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1952-02-19 第13回国会 衆議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十九日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 塚田十一郎君    理事 有田 二郎君 理事 上林山榮吉君    理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君    理事 苫米地英俊君 理事 井出一太郎君    理事 川島 金次君    淺利 三朗君       井手 光治君    江花  靜君       尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君       小淵 光平君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       小坂善太郎君    志田 義信君       庄司 一郎君    鈴木 正文君       田口長治郎君    玉置  實君       永井 要造君    中村  清君       中村 幸八君    西村 久之君       南  好雄君    今井  耕君       川崎 秀二君    中曽根康弘君       早川  崇君    平川 篤雄君       藤田 義光君    西村 榮一君       水谷長三郎君    風早八十二君       山口 武秀君    横田甚太郎君       稻村 順三君    成田 知巳君       小平  忠君    世耕 弘一君       石野 久男君    小林  進君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         法 務 総 裁 木村篤太郎君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 天野 貞祐君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         通商産業大臣  高橋龍太郎君         運 輸 大 臣 村上 義一君         厚 生 大 臣 吉武 惠市君         国 務 大 臣 大橋 武夫君         国 務 大 臣 岡崎 勝男君         国 務 大 臣 岡野 清豪君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         内閣官房長官  保利  茂君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         農林大臣官房長 渡部 伍良君         食糧庁長官   東畑 四郎君         資源庁長官   始關 伊平君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豐治君     ――――――――――――― 二月十九日  委員岡良一君辞任につき、その補欠として西村  榮一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計予算  昭和二十七年度特別会計予算  昭和二十七年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 塚田十一郎

    塚田委員長 会議を開きます。  昭和二十七年度本予算の各案を議題に供します。これより質疑を継続いたします。藤田義光
  3. 藤田義光

    藤田委員 私は改進党を代表いたしまして、現下全国民の重大な関心を寄せておりまする防衛問題、なかんずく行政協定問題に関しまして、この際吉田総理大臣の御所見を伺いたいと思います。時間がきわめて制限されておりますので、問題の要点のみをこの際お伺いしたいと思います。  本論に入ります前にまず第一に総理にお伺いしたいことは、当委員会の早早に、わが中曽根議員質問に対しまして、吉田総理大臣は現在の警察予備隊防衛隊に改組する旨の御答弁がありました。その後累次の委員会におきまして、関係閣僚から保安隊に改組する旨の言明があつております。新聞報道を見ましても、ラジオの放送を聞きましても、この警察予備隊の改組後の名称に対しまして、完全な一致を見ておりません。この際総理から防衛隊とするか、保安隊とするか、その名称について忌憚ない御所見をお伺いしたいと思います。
  4. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えしますが、警察予備隊は二箇年という期限を切つて設置いたしたのであります。その二箇年は今年の十月をもつて満了しますから、構成の上からいつてみても何とか切りかえなくちやならぬ。そこでこれにかわるものを設置いたさなければならぬのでありますが、その名前を何とするかということについては、まだ確定しておりません。が、しかしそういうものを置かなければならぬということは、日本の安全、独立を保障する上からいつてみても、保護をする上からいつてみて当然なことであると私は思います。
  5. 藤田義光

    藤田委員 名前はまだ決定しておらぬということでございますが、そうしますと、総理初め各閣僚発言にありました防衛隊保安隊ということは、仮の名称と了解してよろしゆうございますか、重ねてお伺いしておきます。
  6. 吉田茂

    吉田国務大臣 その通りであります。
  7. 藤田義光

    藤田委員 次にお伺いしたいのは、予備隊増員の問題でございます。この問題に関しましては、かねて総理がしばしば申される通りわが国現在の経済力と関連して非常に重大な問題でございます。現在二十七年度予算書に盛られております増員は三万五千でございます。しかるに当初関係方面よりぜひとも倍、すなわち十五万に増員するよう要望されたということが確実に言われております。この十五万の要望はあまりにわが国経済現状からして多過ぎるから、何とか減員しなくてはならぬという総理の牢固たる決意によりまして、十一万に減らされたというようなうわさを聞いておりますが、この点に関する経過に関しまして、総理の御所見を伺いたいとともに、二十八年度には三十一万に増員する、しかもこれは池田マーカツト会談あるいはリツジウエイ・吉田会談において、すでに三十一万増員は内定しておるといううわさを耳にいたしますが、この点に関しまして、将来の増員問題はわが全国民の重大な関心事でございますので、この際はつきりさせていただきたいと思います。
  8. 吉田茂

    吉田国務大臣  話の途中において――というのは総司令部との間の話において、そういうような希望が出ましたことは事実でありますが、しかしながらその内容についてはここで申し上げるべき……、というのは確定した話ではないのであります。こういうことがあつたら、ああいうことがあつたら、米国軍としては、米国側としては、なるべくたくさんという希望は持つておるようでありますが、しかし日本国情が許さぬということなればしかたがない。日本国情としては、今日の経済力からいつても、あるいはまた実際の状況から考えてみても、たとえば警察予備隊を七万五千人募集する、そのときにおいてもいろいろと困難があつたのでありますから、従つてこの際多数の新募の隊員を募るということは事情が許さぬであろうと考えもいたしましたし、さしあたりいくらか増員する。その増員の程度についても、予算で一応金はとつてありますけれども、しかしながら実情においてどうであろうか。七万五千人の隊員――警察予備隊を募集した者の中にも、かぐわしからざる分子もあるということでありますから、これはよほど愼重に政府としては考えるつもりでおります。
  9. 藤田義光

    藤田委員 総理の御出席があつたかどうか記憶がはつきりいたしませんが、過日の本会議における社会党右派鈴木義男議員質問に対しまして、木村法務総裁は、原爆ジエツト機のような有力な兵器を持つ国に対して、日本保安隊は鎧袖一触である。この意味から保安隊軍隊ではない。従つて政府防衛計画は戦力でないということをはつきり答弁いたしております。一方ワシントンのINS電報によりますと、国防省スポークスマン見解といたしまして、日本防衛隊の設立は、戰争を放棄した日本憲法下で行い得る合法的な方法であると、この法務総裁の本会議における答弁を裏づけるような発言をいたしております。しかしながら私たちは、これはもう軍隊というものの定義をひもともとまでもなく、軍隊とは武器を持つた国家機関でございます。現在の警察予備隊武器が嚴存いたしておることは、各閣僚の明快に答弁されておる通りでございます。しかも一昨年の八月十日に公布されました警察予備隊令によりまして、現在の警察予備隊国家機関であることも明白な事実でございます。この点からしますると、一応常識的には現在の警察予備隊軍隊であるという結論が出て来るのであります。しかしこの問題に関しましてはいろいろと政府反対意見が申し述べられておりますが、日米安全保障條約によりまして、たとえば原爆ジエツト機を持たない予備隊にせよ、原爆ジエツト機を持つたアメリカ軍隊共同防衛するのであります。理論的にも現実的にもこの一点からしまして、警察予備隊は、どう詭弁を弄しても、軍隊ではないかという結論が出て来るのであります。しかりとすれば、この際政府としてはあくまでこの不明朗な雰囲気を一掃するために、憲法を改正する必要が出て来ると思います。憲法改正吉田総理が澁つておられるのは、国際情勢の微妙な雰囲気、あるいはわが国経済力現状等が最大の原因でありまして、また一つには吉田総理の最もおそれております政局の安定がこの問題で破壊されるということをおそれて、憲法改正を澁つておるのではないかという説が有力でございます。この点に関しまして、私はこの際ぜひとも法理論でなくて、政治論としての憲法改正に関する総理はつきりした所見を伺つておきたいのであります。  最後につけ加えておきますが、国連軍縮委員会では各国の兵力調査をやつております。その調査対象の中には国内治安部隊も入つております。国連調査対象になりましたいわゆる兵力の中には、日本警察予備隊はつきり含まれると思うのでございます。また先般マツカーサ元帥日本在任トルーマン大統領に出しました戰力に関する書簡なるものかございます。この中にもはつきりと予備隊の現在の装備を有しておれば軍隊であるということを裏づけるような表現があつたやに記憶いたしております。これらの幾多の証拠からいたしまして、この際日本経済が安定し、国際情勢が好転した際には、憲法改正考えるというようなお気持がありますかどうか、総理みずからの御所見はつきりとお伺いしておきたいと思います。
  10. 吉田茂

    吉田国務大臣 警察予備隊軍隊にあらざることはしばしば私からも、また閣僚からも、同僚からもここで説明をいたしたわけであります。従つて憲法改正考えはございません。  また憲法改正をするということは政局の安定を害するというお話でありますが、わが党が絶対多数を持つている間は政局は安定しているものと考えて、御安心を願います。
  11. 藤田義光

    藤田委員 非常に頭脳明晰なる総理大臣が、いつも問題の要点に来ますと、与党の絶対多数を理由にされて逃げられるのでありますが、この点に関しましては、私はいま一つ証拠をあげまして総理の御所見を重ねて伺つておきたいと思います。     〔発言する者多し〕
  12. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  13. 藤田義光

    藤田委員 これは全国民が非常な不安を持つておる問題でありますので、重ねてお伺いしておきます。総理府に全国選挙管理委員会という役所がございます。この役所におきましては、憲法改正の場合に必要なる国民投票法立案を開始いたしております。憲法改正が必要でないという総理の御答弁からすれば、憲法改正の前提たる国民投票法立案は必要でないと思いますが、この点に関しましては、吉田総理はどういう御方針でございますか。もし自分の所轄の官庁の重大なる事務に対して御存じないという御答弁はないと思いますが、この点お伺いしておきたいと思います。
  14. 吉田茂

    吉田国務大臣 私ははつきり申し上げますが、存じません。また国民投票を研究せよということを命じた事実もありません。しかしながら関係当局といいますか、それぞれの向きにおいてはあらゆる場合を研究するということは当然の話でありまして、国民投票の場合も研究いたしているかも存じませんが、私が命じたことはかつてないのであります。
  15. 藤田義光

    藤田委員 そこで行政協定問題に移りたいと思いますが、まず第一にお伺いいたしたいことは、この日米安全保障條約の第三條にもありまする通り日米行政協定というものは、日本国家主権や、国民基本的人権に関連ある重大なる協定でございます。私は行政協定の本質は條約とまつたく同じである、本来ならばこれは、日米安全保障條約に規定すべきであるが、かりにその延長たる行政協定に讓つておるというふうに解釈いたしております。なるほどアメリカにおきましては、條約は議会協賛事項でございますが、行政協定大統領の権限に属しております。アメリカのごとく議会政治が拡充いたしておりまする国におきましては、なるほどこれもけつこうでございましよう。しかし私は日本のごとき民主主義の初歩の段階にある国におきましては、かくのごとく国民人権に重大な関連ある行政協定は、むしろ條約と同様に、国会協賛を経ることが最も妥当なる方法であると思いますが、この点に関する吉田総理の御所見を伺つておきたいと思います。
  16. 吉田茂

    吉田国務大臣 行政協定事務的協定であります。占領六箇年以上の後における事態を整理して、そして独立に移行するその間における事務協定をいたしておるのであります。すなわち、行政協定をいたしておるのであります。もしそれが国民権利を制限するとかなんとかいう場合には、これは自然法律を要することでありますから、これは法律として議会協賛を遂げるということは当然であります。またこれが……(発言する者多し)黙つて聞きたまえ。予算関係することであるならば、政府予算を組んで提出いたします。     〔発言する者多し〕
  17. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  18. 吉田茂

    吉田国務大臣 行政協定をいかに御解釈になるかは御自由でございますが、しかしながら実質は政府行政協定、すなわち事務協定として現に協定をいたしておるのであります。もしそれがお話のように、国民権利あるいは義務を制限するというような場合には、むろん法律として議会提出をする、協賛を仰ぐということはしばしば政府が明言いたした通りであります。
  19. 藤田義光

    藤田委員 行政協定に伴う予算あるいは法律に関しましては国会協賛を願う、これは当然のことであります。私は自衛力の漸増と行政協定には国民が大きな不安を抱いておると思う。講和條約の効力発生後に日本自主性が阻害されはしないかという大きな不安を抱いております。各人の所有権が不当に侵害されはしないかという不安もございます。特に農村におきましては、軍事施設のために貴重なる耕地も侵害されはしないかという大きな不安が、今や全国にみなぎつておると私は思います。かかる不安を解消しないままで行政協定を締結することは、将来この協定の運営上、駐留軍日本人の間に無用の摩擦を起しはしないかということを憂慮するのでございます。行政協定には秘密はないということを言われておりますが、従来政府のとりました中国の選択問題、あるいは自衛力の漸増問題にはあまりに秘密が多かつたので、国民はこの際行政協定即時公表を待望いたしております。そこでこの行政協定は、今朝の新聞によりますと、ここ一両日中に仮調印をいたしまして、来週早々にはラスク代表が本国に持ち帰り、目下アメリカの上院本会議提出中の両條約の審議を促進するために、ただちに帰国するということも報道されておりますが、この際政府即時公表の用意がございますかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  20. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたしますが、行政協定内容については、今日まだ御報告する段階に至つておりません。またこの協定には米国側日本側も互いに友好的精神をもつてつているので、非常に議論の紛糾していることは現にないのであります。のみならず、ラスク氏はなるべく早く帰国いたしたいという必要に追られているので、協定はなるべく早くいたしたいということは承知いたしておりますが、一両日に今お話のような段階に達するかどうかということは、政府といたしても確信はないのであります。今後の話合いにまつだけであります。公表はいたしません。ただいままだ交渉の段階にありますから、公表する時期に至つておりません。
  21. 藤田義光

    藤田委員 私は現在の岡崎ラスク会談内容は、その都度公表ないしは新聞に漏洩いたしておりまして、大体一部は知つておりますが、現准伝えられておる範囲内におきましては、行政協定は平常時における協定が中心のように了承いたしております。しかし国民が最も心配いたしておりますものは、いわゆる緊急非常事態でございます。いざ直接侵略を受けた場合、駐留軍とわが政府ないしは防衛隊関係はどうなるかということに関しまして、非常な心配をいたしております。この場合の駐留軍保安隊との関係は、行政協定わく外におきまして、別に防衛協定を締結するとか、あるいは行政協定了解事項をつけるということが言われておりますが、この点に対する御所見を伺つておきたいと思います。
  22. 吉田茂

    吉田国務大臣 協定のうちに何らの秘密事項は含まれておりません。また含ませたくないと考えております。また非常事態に対して非常に心配するというようなお話でございますけれども、現在非常事態が現に起つておるとも考えられませんから、非常事態が起るという危険があればとにかくでありますけれども、現在において特に非常事態が現存しておるという事実も認められませんから、この点はさしあたり御安心ください。
  23. 藤田義光

    藤田委員 私は現在非常事態が差追つておるかいなかということを御質問いたしておりません。将来起り得べき緊急非常事態に対しまして、いかなるとりきめをするのか、それは行政協定本文に入れるのか、あるいは別に防衛協定を結ぶのか、あるいは行政協定了解事項とするのか、この点に関しまして非常に国民心配がありますので、この際お伺いしておきたいと思います。
  24. 吉田茂

    吉田国務大臣 ただいま申した通り行政協定には何らの秘密はなし、また秘密事項を含ませたくないと考えております。将来の非常事態発生の場合は、その場合において考えますけれども、現在においてとやこう考えておりません。
  25. 藤田義光

    藤田委員 この場合に私は将来非常態事が起きたならば考えるという総理の御答弁でございますが、緊急非常事態においてこそ駐米関係が最も微妙になりまして、非常事態の運営を誤れば重大な欠陥を露呈する危険がございます。新聞報道その他によりますれば、非常事態に対しましては米軍が独自の行動をとりまして、日本保安隊はその際米軍司令官指揮下に入るということが言われております。もしこうことになりますれば、日本自主性は完全に侵害され、日本主権まで侵されるわけでございます。この点に関しましてもおそらく岡崎国務相ラスク代表との間には、相当具体的な話が出ておるはずでございます。この問題を度外視したいわゆる行政協定は、ほとんど中身がないわけでございますが、この点に関しましては総理もおそらく岡崎国務相の報告があつたと思いますので、この際率直にお答えを願いたいと思います。
  26. 吉田茂

    吉田国務大臣 重ねて申しますが、こまかいことは内容に属することでございますから、ここで言明する時期ではございませんが、しかしただいま申したように、非常事態における場合の秘密協定をいたしておりませんから、協定が発表せられた場合においてお考えを願いたい。     〔「関連質問」と呼びその他発言する者多く、議場騒然
  27. 塚田十一郎

    塚田委員長 申合せだそうでありますから関連質問は許しません。藤田君御発言を願います。――申合せだそうでありますから、藤田君の質疑の継続を願います。
  28. 藤田義光

    藤田委員 そこでこの緊急事態に対する御答弁は、私は保留いたしまして質問を継続したいと思いますが、もし緊急事態が起きまして、直接侵略がありました際、わが国民なかんずく保安隊は、自衛のために駐留軍とともに断固応戦することはしばしば言明されております。政府国家の全能力を発揮して駐留軍に協力防衛するということも言われておりますが、この際直接侵略したものを海上に撃退いたしましてこれを追撃するような場合におきまして、自然にいわゆる領海外にわが防衛隊が出て行く、追撃戰を中絶するわけには行きませんから共同防衛する、アメリカ軍とともに海上にこれを追撃するという事態も起り得ると思いますが、そのほかに、純然たるいわゆる共同防衛の立場から国連に加入いたしまして、海外出動するというようなことも理論上は予想できますが、この点に対しまして総理の御見解を伺つておきたいと思います。
  29. 吉田茂

    吉田国務大臣 今日われわれの考えておるところは、日本治安を維持するということにあるのであります。それ以上は、国連その他等の処置にまつことになるのでありましようが、しかしながら、今日の行政協定は主として日本の安全、日本独立を保障するのであります。もし今の御質疑で想像せられた理論上の問題を取上げられるならば、いろいろの問題が想像できるでありましようが、さしあたり行政協定の目的とするところは、安全保障條約による行政協定であつて海外出動までは考えておりません。
  30. 藤田義光

    藤田委員 海外出動ということは全然考えておらぬという御答弁でございますが、この点はぜひとも行政協定本文に明記すべき重大問題であると思いますが、この点に関しまして、総理の御所見を伺つておきます。
  31. 吉田茂

    吉田国務大臣 御意見は伺つておきますが、ただいまそれ以上に発展いたしておりません。
  32. 藤田義光

    藤田委員 緊急非常事態の場合におきまして、もしアメリカ緊急非常事態発生しておるという認定をいたし、日本政府としては緊急非常事態にあらずという、いわゆる両国認定の相違を来した場合におきまして、アメリカ日本の国外に出動するという場合も想定されます。そうしますと、日米安保條約の建前上、日本アメリカ軍作戰基地になります。共同防衛建前から当然日本も参戰することになるというようなことが理論考えられますが、かかる場合を想定いたしまして、私は緊急非常事態認定、あるいは出動の、軍を動かす必要があるかの認定ということが、非常に重大な問題であると思います。この認定はいかなる方法でやられますか、この点は非常に重大な問題でありますので、総理の御所見を伺つておきます。
  33. 吉田茂

    吉田国務大臣 行政協定安全保障條約の範囲内でいたしておるので、今お話のような、何といいますか、第三次世界戰争ともいうような事態に発展いたした場合を想像せずに、安全保障條約の範囲でもつて行政協定をいたしておるのであります。今のような事態が起るかもしれないが、起らないかもしれない。起つた場合において考えますが、今日は、まださほど危険状態に差追つておりません。安全保障條約の範囲内において行政協定をやるということになつております。
  34. 藤田義光

    藤田委員 今朝の朝日新聞社説におきましては、かかる場合の出動認定方法は、了解事項できめてある。しかしかかる重大問題を了解事項できめることはいかぬ。本協定に明記すべきであるということを、はつきりと社説に掲げておりますので、私はお伺いしたのであります。しかしかかる駐留軍海外出動の場合などは、考えておらぬという御答弁でございますが、しからば日本国内治安維持のために、アメリカ出動するという場合の認定は、いかようにやられるのでありますか、この点をお伺いしておきます。
  35. 吉田茂

    吉田国務大臣 私の聞き違いかもしれませんが、米国駐留軍が、海外出動の場合を私は申したのではございません。日本警察予備隊その他が海外出動する場合がありや、これに対しては考えておらない、こう申しておるのであります。
  36. 藤田義光

    藤田委員 国内動乱に対する、駐留軍出動の場合の認定に対する御答弁がなかつたのでございますが、この点に関しましては、日本アメリカの合同の認定によりますか、あるいは日本政府の一方的な認定によつて出動を求めますか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  37. 吉田茂

    吉田国務大臣 これは当然両国の間で話合いになりましようが、しかしながら現在、こういう場合にはどうだ、ああいう場合にはどうだと、あなたの御想像のような場合については、特に協定の中に含ましておりません。(「なぜきめないのか」と呼ぶ者あり)きめる必要はない。(笑声)
  38. 塚田十一郎

    塚田委員長 靜粛に願います。
  39. 藤田義光

    藤田委員 この駐留軍出動が、もし随意に行われるということになりますと、日本主権は完全に侵害されるわけでございます。従いましてアメリカ駐留軍が、一歩でもらち外に動く場合に関しましては、嚴然たる規定がなければ、将来独立国家たる日本の本質は完全に侵害されるわけでございます。従いまして、私は事務的な問題でなくて、これは今回の行政協定の基本的な問題であると思いますので、重ねてこの際かかる場合の国会との関係、あるいは国連との関係に関しまして、いま一度総理の御見解を伺つておきます。
  40. 吉田茂

    吉田国務大臣 米国駐留軍海外出動するかしないかということは、米政府の自由にきめることでありまして、日本政府としてこれに関与するということは、これは常識において許さないことと思います。
  41. 藤田義光

    藤田委員 今の総理の御答弁は、私の質問に対する……。     〔「部屋を貸しているようなものじやないか」と呼びその他発言する者あり〕
  42. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  43. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの総理の御答弁は、私の質問を誤解されているようです。私が申し上げておりますのは、アメリカ軍がもし日本国内治安のために出動するということになれば、行政協定できめられました交通機関、飛行場その他の施設外に出て行くわけであります。しかも集団行動するわけでありまして、日本の統治権がその範囲内においては完全に侵害されます。しかし緊急非常事態という別個の定めがありまして、出動認定はつきりきまつておれば、その範囲内に合法化されるわけでございますので、この点に関しまして、いま一度総理の御答弁を伺つておきたいと思います。
  44. 吉田茂

    吉田国務大臣 多少あなたの質問の御趣意を誤解したようでありますが、海外出動するとしないとは、むろんアメリカ軍の自由でありますが、これに対して日本がどれだけの協力をするかということは、むろん両国の間において話合いがあるでありましよう。そのときになつて……。しかしながらその場合を想像して、この場合あの場合といつて、こまかい行政協定をいたしておるのではありません。一に安全保障條約にきめてある條項といいますか、両方の間の権利義務を履行するだけの範囲において、行政協定をいたしておるのであります。
  45. 藤田義光

