務員よりはるかにいいというようなことはよくない。家賃についても四円、六円、八円が二十何円より上つていない。まつたく誠意を疑うのです。国家公務員が非常な薄給で、しかも家賃が坪当り六十五円もとられておるにもかかわらず、日銀の人たちが相かわらず一坪二十何円というようなことでは、私はアンバランスであるという意味で、この点をひとつ御注意願いたいと思います。
  41. 世耕弘一

    世耕委員 銀行局長にお尋ねいたしますが、金融処置といたしまして、最近の、戰後における日本の金融政策についてどういう目安で銀行関係を大蔵省が指導しているか。またその方針を承つておきたいと思います。
  42. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。これは金融政策の基本的な考え方から出発して銀行行政をやつております。金融行政の基本は先ほど来申し上げておりますように、インフレーシヨンを回避しながら必要な資金を確保して行くということに盡きる。従いまして一方で資本の蓄積を大いに促進して行く。それでもなお十分でない、資本の効率的な使用と申しますか、十分有効に資本を使つて行く。融資対策としてはそういうようなことで指導しております。それからこれは直接銀行指導というものではありませんが、制度としては平和條約の発効を間近に控えまして、内外に対して体制の整備ということが必要になつて参りますので、金融制度全般についてこれを整えて行くということを十分に考えて参りたいと思います。具体的には先ほど来問題になつてありまするいわゆる投資銀行制度、長期金融機関の制度、その他為替銀行事をどうするか、いろいろ制度上の問題がありますが、そのほか銀行法自体を改正する問題、あるいは日本銀行法をどうするというような問題、これらの問題につきましては、先般大蔵大臣からも御説明申し上げましたように、現在大蔵省に臨時金融制度懇談会を設けております。これに諮りまして現在審議をやつております。その審議をいたしました上で必要な法律案の御提案を申し上げたい、かように考えております。
  43. 世耕弘一

    世耕委員 日銀の貸出しについて世間で大いに非難があるということはあなたも御承知だろうと思います。それと同時に、他の銀行においても大体発表された預金高等を見ますと、一兆三千億円の預金に対して貸出しが一兆四千億円、結局一千億円からの貸出し超過ということになつておるわけであります。諸外国の例を見ましても、大体預金の七〇%あるいは八〇%、特に無理をすれば預金のとんとんまで貸すということはあるのですが、預金以上に貸出しをするというところに無理がなくちやならぬ。その無理はあなた方が指導の上でやつたのか、かつてにそういうことをやつたのかということが問題になつて来るわけです。今の数字から申しますと、放任主義であつたということになるのです。  それから前の委員の方で質問しておりましたが、長期金融と短期金融の問題でありますが、この貸出し高をさらに長期、短期に区別してみますると、長期はわずかに二二%にすぎない。あとは短期だ。しかもこの短期は三月、四月のごく短かい短期のやり繰りです。この方が銀行はもうかるかもわからないが、国家的に必要な金融を扱う建前にある立場の銀行が、功利主義で利潤本位で行くということは、はたして今日の時局に適当であるかどうかということが、当然あなた方の銀行政策の目安の上に現われて来なければならない。ところが今日の結論から言うと、はなはだ監督不行届きのそしりを免れはしないのじやないか。質問を簡単にする意味において、なお説明を加えておきますが、実は日本の貸出し問題については、外国の投資家ですらとかくの批判を加えております。たとえば不要不急の資金が四百億円も出ておる、こういうふうに指摘している。これじや日本の外資導入ということは妨げられても決してよくはならぬと思う。ここに二、三の例を説明いたします。東京だけでキャバレーが二千軒、三千八百軒のレストランと待合、二千二百五十軒のホテル、これらに四百億何がしのものが使用されておるだろうということを指摘されております。これは確かに全部不要不急だとは言われないかもしれないけれども、あまりかんばしからざる金融ということになる。こういう連中がはたして長期の金融を受けているかどうかは私は調査いたしておりませんが、おそらく短期の金融は受けておるだろう、こういう金融の方がもうかるのです。これではほんとうの金融政策というものは確立できないのではないか。今日中小企業界並びに農村地方において、金融が非常な逼迫を来しておるときに、かような金融政策をとつたということは、その総元締めであるあなた方にも、少しは責任を感じなければならないのではないか、こう思いますが、この点について何か御感想がありますか。
  44. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。御指摘の第一点は、銀行がいわゆるオーバー・ローンになつておるけれども、これでいいのかというお話でございますが、これは正常な姿でないことはもちろんでございます。しかしながら、このオーバー・ローンがよつてつて起りました原因は、実は非常に古いのであります。一方で日本が戰争によつて大きな資源を失い、資本の過半を失つた。一方で産業を復興し、自立経済の達成に進まなければならぬ。産業を大いに発展して行かなければならぬというためには、資金の需要が非常に多い。しかも資本というものは一挙に失つた。こういう事態のもとにおきまして、一方で産業の発展を促進しながら資本の蓄積を促進することも大いに進めて参つたのであります。過去においてはこのテンポがどうしても合わなかつた。そのためにそのギヤツプが現在に及んでオーバー・ローンという形で出て来ておる、これは事実であります。今後におきましては、こういうものをできるだけ早い機会に正常化して参るために努力をいたさなければならぬと思うのであります。ただこの点は根本的に一挙にはなかなか片づかない形だけなおすことは、いろいろ方法がありましようが、本質的な解決は一挙にはなかなかむずかしい。それで先ほども申し上げましたように、一方において資本の蓄積を促進しながら、一方において必要な資金の確保をはかつて行かなければならぬというふうに考えるのであります。御指摘の点の不要不急の方面に非常に融資が出ておる。これはけしからぬというお話でありますが、この点はしごくごもつともでございます。私どもも昨年の春以来、銀行の不要不急な資金の抑制については強力なる行政上の指導をいたして参つております。今後におきましても、さらにこれを強化して参らなければならぬと考えております。しかしながら私どもはその目的のために法律的な直接的な統制をすぐやるか、たとえば戰争中にありました資金納制法でありますとか、戰後も金融緊急措置令によりいろいろな資金統制を法令上行つたのでありますが、こういう制度を今後法律制度として直接的な統制をやるかという点につきましては、まだ現在の行政指導の線を進めて行くところでいいのでありまして、それがどうしても効果が上らない場合には、当局におきまして、あるいはそういうことも考えなければならぬかと思いますが、できるだけ金融機関が国の政策にマッチした自主的な判断によつてこれを抑止して参りたい、かように考えております。なお設備資金が総貸出しの二二%というふうになつているというお話でありますが、これはどういう筋から御計算になりましたか、よく私は存じ上げませんが、私どもの実際の計算では、これは名目は運転資金の形で出ておりながら長期にまわつておる資金が相当あるわけであります。その計算は実は銀行計算等によつていろいろ調べてみましても、なかなか正確にはつかみ得ませんが、私どもは大体名目上設備資金として出ておる金が、総貸出しのうち約一〇%、そのほか約二〇%程度が、名目は運転資金でしかも設備に出ている。合計して設備資金になつているものは三〇%程度じやないかというふうに押えております。なお金融機関が営利一点張りで金利をかせぐために、全体の経済の妥当性というものを無視しておるという点を御指摘になつたのであります。この点は金融機関が普通の営利事業と違つて、公共的な使命を持ち、公益性の非常に強い事業である点にかんがみまして、そういうふうなかつてなことはさせないように、極力指導をして参りたいと思います。従来至らぬ点もございましたが、今後はできるだけそういう点は改善して参りたい。普通事業と違つて、法律上非常に大きな制約を加えて行きたいというふうに考えております。なお今後とも注意して参りたいと思つております。
  45. 世耕弘一

    世耕委員 大体了承いたしました。私がただいま指摘したのは、国民一般の常識的な批評をごひろう申し上げた意味でありまして、今後堅実な歩みをしなければならぬ日本財政経済面に、かくのごとき失敗を繰返すということは、対外的の信用もさることと考えますので、特に指導監督の地位におられる局長から、この点に留意していただきたいということが切なる希望であります。御説の中で、その金融等の指導に対して何か法律的措置ということも考えないのでもないが、それは適当じやないというお話はしごくもつともだと思う。法律処置のみにたよるということは、かえつて金融の円滑を害すると思います。むしろこれは常識的に行くべきものだ、かように考えておりますから、その点も御考慮のうちに入れておいていただきたいと思います。  それから先ほども有田主査から御質問があつたようでありますが、日銀の二十六年度利益が二百五十六億、その中で政府へ納金したので約半分ばかりが残ることになろうと思いますが、これを筆頭といたしまして、御承知通り産業界においても、東洋紡の百五十億、大日本の九十億、東洋レーヨンの七十億、鐘淵の六十億、富士紡の六十億、冨士製紙の四十億、旭化成の四十二億、神岡鉱業の四十二億、日清紡三十億、苫小牧並びに十條製紙が三十億、東北パルプが二十八億、国策パルプが二十八億、本州製紙が三十億、そのほか十億程度利益をあげたものがほとんど数十社に及んでおる。これは私の調査がずさんかもわからないが、私が報告を受けたのではそうなつておる。それほど厖大な――厖大といつたら語弊があるかもしれないが、私は厖大だと思うのですが、今日の一部産業界において、それほど厖大な利益が起きていて、なお千六百億円あまりのインフレがこれに伴つて起つたということは、これは金融処置が必ずしも妥当なりと言えないのではないか、私はかように考えるのであります。こういう点に対しても、特に今後、生きた日本の経済政策の確立に一段と御努力願いたいということことをお願いします。  この問題は時間がございませんからその程度にして、最後にもう一点お尋ねしますが、きのうも大蔵大臣並びに銀行説明員にも御質問をし、資料も出していただくようにお願いしておいたのですが、復金から開発銀行へ移管せられる金融処置についてであります。大蔵大臣にお聞きしたところ、復金の貸付金はきわめて成績よく回収ができております、こういうような御答弁であつた。私はそのとき申し上げたのだが、それはどうも調子のいい答弁であつて、実はもつと突込んでお尋ねしようと思つたんだが、かぜをひいて三十八度か九度熱があるというから、それ以上言うのは悪いから、この次にしようと言つて私はわかれたのです。それから昨日説明員からお話を承つても、やつばり大蔵大臣と同じような答弁の仕方をしたから、私は少し念入りにお尋ねしましたところ、すでに復金で、私から言えば不良貸、取立て不能だ、あるいは将来とれるかもしれない、その人が今後商売をして金もうけをして成金になつたときにはとれるかもしれないが、現在の状況においては取立て不能だ。これを逆に言えば不良貸をしたということにをる。その不良貸をした結果は、結局帳簿から抹消する。抹消するということをはすなわち償却という名目である、かように私は考える。それが概算で数字の上から拝見いたしますと五億円ばかりある。五億円は、大蔵大臣はつまみ食い程度だと言うかも知れぬけれども、これは中小業者の納税率から申しましたならば非常に大きな額で、それは表に現われただけの金であります。それで私は、必ずしも苛酷な取立てをしてくれというのではない。一方においては荷酷な税の取立てをしながら、一方においては貸金は不良貸で、かえつてそのしりぬぐいを税金によつてしなくちやならぬということは、国民が納得できないのではないか。それが金額の上ではない。実は私の調べたところによると、そういう口か五百口くらいにある。しかも復金は第一回償却して、第二回また帳簿から借金を棒引きにしているはずだ。しかもこれはまた三回、四回と及ぶでしよう。この点に対してどういうふうな処置をなさるのか。これはよけいなことだとおつしやれば別でありますけれども、あなた方のお立場でも正義感があろうと思う。こういうことは正義感をもつて処理してもらわなければならぬ。こうやつたらおれの立場はよくなる、こうやつたらわれわれの方がいいだろうというなら、これはわれわれも同様であります。なるべくあなた方におせじのいいことを言つた方がいいかもしれない。けれども、かくあるべきが代議士の職責だということを考えた場合には、おのずから苦言も呈さなければならぬ。どうぞそういう公平の立場にある議会人としてお尋ねするということを御了解願いたい。  なおつけ加えて私の次の質問のある場合にも申し上げるが、この機会においてもちよつと申し上げておくが、近ごろ官吏の犯罪が非常に多い。けれども私はそれは一部分だと思う。大部分の人はまじめに仕事をされながら、一部分の官吏の犯罪によつて、まじめな人が下積みにされ、あるいはふまじめなやつがうまく飛びまわつて出世する、そうしてまじめな者が下積みにされて、国家のために貢献しているということが、私は必ずしもないとは言えないと思う。できたらわれわれは議会で、ふまじめなやつの出世するのをたたきつぶして、そうしてまじめな埋もれた人を堀り出して、正しい職責を果していただきたいというので、実は質問もするのであります。今後あなたばかりでなしに、相当しつこいお尋ねをするかもしれませんが、そのつもりでお聞き願うと同時に、いいかげんな答弁をされると非常に困る。これはあなたに言うわけではない。全体的にお願いしたわけありまして、われわれは公平な立場で、議会人として、いわゆる国民の代表者の一人としてお尋ねしておかなくちやならぬという建前であるから、その点は誤解のないようにしていただきたいと思うのでございます。時間がございませんからこの次に譲るといたしまして、ただ復金の問題は、きようすぐあなたの御返事で解決するとは私は思わないのですが、しかしお持合せの材料がございましたらここで御返事賜わつておけば、また次の質問の資料といたします。
  46. 河野通一

    河野(通)政府委員 復金の償却の問題についてお答えをいたします。数につきましては、今世耕さんお持ちのようでございますので、特に申し上げる必要はないと思います。大体第一次、第二次で償却をいたしましたものが五百口、約五億余りであります。この償却の意味は、御説のように政府が全額租税から出資しました資金を元にして運営をいたしましたものでありますから、償却を要するような不良な貸付をできるだけ生じないようにすることが望ましいことは申すまでもないのでありまして、この程度の償却を要するような貸付をするのはあたりまえだというようなことは、私どもは毛頭考えておりません。できるだけそういうことのないことを望むものであります。結果としてそういうことでやつておりましたことは、これは私どもといたしましても申訳ないと考えております。ただここで申し上げておきたいことは、償却をいたしましたものは、別に債権を放棄したわけではありません。ただ金融機関経理上、これは一応不良債権として帳簿からは落しますけれども、債権を放棄したわけではございません。内部で償却いたしましたものと償却いたしませんものとにかかわらず、今後におきましてとれるものはとつて行く。これは個々に解決をして行く。全額とれるかどうかわかりませんけれども、極力回収に務めて参りたいと思います。これによりまして、国民の租税から集められた資金の負担をできるだけ軽くして行く努力を、今後とも十分いたして行きたいと考えております。
  47. 世耕弘一

    世耕委員 きのう最後に説明員から御説明があつたのですが、取立て不能じやないのだ――取立て不能じやなかつたら、なぜ償却というような言葉が出て来て、帳面から落して行くのか。そこの説明が少し足りないのです。その点が了解しにくいのです。むろん私は先ほど言つた。貸した男が今後金もうけして出世して、取立てできるかもしれないと言つた。しかしそれはそういう意味で私は言つているのではない。現在不良貸があるじやないか、それだから、とれないものは一応償却という形をおとりになつておる。これはもう損をしたのだということにするのは、経理面から当然の措置だという。さような処置をすることがはたして適当であるかどうかということの、無責任であるということを追究している。しかし今ここで私はすぐ結論を出せというのではありません。またしいてほじくろうとも思いません。実は私の手元に資料がありますが、あなたの方から出て来る資料と照し合せようと思つているのです。つけ加えて申しますが、先ほど官吏の素質の問題で申し上げた。これはおせじではありません。日本の官吏は一番正直な種類だと私は思つておる。ほんとうを言うと、日本で、民間人が実力ありとして、あるいは経済に明るいからといつて官界に入つた者の中で、尊敬されるような人を私はいまだかつて発見していない。この意味において、私は官吏が日本で一番正直な種類だと尊敬している。その尊敬は私ばかりではありません。国民の大多数がそう思つている。また官吏の言うことは間違いないのだ、こういうふうに言つている。それが、ごまかされるとすれば、われわれは疑いを持つて来るのであります。重ねて申し上げますように、日本の官吏は世界各国から見て私は一番正しい種類の人間だと、こう思つて尊敬しておるのです。ただ遺憾ながらおととし八千人、去年九千人、生活苦とは言いながら収賄その他いろいろの事件を起していることは、はなはだ遺憾千万でありますけれども、それは一部分です。それをもつて全部を攻撃するということは、しばらく私は余裕を見たい、かように思つておるのですが、どうぞまじめに行政に当つていただきたい。これは大多数の希望でありますから、その意味において御返答等もお願いいたしたいということを特につけ加えて申し上げます。
  48. 有田二郎

    有田主査 この際銀行局の質疑はこれで終了いたしました。  これから税の方に入りたいと思いますが、国税庁の長官もお越しになつておられますから、今まで私の調べたものについて所見を申し上げたいと思います。大体国税庁の給與も、それから職員旅費も、物件費も、会議費、他のところと比べまして決して悪くない。もちろんこれは税金をとるという尊い非常に重大な仕事にタッチしておられる関係上当然のことと思うのであります。十分でないことはもちろんでありますが、他の官庁と比較して悪くないという点を部下によく納得させていただきたいと思います。一例を申し上げますと、職員給與の平均給が主計局、農政局、労政局いずれも年額十六万円くらいでありますのに対しまして、国税庁の年間給與額の平均が十九万四千七十円であります。約三万三、四千円ほどこれらの主計局、農政局、労政局よりもいいという点をお考え置き願いたい。さらに職員旅資の問題でありますが、これはもちろん職務上当然であかますけれども、私が調べました他の三局よりも多い、すなわち主計局では一人当り平均が二万三千三百四十円、農政局が二万三千六百八十円、労政局が一万九千四十円、これに対しまして国税庁は四万六千五百十円であります。これも決して悪くない。さらに庁費の問題でありまするが、主計局が一人当り三万七千六百六十円、農政局が一人当り一万一千八百七十円、労政局が一人当り五万九千二十五円、これに対して国税庁は七万五千三百円であります。会議費につきましては、これはもちろん仕事関係上主計局が一番多いのでありますが、一人当り三千四百九十円、国税庁が二千百二十円、農政局が千六百四十円、労政局が千七百七十円、こういうように見て参りますると、大体において国税庁が決して悪くないということは言い得られると思うのでありますが、もちろん職務上できるだけ十分に出して、そうして税金を無理のない方向においてできるだけとつていただくということが必要であるということは、われわれもひとしく認める点でありますが、この点よく庁員にお示しを願いたいと同時に、私が先般四日市の税務署に参りましたときにも、非常に物資の節約をやつておられた面を見て参つたのでありますが、でき得る限り節約をして、そうして徴税の方にできるだけ経費を入れて無理のないように徴税をしていただきたい、かように念願するものであります。幸いに昨日問題にいたしておりました点につきまして、まず主税局調査課長から物品税の証紙の問題その他について御答弁を承りたいと思います。
  49. 龜徳正之

    龜徳政府委員 昨日保留していただきました問題は密輸入の状況の問題、それから酒類の密造取締りの状況並びに今後の方針の問題、滞納整理の状況並びに今後の方針の問題、それから納税宣伝費の使用状況、それから最後に物品税の証紙の問題、これらの点を保留していただいたのでありますが、本日は税関部長、国税庁長官もお見えになつておりますので、私からはただ物品税証紙の実施状況について、簡単に御説明申し上げたいと思います。  昨日物品税の証紙が何にやられておるかという点を概略申し上げたのでありますが、正確に申し上げますと、カルピスとかジュースといつたような嗜好飲料、カバン、トランク類、サッカリン、ズルチンそれからサイダー、ラムネ、こういう清涼飲料、こういつた物品について物品税の証紙制度を目下採用いたしております。その制度のねらいは、物品税の課税物品の納税品と、脱税品との判別を明らかにする、従いまして正業者の擁護を同時にはかるというねらいでこの制度をやつております。特に清涼飲料その他につきましての実施状況は、この制度を採用いたしましたために、相当物品税の納入状況はよくなつたという状況が認められるようでございます。
  50. 北島武雄

