○有田(二)
委員 ただいま上程されました
昭和二十七年度の
予算各案に対し、自由党を
代表し
賛成の意を表するものであります。
以下その
理由を述べたいと思います。論旨を進めるにあた
つて、
最初に強調したい点は、本
予算案は占領下において編成され、かつ独立を目睫に控えながら現在なお占領下にあることであります。この点がとかく忘れられがちで、特に本
予算審議を通じ、
野党の
諸君はあたかも平和
条約調印即完全独立であるとの建前から論議されておつたように感ぜられましたが、錯覚もはなはだしいと言わねばなりません。
一般国民の気持は本
予算が実行に移されたならばどうなろうかということが
関心の焦点と思われますので、この点に触れてみたいと思います。
総理大臣の施政演説や大蔵大臣の財政演説で、
国民の耐乏を要望されました。一体われわれの生活はどうなるだろうか、こんな大きな
講和関係費が計上されたが、税金は逆もどりして高くなるのではないか。またあの片山、芦田両
内閣当時のインフレが再びや
つて来るのではないか、これらの問題はだれもが心配しておる点であります。独立するからには
講和関係費が大きくなるのはやむを得ないと覚悟しながら、
国民生活の実態から見て生活の悪化を来すような
予算であ
つてはならぬことは申すまでもありません。明年度
予算はこの点から見てどうな
つておるか、また実行に移されたらどうなるかを検討してみましよう。
第一に
予算規模はその総額八千五百億余円で、本年度に比し五百九十億円の増加でありながら、しかも何ら増税
措置に出ることなく、むしろ相当減税を断行せんとするものであります。その努力と勇気に対しては、
国民の共感をかち得るものと確信いたすものであります。
第二には、
講和関係費を二千億余円に押えたことであります。この点はかねて相当巨額に上るものと
一般に予測されておりましたものでありますが、ここにも
政府の苦心の跡が察せられるのであります。一方内政費においても本年度に比し、ふやしておるのでありまして、その増額分は公共事業費、平衡交付金、社会保障費、失業対策費、文教費、食糧増産費の増額に振り向けておるのであります。従いまして本予産案によ
つてわれわれの生活は楽にはならぬまでも悪化するほどの要素はどこにも含まれておらぬことであります。
そこで財政規模八千五百二十七億余円が妥当であるかどうかということが問題にな
つて参ります。御承知の
通り、財政の規模は
国民経済力に適合した限度にとどめることが基本的常識どな
つております。それを具体的に申しますと、おおむね現行税法によ
つて見込み得る税収の範囲にとどめることであります。その税収でありますが、税収を
国民所得と比較すれば、本年度も明年度もいずれも一七%とな
つておりまして、諸外国に比してむしろ軽いものといわねばなりません。問題は、本年度よりも七百七十三億余円もふえておる税収六千三百八十億余円がはたして見込まれ得るかという点であります。
諸君御承知の
通り、
わが国の生産は著しく向上し、また国際収支
関係も上昇し、さらに不生産的経費といわれております
講和関係費の中には、雇用を引起し、生産活動の源となるものもあり、また
防衛費や
安全保障諸費の中には、公共事業費的なものや、平衡交付金のごとき性質を帯びておるものも相当ありますので、本
予算案に見積られた税収は十分これを期待できるものと思います。ただ実際の運用面においてはいろいろの制約もあり、資金放出の時期が遅れ、あるいは制限されるごときことがあ
つてはならぬのであります。
予算執行に当
つて特にこの点に留意し、万全を期さねばならぬことは、言うまでもありません。明年度緊急の問題としては、電源開発の資金調達の問題がありますが、おそらく
政府資金はこの方面に振り向けられましようし、またこれに対する外資の導入も期待されると思います。
以上申し述べました
通り、明年度の
日本経済は極度にむずかしい問題を多分に含んでおりますので、これを
日本経済の持つ力にふさわしい合理的なやり方が特に必要であります。大蔵大臣も将来
わが国の財政に余裕が生じた場合には、優先的に国内費に充てると言明しておりますが、要は経済政策と財政政策、さらに
予算と金融とのかみ合せに十分留意し、運用を誤らぬよう特に注意が肝要かと思われます。
そこで私は総括的に見て、本
予算案はわが自由党従来の主張を十分取入れてあると思いますので、これに全面的に
賛成の意を表するものであります。
以上をも
つて自由党を
代表し、私の
賛成討論を終ります。(
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