    藤田委員 私が伺つているのは、駐留軍海外に出る場合でございません。日本国内治安のために駐留軍出動する場合でございます。この場合日本主権出動する範囲内においては完全に侵害されるのでございますが、行政協定あるいはそれに基く事項にはつきり規定されておれば、合法化されるわけでございますが、その際の認定が、もし日本政府の権限内にないと、日本主権は完全に侵害されるのじやないか、その点に関する総理の御所見を伺つておきます。
  46. 吉田茂

    吉田国務大臣 その場合は、当然両国政府において隔意ない話合いがあり、日本政府がこれに対してどう処するかということは、日本政府と米国政府との間に、その事態が起つた場合において話合いになると思います。しかしながら……(「それではおそい」と呼ぶ者あり)おそくはない。(笑声)すべての場合を行政協定のような簡單なものの中に含まぜるということは、できないことであります。もしできれば両国政府においてそういう場合のごとき――その他の場合もありましようが、両国政府の間においては、十分隔意のない話合いをして、安全保障條約の実行においては、何ら支障ないように努めると思います。
  47. 塚田十一郎

    塚田委員長 藤田君に申し上げますが、お申合せの時間でありますので、あと一問で……。二十分までであります。
  48. 藤田義光

    藤田委員 そこで出動の場合は、日米両政府話合いということで一応了承いたしましたが、その場合の統帥権はいずこにあるかということをお伺いしたい。一部ではアメリカの軍司令官が統帥権を握つてしまうということをいわれております。こういうことになりますと、これはまつたく植民地になる危險がございます。また先般岡崎国務相は本委員会におきまして、行政協定が効力を発生したならば合同委員会をつくる、下部にまでつくるということを言われております。現在の軍政部をそのまま合同委員会に肩がわりいたしまして、依然としてアメリカの軍政下に置かれるのじやないかという懸念がございます。この点に関しましても、日本国民が非常な懸念を持つております。占領は解消したが、実質的には合同委員会が結成されて、依然として日本の内外政を干渉するのじやないかということを憂慮する人がございますので、この際この問題に関しまして、統帥権とこの合同委員会の性格に関しまして、総理の御所見を伺つておきます。
  49. 吉田茂

    吉田国務大臣 占領なるものは、條約発効とともに終了いたすのであります。従つて将来は新しい日本独立国家として新発足いたすのでありますから、現在の機構が――上部であろうが下部であろうが、現在の機構が存続することはないのであります。従つて合同委員会がもし設置せられるならば、すべての問題について隔意ない話合いをして行くために、合同委員会ができるのであります。できるとすれば……。しかして今お話のような統帥権をどうするかというようなことは、事態が起つた場合において合同委員会等において……(「それじやおそい」と呼びその他発言するものあり)おそくはない(笑声)
  50. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  51. 吉田茂

    吉田国務大臣 それで合同委員会において、非常事態発生するとか、その他の事態発生した場合においては、合同委員会が隔意ない両国政府の意思を代表して協定するでありましようから、日本が植民地化するというようなことは御心配ないと思います。
  52. 塚田十一郎

    塚田委員長 藤田君、これでお時間が参りました。
  53. 藤田義光

    藤田委員 もう一問だけ……。
  54. 塚田十一郎

    塚田委員長 本日はそのようなお申合せでありますから、申合せ従つて御運営あらんことをお願いいたします。――それでは藤田君。
  55. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの総理の御答弁によりますと、合同委員会は下部組織の必要は全然ないと私は認めます。中央に簡單な合同委員会があればいいわけでございます。その認定だけの問題であるならば、下部組織の合同委員会をつくるという岡崎国務相発言は何かの誤解というふうに私は解釈いたします。  それから総理は御存じないかもしれませんが、現在の予備隊における礼式あるいは号令あるいは顧問の状況等は、すべて日本の主体性が侵害されております。占領下なるがためにわれわれはこれを甘受いたしておりますが、講和条約の効力発生後は、ただちにかかる矛盾せる現状を打開すべきであるということをこの際総理に申し上げておきたいと思います。  最後にお尋ねいたしたいのは、台湾政府との條約でございます。台湾政府との條約は、目下、河田全権が渡台中でありまして、その詳細はやがてはつきりすると思いますが、この條約の本質は、はたして昨年秋のサンフランシスコ会議の延長たる正当なる二国間の平和條約であるかどうかということでございます。もし正当なる二国間の平和條約ということになりますと、将来大きな問題を残します、われわれは、台湾政府が現在地域的な限定を受けておる台湾と澎湖島のみを占拠いたしておりまして、本土に対しましては形式的にも実質的にも何らの権限を持ちませんので、賠償の問題あるいは開戦の時期の問題等もございますが、この條約の本質に関しまして、この際総理の御答弁をお願いいたしておく必要が絶対あると思いますので、この問題を最後にお伺いいたしたいと思います。
  56. 吉田茂

    吉田国務大臣 台湾政府との間に條約関係に入るということについては、私のダレスに与えた書簡の中に明瞭でありますが、その線で参るつもりであります。お話のようなあなたの御意見は、結局平和條約第二十六條でありますか、中国政府をいずれの、たとえば北京の共産政府を相手国に選ぶか、あるいは台湾の国民政府を選ぶかという問題についてのお話でありましようが、今日われわれの考えておるところは、台湾国民政府を現に領有する、現に主権といいますか、統治を行つておるその区域における政権と認めてこれと條約関係に入る、つまり善隣外交の趣意からある條約関係に入つて、そうして国交といいますか、両国の間というか、台湾との間の関係をよくしたい、こういう趣意にすぎないのであります。ゆえに、中国全体の政府をいずれに認めて政府がこれと交渉に入るかという意味ではなくして、事実上ある領土の上に統治権といいますか、主権を行つておるその政権を認めて、これと條約関係に入るという趣意にほかならないのであります。
  57. 塚田十一郎

    塚田委員長 川島金次君。
  58. 川島金次

    ○川島委員 時間が制約されておりますので簡單にお尋ねをいたします。  先般来、警察予備隊の増強の問題につきましては、本委員会はもちろん、国民の間に重大なる関心が注がれておりますることは、総理大臣も御承知の通りであります。そこでお尋ねいたしますが、閣僚の中には、原子兵力を持たない自衛態勢というものは、今日の段階においては、もはやそれは軍備ではないのだ、こういうことを言明いたしておる閣僚もございます。そこで総理はこの軍備という問題について、いかなる御見解を持たれておりますか。総理大臣直接の御見解をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  59. 吉田茂

    吉田国務大臣 主管大臣からお答えをします。
  60. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 軍備という問題は憲法に関連いたしまして問題となる事柄だと存じますが、戦争を遂行するための必要な手段といたしまして、当然戦争ということを予定してその手段として編成するものは軍備である、かように存ずる次第であります。
  61. 川島金次

    ○川島委員 総理もそういう見解でありますか、総理大臣の御見解を伺いたい。
  62. 吉田茂

    吉田国務大臣 主管大臣の答弁されたことを私の答弁と御承知を願います。
  63. 川島金次

    ○川島委員 安全保障條約の中には日本国内における間接はもちろん、面接の侵略に対する防衛あるいは安全の維持ということが明記されております。その直接の侵略に対して平和の維持防衛を行いまするための出動に入りまするところの自衛態勢は、それであつても、それは軍備ではないということになるのでありますか。
  64. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 総理大臣にかわりまして申し上げます。直接侵略に対応いたしまする場合にいかなる措置を講ずるか、これについては二つのものを区別して考える必要があると存じます。それは最初から直接侵略ということを予想いたしまして、この直接侵略に対抗するということを本来の目的として編成をいたした部隊がありまするならば、これはすなわち外国との戦争ということを前提として、それに対処することを本来の使命とするものでございますから、これは軍備と考えなければならぬと思います。しかしながら、国内治安を目的として編成いたしておりまする機構を、直接侵略の際におきまして兼ねてこれを用いるという場合におきましては、これは国内治安のための機構であることが本来の目的でございますから、それは軍備ではございません。こういうふうに考えております。
  65. 川島金次

    ○川島委員 時間がありませんから次に移ります。これは重要なことでありますので総理大臣に御答弁を願いたいと思いますが、兵力並びにその規模、基地等について、あるいはまた駐留の期間等について、行政協定の中にそれらが明記されて行くものであるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  66. 吉田茂

    吉田国務大臣 行政協定内容に属するものでありますから、答弁いたしません。
  67. 川島金次

    ○川島委員 安保條約第三條に「アメリカ合衆国の軍隊日本国内及びその附近における配備を規律する條件は、両政府間の行政協定で決定すると明記されております。しかるに総理がただいま申されたように、お答えができないということになりますることは、この重要なる第三條に明記された協定というものが、国民の前に知らされずして終るということになりますが、その辺はいかがなものでありますか。
  68. 吉田茂

    吉田国務大臣 いずれ行政協定ができましたならば、発表することになるでありましようから、そのときに御批判を願いたい。
  69. 川島金次

    ○川島委員 政府予算の審議の過程において、行政協定内容等については明確にすると、総理その他の閣僚国民に約束されておりますが、予算の審議が始まりましてから、すでに二十余日を経過しておりますけれども、今もつて行政協定の具体的な内容につきましては、何人からも国民の前に明らかにされておりません。しかるに新聞紙上の伝えるところによりますれば、いかにも行政協定が円満に話合いが進み、しかも具体的な事項が決定したかのごとくに報道せられておりますけれども、行政協定の会談の内容というものは、一体どういう形で進められておるのか、いまだにきまつたものがないのか、それともきまつたもので国民に発表することのできるものができておるのか、その点について明快に国民に示していただくことを要求いたします。これも総理大臣からの直接の答弁を要求いたします。
  70. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 それはこの前も申しました通り行政協定話合いのうちで、方針のきまつたものにつきましては、起草委員会等にまわしてわりますから、まだ案文等は決定しておりませんが、大体こういうことに話合いがついたということは、その都度新聞に出しております。国会にはまだ発表をいたす段階になつておりません。     〔発言する者あり〕
  71. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  72. 川島金次

    ○川島委員 新聞に発表したというけれども、この国会には具体的には報告をされておりません。抽象的な項目的な事柄は報告されておりますけれども、新聞の伝えるような具体的な内容については、国会には報告されておりません。それを具体的にあるならばこの際示してもらいたい。     〔発言する者あり〕
  73. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  74. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは、この前の川島君の御質問につきましても、こういう問題と、ああいう問題は話合いがついておる、しかしまだ決定した案文はできておらない、こう申しております。それでその都度この委員会にも申し上げております。なお国会等に御報告いたす場合には正確にきまつてはつきりしたところでないと、こういう権威のあるところには申し上げるわけに行きませんから、大体のお話だけをいたしております。
  75. 川島金次

    ○川島委員 この前国務省からこの席上で発表したというけれども、その発表されたものは項目的なものだ。その項目の具体的な内容については報告がないのであります。従つて新聞に発表するような具体的な問題があるとするならば、この際明確に報告してもらいたい。
  76. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 新聞に発表いたしました程度より、やや多くここでは申し上げております。
  77. 川島金次

    ○川島委員 われわれはそういう事柄を聞いておりません。むしろ新聞以下のことを聞いておる程度であつて新聞以上のことは聞いておりません。(「休んだんじやないか」と呼び、その他発言する者あり)速記録を調査すればわかります。今日まできまつた内容についてもう一ぺん明確にしてもらいたい。
  78. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 それでは申し上げますが、たとえば気象の通報の問題、あるいは日本国内にいるアメリカ人で軍人でない人たちを集めてアメリカでもつて在郷軍人会を組織すること、あるいは合同委員会において施設、区域等の問題を主として日米相互に協議をすること、あるいは日本国内に入国するアメリカの軍人もしくは軍属等の問題に対する規定、その他協定の終了の問題あるいは改訂の問題、また協定の中に用いられる定義の問題等、いろいろあります。なおその他についてはただいま話合い中であります。
  79. 川島金次

    ○川島委員 先ほどお尋ねしましたが、総理お答えがありませんが、アメリカの駐留ありとすれば、駐留の期間をこの協定の中に挿入するという意思が政府にはあるかどうか、その点をひとつお聞かせ願いたい。これは総理大臣から……。
  80. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 この問題は、安全保障條約が終りますときに駐留は終る、こう考えておりますが、行政協定の中に入れる問題ではなくして、安全保障條約がいつ、どういう形で終るか、それは安全保障條約の中にも書いてありますが、その規定に基いて安全保障條約が終了いたす場合には、それに基くアメリカ駐留軍は撤退する、こう了解しております。
  81. 川島金次

    ○川島委員 議事進行で委員長に要望します。野党の質問は今度もありますから。われわれの本日の質問は、総理大臣の直接の出席を求め、最高責任者である総理大臣の、責任ある直接の答弁を求めるための委員会であります。しかるにわれわれの質問に対して、総理以外の答弁のあることは、まことにわれわれの心外とするところであります。今後もあります。そういうことであれば、わざわざ本日総理大臣出席を求める必要はなかつた。おとりはからいを願いたい。     〔「やめたらよい」と呼び、その他発言する者あり〕
  82. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  83. 川島金次

    ○川島委員 時間がございませんから、あと一、二お尋ねいたします。一体非常事態の問題につきましては、総理はまことにあいまいな答弁をされておりますが、駐留軍海外にかりに出動いたします場合、一体駐留軍駐留軍としての最後までの出動であるか、国連との関係はどういうふうな形になるものか、そういう非常事態に対する駐留軍国連軍との関連等について話合いをしたことがあるか、あるいはまたそういう事柄について何か政府考えがあるかどうか、それをひとつ、これは総理大臣からお答え願いたい。
  84. 吉田茂

    吉田国務大臣 私の答弁はあいまいであつて御満足を得がたいから、それで私にかわつて主管大臣が答弁せられるならば一層正確であろうと考えるから、国務大臣をしてかわつて答弁させております。しかしながら、私が出席しておつて、そうして他の閣僚から答弁があれば、それはすべて責任は私の責任であるということは、この前申した通りであります。
  85. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ただいまの問題につきましては、行政協定では、安全保障條約に基くアメリカ軍隊の配備等を規律する問題を規定しております。それが国連軍の一部として行動するときとか、あるいは国連軍との関係をいかにするかという御質問に対しましては、国連の各種の措置につきましては、日本政府は、ただいまも、また平和條約効力発生後も、條約の規定によりこれに協力する決心でおります。従つてでき得る限りの協力をいたしますが、それにつきましては、必要があれば将来話合いもいたします。
  86. 川島金次

    ○川島委員 駐留軍海外出動の場合には、当然日本講和條約によりまして、国連へのほとんど無條件的な協力を約束いたしております。この見地からいいまして、もし駐留軍海外出動しなければならぬような事態が生じた場合に、日本がその海外出動駐留軍に対して協力すべき義務の範囲というものは、どの程度のことになるか。その点についての意見を伺いたい。
  87. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはできるだけいたすのでありますが、日本現状としてはその能力にも限りがありますので、できる範囲内においてでき得る限り協力をする、こういうことであります。
  88. 川島金次

    ○川島委員 まことに抽象的な答弁でよくわかりません。もう少し具体的な内容でひとつ御説明が願いたいと思う。
  89. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは実際の事態は、その場にならないとはつきりいたしません。各種の場合があると思うのであります。各種の場合いずれにおいても、われわれは可能な範囲において協力をいたします。こういうことであります。
  90. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、たとえばそのような事態が生じた場合に、警察予備隊はこれに協力する意思は今のところ日本にはないというが、予備隊以外の日本人が、駐留軍出動に属して、要員として、こういう形で協力を求められるようなことがあることを予想しておらないかどうか、その点はいかがか。
  91. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 どうも御質問はつきりいたしませんが、アメリカ軍隊の一部として日本国民がこれに参加するというようなことはないと確信いたしております。技術その他の面において、たとえば工場に働く人とか、こういう人々が協力いたすためにアメリカの注文品をつくる、これは当然のことであると思います。
  92. 川島金次

    ○川島委員 私の質問に対する答弁としてはちよつと見当がはずれておるような点もあるのですが、もう一ぺんお伺いします。駐留軍の直接、間接要員として駐留軍出動に伴つて海外に協力を求められるようなことがあるかどうか、その場合に日本はどういう協力の仕方をするのか、それを聞いておるのです。
  93. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これも御質問の方も非常に抽象的ではつきりわかりませんが、戰争行為みたいなことに参加するということは想像できませんけれども、たとえば将来どつかの国でもつて経済協力の必要上農業の技術家がいるというときに、できる範間内でこれに協力することは、これは自然のことだと思います。
  94. 塚田十一郎

    塚田委員長 川島君に申し上げますが、あと一問でお持合せの時間であります。
  95. 川島金次

    ○川島委員 私は最近保安隊並びに警察予備隊の統合的な機構を……。     〔発言する者多し〕
  96. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  97. 川島金次

    ○川島委員 確立するという案があるやに新聞は伝えておりますが、この保安隊及び警察予備隊を統合して一本とする何らかの機構改革の方針があるのかどうか、あるとすればその構想について承つておきたいと思う。
  98. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 機構改革につきまして、政府はただいま研究をいたしておる最中でございます。その一環といたしまして、現在警察予備隊につきましては警察予備隊本部があります。また海上におきまする警備の機関といたしましては、海上保安庁所属の機関があるわけでございます。この二つはその機能上きわめて密接な関係にありまするがゆえに、この二つを一元的に管理する機構をつくつてはどうかという問題につきまして、ただいま研究をいたしておるところでございます。
  99. 塚田十一郎

    塚田委員長 成田知巳君。
  100. 成田知巳

    ○成田委員 最初にお尋ねいたしますことは、今度の安全保障條約と日満議定書との関係でございますが、日満議定書で日本と満洲国との間に生じた関係と、今度の安全保障條約で日本と米国との間に生じた関係に何らか根本的な相違があるか、と申しますのは、今度の安全保障條約を見ますと、昭和七年に日本が満洲国と結んだ日満議定書と何ら相違がない。たとえば議定書の前文には「日本国ハ満洲国が其ノ住民ノ意思ニ基キテ自由ニ成立シ独立ノ一国家ヲ成スニ至リタル事ヲ確認」云々と書いてあるし、さらに本文の二條に「日本国及満洲国ハ締約国ノ一方ノ領土及治安ニ対スルー切ノ脅威ハ同時ニ締約国ノ他方ノ安寧及存立ニ対スル脅威タル人事実ヲ確認シ両国共同シテ国家ノ防衛ニ当ルベキコトヲ約ス之ガ為所要ノ日本国軍ハ満洲国内ニ駐屯スルモノトス」こういう規定がありまして、現在の日米安全保障條約と何ら異ならない。この日満議定書によりまして、日本人は満洲国は独立国家であるといつておりましたが、世界のすべての国は満洲国は日本の傀儡政権である、独立国家じやない、こういう批評をいたしておつたのであります。この日満議定書による満洲国と日本との関係、今度の安全保障條約による日米関係とどれだけの差があるかということを承りたい
  101. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 日満議定書と関連を持つて何ら考えておつたのではありませんので、この問題は安全保障條約を御研究願うよりいたしかたがないと思います。ただ今おつしやつたようなことにつきましては、たとえば馬に乘つかつたら落つこつた、そうすると馬に乘れば必ず落ちるものとこう考えれば、やはり馬にも違いがあります、乘り手も違いますから、その場合心々によつて異なるものと思います。
  102. 成田知巳

    ○成田委員 次にお尋ねしたいのは、日本にいる駐留軍が極東の平和と安全を保つ場合に、日本政府の要請なくても出動する、この場合に日本政府の事前の同意を要するかどうかという問題は、今のところきまつていない、こういう話です。具体的に例をとりまして、たとえば米国がイギリスに持つておる飛行基地から米国の飛行機が爆撃に出るよう事態が起きた場合には、英国の事前の承認が必要であるということがとりきめられておると伝えられておるのでありますが、現在朝鮮動乱のさ中におきまして、日本の飛行基地から米軍の飛行機が爆撃に行くときに、日本政府の事前の同意を要するかどうか承りたい。
  103. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 現在ははなはだ残念ながら占領下にありまして、占領軍が国連軍として活動しております。将来の問題はまた別のことと思つております。
  104. 成田知巳

    ○成田委員 将来の問題を承つておるのでありまして、講和條約が効力を発生し、安全保障條約が効力を発生したときに、そういう事態が起きた場合にはどうするか、事前の同意を必要とするものであるかどうかを承りたい。
  105. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 原則としてはむろん事前のといいますか、両国政府間の話合いによるものと考えておりますが、緊急の事態ということもあるでありましよう、その事態々々によりまして話が異なると思います。
  106. 成田知巳

    ○成田委員 ただいまの御答弁で、原則として日本政府の事前の同意が必要だ、こう御答弁ざれたことを了承するのであります。  次にお尋ねしたいのは、先ほど川島委員からも少しく触れましたが、行政協定で協力義務が発生した場合に、たとえば日本の商社だとか日本の労務者が商品を提供し、あるいは労務を提供する場合に、この協力義務というのは精神的な規定で、あくまでも自由契約によつて行われるものかどうか、あるいは日本政府が責任を持つてこれらのものを提供する義務を生ずるのかどうか、その点を承りたい。
  107. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 日本政府が約束をいたしたものは、日本政府が責任を負つて提供いたします。一般的には当然これは独立国家間の約束でありますから、自由意思に基きコマーシャル・べースによる提供ということになります。
  108. 成田知巳

    ○成田委員 日本政府が責任を持つて提供する場合に、たとえば商社だとか労務者に強権を加えるということはないと考えてよろしゆうございますか。
  109. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私の申したことが言葉が足らなかつたかもしれませんが、日本政府が約束をして提供するというものは、たとえばアメリカの部隊が駐留する場所が必要であるとか、あるいは演習する区域が必要であるとかいう場合には、どうしてもこれは必要なものと思いますから、日本政府で何とかくめんして、そういうものは提供するということだけでありまして、一般の基本的人権を阻害するような、たとえば労務の強制提供、そんなことは全然考えておりません。
  110. 成田知巳

    ○成田委員 当委員会で治外法権の問題を聞きましたときに岡崎さんは、治外法権の問題は、首相も毎度も答弁しておるように、今度の行政協定にはないという御答弁を繰返しておるのでありますが、二、三日米の報道で軍事基地以外においても、当分の間外国の駐留軍に対しては治外法権と申しますか、日本の刑事裁判権が及ばない、こういうような報道が伝わつておるのでありますが、はたしてそういうとりきめが進んでおるのかどうか、承りたい。
  111. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは少し法律的になりまして恐縮ですが、治外法権と申すものと裁判管轄権と申すものとは性質上異なると思います。私は治外法権と称せられるものは何もない、こう申しておるのであります。ただ一国の軍隊が他国に駐留する場合に、その軍隊の裁判権をどうするか、その駐留される国の裁判権をどうするかということは、従来とも例があることでありますから、国際法にも一部規定があり、国際慣例として確立しておるものもあります。しかし具体的にはつきりしない部分もありますが、要するに大体のことは国際慣例で認められておると思つております。今度の場合におきましても、そういう意味では原則的には国際的の慣例に従つて規定をすることになると思います。それについてはただいまいろいろ話合いを続行中であります。
  112. 成田知巳