    ○北島説明員 最近におきまする密輸人の検挙実積等を数字につきまして一応御説明申し上げます。  昨昭和二十六年中におきまして、税関その他関係官署におきまして検挙いたしました密貿易の件数は、密輸出におきまして四百六十四件、密輸入におきまして九百七十三件、計千四百三十七件でございましてこれを二十五年中の密輸出、密輸入計千七百七十二件に比べますと、三百三十五件の減少でございます。但し密輸物件の価格につきましては、昨年中の密輸出、密輸入合せました物件の価額が四億二千百六十五万円程度でございまして一昨年の三億四千五百三十三万円に比べまして、七千六百三十万円程度増加になつております。検挙いたしました犯人数は、昨年中三千五百五十六人でございまして、一昨年の五千二百六十人に比べますると、千七百四人の減少でございます。  次にこれらの密貿易物件の仕向地あるいは仕出地別につきまして御説明申し上げますと、昨年中におきまして一番件数の多かつたのは沖縄及び奄美大島方面との密貿易でございまして、対沖縄関係におきましては、密輸入、密輸出合せまして百二十九件、奄美大島等におきましては百八十六件で合せまして南西諸島で三百二十五件の検挙件数になつております。次に多いのは朝鮮方面でございまして密輸出、密輸入合せました検挙件数が百九十五件ということになつております。  最近の密輸の状況を考えますと、ただいま申し上げましたように、件数並びに犯人数におきましては若干減少いたしておりますが、密輸物件の価額におきまして相当増加をいたしております。これは昨年中におきまして比較的大物があつたということでございます。なお密輸につきまして特殊な状況を御説明申しますと、昨年中におきまして、SPSを通ずるところの密輸の件数が相当ございました。これにつきましては、ことにSPSは東京に多いので、東京地検と東京税関支所におきまして共同捜査いたしております。目下大部分地検の方におまかせいたしておりますが、SPS関係は昨年末をもちまして、特殊保税倉庫としてのこの営業がなくなりましたので、それを通ずる密輸は今後は非常に少くなるであろうと存じております。密輸は税関でももちろん検挙いたしておりますが、その他国警、地方警察及び海上保安庁等各種の機関がございまして、これを密接な連繋をとり、中央におきましても、地方との連絡を密接にいたしまして目下検挙いたしております。大体の状況はこのくらいであります
  51. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 昨日滞納整理の問題、酒の密造の取締りの経費に関する問題並びに納税宣伝に関する問題について御質問があつたようでありますので、大体大綱について御説明申し上げたいと思います。滞納の税額は、昭和二十四年度から二十五年度に越します際におきましては、繰越した滞納額が実に千二百五十八億円という厖大な金額になりまして私どもその前途について非常な心配をいたしたのであります。その後二十五年度中においても相当努力いたしましたが、結局その金額並びに件数もそれほど減少することができなくて二十五年度から二十六年度に越しました繰越し滞納税額は九百四十五億円、件数にいたしましてたしか七百二十万件くらいの件数を算したのであります。そのほか次々と新しい滞納もできて参りますので、新年度の滞納と加えますと、毎月千億以上の滞納がずつと持ち越して参つたという状態でございました。何とかしてこの滞納の税額並びに件数を一日も早く整理いたしまして、そうして昔の納税成績のよかつた時代の大体の標準、課税額に対して五%程度になれば大体平常の状態になると思うのでありますが、そういうふうな状態に持ち来したいという観点からいたしまして、各種の努力をいたして参つたのであります。そのうちで最も新しい方法として採用いたしましたのは、これは外国語を使つて恐縮でありますが、一昨年の暮れから渋谷の税務署で試みにアメリカにおけるところのいろいろな方法に示唆を得ましたところのインターナル・コントロール・システムというのを採用してやつてみたのであります。その結果が非常に好成績を上げましたので、結局これを全国の大きな税務署、三百八十程度の税務署について昨年の七月からこれを実施に移すということをいたしたのであります。この方法は、従来各納税者について、実は税目ごとにまた各納期ごとにそれぞれ滞納が残つておるのが、なかなか件数が多いというような関係で、名寄せができなかつた、一人の人についての全部の滞納、また各種の税についての滞納額が一体幾らあるかということについてのほんとうの整理がなかなかできにくいという状況にあつたのであります。これをまず第一に完全に整理するということ、また従来は個々の税について納税者たちに臨んで資力の調査をして、そうして財産の差押えをするとか、または納税のお願いをするとかいうことをいたしたのでありますが、そういうようなことをいたしておりますと、まず第一になかなか現在の人手をもつては全部を整理するのに非常に非能率的になるのであります。それで税務署においでを願うことは非常に恐縮ではありますが、やはりこれは順序よく税務署においでを願つて、どうしてそういうふうな滞納になつたのであるか、その原因をよくお伺いする。また税務署においでを願えば、賦課関係についてたいへん御不満があつたり、また誤りがあるという場合におきましては、税務署には賦課関係の直税関係または間税関係職員もおります、また首脳部がおりますので、直接そういうふうなところで十分お話を伺えば、そういうふうな誤りを訂正し得る機会もあるというような観点からいたしまして、そういうふうな整理された名簿に基いて、順序よく毎日税務署においでを願う。号そうして個々の方によくそれらの御不満なり、また間違いがあるかないかということを確かめた上で、滞納税額についてお納めを願うということについての御努力を要請するということをいたして参つたのであります。言いかえますと、その人の資力に応じて、いつ納めていただけるかということを誓約をしていただきまして、それの実行をお願いして参つたのであります。その結果、いずれも過去についてのいろいろな御不満なり誤謬なりがその機会に訂正される場合が多いようでありますから、滞納件数についても相当大きな効果を上げて参つたと思うのであります。それでその結果といたしまして昨年の十一月末におきましては、滞納の税額が七百三十八億であります。件数にいたしましてたしか四百七十万件程度だと記憶しておりますその程度まで減少することができたのであります。それで十二月末におきましては、納期も到来したものがあります関係で、例年十二月末は滞納税額がふえるのが実情ではありますが、遺憾ながら昨年におきましても、また幾分増加いたしまして税額八百二十九億円、件数において五百三十二万件、幾分増加をいたして参りました。しかしながら先ほど申し上げましたインターナル・コントロール・システムにおきましても、漸次各税務署がその仕事になれて参りまして、仕事についての能率も上つて参りました。従つて今後漸次その能率が上つて参りまして、おそらくは今年の秋末ごろには、この金額がさらに相当大幅に減少し得るであろうという明るい希望を持つておる次第であります。かりにこの金額が三、四百億程度ということになりますと、賦課されるところの税額が、どうしても七千億近くになるのでありますから、それに対して五%程度の税額、すなわち大体平常の状態の税額になる。そうすれば、軒並みの滞納者があつて、滞納の整理に苦しむこともなくなるでありましようし、何とかしてあらゆる努力を傾注して、今後その方向に進んで行きたい。そうして一日も早くそういうふうな状況を持ち来したいというふうに考えて努力をいたしておる次第であります。第二の点、密造の取締りにつきましは、各年度における密造取締りの経費を簡單に説明申し上げますと、昭和二十四年度におきましては三千五百万円を計上いたしておつたのであります。二十五年度においてそれを五千三百万円に増額いたしました。さらに二十六年度におきましては八千五百万円に増額したのであります。ただ二十六年度におきましは、当初予算は八千五百万円でありましたが、政府全体の実行上の節約という意味をもちまして、五%の節約をされましたために、結局七千七百八十八万円という金額でもつて実行するということに相なつたのであります。しこうしてこれらの経費をもつて密造取締りのために出動したところの人員、並びに検挙の件数を簡単に申し上げますと、取締りのために動員いたしました人員は、二十四年度におきましは八万六千人、二十五年度におきましては十八万六千人、二十六年度におきましては、これはまだ最近までの数字でありますが、二十二万九千人というふうに相当増加して参つております。これは二十六年度一ぱいを経適すれば、さらに相当人数が上ると思つております。なお検挙件数を申し上げますと、二十四年度が二万三千件、二十五年度四万六千件、二十六年度はまだ年度途中でありますが、すでに四万八千五百件と相なつております。告発件数を申し上げますと、二十四年度が、告発をいたしまして検察庁に送付いたしましたものが、四千件、二十五年度が七千百件、二十六年度は実に今日までに二万一千三百件告発をいたしております。さらに二十七年度におきましては経費を総額一億六千万円計上をいたしておるのであります。これらの経費によりまして、たとえば密造取締りについて最も大きな経費を要しまするのは、これらの密造に動員いたしますためのトラックの借上料でありますとか、または押収物品を運搬いたします人夫の経費であるとか、またはその際におけるところの作業費であるとか、写真またはアルコールの度数計であるとかなどいろいろずいぶんたんさんいるのでありますが、そういうようなもの、並びに動員いたします税務職員の旅費その他に振当てる次第であります。税務職員の数が行政整理によつて相当減少になつたのでありますが、密造関係職員につきましてはほとんど減少しないで、他の方面でできるだけ人員の減少をいたしまして、密造の職員については従来減少することはできるだけ避けまして、この増額された経費によつて、最も効率的に密造取締りの完遂を期したいと考えておる次第であります。  第三に、納税宣伝費につきましては、御承知通りども税務官庁側といたしましては、納税者に信頼をし、また納税者の信頼を得るという相互の信頼関係に立つて、税務行政の改善を企図いたしておるのでございますが、どうしても納税者の方によく税法をわかつていただいて、納税事務を完遂するような意欲を持つていただくということが、絶対に必要なのでございます。そういうふうな趣旨をもちまして、納税宣伝をずつとやつて参つたのでございますが、その経費といたしましては、二十六年度は九千万円、二十七年度は実は減額いたしまして五千万円という金額に相つておるのであります。これは納税宣伝自体を軽視したということじやなしに、何とかして納税宣伝の方法をもつと能率的な方法に切りかえて行きたいということで減額いたしたわけでございます。それでこれは経費に全然関係なしに、実は納税宣伝のことを私ども相当努力いたしておる事柄があるのでございます。それは一昨年ごろでありますが、約二年あまり前に、従来パンフレットとかいろいろな印刷物を納税者の方にお配りいたしたのでありますが、役所で配りますと、どうしても文章もうまくない、意匠もあまりよくない、また役所から配られたものは、何としてもなかなか読みにくいもので、従つてすぐ読まれずにくずかごに捨てられるというふうな状況でありましたので、これは何とかして納税者の方がわずかでもいいから自分でお金を出して読んでいただくという意欲を持つていただくというふうなことができぬだろうかという観点からいたしまして、納税知識の普及宣伝という趣旨をもちまして、税のしるべという刊行物を出すことにいたしたのであります。この企画が相当成功いたしまして、現在では約四十万部程度、月に二同ずつ出しておるのでありますが、一箇月十円というきわめてわずかな、安い経費でございますが、とにかく金を出してお買いになるということ並びにそういうことのために何とかしてお読み願いたい、また売れるようにやりたいという趣旨をもちまして、記事の内容その他についても、非常な勉強をいたしました結果といたしまして、何とはなしにそういうような点についても相当大きな効果をあげているように見ておるのでありますこの税のしるべに関しましては、もちろん今後値段を上げるというようなことは毛頭考えませんで、紙代その他の経費相当値段が上つて参りましたけれども、もしも不足がある場合におきましては、官庁の経費によつてある程度補填するような心構えをもつて内容もさらに改善をし、さらに納税宣伝の効果を上げる方向に努力して行きたい、そういうふうな、つまり経費の問題じやなしに、何とか創意くふうをこらして、納税宣伝というものを効果あらしめるという方向にぜひ推進して行きたい、そういうふうに考えておりまするので、二十七年度におきましては、金額としては約半額に減少はいたしましたけれども、私どもはこれでもつてより以上の効果のあるところの納税宣伝の実効を上げたいというふろに考えておる次第であります
  52. 田所正幸

    ○田所説明員 滞納整理に関します見通しと、税の関係について若干今の考え方を述べたいと存じますが、先ほど長官からも大体のお見通しを述べられましたが、私どもといたしましては、一つは滞納を整理する方法といたしまして、まず事前に納付率をよくするということに努力するのがまず必要じやないかというふうに考えております。これを具体的に申し上げますと、納税貯蓄組合というものの普及育成をいたします。これは申告所得税制度をほんとうに一般国民のものとするためには、どうしても各人が申告をすると同時に納めるという気持を徹底していただかなければうまく行かないのでございまして、昨年法律を施行していただきまして、その結果十二月末では組合の数一万四千四百、組合員の数が大体六十一万人、そこまで普及して参りまして、この組合を助長、育成いたしますことによりまして、能率をよくする、特に営業所得の多い都市の方面におきまして、主力をもつぱら注ぎまして、そこの期限内の納付をよくする、こういうことに主力を置いております。従いまして、一部滞納整理の経費とにらみ合せて、来年もそういう意味合いで五千万円程度予算を組んでいただいておると承知しております。  それからもう一つは、ICSの方は――外国語を使いまして恐縮でございますが、先ほど長官が言われた通りでございまして現在三百八十の税務署で実施されております。これは昨年の大体八月ごろから全国的に動いて参りまして、半年ぐらいしか経験を積んでおりませんが、来年はこれを年中通して行きたいと考えております。この方法をとります場合は、税務署にまずその方がおいで願いまして納得してお帰りになりますると、その方が自主的に納めていただきます。従いまして従前のように滞納処分に出かけて行く手数が、お呼び出ししまして話合いをすることによつてある程度省けるのであります。これに伴いまして出張旅費だとか、あるいは引上げのトラック代とか、あるいは引上げたものの保管費だとか、そういうものがある程度節約することが可能でございます。今までやりました実績は、所によりまして違いますけれども、お呼び出しをかけますと、大体三割程度、いい所は五割程度税務署に来ていただいております。そういたしまして出て参りました方々のお勢いろいろお伺いし、またこちらの税法に関する説明をいたしまして、その場で納得いたしまして、私どもの方では納付誓約と言つておりますが、一種の徴收猶予でございますが、今は金がないために来月何日までには納めますというようなお約束をしてもらいます率が、大体半分程度ございます。事情の許す限りわれわれはそういうことを認めておりますが、それによりましても、相当程度外部に出張しまして、引上げて来るといういわゆる滞納処分が実現可能でございます。また昨年法律を改正いたしまして、停止処分という制度をこしらえたのでございますが、これは従前の不納欠損という制度にかわりまして、三年間資産の状況を見る、その間は強制処分を一応見合しておく、こういう制度でございますが、古い税金の中には、相当高い場合の税率を適用され、またインフレの高進された場合の物価ではじかれましたので、非常に高く、現在としては高い税額になつておるものがございます。納付困難である、こういうふうなものもございます。そういうものも法律に従いまして、適当に整理按配することによりまして、とれもしないところへ出かけて行く、こういうむだのことも廃止できるのでございます。そういうような滞納の整理のやり方を相当合理化いたしまして、経費をつとめて節約しながら効果をあげて行く、こういうような方向に振りかえております。  それから来年の関係の見通しでございますが、最近申告所得税が非常に全体としての滞納の数が減りつつあります。これは大幅な更正決定をやめたということにも大きな原因がございます。また一般の方々の負担を願う上に、だんだん減税をして参ります。その関係もありますし、申告所得に対する滞納も減つて来たというたくさんの原因が重つて来たと思いますが、だんだん申告所得税の滞納も減つて参つておる次第であります。そのかわり法人税の滞納額が漸次ふえつつありますが、その中で税務署の手数を一番食いますのは、何といいましても税額は少しでも、件数の多い申告所得税であつたのであります。これが相当程度減少して参りますと、その方面からいたしましても経費としては相当節減できる、こういうように考えております。二十七年度におきましては、先ほども長官が言われましたように、本年まだこれから二、三箇月ございますが、極力今までの滞納を整理いたしまして、滞納金額を少くする、こういうことに努力する半面、新しく発生する税金も早期に整理をする、こういうことに重点をおきたいと考えております。久しくほおつておきますと金がその間に費消されましてとりにくい、従つて処分費もふえて来る、こういうような関係になります。税金もとれなくなつて非常に困りますので、来年からは新しく発生するものを早期に整理をする、そういうことに重点を持つて行きたい、そういたしますれば、比較的少い手数と経費で收入の目的を達するのではないか、こういうに考えております。簡単でございますが、以上申し上げます。
  53. 世耕弘一

    世耕委員 私は時間がありませんから、簡單にお尋ねしておきます。昨日来委員の中で質疑応答がありましたが、密造取締りに一億九千万円か何か、これに出ておりますが、これは私逆に考えて、密造というのをやめさせて認可して税をかけた方が得ではないか、こういう考えを持つのですが、その点はどうですか。
  54. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 御承知通り酒の原料は現在清酒につきましては米でございますが、米は日本の食糧事情からいたしまして、昨年二十五酒造年度におきましては六十万石、二十大酒造年度におきましては、これは昨年の十月から始つた酒造年度でございますが、増石いたされまして七十四万石ということに相なつておるのであります。既往の歴史を調べてみますると、酒に最も米が多く使われたときにおきましては、実に四百八十万石という米が使われておつたのでございます。もしも日本の食糧事情がそういうふうに酒に対する原料を十分に使えるという状態に相なりますれば、ただいまお話のような点もある程度考えていいかと思うのでありますが、現状におきましてはその割当てられた原料を最高度に利用する、しかもこれについての税額は非常に大きいのでございまして、酒税は御承知通り二十七年度の歳入予算といたしましては、千三百億円を予定しておるのであります。こういうふうな非常に大きな財政収入の手段とも相なつておりますような関係からいたしまして、また一方酒造業の設備等を考えてみますると、設備に対するところの現在の操業度というものは、大体半分くらいしか行つていないのであります。これは清酒につきましても、合成酒、しようちゆう等につきましても、同様のことが言えるのでございます。大体設備に対して半分程度の操業度に近い、そんな観点からいたしまして、もしも原料が増額できるならば、そういうふうな能率のいい、また品質のいいものができるところで、どんどん製造をしていただきまして、現在密造酒等をやつておられるような、非常に不衛生な、また規格も定つてない、また原料から得る得量率も非常に悪い、そういうふうなところへは何とか押えて行くということが国民経済全体から見まして当然ではないかと考えるのであります。また密造取締り等の対象となる方々は、どつちかといいますと、何といたしましても遵法精神が少いのであります。もちろん酒屋さんの監督は私どもも十分身を入れてやつておりますけれども、酒の製造所が多くなりますと、なかなか十分には目を通しにくい、どうしても信用のある、悪いことをしない、確実に法律を守るような方に製造していただくという方にも、十分の留意をしなければ、ほんとうに酒税行政の確立を期し得られないというふうに考えておりますので、当分の問題といたしましては、むしろ酒造業についての新規の免許はほとんど認めないという方向で運営をして行きたいと考えておる次第でございます。
  55. 世耕弘一

