○
小林(進)
委員 労働
大臣の言われた公
企業体職員並びに公務員の争議権でありまするが、これは憲法二十八條にも認められているということが、学者の定説にな
つておりますので、これをまつこうから否定せられるということは、労働
大臣の労働行政のエキスパートには似合わない保守反動的であるということを痛感するのでありますが、時間がありませんので省略いたしまして、次に私は
岡崎国務
大臣にお伺いいたしたいと思うのでありまするが、日米の行政協定は、すでに今週中に仮調印をしてラスク特使はこれを持
つて本国に帰る、こういうことが新聞に報道せられておるのでありまして、これからうかが
つても内容はほんど完成せられているということは、もう否定できないと思うのであります。その仮調印までに至らぬとしている内容の中で、緊急事態の処置がどのように決定せられておるか、行政協定の本文の中に規定するということに、ほとんど
意見の一致を見たというふうに、われわれは確かなる報道を得ておるのでありますが、これは行政協定の本文の中にはつきりうたわれるのか、あるいは了解事項になるのか、あるいは先般の御
質問のように、事態が起きたその場所にな
つて初めてこれが取上げられるのか、これをひとつ明確に
お尋ねしたい。
第二番目といたしましては、軍事基地の協定の問題でございまするが、この軍事基地の協定につきましても、巷間もはや五十だ、六十だ、そういう場所が協定せられたというふうにも報道せられる一面、また米軍の駐留区域あるいは使用施設、建物等は調印後の合同
委員会にかけられて、その決定にまつのであるというふうにも言われておる。これは合同
委員会の決定にまつのか、あるいはもう仮調印に達する今日において、これは決定しておるのであるか、私はもう決定したものと推定される余地がある。なぜかならばもう米軍は不必要なる品物は、ああや
つて返還するのでありますから、返還する建物がある限り、必要な品物もちやんと打合せが済んでおると思うのでありまして、この点をひとつ明確に私は御返答を顔いたいと思う。
それから第三番目の刑事裁判の管轄権の問題でありますが、これは米軍軍人、軍属、その家族までが駐留地以外の公用、私用の場合においても犯した犯罪について
日本の裁判権を受けない、こういうことが規定せられておるのでありますが、一九四七年の米・比間の軍事基地協定においてフイリピンにおいてさえも、この軍事基地以外におけるところの米人のその犯罪については、いわばフイリピン国が裁判権を持つ、こういうふうに決定せられておるにもかかわらず、われわれはフイリピン並の取扱いを受けないで、こうした私用、公用にかかわらず、
日本全国至るところのそうした犯罪に対して、
日本が権限を持たないということは、これは一体実質上においてどこにわが
日本の独立があるのか、講和條約の調印をして、ペーパー・プランだけはでき上
つたけれ
ども、現実においてはアメリカの軍隊が一体
全国幾
箇所に駐留するか、しかも駐留の場所は国民の前に示されない。しかも半秘密的かあるいは農民においても一万有余町歩の耕地が随所で取上げられておる。あるいは私の知る範囲においては、ある
一つの部落は全部耕地を取上げられて、娘は転業してパンパン、部落
一つがパンパンにな
つて細やかな生活をしておるというような生々しい現実も行われておる。将来ああや
つてわれわれははだかにせられて——一体だれがはだかにした。はだかにせられて一切の軍用基地、軍用車、建物、それを開放して開拓だ、移民だと大騒ぎをしてそれを育成して来た。それが二年、三年たたないうちにこれがまた取上げられ、しかも取上げる場所さえも予想がつかない。取上げらてパンパンに転落し、あるいは失業者に陷るというような、こうした朝令暮改の政治が一体どこにあるのか、しかも今も言うように裁判官轄権さえもわれわれは持たない、われわれは一昨年の十一月でありますが、銀座で友人と歩いているときに、二人向い合
つて来る米人とすれ違
つた。そのすれ違
つたときに、彼は酩酊してお
つたか、いたずらか、冗談半分か知らぬが、ぐんと私のみぞおちを突いて私は昏倒した。倒れたけれ
どもあそこには銀座四丁目の交番がある。その交番に行こうと思
つたが、
日本の交番へ行
つたつて頼みにならない、相手がアメリカの軍人であれば頼みにならない、私は一週間みぞおちの痛みを押えながら実に切々たる敗戰国の悲しみというものを味
つて来た。こういう小さなトラブルで泣いている国民というものが、われわれの同僚の代議士にもこれに類似したものがあるはずだ。こういうものが
ちよい
ちよい行われておる。これも将来われわれに裁判の管轄権が與えられない、あるいは警察には若干の権限があるかもしれぬが、それがある限り依然としてわれわれは屈辱的な気持でついに行かなければならぬ。講和の独立と、現実のこの問題と一体どこにいくばくの差があるか。私は官僚政治だ、あなたは官僚の上りだ。大体官僚というものは権力にしがみついて、そのにおいをかいで立身栄達する道は知
つておるけれ
ども、国民のことを
考える力がない。今われわれの
日本が一体どうなるか。どこに独立国と属国と植民地との違いがあるのか。私はこの問題を真劍に
考えていただきたい。
いま
一つ私は申し上げる。以上三点とあわせて、ヤルタの協定がアメリカの上院において、これは権利がない、留保するということが言われた。対日講和條約で千島と南樺太——ヤルタ協定は第三国人が結んでいる。われわれは
関係がないかもしれぬが、その協定の根底に流れて南樺太、千島を取上げられた。被害者はわれわれなんだ。そのヤルタの秘密協定さえも、今アメリカの上院において、これは効果がない、留保を食
つて対日講和條約を批准せんとしている。それに対してわが
日本は一体いかなる処置をと
つたか。この千島、樺太の帰属について
政府はいかなる手を打
つたか。
政府はアメリカに何か
要求したか。この問題をわれわれは明確にしてもらいたいと思うのであります。
なおあわせて対日講和條約に基く第十四條に、海外におけるわれわれの財産の没收処分、これは一体幾らにな
つておるか。現在価格に見積
つてどれだけの金額にな
つておるか。以上私は三つの点について、いま少し
岡崎国務
大臣の明快なる答弁をお伺いしたいと思うのであります。