    ○成田委員 行政協定の第一回目のとりきめだつたと思いますが、外国の駐留軍日本の法令を尊重する義務がある。それから外国人の財産保護のために日本法律が不満な場合はこれを補完する、こういうふうなとりきめが第一回の交渉で行われたと思うのでありますが、外国軍人の日本法令尊重の義務というのは、これは道徳的な、精神的な規定なんですか、それともあくまでも法律的な義務として日本の法令を尊重しなければいけないのか、これを承りたい。
  113. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これが先ほど申しましたように、治外法権はないと申しましたおもなる理由でありまして、アメリカの軍人、軍属、家族等が日本法律を尊重するのは精神的だけではなくて、実際に日本法律を守るのであります。ただそれに違反した場合の裁判管轄権というものは、どの程度アメリカ側がその裁判をするか、どの程度それに対して日本側が裁判をするか、こういう問題が今の裁判管轄権であります。法律を守るという原則においては、まつたく日本人と同様にアメリカの軍人軍属等も日本法律を尊重するのであります。     〔「属人主義か属地主義か」「銀行ギヤングはどつちがつかまえるのだ」と呼び、その他発言する者あり〕
  114. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  115. 成田知巳

    ○成田委員 先ほど藤田委員が台湾政府承認の問題について御質問いたしましたときに、これは一種の限定承認のごとき、限定的な地域的な政府として承認するがごとき御答弁があつたのですが、問題は修好條約であるか、あるいは平和條約であるか、この問題ですが、政府としては修好條約として今度の條約をお進めになるのか、あるいは平和條約としてお進めになるのか、総理の御方針を承りたい。
  116. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 平和條約、修好條約、というものの区別を私ははつきり承知いたしておりません。普通にはよくいわれておりますが、国際法等でそういうことについて明確な区別をいたしておるとは考えておりません。要するに内容に基くものでありまして、いずれにしても総理の書簡にありますように、通常の関係を樹立するために條約を結ぶ、また戦争状態を終止するために條約を結ぶというのであります。これを修好條約といわれるか、平和條約といわれるか、これは名前のつけようであります。実質的には総理の書簡に基いて條約を結んで行く、こう御了解いただきたいと思います。
  117. 塚田十一郎

  118. 横田甚太郎

    ○横田委員 老人が刃物を持つた場合のことを私は聞いておりません、しかし日本のことわざに、昔から子供と気違いが刃物を持つた場合は非常に危險であるということがいわれております。昭和二十年日本の動員兵力は八百万といわれております。     〔発言する者あり〕
  119. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  120. 横田甚太郎

    ○横田委員 八百万の動員された軍隊は飛行機、零戦を持つておりました。軍艦武蔵、大和を持つておりました、この天皇制軍隊に対しては総理は一応信頼されない立場をとられた。ところが今度できますところの警察予備隊はわずかに十一万、ふやしてやつと三十一万であります。政治と経済の不安から社会に必ず騒擾が起るであろう、これを政治、経済の欠陷と見ずに、このわずかに許された外国製の武器を持つた外国人に買われた日本人中の傭兵で切り抜けられるというように考えられるか、いゆわる軍備に反対していた総理が再び天皇制軍隊ではない、━━━━━━━による軍隊で政治不安の解決は大丈夫だとお考えになりました心境の変化は、一体どこから来たのですか、これを承りたい。     〔「それは総理大臣だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  121. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  122. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 総理答弁を私からかわつて申し上げます。現在の警察予備隊というものは、軍隊とは根本的に異なるものであります。国内治安を維持するためのものと心得ております。
  123. 横田甚太郎

    ○横田委員 閣僚の中には、平和を語るところの資格のある人は一人もいないはずです。ところが吉田さんは間違つて戦争中にたつた二箇月豚箱に入られたといわれているのです。それで満洲で侵略に協力したところの戰争協力の罪状が消えたといわれておるのです。これだけが唯一の自由党のよいことだ。吉田さんが買われるのはそれだけです。あとの大臣は戰争協力者であつて、そのときに戰争に反対した人があるか。だから今の再軍備への変化の問題については、ほかの大臣は答える資格はない。当然総理が答えるべきである。     ━━━━━━━━━━━━━━━━
  124. 吉田茂

    吉田国務大臣 所管大臣からお答えをいたします。
  125. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま申し上げた通りでございます。
  126. 横田甚太郎

    ○横田委員 日本の政治不安から警察予備隊を━━━━━━━━━こしらえた。この武器は必ず日本人民の手に収めなかつたなれば、日本の政治目標は立たないのです。今後の日本の政治目標は、いかにして警察予備隊というごとき人民弾圧軍をなくするかという政治條件をつくらなければならない急務があるのであります。だから私はこの警察予備隊論争に対しましては、もしものとき必ず人民に投降してもらわなければならない、人民に返してもらわなければならない、武器を持つた反動軍であり、人民の中から生活苦で迷つて警察予備隊に入つた人でありますから、そのとき人民軍としてわれわれが投降してもらわなければならないのは、大橋氏ではなしに、吉田総理大臣、いわゆる吉田安保政権の中心であるところのワンマン総理です。ですからそのときの規定もあり、考えもありますので、吉田総理大臣よりはつきりした答弁を願いたいのです。
  127. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 たびたび申し上げた通りでございます。
  128. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは時間がないので、非常にお気の毒ですが、これは一般質問のときゆつくり伺います。  それからとらの子の警察予備隊は建軍精神をはつきりさりせない、この建軍精神をはつきりさせない哀れな警察予備隊は、大橋さんに伺いますが、少しは強くはなつたでしようか。
  129. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 予備隊の使命を達成するに十分なように、訓練を重ねつつあります。
  130. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、警察予備隊が働く場所として指定され望まれているところは、外に対しては出さないと一応言つているのですから、もし内で人民軍が立ち上つたとき、これと対峙するのですね。そこで私は伺いたいのです。警察予備隊に入りますと宣誓項目がございますね。その宣誓の項目によりますと、この警察予備隊憲法を守り、そして正しいことにつく、こういうことがはつきり書いてあるのです。そういたしますと、日本警察予備隊を引連れて、どろぼうをつかまえに行かれるときに、どうほうは人に正しさを誇るべき何ものをも持つておりませんから、つかまえに行つた警察官に対しまして、宣伝煽動はいたしません。ところが人民軍は正しいことをやつているのです。日本独立のためにやつているのです。そうでありますから……。     〔発言する者多し〕
  131. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。――御静粛に願います。
  132. 横田甚太郎

    ○横田委員 ━━━━━━━━━━━━━━━━。     〔発言する者多し〕
  133. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。横田君、質疑を御継続ください。
  134. 横田甚太郎

    ○横田委員 その場合に私が聞きたいことは、警察予備隊に入りましたところの人は、そう簡單に喜んで白木の箱には入らない。前の天皇制時代におきましては、「朕惟うに」と思つてしまうと、なんじ臣民は何も思わない間に、御名御璽で南の島で捕虜になつたり、白骨にされた。しかし警察予備隊はそうではないのですよ。議会においてさえ二重煙突がくすぶつている。吉田氏に対しては売国政権の首班とまでいう言葉がある。人民軍が果敢なる宣伝をしたときに、この時代精神に目ざめたところの、政治的信念をはつきり持ちましたところの人民軍はどう言いますか。     〔発言する者多し〕
  135. 塚田十一郎

    塚田委員長 靜粛に願います。
  136. 横田甚太郎

    ○横田委員 これの大将であるところの大橋氏や吉田氏が、こんなにもアメリカ武器を借りて、日本人民を撃たれるならば、その指揮官がアメリカ人であり、仕込んだのはアメリカ人であると思つたときに、この人たちは、憲法によつて保障されました第十九條の規定の、思想と考えることの自由を失うことがあるかないかということをただしたいのです。その場合に、宣誓の中にございますところの、みだりに退職させない云々の一項目は、どういうように解釈したらいいのでしようか。
  137. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 横田君のお話のうちに、人民軍というようなお言葉がありましたが、何のことか私にわかりません。従いまして、御質問に対しましては答弁の限りではございません。
  138. 横田甚太郎

    ○横田委員 政治というものははつきり言うものであつて、こそこそと逃げるものではないのだ。━━━━━━━━━━━━━━━━━     〔発言する者多し〕
  139. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。
  140. 横田甚太郎

    ○横田委員 少くとも君たちの治安対象になつているのは共産党であり、税金が高い、供米代金が安い、賃金が安いといつてアメリカ占領政治に対して反対している人たちを彈圧するためにごしらえられたのだ。治安だの騒擾だのとはこのことではないか。現に大橋君がただの一回だに日本共産党以外に彈圧したことがどこにあるのだ。たとえば昨夜はどうなんだ。富士銀行にどうぼうが入つたときに、ピストルを撃ちつけた。このピストルに対して日本人が防衛できなかつた。なぜできなかつたかといえば、警察署長が、外国人を撃つてはならないようになつているということを言つたらしい。米国軍人は撃つてはいけないということを言つたらしいのだ。だから私ははつきりと聞いておきたいのですが、人民軍とか、立ち上るところの人民の力というものをはつきりするのでなしには、論争ができない。それを知つていればこそ、あなた方は私たちを彈圧しているのではないか。だから私は聞くのですが、このみだりに退職できない云云の問題は、一体どういうように解釈するのかということを、はつきり答えてもらいたい。
  141. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 お答え申し上げるべき事柄でないということをはつきり申し上げてわきます。     〔「人民軍がわからぬじやないか」と呼びその他発言する者多し〕
  142. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは委員長に。ゆつくり吉田総理に尋ねますが、吉田総理が私に対して答えないのは、質問内容が答えるべき事項でないと思つたのですか。共産党であるから答えないのですか。それをはつきり委員長から聞いてください。
  143. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員長はそのようなお尋ねをする必要はないと認めております。
  144. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは私は二十分あるのですから、かつてに演説しますよ。
  145. 塚田十一郎

    塚田委員長 御質疑でありませんければ、中止を命じます。
  146. 横田甚太郎

    ○横田委員 ━━━━━━━━━━━━━。
  147. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田君に申し上げます。本委員会の品位のために用語にお慎みを願います。
  148. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは私はあなたに伺いますが、この間からなぜどういうわけで私の速記録をあんなに消すのですか。私は聞きたいのです。     〔「人民軍を聞きたいのだ」と呼びその他発言する者多し〕
  149. 塚田十一郎

    塚田委員長 御質疑を継続くだざい。御質疑がなければ発言を中止いたします。
  150. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは、ダレスという男がこういうことを申しました。外のどうほうが内をうかがつているときには戸締りを嚴重にせいというのです。そうすると日通の労働組合では――これは民主的なアメリカの労働組合運動指導者に仕込まれて共産党ぎらいな人までが認めている労働組合ですが、そこで、ダレスの言うのは何を言うやら妙なことを言うじやないか、どうぼうが外からうかがつているのには戸締りが必要だが、内に強盗が入つていて富士銀行で盗んでいる。日本の正常経済の形は━━━━━によつてめちやめちやになつている。強盗を中に入れておいて戸締りをしたら、中の者が一体どうなるのだというので、さすがの愛国労働運動の手合いもこれには黙つてしまつた。だから私に人民軍と聞くならば、どろぼうというものは一体何なんだ。どこが侵略の意図を持つているのか、そのことをはつきり聞きたい。(発言する者多し)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━どうぼう云々のこの感傷的なつまらないことを基礎にして軍備を進めて行くところのこのやり方に対して、私は質問しているのですから、この情勢からはつきり説明していただきたい。
  151. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまの御質問お答えの限りではありません。     〔発言する者多し〕
  152. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田君、私語を禁じます。質疑を継続してください。     ━━━━━━━━━━━━━
  153. 横田甚太郎

    ○横田委員 私は総理に対してそれでは最後にはつきり聞いておきます。ポツダム宣言の第十二條においては、日本の民族は民族の考えによつて政治の形をきめることができた。ところが今度できますところの安全保障政権のもとにおきましては、この政治はいいものか悪いものかといつて、人民が政治に対して考えを持つ自由があるでしようか、ないでしようか。これは吉田総理から聞かせてもらいたい。
  154. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれは選挙を用いて人民の意思に基いて政治を行つております。     ━━━━━━━━━━━━━
  155. 横田甚太郎

    ○横田委員 選挙で政権ができた、選挙によつて人民の意思が反映すると言われるのであるならば、わが党に集まつた票こそは吉田内閣に毒づけ、この内閣をぶつ倒せという票なんだ。立憲政治のもとにおいてはこれに対して徹底的に抗争する。だから私は吉田総理大臣に対して聞くのであつて、この吉田総理大臣の口から出ましたところの一言が、すなわち外に流れて帝国政府になつたり、不逞のやからになつたり、あるいは非国民になつたり、妙なものにかわつて来る。━━━━━━━━━━━━━━━━━そういう意味において吉田総理大臣に対しまして、安保政権下においては、いいとか悪いとかいうような判断を持つことができるか、できないか。もしこれができるとするならば、この政治はいいと言つてごまかすばかりの人ではないだろう。そうじやないのであつて、この政治は悪いとたまには思う人もあるだろう、こういうのです。その場合にあなた方の態度はどうかということを聞きたいのです。
  156. 吉田茂

    吉田国務大臣 国務大臣からお答えさせます。     〔発言する者多く、議場騒然
  157. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ……。     〔発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
  158. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんなんもういらぬ……。
  159. 塚田十一郎

    塚田委員長 御質疑に対して答弁不要の御宣告がありましたので発言を中止いたします。  ただいまの横田委員発言中、もし不穏当の言辞がありますれば速記録を調べました上、適当の措置をとることといたします。  午前の会議は……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  160. 塚田十一郎

    塚田委員長 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後は一時半より委員会を再開して質疑を継続することといたします。  これにて休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十七分開議
  161. 塚田十一郎

    塚田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。今井耕君。
  162. 今井耕

    ○今井委員 まず最初に農林大臣に政府の主食の増産目標についてお伺いいたしたいと思います。これは過日、同僚の井出委員から質疑されたのでありますが、きわめて要領を得なかつたので、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。政府昭和二十七年度の予算におきまして、相当多額の費用を食糧増産対策費として見積つておられます。従いましてこれについては相当増産の確信をもつて臨んでおられると考えるのでありますが、これによつて米及び麦おのおの昭和二十七年度――麦は二十八年度ということになりますが、どれだけの生産をしようというのであるか、その目標を第一にお伺いしたいと思います。
  163. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 主食の増産目標ですが、われわれはこの八千万の人間が自給でき得るのを目標にしてやつておるのでありまして、自給度を年々増して行きたいと思つておるのでありますが、来年麦あるいは米の自給の目標のこまかい数字は政府委員から答弁いたさせます。
  164. 今井耕

    ○今井委員 私はこまかい数字を尋ねておりません。米と麦との生産目標を聞いておるのでありまして、農林大臣は食糧増産対策費として力を入れておるのだから、目標なしにやるというわけじやあるまい。またその目標を農林大臣が御承知にならぬというような、そんなたよりないことではならないと私は思います。
  165. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お答えいたします。     〔「名前を言え」と呼び、その他発言する者あり〕
  166. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。渡部政府委員
  167. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 二十七年度の目標といたしましては、土地改良関係におきまして約百五十万石であります。病虫害の防除とか種苗の改善とか、そういういわゆる耕種改善によりまして約二百五十万石を増産する目標になつております。合計四百万石であります。
  168. 今井耕

    ○今井委員 私の時間はそうたくさんないのでありますから、私の尋ねたことを簡単に返事をしてもらいたい。私は米と麦の生産目標がどれだけになつておるか、こういうことを聞いたのです。いらぬことは答弁はいりません。     〔「まじめにやれ」と呼びその他発言する者多し〕
  169. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。私語を禁じます。
  170. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 米麦の生産量は、米は平年作六千三百万石であります。従いまして今の増産額を加えまして――麦は大体二千三百万石をもつて平年作としております。     〔「大増産をすると言えばよろしいのだ」「黙つておれ」と呼び、その他発言する者多し〕
  171. 塚田十一郎

    塚田委員長 御靜粛に願います。―――御靜粛に願います。
  172. 今井耕

    ○今井委員 ただいまの答弁はなお私の質問に該当いたしておりません。答弁する材料がないからであります。平年作も間違つております。私はちやんとそろばんしておるのであります。そういうような不用意なことではだめです。  それでその次にお尋ねしたいと思うのでありますが、政府は昨年麦の統制撤廃というようなことをいろいろ宣伝ぜられ、なおかつ麦の米に対する価格の割合、買入れの比率を低くせられたために、今日農村では麦は引合わないということで、どんどんと菜種とか、あるいは肥料が高いからこれがれんげにかわる、あるいは蔬菜類にかわるというようなことで、麦の作付反別はどんどん減つております。過日も農林の事務当局が、大体麦の作付反別は一割くらい減るだろう、それによつてひよつとしたら四百万石ぐらい麦が減収するだろうと新聞にいつておられます。そこで政府は食糧増産対策費を相当計上して、そうして増産をしようと思つておられるけれども、引合わぬためにかえつてそれが減産する、こういう傾向にあるわけです。必ず私は減産すると思います。(「数字を示せ」と呼ぶ者あり)数字を申しております。事実われわれの地方でも、麦の作付反別は約三割本年にもう減つておるのです。従つて主食といえば米か麦であります。そこで政府の方針は、麦なんかどんどん減つても、何でもいいからとれたらいいというのか。やはり麦なんかも増産して輸入食糧が少くて済むように、極力米とか麦とかいうようなものの増産をはかるということに力を入れられるのか、何でもいいからとれたらいいのだ、いわゆる自由だ、こういうふうに考えられるのか。事実が反対の方向を向いておりますから、私はこの点をお伺いするのであります。
  173. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 統制が解除されてから麦の作付反別が減つておるじやないかと言われますが、これはその通りつております、これはいろいろな理由もあるようでありますが、統制時代無理をして適地でない所につくつたものが正常にもどつたのが大分あるようであります。それからまた無理をしてやることは決していいことじやありませんので、私たちといたしましては、適正な土地に麦が増産されるように考えておるのであります。ただつくらせればいいというのではないかというお話でありますが、そうではありませんので、やはり農家の納得の行くような価格にしなければならぬと思います。それからなおまた麦をつくらして輸入を防遇する方がほんとうじやないかというお話でありますが、そのような方法でやつております。
  174. 今井耕

    ○今井委員 私はいいかげんなことで質問をしておるのじやないのでありまして、ほんとうに心配しておるから、心の底から良心的にお尋ねをしておるわけです。(「良心的に答弁しているじやないか」と呼ぶ者あり)そこで、はたの委員から茶化すようなやじを飛ばされますが、沈黙を守つてもらいたい。事実たとえば本年の予算によるところの麦の価格を見てみますと、一俵が千八百円、それでありますと、たとえばれんげを栽培しますと、それによつて硫安に換算して四千円くらい価値があるのです。そうしたら麦の世話をしても反当千八百円ほどしか残らぬ。そんな安い手間で、二十人手間くらいはどうしてもかかります。そろばんに引合わぬものをつくることはない。政府は自由経済を標榜しておられる。自由経済下においては、利益のある方向に走るということは、あなた方の方で経済の原理だと言うておられる。にもかかわらず、引合わぬようにしておいてそうしてやれやれと言うて、はたして政府が目標とせられるところの増産ができるかどうか、そこを私は尋ねておるのです。たとえば農村に行きましても、農村の指導者でも、麦はつまらぬからああいうものをつくれ、こういうものをつくれと言つて皆やつておることは、これは御承知だと思う。そういう方向を向いていてそれでいいのか。もし麦が必要ならば、麦を皆が気張つてつくるようにできる方向にする必要があると思う。それだから私は生産目標ということを先に聞いておるのです。従つてそこをはつきりしなければ、農村の指導に当る者でも、農民に対して利益のあるものをつくれといわなければしようがない。それは国のお考えになつておることと方向が違うことになる。われわれは農村へ帰りましても、国の立場からは麦をつくらなければならぬけれども、利益の点から麦をやめなければならぬ。それが農村の指導者にはわかつておらぬ。今やつているのはつまつらぬから、ほかのものをつくれということをみな言つているが、それでは大臣のお考えと違うということになるので、そこをはつきりしておく必要がある。それに対してどうお考えになるかということです。
  175. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 増産に対しましてこの価格の面が大事なことは、われわれよく承知いたしておるのであります。昨年の米価あるいは麦価を決定する場合にも、いろいろ点を勘案して決定されたと思つておりますが、本年の麦価、米価を決定する場合にも、やはり増産目標が達成でき得るように慎重にやらなければならぬと私は思つております。
  176. 今井耕

    ○今井委員 この問題は盡きませんが、時間がだんだんたちますから、私はこれで打切りまして、またいつかの機会に讓ります。これは非常に大きな問題ですから、ひとつ根本的に考え直してもらいたい。そうでないと、増産対策を立ててもだめだということを、私は保証しておきます。  次に麦の統制撤廃の問題についてであります。これも昨日川島委員から質疑されましたが、きわめて要領を得ておりません。そこで私は重ねてお尋ねするのでありますが、昨年以来、政府の主食の統制撤廃に対するところのやり方というものは、きわめて不明朗であります。いまさら詳細申し上げるまでもないけれども、ききの国会におきまして、吉田総理大臣は施政方針演説において、主食の統制はすみやかにこれを撤廃するということを言明された。時の根本農林大臣は、四月から統制を撤廃するということを言明された。同時に池田大蔵大臣は、統制撤廃のためにはあらゆる財政的援助を惜しまぬということを本会議において答弁されたということは、速記録に残つていることであります。その後いろいろ事情の変化があつたことはよく承知しておりますが、それがためにいろいろ政策を変更されるようであります。従つて国会の冒頭の施政方針演説におきまして、吉田総理大臣から政策を変更する理由について、はつきり国民に了解を得るところの演説がなければならぬ。それをほおかむりしておいてやつて行くということは、責任政治上非常に遺憾に思うのであります。この問題をいろいろ追究的に申し上げるわけではありませんが、何ぼ政府の方々が答弁をされましても、それはやつてもやらぬでもいいのじやないかということで澄まされるものならば、こんな場所でいろいろ議論をする必要はありません。これはおそらく責任政治の非常に重大な点であると私は思うが、その点は第二にいたしまして、今政府考えておられるところの麦の統制撤廃をどうするかという点について、昨日川島委員があなたのお留守中に食糧庁長官質問されたら、食糧庁長官は、これは統制撤廃の案が出たときに御審議願いたい、こういうように事務当局としてはなかなか都合よく答弁されておると思うのでありますけれども、私は過日のこの予算委員会の最初に池田大蔵大臣が答弁ぜられたのをこの印刷物で申してみますと、「なお主食の統制に関しましてはさしあたりこれを存続する建前のもとに予算を編成いたしました。」というのでありますから、さしあたりこれを存続する、どつちになるかわからぬけれども、とりあえずここに建前にしたという、実に信頼のできぬ言葉を用いている。私は実にたよりないところの説明だと思つております。ところが「昭和二十七年度農林予算の概要」というのが官房會計課から配付されております。それの十七ページを見ますと、麦及び砂糖については二十七年四月から統制を廃止するということがちやんとはつきりここに言明されております。また二月七日の参議院の農林委員会におきまして、東畑食糧庁長官は統制撤廃につきまして、二十七年四月より麦及び砂糖について統制を撤廃する。そうして砂糖及び大豆の政府手持ちを順次入札制によつて放出販売するということを言明しておられます。麦の統制撤廃はちやんと印刷物にもあるのですが、はたして四月にちやんと統制撤廃なさるのか。大蔵大臣は統制を継続する建前予算を編成したと言つておられるが、一体どちらか、これをひとつはつきりしてもらいたい。
  177. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 統制をはずしますのには、やはり国会の皆様方の御同意を得なければできないのでありますから、総理の言つた早急にやりたいということも、やはり議会にかけて審議していただかなければならぬ。われわれ農林省としては、総理の言つたようにすみやかに統制をはずしたいのであります。そこで麦につきましては、これを四月にやる目標で法案その他を準備いたしました。それから米につきましては目下愼重に考えたいと思つておるような次第であります。統制をはずす方針には間違いないのであります。
  178. 今井耕