    世耕委員 取締りの点についての御説明も、酒税に対する生産についての御説明も一応了承いたしましたが、一億数千万円の密造取締りの費用を出して、はたして成功するか、この金もむだ使いになりはしないか、御経験はおありになるでしようが、ある部落に密造を摘発に行こうと思うと、何回行つても成功せぬ、ただどぶの中にはり込まれるのが関の山だ、武装警官まで出なくちやならぬ、あるいはちよつと指で合図したら一村全部連絡してしまう、確かに密造があると思つても、どうしてもしようがないという今日の例であります。それならばむしろ一億何千万円というむだないたちごつこの金をこの費用にかけるよりは、いつそ許可しておいて、ばさつと税金をかけてとつた方が理想的ではないか。こういうことが常識的に考えられる、これは将来の問題として御研究を願いたい。  それからもう一つは長官はお忙しいから、大口の督促ぐらいは出かけられるだろうが小口の督促なんというのはお出かけになつたことはなかろうと私は思う、ほんとう言うと、滞納者の小口の声を聞く、そうして徴収の方法は、小口の声を聞いてむしろそこに滞納処理に出て来なければ、ほんとうの税政策というものは確立できぬのじやないか、この意味において零細なる納税者の督促に対しては、長官自身陣頭指揮をおやりになつたらどうか、これは一つの例でありますが、私はかつて戰前ドイツにおりました時分に、ドイツの納税の督促の仕方というものは非常に上手であつたことがわかつた、もう一つは御承知のベルリンのダルムスタット・ナシヨナル・バンクという大きな世界的の銀行でありますが、その銀行に為替をとりに行つたら、受付のところに気のきいた男の人が出て来て、いろいろなあいさつをする。日本の話やあるいはドイツで生活して行くのは楽かなどと話をしているから、普通のつもりで話したが、あとで聞いたらそれは支配人だそうです。受付のところに支配人ががんばつて応接している。これはドイツの銀行の一つのあり方です。私は納税方面でもやはりそういう陣頭指揮が、むしろあらゆる面において効果があるのではないか、こう考える。これは私の直感でございます。最近私はほかのところへ行つて聞いたのでありますが、こういう矛盾が一つある。あなた方は技術的に非常に御苦心なすつておるようでありますから、その功績もよく認められるのでありますが、実はうちは完納したのだ、苦しいけれども完納したのだ、完納することが義務だと思つて大いに張り切つてやつたが、お前のところは去年完納したのだからことしはまだとれるだろう、それで今年の税をふやした。こういう声を聞いたという、これは税務署をうらむ人の声ではない。完納々々ということで、良心の働きによつて苦心して納税が進みつつある矢先においてあなたの部下の一部の者が行つて、お前は完納したからまだ余裕があるのだろう、もう少し出せといつてよけい税金をかけられる。これでは完納することはばかばかしいというような声を実は聞いたのです。その声をあなた自身がお聞きくださることが非常に効果があるのじやないか。最近米国においでになつたそうですが、おそらく米国もそういうような行き方で行つているのではないかと思います。  時間がないからもう一つつけ加えて申し上げますが、これは酒の問題です。あきびんの回収についてきわめて矛盾的なやり方をしている。なぜかというと、東京であきびんを回収して、東京で使わない。北海道へそれをやる。北海道のものが東京に来たり、九州に出て行く。そのために何十車というむだな汽車の運転をしているということは、業者自身から私に陳情が来ておる。かようなことをあなた御自身でお聞きになつたことがないかどうか。なければ、ひとつ御調査願いたい。あなた方の御苦心も、上層のところからいわゆる水が漏れているということは、もうこれは非常な矛盾だと思います。あるいは昔の統制の産物が残つていて、スムースに行かない点があるのじやないか、こういうふうに考えております。その点についてもひとつお考えを御披露願いたいのと、もう一つは、結局納税督促に行く税務官吏の養成、これは非常に感じが大切です。できたら若い人よりも、社会的な常識の発達した人を多く使つて、納税者との間に円滑に話合いで行くということ、この予算の面から見ますと、納税処理に対して大、七億の費用を費しておるが、これはむだなことではないかと思います。できたらそういう点に対して十分のお考え及びになつたら、国費にもまたあなた方の御苦心のあるところを十分反映できるのじやないか。これは言いたくないけれども、今では税務官吏というと、もう鬼か親のかたきにでも会つたような感じで向つて来る。これではとうてい国家財政は円満に運営できぬのではないか、かように思いますから、この点についての御感想なり御意見なりを承らせていただけばけつこうだと思います。
  56. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 最初の密造取締りが非常に困難であるという点については、ただいまのお話通りでありますが、しかしながら世耕さんもよく御存じだと思いますけれども、二、三年前までは、たとえば有楽町でありますとか、新宿方面にはカストリ横町というものがございまして、あの辺に密造酒が氾濫しておつたと思います。それが今日少くともそういう所に密造酒が氾濫するということが完全になくなつたかと私ども考えておるのでございます。それから特殊の部落等におきまして、密造が絶えず繰返し行われておるということは私もよく承知いたしております。これらにつきましても常時繰返し繰返し取締りをやつ参りました結果、漸次その程度が少くなつて来たということは、これは何人も認めていただけるところじやないかというふうに考えておるのであります。従つてなるほどなかなかむずかしい仕事であります。しかしながらこの努力は、やはりもつともつと強化して続けて行かなければならぬというふうに考えておるのであります。  それから滞納整理について、いわゆる幹部が陣頭指揮をするという点につきましては、私どもはお説の通りにそうあるべきだと考えておるのであります。先ほど御説明申し上げましたインターナル・コントロール・システムこいうものにつきましても、これは署長なり課長、係長というような幹部がよくお話を伺う。そしてどこかに無理がないか、どこかに了解が得られない点があるのではないかという点を追求したいというのが一つのねらいであります。そういうことでございますので、これらの点も今後ともさらに努力して行きたいと考えるのでございます。  また滞納整理に従事する職員の訓練でございますが、世耕さんも御指摘通り、税務官吏はできれば常識の円満な、相当の年輩の者を適当とするという点については、私どももまつたく同感でございます。ただ終戰後相当多数の人を新規に、しかも非常に急速に採用いたしたのでございます。それらの職場にある方を、ただ単に年が若いというゆえをもつて職場外に出すということは、これはなすべきではございませんので、私どもといたしましては、何とかしてこれらの人を十分に教育、訓練いたしましてよくして行くという努力をいたすべきであるというふうな観点からいたしまして、実は税務講習所というものを私ども設けておるのでありますが、この税務講習所におきまして、年間たしか延人数にいたしますると、集めていたします講習が六千人くらいになろうと思います。そのほかに通信教育といたしまして、約二万人程度の通信教育をいたしておるのでございます。経費も二億円前後をこれに投じまして、私ども国税庁といたしましては、税務講習所におけるところの訓練ということに非常に大きな力を注いでおるものでございます。  なおいま一点、正直者が完納したら、その次にはより多くの税金をかけるというお話でございますが、この点は私ども実は残念ながら違つた見解を持つておるのでございます。と申しますのは、税務署の事務は終戰後、正直に申し上げまして相当乱れておりました。と申しますのは、はなはだ帳簿の整理がつかない。一面納税者が一時に非常に多くなつたということ、それに税の種目が非常に多くなつた、並びに税制そのものが急激に年々変化して来た、改正になつたというふうな事柄のため、内部の仕事相当乱れまして、どういうふうにこの納税者が完納したのだということを、税の調査をする方、つまり賦課の方にわかるという状態にはなかつたのであります。従つて賦課の方で、この人は完納したから、もつとかけてもいいのだというふうな判断をする状況にはとうていあり得なかつたのでございます。それでその内部の事務整理に漸次努力をして参りまして、ようやく昨年ごろから相当整理をされまして、漸次改善して参つたのでございます。現在においては、それらの連絡は十分つけるようになつたのでございますが、現在どういうふうな考え方をしているかと申しますと、私どもは全部の人を調査するということはとうてい困難でございますので、どういう人が信頼できる正直な人であるかということを見わけて、むしろ調査を省略する人をだんだんつくつて行く。完全に信頼していい人をつくつて行くという考え方をしているのでございます。そういうふうに、税の完納をなすつた方は、税務署が信頼申し上げていい正直な方であるという部類に入るのでありますから、今日内部の整理が完全にできまして、相互連絡ができるようになつた後におきましては、今度はそういう人はむしろ私どもの方で尊敬をし、信頼される方の部類に入るのでございまして、ただいま御指摘のような点はなかろうかと思うのであります。なおもしもそういうふうな事例がいやしくもありといたしますれば、非常に遺憾なことで、十分注意はいたしますが、根本の心構え、またやり方として、そういうふうな考え方を持つてつておりますことをこの際申し上げまして、御了解願います。
  57. 世耕弘一

    世耕委員 いま一つお尋ねいたしておきますが、税務官吏は必ずしも全部とは申しませんが、非常によいのと悪いのと極端なのです。これはあるいはあなたのお耳に入つておるだろうと思いますが、たとえば飲ませろ、食わせろ、金をよこせ、こんなのは今摘発されたと思いますが、また一面において非常に常識的である、尊敬できると納税者からいわれておる人、自分としてはさいふをはたいても力一ぱいしなければならぬという人、こういうのと二つあるのです。これを何とかしてりつぱな税務官吏に仕立てて行くということが、今後の日本財政計画確立の上に必要ではないか。この点御留意願いたい。その一例としては、あなたの訓示したようなものを手帳か何かに書かせて、それを持つて歩かせるという方法も一つの方法じやないかと思う。場合によつてはそれを見せて、税務官吏はこういう建前で税を取立てに来ているのだということをお見せしてやることも一つの基準になりはしないかと思います。なおただ監視するというのではなく、長官のお名前の入つた、税務官吏かくあるべしというような訓示の入つた手帳でもお持たせになつて、その基準に従つてやられるということであれば、脱線のおそれも大分除かれるのではないかと思います。私ある宿屋にとまりましたが、帳場が騒いでおる。実はこの二、三日税務官吏がここへすわり込んで朝から晩までねばられておる。そのために出入りするお客さんが非常な妙な顔をして見て困るのだ。こういうような極端な例も私は二、三見たのです。そういうことになると税務官吏と納税者とは対立関係になつて、そこでいろいろ煽動する者が出て来て刺戟をする。スムースに行くものがかえつて破壊的な状態になつて、破れかぶれになつて行く。そういうことをできるだけ避けるような御考案があれば承つておきたい。
  58. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 税務官吏の心構えにつきましての一昨年の訓示は、小さなパンフレットにいたしまして、各税務官吏が必ず持つようにさしずをいたしておつたそうであります。また政府で関税官吏等について一部手帳を持たせる制度になつておるところにつきましては、そういうふうにして要綱だけを記入させております。なお税務官吏の不正な者の摘発につきましては、御承知かと思いますが、一昨年から国税庁に監察官という一ものを設けまして、しかもこの監察官に昨年の春からは一部の警察権を與えまして、そうして管下の所属職員については警察権をもつて十分調べられるということにいたしておるのでございます。監察官にはきわめて有能なベテランの税務官吏を当てておりますので、税務官吏がどういうところにおいて最も誘惑に陥りやすいか、またどういうところにおいて誤りを犯しやすいかということについて勘を十分に働かすことができますので、実行以来相当に効果をあげておつたというふうに考えておるのであります。なお一昨年以来国税庁なり、国税局に苦情相談所というものを設けておりますが、これはプロパーについての苦情ではありませんで、実は税務官吏の態度なり、やり方なりについての苦情を何とかして少しでもお聞きして、そうして税務官吏のあり方についてよくして行きたいという考えを持つて設置いたしたのでありますが、そういうふうな機関を通じていろいろな情報も得られておりますので、そういう者においても十分に監視いたしまして、税務官吏の中からそういうふうな不心得の一人でもなくすように今後も努力を続けて行きたいと考えております。
  59. 世耕弘一

    世耕委員 もう一つ最後に落したからお尋ねしておきますが、先ほど酒をよけいつくるには米がよけいいる、これはごもつともな話であります。ところが私が最近調べたところによると、一番おいしい酒をつくろうとすると、一斗の米を四升にする。これは専門家です。一斗の米を四升につき上げる。そうすると頭へぴんと来る酒じやなしに、非常にこくのある酒ができる。その酒を実はごちそうになつて来たのですが、そうするとこれを六升につけばそれだけふえるじやないですか。あるいは八升にすれば頭に来るかもしれないけれども、量が多くなつて一般の人までまわる。密造するというのは、酒が足りなくて、日常品に入らぬからで、四升にするところを六升か八升ぐらいにするという方法もあるし、どぶろくで間に合わせる方法もある。こういうようなものに対する税金の取立て方も当然考慮の中に入れなければならぬが、その点はいかがですか。
  60. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 世耕さんはすでに御承知かと思いますが、現在の酒のつくり方は昔と相当かわつて参りまして、いわゆるアルコールの添加ということが一般的に行われて参つております。しかも最近におきましては俗に三倍醸造と申しまして、相当大量のアルコールを投入いたしまして、そうして酒の量をふやすという努力をいたして参つておるのであります。現在はその、三倍醸造その他のものを合せますると、玄米一石に対して大体二石の酒ができるという程度に相なつておるのでございます。しこうして中には酒屋さんにおきまして、見本的に、たとえば四割まで精白をして酒をつくるという場合があるかと思いますが、私どもの指導といたしましては、玄米に対して平均二割五分を越えてはならないという指導をいたしておるのであります。従つて一部きわめて少数の数量についてはそういうようなことがあつても、全体としては二割五分を越えてはならないということで指導いたしておるのであります。  それから先ほどちようど御質問がありましたのをお答えするのを失念いたしましたので、この際御説明を申し上げておきたいと思いますが、酒のびんを東京から北海道に送るというふうなばかなことをしているというお話でありますが、これはいわゆるびんの製造が間に合わなくて、どうしても古びんを十分に活用しなければならぬ、いわばびんをメーカーとリンクさせなければ、ほんとうにその製品を出して行くことが困難であるというふうな時代が相当続きましたので、そういうふうなリンクの制度が今日まだ一部には残つておるのであります。しこうしてびんの回収につきましては、消費者に対してもある程度の価格をもつて小売店が買うようにというふうな指示をいたして参つておるのでございますが、今後はただいま御指摘のように、最近びんの製造も相当ふえて参りました。そうしてそうびんをリンクして必ずメーカーが持たなければならぬというような状況でなしに、むしろびんがメーカーのところにあふれるというような状況にもなつて参つておりますので、これは昔の自由な状態にできるだけ近づける方がいいのではないかというような方向をもちまして、今後の価格改訂の際におきましては、びん付価格というものと、中味だけの価格というものと二段建にして、びんをリンクさせるというような考え方は伏せて行きたい。そういうふうに考えております。
  61. 永井要造

    ○永井(要)委員 大分時間がございませんので、私は二、三点ちよつと伺つてみたいと思うのでありますが、昨日他の委員から御質疑があつたのでありまするが、砂糖の関税引上げに対するところの消費税の問題でありまするが、今回は家庭配給でも斤当り十二円ぐらいの値上りになるわけであります。世界的な水準から価格を見ましても、日本の砂糖が非常に高いように思われますが、この点はどういう意味でこの際お上げになつたのか、私は了解に苦しむわけであります。この砂糖の需要というものは、やはり家庭に必要欠くべからざるものでありまして、塩と同じ考え方を持つてするのが政府として国民に対する大きな行政の一つになると思いますが、そういう点はさらにお考えなく、ビッド制によつて価格が上つたために、このぐらいの値上げはしてもいいだろうというような簡単な、単純な考え方でやるということは、私は非常に了解溶きないのであります。現在のビッド価格と家庭配給の八十円の価格では相当の差があることは申すまでもないのでありますけれども、しかしながら世界水準から見ますれば、日本の砂糖は非常に高いように考えられるのであります。この点について詳細な御説明を伺いたいと思います。
  62. 龜徳正之

    龜徳政府委員 お答えいたします今回の砂糖消費税の引上げは、来る四月から砂糖の統制を撤廃するということに関連しての措置であります。この問題は実はいろいろな角度からながめなければならぬ問題ではないかというように考えております。ちよつと正確には覚えておりませんが、昨年の七月のニユーヨークの砂糖相場は一ポンド七セント程度であつたと思います。それが十一月ころ五セントになりまして、さらに若干五セントを割る、こういうような状況になつて、世界的にも砂糖の相場は下落しておる、昨年の砂糖の総生産量はたしかに三千五百万トンでございましたか、当相生産も伸びて来ておるという状況でございます。それでむしろ一部には非常に安い砂糖が入つて来て、特に今度は業者が買いつけるというかつこうになりますので、砂糖の相場が非常に下つたときをねらつて買いつけるということが可能になつて参りますから、非常に安い砂糖が入ることになります。ところが一方今まで砂糖は数量も限定されておりましたし、価格も相当高いということで、いも等を原料といたします水あめが、甘味料の代用として相当使われておつた。あるいはまた北海道のてん菜糖が――これは数量は二十七年度で三万六千トンといわれておるそうですが、数量はわずかでありますが、国内産の砂糖がある。むしろ水あめ業者あるいは北海道のてん菜糖の業者の方からは、非常に安い砂糖が入つて来て、このまま放置しておいていいかどうか、むしろ砂糖の値段はある程度つり上げて行かなければならぬじやないか、こういう声が一部では相当やかましいわけであります。他面やはり今御指摘になりましたように、われわれ消費者の立場から言えば、砂糖は塩に次いで必需品的な要素があるという面で、価格を引上げることは困難ではないか、そういつたいろいろな要素をからみ合せて今回の措置をとつたのであります。現在砂糖の配給価格は一斤六十八円、業務用は御存じのように食糧庁が適当な時期に業者に競売のかつこうで処分しておりますが、一行当り百十二円程度じやないか。一般の消費者の方がどれだけやみの砂糖を買つておられるか、こういう点を推定して実効価格がどの程度かということでこういう数字が定まつて来ると思うのであります。家庭では配給の砂糖に主として依存しておられると思うのでありますが、なお若干自由の高い砂糖も買つておられる。現在六十八円でございますから、大体八十円程度に押えてもさして無理ではないのではないか、こう一応見当をつけたわけであります。他方北海道のてん菜糖の保護という問題もありまして、一部には北海道のてん菜糖については、砂糖消費税の引上げはこれには適用しないという措置をとれないかという要望もございますが、物品税の建前から申しますと、同じ砂糖で、しかも品質は相当いいのでありまして、やはり同じ砂糖について一方と税率を異にするということは、税法の建前上どうしても困難ではないかということになりますので、税の建前でこれをカバーするにはどうしても関税によらなければいかぬということで、結局最後の消費者価格が八十円見当になりはせぬかと押えてみたわけであります。そのときの前提はニューヨークの相場が一ポンド五セントという前提で一応計算いたしております。そういたしまして、ちようど初めは実は砂糖百斤千円でありますが、これを二千円程度引上げたらどうかという考え方であつたのですが、今の北海道のてん菜の保護、そういつた問題ともからみ合せまして、砂糖消費税の引上げによらないで一部を関税の税率の引上げによる、こういうことにいたしまして、砂糖の税率を百斤当り千円を千七百円にしておる。一方関税の税率は、粗糖につきましては今まで一〇%でありましたものを二〇%、精製糖につきましては二〇%の税率を三五%にする、こういう措置をとつておりまして、大体消費者価格の見通しは八十円程度におちつくのじやないか。ただそれはニューヨーク相場が一ポンド五セントという前提で計算いたしておりますので、あるいはその相場が下れば下るのではないか。また上れば逆の現象になりますが、大体その辺で一応水あめ、てん菜糖の問題は関税で二十三億、それから、物品税で約四十八億、合計七十一億の増收が見込まれますが、結局消費者の立場も考え、同時にいろんな産業の保護も考え、いろいろの観点から今回の措置をとつた次第あります。
  63. 永井要造

    ○永井(要)委員 いろいろの点についてお話がありましたのですが、私は業者の一員として非常にこの点は不自然なことだと思うのであります。食糧庁が食糧配給の面からいたしまして、五十八億円の赤字が出た。これを手持ち砂糖によつてカバーして行くんだという原則のもとに閣議で決定されて、大蔵省がそれに参画して結局ビッド制ということに相なつたと承知いたしております。国民は砂糖にあとがれておるのたから、その砂糖を菓子業者があさつおる。その弱考を見込んでビッド制にして、そうしてその砂糖の統制をはずす前提としてそれをやつた、そういう意味合いにおいて国民はどうしてもやみを買うよりビツド制で買つた方が安いからそれに集中して来た、こういう意味で砂糖がトン当り、税金がつきますと、一番高値は二十万円くらいになつた。最近幾らか統制がはずされるという意味において十六万円程度になつておりますが、こういう面を見て政府国民の必需品であり、生活の面においても、嗜好の面においても、あらゆる面からいつて必要欠くべからざる、塩に次いでの砂糖を、こういうふうにごく浅薄な考えによつてやるということは、私は非常に不可解に思うわけです。私はアメリカヘも参りましてよく調査して来たのですが、砂糖はアメリカよりはさらに欧州の方が安いのでございます。フランスあたりは実に安いのです。それからイタリア方面でも安いし、非常に親切な行政をやつておると私は感心して帰つて来たのでありますが、とにかく砂糖の問題については、なるほど三万五千トンくらいの北海道のてん菜糖の問題にからんでの説明がありましたが、そんなものはごく微々たるものでありまして、今中華人が通産省その他の方面の了解のもとに、美名に隠れて相当量砂糖はこちらへ入つております。政府が輸入する以外のものが相当量、密輸入ではありませんが、合理的な筋を経てやつておりますが、こういうものが相当安く売られておるのです。こういう点を十分御調査になつたかどうか。そうして価格の点は、これがどのくらいに販売されておるかということを御調査になつたかどうか。さらに菓子界に対するところの影響を十分考慮されたかどうか。菓子は御承知通り今は国民の必需品であります。嗜始的な面からも考えられますが、家庭としては菓子は絶対に必要なものでありまして、この菓子界に影響を及ぼすことが非常に大きいのであります。御承知通り、現在月額十二億円くらいの外国の菓子が入つておることは御承知通りでありまして、密輸入の形式とか、またアメリカ軍の軍需品としての名にかりて、相当量入つております。われわれ業者が調査いたしますと、実に終戰後にもう数百億円になんなんとする外国菓子が入つて、今裏長屋の三文菓子屋のじいさん、ばあさんまで加えますと、約六百万人の菓子屋があります。従業員から一切を加えまして約六百万人になんなんとする菓子業者がありますが、それは皆零細なものであります。中小企業家、中小工業家の一番最下位にある菓子屋でございまして、層は非常に厚いのです。こういう面もお考えになつて、砂糖の値上げということに対して十分考慮されたかどうか。それから今菓子界の方は月額十二億円の外国菓子が入つて氾濫しておりますために、日本の内地でつくる菓子というものは非常に売れない。そこへ加わつて砂糖の値上げが来たらどうして生活して行くか、塗炭の苦しみに追い込まれておるような実情でありまして、われわれはこの際大蔵省においては関税を三五%かけておるそうでありますが、これを大幅に引上げていただくという以外に、もう現在では手がないのであります。層の厚い菓子屋が、ほんとうに塗炭の苦しみに追い込められておる。ここに私は数回にわたつて党の方にも陳情をしておるし、また政要路にも陳情をしたい思つて現にやりつつあるのでありますが、外国菓子の輸入をどうしても禁止してもらいたい。これが私どもの菓子界からの大きな要望であります。もし困難な場合は、輸入菓子の関税を現在の三五%から一〇〇%に引上げてもらいたい。政府は砂糖の流通を円滑、明朗ならしむるとともに、国際価格にさや寄せをする趣旨からいたしまして、四月以降砂糖統制を撤廃するとともに、右に関連して輸入関税及び消費税の大幅引上げを考慮されておるのだと思いますが、かかる措置は、原料高その他生産の悪條件下苦境にある国内の菓子産業の振興を、将来にわたつて深刻に脅威するものであつて、低価格にある国際砂糖相場と、有利な生産事情を基礎とする外国菓子への対抗をまつたく困難ならしめることになるのであります。従つてわが国の業者が優良なる製品をつくりまして、これを東亜なり南方方面なりに輸出しようと思つても、とうてい外国の菓子に対抗はできない実情にあるのであります。ひるがえつて国内菓子産業は、戰後着々復興して参つております。砂糖はやみで買い、貫三千円、二千五百円、二千円と無理をして高いものを買つて、そうしてその日の糊口をしのぎつつある零細な業者であります。近ごろは砂糖のやみ価格が三千円、二千五百円よりも大分下まわつて参りまして、安くはなつておりますが、まだ統制ははずされておりません。でありますから、砂糖商あたりに一貫目当り百円、百五十円ほどのマージンをとられております。こういう実情にあつて、菓子界がほんとうに微々たる資本をもつてやつと立ち上つておる際におきまして、砂糖は上る、外国の菓子はどんどん入つて来る。御承知のように一体日本人は新しいものが好きでありますから、ちよつと包装がかわたり、味覚が日本の菓子と違うと、価格のいかんにかかわらず買つて食べるのであります。とにかく毎月十二億円からのものが入つて来るということは、菓子界に対しては大きな圧迫なのであります。こういう意味合いにおいて、原料事情の対等な場合においては、外国菓子に十分対抗することができるのでありまして、われわれ業者は国民生活に適合した優秀なものをつくつて、外国菓子に対抗して参りたい考えでありますが、何しろ関税は三五%で、どんどん外国菓子が入つて来る。そうして主要原料である砂糖は、政府において浅薄な考えのもとに上げられる、こういうような状態でありますから、六百万人の大きな層を持つておる菓子屋、すなわち零細な中小企業者はどうにもならない状態態に今追い込まれておることは事実であります。どうかこの意味合いにおきましても、政府においてはひとつ関税を大幅に引上げていただくか、ここに予算が計上されておりますが、この予算を訂正しろというようなむちやは申しませんが、わが国の菓子界がやつと立ち上つて来たこの際、ぜひそういう点を十分御考慮を願いたいと考えるのであります。  それからいま一点は水あめの物品税であります。これは御承知通り釜酸というものがたくさんあります。この釜酸は現在では証紙というものに対しては相当考慮を拂われておるようでありますが、みな苦しい立場の零細な業者でありますから、証紙を張つても張らなくても、どんなものでもおかまいなしに、ただ値段さえ安ければ買うというわけであります。そういう意味合いにおいて、大蔵当局では今御説明のあつたように、最近は証紙によつて納税も相当な成績になつて来た、額も上つて来たという御説明がありました。なるほど上つておるでありましようが、その大半は脱税をしておるのであります。メーカーは脱税はできませんが、釜酸と申します方面は、その大半は証紙を張らないのですから、証紙を張つて出すメーカーの方は追いつけない。正当な価格でなくてはどうしても売れない。釜酸の方は税金を納めなくてやつているのだから、もうすでに石油一カンで百円も百五十円もそれ以上の価格が違うというような状態に追い込まれておりますから、全国の水あめ業者というものは実に悲惨な境遇におつたわけであります。しこうして農林中金まで澱粉一袋に対して二千二百円というものを無制限に貸したために、もう農家は安く売らない。そういう立場に追い込まれておりますから、使う原料の澱粉は高い。売るものは釜駿の方から圧迫されてどしどしやられる。ほとんど水あめ業者は開店林業という状態におるわけであります。業者がきわめて少いものでありますから、政府ではそう大きくこれをごらんにならないかもしれませんが、その窮状は名状すべからざるものがあるわけであります。こういう意味においてもすみやかにかような不平等な公平でない納税の面は是正していただくことがいいだろう。他にいくらでも、――私は水あめなどの物品税は大したものでないと思います。こういう意味合いにおいて水あめの物品税の撤廃ということは刻下の急務だと私は思いますから、この際やはり水あめ業者も完全に納税をして、そして幾多の人間を使つて営業しておる業者でありますから、こういう面におきましても十分ひとつ御調査を願いまして、適当な方法を講じていただくように私はこの機会にお願いをしたいと思うのでおります。砂糖の問題につきましては菓子というものは実に大きな産額を持つておりますから、ただ製糖業者のわずかな立場に立つてのみお考えにならずして、業者の立場、それによつて生活をして行く厚い層の業者のことに十分御考慮を願い、さらにこれを援助する意味において、この際外国菓子の大幅な関税の引上げを断行していただくということを、私はこの機会に特にお願い申し上げるわけであります。
  64. 有田二郎

    有田主査 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時半より再開し、質疑を継続することにいたします。   これにて休憩いたします。     午後一時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後三時八分開議
  65. 有田二郎

    有田主査 再開いたします。  大蔵省所管について質疑を継続いたします。造幣庁会計課長より造幣庁の近況をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  66. 面實

    ○面説明員 造幣庁の二十七年度事業なのでございますが、御承知のように造幣庁は硬貨の製造を主体といたしまして、この硬貨の製造に必要な技術をほかの事業にも関連さして応用しておるのでございますが、貨幣の製造が主体で、その付随的に鉱物の分析並びに品位証明とか精製、こういう事業もやると同時に、貨幣の方の多年にわたります極印の技術を応用しまして装金課を設けまして、金属の工芸品もつくつております。大体造幣の事業としましてはそういうものでありまして、二十七年度予算の大半も貨幣の製造経費に充てておられるわけであります。この貨幣の製造経費は、昨年度から会計法がかわりまして、貨幣の製造に要する経費というものは一般会計から繰入れていただくという建前になつております。それで今年度予算の額といたしましては二十何億という予算が計上されておりますが、このうちのおもなる経費というのは、先ほどの事業のほかに、貴金属管理法でうたつております金、銀、地金並びに白金地金の配給業務を政府でやつております関係上、その仕事を造幣で行つております。これの総額が今年度約十一億程度のものが金属配給事業関係に入つております。これは政府で各業者から金、銀並びに白金地金の用途について申請がありました場合に、理財局の方でこれを承認いたしますと、現物は造幣で持つておりますから、業者が造幣にとりに来るという建前になつております。この経費が約十一億入つておりまして、あとの、先ほど申しました貨幣の製造に要する経費というのは、一般会計から繰入れていただいておるものが約七億六千程度であります。これが主体な経費でありましてあとの付随しました工芸品とか、精製とか、鉱物の分析とかいうものの経費はごく微々たる経費にすぎないのであります。簡單でありますが、造幣の予算としては、今大体かいつまんでお話申し上げたような姿で、内容についての御質問があれば知つておる限り説明いたしたいと思います。
  67. 有田二郎

    有田主査 造幣庁では相撲とかその他あるたびごとにりつぱなたてとかいろいろなものが毎長官ごと出ておるのですが、ああいう費用は国の血税によつて――そういういなかの一つの官庁の長官からそういうものを出すという思い上つた気持は、敗戰後の今日の状態としては妥当でないと考えますが、御所見を承りたい。
  68. 面實

    ○面説明員 私もよく承知はしていないのでございますが、相当前のことでありまして、記憶もはつきりしていないのでありますが、昭和十一年ごろに――私の方の造幣の事業ではなくて、これに属しておる泉友会という法人団体がありますが、泉友会でこのたてをつくりまして当時の相撲協会に寄贈したというようなことを覚えております。それは毎年やつておるのではなくて、その当時やりましたものが今日まで持ちまわりの形で出ているものだと記憶しております。
  69. 有田二郎

    有田主査 毎回長官がかわり、かわつたたびごとにその名前で出ておるのだし、昭和十一年の品物が今出ておるという話と違つて、私の見たのは戰後の最近の長官のものが出ておるのです。
  70. 面實

    ○面説明員 それは長官の名前をその都度彫り込んで行くのだと記憶しております。私ははつきりしたことは知つておりません。
  71. 有田二郎

    有田主査 一度よく御調査願いましてこちらへ御報告願いたいと思うのです。第一その泉友会というのは一体どういうものですか。
  72. 面實

    ○面説明員 これは従業員の福利厚生施設のためにつくつておる団体でありまして、先ほども申しました金属工芸品の事業もやつておりますから、これを泉友会の方でも関連させまして、外部から、たとえばメタルとか賞牌のような注文がありました場合に泉友会を通じて注文されておるわけであります。その收入を従業員の福利関係経費に使つております。
  73. 有田二郎

    有田主査 これは共済組合とは違うわけですか。
  74. 面實

    ○面説明員 違います。
  75. 有田二郎

    有田主査 泉友会というのはどういう字を書くのですか。
  76. 面實

    ○面説明員 泉の友の会であります。
  77. 有田二郎

    有田主査 午前中に日本銀行の、やはりそういつた協助会というものに対して相当質疑があつたわけですが、ここでやられることが往々世間に疑惑を招くような結果を招来しておるのです。たとえば日本銀行においても、午前中話があつたが、葬式をしても結婚をしても、そういうところから全部金が出る。そして所得税の脱税の嫌疑を受けるようなこともあるわけでありまして、日本に造幣庁だけならば問題じやないのですけれども、役所はたくさんあるのであります。造幣庁だけが役所でないということもよく考え願つて、大義親を滅して、国会で将来糾明されないようにせられたい。いずれ国政調査で造幣庁へ参りまして全部調査をいたすつもりでありますが、長年の慣例でまあこの程度はよかろうと思うようなことも、悪いことはすべからく訂正してもらいたい。少くとも造幣庁はやはり大蔵省の所管の中に入つておるわけですから、造幣庁のみでなく、印刷庁についても近く国政調査をして徹底的に調べたい、かようにわれわれは考えておるわけですから、この泉友会の中にそういうことは万なかろうとは思いますけれども、間違いのないようにひとつ十分御検討願いたいと思いす。  さらに予算の中で作業というものが、昨年の予算では二億四千三百七十  一万四千円というのが、今年は二億七千八百九十四万五千円に約三千五百万円ばかり増額いたしておりまするが、これはどういう御経費で三千五百万円がふえて来たか御説明を承りたいと思います。
  78. 面實

    ○面説明員 二十六年度事業と大差がないのでありますが、今御指摘になりましたような三千万円の増加というものは、光熱水料――電気、ガス、水道関係の値上りとかで、二十六年度に比べましての物価の騰貴によるものでございまして、そのほか新規約にふえたものはございません。
  79. 有田二郎

    有田主査 それでよく了解したのでありますが、さらに商品費として昨年は二十一億五千百八十万五千円が前年度予算に組まれておるのでありますが、今年は十一億三千四百万円でありまして、約十億円余り昨年度より少くなつて来ておる。これは一体どういうようなわけで昨年度より少くなつて来ておるのでありますか。
  80. 面實

    ○面説明員 これは先ほど申しました貴金属管理法によります配給の地金が、昨年度は金地金、銀地金並びに白金地金、こういうものを配給しておりましたが、二十七年度におきましては貴金属管理法が改正されるという予定で、来年度は、二十六年度まで配給しておりました銀地金と白金地金をはずしまして、金地金のみを配給するというような組み方にかわつて来たものですから、これだけ大きく差が開いた次第であります。
  81. 有田二郎

    有田主査 さらにお尋ねいたしたいのは、地金の売拂代の問題でありますが、昨年度は六千六百五十二万八千円の予算でありましたが、本年は四億五百万円と非常にふえて参つたのであります。これのふえた原因と、同時にこれを売り拂うのにどういう方法をとつておられるか。ここで世間的な疑惑を受けるような売拂いの仕方をしていないかどうか。よく業者と官庁側とが連絡をとつて贈収賄をしておるといういろいろな問題が各官庁に起つておりまするが、造幣庁に限つて万々そういうことはなかろうと思いますが、それらに遺憾のない売拂いの方法をやつておられるかどうか承りたいと思います。
  82. 面實

    ○面説明員 昨年度の六千六百万円の売拂代と今年度四億五百万という大きな開きがあるのでありますが、この地金の売拂いというものは、造幣庁といたしましては、地金は高価であります関係上なるべく地金の材料は確保しておきたいということが希望なのでありますが、先ほども申しましたように貨幣の製造に要する経費というものを二十五年度の会計法の改正で一般会計から組み入れるようになつたということで、政府におきましてもなるべく一般会計から操入れを少くするという意味で、造幣の予算の組み方というものが改支の調整、バランスをとつております関係上、一般会計からの繰入れを少くするために、造幣で現在持つております地金のうちで早急に貨幣材として使わないという地金を、収入の見合いに立ててもらいたいという希望で、今年度非常に大きな地金の売拂いを計上したわけであります。  それからその次に地金を売拂う場合に、その処置が適当に行われておるかという御質問ですけれども、これは各地金業者の指名競争入札によりまして契約しておりまして、決して疑惑をこうむるようなことはないと考えております。
  83. 有田二郎

    有田主査 他に委員の方、御質疑ありませんか――造幣庁はこれで終ります。  それから印刷庁の問題ですが、ひとつ簡単に御説明願います。
  84. 谷川宏

    ○谷川説明員 印刷庁の方がおりませんので、私から簡単に二十七年度の印刷庁特別会計予算につきまして概要を御説明いたします。  予算書にございます通り事業収入におきまして二億三千四百万円二十五万四千円の増加、雑收入におきまして三千五百八十一万八千円、歳入の合計におきまして二億七千万円の増加となつております。一方歳出におきましては、事業費におきまして二億三千百万円の増加、それから他会計の繰入れにおきまして二億五千六百万円の減少になつておりまする関係上、歳出会計におきまして二千五百万円の減少になつております。  以下、歳入につきましておもなる事項について御説明申し上げますと、まず事業收入の方におきまして前年度に比べまして二億三千四百二十五万四千円を増加しておりますが、これは日本銀行券の製造数重の増加等によりまして一億三千八百四十万三千円の増收となりますとともに、その他の印刷物類の値上り等によりまして、九千五百八十五万一十円の増収となつたためでございます。印刷庁の仕事の主体でございまする日本銀行券の製造予定数量につきましては、予算書の六十七ページに出ておりますが、これを前年度と比較して申し上げますならば、まず数量におきまして、ただいま申し上げましたように増加しておりまするばかりではなしに、単価におきましても、できる限り日本銀行に売却いたしまする際に、適正なる価格をもちまして売拂うという方針をもちまして、本年度におきましては、前年度に比べまして、大体五%ないし一〇%の増加を見ております。これを千円券につきまして一例を申し上げますならば、前年度の千円券の一万枚当りの売拂い代金は三万八千九百八十三円でございましたが、二十七年度予算におきましては、一万枚当り四万七千二百四十二円となつております。また十円券にこれを見ますると、同じく一万枚当り四千四十六円のものが、二十七年度におきましては四千七百七十一円、かようになつております。次に雑収入の項におきまして、前年度に比べまして三千五百八十一万円の増加を来しましたのは、金物くず類の拂下げの増加によりまして千八百七十七万円、さらに病院收入につきましては、点数単価の引上げによりまして一千六百万円、その合計三千五百円余が増加したわけでございます。  次に歳出のおもなる事項について御説明申し上げますと、事業費の項におきまして、前年度に比べまして二億三千百万円の増加を来しましたのは、給與の改訂によりまして、職員給與その他の人件費が一億九千五百万円増加いたしました。次に物価の値上りによりまして、事業用の器具、あるいは燃料費、あるいは光熱水料等におきまして一億三千五百万円の増加、さらに印刷庁の主要工場でありまする酒匂工場あるいは東京病院の改築等によりまして、約九千万円、またその他小さい経費におきまして二千七百万円程度増加を来しております。さらに原材料費におきましては、本年度は昨年度に比べまして二億二千万円の減少となつておりまするが、これはみつまた等昨年度におきましては相当値上りを予想いたしまして買付をいたしましたが、本年度は大体の見通しとしましても十分数量が確保されておりまするので、資産の増加になりますような原材料の購入はこれをとりやめたためであります。最後に他会計への繰入れの項におきまして、前年度に比べまして二億五千六百万円の減少をいたしましたのは、昨年度までにおきまして、印刷庁の借入金の返済が全部済みましたので、本年度はこれを計上しなくなつたためでございます。昨年度の二億四千八百万円は、これは借入金の返済資金でございます。さらに予備費といたしまして三億五千万円を計上しておりますのは、昨年度と同額でございますが、事業会計の性質上一時借入金の必要がございまするので、一応二億円程度借入れをするというための利子六箇月分を昨年同様ここに計上した次第でございます。  以上をもちまして簡単でございますが、印刷庁特別会計の予算の概要の説明をいたしました。
  85. 有田二郎

    有田主査 印刷庁長官がお越しになつておられますから、お尋ねしたいのですが、昨年度の原材料の予算で十六億九千三百七十五万五千円が、本年は十四億七千三百四十万八千円、約二億二千万円余本年は少くなつておるのでありますが、これは物価高であるからよけい上るのがほんとうでありまするが、手持ちがよけいにあるから買わないで済むから下げたというのでありますか、お伺いしたいと思います。
  86. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、昨年度の原材料費が十六億九千三百七十五万五千円でありましたのが、昭和二十七年度十四億七千三百万円余、約二億二千万円ばかり減じたわけであります。これは先ほど谷川主計官から御説明いたしましたように、主要原材料でありますみつまたの購入量が、二十六年度は、その前の年度の二十五年度に非常にみつまたをたくさん使いまして、ストックが非常に減つておりましたので、二十六年度に、つまり現在の年度でありますが、二千六十三トンの購入をいたしたわけであります。その結果二十七年度におきましては、特に二十六年度ほど買付を急ぐ必要もございませんようになりましたので、いわゆる平準化をしたわけでございます。また値段の点につきましては、大体みつまたの需要供給の関係も漸次安定の状態になつて参りました。最近の状況では二十六年度はだんだんと値上りの状況でありましたが、二十七年度の見通しといたしましては、今のところ大体二十六年度と同様の値段で買付ができるような見通しでございます。そういうためでございまして、ここでもつて相当の減少があつた。それからなお一つは、やはりこれも紙幣その他印刷用紙の主要原材料であります製紙用のパルプの購入が、二十六年度は御承知通り非常に逼迫をいたしまして、パルプの状況が非常に悪かつたがために、一時在庫に不足を生じて、作業にも支障を生ずるような状態も起りましたので、非常に買付を一生懸命にやりました。その結果パルプの方も相当在庫ができまして、二十七年度においてはこれまたパルプの需給状況が漸次安定して参りまして、価格の方におきましても、最近はやや値下りとも言えませんが、品質の点において改善をするというような状況になつて参りましたので、買入れトン数も大体二十六年度は四千三百トンばかりでございましたが、二十七年度は三千七百トンくらいでいいような状況になつております。また二十六年度はただいま申し上げた四千三百トンのうち三百七十トンばかりは、非常にパルプが逼迫した状況にありましたために、相当高い輸入パルプを買わなければならぬというような状況でありました。そういうような点からいたしまして、二十七年度は原材料費がかなり多くの節約の状況なつたというようなことになつております。
  87. 有田二郎