    ○今井委員 それではちよつと大蔵大臣にお伺いしますが、統制を継続する建前をもつて予算を編成したとすると、四月あたりから統制を撤廃されると、予算の方はどういうことになりますか。
  179. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知のごとく二十六年度の予算編成にあたりましては、麦は統制を撤廃するという法案を出しまして予算を組んだのであります。しかし統制を撤廃するといたしましても、八百数十万石の麦は買い入れる予定で組んでおります。今度の昭和二十七年度におきましても、麦につきましては今統制の継続中でございますが、やはり八百数十万石の買い入れを予定いたしておりますので、統制を続けて行こうが、あるいははずそうが、それには何ら予算上大した支障はございません。今まで通りに統制を継続するという建前のもとに編成しておるので、矛盾はございません。
  180. 今井耕

    ○今井委員 予算の内部についてはいろいろやりくりはできると思いますが、麦の方は一方は統制を継続する建前だと言い、一方は統制を撤廃するとちやんと印刷物に書いてあるのだから、これは全然矛盾であるということははつきりしておると思いますが、時間がありませんから、この問題は打切ります。  次に、麦の統制を撤廃するということについては、農林大臣も、すみやかにやる、それは多分四月か六月というようなことだと考えておるようでありますが、この麦の統制の撤廃は米の問題と多少趣を異にしておる。従つてわれわれも多少違つた観点からこれを研究しなければならぬと思うのでありますが、一番大きな問題はどこであるか、私が最も心配する点はどういう点かと申しますと、今日主食の配給は、御承知のように米と麦との総合配給によりまして、二合七勺というものを配給しておる。ところが米と麦との配給しておる割合は、御承知のように東京のような大きな都市では米は大体四割余り、地方農村あたりの配給率は米が七、八割、こういうふうに米の割合が非常に違います。しかしこれは麦との総合配給でありますからそれでいいわけです。ところが麦の統制を撤廃いたしまして自由にする。そうすると、今度は配給するのは米だけということになる。米だけということになりますと、同じ日本国民であるから、大きな町の人間でも、地方農村で配給を受けるのでも同じ量の米の配給を受けるべきである、こういう主張が起ることは当然のことです。またそう考えなければならぬと思います。ところがそういうふうにすれば、大きな町はかえつて米の配給量がふえるが、地方農村あたりで配給を受けている人は米の配給量が滅つて来る。これは非常に大きな問題である。なおまた今まで通りに――今まで東京などは四割ほどだから、撤廃しても四割だというようなことになれば、同じ日本人なのに町と地方によつて、なぜそれだけ配給の量が違うかというところに大きな問題がある。ここに麦と米との総合配給というところに妙味があるのであつて、麦をはずして米一本ということになると非常に調整が困る。これをどういうふうに解決なさるか。これは一番大事な点だと思いますので、御意見を伺いたいと思います。
  181. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 そういうようないろいろな問題を解決するためにいろいろ準備をいたしておるのでありまして、なるべく日本の人に全部一緒に同じようなものを配給するのがほんとうなのでありまして、さようなでこぼこにならないようにいろいろ準備をいたしております。
  182. 今井耕

    ○今井委員 そういうふうに答弁しておられますけれども、納得するような答弁は――農林大臣は今案がないのです。従つて私はこれ以上追究せずに次に移ります。  そこであとへもどりまして、さきに麦の問題について、値段が安いから収量がそうふえないということを申しましたが、同時に値が安いために、農村では収穫ざれたものが家畜の飼料にどんどんとまわつておる。そこでかりに麦をつくりましても、これが家畜の飼料にどんどんまわつて主食に出て来ない、こういう心配が多分にあるのです。もしそういうことになると、国の方で気張つて増産対策をやりましても効果が上つて来ない。従つてもしそういうふうにまわるようにしようと思えば、ある程度麦の価格そのものを考える。同時にとれた麦が主食にまわるようにするために、飼料の輸入について補給金をやつて安く飼料を出す。そうすれば麦が主食によけいまわると思いますが、こういう点についていかようにお考えですか。
  183. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 麦がせつかく増産されても、家畜の飼料になつちやつまらないじやないか、その通りであります。それでわれわれといたしましては、輸入する場合にそういう点を考えまして、マニトバなどを輸入いたしまして、なるべく家畜の飼料に困らないように努力しておるのでありますが、今度これが一般の工場に参りますと、多分搗精度が強くなりまして、飼料によくまわつて行くようになるのじやないかと私は思つております。
  184. 今井耕

    ○今井委員 なかなかはつきりした答弁が得られぬので、こういう問題はだんだん省略して簡單にしたいと思います。  次に、本年度の土地改良その他の経費を見てみますと、百七億に増額されておる。これは非常にけつこうだと思いますが、これを最も有効に使つて行くのには、これに当られる方に相当努力を願わねばならぬ。ところが従来農林省内部の状況をいろいろ調べてみますと、非常に手が足らぬようです。昨年の行政整理の場合においてもいろいろな問題が起つたらしいのでありますが、これだけたくさんの事業量をやつている。それについて昨年減らしたああいうような人員でほんとうにうまく行くのかどうか。事業分量がふえて、そうしてうんと力を入れる場合においては、やはりある程度人がいるということはやむを得ぬと思う。同時に、いろいろ調べてみると、この事業分量に対する人の割合が建設省あたりは非常にたくさんの人がいる。ところが土地改良の方は仕事が非常に複雑なのに制約されておる。こういうことがあるようでありますが、この点いかがでございますか。
  185. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 ことし予算がふえて事業量がふえたが、農林省の人間が少いじやないかという非常に同情あるお言葉ですが、建設省と比べますとよほど私の方は人が少いのであります。事業量は一人当り非常に多くなつております。しかし農林省は精鋭をすぐつておりますので、必ずこれをこなして参ると思つております。
  186. 今井耕

    ○今井委員 次に、昨日、地方自治庁は、今度行政の簡素化をはかり、農業委員会の公選制を廃止する、そういう方針をきめた。そこで各省のいろいろな話合いでその方向に進めたいというような意向の新聞発表がありましたが、これは地方農村の民主化という上から考えまして非常に大きな問題である。今日ややもすれば民主化に逆行しておるような、感覚が相当ある際に、こういうことをやりますれば、非常に大きな問題になると思います。これに対しまして農林大臣はどういうようなお考えを持つておられるか、この点をお伺いいたします。
  187. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 まだ正式に話がありませんが、私といたしましては、民主化の線に沿うて進めて参りたいと考えております。
  188. 今井耕

    ○今井委員 次に行政機構の改革に伴う問題といたしまして、今地方で非常に大きい問題になつているのは、林野庁を建設省の方へ――今度できる国土省ですか、そこへ移すというので、地方の農村あたりはこぞつてこれに反対をいたしておる。事実森林行政を国土の経営というような面から見るのがよいのか、あるいは農林行政の上から見るのがよいのか、ここには非常に大きな感覚の違いがあると思うのです。われわれいろいろ考えてみると、やはりこれは農林省の管轄においてやるということが妥当である、こう思う一人であります。なおこの問題について、国土省の方へ持つて行くということについて、その裏に好ましからぬところのいろいろな問題が起きておるということを聞いておるのでありますが、そういうことがもしあるなれば、これはたいへんなことであると思う。従つてこの問題について、農林大臣はどういうような確信を持つて臨もうとされるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  189. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農業と、林業というか、森林とを離すという考えは、私の考えにはございません。ただ一つのそういつたような案が出たことは事実でありますが、正式にまだ話し合つておりません。行政管理庁長官とよく話せばわかることだと思つております。決して閣内不統一ではありません。よく相談いたしまして、あなたのみでなく、多分農業に関係のある方はあなたのような考えであろうと思いますので、政府もそういうことは十分了解できると信じております。
  190. 今井耕

    ○今井委員 ほかの各大臣にもいろいろお伺いするように準備しておいたのでありますが、引続いて次の方にやつてもらうことにして、これでやめます。
  191. 塚田十一郎

  192. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私は、吉田内閣の高級官僚がGHQの高級官僚を買収しようとして、しかもそれが失敗して馬脚を現わしたという、恐るべき事件を知りましたので、この際関係者にお尋ねをしたいと思います。その問題は帝国石油に関する問題でありますが、通産大臣と資源庁長官の始関氏にお答えを願いたいと思います。  帝国石油の昨年来の仕事の不始末については、すでに経済安定委員会において、自由党の志田義信君が痛烈にこれを明らかにしているので、ここであらためて私は申し上げません。始関氏はすでに御存じのように、この問題については、GHQの天然資源局長のスケンクからのレポートがあり、あるいは東大の上床教授を首班とするいわゆるコンサーヴエーシヨン委員会の報告もあり、それについて資源庁からも勧告案が二回出ている。ところが、この問題はどういう点に中心があつたかというと、要するに、帝国石油の現重役の方針が非常に放漫であり、なすべからざる石油の採掘方法をしておるがために、日本の石油資源に甚大なる損害を与えておるということであります。現にスケンク氏が正式に公表しましたウイークリー・サンマー三百七号にこういうように書いてある。「しかしながら上記の調査が行われたときにはすでに少からざる損失が生じていたのである。むなしく空中に放散されてしまつた石油ガスの価格だけをとつても、約一億円の損失に達しており、さらに採油量に比較して不当に過大な量のガス噴出を放置したために生じた油層エネルギーの減損の結果、合理的に開発すれば採油できたはずの石油が採収不能となつた分の間接的損失は実に二百万ドルに達する。」このような国家資源に対して重大なる損害を与えておるという措置を帝国石油がやつてつて、これを資源庁が故意か善意か知らないけれども見のがしておつたという事案である。そこで関係方面からも非常に騒がれて、そうしてスケンクの現地調査があり、東大の教授団の現地調査があつて、帝国石油のやつていることがいかぬということになつたのであります。この帝国石油会社の業務運営に関して、資源庁長官はいかに考えておられたか、まず承りたいのであります。
  193. 始關伊平

    始關政府委員 帝国石油は、ただいまお話がございましたように、終戰直後におきましては、生産量がさつぱり上りませんで困つておつたのでございますが、昨年の四月ごろから生産が順次順調になつて参りました。ところが石油資源の特性といたしまして、出るがままに全部掘つてしまいますと、井戸の壽命が短かくなりまして、全体としての採油し得べき量が少くなり、国家的な資源のロスという問題がございます。ただこの問題につきましては、一体採油の調整をどの程度にやつたらいいかという点につきまして、いろいろむずかしい問題がございますので、昨年の八月ごろから東大の上床教授を委員長といたしまする委員会を設けまして、大体採油の調節はこの程度にやつたらよろしいという決定をいたしました。その決定に基きまして、資源庁から帝国石油に、今後採油の調節は大体この程度でやつてもらいたいということを勧告いたしました。大ざつぱに申しまして、月産千二百キロぐらいのものをまず八百五十キロから九百キロ程度に生産をとめまして、これによりまして長い意味での資源開発を万全にやつて行くという処置をとつたわけであります。ただいまお話がございましたように、この基準をどうするかという点につきましては、相当むずかしい点もございましたので、時期的に多少遅れたということは遺憾でございますが、そうおそきに失したということではないのでありまして、採油調節の実施によりまして、油層の悪化状況等も漸次回復いたしておりますので……。     〔「うそをつけ」と呼び、その他発言する者多し〕
  194. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員外発言を禁じます。
  195. 始關伊平

    始關政府委員 根本的に損害を与えたということには……     〔「でたらめだ。」「委員外発言を許す委員長があるか、出しちまえ。」と呼び、その他発言する者多し〕
  196. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員外発言を禁じます。
  197. 始關伊平

    始關政府委員 まだならなかつたのであります。
  198. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 始関資源庁長官お話によると、おそきに失したのは遺憾であると言つておられる。ところがそういうような処置をとつたのは十一月以降の措置でありまして、この問題が起つたのは六月ないし七月であります。世の中の人あるいは新聞関係に――何ゆえ資源庁長官あるいは監督者が、あの帝石の業務運営に対して監督権を発動しないのか、資源庁長官も一昨年ロンドンに行かれたが、おそらくその洋行費か何かが出ているのではないかといううわさすらあつた。何ゆえこのように監督権の発動をおそくしたのでありますか、その点を承りたい。
  199. 始關伊平

    始關政府委員 ただいま帝石の四月以降の計画といたしまして、まつたく野放しの採油計画を実施いたしておつたのではございませんで、ある程度の採油調整はやつておつたと存じます。ただそれ以外に、具体的な標準をどの程度にきめてやるかということにつきまして、いろいろ学問的にもむずかしい点がございますので、ただいま申し上げましたように、委員会の決定に基きましての勧告をいたした次第でございます。なお、ただいまは行政庁の指導勧告でやつておるのでございまして、この点は資源の点から非常に重要な点でございますので、ただいまコンサーヴエーシヨンを確保いたしますための法案を立案いたしまして、衆議院の通産委員会で御審議を願つておるような次第でございます。
  200. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それでは伺いますが、そのころ石油資源開発法という法律があつたはずです。従つてその石油資源開発法の発動によつて、現在の帝国石油首脳部のやつておつた処置に対して、政府としてもつと強制的な措置すらできると思うのでありますが、なぜそれを行わないか。とにかくこのスケンクの報告を読んでみても、一億円ないし二百万ドルに達する損害を国家に与えている。しかもこの帝国石油は七千五百万円の補助金を当時もらつておつた。国民の血税を払つておつた会社がこれだけの放漫なことをやつてつて、それを通産省が黙つておつたというのは、その背後に何かあると思うのは当然である。何ゆえにこの措置を発動しなかつたのか。
  201. 始關伊平

    始關政府委員 政府の勧告がなぜ遅れたかというお話でございますが、七月の下旬から、帝国石油自体といたしましての一つの採油制限の案を立てまして、それによりまして実施をいたしておつたのであります。ただその採油制限の程度、あるいは基準のきめ方が不適当ではなかろうかということがございますので、先ほど申し上げました上庄委員会に付議いたしまして、検討いたして参つたような次第であります。日本政府としての勧告は十月の下旬ごろになつたと存じますが、実際の採油調整の手段は、その時期よりもやや前に行われておつたのでございます。
  202. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の長官のお答えはちよつと違つておる。あの勧告が出てからさらに四十四号井でありましたか、新しい措置をもつてコンクリートで埋めたりその他の措置をやつておる。八月以来帝石でやつて来たこと以外に、さらに大きなガスの漏れるのを防ぐ装置をやつておるわけであります。その間監督者が放任しておつたために、こういうような重大な損失を国家に与えることになつたのであります。そこですでにこういう事実のせんさくは抜きにいたしまして、ひとつお尋ねいたしますが、資源庁長官は山勝工業という会社を御存じでございますか。
  203. 始關伊平

    始關政府委員 名前は聞いております。
  204. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 山勝工業はどういう仕事をやつて、帝石とどういう関係がおありでございますか。
  205. 始關伊平

    始關政府委員 山勝工業につきましては、詳細の点は承知いたしておりませんが、ある種類の商品を帝石に売り、また帝石のスクラップの払下げを受けておるというふうに承知しております。
  206. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 この山勝工業の問題について、自由党の志田委員が昨年の十一月の経済安定委員会でこういうことを言つておる、「しかるにこの会社には山勝工業という会社があつて、これは柏崎にあるそうでありますが、その山勝工業が鉄管、工具類あるいは機械類をくず鉄として買つておる事案がある。一体機械類はくず鉄になるのであるかどうか。」この志田委員の今までの質問をサムアップして申し上げますと、要するに帝石は補助金その他を使つて買い入れた機械類をくず鉄と称してこれを山勝に売つてやつた、山勝はこれを尨大な金で売り飛ばして、その一部の利潤を帝石の幹部に奉納しておつたといううわさがある。そういうことを自由党の志田委員がついておる。そこで志田委員はこういうことをすら言つておるのです。「私は非常に義憤を感ずる。しかも政府が監督しなければならぬ立場において、いろいろな問題が行われておる。帝石は伏魔殿のようになつておるにかかわらず、これに対して何ら行政官庁で監督の責めに任じていないということは、私はきわめて遺憾にたえない。」ということを言つておる、さらにこう言つておる、自由党の人が言つておる。「帝石内のこれらの問題は不日天下に明らかになると私は思つております。私の恐れることは、不日天下に明らかになる前に、行政府の人たちがこれだけの処置をしたということを国民に見せるべきであると思う。それをしなければ皆さんの職責は勤まらない。私は自由党に属しておりますから、できるだけ与党のことにつきましては、あまりことあげすることを欲しませんけれども、私が内々にしてことあげしないとすれば、野党連合の方でことあげしようとする空気がすでに見えておる。そういう政治的な問題にまでなることを私は非常に恐れる。資源庁長官は今までの間にこれに対して何ら監査もしなければ、勧告も跡始末もしていない。そんなことであなたは職責が勤まると思つておられるかどうか。今後あなたは調査の結果、意外なことが出て来た、十分反省を促さなければならぬ事案が出て来たときには、どういう立場で、どういう処分をするつもりなんですか。」と自由党の人すら言うておる。これは自由党の人すら認めておるのであります。野党どころではない。そこでお尋ねいたしますが、帝国石油は四割配当をやつておる。あのような高率配当がなぜできたかというと、それはそのような石油を大量に産出して、その高利潤をもつて配当しておる。その理由は何であるかといえば、一つは帝国石油が国策会社から民間会社になつたので、株主に対するごきげんをとる必要がある。こういうことが一つ言われておる。そのほかに理由があるかどうかは知らないけれども、その帝国石油の今までの重役が国策会社から民間会社になるときに認可して重役にしてもらつておる。その認可したのは資源庁である。通産大臣であります。従つてそういう関係において資源庁長官と実際金の受入れをやつておつた山陽工業と帝石の現在の首脳部との間に微妙な関係があるのではないかということを、この席で志田委員も言うておる。こういう点についてあなたはどういうふうにお考えになりますか。
  207. 始關伊平

    始關政府委員 帝国石油は一昨年の五月だつたと思いますが、純然たる―一―形の上では純然たる民間会社になりました。現在の幹部も株主総会によつて選任せられた幹部でございます。私どもは認可するとかその他人事権というものは一切ございません。
  208. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今はない。今はないけれども、その前はあつた。しかもその間においても石油資源開発法という法律があつたはずだ。政府は帝石の株式の二三%を持つておる。株主権を発動してすらもそういうふらちな首脳部を首にすることは一挙にできるわけである。石油資源開発法によれば、言うことを聞かないやつは処罰することができるという條文すらある。石油資源開発法には、第十條第二項において業務、会計について必要な処分ができるということになつておる。しかも第十三條では、この命令処分に違反したときは処分することも規定しておる。こういう條文があるにもかかわらず、帝石の首脳部に対して断固たる処置をとれないで、六、七月から十一月まで放任しておつたということは、何か理由があるのではありませんか。
  209. 始關伊平

    始關政府委員 六月から十一月ころまで放任しておつたのではないかとおつしやいますが、そうではないのであります。七月の初めに現地の調査をいたしまして、その結果帝石自体の案ができまして実付いたしておつたのでございます。ただその案につきましてそれで十分であるかどうかということを検討いたしておりました。勧告の出ましたのはそれよりやや遅れた次第であります。
  210. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それは言い訳であつて、上庄委員会の報告があつて帝石でやつた仕事と、その前の帝石がいやいやながらやつておつた仕事とは非常な差がある。上庄委員会の勧告を入れて帝石のやつた仕事に対して、スケンク氏はこういうことを言つておる。実は一時的に事態を融和せんとする單なる見せかけのゼスチュアにすぎぬものであつて日本のさらでだに乏しい外貨資金を犠牲にすることを意に介せず、ただ單に短期間の高利潤追求にやつきとなつた結果、会社が直面するに至つた今日の重大な事態を根本的に矯正せんとする真摯な努力の表明とは全然違つたものであつた、と外国人ですらこういうことを言つておる。従つてあなたの言つておることが事実に相違するということは、ここでも証明されておる。そこであなたにお尋ねいたしますが、あなたは吉田半右衞門という人を御存じでありますか。
  211. 始關伊平

    始關政府委員 お答え申し上げますが、帝石の実施しております採油調節の基準は、現在の日本の最高権威者を集めた委員会によつて決定せられたものであります。なお吉田半右衞門君は私の部下でよく知つております。
  212. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 吉田半右衞門を知つておるようでありますが、吉田半右衞門氏は油政課の採油係長をしておつた。ところが驚くべきことには始関氏が吉田半右衞門氏を使つて、GHQの石油の監督者であつたスタック博士を買収に行つたという事実がある。その事実はスタツクが現にスケンク氏に出した報告書に書いてある。私はあなたに読んで上げてもいい、こういうように書いてある。昨年の八月の六日の夕方である。第一ホテルにいるスタツク氏のところに吉田半右衞門氏が尋ねて、始関氏からの話だということでこういう申入れをしておる。それはスタック氏がもうそろそろ国に帰るとか、あるいはGHQをやめるということを聞いて、実は帝石の技術顧問になつてくれないか、そうして給料は月に二十一万六千円やる。二十一万六千円と書いてある。八月六日です。そうして但し次の條件がある。その條件というのは、一つは現在GHQとそれから帝石の間に起つているトラブルを、あなたの力で何とかまとめてもらいたいというのが第一、第二は何かというと、あなたが技術顧問になつた後は完全に帝石の命令に従わなければならぬ、こういう條件付でスタックに申し入れたとスタックがスケンクにレポートを出しておりますが、この事実はどうですか。
  213. 始關伊平