    有田主査 さらにお尋ねしたい。これは印刷庁長官の所管でないかもしれませんが、大体百円紙幣が非常に大き過ぎるというようにわれわれは感じるのですが、近く百円紙幣を印刷をかえて市場に出すといううわさを聞いておるのでありますが、そういう御計画があるかどうか承りたいと思います。
  88. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまの百円紙幣は、御承知通り、これは戰前からの規格でずつとやつておるわけです。ところが終戰後千円紙幣が新しく書きて、われわれこれは普通いわゆるB券と称しております。その後千円紙幣に次ぎまして、五百円紙幣また五十円のものというように三種類の新しい型の銀行券が出ておるわけであります。これはいずれも昔から見ますとかなり細長い型の銀行券でありまして、いわゆる新型の銀行券と称しております。今の百円はその点から見ますと旧型のものでありまして、かなり形も大きく、取扱いも不便でございますので、今の新型の方に統一するようなことに現在計画を進めておりまして、現在この原版につきまして大蔵省の理財局の方と協議中でございます。ここの予算に出ております百円券の製造も、これは新しい版でもつてつくるような計画にしておる次第でございます。
  89. 有田二郎

    有田主査 さらにちよつとお尋ねしたいのでございますが、この十円札が一万枚で単価が四千七百七十一円で、五十円札が二万四百五円、約五倍も違うのでありますが、どういう理由で五倍も印刷費が違うのでありますか、承りたいと思います。
  90. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまのこの銀行券の単価の問題でございますが、これは御承知通りここにございますようにAの十円札一万枚四千七百七十一円と申しますのは、終戰後非常に急につくつた札でございまして、ほんとうの臨時的なつもりでつくつたものであります。最近の状況でいえば、これは補助貨幣に置きかわるべきものであるというふうに暫定的に考えておるわけであります。従つて印刷につきましても、單価を非常に高いものにいたしますと、非常に不経済な点もありますし、いろいろな関係から、この紙につきましても五十円札ほど良質のものは使つておりません。五十円札の方につきましては、先ほど申し上げたみつまたが約二割混入しておる。十円券の方は、これは普通パルプでつくつております。また印刷につきましても、五十円札の方はいわゆる片面凹版を使つておりますが、十円券の方は非常に簡単な凸版でもつて、しかも色も二色で刷つておるという関係で、印刷費が非常に安くなつておる。原材料の方と印刷の方と両方で非常に安いことになつておるというような次第でございます。
  91. 有田二郎

    有田主査 よく了解しましたが、できるだけひとつ勉強していただきたい。だれか質問があれば……。
  92. 小坂善太郎

    ○小坂委員 これは急いで渡したり受取つたりすると気がつかないですが、百円券の表には「大日本帝国印刷局製造」というのがあります。これは実体に沿わないと思いますが、いつごろから潤えるのですか。
  93. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、百円券は終戰後もやはり前の版をそのまま使つております。従つてこういう版が出ているわけであります。ただいま御説明いたしましたように、今後刷りますものはB歩と称しまして、当然今度出るものからこういうものが是正されることになつております。
  94. 小坂善太郎

    ○小坂委員 二十年度からですね。
  95. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 そうです。
  96. 有田二郎

    有田主査 二十七年度から印刷するにはこの「大日本帝国印刷局」というのはなくなるわけですか。同時にこの百円紙幣が新しき紙幣にかわる、かように考えていいわけですか。
  97. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 百円札につきましては、先ほど申し上げましたように、B百円としまして、他の千円券とか五百円券、五十円券と同一歩調をとつております型のもにかえまして、従つて体裁等におきましても、新しい時代にふさわしいものにかわるということになるわけであります。
  98. 世耕弘一

    世耕委員 ちよつと二、三点お聞きしたいのですが、どうも百円札を見ましても十円札を見ましても、外国の紙幣なんかと比較して紙質が非常に悪いのですが、紙質等の研究なんかなさつておられますか。それから印刷技術の問題についても、自然に時代とともにかわつて行かなければならぬのだが、印刷能力等に関しまして新たな構想をお持ちでございますか。
  99. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまの御質問の銀行券の紙質の問題でございますが、これはただいまの紙幣特に千円券について申し上げますと、これは全部みつまたを使つている、いわゆるオールみつまたでつくつておる。その紙質につきましては、これは各国にいろいろの好みがございまして、もちろん銀行券にみつまたを材料としてつくつておりますところは日本だけであります。これは昔からの話を聞いてみますと、もちろんみつまたの堅牢性、弾力性、そういう農楽いろいろ問題になると思いますが、もう一つはこのみつまたが日本だけにしかできないということで、外国からこれを模造される憂いがかなり少い、そういうような点もあつて、従来から銀行券に特にこのみつまたを印刷庁で奨励してつくらして、これを原料にしてつくつておるというふうに聞いておるのでありますが、少くとも千円券については、アメリカあたりに先般技術者を派遣いたしましたときにも、向うの技術者に見せたわけでございますが、向うで千円券については、これは非常によくできているというような評判をとつております一銀行券としていろいろ見方もあると思いますけれども、紙質の点、それからある程度印刷につきましても、向うでも相当に評価しているように聞いておるわけです。ただ先ほど申し上げましたように、A十円券につきましては、終戰後に非常に急いでつくつたものであります。また暫定的に考えて、これをやはり将来も長く銀行券で発行するということになりますれば、相当これは考えなければならぬ。またA百円につきましては、先ほどから申し上げておりますように、これもやはり前のものでございますから、なお改良の余地がある。五十円券につきましても、いろいろとこれ議論があることと思いますが、これはやはりだんだんと券面が低下して参りますと、製造費がその割合に違いません関係上、券面に対する割合が非常に上つて来るわけです。なかなか思うように製造費をかけるわけに行きませんので、ある程度のところでごしんぼう願うというふうなことになつております。
  100. 世耕弘一

    世耕委員 みつまたは日本の特殊な植物のようにおつしやいましたけれども、私の知る範囲では、これは大陸にもある。ただ雁皮という種類の植物は日本独特じやないかと思いますが、雁皮を使用した紙幣というものがずつと昔にあつたように記憶するのですが、そういうことはございませんか。なお印刷技術は非常に外国でもほめられたというようなことをおつしやつたけれども、あるいはお世辞で言うたのか、ほんとうにほめたのかわかりませんが、われわれは外国の紙幣に比載して何だかいなかくさいような感じが実はするのです。この点はあなた方が世界を旅行なさつたらおそらくお思いになるだろうと思いますが、ことに百円札は一番気に入らない。ドイツが敗戰して行き詰つたときに出した紙幣のかつこうと色合いが似ている。先ほど造幣局の方に私はお尋ねしよう思つていたのですが、アルミウムの一銭でしたか、十銭であつたかを出したことがある。私は亡国貨幣になるぞと言つて猛烈に反対した。水の中にはうり込むと浮くような貨幣をつくること自体が、私は幸先が悪いと非難したのですけれども、とうとうつくつてしまつたのですが、そんなことは今になつてしよがありませんが、何か印刷技術について新しい構想があなた方にはあるだろう。それともう一つは千円札をかりにつくるといたしますれば、今の機械でフル・スピードやつて一日どれくらいつくれる能力がありますか。
  101. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 外国紙幣の点でありますが、私も実はそれほど深く調べたわけでございませんので、あるいは外国にそういう雁皮でつくつたものがあることはおそらくあるだろうと思います。ただ雁皮と申しますのは、日本のみつまたとは多少違うように聞いております。雁皮というのはたしかこれはこうぞの類でありまして、割合に大量生産の機械すきには適しない、手すきの方にはよいと聞いております。いずれにいたしましても印刷庁といたしましては、紙につきましても、印刷につきましても、この予算にも出ているがもしれませんが、研究所がございまして、毎日研究をいたしておるわけであります。  なお今の百円札の点につきましては、これはわれわれといたしまして今度改良をいたします際に、お話の点につきまして十分考慮に入れまして、できるだけよいものにいたしたいと考えております。なお千円の製造能力の点でございますが、これはただいまのお話のように、銀行券はいろいろなものをつくつているわけでございますが、ただいまお話の点は千円札だけにつくるのに最高能力を発揮すればということでございますか。それからまたいわゆる普通の勤務時間中にやればこれまたある一定の限度がございますが、これも勤務時間を超過させまして、忙がしいときには相当急がせてやるわけでございますが、そういうふうな点もございますので、能力というものは多少弾力性のあるものでございます。しかし一応ここに載つております一億七千万枚というのは、千円券一億七千万枚、百円券二億五千万枚でございますが、両方合せまして四億という数字は大体の現在の印刷庁の工場といたしまして、あまり無理をしないでやります工場の能力というようなことになつております。
  102. 有田二郎

    有田主査 ちよつと谷川主計官にお尋ねしたいのですが、この特別会計の中に今の日本銀行券の千円、百円、五十円、十円、一円と出ておりますが、一体五百円をどうしてお抜きになつたのか、お忘れになつたのか承りたいと思います。
  103. 吉田晴二

    吉田(晴)政府委員 ただいまの五百円券の点につきましては二十六年度に大体印刷いたしまして市中に出したのでありますが、割合に所要量が多くございません関係上、ことに二十七年度には、先ほどからお話をいたしました百円券を相当刷らなければならないというような関係がございますので、二十七年度は百円券の房に主力を注ぎまして、五百円券の製造の方は一応見合わすというように計画しておる次第であります
  104. 有田二郎

    有田主査 印刷庁は大体この程度で終ります。  次に専売公社久米監理官に御説明を願います。
  105. 久米武文

    ○久米説明員 日本専売公社の昭和二十七年度予算の大綱につきまして申し上げます。まず一般会計との関連におきまして納付益金の関係を申し上げますると、昭和二十六年度千百七十五億八千六百余万円と予定されておりまする益金は、タバコの売行きが最近好調であります等の理由に基きまして二十七年度におきましては千二百五億で、二十九億円の増を見込み得るような状況でございます。専売公社のタバコ、塩、しようのう、三つの事業を通じまするところの事業の成績もおおむね順調な推移を示しております。以下願次タバコ、塩、しようのうの各事業につきまして概略を申し上げますると、タバコ事業につきましては、歳入におきましては二十六年度に比し四十八億円の増、歳出におきまして十七億円の増、差引納付益金のタバコ関係におきまして約三十億円の増が見込まれておるわけでございます。  次に塩の関係におきましてこれは二十六年度と同様に、二十七年度も特に益金を出すというふうな考えはございませんで、これは塩の事業として収支のバランスを得るという建前でございまして二十六年度に二百五十五億円程度で収支のバランスが合つているわけでございますが、二十七年度には十三億七千万円ばかり規模が大きくなりまして、二百六十九億五千五百万円程度でバランスを合わしてございます。  次にしようのうにつきましては、二十六年度におきまして一億二千万円ほど予算上は益があることに相なつておりますが、これは二十七年度におきましては、その規模におきまして歳出において一億四千三百万円程度大きくなることに相なつておりまして歳出は十億八百万円程度と相なつておりますが、このしようのうにおきましても、二十七年度は収支のバランスを合せるということに相なつております。しようのう関係からは益金は出ない。三つの事業を通じまして、タバコの事業が非常に好調を示しておる。そこから約三十億の益金の増加が出ておる。それから公社全体としての納付益金は二十九億千三百四十五万二千円、これが二十六年度の納付益金に対する二十七年度増加額であります。大体三つの事業の規模及び二十七年度にどういうふうにそれを見込み、そこからどういうふうな益金が出て来るかということにつきましては、ただいま申し上げましたような次第であります。なお足らざる点は御質問によりましてお答えいたします。
  106. 有田二郎

    有田主査 ちよつとお尋ねしたいのですが、OSSで今外国タバコの販売をやつております。これは大体どの程度出ておるか、またこれに対する専売公社へ納める税金なんかについて承りたいと思います。
  107. 久米武文

    ○久米説明員 OSSのタバコは、これは御承知通り日本におりまする外国人にその嗜好上必要とするタバコを供給するという趣旨で現在売つております。本年に入りましてからは日本人もそこへ行つて買えるということには相なつておりまするが、主たる目的というものは、外国製のタバコを必要とするところの日本在住外国人に、その需要に応ずるものを売つて行くという建前でできております。具体的な数字あとで申し上げたいと思いまするが、これはその数量におきましては、外国人の需要に応ずるということを主といたしまして判断をいたした数量に損なつております
  108. 有田二郎

    有田主査 それから光の密造の問題でありますが、先般来私も専売公社へ行つてこの点をやかましく申し上げたのでありますが、光の箱を京都の工場において印刷をしておる、その京都の工場で印刷した光の箱が九州あるいは中国、近畿、四国さらに金沢、名古屋こういう方面の地方局の光の製造に箱が送られておるのでありますが、この箱が盗難にあつてそうしてやみタバコの材料になつておるという状態でありますが、その後御調査になりました結果、どの程度盗難にあつてそういうものがまわつておるか、お知りになつておらるれ範囲内で御報告を承りたいと思います。
  109. 久米武文

    ○久米説明員 ただいま御指摘になりましたように、光の小箱――光十本を詰めておりまする紙の箱でございますが、あの小箱が京都の工場で印刷されておる、それが他の地方の専売公社の工場に輸送されまして、地方で製品となつて売り出される。その京都から地方局の製造工場等に輸送する途中において、あるいは地方の局において製品化された後におきまして、あるいは地方局の倉庫において、あるいは出張所の倉庫等において、あるいは輸送途中においていろいろ盗難事件等が従来ございましたことは御指摘通りでございます。この盗難の数量、最近は減つておると私は考えておりますが、具体的な数量はちよつと今持ち合せておりませんので、これも後刻お答えいたしたいと思つております
  110. 有田二郎

    有田主査 いずれ資料として御提出願いたいと思います。何か専売公社の方に御質疑はありませんか
  111. 世耕弘一

    世耕委員 今箱の問題がありましたが、箱に入つているのを買う人も多くあるだろうと思いますが、袋へ入れて売つたらどうでしよう。必要に応じて一本ほしい人、一箱買えない人は一本売りでもいいんじやないか、箱の値段がそれだけ安くつきはしないか、消費者を益するのじやないか、これは外国にも例のあることでありまして日本でなぜそれを行わないか、それをひとつお聞きしたいと思います
  112. 久米武文

    ○久米説明員 専売公社で製造をいたしますタバコ、これを売りますときに、現在のように最低單位として十本ということでなしに、ばら売りをしたらどうかというふうな御意見かと思いますが、公社の売りますタバコにつきましては、同じ銘柄につきましては、できるだけ優秀な品質の規格を保持したい、あるいは店先でもつばらばらになりますと、中味の分量、葉の量目が減るということ、あるいは傷がつくということ、その他品質を確保して参るという点で、いろいろ難点が、実際問題として起ろうかと思いますが、なお御指摘の御意見がざごいますので、私どもとしても研究はいたしたいと思つております。
  113. 世耕弘一

    世耕委員 私は一本売りをやれ、そして盗まれるようなりつばな箱に入れなくても、新聞紙の箱でいいんじやないか、三本でも五本でも入れて売るというのが、むしろ実際的であると言うのは、それがすなわち民主主義の政治がそこに現われて来るゆえんであると思います。官僚政治だと悪口を言われるのは、ここなんです。親切さが足りないというのは、そこから現われて来やしないかと思います。この点は十分研究してもらいたい。その点では専売公社が損をしているのじやないか。たとえば一箱買いたいが買えない、そういう人があるかもしれない。一本、二木わけて売つてくれれば、買つて行きたいという人が、国民の中に多数ありはしないか。そういうことを考えて商売をなさるところに、いわゆる商売のこつがあるのではないか、かように考えます。それからもう一つは、日本のタバコの味が非常に悪い。だから外国のタバコを盗んで買つたり何かする。外国のタバコと比較して、日本のタバコの味の悪いのは、どこに原因があるか、配合する薬品に何か遅れたところがあるのか、あるいは価格の点を考慮するのかどうか、その点はどうでございますか
  114. 久米武文

    ○久米説明員 ただいまタバコの品質の点で、外国タバコとの比較、検討お話が出ました。ごく常識的に申しまして、タバコの製造にはアメリカ式、たとえばラッキー・ストライクのように、非常に香料を入れまして、人工的に加工して味をつけた、そういうタバコが一般の嗜好に適する国もございます。またイギリスのように、香料はあまり入れないけれども、葉そのもの、原料そのものの持つている味を生かして、人工を加えない、生のままの味でのんでいただく。その原料の葉がいいという点から、品質がいいというふうなタバコのつくり方が嗜好に適している国もあります。大体日本の専売局時代には、どちらかというと、あまり人工の、味を加工しない、香料はあまり使わないで、英国式のタバコを最上のタバコとするというような、一種の考え方があつたかと思うのであります。これは私の感じでございますから、あるいは他に御意見があろうかと思います。ところが終戰後におけるわが国の喫煙者の嗜好というものが、だんだんに香料を入れた、たとえばラッキー・ストライクみたいなのが一番うまいタバコだというふうな御意見の方もございます。現在つくつておりますピースにおきましては、相当香料を入れておりまして、一般の嗜好の変化にも相当応ずるようなくふうをいたしておるつもりでございます。この香料をどの程度入れるか、あるいは葉そのものの味でのんでいただくか、いずれをとるかということは、これは一般の嗜好の推移に応じて、公社の方も順応して参らなければなりません。そういうふうな大体の考え方でおりますが、現在のピースというものを例にとつて申し上げますならば、タバコとしては、十分外国の一流品に比べ得る、比肩し得るものと考えております。ただ長く保存しておきますと、香料というものは飛んでにげやすいもので、たとえばカン入りのピースというものを、外国の一流のタバコとお比べになりましても、決してひけをとらないのではないか、そういうふうに私は考えております
  115. 世耕弘一

    世耕委員 結局時代とともにやはり国民の嗜好品もかわつて行かなくてはならぬ。外国タバコを好んで日本人がのみ始めたというこうとは、お得意様がかわつて来たということになる。そのお得意様の気持をとらえるということが、専売公社はどうも遅れていはせぬかと、私は指摘できると思います。それで外国のタバコは、たとえば英国のタバコは、品質がいいから品質を生かす、これは一番理想的です。けれども品質のよくないタバコを、品質よきタバコと同じような気持でのませるというところに、専売公社の商売気があるのではないかと私は思う。そこで香料ということを私はあなたにお尋ねするに至つたわけです、どんな香料をお使いになつていますか。そしてその原料はどういう方面から得られていますか。それとついでにもう一つお尋ねしますが、砂糖は入つておりませんか。もし砂糖を使つておるとすれば、どういう品種の砂糖をお使いになつて味をつけておりますか。いわゆる香料ばかりでなしに、タバコに対する味という方面も自然考えなくてはならぬが、その方のあんばいはどういうふうになつておりますか。
  116. 久米武文

    ○久米説明員 タバコの香料につきましては、相当多数の香料を組合せまして、使つております。御承知通り、その香料を配合いたす際に、大体アルコールでとかしまして、砂糖も中に入れておりますが、砂糖と申しますものは、大体の作用は甘みをつけるということでなしに、香料が飛ばないように、香料がにげないように、ある程度の湿気を持たせて香料を押さえておく、そういうふうな作用を今砂糖に持たしているわけでございます
  117. 世耕弘一