    始關政府委員 スタツク氏と吉田君とは前から友人でございます。今お話のようにGHQをやめられたのであります。非常に長い間日本におられましたし、奥さんも日本人だし、子供もおられるということで、吉田君が友人といたしまして、今後どうされるつもりであるかということを聞いたということは、報告を受けております。二十一万何がしというような数字を私は伺いましたが、これはこちらから言つたのではよくて、スタック氏がこれだけのものがほしいのだということを申されたのであります。
  214. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 スタツク氏がGHQの上官であるスケンクに出した報告には、こう書いてある、翻訳してみると、始関氏は帝国石油の顧問にスタツク氏を就任させるようにあつせんする。そうしてこれは始関の命令で書いてある。そうして二十一万六千円をその報酬にしてやる。但しそれについて次のような條件がある。その條件というのは、現在のGHQと帝石の間をまるめるということと、もう一つは、就職したあとは帝石の命令に従え。それに対してスタックが、それでは技術顧問というものは名目的なものではないかと言つたら、それがその目的だと言つておる。これはGHQの正式の公文書です。どちらが正しいかということは、これはわからぬ。しかしこういう事実に基いて、現在すでに検察庁が発動して、帝石の帳簿書類を自動車二台、四トン押収して、今調査をしておる。これは明らかにそういう関係方面を薬籠中のものにして、帝石の幹部と自分の地位を安定せんとした、そういう陰謀から来ているのじやないかというので、検察庁がすでに発動しておる。またある人がこれを告発しているという事実がある。この資料はうそであるかほんとうであるかは、これは関係方面内部の文書であるから、私は正しいとも正しくないとも言わぬ。しかし少くとも関係方面の者が署名を入れて、正式に上官に報告しているものを、私はうそだとは思い切れない。従つてこれを否定するだけの証拠をあなたはここへ出しなさい。証拠を出せばわれわれは納得しましよう。
  215. 始關伊平

    始關政府委員 ただいまのスタツク氏の文章の中で、私に関することは事実無根であります。
  216. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 事実無根と言葉で言うのはやさしいけれども、証拠を出さなければならぬ。私はこのような証拠を出しておる。検察庁はすでに発動しておる。  しからばその次に伺います。吉田半右衞門氏は病気と称して最近は資源庁に出ておらぬ。資源庁へ出ていない理由は、ほんとうの病気であるか、うその病気であるか、その点はいかがです。
  217. 始關伊平

    始關政府委員 吉田君は肺病でありまして、ほんとうの病気であります。
  218. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それでは次にお尋ねします。資源庁長官は、一昨年ロンドンの世界動力会議出席した。そうしてわれわれが調べた範囲では、昭和二十五年六月二十五日の帝国石油の株主総会において、この吉田半右衞門氏が動力協会からの寄付だと称して、あなたに金をやつているという事実があがつている。これをあなたはいかに思います。
  219. 始關伊平

    始關政府委員 私は政府の命令で、かつ政府の経費でロンドンへ参つたのであります。帝国石油から金をどうこうという事実はまつたくございません。
  220. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 帝国石油から出たかどうかは、これは別だ。とにかく動力協会というところからあなたはお金をもらつた事実はありませんか。
  221. 始關伊平

    始關政府委員 ございません。
  222. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 始関資源庁長官は今ないと言つたけれども、このことはすでに証拠をもつてはつきりしておることであります。今の一声は非常に重大な言葉になります。現に昭和二十五年六月二十五日帝石の株主総会の席上で、吉田半右衞門が動力協会からの金と称して、洋行費の一端を出しておる。これは嚴然たる事実であります。あなたはそれはないとここで言い切つたのでありますから、その言葉に責任を持つことを私はここで確認いたしますが、よろしゆうございますな。  そこで私は通産大臣に承りたい。事態は今のような事態であります。そこでここではつきりしたことは、日本政府の高級官吏がGHQの役人をたぶらかそうとして、このような恐るべき、正式の報告書が出ているような国辱的事件をやつておるということである。吉田内閣は綱紀粛正ということを唯一の建前で出て来た。その綱紀粛正内閣がやつているこのことは何ですか。あなた方の高級官吏がこういうことをやつているから、あなた方の同僚である者が煙突がくすぶつたり何かすることになる。このような事案をあなたの部下がしておつて、いかに責任をおとりになりますか、帝国石油の現状に対して、今の重役に対して、いかなる御処置をとるか、またこれらの役人に対していかなる御処置をとるか、御所見を承りたい。
  223. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 お答えいたします。今御質問の件は、大体私の就任前のことで、よくわかりません。しかし私の部下にかりにあなたの御指摘のような事事があれば、私は嚴重に処分するつもりであります。
  224. 塚田十一郎

    塚田委員長 上林山君より議事進行について発言を求められております。これを許します。(「発言中じやないか。」「あとでやらせろ、」と呼び、その他発言する者多し)上林山君に議事進付の発言を許しました。私語を禁じます。
  225. 上林山榮吉

    ○上林山委員 議事進行について発言をいたします。ただいまの中曽根君と政府当局との質疑を聞いておりますと、当委員会、いわゆる予算関係ある質疑とは考えません。こういうような問題は、別に行政監察委員会もあるのでありますから、そういう方面で十分に審議を盡すべきであつて、当委員会においてはあまりに予算とかけ離れていると思いますから、委員長においてこれ以上の質疑を続けることを中止されるように、おとりはからいを希望いたします。
  226. 塚田十一郎

    塚田委員長 中曽根君に申し上げますが、予算委員会の審議とマッチしないような御質疑である場合には、質疑を継続いたさせません。発言を注意して、予算委員会関係ある質疑を……。
  227. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それでは最後に私は一言申し上げます。前天然資源局長スケンクが正式に天下に声明した文書の中に、ウイークリー・サンマー・レポート、この中にはつきり書いてある。この最後のところで何と言つているか。「日本政府は現在においてもなお帝国石油株式会社の最大の株主であるから、政府は同会社の経営者中の不届きな分子を追放するために積極的に働きかけることによつて国家の石油資源を保護するのみならず、なおまた政府役人の廉潔をも保護する上に必要な手段がとられることを衷心より切望するものである。」と言つております。「政府役人の廉潔をも保護する」とはいかなることを意味するか、私が今資源庁長官と話したことによつて明らかであります。私が申し上げたことは、決してうそでも何でもない。私は責任をもつてこの問題を最後まであなたと争います。問題はすでに検察庁の問題になつてつて、四トンの書類が押収されているようであります。私はそこでこの問題は留保いたしまして、一応質問を打切ります。しかしわれわれの追求の権利を放棄したのではない。
  228. 塚田十一郎

    塚田委員長 庄司委員より議事進行について発言を求められております。この際これを許します。庄司一郎君。
  229. 庄司一郎

    ○庄司委員 委員長は本日の正午本委員会が休憩になりました直後において、本委員会委員である風早君あるいは横田君より、何らかの申入れかあるいはごあいさつ等があられたでありましようか、当初この一点をお伺い申し上げておきます。
  230. 塚田十一郎

    塚田委員長 お答えいたします。何にもございません。
  231. 庄司一郎

    ○庄司委員 本員の議事進行に関する発言は、ただいま委員長の御答弁において基本的な必要性が発生して参つたのであります。     〔発言する者多し〕
  232. 塚田十一郎

    塚田委員長 靜粛に願います。
  233. 庄司一郎

    ○庄司委員 正午休憩の面前における横田委員発言の中には、あらゆる罵詈讒謗、あるいは暴力的暴論が一貫しておる。あるいは人民軍が蜂起した場合、あるいは解放軍が蜂起した場合等、あるいは売国政権云々という言葉をもつて表現されておる。それらの愚劣低級なる演説は、本員過去十六年の間にかようなあくどい、またかようながらの悪い演説は、予算総会においてまだ耳にしたことはありません。委員長もまた、後刻速記録を調査した上において云々と申されたことを耳にしておりますが、しかも同人は何ら反省するところなく、委員長等にもあいさつあるいは申入れがないということをただいま伺つたのである。なお風早委員は暴力的行動をとられました。われわれがこの二つの目で見ておりました範囲において、委員長の壇上に近寄り、委員長としての公務上必要なるところの文書を破棄し、これらの行動は、まさに暴力そのものと表現してよろしいと思うのであります。たとい国会はいかなる言論の自由が絶対に確保されておるとは言いながら、かような暴言、暴力、これは本委員会の神聖を冒涜するものであり、かような悪傾向を馴致して、本院が最も重要なる予算の審議の上において、はなはだもつてその能率を阻害する。私は委員長におかれては、断固国会法の命ずるところ、予算委員会の規定の命ずる範囲内において、委員長としての職権を断固善処せられんことを熱望してやまないものであります。
  234. 塚田十一郎

    塚田委員長 ただいまの庄司委員の議事進行の趣旨は了承いたしました。委員長においてもとくと考慮の上適当の措置をとることといたします。  川島委員より議事進行について発言を求められております。この際これを許します。川島金次君。
  235. 川島金次

    ○川島委員 私はこの際議事進行に関し、委員長に要望を兼ね若干のお尋ねを申し上げたいと存じます。  本日の本委員会の午前、吉田総理出席を求めまして、行政協定に関するところの野党各派代表の質疑を行う旨を申し入れたに対しまして、与党側が委員長を中心とするあつせんによりまして、そのことの実現されたことは、一応われわれといえどもその労を多とするにやぶさかでないのであります。しかるに吉田総理に対する改進党以下野党各派の質問に対し、吉田総理はときに怒声を発するに至り、あるいはまた色をなして、答弁でなく、むしろ野党側の穏健なる質問に対して攻撃的な答弁を行う、あるいはまた野党側の質問に対しみずからの答弁はこれを回避して、あげて他の閣僚答弁をせしめることに終始いたしましたことは、御存じの通りであります。われわれは行政協定内容については本二十七年度予算案の審議に関連して、最も重大なる関心をば国民とともに注いでおるのであります。しかも政府はこの行政協定内容に関しては、本予算の審議の経過に伴つて、逐次明確にするであろうということを国民の前に約束して来たのであります。しかるに予算委員会が開会されまして、もはやここに二十余日を経過いたしておるにかかわらず、この間野党各派のこれに関する質問に対しての政府閣僚答弁は、何ら野党を納得せしめる点なきのみならず、行政協定内容に至りましては、ほとんどとるに足らざるありさまであることは、見のがすことのできぬ事実であります。ことに行政協定内容において、われわれ国民が最も重大関心を持つておりますことは、駐留軍の裁判権などはもちろんでありますが、ことに兵力及びその規模あるいは基地等の問題についてであります。しかもこの問題は明らかに安全保障條約の第三條において行政協定の中において明白にすべき旨が明記されておることは、言うまでもないところであります。しかるにこの重要な問題が今もつて政府より明らかにされておらないのであります。しかも本日の委員会における午前中の総理答弁によつては、ことにただいま申し上げました問題等のごときは、何か国民の知らない間に、端的に申し上げれば、これを秘密協定のうちに具体的な政府間の協定がなされるのでないかというにおいが紛々といたしておるのであります。かりそめにもかくのごとき日本の民族の運命と国民の負担の上に重大な関係あるのみならず、国民権利と義務の上においても、きわめて重大な関連を持つておりますところのこの種の問題が、かりそめにも国民の知らぬ間に協定されるごときことがありますれば、これはきわめて重大な事柄といわなければならぬのでございます。こういう状態でありますから、予算委員会の議事が遅々として進まないという事柄も、政府行政協定に対する明確な責任あるところの答弁がないことに、大なき原因があるということをわれわれは指摘せざるを得ないのであります。従つて委員長はこの際この委員会の終了の前に、少くとも行政協定内容をば、政府をしてこの委員会に明らかにせしむべきところの責任があるとわれわれは感じておりますが、この点について委員長見解をまずお伺いしておきたいのであります。  さらにまた御承知のごとく、本委員会の総括質問に対する野党各派の質問の通告は、まだ数名以上あるという事実であります。さらにまたそのほかに通告のない面におきましても、ことにわが党の西村委員からは質疑の留保がされておることは、委員長御了承の通りであります。この留保質疑者並びに目下委員長の手元に通告され、委員長がこれを採択しようとなされておりますところの質疑者の質疑を、今後完全に行わしめるためには、一応委員長の手元に作成された本委員会の審議期間をもつていたしましては、これを果すことはまつたく不可能であるということをわれわれは指摘しなければならぬのであります。そこで私どもは、委員長において、以上の経過にかんがみまして、総括的本委員会質問の期間を、さらに延長するという配慮をとるの方針を持たれることの必要であることを、われわれは要求いたしたいのでありますが、これに対するところの委員長見解をばこの機会に伺つておきたいのであります。  以上私は、本委員会の今後におけるところの審議の方法について、野党はさらに委員長の審議にできるだけ協力をいたしたいという立場上から、委員長の明快な見解をただしておきたいと思うのであります。
  236. 塚田十一郎

    塚田委員長 委員長よりお答えいたします。行政協定については、政府はその都度、今日の段階において発表できる程度に御発言になつておるものと委員長は了解いたしております。なお今後の許された時間において、御疑問の点は御質疑あらんことを希望いたします。次に西村委員に御質疑の留保せられておることは、私も承知いたしておりましたが、その後川島委員が同じ党を代表して御質疑にお立ちになつて、その残された質疑は盡されておるもの、そういうふうに委員長は了解いたしておるわけであります。なお質疑の期間を延長する意思はないかということでありますが、先日の理事会におきまして、各派の一致した意見によりまして定まつた日以上には延長する意思は今のところございません。  議事を継続いたしたいと思います。横田甚太郎君。     〔「議事進行の動議が出ているぞ」と呼び、その他発言する者あり〕
  237. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田君に発言を許しました。     〔「議事進行に関する発言を成規の手続を経て要求しているじやないか」「成規の手続でやつたものはすべて許さなければならぬ」と呼び、その他発言する者多し〕
  238. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田甚太郎君に発言を許しました。
  239. 横田甚太郎

    ○横田委員 初めは農業問題で、おとなしいことを承ります。農産物の検査、特に米の検査に対しましては、農産物関係法規というものが適用されますか、されませんかということを第一に承りたいのであります。
  240. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 適用されると思います。
  241. 横田甚太郎

    ○横田委員 米を検査する場合に、よりどころとする法規は一体何でございましようか、これをひとつ承りたいのです。
  242. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 お答えします。農産物検査法でございます。
  243. 横田甚太郎

    ○横田委員 農産物検査法第六條第一項による農産物規格規定というのは適用されるのですね。そういたしますと承りたいのですが、水稻のうるち玄米というものに対する規定がございますね。これは大体一等の目方が一升で四百十匁、それから二等で四百五匁、三等で四百匁、四等で三百八十匁、これは大体間違いないのでございましようか。そうして今年の検査に対しまして、これが適用されたのですか。その点を承ります。
  244. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 お答えを申し上げます。農産物検査法に基きますうるち玄米の適用は、今申されました通りでございます。
  245. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、歴年この米の検査が非常に不可解になつて参りまして、昨年三等であつたのが四等になり、その前に二等であつたものが三等になつております。こういうふうになつて行くというのは、農産物検査規格が同じであるにもかかわらず、検査の実績がかわつて来ているのですから、この点に対するお考えは一体どうでしようか。
  246. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 三等米、四等米の規格はかわつておりません。本年は天候等の関係で、昨年より若干四等米が多うございますけれども、規格そのものは昨年とかわりはございません。
  247. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは大体二十一年、二十二年、二十三年、二十四年、二十五年、二十六年と、全部統計をとつているのですが、二十一年に一等米が六五%あつたものが、二十四年から少しもなくなつているのですね。各県においては、一等はあるけれども、パーセンテージにおいて出て来ないほど少い。ところがこの逆に、三、四等米――これは二十一年は等外といつておりましたが、等外が一%であつたものが四五%になつている。昨年のごときは四九%になつている。今年は一体何ぼくらいになつているのでしようか。私がこれを聞きますということは、農村に対してどうしても食糧増産の要あり、つくつてもらわねばならぬ、働いてもらわねばならないから、食糧増産のための農林予算がふえたと廣川さんが政治性を発揮して言つておられるので、予算に重要な関係があるから、まず重要なところから承つたのであります。
  248. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 私の記憶が正しければ、昨年は三等米が四五%、四等米が四九%弱程度でございました。本年はただいまのところ三等米がやはり四五%、四等米が五一%、程度と記憶いたしております。
  249. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、農村において米を出しますところの基準は、一つの法的な規格がありまして、この規格は、農業委員会が検見をやりますね。作報が検見をやりますね。その検見をやります場合には、一反に対しては何貫匁という査定をしておられますか、何石という査定をしておられますか、この点を承りたいのです。
  250. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 よく二千五百五十万石ということを発表しておりますけれども、農村における末端の割当はキロで割当をいたしております。
  251. 横田甚太郎

    ○横田委員 それは少し答弁が飛んでおると思うのです。なぜかと申しますと、立毛の間に検見をいたしますときに、これは何貫匁とか何キロとかいうような査定をされたところのものを、私は日本の農村で見たことがないのです。そのときはこれは反当何石何斗だというように査定されておるのですが、その点におけるお考えはどうですか。
  252. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 検児はそういたしておりますけれども、食糧庁で割当をいたしますときには、検査等級は六十キロ一俵であります。従いまして割当もキロで割当をいたしておる次第でございます。     〔委員長退席上林山委員長代理着席〕
  253. 横田甚太郎

    ○横田委員 時間もないので、この問題は急ぎますが、そこで非常に大事に扱わねばならない日本の民主化の基盤である農村が非常にしぼんで行く。この原因はここにあるのじやなかろうかと思うのです。かりにここで四等米として査定されましたならば、四等米の目方は、一升三百八十匁なんですね。そういたしますと一斗が三貫八百匁なんですから、これは四斗納めますとどうしても十五貫二百匁になるのです。ところがそれをどうしても十六貫、六十キロ納めなくちやならない、こうなつて来ますと、米の少い年、しかも今年のように不可解の――去年の米がよくて、今年の米の検査がきつくなつて、非常に検査規格を嚴重に引下げるようなやり方のもとにおきましては、百姓が一俵供出することに八百匁、ます目にいたしましてこれが二升一合の損になり、金にいたしましてこれは百四十七円六十三銭の損になるのです。これは何の損にもならぬのであるなればよいのですけれども、こういう形でやられますと、今年の供米が二千五百万石あるいは二千六百万石として、そのうちの二千万石が四等に落されたならば、これは命にいたしまして五億三千八百二十四万円余りの金が農村に入るべきやつが、入らなくなるのですね。こういう点における配慮をしておられるか、おられないかということを御答弁願いたい。
  254. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 格差の問題でございますけれども、最近農民の方の価格等の問題につきまして、われわれの方といたしましては、むしろ格差の間の価格差を非常に少くいたしておるのであります。現実に申し上げますと、二等米と三等米、三等米と四等米の価格の開きは六十円ということにいたしております。従いまして、われわれといたしましては、横田さんの申されましたようなことよりも、むしろ農民の方に四等米の方が比較的有利になつておるというように実は考えるのでありまして、むしろ農民の方からいいますと、格差が実態よりはより有利になつておる、こういうように実は存じておる次第であります。
  255. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでありますと、私が聞いて参りましたところの資料は、文字になつておる場合においては、これは食糧庁――あなたのところから出た本からであります。そうして私が聞きました言葉の点は、これは政府機関から聞いたやつですね、私が申しましたところの目方、価格の点において、どこに間違いがあるのですか、これを承りたいのです。
  256. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 買入れは目方でやつておりまして、六十キロは六十キロであります。等級の悪い米はそれだけかさ張るわけでありますが、かさ張る量と目方との関係において、格差の価格の問題であります。価格は本来量でやるよりは幅六十円というように幅が非常に少くなつておりまして、四等米と三等米の開きが六十円程度であります。農民の負担から見ますれば、そう不利な価格差ではない、こういうように実は考えておるのであります。
  257. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは農林大臣に最後に聞いておくのですが――最後というのはこの問題の最後ですが、こういう形において検見が何石何斗でやられておるという事実をお認めになるかならないかということが一点です。こういう形において石で認めておきながら、どるときに重量、目方で、キロでとるということは、非常に検査規格のからくりによつて損になる、こういう事実を認められるか認められないか。もしこれを認められるのであれば、これを追究するのじやないのですから安心して何らか合理的な形にかえられる意思があるかないか、あるとするならば、一体どういうふうな具体策を持つておられるか。この点を承りたい。
  258. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 キロにしろ石にしろ、数量は決してかわらないと思います。東畑政府委員の言う通りだと思います。
  259. 横田甚太郎

    ○横田委員 キロにしろ、石にしろかわらないといいますけれども、そんなことを農村に行つて言つたら、あなたが何ぼ供米行脚に行つておつたつて米は出ませんよ。うそだと思つたら私と一緒に農村に行きましようか。別に共産党の農村に行かなくても、自由党の農村に行つても、この問題は大問題になります。だからあなたに詰問的に、彈劾的に言つているのじやないのでありまして、日本の農村においては、こういう事実があつて、新潟県においてももめ、大阪府においてももめたから、この石で検見をしたところの結果を、これを重量、キロ、あるいは貫でとりましたときには、非常に農民の手元に残る米が少くなると言つておるのです。だからこういうようなことを認めて、何とか手を打たれるところの意思があるかないかということを私は聞いておるのです。これがあるということは、去年私が食糧庁へこのことで交渉に行つたときにも、アメリカの人たちは米の整粒歩合の点とか、水分を含む点において非常にわかりにくい。あなたの言われることはほんとうなんだ、アメリカのやつがわからないからというので、それから三回にも、四回にもわたつて減額補正があつた。減額補正でありますと、農民の出すときには生産者価格であつて、払いもどされる場合については、これは消費者価格になるのですから農民は損をする、こういうようなことは去年にもある。食糧庁においても、安孫子長官時代から認めておるところの弊害ですから、何とか改める意思があるかないかということを聞いておるのです。     〔上林山委員長代理退席、委員長着席〕
  260. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 よく調査いたしまして、悪いところがあれば直します。
  261. 横田甚太郎

    ○横田委員 時間の関係でそのくらいにしておきます。  次に私が伺いたいのは、飛行場のことです。あるいは軍用地のことです。これは予備隊であれアメリカ軍であれ、いろいろなところから土地がとられる。その場合に不可解なことがあるのです。大体軍用地の接収の問題は、いろいろの資料から集めて見ますと、現在開拓地接収地の問題で三十八箇所問題が起つておる。面積にいたしまして一万二千五百町歩である。これの対象戸数は三千戸である。二十七年度の予算においては、こういうふうなものに対してでしよう――これは補正予算を組まれるのかしりませんが、今度の予算では三千万円ほどの予算が組んである。といたしますと、私の計算に間違いなかつたなれば、一戸に対して一万円くらいしか当らないようになるのですね。これが同じ土地をとられた今までの例を見ますと、ただ建設工事の坂上げのために、江戸川工事の場合を例にとりますと、反当十一万七千円もらつておるのですね。それから長野県平岡ダムの場合を例にとりますと、一戸当り百十万円もらつておるのです。これは過ぎし戦争から、ついこの間までのうちにやられた問題ですから、農地を取上げる場合に、何を基準にして――農地を取上げる場合の形といいますと、警察予備隊あいはまたアメリカ駐留軍、こういうような場合に取上げられるときに、何を基準にして大体お金をお払いになるか、三千万円の予算を組まれたこの理論的な根拠、計数上の基礎というものは、一体どこから出ておるのかということを承りたいのです。
  262. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 これは進駐軍関係等におきましては、現地の部隊長の署名等がいりまして、非常にむずかしくなつておるようであります。それからまた予備隊の方においては、これは地方の人たちが誘致するために、地方の県知事あるいはまた町村長等が、農林省の方に何ら話がなく、そういつたようなことがあるようであります。そこで私たちといたしましては、農林省の農地の補償については、すでに先例もいろいろありますので、そういう先例でやらなければならぬのであります。それからまた農地を取り上げる場合には、一旦農林省で買い上げて、それからやらなければならぬのであります。そういうことがありますので、すでに予備隊の方あるいは関係方面にそれぞれ文書を送つて要求をいたしております。
  263. 横田甚太郎

    ○横田委員 その要求しておられる内容をいろいろ聞きたいのです。これは衆議院の農林委員会でわが党の竹村委員が聞いて政府から答弁をいただいたことなんですが、それによりますと、大体日本の今日において、アメリカ軍が使うために、あるいは警察予備隊が使うためにどれだけの土地がいるかわからない。アメリカから新しい兵器が来たならば、この兵器が威力を発揮する範囲内のところは、これは基地として使う、あるいは訓練地として使うのだ。だから非常に困つた問題でありますという政府答弁があつたということを私は間接に承つております。そういたしますと、一体どれくらいの土地がいるかしれませんし、それで私が特に当面しておりますのは、兵庫県の伊丹です。あそこはアメリカの人たちが来て、かつてに秋の刈入れのときにじやまになるのにくいを打ちます。そうして出ろ出ろと言うのですが、しかし農民はそれでも出ないと言うのです。そうするとアメリカの人たちは、どこで金を出すのか、この村を一つ、二つ、三つ買うてしまうと言うのです。買つて日本人の村をよそへやつてしまうと言うのです。日本行政協定があり、アメリカと仲よくしなければならぬという政治家が多くても、日本の土地までどこでもよりどりでアメリカ人のためにとるということはできないと思う。こういう意味合いにおいて私の聞きたいのは――二つ、三つを重ねて質問いたしますと、いつも政府側は答弁いたしませんから、土地を取上げられる場合の基準になるところの農地代命は、どれくらいになるかということを聞かしてもらいたいということが一つ。そうしてその場合に不服であつたならば、農民はいかなる態度をとつたらいいのかということを承りたいのです。
  264. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 この農地のことについて、どういうようにしたかということですが、文書で先ほど申し上げたような内容予備隊並びに関係方面に知らしてあるわけであります。基準と申しますが、この基準については、こまかいことは政府委員から答弁いたさせますが、ただ誘致運動をやるとか、いろいろなことで無断でやられることは困るということです。そうしてまた入植者に対して――入植者はほとんど無一文で入つておるのでありまして、他に土地を求めるのに非常に困難をいたしておりますので、注意を喚起いたしておるのでありますが、今まではやはり泣き寝入りというような点もあつたようであります。今後はつきりしたい、こう考えております。
  265. 横田甚太郎

    ○横田委員 この問題はこの一問で締めくくります。伺いたいのは、廣川農林大臣は、個人のことを言うのじやないのですが、非常に豪放磊落でおもしろいところがある。おもしろいところが言葉に出たとき、これが廣川放言になる。そこで喜ぶ人もあり、困る人もある。これが問題になる、なぜかといいますと、この土地の問題は、農林委員会で御存じのように、土地はなるたけとられないようにということを決議いたしました。自由党の人たちもこれには賛成だつた。もちろんこういうことに対しては、廣川氏も喜ばれた。そこでそのようにする。しかし大橋さんの方で非常に土地がいるらしい。その場合に大橋さんに話をして、そんなむちやなことは困る。しないようにしてくれ、こういうように言われたのです。あなたが参加しておるところの吉田さんの政権のもとにおきましては、どうしても土地を取上げざるを得ない。安保政権だ。きようの新聞で見ますと、土地収用法を改正してでもこの問題の解決をつけなければならない、こういうことになつておる。そういたしますと、あなたの政府の性格から、あなたが言われましたようなことは言えない性質のものであると思う。それをぬけぬけと言うところに、廣川さんの人なつかしさがあり、また廣川放言らしいところがある。こういうところをどうしたら政治的に言行一致ではつきり責任をとれるように活動していただけるか、どういうふうな方針をとつて日本の農村に臨んでおられますか。これを中心にいたしまして農地問題の質問を終ります。
  266. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 先ほども申しました通り、成規の手続をもつてやれということを通達いたしておるのでありまして、そのようにいたしたいと思います。それから農地でなく原野等を使つてもらうように、なおさらこれを強くつけ加えておるわけであります。
  267. 横田甚太郎

    ○横田委員 次は農民の供出義務の問題のことについて伺いたい。この問題は与党野党という立場を離れまして、日本の農村の現状から割出し、食糧政策を加味してはつきりとお答えを願いたい。私のわからないのは、占領下七年という政治経済の行き方が、戦時中の供出の時代とは、いわゆる供米精神というものの内容が非常にあいまいになつて来ておる。だから今日農民の供米の義務がどういうふうにしてあり、その意義は一体何とお考えになつていらつしやるのかということを承りたい。
  268. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 むずかしい法律はまた政府委員から言つてもらいますが、日本の食生活をまかなつて行く上において、米はどうしても出してもらわなければなりません。決して無理なことをしておらないのであります。前のように事前割当をやつておるのではなしに、事後割当で、しかも超過供出等は、これは勧奨してできるだけ協力してもらいたいということでやつておるわけであります。
  269. 横田甚太郎

    ○横田委員 米を出してもらわなければならないということはわかるのです。日本の農民で米を出さないような農民はないのです。農民は人に食つてもらうために物をつくつておるのだから、物の値段さえ合うならば出すのです。あなたたちが番をして警察がうんと張り込んでおられても、やみの形でいくらでも出す場合があるのです。出せ、出ないの問題は別問題といたしまして、この供出制度は、あなたは無理をしておらないと言われますけれども、あなたが無理をしておらないと言われる内容は、形だけでは事前割当をしておらない、強制割当をしておらない、強奪はしておらない、こういうふうに言うのですが、最後の一句はややこしい。私の言いたいのは、供米制度それ自体の形の上に無理がなくても、価格の面において無理があるのではないか、価格の面において解決がつけ得ない日本の町の人たちの低賃金があるために、供米制度を続けておられるのではないかと思うのですが、その点におけるお考えはどうですか。
  270. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農村から供米をしてもらう上において、価格の重要なことはわかります。前にも質問がありましたが、価格も無理のないようにいたしたいと思いまして、いろいろ検討して、現在農業関係の資料を基礎としてやつておるようなわけでありまして、決して私どもは無理に押えようとは思つておりません。
  271. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますとパリテイ計算、パリテイ算出というような問題になるのですが、このパリテイの基礎になるところのものは昭和九年、十年、十一年の三箇年が基準でありまして、米の値段は一石二十七円十六銭であつた。これの延長がすなわち供出である。そういたしますと、これを裏返しにしてみますと、昭和九年――十一年の二十七円十六銭時代の農村の実情というものは一体どんなものであつたとお考えになるか、このことを承りたい。
  272. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 比較的農家と商工方面とバランスがとれておつたときだと思つております。
  273. 横田甚太郎

    ○横田委員 それは実にお気の毒なおそまつな御答弁なんです。なぜかと申しますと、日本に参りました占領軍の目的は、天皇制の侵略的な意図は日本の農村にあつて、この農村をどうしてもやりかえねばならない。その基礎として非常に土地の持ち方の形が悪い。あまりむずかしいことを言いますと、農林大臣はとぼけてしまいますから略して申しますが、とにかく日本の農村で農民がつくつて手元に残るものが少い、かつてにできるものが少い。そういうふうなからくりの中において、農民は売るときに非常に商業資本に支配されて損をしておる。昭和九年、十年あるいは十一年時代の日本の農村の状態にしては再び日本が鉄砲を持つて海外に飛び出して来るのではなかろうか、それでは困るというので、それを徹底的にやりかえるための農地解放であり、その農地解放によつて日本の農村の生産が上らない、その上らない点を改良するために、農業協同組合にいろいろの仕事を仰せつかつたのではないでしようか、その点に対するお考えは一体どうなんです。
  274. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 それはあなたの御見解だと思います。
  275. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、昭和九―十一年時代のような日本の農村を再現しようとは思つておられないのですね。廣川さんの前の答弁によりますと、昭和九―十一年は模範的とは言われなかつたが、その農村へのコースを直進してもいいのだ、私はこう聞いたのです。それでもし昭和九―十一年と同じ形の農村が日本でできるような條件があるのであれば、その原因は一体どこにあるとお思いになりますか。
  276. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農村と商工業を中心にする都市とがバランスがとれて行くような目標でやりたいと思います。
  277. 横田甚太郎

    ○横田委員 非常に口悪うなりますが、お住持さんのお説教を聞いておるようでわからぬですけれども、問題は日本の町の人たちが働いているのは、アメリカから来るところの原料を加工して、アメリカが支配するところの地域に売るためである。従つてアメリカのもうけのためにわずかに許されたわけ前を日本がもらつて、一部少数者を利する加工貿易のために、町の人たちは働かされている。だから十二分に日本の農村における生産費を償うところの米価を払うためには、原料を持つて来て加工させる主体であるどころの日本の占領下の政権が責任を負わねばならないと私は思うのです。そうであるにもかかわらずその逆をやつて、町の人の給料が安いからそれから割出して米価をきめるというようなところに、生産費を中心にした米の値段のきめ方ができないのではないでしようか。このことをうんと聞きたいのですが、時間の都合でこれは省略しておきますから、簡単に答弁だけをとぼけずにしていただきたい。
  278. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 米の価格をきめる場合に、実は生産費で試算してやつたことがあるのでありますが、生産費は日本国中千差万別でありまして、これはなかなか一つにまとめるわけに行かぬのであります。その中間をとつてやつたときの数字は、ほぼパリテイ指数でやつたのと同様の指数が出たのであります。
  279. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、日本の農村もこれで引合うところの米の値段だと思い、町の人も食えるような米の値段にするためには、日本の農村のどこをどういうふうに改良したらいいとお思いですか。
  280. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農村の再生産ができ得るような価格にしたいということが、われわれの年来の眼目であります。またこの再生産をするために高くしたいことは事実でありますが、一面消費者の方のことも考えなければなりませんので、そこで政府といたしましては、一に国家の資本を入れて農村をゆたかにするように努力いたしております。
  281. 横田甚太郎

    ○横田委員 時間の都合で簡單に農林大臣に希望を述べておいて次の質問に移ります。大体日本の農村におきましては物をつくれと言うておだてられる。ことしもそれが予算に出ておる。これは食糧増産対策費といたしまして、二十六年に三百八億七千四百三十五万八千円組まれ、二十七年には四百二億六千五百七十七万三千円組まれて、結局九十三億九千百四十一万五千円の増になつておる。こういう形で農村には金が出ておりますけれども、日本の農村でこの金を借りて畜産をふやし、あるいは米をつくり、あるいは野菜をつくり、増産すれば増産するほど結局農産物の価格が下つてしまつて百姓は困る、こういう現状はつきりとお認めになつて、よろしく対策を講じていただきたい。これを希望しておきます。  次に私は引揚げ問題について吉田外務大臣を要求しておるのですが、おらないのはどうしたのですか。
  282. 塚田十一郎

    塚田委員長 今ちよつと渉外要務で出ております。ほどなく帰つて参りますからあとまわしにしてください。
  283. 横田甚太郎

    ○横田委員 大橋さんはどうしたのです。
  284. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田君御要求の大臣の大蔵、法務、厚生の三人がおられますから、それらの大臣に対する質疑をしてください。
  285. 横田甚太郎

    ○横田委員 警察予備隊のことについては大橋さんがおられないと答弁しにくいのではないですか。
  286. 塚田十一郎

    塚田委員長 もし質疑をされてぐあいが悪ければ、見えたときにお願いします。
  287. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは伺います。これは法務総裁に伺いまして、法務総裁の係でないところは大橋さんに御答弁願います。  大体占領下日本吉田政府は偏狭である、日本政府を指導するところのアメリカの占領当局は実に偏見である。これはマツカーサーの解任で、よく現われていると思う。ここに問題がある。はつきりと申しますと、今度の平和回復に伴う予算二千三十三億の問題は、これは共産党と自由党とがどこに見解の相違があつて、何を中心に何をしようとして争つておるかというところの論議を、この国会で十二分にやらなければならないと私は思う。だから共産党の意見こそは総理大臣は十分に聞いて、政府は参考にしなくてはならぬ。またわれわれも政府の言うところを十二分に聞いて、日本の改革、日本の民主化のためにはこんなに人殺し費用をたくさん組まなくてもいいじやないか、こんな資料が十分に得られると思うのです。ところがそれをせずに一から十まで共産党を彈圧して来る、国会では答弁をしない、こうなつて来ますと、私たちは非常に疑問に思うのです。なぜかと申しますと、いかにわが党に追放者がありましても、その追放の形については私たちは非常に納得し得ないものがある。追放というものは戦争に協力した人たちがやらるべきであるにもかかわらず、戰争中に反対し抜いたわが党の人たちがどんどん戦後追放せられてしまう。こういうことをやつておりますがために、町におきましては、この間も質問しましたように、非常に違つた形が出ておる。今の政治家はだめなんだ、追放された大物が出て来ないか、出て来たところの大物は戰前は米英撃つべしということで追放きれた人であるにもかかわらず、それが変節いたしまして、今では米英にこびた形において日本の政治にまた台頭して来ておる。政治家で節を守らない者は唾棄すべき存在である。私のごときあるいは共産党のごときはいろいろな非難がありますけれども、節を屈ぜずに、天皇制の獄舎につながれても、終始一貫して天皇制の打倒と戦争反対のために闘い抜いた節を買われておるのであります。でありますから共産党の主張を十分聞かれてあなたが答えられる、それを私は望みます。  ここで聞きたいのは「米国戦争史」という本がありますが、これは独立戦争時代のことが書かれております。これは共産党の書物でもない。なおこれでいけなかつたら国会図書館の立法考査局から一つの資料をいただいております。これでアメリカ独立戦争当時のことを想起していただきたいのです。アメリカ独立当時の国情日本国情にはいろいろの相違性はあるけれども、やや似たるところがあり、私たちは反省しなければならないのではなかろうかということを考えていただきたいのです。ここにこんなことが出ております。「元来が海賊民族の末裔であり、わけても国家のうち外にはみ出された大部分はならず者のなれの果てであるアメリカ移住民の多くは、船で行ける限りの港々へ出向いては、びた一セントも払わぬ密貿易に従事していた。」これがアメリカ人のかつての先租の姿であります。「せつかく一世紀半も、国家というものの苛斂誅求からのがれて、蒼空と大海原に、のうのうと暮しているところへ、のがれたはずの苛斂誅求が、大西洋を越してまで追いかけて来ようとは思われなかつた。そこにしばしばもんちやくが起り、税官吏や水兵との乱闘さえあつた。グレンヴイルは、すかさず第二の手を打つた。彼は、鑑定したはずのフランス軍の残党とインデアンとがしめし合せて、近くまたアメリカ植民地を襲撃するおそれがあるので、あらためてアメリカに一万の常備軍を配置する、それについては、軍設置の費用の一部は、植民地の負担たるべく、軍隊のための営舎その他の設備も移在民側から提供すべきであるという法案を出して、苦もなく議会を通過させてしまつた。」これはちようど安全保障條約を前にいたしまして、われわれに突きつけられたところの金を、今のアメリカ人の先租たちが受けたときには、あなたたちの政権のようにすなおに受けなかつた姿を書いているのだと私は思うのであります。その口実はフランス軍とインデアンであつたのであります。今の場合はこれが形をかえてソ連軍と中共軍ということになつております。「軍隊の攻撃目標は、フランス軍でもインデアンでもないことは、イギリス側にも、それが派遣される植民地にもよくわかつていた。」日本吉田政府侵略がソ連ではないんだ、中共ではないんだということはよくわかつているのであります。しかしそれに対して、「グレンヴイルは、それにもあきたらず、一七六五年に、もう一つの法令を発布した。」それが有名な印紙條例であつたのであります。次の「有形無形に、ここまで圧迫すれば、不逞のアメリカ移住民といえども、幾らか金を吐き出すだろうとグレンヴイルは考えた。」これが防衛分担の問題について、日本の今度の議会で組まれたのは二千億余ということがいわれておりますが、アメリカ報道を見ますと、これは違うのであつて、三千億だといつております。だからおそらく間もなく追加する予算が組まれまして、われわれから多くの人殺しをする費用をとるために言つて来るだろうと思います。これ以上申しますとまた自由党が非常に激昂しますから、この辺で「有形無形に、ここまで圧迫すれば、不逞のアメリカ移住民といえども、幾らか金を吐き出すだろうとグレンヴイルは考えた。だが、彼は自分の書いた芝居が、喜劇とも悲劇とも、はつきり定まらぬうちに、まず自分の公人生活に幕をおろさねばならなかつた。」こういうような人になられないように私はあなたたちにお願いします。「翌年三月に、ウエストミンスターの議事堂の天井が突き抜けるほどの議論となつて、印紙條例が政府によつて撤回されるまでには、一年間の輿論の沸騰があつた。」「法案が議会を通過しそうだとなると、」ここで考えていただきたい。私と風早氏が懲罰動議とか、それに類するばかなことがやられるといわれておりますが、そんな肝玉の小さいことで、外国軍隊日本に来ている姿に対して、日本の国権を守ることがどうしてできるか。「マサチユウセツツ州を中心に、猛烈な反対運動が起つて請願書が山をなして王室へ送られた。印紙條例が法律になつてしまうと、しばらく無気味な沈黙がそこにただよつた。すると、開会中のヴアージニアの州議会で、議員パトリツク・ヘンリイーは突然こう叫び出した。シーザーにブルタスあり、チヤールズ一世にクロンウエルがありました。ジヨージ三世には……。」と言つたときに議会の議長は何と言つたでしよう、彼は日本の人たちと同じようなことを言いかけたのであります。「こう言いかけると、議長は、叛逆罪ですぞ――叛逆罪」と恥知らずの……。
  288. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田君に御注意申し上げますが、質疑要点を述べてください。
  289. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたたちが尊敬しておかないところのアメリカの租先たちはこれに対してどう言つたでしよう。「ヘンリーはひるまず、演説のあとをつづけた――よろしく歴史上の例にかんがみるところがあつてしかるべきでありましよう。そして、かく申すことが叛逆罪に該当するのでありましたなら、それもやむを得ないところであります。巡礼の父の租地マサチユウセツツ州では、印紙販売官吏の名簿が発表されると、暴徒はその邸宅を襲撃して、窓ガラスを破壊し、官吏の辞表を提出させた。軍隊出動して、印紙を強制的に買わせる段になると、だれ一人それを買う者はなかつた。それからイギリス製物品の不買運動が起つて、平年の貿易は半分方がた落ちになり、そのためにイギリスの工場ではおびただしい失業者が町へほうり出された。」こうなつておるのです。これは今の日本の姿です。あなたたちが尊ばれるところのアメリカはかような法の圧迫に対して、法をかえねばならない、人間の生きる道をきめねばならない。多くの形において奮闘したからあなたたちに命令できるアメリカができたのであります。ここにいわれておるところの暴徒とは、今の日本安全保障條約に対しまして、これはいけないといつて日本の権益を守つておる人たちの姿だと思うのですが、その点に対する法務総裁のお考えは一体どうなんですか。
  290. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 いろいろ御意見を承りましたが、アメリカ独立の事情とただいまの日本の事情とは多少違うと私は考えておるのであります。御意見は御意見として十分に承ります。
  291. 横田甚太郎

    ○横田委員 そこで問題の日米安全保障條約、それの要求するところの日本人の働く力と、そして兵器をこしらえる設備と、そしてアメリカのために血を流す国体、この三つを要求している、その具体的な現われとしての警察予備隊が問題になつて来るのであります。大体この警察予備隊が、ジェット戦闘機がないから、原爆がないから、これは軍隊でないという見解をとられ、二千億やそこらのものでこれが軍備にならぬというような見解をとられるのは、それは非常に感情的にも根本的にも不快な言葉でありますが、事実を告白した言葉であると見られる。今日近代戰におきましては、兵隊をつくるに二年、下士官をつくるに三年、将校をつくるに十年かかるといわれておるのであります。ついこの間までの失業者より集めましたところのこの警察予備隊が、十二分に軍事的に働けるようになつておらないだろうと思うのです。そこで私は簡單に事務的な質問をこれから始めるのですが、吉田政府アメリカから要請されました、いわゆる直接侵略と間接侵略というものに対して十二分に働くような條件を、この警察予備隊は整えたとあなたは思われますか、思われないですか。
  292. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 警察予備隊は、御承知の通り日本治安確保のために設けられたものであります。この実体というものはまだ明らかになつておりませんが、私の知る範囲におきましては、決して戦争を遂行するようた能力はないと考えます。
  293. 横田甚太郎

    ○横田委員 治安の確保と申しましても、これは階級戦の形をとるだろうと思うのです。この形をはつきりしないと、あなたとの論争が無益になる。そこでこの階級戦という形において、午前中には人民軍という名前を使つて非常に自由党の人たちから文句を言われましたが、はつきりとここで答弁の要領をお尋ねしたいのですが、結局治安を乱したときに警察予備隊が向つて行くところの対象をどういうふうに呼んだらよいかということが一つ。その軍隊がぽかんと出たときに、その人民の集団が出たときに、この警察予備隊が戦うに十分整つておらない條件とか、あるいは精神的なよりどころで不備な点は、一体どういうようなものだとお思いになりますか。
  294. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 警察予備隊の精神的訓練は、それだから必要だろうと考えております。
  295. 横田甚太郎

    ○横田委員 その精神的訓練は、一体何ですか。議会答弁によりますと、ヒユーマニズムによつて鉄砲を持たして、人殺しの練習をさせるといいますが、私帰つてどの辞書を引きましても、ヒユーマニズムで武装して、人を殺すというようなヒユーマニズムの扱い方をしたものはないのですが、その精神は一体どこにあるのでしようか。
  296. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 国民の安全、健全なる生活を保護するということであります。
  297. 横田甚太郎