    世耕委員 専売公社として砂糖をどの程度使用されておるかということをお聞きしたいことと、それから私もタバコは昔はのみました。今はのみませんけれども、タバコの講釈は一通りできるつもりですが、タバコはただ吸うばかりではないのです。吐き出した煙の雰囲気の中にいるというところに、いわゆる一つの神経作用を活用して行かなければ、ほんとうのタバコ屋さんになれないそういう点を分析して御研究にならないと、お客様がふえぬじやないかと思いますが、その点と、今香料を飛ばないように砂糖を入れると言うが、砂糖にもズルチンやサッカリンがあるのだから、そういう点を加味してこしらえるか。あるいは純粋のものをお使いになるか。ただ香料を保存するという意味ばかりじやなく、甘みということも一つの嗜好をそそることになるのですが、この点はいかがですか
  118. 久米武文

    ○久米説明員 砂糖の点はサッカリン、ズルチン等でなしに、ほんとうの砂糖を使つております。それから香料の点は、主査有田先生も御存じの通り、ペルラルチンでありますとか、その他たくさんの香料を使つております。それから今御指摘になりましたように、タバコをおのみになるお客様の嗜好に応じてお一客様のお好みに応じたようなタバコをつくつて参るということは、私ども専売公社関係者の念願するところでございます
  119. 世耕弘一

    世耕委員 もう一点お伺いします。最近の日本人のタバコの消費量は、男女別にしてどういう率になつておりますか。そうして男の方がずつと増加しておりますかつ女の方が増加しておりますか。その辺の統計があつたらごく概要でよいからお示しを願いたい。  それからもう一つは各製品の原価計算、ごく簡單でよろしゆうございますから、御説明願えればけつこうと思います。
  120. 久米武文

    ○久米説明員 男女別の喫煙人口と申しまするか、その関係は、終戰後の状況をごく大ざつぱに申し上げますれば、終戰後の復員等によりまして、どちらかと申しますれば、男子の方の喫煙の量が多いかと考えております。婦人の喫煙がどの程度の、人口の何パーセントに達しているかというふうなことは、なかなかこれは調査困難なことがありまして、推定方法を用いればある程度の推定はつくかと思いますが、これはいろいろの前提を用いないと出て参らぬことであります。  コスト計算の点は、これはあらためて資料で差上げた方が数字がこまかくなりますからよいのではないか、そういうふうにお願いいたします
  121. 世耕弘一

    世耕委員 男女別の消費者、お客様の計数があなたの頭にないということは少し私は悲観するのです。なぜかというと専売局というものはあらゆる機関を持つているでありましよう。ちよつとそれに手を加えさえすればすぐ統計が出て来ると私は思います。なおまた外国タバコを何ゆえに日本人が嗜好するかという点の問題、それも分析してあなた方は御研究になつてあるはずだと私は思います。それからタバコのいわゆる製造能力、この点もコストの上に大きい響影があると思います。あるいはまた紙を使用しないで、刻みタバコとかあるいは他の方法において安く消費者に供給して、しかも満足を得て、専売局はさらに収入を上げるという方法がある。こういう点から考えてみますと、やり方によつては、私の見方では、今の専売公社の益金は少いと思う。もつともうかる方法があるのではないか。こう私は実は申し上げたいのであります。今ここでその議論をすることはどうかと思いますから省略いたしますが、結局タバコと文明、よきタバコを製造し、販売する国柄には高い文化があるということは過去においてもそれが証明されております。そういう点から見て、あなた方には日本の国威を海外に高揚する上に大きな責任が物品を通じてあるのではないか。できたら外国へ今後大きい生産として輸出されたいと思うのですが、現在輸出の中心として出されている額、並びに品種、また将来どの方面に日本の専売公社のタバコが販路を獲得することができるかということについて御説明を願えればけつこうかと思います。
  122. 久米武文

    ○久米説明員 初めの製造能力の点は、これは二十七年度予算に予定いたしましたあの製造数量よりも、まだ能力としては若干余裕があると考えております。それから刻みタバコの問題にお触れになりましたが、この両切りタバコと刻みタバコの関係は、これはどちらも需要に応ずるだけの数量は十分に供給したいということであります。ところが最近の実際の刻みの需給の状況をごく率直に申し上げますると、従来刻みを好んでお吸いになりました方も、大勢としては両切りの方へ推移して参るというふうな傾向を示しておりまして、ここ数年刻みの全国的な消費量というものは減少の一途をたどつておるわけであります。最近でも刻みの方はやや品が余りかげんだというふうに考えております。  それからタバコの輸出の関係は、葉タバコの輸出としても、また製品になりましたところの製造タバコとしても、両方で考えております。葉タバコの方はたとえて申しますると、向うのタバコの本場のエジプトあたりへもこれは相当出るような足取りを最近示しております。この方は今後も葉タバコとしても輸出を促進して参りたいと考えております。それから製品タバコの方は、これは御承知のように外国へも若干出ておりますけれども、この近所ではあるいは朝鮮向けとか、沖繩向けというふうのが若干ございます。なお日本のタバコ品質がますます向上して、海外にどしどし出て行くというふうな状況は望ましいことでございましてわれわれとしても世界におけるタバコ市場の情勢というものは常に念頭に置いて、その大勢に即応したところのタバコの売込みということは考えて行かなければならぬと考えております。
  123. 世耕弘一

    世耕委員 私は将来日本に刻みタバコがはやつて来ることを予言いたします。これは今までのあなた方の指導が悪かつたからです。外国の販路の擴張がまだ遅々として進まぬ理由は、昔の天狗タバコの時代を見てこらんなさい。日本のタバコが大陸を風靡しておつたではないか。それが専売局になつてから影をそひめてしまつた。こういう非難も私は言えると思う。時代と量が違うからと反駁するかもしれませんが、やはり勉強の足らないところがある。包装のごときも改良の余地がある。品質の改良もやつてまずいタバコをおいしく吸わせる。しかも吐く煙がどういう変化をするかという科学的なことまで考える。ただ吸つて吐き出すだけではない。その雰囲気というようなものをいろいろ研究されて、始めて海外の市場を獲得することができるのだと私は思う。ドイツのタバコやエジプトタバコその他のこともお話の中にあつたようでありますが、かりにドイツのタバコ製造会社の例を申しましても、日本はもつともつと私は世界的に飛躍しなければならぬと思いますが、これらについてもう少し国家のために勉強していただきたい。よく言うようでありますけれども、少し専売公社は商売に不熱心だという結論しか出て来ないのであります。どうぞこの点は決して悪口を申し上げておるのではないので、この上の御努力国家のため、国民のためにひとつ御奮闘くださらんことをお願いいたします。
  124. 有田二郎

    有田主査 この際久米監理官にお願いいたしたいのは、由来国会というと、最近は非常に専売公社はこわがつておるのか、いやがつておるのか、監理官にかわりにやらせておる。特に今の世耕弘一君の意見などはまつたく私は同感でありましてぜひこういう場合には総裁みずから出て来て委員の意見を聞くというふうにひとつおはからいを願います。  最後に二点お尋ねしたいのは、今世耕委員も婦人の嗜好としてのタバコの話が出ましたが、新憲法で男女同権になつたから、特に女の嗜好するタバコ、これは戰前にもそういうタバコはありましたが、戰後は新憲法によつて男女同権という形になつて参りましたので、婦人のタバコに関する関心は非常にふえておるのではないか、かように考えますが、婦人のお吸いになるタバコについてこれを近く出す御計画があるかどうかまたそういう研究をなさつておるかどうか承りたいと思います
  125. 久米武文

    ○久米説明員 初め主査から御注意をいただきました点、よく総裁にも伝えて今後遺憾のないようにいたしたいと存じております。  婦人の吸うタバコの問題につきましては、婦人向きの、いわば軽いタバコとでも申しまするか、そういうものを出すことにつきまして、公社内では数年前から研究はおりおりいたしておりまするが、まだこれを出すというところまでの結論は得ておりません。もつとも専売公社といたしましては、タバコ関係のいわゆるPRと申しまするか、パブリック・リレーシヨン、この関係におきましては、婦人の喫煙者ということも十分念頭に置きまして、そういう婦人喫煙者の方の御希望というものも絶えず伺うように心がけております。
  126. 有田二郎

    有田主査 さらに谷川主計官にお尋ねしたいことは、二点でありますが、この専売公社の歳入、事業計画、その他二十七年度のみ書かれてあつて、前年度との比較がされてないのであります。これは当然前年度との比較をわれわれに示してくれなければ、われわれとしてはこういう本年度数字だけ示されたのでは考えようがないのであります。この点さらに御検討願いたいのと、それから歳出の面におきまして販売費が、非常にタバコの収入増にもかかわらず、昨年度予算の二十二億八千七百二十八万八千円が、本年度は十八億七千五百九十八万七千円に減りまして、約四億余り減つておるのでありますが、どういう意味で販売費がかように減つて参つたのであるか。その二点について御所見を承りたいと思います。
  127. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。最初の御質問に対しましては、予算書の形式全般の問題といたしまして十分主査の御意向を研究いたして明年度におきましては、善処いたしたいと思います。第二のタバコ事業費の販売費の減少でございますが、前年度二十二億八千七百万円に対しまして本年度十八億七千五百万円、差引四億一千一百万円減少しておりますが、本件につきましてはタバコの回送、輸送費等につきまして極力節約をはかりましたのと、その他保管料の点につきまして、昨年以来葉タバコ及び製造タバコの公社有倉庫の増設をはかりましたので、保管寄託費が相当減少いたしたので販売費の減少を来した次第でございます。
  128. 有田二郎

    有田主査 専売公社について御質問ございませんか。
  129. 小坂善太郎

    ○小坂委員 簡単に御質問します。先ほどから伺つておりまして感じましたことは、あなたの方針としてはヴアージニア種というか、黄色種を中心として黄色種のタバコがよけい入つているタバコがいいのだという考え方でありますが、さつき世耕君も言われましたように、国民の嗜好が若干かわつておるのじやないかと思われる点もありますので、アメリカ式の乾燥をする方式のタバコをつくつてみてはどうかということを考えるので、そのお勧めをしたい。その点についての御意見を承りたいことが一つ。  それからもう一つは、二十二年ごろでしたか、私が提案してタバコの中に広告を入れると、その広告収入からやはり相当の専売益金類似のものが上るのではないかということで、一時採用しておられたように思いますが、最近それが影を消してしまつたように思います。その間の事情を承りたいと思います。この二点についてお尋ねいたします。
  130. 内藤敏男

    ○内藤説明員 ただいまお話の第一点は、いわゆるトースト・タバコのことだと思いますが、これは実はアメリカでも現在はトーストでないのだそうでございます。たるをあけますときに真空状態にしまして、熱い熱風を加えてやるというふうな式で、従来のトースト・タバコとは違うようであります。公社といたしましても、それらの点研究はいたしておりますが、今のところすぐ実現するという運びにはなつておらないのであります。  それから広告のことでございますが、実はこれも一時実行いたしておりました。ところが御承知のようにタバコは全国一円に出ますので、広告の方も全国一円のものでないと困るという点が一つございますのと、それから時期を限られますと、タバコの製造と売上げの間隔が、現在のごとく売行きのいい場合には非常に期間も短かくうまく行くのでありますが、これが需要と供給の関係、需要が供給に比べて常に強いというふうな状況でありませんとうまく行きませんので、そういうふうな二つの点で、実際やつておりましたが、ほとんど申込みがなくなつて参りました。同時に公社といたしまして考えますことは、自分のところの商品に他の商品の広告をするのはどうかというふうな問題もありまして、いわば自分のところで出ます商品は神聖なものではないか、それによその広告を出すことはどうかということで、先ほど申しました実利的な面とあわせて考えまして、最近では広告のことをやめております。たしか広告收入は終戦後五十万円かそこらしがなかつたかと記憶しております。
  131. 小坂善太郎

    ○小坂委員 今の前段の点について、これはトーストでも、それから真空つ管状態にして乾燥させる方法でも、いずれにしても乾燥をやつてタバコにするという方法ですね。それはいずれでもいいのでありますが、研究されているのはけつこうだけれども、一体あなた方の答えは常に研究しておるというのが多いので、やる意思をもつて研究しているのと、たとえば本年度中にそういうものをつくるという意思をもつて研究しておられるのと、漫然と世界的水準という看板を掲げているのだから、その看板の手前研究しているというのとはたいへん違うのです。あなたのお答えはどつちなのか。私としてはそういうものをつくつてみられたらどうか。特に都会の人の嗜好というものは、今の、タバコの煙の立つて行く雰囲気というものを相当敏感に見るのです。私はその点が、外国タバコがやみでも出て来る一つの大きな原因になつているのではないかと思いますので、その点について、年中にやるという考え方で研究されているのか。その点に対する御答弁。  それからもう一つの、後段の点は、今のように回転率の早いときならば相当広告的な価値があるのじやないかというふうにも思われるので、広告収入が非常に少いからやめたというのは結果論であつて、非常に広告料金が高いとか、あるいは専売公社がそういう広告を入れるということが徹底しないということが原因であるかもしれませんし、そういう点について、もう少し御検討願つたらどうか、お聞きしておきます。
  132. 内藤敏男

    ○内藤説明員 先ほど申し上げましたいわゆる小坂さんの軽いタバコでありますが、これは本年度あるいは来年度からやる計画は今のところございませんただわれわれの方といたしましては、やはり嗜好に適したタバコということを考えなければなりませんので、いろいろ葉組み等につきまして研究しておりますが、今のところまだこれといつて銘を打つて出すだけのものができていないということであります。それから次の広告のことでございますが、先ほど言い落した点もございますので補足させていただきますと、御承知のように広告のカードを入れます場合には機械で入れるものでございますから、紙の質が非常によくないとうまく入らないという点がありまして、広告される方の側から見ましても、広告としてはあまり引合うものではないというふうな点もあるかと思います。収入が少いというのはあるいは結果論かもしれませんが、そういうふうな広告主の方からの考え方もあると言い得るのじやないかと思うのであります。
  133. 小坂善太郎

    ○小坂委員 第二問の方はいろいろ見解がありますから、専売公社も商売をやつておられるので、あなたの方の御判断でそういうことになるなら私もあえて言いませんけれども、ただ自分の方の商品に他の商品を入れるということは非常に神聖を害するという考え方は官僚的な考え方じやないかと思うのです。タバコは専売ですからほかの商品とは競争しようがないのです。同じタバコをつくればやみになる。あなたの方だけがやつていらつしやるのだから、そういう点あまり神経質に考えにならない方がいいじやないかと思います。  それから第一点の方は、これもやはり商売気がないのじやないかという印象を受けるのです。これは本年度も来年度もやる計画はありません、これでは私は身もふたもないと思う。やはりそういう嗜好が多いという意見があれば、本年中にそれをやつてみて、その状況を見ようというような商売気がないと、せつかくわれわれ専売公社にして前だれをかけてみんな努力していらつしやると思つているのですから、その期待を非常に裏切る御答弁だと思う。よいと言われたら研究してやつたらどうですか。やたらに財源をつくつて押えておくだけが能じやないので、そういう努力が非常に望ましいということをあえて申し上げておきます。
  134. 世耕弘一

    世耕委員 これは妙なお尋ねになるかもしれないけれども、タバコと火事というものはつきものであります。そういう点について研究されたらどうか、これは国家的に非常に損失を来しておる。なせそんなことを言うかというと、実は私はそれについて研究しておる。この点についてもあなた方業者の建前からいえば大いに考えなくてはならぬことだ。衛生面から見たタバコ、あるいは火災面から見たタバコ、そうして国家収益の面から見たタバコ、この三つの観察点がおのずから一致点を見出さなければならぬが、そういう点について考えておられるか。
  135. 内藤敏男

    ○内藤説明員 タバコと火事の件は実は戦争中から終戦後にかけては遺憾ながら公社のタバコが燃えにくいということで火事の問題には触れられなかつたのであります。ただいまここで火事のことをおつしやつていただきましたのは、ある意味で公社のタバコの品質が向上したということになるかと思いますので、私どもとしてはありがたく拝聴いたしますが、ただ私の方といたしましては、タバコはどうも性質上燃えるものでございますので、タバコをお吸いになる方に十分御注意を願つて、火災の原因にならないようにということをお願いする以外に道はないというふに考えております。
  136. 世耕弘一

    世耕委員 タバコと火事ということをそういう意味で言うたのではないのです。タバコが火災の原因になるということはもう常識的になつておる。それなのに燃えるタバコをつくるようになつた、こうおつしやることは少し無責任だ。     〔主査退席、永井(要)主査代理着席〕 私の申し上げたいことは、タバコは非常に火がつきやすいから、火災予防に御注意を願いたいという注意書をタバコの中へ入れるだけの用意があるかということを実はあなたから聞きたかつた。あなたからその説明があるだろうと思つた、それが一つ。  それからもう一点伺つておきたいのは、タバコと衛生という問題です。この点もやはり研究されなければならぬ。ただもうけさえすればいい、タバコをのんで気違いになつてもいい、胃が悪くなつても腸が悪くなつても神経衰弱になつてもいいという考えでは公社の値打がなくなる。公社の見地から火災を何と見るか、公社の見地からタバコの衛生をどう見るか、そうして収益の面では公社としてどう見るか、この三点が一致しなければタバコ政策はうまく行かないのじやないか、こう実はあなたにお聞きしたのです。そこまで気がまわるだろうと思つた。ところがあなたは見当違いの答弁をなさつた。私の言葉が足らなかつたかもしれませんが、タバコをあけたときに火の用心の注意書は、先ほど広告の点がありましたけれども、広告以上に必要じやないか、タバコを売る責任者として当然注意書があつていいじやないか、それを見たためにタバコの味がかわるということはないだろうと思う。  もう一点は、先ほどの質疑応答の中で感じたことだが、あなた方自分でタバコをつくつてこれを消費者に売りつけようという気持があるが、そうじやなく、むしろ消費者がどんなタバコをのまんと要求しておるかということを絶えず考えて、そうして製造にかかるというのでなければ商売はもうかりませんということを申し上げておきます。
  137. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 それではこれをもつて大蔵省所管に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  138. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 次に昭和二十七年度一般会計予算皇室費国会裁判所及び会計検査院所管を一括議題といたします。  まず皇室費より順を追つて説明を願います。宇佐美政府委員
  139. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 ただいまから昭和二十七年度皇室費の歳出予算についてその概要を説明いたします。  本歳出予算に計上いたしました金額は二億三千二百六十一万一千円でありまして、その内訳は、内廷費三千万円、宮廷費一億九千五百七十五万一千円、皇族費六百八十六万円であります。  そのおもなるものについて事項別に申し述べますと、内廷費は、天皇、皇后両陛下を初め、内廷にある皇族方の日常の費用その他内廷諸費に充てるために、法律で定める一定額を計上したのでありまして、前年度より百万円の増額となつております。  宮廷費は、国の象徴としての御活動に必要な経費を計上したものであります。その内容としては、従前と同じく、皇室の公的御活動、すなわち儀典関係費、行幸啓費、正倉院、図書、雅楽等の文化的経費、その他皇室用財産の維持管理に必要な経費等であつて、国交回復並びに立太子式挙行に伴う儀典関係係及び宮殿改装費以外に、特に新たな所要は計上されておりません。二十六年度予算一億一千百八十七万九千円に比較いたしますと、八千三百八十七万二千円の増額になつておりますが、これはさきに申し述べました儀典関係費の若干の増額と、宮内庁庁舎の一部を仮宮殿に改装いたします宮殿改装費の新規計上によるものであります。  皇族費は、秩父、高松、三笠、三宮家の皇族方に対し、皇族としての品位つ保持の資に充てるものとして、法律で定める一定額を計上したものでありまして、前年より三百二万七千円の増額となつております。これは基準定額を、七十三万円から百四十万円に増額する関係に基くものであります。  以上をもつて昭和二十七年度皇室費歳出予算の概要の説明を終ります。なお詳細については、御質問に応じ申し述べることにいたします。
  140. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 次に衆議院の予算について御説明を願います。山崎説明員。
  141. 山崎高