    ○横田委員 国民の安全、健全なる生活を保護することだ、そういうことがよくも言われますね。日本憲法を守つておらない人たちはあなた方でしよう。例をとつて言いますと、飯田七三君がスパイ事件だといつてやられておりますが、しかし私たちから見ましたときに、日米行政協定という形において秘密に会合して、予算委員会でこんなにもめても、内容を知らさずに、日本の国をアメリカ化そうとしておる、アメリカに売ろうとしておる、スパイはむしろあなたたちではなかろうかという、こういうふうなものが憎悪になつて参りますと、あなたたちのすきな警察予備隊がすなわち私たちに向つて来るのではなかろうかというので、私は聞くのです。この警察予備隊がわれわれに向つて来た場合に、この警察予備隊に入れといつてわれわれがつかまえられるほど悪いことをした覚えはないのですから、警察予備隊の諸君に対しまして、憲法を守つている者はわれわれであつて政府こそ違憲の巣窟である。汚職事件は実に多くあるじやないか、これは池田大蔵大臣さえが非常に気に病んでおるにもかかわらず、きようその問題を議会で中曽根君が質問した場合におきまして、一体与党の人はどんな態度をとつただろうか、こういうよう点からいろいろ現われて来ます。特に大橋さんは、あの人は治安軍の大将でありながら、親分でありながら、しかもこの人は二重煙突でぶすぶす煙を出しておる。こういうことでは困る。こういうようなことを考えて、いわゆる憲法を守るということは、逆に日本の人民たちが言つておる方が経済的裏づけを持つた憲法の守り方であつて政府の言つておるのは、ただ文字に書かれたところの、何といいますか、最低の文化的な生活を保障するということを言つてつて、しかも日本の町々には一週間御飯も食えずにおる者がおるのに、大きなデコレーシヨン・ケーキが銀座に出ておる。だからこれをけ飛ばして刑務所に入ることを志望した男がある。これが大体実情ではなかろうかと考えて、警察予備隊の人たちが憲法を守ることについて非常に疑いを持つたときに、午前中に言うて答弁を得ませんでしたが、憲法第十九條によりますところの「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」というところの規定によつて、今までの政府との契約を解約できるのでしようかできないのでしようか、その点は一体どうなんですか。
  298. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 警察予備隊の人たちは、自分の意思によつて入隊したのでありますから、今度また保安隊ができまして入隊するときも決して強制じやありません。本人の意思によつて入るというふうに了承いたします。
  299. 横田甚太郎

    ○横田委員 自由意思によつて入ることを聞いているんじやない。自由意思によつて入りました人たちが憲法を守つておると思つておつた、ところがやつておる役割は、一箇月四千五百円の金をもろうて二年たつたら六万円やるぞと言われたところの職務規定であつて作業内容であつた。ところが驚いたことには武器を持つて敵の前にほうり出されておのれの人生一巻を終ろうとしておる。これでは政府に対しまして四千五百円と六万円では働けませんというところの経済的煩悶が生じましたときに、その人はその隊から憲法第十九條の規定によつて、自己の判断において行動をとることができるのでしようか、できないのでしようかということを開いておるのです。
  300. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは警察予備隊員が、自由意思によりましてその隊長に申し出て、あるいはその間の事情によりましては解除することになるかもしれません。
  301. 横田甚太郎

    ○横田委員 法務総裁警察予備隊の宣誓内容をよく御存じなんでしようか、御存じないのでしようか。御存じならば一ぺん発表していただきたいと思う。私は手元に持つておりますが、どうもあんたは、警察予備隊員と、日本のだれもが悩んでおるところの警察予備隊の最後の働き場であり、そうして最後に身を捨ててここで自分の階級的立場と生命がはつきりときまるところのポイントについてつかんでおられないと思う。だから警察予備隊の宣誓を御存じであるかどうか、御存じないとするならば、これを読んで発表してくださいまして後に答弁していただきたい、こう思うのです。
  302. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 予備隊のことにつきましては、所管大臣に十分にお聞きください。
  303. 横田甚太郎

    ○横田委員 警察予備隊にありますところの宣誓は、やがてあんたの方の所管の中において統轄されねばならない、監督されなければならない内容の法であるということについてのお考えはどうでしようか。
  304. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 警察予備隊は私の監督外であります。また私の監督内に入るという今構想も何も持つておりません。
  305. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、警察予備隊でかつてに旧陸軍刑法のようなものをこしらえるときも、あんたは知らぬと言われるのでしようか。なぜこんなことを聞くかといいますと、日本の軍部の過去を考えていただきたいのです。軍部には個人的には悪い人もおつたが、大体においては悪いとかよいとかの問題は別であります。日本の軍部がかつて日本の農村を憂えて海外に出て行つたときの姿と、海外において堕落したときの姿とは非常にかわつておるのです。こんなことがはつきりわからないからあんたは追放の上に眠つておつた人と言うのです。そこで私は聞くのです。陸軍刑法のようなもの、海軍刑法のようなものを持つた場合に、あんたはどうされますか。だから警察予備隊の宣誓内容なんかも知つておられるのがあたりまえじやないですか。
  306. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私の知る範囲におきまして、昔の陸軍刑法だとか、海軍刑法とかいうものを作成する意思は、政府に毛頭ないと言つております。
  307. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、警察予備隊ということを聞きますと、大橋さんがおられないと言われますが、警察予備隊にも個々人の人命が集まつておることはよくお認めですね。そこで承るのです。警察予備隊員は、今日の比較的治安の乱れない形においては個人です。月給取りであります。そうしてアメリカ軍が強兵の基礎としてやつていますものに、大体よいものを着せる、よい食事を与える、よい給料を与えるというのがアメリカ式の強兵だと言われております。しかしよい給料とも言えないし、よい食事とも言えない、ただ服だけがややアメリカ的でいいように見えるんじやなかろうか、こう思うのですね。だからこの人たちが今の形において不平がないか、警察予備隊員が個人として非常に悲壯な覚悟をしなくちやならない作業に、ぶつつからなければならない人であるということを認められるか認められないか、どうですか。
  308. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 予備隊員として十分なる活動をする以上は、相当な覚悟もいるし、また相当な労務に服さなければならないということは当然であると私は考えます。
  309. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは十分に御考慮を煩わさねばならないのです。昔こんな言葉があつたですね。身を鴻毛の軽きに比しだとか、滅私奉公、一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼するとか、天皇のために死ぬことを無上の光栄と思つておつたところの日本軍隊、これが中国でつぶれた、日本で壊滅した。ここははつきり御記憶願いたい。靖国の宮に入つても、今日においてはお燈明代ももらえない、これがはつきり出ているのです。出征した人が、ゆつくりあの地におつてつて来ると、妻が自分の弟と結婚しておる。こんなですから今度もしまごまごしてこの警察予備隊なるものがちよかちよかした形で戦争しますと、けんかしますと、国内で問題を起しますと、朝鮮の二の舞いになるんじやなかろうか、小次郎と武藏が立会いしますように、巖流島で二人だけで果し合いをするならよいが、非常に判断の鈍いところの安保政権の人たちが、ついアメリカの人に引きずられて、ずるずると行動をとつたら一体どうなるか、これはいろいろの形で現われておるんじやないか、日本から出ている爆彈を積んだB二九は、満州に行つたらしまいになるんじやないですか、だから私は聞くのです。警察予備隊員は非常に思案をしなくてはならない精神的な一瞬間に遭遇するというのです。そのときに問題になりますから、まずそういうようなことがあるかないかということをはつきり聞きたいのです。
  310. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 警察予備隊は決して戦争するためにつくつたものじやありません。われわれも戦争は大きらいであります。ただ内地の治安確保のためにやむを得ざるものとして警察予備隊はつくられたものと考えております。繰返して申します、戰争目的のために決してつくつたものじやありません。
  311. 横田甚太郎

    ○横田委員 それじや治安の恐怖、治安の乱れ、日本国内が危うい、間接侵略、直接侵略どろぼうが外からねらつておる、こういうふうなことは一つの想像なのですが、もしこれが想像であり、思い過ぎであると言われるならば、あんたは私にじやなしに、ダレスさんに首を切られます。その点のお考えはどうなんですか。
  312. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 日本は、国際情勢にかんがみて、あらゆる観点から考慮して、かような国家治安を確保すべき予備隊をつくつたのであります。
  313. 横田甚太郎

    ○横田委員 私がなぜこんなことを申しますかといいますと、この警察予備隊は、どのくらい言を左右にあんたがお逃げになりましても、最後のせつなには命のやりとりをしなければならぬのです。そういう覚悟であんたたちは訓練しておられる。そのときに何があつたですか。法律に出て来ますところのいろいろのこと考えますと、日本においては、実に残虐なるところの、何といいますか、陸軍刑法があつたですね。これによりますと、叛乱の罪、擅権の罪、辱職の罪、あるいはまた抗命の罪、あるいは逃亡の罪、この逃亡の罪のごときは、旧陸軍刑法の七十五條でありまして、「故ナク職役ヲ離レ又ハ職役ニ就カサル者ハ左ノ区別ニ従テ処断ス」、あるいは「敵ニ奔リタル者ハ死刑又ハ無期ノ懲役若ハ禁錮ニ処ス」という残忍無極なことが七十七条に書かれている。あなたのすきなアメリカ軍におきましても、敵前における不当な行為といたしまして、逃亡する将校または兵隊は死刑に処するか、または軍事裁判所が定めるその他の刑罰に処するということになつておるのであります。だからこういうふうな裏づけがない限りにおいて、警察予備隊は働けないのです。仕事ができない。これを私は言うのです。警察予備隊の宣誓書の中にこの句が出て来るのです、私は警察予備隊の警察官に任命せられたことを光栄とし、任命期間中はみだりに退職することもなく、誠実にその職務を遂行することを嚴粛に誓約しますと書いてあるのですが、この場合に退職できるのは、前項の場合警察官は、その家族の居住地を管轄する市区町村長から、その者が退職しなければ家族の保護または扶養ができない旨、またはその他やむを得ない家族の事情がある旨の証明書の交付を受けて、これを任命権者に提出しなければならないというのです。だからこの條件がそろつたなれば、このみだりにという言葉は消えて、敵前においても退職できるという法的解釈をおとりになるかどうかということを私はお伺いするのです。それともまた、このときには敵に走りたる者は死刑に処すということなんですか。どちらなんですか。
  314. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 先刻も申し上げた通り、私は政府として旧陸軍刑法とか旧海軍刑法とかいうような法律を設ける意思はないと言つておるのであります。またこの宣誓書は本人の自由意思に基いてやられたもので、何ら強制されたものではありません。
  315. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田君に申し上げます。岡崎国務大臣も見えられましたから、お持ち時間のうちに質疑を終られるようにお願いします。
  316. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではもう一言だけ聞いておきます。このみだりにということだけをはつきり解釈を願いたいのです。少し追い込みたかつたのですけれども、どうも逃げたらしいのですが……。このみだりにという意味を法律的に見ますと、軽犯罪法の第一條第七号の「みだりに船又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為」のみだりにも当らぬらしいのです。二十号のみだりにも当らない。二十七号の公共の利益に反して鳥の死んだものやそんなものを捨ててはいかぬというのにも当らない。みだりに人の家屋に入つてはいかぬというのにも当らぬ。だからこのみだりにということは非常に含みのある言葉であり、これを根拠といたしまして、警察予備隊に集まつて白木の箱に入れといわれている人たちの命がはつきりと助かるのです。それと同時にこのことは、あなたが想定されますところの国内戰の形――戰といいましても、答弁戰争と逃げたらだめですよ。この場合は、国内戰の巨頭であるところの中国の毛澤東はどう言つているのでしようか。一番初めにできた人民の軍隊は、うしろに兵器廠を持つておらないのが特徴だ、敵の彈圧の中において、この弾圧をはね飛ばさなければ、人民の権益は守れないという。前線で戰うことが兵器廠であり、兵器の獲得であり、人民の中に加わることである。戰闘に訓練された人たちが目ざめてわれわれの軍隊に入る。こう言つているのです。だからそれをはつきりしてうんと敵につつかからなければならない。大橋さんはどこかに行つて見えないのですが、みだりにということを、あなたの御専門の法律の方ではつきりお答え願いたい。
  317. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは具体的の事件が起りますと、具体的に客観的にこれを解釈して行くものと考えます。
  318. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは岡崎さんに伺いたいのですが、この前差上げましたように、二十四年の三月に引揚げの数字を発表なさいましたね、それから次に二十五年の五月にやはり引揚げの数字を発表なさいましたね。そのとき私が解ぜないのは、引揚げ対象基本数が中国地方の場合においては、二十四年の三月の百五十万一千九十三人が二十五年五月には百五十万一千二百六十五人になつて、そこには百七十二人ふえているのです。台湾の場合においても四十七万九千五十人が四十七万九千三百三十九人で二百八十九人ふえている。南鮮におきましては五十九万四千五百九十三人が五十九万五千四百七十九人になつた。これを差引きまして八百八十六人違つて来ているのです。ハワイにおきましては三千五百十二人から三千五百九十二人になつて、何にもおらないはずのところから八十人ふえているのです。琉球は六万九千四十三人から六万九千三百七十五人になつて、三百三十二人ふえている。フイリピンは非常にふしぎなところなんです。二十四年三月に十三万二千九十四人と発表されましたのが、二十五年五月には十三万二千九百十七人になつて、これはゼロから八百二十三人ふえているのです。岡崎さんはこの間の答弁におきまして、人間がやつたのだから間違うだろうて間違うたびに正していると言ついるのですが、間違つたどころか、私ははつきり速記録を見て来た。岡崎さんは八十人から百人だと言つておられましたが、気の毒なことには八百二十三人ふえている。しかもここにおきましてはルハング島に人がいる。中佐の古手が出て行つて投降を勧告するということまで出ている。それで香港のはずつと省略いたしまして、これは資料としてあとで上げますから読んでいただきたい。シベリアにおいても七十万きつちりおつたが、ふしぎなことにいつまでたつても七十万きつちりで、ここはちつともかわりがない。ここで私はわからないのですが、この前私がお伺いしましたように、外務省の数字で、どうしてこういうふうにだれが考えても全然理解できない、ゼロからものをつくるということをされるのですかということを承りたいのです。
  319. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 とにかく百五十万もいる入の中から、終戰当時の不完全な記録によつてとりあえず集めるのでありますから、百人、二百人の差があることはやむを得ないことであります。それをあなたはお集めになつて八百とおつしやるのですが、これは各地のをまぜたのだと思います。そこでそれはできるだけ訂正する、新しい資料を極力入手して訂正をする、それがわれわれの義務であります。なおソビエト方面のは、訂正したくても新しい資料を得ることができないものでありますから、なかなか思うように行かないという事情がございます。
  320. 横田甚太郎

    ○横田委員 私が聞いておりますのは、百人、二百人と言つて逃げられますけれども、数は百人、二百人じやないのです。二千を越えている。二千八百八十二人です。それがまだふえている。それで私が聞きたいのは、政治的良心というものは政治家に必要なんでしよう。政治的良心の中心は一体何ですか。正直ということでしよう。はつきり言うことでしよう。はつきり言うのは、数の場合に表わしました場合に、一は一であつて、ゼロと全然別にしなければならぬ。ところが引揚げてしまつて何にもおらないと言つて外務省が発表したところからまた帰つて来た。それであなたは集められたというが、私は集めた覚えは一つもない。これはお気の毒にも、私が引揚委員会におりましたときに、また私がかわりましたときに、外務省がくれた数字なんです。はつきりしていますね。それから参考のために委員部から借りて参りまして、共産党で刷りまして皆さんにお渡しした。事いやしくも人命を表わすものであつて、われわれの意見とイデオロギーは何にもない。すべて吉田さんがすわつておりましたところの外務省のその上におりましたところの、連合軍総司令部発表という、このいかめしく、うそに対しまして何にも言わさないところの権力の発表を基礎にして私は論議している。だからゼロというものがどうして数に化けるかということをはつきり聞きたい。こういうことを諸君がやりますために反ソ反共のデマになる。だから私は何にも言わない。とにかくゼロと発表した。インタロゲーシヨンマークでふえたなら問題はない。そうじやないので、ゼロから人がふえて書き直しするというほど卑劣千万なことはないじやないか。しかもこの数を基礎にして、スターリン声明に対して吉出さんが引揚者を返せと言つているじやないか。それがわからないから聞いている。長い質問はしませんから、要はゼロがどうして一になつたということを聞いている。
  321. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ないと思つたときに一人出れば一になります。     〔「暴言だ」「あたりまえじやないか」と呼びその他発言する者多し〕
  322. 塚田十一郎

    塚田委員長 御静粛に願います。
  323. 横田甚太郎

    ○横田委員 大体あなたは議会で何と思つて発言しておりますか。おしじやないのだから発言できます。今の言葉では言うことがばかだと言われますよ。なぜかといいまして、ゼロというものは、こういう引揚げの問題の場合には、何人行つておつたところから何人帰つたということが問題になりまして、おらないときにはこれはゼロと書き、わからないときにはインタロゲーシヨンマークを書くのである。それを書かれないところに不審があるのです。そこを私が尋ねたのです。尋ねますと、あなたよりもつと横着な答弁をする外務省に倭島さんという人がおつた。この資料の扱い方においてもアメリカ日本に害悪を犯している、こう言つたらあなたは実にお気の毒な顔をしました。連合軍総司令部発表在外邦人引揚統計、連合軍総司令部、これは一体何ですか。かつての、今は言うてはいけない言葉となつているが、これは昭和二十年まで米英撃つべしと言われた敵なんでしよう。これと戰つたのが朕の政権なんですね。この朕の政権がすなわち連合国の相手なんです。そしてこの戰争に対しましてアメリカ軍の奮起となりましたのは、一体何がために起つたかといえば、朕が動員したからなんです。だから私は朕の敵であつたところの敵国が日本の動員数を知つてつて、朕が知らぬ顔しているというばかなことがどこにあるかと言うのです。だから私はこの扱い方を聞くのです。これを何回も聞きましたところが、連合軍総司令部の発表でございますからと言うて三百二十五号違反云云とこう言う。アメリカという国は何でこんなことで他国の動員兵力を知つているのか。知つているのはおそらくあなた方がでたらめな数を密告したのだ。数のわからぬものを、何でこんな不徳になるところの密告をしたか。これがために隣国との和親の問題が非常にはばまれている。私はだからゼロからどうして数が出るか、ゼロから数が出るというようなことは、帰つて来たから一人出て来たという問題じやないと思う。これを聞きたい。
  324. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 連合国総司令部と申すのは、アメリカの総司令部ではなくして、ソビエトも入りました連合国総司令部であります。そうしてその数字は今おつしやつた通りの数字であります。
  325. 横田甚太郎

    ○横田委員 よくもそんなのめのめしたことが言えますね。対日理事会をよく御存じでしよう。そこで対日理事会の決定として、ソ連も米国もどうしてもこれは引揚げの数においてこの資料になるということで一致した意見を出しましたか。連合国の発表と言う。そうぬけぬけと言うのであれば、対日理事会で一致した意見を出さなければならないじやないか。岡崎さんはおそらく自由党幹部のうちでもインテリなんだろう。それにようものめのめしたことが言えますね。対日理事会の記録を見て来なさい。あなたのそういう政治的な良心のないところに日本の困難がある。そんな人が行政協定をやつているから、秘密に何をやつているかわからないから今後の日本は恐ろしい。こういうような問題ですから、連合軍総司令部の連合軍というものは、アメリカが占領しているのだから米軍名前であると私は解釈する。その点におけるところの見解はどうなんですか。そうしてこの引揚げの数字については、いわゆる日本の政権が責任を持つのか、アメリカの政権が責任を持つのか。この点についてのお考えを承りたい。
  326. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 連合国というのは、日本戰争をしたあるいは宣戰を布告した国々を言うのでありますが、特に主要連合国としてミズーリ艦上で調印した国々をさすのであります。従つてむろんソ連も入つております。なお連合軍総司令部でもつてなぜそういう数字を発表したかと申しますと、終戰後はわれわれは海外における実情を知る方法が実はなかつた。従つて海外に機関を持つている連合国の各政府に依頼してそういう数字を確かめてもらい、それを集めたのが連合国の司令部の数字であります。
  327. 塚田十一郎

    塚田委員長 横田君に申し上げます。文部大臣もお見えになつておりますから……時間は六時まででございます。
  328. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたに聞いているのは、この連合国と書いているところのこの字を聞いているのです。法規的な解釈なんか、これは天野さんの哲学と一緒で何とでも言えます。天野さんなんか天野著作集で言われたことと今日やつておられることとみな違う。これはあとで一々読んでやるが時間がないからしかたがない。私は調べて言つている。だからあなたに望みたいのは――事いやしくもあなたが心配している共産党ですよ、その党を代表して質問している。野坂、徳田がおつたらいいのでしよう。しかし野坂、徳田はあなた方の前で討論してはいけないと言われてあなた方から追放された。だからここに来ないだけです。追放解除したらいつでも来ます。だから私が言う。だからその党を代表して私が言う。あなたが心配の種の党であるならば、もう少し誠意をもつて語られたらいいと思う。吉田さんがソビエトから述べられました経済会議の問題あるいは日本へのいろいろの国民に対するところの同情の問題に対しても、一体どういうふうなことを言われたか。引揚者を返せ、領土をどうした、こう言われる。そこで最近の世界の動きを見ていただきたい。満洲は中国のどの人民の政権のもとに中国国民のものになつたのですか。これをはつきり願いたい。どこから行きましても沖繩はわれわれ敗戰日本人の島であります。その島をアメリカ人にかつてに軍事基地をこしらえさせられて、そこにできた軍事基地が、ソビエトに原爆があるという報道がされるやいなや、原爆を一ぺん持つて来たらたいへんだ、これではいけないから日本全体を原爆基地に対抗するようなものにしてしまえという対抗をやつたのがサンフランシスコ会議であるということが事実だ。そこで私問題を元にもどしますと、日本の島である沖繩さえも日本の現在の政権に渡すとアメリカに渡してしまう。いわんや千島のごときはかつて戰争に対しまして千島から――日本人が書いた太平洋海戰史という本がありますね、岩波から出ております。これによりますと、ハワイを侵攻するときの海軍基地が千島にあつたということが言われている。そうしてヤルタで会談いたしましたときに、ソ連を日本との参戰に引入れるために米国大統領ルーズヴエルトが実にお追従いたしまして、あの島はソビエトが持つておれということを非常に勧めた。勧めてそうしてソビエトに持たした。それといえどもソヴエトの人たちは、その島も日本に人民の政権ができたならばこの問題は簡単に解決つく問題だと言つている。ところが日本に今渡してごらんなさい。沖繩と同じような爆撃基地ができたら、ソビエトのシベリア開発の非常な妨害になるじやないか。だから私は承りたいのです。引揚げ問題に対しましてもはつきりとぜんさくする。一人の人命をとうとぶ。一人の人命は日本の内地に係累を持つているのですから、その係累に迷惑をかけないような形において解決つけなければならないから、無責任なこのような報道をお続けになる意思がないかどうか、根本的にですよ。私どもはこのゼロを消してもらつて、わからないところはわからないようにしてほしいと言うのです。最低のことを言つているのです。そういうことをしない結果、反ソ反共の問題になつて世界の経済から締め出される。パルプの少い日本におきましてはアメリカからパルプを押しつけられました。これは去年国策パルプの人に聞きましたが、一石がアメリカから買えば三千五百円から四千円である。日本のえぞ松、とど松はその当時北海道で千六百円前後であつた。木材はソビエトにたくさんある。これも買える。石炭も買える。この障害になるから私は言うんです。だからこういうような根拠にならないところのものをひねくり返してお持ちになるということは、あとの中国の人民政府の治下に残つているところの引揚げ問題を阻害する根拠になると思いますから、この点に対しましては日本政府は今までの発表がこれは作為的なものである――ここまで言うたらすぐいやと言うでしよう、だから作為的なものというやつを少しゆるめまして、とにかく間違えているんです。引揚げ問題解決のためには新しい資料を出しそうして引揚げ問題のために一生懸命に貢献するというようなことをはつきり言われるところの意見があるかないかということを承りたい。
  329. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 いろいろな問題をお話になりましてどこをお答えしていいかわかりませんが、最後の点につきましてはわれわれはこの数字は確かなものだと確信しております。従つてもし確かでないと言うなら、むしろソビエトでわれわれの代表をソ連領に招致して十分調査を許してくれれば最もけつこうであろうと考えております。
  330. 塚田十一郎