    ○山崎参事 昭和二十七年度国会所管衆議院関係歳出予算の要求額は、十二億二千五百六十八万九千円でございまして、その重要な事項について一応御説明申し上げます。  まず国会運営に必要な経費といたしまして、十一億四千七百六十九万九千円を計上しております。そのうちおもなものを申し上げますと、議員歳費、手当及び旅費並びに議員秘書給料等議員に関する経費五億九千三百五十七万五千円、常任委員会における委員の旅費、審査雑費及び所属職員人件費並びに事務費等に必要な経費六千三十九万三千円、行政監察特別委員会における委員の旅費及び所属職員人件費並びに事務費等に必要な経費、一千八百万円、また事務局におきまして必要な人件費及び議案類印刷費、光熱水料、通信費等の事務関係経費並びに庁舎、議員会館等の維持に必要な経費、四億三千六百十三万三千円、法制局の職員に対する人件費及び立法資料調査立案等の事務に必要な経費、二千二百六万六千円、その他国家公務員共済組合負担金、公務災害補償費等に必要な経費といたしまして一千七百五十三万二千円が積算されてあります。  第二は営繕施設に必要な経費といたしまして、七千九十九万円を計上いたしてあります。これは議員宿舎の増築、その他庁舎の修繕等に必要な経費でありまして、議員宿舎の増築等に三千五十万円、自動車置場の新営に二千一百五万円、傍聴人等休憩所の新営に五百万円、統合電話交換所付属施設等の新営に四百万円、衆議院付属施設敷地買収のため、四十四万円、その他庁舎の修繕等に必要な経費一千万円が積算されてあります。  第三は予備金に必要な経費といたしまして、前年度と同額の七百万円を計上いたしてあります。  以上簡單ながら概略の御説明を申し上げます。
  142. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 次に参議院の予算について御説明を願います。芥川説明員。
  143. 芥川治

    ○芥川参議院参事 昭和二十七年度国会所管参議院関係歳出予特の要求額は八億二千九百十二万八千円でございまして、その重要な事項について一応御説明申し上げます。  まず国会運営に必要な経費として、七億六千七百十七万九千円を計上しております。そのうちおもなるものを申し上げますと、議員歳費、手当及び旅費等議員に関する経費三億二千二百九十五万五千円、常任委員会に関する委員の旅費、審査雑費及び所属職員人件費、旅費並びに事務費等に必要な経費六千百九十三万三千円、事務局において必要な職員人件費及び議案類印刷費、光熱水料等の事務関係経費並びに庁舎、議員会館等の推維に必要な経費三億四千三百八十万六千円、法制局の職員に対する人件費及び立法資料調査立案等の事務に必要な経費二千四百二十一万五千円、その他国家公務員共経組合負担金、公務災害補償費等に必要な経費一千四百三十七万円であります。  第二は当営繕施設に必要な経費として五千六百九十四万九千円を計上いたしてあります。これは議員宿舎その他の新宮世びに庁舎の修繕等に必要な経費でありまして、議員宿舎の新営に二千九百八十万円、自動車置場の新営に八百八十九万六千円、傍聴人等休憩所の新営に四百万円、議員会館浴室設備の改装等に五百二十五万三千円、その他庁舎の修繕等に必要な経費として九百万円が積算されてあります。  第三は予備金に必要な経費として前年度と同額の五百万円を計上いたしてあります。  以上簡單ながら概略の御説明を申し上げます。
  144. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 次に国立国会図書館予算について御説明願います。武内説明員。
  145. 武内時之助

    ○武内国会圖書館参事 昭和二十七年度国立国会図書館の予定経費の要求は二億九千百二十六万二千円で、前年度予算額の二億一千四百四十三万四千円に比べまして七千六百八十二万八千円の報加となつております。今これを事項別に申し上げますと、国立国会図書館の管理運営に必要運営に必要な経費一億七千百五万六千円は、国立国会図書経法の規定により、国立国会図書館は図書及びその他の図書館資料を蒐集し、調査及び立法考査業務すなはち要求に応じ両議院の委員会に懸案中の法案または内閣から国会に送付された案件を分析または評価して両議院の委員会に進言し、補佐するとともに妥当な決定のための根拠を提供して援助する等、また行政及び司法の各部門に対する図書館奉仕、すなはち行政、司法各部門総合カード目標の作成、巡回文庫の設置等、さらに一般公衆に対する図書の閲覧公開、図書の受入れ及び整理、目録索引及び印刷カードの作成、国際図書交換の業務、国会分館における図書の閲覧、憲政資料の蒐集業務、東洋文庫、静嘉堂文庫及び大倉山文化科学図書館における図書閲覧、その他の業務等に要する人件費事務費及び図書購入費等であります。  次に国立国会図書館支部上野図書館の管理運営に必要な経費三千七百九十五万六千円は、国立国会図書館法の規定により国立国会図書館支部上野図書館の管理運営に要する人件費、物件費及び図書購入費等でございます。  国立国会図書館の営繕工事に必要な経費八千二百三十五万円は、国立国会図書館庁舎敷地買収費二千万円と三宅坂分室に二百坪の書庫、支部上野図書館に三百坪の書庫建設の経費が計上してあります。右を合計いたしますと二億九千百二十六万二千円となります。  以上国立国会図書館昭和二十七年度予算の概要につきまして説明いたしました。よろしく御審議をお願いいたします。
  146. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 次に裁判官弾劾裁判所予算について御説明を申し上げます。隈井説明員。
  147. 隈井享

    隈井裁判官弾劾裁判所参事 昭和二十七年度国会所管歳出予算のうち裁判官弾劾裁判所の分につきまして、その概要を御説明いたします。  裁判官弾劾裁判所の予定経費要求額は五百三十四万八千円でございまして、これを前年度予算額六百七十九万九千円に比較いたしますと、百四十五万一千円の減少となつております。この減少額は乗用自動車購入費の減少などによるものでございます。  次に要求額の内訳は、裁判員の職務雑費百四万一千円、調査旅費十四万二千円及び事務職員十二名の人件費二百五十九万六千円と一般事務経費等であります。  以上簡單ながら要求経費の概要でございます。
  148. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 次に裁判所予算について御説明を願います。吉田説明員。
  149. 吉田豊

    吉田最高裁判所説明員 昭和二十七年裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  昭和二十七年度裁判所所管予定経費要求額は七十億六千二百六十八万一千円でありまして、前年度補正予算要求額を含めました予算額六十四億二千六百五十七万七千円に比較いたしますと、六億三千六百十万四千円を増加いたしました。  右昭和二十七年度予算のうち重要な事項について御説明申し上げますと次の通りであります。最高裁判所及び下級裁判所機構の維持及び経常的な行政事務を行うために必要な経費といたしましては五十一億七千七百七十二万三千円でありますが、そのうち最高裁判所に八億八千六百四十八万五千円、高等裁判所に三億九千二百三十万七千円、地方裁判所に二十億一千五百五十一万六千円、家庭裁判所に九億一千九十四万円、簡易裁判所に九億七千二百四十七万五千円をそれぞれ計上いたしております。現在公判調書、証人調書等の作成は裁判所書記官の要領筆記によつてなされておりますが、ステノタイプライターによる速記録により公判調書等を簡易化し裁判を促進する必要がありますため、ステノタイプライターを使用する速記官の研修を行う養成所を設立することといたし、この養成所に必要な事務費、教材等の作成費及び研修者の旅費として一千三百五万五千円を最高裁判所に計上いたしました。近時激化の傾向を示しております労働事件、公安事件等の審理における法廷闘争に対処し、法廷の静穏を保持し、審判の適正迅速な処理を行うため法廷警備を強化する必要がありますので、これに要する職員人件費事務費及び出張旅費等として一千四百四万円を地方裁判所に計上いたしました。国選弁護人の報酬及び刑事補償法による補償金その他裁判に直接必要な旅費、庁費等として十一億九千九百八十六万三千円を最高裁判所及び下級裁判所に計上いたしました。裁判所営繕工事費として、裁判所庁舎等の新宮費で五億八千二百三十七万四千円、裁判所各所増築費及び敷地建物買収費として六千七百六十二万六千円を最高裁判所に計上いたしました。裁判所法の規定に基く予備金として八百万円を最高裁判所に計上いたしました。  以上昭和二十七年度裁判所所管予定経費要求額についての大要を御説明申し上げました。
  150. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 次に会計検査院予算について御説明を願います。高橋説明員。
  151. 高橋豊

    高橋会計検査院説明員 昭和二十七年度歳出予算要求額は二億九千四百五十三万八千円でありまして、その内容を申し上げますと、検査官会議に必要な経費三百五十二万九千円、事務総局に必要な経費二億九千百万九千円となつております。これを前年度予算額二億七千九百六十万二千円に比較しますと千四百九十三万六千円の増加になります。その増加のものにいて説明いたしますと、職員の待遇改善等に伴う増加千三百七万八百円、レントゲン設備等に伴う増加四百二十四万二千七百五十円、その他五百九万八千九百円、計二千二百四十一万二千四万五十円であります。減額となつたものは退官退職手当等七百四十七万六千四百五十円でありまして、これを減じますと前掲の千四百九十三万六千円の増加となるのであります。  以上簡單でありますが、会計検査院所管予算の概要の説明を終ります。
  152. 永井要造

    ○永井(要)主査代理 これより質疑に入ります。世耕弘一君。
  153. 世耕弘一

    世耕委員 会計検査院にお尋ねいたしますが、御承知のように日本の予備隊ができてからすでに千数百億の費用が計上されておるのであります。ところがこの大きな予算が一まとめで使われる場合には、えてしていろいろな問題が発生することは過去の日本の歴史に決して少い例ではないのであります。最近会計検査院の方々が予備隊の経理のあり方について二、三重要な注意を喚起した書類を出されたということを承つておるのでありますが、さような事実がございませんか。あればその内容を御説明願いたいのであります。
  154. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答えいたします。ただいま警察予備隊の経費の使用につきまして、会計検査の結果、会計検査院といたしまして注意を発しました事項を説明せよというお話でございますが、御承知通り昭和二十五年度の決算の検査報告に十数件、警察予備隊の経費につきまして会計検査院として経理が当を得ないという事例ですでに内閣に提出してありまして、きようあたり印刷ができまして、やがて政府の方から国会の方に御提出に相なる運びになると存じております。十数件の事案は検査報告に掲げてありますが、今大体のことを申し上げますと、警察予備隊の創設されました当時、営繕等の経費につきましてももう少し節減できたのではないかというような事案とか、その他いろいろ物品等の調達につきまして、少し高過ぎたというような事案が今までございます。その点私どもといたしましては、今世耕さんからのお話通り相当経費の使用でございますから、もちろん慎重なる態度をもちまして十二分に検査の徹底を期しまして、会計検査をいたしました。その都度こちらといたしまして、いろいろ警察予備隊の経理のあり方等につきまして注意を促した事項等も相当数ございます。     〔永井(要)主査代理退席、主査着席〕 そうした事項につきまして、検査報告に掲載して御審議をいただくことが適当なものにつきましては、検査報告に記載いたしまするし、またどの省にもこれはあることでございまするが、会計経理の責任者として検査報告まで掲げることはどうかという観点から、各省と同じように、厳重に将来注意する必要があるというような処置をとつておりますのもあるような次第でございます。大体そういうふうな検査の結果になつております。
  155. 世耕弘一

    世耕委員 二十五年度の警察予備隊の予算使途区分表が手元に届いているのですが、その中で物品費が百十七億八千五百万円、こうなつておりますが、この数字は間違いございませんか。
  156. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいまの物品費は間違いないと思います。
  157. 世耕弘一

    世耕委員 これはあなたの方に直接御意見を承つておきたいのですが、どうも最近昔の会計検査院のような活発な活動がないように私承る。ある意味においてやむを得ない事情もあるだろうと思いますが、私は昔の会計検査院にもどつていただきたい、そうして会計検査の上にもつと厳正にして公平な態度で御処置が願いたいということを実はお願いするのです。予備隊の中に疑惑があるとは今申しません。申しませんが、過去において大きな予算といえば軍事費です。ところが東條内閣時代のあの乱暴な軍事費を編成あるいは決定するときにおいてすら、陸軍参謀本部等で案がかりに出たとすれば、陸軍の本省でそれを練り、それが議会に提出されて、議会でさらにそれが審議されて、最後に御裁可を仰ぐという形になつております。その間において審査の段階が非常に慎重を期しておつた。ところが最近のこの予備隊関係予算の使途の方法については、はたして昔のような手続を経ておるかどうかということに、国民が一つの疑惑を持つて来る。そればかりではございません。最近において海上保安庁あるいは予備隊関係においてはすでに疑獄が発生しております。連日の新聞を見ますると、百万、二百万の収賄がざらだ。もうすでに億を越すというようなことをいわれているときに、一番国民が信頼してわれわれの機関として活動していただく会計検査院が、この際厳正公平な態度を持つていただかなければ――議会といえどもあまり十分の資料を得られないのです。今御説明になりましたいろいろな点に関しまして、どういう点どういう点が疑惑を生じたから警告を発したということを、具体的に御説明願えましようか。
  158. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま世耕さんから非常に御懇切なる御注意と御鞭撻をいただきまして、私ども会計検査の職にある者は大いに感謝いたした次第でございます。予備隊経費のみならず、多額の国の経費の使用につきましては、一層厳正に検査を進めまして、皆様方の御期待に沿えるように全職員一致して当りたいと思つております。  なおただいま御質問の警察予備隊の経費につきまして、昭和二十五年度の検査報告に掲げました事項の大体の案件を申し上げますと、警察予備隊の経費で特に必要のない支出をしたという事項が、仙台外四警察管区本部で、昭和二十五年の八月から十月までの間に、警察予備隊員が警察学校に入校滞在中の用に供するために施行しました工事のうちで、約九工事八百余万円ございますが、この経費の大部分は、予備隊員の収容が一時的でもありまするし、特にその必要がなかつたものではないか、あるいは警察学校の在来の施設等を利用すれば足りたのではないか。ひつきよう警察予備隊の設置に名をかりまして、警察学校の施設等をしたものと認められるのではないか、こういうふうな趣旨をもちまして検査報告に掲載いたしております。これが数件ございます。  その他警察予備隊の経理におきまして、経理が非常に紊乱しておるというかどでは、警察予備隊の第二管区の総監部で、会計課勤務の一等警察士の斉藤某が、主任資金前渡官吏として昭和二十二年の十二月から二十六年の三月までの間に、債権者に交付せねばならない小切手その他歳入歳出外現金等で取扱うべき契約保証金、これらの金を中央信託銀行札幌支店に自己名義の預金をいたしておりまして、その間一部を他に流用し、債権者に対しまする支拂いは同銀行の小切手をもちましてするなど、はなはだ不正な取扱いをなしているものが約二千四百余万円もあつたような次第でございます。  そのほか部外者と共謀しまして二十六年五月、小切手用紙及び官印を盗用いたしまして小切手を偽造しました金額は九十四万三千円、これを領得いたしておるような次第でございます。  それから架空の庫移し補償費を支拂つた事件、これもはなはだ経理紊乱の一例になりますが、警察予備隊第一管区の総監部で昭和二十六年の四月、株式会社蔵前倉庫及び都商事株式会社に対しまして、倉庫撤去に伴う補償費として六百七十万円を支拂つたのであります。これは警察予備隊の第一管区の総監部の庁舎建設にあたつて買収いたしました東京都練馬区所在の土地七万五千二百八十八坪の中にあつた国有の練馬倉庫を撤去いたしますために、同倉庫の一時使用者でありましたただいま申し上げました二会社に対しまして、会社の支出した整地費、建物工事費等のほか、さらに在庫貨物の庫移しに要する経費を補償したものとして出しておるわけでありますが、そのうち庫移しの補償費四百六十五万円は架空の庫移しに対して支拂つたものでございまして、この処置ははなはだしく不当なものに考えまして、検査報告にも掲載いたしております。  その他不正行為で国に損害を與えましたような事件も数件ありますし、今一々御報告申し上げますことは煩わしいことと思いますので、また御必要がございましたら、後ほど書類によつてよくわかるようにして差上げたいと考えておるわけであります。
  159. 世耕弘一

    世耕委員 今御説明を願つた以外にまた表をつくつてお出し願いたいと思います。  それから総括的にあなたの感想を承つておくのですが、予備隊、海上保安隊等の会計検査にあたつて、かなり経理面が乱雑だというようにあなたお考えになりましようか、それともあれが普通だ、こうお考えになりますか。その点だけ承つておきます。
  160. 池田直

    池田会計検査院説明員 海上保安庁のみならず、国の会計経理につきましては、残念ながら会計検査院の検査の結果から見ますれば、これが普通だとは全然考えません。昨今の事例に徴して見ますと、架空の経理が非常に多くなつております。から出張とか、から人夫、そうした架空の名義によりまして巨額の経費支出しまして、これを別に手元に保有いたしまして、国会で審議されていないものに使用している事例が非常に多いのであります。昭和二十五年度の検査報告も間もなく皆様の方にごらんに入れる手はずになると思いますが、その架空経理によりまする総金額は、今私正確な数字は覚えておりませんが、五億以上に上ると思つております。こうしたはなはだ遺憾な経理状態になつております原因はいろいろあろうと思います。社会道義の低下その他諸般の事情があるとは思いますが、いやしくも国民の血税によりましてまかなわれました経費が、こうした架空の経理によりまして、たといそれが会計経理担当者の個人のふところに入らぬといたしましても、こういうことになつていることは国の財政運営上はなはだ好ましくないと思いますので、会計検査院といたしましては、従来以上に一層この点の刷新、架空経理の一掃という線に全力を盡したいこういうように考えておる次第でございます。
  161. 世耕弘一

    世耕委員 二十五年度の物品の購入に対して、先ほど申しました百十七億八千五百万円というのがあつたということをおつしやつたのですが、この物品の購入に対して、何か疑惑等が起らないのでございますか。その点、ひとつ伺つておきたいと思います。
  162. 池田直

    池田会計検査院説明員 物品の購入等につきまして、新聞紙上でも御承知の刑事事件になつておりますような事案もございますが、その他の物品購入の事例につきまして疑惑はないかどうかという御質問でございまするけれども会計検査院といたしましては、直接物品を購入いたしまする業者の帳簿等につきましては、直接の検査権限がございません。検察当局と異なりまして、私どもは遺憾ながら、そうした強制権も持ち合せておりませんので、かりに疑惑というようなものをそれとはなしに感じましても、これを確認するだけの検査を徹底させる権能を持ち合せておりませんので、その点は世耕さんの御期待にはなはだ沿いかねる点があることを私も遺憾に存じておるような次第でございます。
  163. 世耕弘一

    世耕委員 それは少し問題になるのですが、会計検査するのにはこの品物は幾らぐらいで買つたか、これはどれくらいの値段かということがわからなければ、会計検査ということに私はならぬと思うのです。三等品をこれは一級品であるという、もうそれだけで、価格の上で差が出て来るわけですね。それもおれの方では知らないのだということはないでしよう。もしそういうことになれば、会計検査はただ向うから出て来た数字だけ見て来る。これでは会計検査のほんとうの実態はつかめないのではないか、こう申し上げたい。一例を申しましよう。予備隊は将来は大砲を持つことになるかもしれない、もうすでにハズーカ砲も持つているという説明が今ありました。飛行機も持つことになる。機関銃はもちろんのこと、いろいろな品物が購入されます、またこの間ここで問題になつていたテントのような問題も、自然に出て来る。そのテントの問題もわずかな金額でなかろうと私は思う。少くとも何億というテントの代金が支拂われなければならないはずです。それが品質のいかんによつてはものにならぬ物も出て来ましよう。そういうことにもあなたは目をお通しになつて会計検査をなさるのか、ただ帳面づらだけ見るのか、こういうことが問題になつて来るわけです。そういうことはないと私は思いますが、御説明ができにくければ私はお尋ねいたしませんけれども、そこまでは目が届くはずだということを――実はあなたの責任において尋ねるのではないのです。けれども、そういうことが順序ではないかと思うのです。かりにこういうこともないとは申せません。過去の例から見ますと、妙な軍艦を買つて、そのために戦略上非常に不利になつた、あるいは飛べない飛行機をつくつて、そのために非常な犠牲を日本国民が拂つたという例があるのです。すぐ実戦に応用される大事な武器が、もし変な形において購入され、買い上げて、その間において忌まわしい現状がかりにあつたとしたならばどうなるのか。国民の損害はただ金高だけではありません。大きな問題がそこに含まれている。私が特にうるさくお尋ねするのは、そういう場合を予想して実はお尋ねしておるのでありますから、もしさしつかえなかつたらお答え願いたい。  それからもう一つは、できたらわれわれはなるべくならこういう問題で刑事事件を起させたくない。できたらこれを道徳的にお互いに処理することが、海外に対しても私は非常にいいのではないか、いたずらに足元をほじくつて、そうしてくさいものをば掘り出そうというような時代ではなくなつたと私は思うのであります。こういう点について、お互いが真剣に再建の途上において協力してやらなければならぬのじやないかというような観点からお尋ねしておるということだけは御了解願いたい。
  164. 池田直

    池田会計検査院説明員 たいへんごもつともな御意見でございまして、私どもといたしましても、たとえばAという品物を、当時の一般市価なり、あるいは公定価格なりに比べまして、はなはだしく高価に買つている。それが会計検査院としまして非常に過失、怠慢であつたというような事項につきましては、呵責なく検査をいたしておりますので、これらの予備隊の経費につきましても、いろいろな物品等を調達いたします際に、もしもそういうふうな不経済な購入等がありまして、いやしくも会計経理担当者の責任に帰すべきものでありましたならば、断固としてこれは追究すべきものだ、こう考えております。昔臨時軍事費等の経費の使用につきましても、会計検査院といたしましては兵器の数量等の受拂いにつきましては、法律の定めによりまして、検査の権限を與えられておらなかつたのでありますが、飛行機なら飛行機、臨時軍事費で購入しました飛行機が、いやしくもいろいろの観点から調査いたしまして高価であつたということになりますれば、これは従来から不経済な使用であるとして検査をして参つておりました。日本の海軍の建艦費等につきましても、ただいままでのところは戦前と同じようなことで進んでおりました。私どもといたしましてもただいまの御注意の線に沿いまして、できる限りの力を注ぎたい、こう考えておる次第でございます。
  165. 有田二郎

    有田主査 私から会計検査院にお尋ねいたしたい。先般予算委員会で、私、下岡検査官とだれでしたか忘れましたが、局長さんがお出ましになつたときに、地方へ行かれてごちそうになるかと質問をしましたら、ごちそうになる、こういう御答弁があつたのであります。その際に、どうしてごちそうになるかということを質問しましたら、地方の民情を聞かしていただくためにごちそうになる。地方の民情を聞かしていただくのであれば、むしろ会計検査院の方からちそうして聞かしていただくのが当然ではないか、かような質疑応答をやつたことがあるのでありますが、私は会計検査院はどうしても非常に責任が重い、しかも今日今ごろ決算委員会に出て来るものを見まするに、一例を国鉄にとりましても、当時の管理部の運営について、当時の食糧事情も非常に悪いので、百万人の人間しかいないのに、二百人以上の給與をとつてみたり、あるいは百人に対して三百人分の食糧費をとつてみたり、そういうたものが今決算委員会にぽつぽつ出て参つておるのであります。こういうようなことは実際当時それがなければやつて行けなかつた。しかしこれが会計検査院が検査した場合においては、数字上そこにはつきりいろいろ出て参るのであります。そこに会計検査院の検査のむずかしさというものがあると私は思う。しかしながら同時にそういつた欠陥があつたために、どうしても各官庁は会計検査院の人をごちそうしたい、こういう気持になるのは私は無理からぬところであると思うのでありますが、その運営については、ぜひとも官庁を御調査になるときは――この前も私事務総長にお願いしておきましたが、官庁の本庁とよく連絡をとつて、大体会計検査院で検査の方針をおきめになつて、そうしてやる、こういうことが非常に必要であると同時に、地方にあつてはごちそうにならないということ、これが私は大原則でなければならぬ、かように考えるのであります。先般も宇治の国警予備隊の御報告を事務総長から受けましたが、本人の意思ではなかつたけれども、幾分こちそうになつたやの御報告がありました。こういつたことはわれわれとしても非常に遺憾なことでありまして、今度の予算面を見てみましても、もつとそういつた費用が見込まれるべきである。検査旅費についてようやく昨年度より二百五十三万五千円がふえておる。すなわち昨年度四千七百六十六万九千円に対して、本年度は検査旅費として五千二十万四千円、すなわちただいま申し上げましたこの二百五十三万五千円よりふえていないのであります。これらは主計局に三十億の別の予備費がありますから、よく御相談願つて会計検査院の方々が地方へ行つて、ごちそうにならないで、せめて宿屋に帰つて一ぱい飲めるくらいの予算は、当然見積つておくべきではないか、これらはひとつ主計局ともよく御相談願つて、さようなことに願いたいと思うのであります。  さらにまた私としてお願いしたいことは、国税庁におきましても、査察官制度をよく調査しますと、どうしても下剋上になつておる。以前主税局時代におきましても、終戦直後の地方の職員組合の力が非常に強くて、そうして主税局からの指令よりは、職員組合の指令の方が末端に力があつたということは、私がここで御説明申し上げるまでもなく、よく御存じのところであります。最近におきましては、国税庁も非常にかわつて参りましたが、当時は局長が何だ、あるいは署長が何だ、課長が何だというような非常に下剋上的な空気が濃厚でありました。漸次今日では国税庁また税務署における下剋上的な気分は一掃されて参つたように思うのでありますが、査察官におきましては、なお幾分下剋上の気持が残つておる。税法的な、これは法律がこうだからという建前で行かれて、下剋上的な空気が一番国税庁で残つておるのは、査察官であろうと私は思うのであります。同時にやはり会計検査院という建前から行きまして、今日も世耕委員からもお話がありましたが、各官庁とも非常に無理な予算の編成であり、無理なやりくりをいたしておりまするために、会計検査院から見まするといろいろ違反事項が山積いたしておるとわれわれにも考えられるのであります。従つて会計検査院の判断というものが非常にむずかしくなつて参つておるだけに、ちようど国税庁における査察官が下剋上であるごとく、やはり会計検査院においても幾分下剋上の点があるのではないか、特に最近会計検査院長が職員組合から一札をとられたということが新聞に出ておつた、これなんかもつてのほかであります。少くとも下剋上は会計検査院にあつてはならないものだろうと私は思うのであります。しかるにそういつた一札が出ておるというのでありまするが、これらの点について池田事務総長の御所見を承りたい。
  166. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいまいろいろご注意いただきましたことにつきましては、会計検査院といたしましては、従来よりできるだけの手段を講じて、特に接待等のことにつきましては、いやしくも国民の指弾を受けるようなことがないように配慮いたして参つたような次第でございます。私どもが検査に参りました先で、いやしくも国民の血税あるいは地方民の血税によりましてまかなわれた経費で接待等を受けますることは、もつてのほかのことでございまするので、絶対に接待等を受けることのないようにということで進んで参つております。前、決算委員会なり、さきの臨時国会予算委員会におきましても、御説明申し上げました通りに、昭和二十三年の七月ころだと思いますが、不幸にして私の方の職員で一部はなはだ不心得者がありましたので、特に接待等につきましては厳重に取締ることにいたしたような次第でございまして、このことは、部内職員にはもちろん、常時いやしくも会計検査院の検査の職に当る者が、国民の指弾を受けるような行為があつては、せつかく全職員が苦労してお国のために働いたその結晶も一朝にしてふいになることであるから、嚴に慎むようにということでやつておりましたとたんに、今申し上げましたような昭和二十三年に不祥事件がありましたので、その後は特に私どもの部内ばかりでなく、各省の次官その他各省の出先の機関の長の方、また府県の方々にも私どもからお願いしまして、会計検査の執行に際して接待等絶対にしていただかないようにひとつ御協力を願いたいというような御依頼の通達もこちらから出しましたし、なお部内におきましても、私どもが地方に出張いたします場合は、いろいろ会計検査がスムーズに行くように調書等を御依頼します。その場合は局長の名義で御依頼しておりまするが、その際も局長の名義によりまして特に実地検査の主任官が行くが、接待等については絶対にしていただかないようにというふうに御依頼をいたしで参つておるような次第でございます。たまたまその後、私どものこうした配慮にもかかわらず、一、二また不心得者がありましたので、二、三の者につきましては、退職させたような事例がございまして、私どもといたしまして、いやしくも今御意見のありましたような線に沿わない者は厳重に処置する、こういうふうな方針で進んで参つております。今後は今御意見のありました次第もありますし、一層厳重にいたしたい、その他諸般のことにつきましても、いやしくも私どもの意に反することがないように細心の注意を拂つて職責を盡すようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  167. 有田二郎

    有田主査 大庭主計官もお越しになりつておられますから、この際ぜひお願いしたいのは会計検査院につきましては、絶対にごちそうになつてはいけない、こういうことをわれわれは申しておるのでありますが、やはり地方に行つて検査をされるそれらの検査旅費につきまして、二百五十三万五千円ふえておりまするけれども、これでは私は僅少ではないかと考えるのでよく会計検査院と御相談くださいまして、予備費の中から会計検査院がみずからあやまちを犯すことのないように御努力を願いたいと思いますと同時に、会計検査院にはぜひとも下剋上的なことのないようにひとつ厳に院長におとりはからい願いたいと思います。  会計検査院はこれでよろしいですか。――どうもありがとうございました。ただいま会計検査院事務総長からちよつとつけ加えることがあるそうでありますから……。会計検査院池田事務総長
  168. 池田直

    池田会計検査院説明員 先ほどの委員長の御質問に対する私の答えに一部漏れたところがありますので、ちよつとつけ加えて御説明させていただきたいと思います。先ほど、新聞紙上に伝えられました院長がわび状を一札入れたというようなことについてお話でございましたが、あれはわび状という性質のものではございませんので、簡単ではありますが、つけ加えてお答えいたしておきます。
  169. 有田二郎

    有田主査 それでは会計検査院は終ります。  次に国会のことについてお尋ねいたしたいのでありますが、白石主計官にお尋ねしたいのです。実は常任委員会における委員の旅費、審査雑費及び所属職員人件費並びに事務費等に必要なる経費といたしまして、衆議院は六千三十九万三千円、それに対しまして参議院は六千百九十三万三千円、約百五十万あまり参議院の方が多いのでありますが、議員数におきまして衆議院は四百六十六名、参議院は二百五十名であります。どうしてこういうような不公平な予算にされたものであるか。衆議院の山崎庶務部長からこの項について、六千三十九万三千円は間違いがないがどうか、承りたいと思います。
  170. 山崎高

    ○山崎参事 衆議院の数字は間違いございません。
  171. 有田二郎

    有田主査 参議院の芥川説明員にお尋ねしたいのでありますが、参議院つのただいまの予算説明の中にありました常任委員会に関するこれらの経費が、六千百九十三万三千円は間違いありませんか。
  172. 芥川治

    ○芥川参議院参事 六千百九十三万三千円は間違いございません。
  173. 有田二郎

    有田主査 これによつて白石主計官にお尋ねしたいのですが、両院の事務次長庶務部長が間違いないと言うのですが……。
  174. 白石正雄

    ○白石説明員 ただいまのお尋ねの数字でございますが、衆議院の方の経費は、常任委員会に関する経費のみといたしまして、六千三十九万三千円であります。参議院の方は、常任委員会に関する経費は五千七百九十三万三千円でありまして、予算説明のときの数字は、そのほかに検察及び裁判の運営等に関する調査に必要な経費三百万、並びに社会保障制度に関する調査に必要な経費百万円が入つて説明されました。従いまして、参議院の方の経費が多くなつておるわけであります。
  175. 有田二郎

    有田主査 衆議院の山崎参事にお尋ねしたいのですが、参議院の方で入れておる経費を衆議院の方で入れますと、幾らになりますか。
  176. 山崎高

    ○山崎参事 これは参議院の常任委員会の特別の経費と申しますか、衆議院で計上されておりませんもので、参議院には、法務委員会に検察及び裁判の運営等に関する経費として三百万円、それから参議院の厚生委員会に、社会保障制度に関する調査に必要な経費として百万円入つておるのでございます。衆議院では別に常任委員会にさような特別の経費を持たすということは、院議でもつて確定しておりません。ただ参議院にないもので衆議院にあるものといたしまして、行政監察特別委員会というものがございます。でありますから、委員会で特別の経費を持つという見方からいたしますと、参議院の法務委員会と厚生委員会では特別に予算を持つて、年間四百万円使うということになりますが、衆議院では行政監察特別委員会で特別の経費を持つているのでありまして、これは月額百五十万円、年間千八百万円ということになるのであります。
  177. 有田二郎

    有田主査 白石主計官にお尋ねしたいのでありますが、そういう幾分の差はあるかもしれません、こちらは行政監察特別委員会があるかもしれませんが、議員数からいつて、これは不当だと思うのであります。そういうように少くとも議員数に正比例してこれらの費用は決定さるべきものである。もちろん庁費としては、同じような建物を持つておるわけでありますから、議員数によつてかえるというわけに行きませんが、少くとも常任委員会の費用というようなものは、ある程度議員の数によつてその差をつけるべきである。われわれはいつも常任委員会の費用が足りないからというので、私費を持つて国政調査をいたしておるのであります。一体主計局としては、これらのものを妥当とお考えになつておるかどうか、承りたいと思います。
  178. 白石正雄

    ○白石説明員 常任委員会に関する経費は、衆議院の六千万円余に対しまして、参議院は五千七百万円程度でありまして、幾分参議院の方が少いのでありますが、議員数に比例して金額があるべきであるという御質問に対しましては、常任委員会の数がいずれも二十二でありますので、必ずしも議員数に比例せずに、その委員会の数に相応するように、予算を積算しておるわけであります。
  179. 有田二郎

    有田主査 今のお話を全部そのままお聞きしますと、三百余万円参議院より衆議院が多いということになるわけでありますが、もちろん委員会数は同じく二十二であるかもしれませんけれども、衆議院の議員数が四百六十六名で、参議院議員数が二百五十名である。それが大体においてかわりなく同じであるということを妥当とお考えであるかどうか、それを承りたいと思います。
  180. 白石正雄

    ○白石説明員 重ねてのお尋ねでありますが、たとえば衆議院と参議院の職員の数等にいたしましても、千四百名に対して一千名程度というように差があるわけでありまするけれども、その中におきまする、たとえば専門員の数のごときは、いずれも四十名ずつというように相なつておりますので、そういう関係におきまして、常任委員会に関する経費も、議員の数に必ずしも即応せずに、委員会の数等に即応いたしまして、予算を積算しておるわけであります。
  181. 有田二郎

    有田主査 もちろん議員数に比例してそのまま行くということについては、あるいは異論があるかもしれませんが、かわらないということについては私は異論がある。少くともわれわれが国政調査に参ります場合にも、常任委員会の費用が少いので、各議員が私費をもつてつておることは、衆議院の事務当局も御存じの通りであります。あくまでもそれがいいと言われるなら、私ども断固たる決意をもつてこの予算委員会に臨まなければならぬ。検討するか検討しないか、明朝大蔵大臣に本委員会に出ていただいて、これに対する責任ある答弁を承りたい。私は與党でありますが、これが妥当だと考えるなら、私はこの予算の通過に対して断固反対であります。どうかひとつその点をきよう大蔵大臣にお帰りになつて話してもらいたい。私はかようなことは妥当でないと思う。もちろん衆議院が四百六十六名で、参議院が二百五十名だから、それに正比例した金額にしろとは私は申さない。しかしながら委員会の数が二十二ずつであるから一緒でいい、こういうわけのものではないのであります。参議院は議員の方が幾つかの委員を兼務しておられるのであります。従つてこの委員会で調査の金がとれなくても、他の委員会の予算でとることができますから、その点で恵まれ得る。アンバランスであるということが言い得られると思いますが、アンバランスでないとお考えになるか。議員の立場に立つでお考え願いたいと思います。
  182. 白石正雄

    ○白石説明員 ただいまの御質問に対しまして、いろいろ考えてみなすると、なお検討すべき余地があつたかと存じますが、私ども予算を算定いたしましたときにおきましては、前年度におきまして衆議院が五千七百七十八万二千円に対しまして、参議院は五千五百四万三千円といたしまして、昨年度二十六年度予算におきまして、国会の議決を経ておりましたので、これが妥当な権衡を得たものであろうと考えまして、それに即応した措置をとつたわけであります。委員会の数に相応して予算を策定すべきか、議員数に応じて策定すべきかということにつきましては、またさらに検討をいたしたいと考えます。
  183. 有田二郎

    有田主査 大蔵大臣とよく御相談願つて、そうして私は今までそうであつたから――今までわれわれはこういうことを知らなかつた。私は特に予算委員になつてから新しいのでありますが、いつも常任委員会費用が足りないからというので、われわれ議員はみな私費をもつてつておる。しかし参議院の場合においては、議員が非常に少いから、委員を幾つか兼務しておられますので、どこからそれらの国政調査費用も、私費からでなくとり得るのであります。かようなアンバランスの点をよくお考え願つてよく御検討願いたい。明日これに対する御答弁を承りたいと思います。  さらに衆議院の職員の俸給單価の問題でありますが、参議院に比較しまして、一人当り千三百七十一円低いのであります。この点につきまして、白石主計官の御所見を承りたいと思います。
  184. 白石正雄

    ○白石説明員 参議院の職員予算單価の方が、衆議院の職員予算単価よりも高いのは、どういうわけであるかというお尋ねでございまするが、これは職員構成に基くものと考えます。国会職員の俸給の欄に上つておりまする人員は、衆議院が八百六名に対しまして、参議院が六百九十七名で、参議院の方が少いのであります。しかしながらその専門員の数は、衆議院も参議院も四十名である。しかも専門員は全職員構成の上から考えますと、職員俸給が高い、こういつたことに相なつておりますので、この関係上全体の平均の職員單価は、衆議院の方が低くくなつておる。かように考えております。
  185. 有田二郎

    有田主査 御答弁でよくわかつたのでありますが、これはひとつ衆参両院の事務局と白石主計官との間でよく御相談願つて、なるほど幾分そういうい点があるので、衆議院の方が低いことはいたし方ないといたしましても、千三百七十一円はちよつとひど過ぎるように私は考えるのでありまして、さらに御検討を賜わりたいと思うのであります。  さらに国会職員は特殊の勤務をすることが非常に多いと思うのでありますが、超過勤務手当は十分であるかどうか、昨年より少し減少しておるようでありますが、これについて御所見を承りたいと思います。
  186. 白石正雄

    ○白石説明員 超過勤務手当が、昨年度よりも減少いたしておりますのは、昨年度は、当初予算とそれから臨時国会において要しました分を含めた追加予算の分も合計しておるのであります。これに対しまして二十七年度は当初予算だけでありますので、そういう関係上減少になつております。
  187. 有田二郎

    有田主査 それから衆議院の庶務部長にお尋ねしたいのでありますが、議員宿舎の使用料を、聞くところによると、参議院の方は休会中はとらない、衆議院の方はとつておる、こういううわさを聞いておるのですが、衆議院の方では休会中もおとりにななつておられるかどうか。
  188. 山崎高

    ○山崎参事 議員宿舎の使用料の徴収につきましては、衆議院におきましては、議院運営委員会の庶務小委員会におきまして、各派の方からいろいろ議論はありましたが、議員宿舎には議員全部が入つていない現状でありますから、公平という観点からいたしまして、使用料を徴収することといたしたのであります。そして閉会中にも利用するものであるからとつたらよかろうということで、とつておるのであります。承りますれば参議院もごく最近ですか、やはり閉会中も使用料を徴収するというふうに、衆議院と同じ方向で行くことに決定したということであります。
  189. 有田二郎

    有田主査 今山崎説明員からお話を承つて了無しました。どうも衆議院はとつておるが、参議院は休会中出さないというようなお話を石いておつたので、出すなら一緒に出す、出さないなら一緒に出さない、両院同じ歩調で進まなければならぬ、かように考えておつたのですが、今の御説明で両院とも休会中に宿舎の使用料をとるということに決定したというので、了承したのであります。  その他何か国会で御質問ありませんか。――大体本日はこの程度でとどめまして、明二十二日は午前十時から開会し、質疑を継続することといたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五十六分散会