    塚田委員長 時間でありますから、あとは簡潔に願います。
  331. 横田甚太郎

    ○横田委員 それならモスクワに来いと、あなたの党のかつての大蔵大臣であつた石橋さんまで呼んでいるのに、どうして行つたらいかぬというような姑息的なるところの引きとめをされるのですか、こういうことを言いたい。おそらく証拠を出せと言うんでしようが、証拠はゆつくりあとから出します。ソビエトに入りたいならば石橋さんのところへあんたが今晩でも行つて経済会議と一緒にスターリンに会つてこの問題を何とか解決してくれるようにしてくれと頼みに行くのと、中共にも行くのです、吉田書簡のようなものを出しておつて、落ちぶれた台湾政権を認めておつて、どうしてこの引揚げ問題が解決つくと思いますか。この問題について聞いておればあんたは実にあきれ果てた紳士であつて、りつぱなのは服装だけです。だからただ一つ最後にとどめを押しておきますが、あなたは吉田さんから未来の外務大臣と言われましたが、吉田さんへの中曽根さんの質問に対しまして、台湾問題につきまして外国からいろいろの抗議が来ないかと言われましたときに、「日本は外交の自由を持つておりません。連合軍を通じてする以外に外交はいたしておりません。従つて特にイギリスの了解を求めはいたしませんが、何らの抗議の出ないところを見るというと、イギリス政府もよくやつたと思つておるのだろうと思います。」だんだんよくなるということをまたいつかの機会に言つております。ところが、これは朝日新聞社で出します週間朝日の吉田書簡を中心といたしました論調を見ますと英国の外務省のスポークスマンの談といたしまして、一月十七日にはつきり「対日講和條約が批准されて、日本が完全な主権国となるまでは、日本が他国に言質を与える結果となるような圧力を日本に加えてはならないというのが英国政府の一貫した態度であつた。英国は日本が自国の最善の利益と思われる道をみずから選ぶべきだと考える。この英国の立場はあらゆる機会に米国政府に通告済みで、米国政府もよく承知しているはずである。英国政府吉田書簡の内容については、発表の寸前に知らされただけであつた。」と言つている。しかもこれに一番関係のあるマニラのタイムズはどう言つておりますか。――総理が恥知らずの答えをしたのは二月の初めです。一月二十一日に「日本が北京から得られるものは貿易であり、自国製品のはけ口であり、そして最も必要な原料の確実な供給である。ところが台湾から得られるものは困難だけである。これは事実だ。」こう書いている、これくらい大きな新聞社がはつきり発表しているのに、日本の外務省はつんぼであつて、何にも意思表示をしない。そうではない、知つているんだけれども言わないのである。ここにいわゆる日本外交の鈍感さといいますか、横着さというものがあつて、社会混乱、議会混乱の原因も、直接侵略、間接侵略治安を云云しなければならないところの政治的な不安もみなここから来ているということを覚悟願いたいと思います。なお質問を要求したいのですが……。
  332. 塚田十一郎

    塚田委員長 時間です。
  333. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではこういうような意味合いにおきまして、外務省が終始一貫して恥知らずの態度をとつておられることに対しましてはなお十分なる反省と、自省の念をもつて、よろしく国際的に協調的にやつていただきたい。国際連合はごろつきが集まつて戰争のために用意するものじやないのです。アメリカの軍需工場をもうけさすためにこれはやられるものじやないのであります。国際連合というものは、どこから申しましても戰争をなくするために相談するための、人類が悩んで来た問題を解決する機関なんです。もし第三次大戰が起りましたならば、イーデンが言つておるように、世界にはアフリカ人だけしか残らない、あるいはひどい人は、昆虫だけしか残らないと言うのです。もしここで戰争に突入するようなことがありましたならば、私ははつきり申し上げます。あなたに対しまして私たちは行動的な自由を確保いたしまして、戰争に協力する政府を徹底的に打倒いたしますから、その点よろしく御覚悟願いたい。
  334. 塚田十一郎

    塚田委員長 ただいまの横田委員発言中、もし不穏な言辞がありますれば、速記録を調べました上、適当の措置をとることといたします。小平忠君。
  335. 小平忠

    ○小平(忠)委員 申合せの時間がきわめて少いので、重要な点について関係大臣にお伺いをいたします。まず最初に法務総裁にお伺いをいたしたいのでありますが、おいでにならないようでありますから、岡崎国務相にお伺いいたします。
  336. 塚田十一郎

    塚田委員長 小平君に申し上げますが、大蔵大臣は不快なところをお待ちになつておりますので、大蔵大臣の質疑から先にお進め願いたいと思います。
  337. 小平忠

    ○小平(忠)委員 岡崎国務相に対しまする質問は簡單でありますから、今申し上げた関係上先に伺いたいと思います。  日米安全保障條約に基きまする行政協定は、日米両国間におきまして、その内容について目下話合いが進められておるのでありますが、特に日本治安維持、いわゆる安全保障についての問題は、本日の本委員会におきましてもきわめて重要なる問題として取上げられ、その内容国民ひとしく重大なる関心を持つている事項であります。そこで私のお伺いいたしたいのは、警察予備隊は今年十月一応当初計画しました二箇年の任期が満了いたしまして、これを防衛隊または保安隊に切りかえるということでありますが、その際のこの防衛隊または保安隊というものは、国内治安維持のために設けるすなわち自衛のための部隊である、こういうように解釈いたしてさしつかえないでございましようか。
  338. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 その通りであります。
  339. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これは法務総裁にお伺いしたいのでありますが、お見えになりませんからお見えになりましたらお伺いすることにいたしまして、関連いたしまして、しからば岡崎国務大臣は、憲法第九條によります解釈でありますが、憲法第九條によりまして、わが国戰争を放棄いたしております。しかし第二項によりまして、自衛のための部隊というものについてはいろいろな解釈がされておるのでありますが、岡崎国務大臣は、現行の憲法の解釈で、すなわち今大臣がおつしやられた自衛のための軍隊を持つということは――自衛軍を創設しても憲法には抵触しないと解釈されますかお伺いいたします。
  340. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは二説あるようであります。しかしながら、われわれはただいま軍隊を持つておりませんから、いずれにしても憲法に抵触しない、こう考えております。
  341. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これはきわめて大事な問題であります。私のお伺いいたしましたのは、憲法第九條に基きまして、本年の十月から防衛隊または保安隊を設置するという際に、岡崎国務大臣は、明らかに自衛のための部隊である、こうおつしやられたのでありますが、自衛のための部隊というものはいわゆる自衛軍であります。すなわち自衛軍というものは憲法の第九條の規定に違反をしない、こういうように解釈してさしつかえありませんか。
  342. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は自衛軍とは申しておりません。自衛のための措置でありまして、国民一人々々がみなこれは持つておるのであります。それの一部として警察予備隊がただいまあります。これは名前がかわるかもしれませんけれども、軍隊ではないのであります。
  343. 小平忠

    ○小平(忠)委員 きわめてその点明白を欠きますが、憲法解釈になりますから、この問題はその程度にいたしておきます。  次に大蔵大臣が健康を害されておられます関係上、先に大蔵大臣にお伺いいたしまして大蔵大臣の質問を終りたいと思います。  予算委員会が開会されましてから長時日にわたりまして、二十七年度予算案についてのいろいろな問題に対して、この委員会において質疑がかわされたのでありますが、大蔵大臣に特に最後にお伺いいたしたい点は、日本の国土の資源開発という目地から、公共事業費の内容につきまして、確かに今年度よりも相当額の増額ということは認めるのであります。しかしながら、従来の災害復旧なりあるいは一般公共事業費の支出面におきまして、特に災害復旧費の戰後における支出状態を見ますと、支出決定をされておるにもかかわらず、まだ相当な未払額があるということを聞いておるのでありますが、それは事実でありますか。もしありとしますと、その額はどのくらいになつておりますか。
  344. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の点がはつきりいたしませんが、支出決定をしまして未払額があるということはないと思います。予算範囲内で仕事は行われるのでありまして、支出決定があつてからなお支払いが遅れるということはございません。仕事ができていてもお金が払われていない場合はあるやに聞いておりますが、それは予算違反でございます。
  345. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これはきわめて重要な問題でありまして、現に私が調査をいたしました結果、現に予算のいわゆる認証が済んでおるというにもかかわらず、現実にその支出がされておらないという額が、きわめて厖大な額に達しておるのであります。この問題は時間がありませんから、ここで大蔵大臣とあえて応答をやることは避けますが、今大蔵大臣もあるやに伺つておるということでございますから、その数字につきまして明日でもけつこうでございますから、資料をいただけるかどうか御回答願いたいと思います。
  346. 池田勇人

    池田国務大臣 認証制度にもいろいろなものがございまして、お話の従来安定本部でやつておりまする四半期ごとの認証が半年になりましたが。そういうものは工事の前の認証であります。また工事が完了した場合につきましての認証があつた場合におきましては、支払いは極力急いでやるように督励しておるのであります。これは数が多い中でありますから、遅れるような場合がありますれば、その所管の官庁から大蔵省の方へ申し出ることと考えております。
  347. 小平忠

    ○小平(忠)委員 次にこれは毎年問題になつている点でありますが、東北、北海道の寒冷地帶におきまする公共事業費の支出の時期であります。これが実際国家的な見地から考えまして、冬季間の、きわめて作業能率の上らない、さらに資材の運搬等が困難である、こういう時期にようやく予算の実施がされるということで非常に問題になつております。この点については何とか東北、北海道地方の実情を勘案せられまして、第一・四半期に大体七割、八割程度の支出をするというようなことに参りますと、きわめて有効適切に公共事業が進行されると思うのでありますが、従来の行き方をここに改めまして、そういうことを実行される御意思はないでしようか、お伺いいたします。
  348. 池田勇人

    池田国務大臣 従来は四半期ごとに安本で認証いたしておつたのが例でございましたが、最近はやめましたから、お話のように工事が進行するものと考えております。
  349. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大蔵大臣の言を信用いたしまして、二十七年度からはそのように実現、実行されることを期待いたします。  次にこれはきわめて重要な問題で、一審最後にお伺いしたいと思つたのでありますが、大蔵大臣が非常に健康を害されて、一刻も早くお帰りになつてお休みになるということでありますから、これは先にお伺いいたします。実は北海道のてん菜の問題であります。御承知のように北海道のてん菜は寒地農業経営上、不可欠の重要な作物でありまして、古くから特に北海道拓殖費によつて保護助長を受けて、戰後におきましても画期的な増産をはかつて参つたのであります。しかるに今回砂糖統制撤廃に伴いまして輸入甘蔗等の圧迫を当然受けるのでありますし、特に先般決定を願いました関税引上げによりまして、保護政策をとるというにもかかわらず、外国砂糖の圧迫を受けまして今日はきわめて憂慮すべき事態に陥つているわけであります。従いまして現に北海道全道の六万戸のてん菜耕作農民は春のまきつけを控えまして、いまだに躊躇するというような現状であります、これを打開するの道は、特に政府当局におきまして、食管特別会計において二十七年産のてん菜糖に限りまして、生産費を償うところの適正価格をもつて、前年度同様政府買上げの臨時措置を講じていただきたいというふうに考えておるのでありますが、大蔵大臣並びに農林大臣の御所見をこの際承つておきたいのであります。
  350. 池田勇人

    池田国務大臣 この点につきましては、さきに本委員会で苫米地委員お答えした通りであります。いろいろな方法を研究いたしております。
  351. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 大蔵省と一生懸命相談いたしておる次第であります。
  352. 小平忠

    ○小平(忠)委員 この問題は、單にてん菜糖といいますと砂糖というような部面にお考えになられますけれども、実際問題としましては、今北海道の全農民が重大なる関心を持つて、どうしても急速にこれを解決していただきたいという強い熱意のもとに、目下北海道から各関係代表が連日政府当局に懇請をいたしておることは、これは両大臣御承知の通りであります。この問題についてはくどく申し上げませんが、近々のうちにぜひ納得し得る解決方を特にお願いしておきます。  次に、これは特に本年度の予算問題として大きく取上げられた問題でありますが、総括的な予算委員会は明日から分科会に入るのでありまして、最後に大蔵大臣の所見を承つておきたいのであります。それは戰死者遺家族の援護費でありますが、政府はどうしても本年度の予算を固持され、あくまで修正をされる意思がないのかどうか。今日のような状態において日本独立第一歩を踏み出すときにおいて、現在予算案に計上されておるような金額におきましては、私はゆゆしき問題が起るのじやないだろうか、こういうように考えるのでありますが、あらためて大蔵大臣の所見を承つておきたいのであります。
  353. 池田勇人

    池田国務大臣 予算案作成にあたりまして各般の考え方をし、また閣僚全員あるいは与党の方で知恵をしぼりました結果でございます。ただいまのところは予算をかえる考えはございません。しかし財政演説で申しておりますように、日本の財政事情が許すならば、また将来の国民負担から申しましてできるならば、今後努力をいたしたいと考えております。
  354. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大蔵大臣にお伺いしたい点はたくさんあるのでありますが、時間もももだんだん差迫りましてございませんから、大蔵大臣に対しましては以上で打切りたいと思います。  次に今後のわが国の食糧政策について、農林大臣の忌憚のない御意見をひとつお伺いいたしたいと思います。これは御承知のように政府は昨年の一月に経済自立三箇年計画を立てられまして、二十六年度から三箇年に、主食について約一千二百万石の増産計画を発表せられたのであります。しかるに本年度の政府の現に提出されました予算案を見ますと、特に廣川農林大臣の鳴りもの入りで、明年度は本年度より約百億円を増額したとおつしやられておりますが、しからばはたして百億円の増によつて、昨年政府が発表せられました増産計画が達成し得られるかどうか、このいわゆる増産計画についての農林大臣の基本的な御所見を承りたいのであります。
  355. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 経済自立三箇年計画はこれは目標でございまして、目標に近づけるように予算をとつております。先ほど政府委員から説明いたした通り、土地改良その他で百五十万石、それからまた土壌改良あるいは種苗改善対策等いろいろなものを考えまして二百五十万石、合計四百万石ふやそうと思つておるのであります。
  356. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、はたして政府は、ただいま農林大臣がおつしやられたように画期的な増産計画を行うことによつて日本の食糧問題を解決するのであるか、まあその点は一応了解できますが、しかし予算書内容を見ますと明年度は本年度より輸入食糧において三十万トンを増加いたしております。この理由について、きわめて不可解なる点を私はどうしても了解できないのであります。昨年よりも百億円の予算を増額して食糧の増産に充てるというのでありますならば、むしろ職人食糧を減らしてもよろしいのではないかというように考えるのでありますが、この関係について農林大臣の御意見を承りたいと思います。
  357. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 私たちといたしましては、非常に骨を折つて内地の増産をはかりまして輸入を防ぎたいというのが念願であります。これはわれわれの先輩が言つておられることでありますが、特に荷見さんのごときは、輸入を押えたときには内地が非常に増産になるということを、人口三千万時代、人口五千万時代、人口六千五百万時代の生産の米の石数を例示して統計的に申しております。さようなわけで、私たちはせいぜい内地の増産に力をいたしたいのでありますが、天候その他に支配されましてなかなか思うように行きませんし、今年の作柄等を勘案いたしまして、輸入についてはあなたに申し上げたお話のような数字を計適いたしておるわけであります。
  358. 小平忠

    ○小平(忠)委員 しからば、農林大臣のただいまの御説明によりますと、食糧事情というものはきわめて緩和されることになると思います。そういたしますと、現行の配給量でありますが、これは廣川農林大臣の放言ではなくて、現行の二合七勺の配給量を引上けたいというようなことの情報がいろいろ流れるのでありますが、農林大臣は、現行の配給量を引上げるお考え、また農家の保有量あるいは労務加配米を引上げるお考えはありますかどうか、この際承つておきたいと思います。
  359. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 現在のところ引上げる意思を持つておりません。
  360. 小平忠

    ○小平(忠)委員 次に農業協同組合の育成強化についての問題であります。政府は一昨年来から再建整備法につきましても多大の関心を持ちまして、農協の育成強化については御努力されておるのでありますが、講和独立の第一歩を踏み出すわが国としまして、農村経済の基盤として農業協同組合の今後の育成強化というものはきわめて重要な問題であります。特に今日までの農業協同組合の系統組織というものは、連合会においては総司令部の示唆によりまして縦割にされております。しかし独立の第一歩と同時にこういつた問題も農民の自主的な意思によつて、農協の運営強化をはかるというような見地から、こういう連合会の縦割、あるいは農協に対する政府監督官庁のいわゆる自主性を阻害するような監督権というような問題について、政府は農業協同組合法改正の御意思はあるのか、ないのかこの際承つておきたいと思います。
  361. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 農村における農業協同組合の立場は非常に重大でありますので、われわれはこれをほんとうに育成して参りたいと思つております。その中で三つにわかれている協同組合を一つにする意思はないかという話でありますが、三者三様の独得の性格を持つております。しかし将来これを一本にしてよろしいという輿論になりますれば、それはあらためて考えるに私たちはやぶさかではないということを申し上げておきます。
  362. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大臣の御答弁によりまして、農民の自主的意思によるならば法改正もやぶさかではないということのように了解をいたしておきたいと思います。  次に、これは昨年来から問題になつておる事項でありますが、農業災害補償法に基きます農業共済組合に対しまして、農業協同組合法と競合いたしまして生命並びに家屋の共済事業を行わしめる。そういうようなことからいわゆる農業共済組合連合会の準備基金法というものを政府はすでに発表されたわけであります。これによりますというと、わずか三十億円の幕金でやろうというのであるが、これをやろうという場合においては三十億の金では私はできないと思うのであります。少くとも百八十億ないし二百億くらいの金がいると思うのであります。そういう問題は別といたしまして、農業協同組合法の自主的な自由意思によりまする考え方を根本的に無視して、農業災害補償法によりまする農業共済組合は強制加入であります。そういう形のものにこの共済事業をやらせるということにつきましては、その趣旨と考え方についてわれわれは今日まで根本的に反対をして来たわけであります。今回法改正ではなくて、新たに農業共済組合連合会準備基金法というような法律によつてこれを強行されるやに聞くのでありますが、事実でありますかどうか、大臣の所見を伺います。
  363. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 そのように準備いたしております。
  364. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大臣の答弁では、そのようにやるという御意見でありますが、これはきわめて重要なる問題であろうと思います。従いまして、政府当局がそのような御意見でありますならば、私は、この問題については全国農民の意思を結集して最後まで闘つて行きたいと思います。次に、この問題はたびたび論議せられており、きわめて重要な問題でありますので、最後に農林大臣にお伺いいたしたいのですが、今日の肥料の需給関係、これはきわめて緊迫いたしております。従いまして農林大臣は肥料の需給操作についていかなる御所見を持つておられるか。通産大臣もお見えになつておりますから、あわせて通産大臣にもお伺いをいたしたいのであります。
  365. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 肥料の問題は重大問題であります。この需給操作の関係につきましては今十分検討中でありまして、農民が納得行くようにいたしたいと思います。
  366. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 肥料の二十六年度の生産計画は、昨年の秋ごろは、御承知のような電力の飢饉で非常に生産が落ちておりましたが、幸いに上半期の生産はほとんど計画通りに行つております。下半期は相当計画よりも上まわるつもりでおります。需給計画は少しも心配ないと私は考えております。次年度の計画では約四十万トンくらい増産の計画を持つております。
  367. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは時間がありませんから、農林大臣の質問を打切ります。  最後に、運輸大臣がお見えになつておりますから、運輸大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、きわめて重要な事項が三点ございますので、これは一緒に申し上げます。  まず第一に、戰争によりまして全国  の港湾がきわめて破壊をされ、その整備の重要性はこれは申し上げるまでもありません。従いまして運輸大臣から、この港湾の整備拡張ということについて、具体的な計画なり御所見をこの際承つておきたいと思います。これが第一点。  次に日本の交通の面においてきわめて重要な役割を持ちますところの国鉄並びに私鉄でありますが、特に国鉄について新設計画がどのようにされておりますのか、この点について、第二点としてお伺いをいたしたいと思います。  第三点は、国民待望の民間航空がいよいよ復活されました。しかるにこの民間航空につきましては、料金の関係もありますが、一部特権階級のみが利用するといつたようなうらみがありますし、これが国民の大衆化というような見地から、料金あるいは民間航空の某地というような問題について、もう少し国民の大衆が利用できるようにするお考えがあるのかないのか。この三点について運輸大臣の所見を伺いたいと思います。
  368. 村上義一

    ○村上国務大臣 第一点の港湾の拡張整備についての問題でありますが、お説の通り戰災を各港湾についても受け、またその後、設備の酷使という問題も戰時中からたまつております。さらに台風その他で災害をこうむつたという点もありますので、港湾の整備拡充は、貿易の伸張また国内産業の進展という見地から、すこぶる重要であるということは御所見通りであります。今年度は港湾の整備拡充費は五十六億円でありました。二十七年度は七十二億円ということで、若干増加いたしております。しかしこの金額では十分だとはしよせん言い得ないのであります。何分公共事業費は各方面に多額を要しますので、来年度においては、ただいまも申し述べました七十二億円でこれを最も有効適切に施行して行きたい、こう考えておる次第であります。  また国鉄の新線建設につきましては、御承知の通り昨年の八月建設審議会なるものができまして、爾来昨年末までに本会議を数回、また分科会を数回開催願つたのであります。いかなる新線を建設すべきやという意味の諮問案に対して、御審議を願つておる次第であります。その後欠員が生じましたので、きわめて最近に充実していただけると思つておるのであります。充実しました上は、すみやかに継続御開催をお願いいたしまして、来年度二十億の建設費をいかに有効に充当して行くかということを御答申願いたいと考えておる次第であります。また私鉄についてもお尋ねでありましたが、私鉄の面においても多数の建設計画があるのであります。すでに免許しておるのみならず、工事着工を認可しておりまする線も相当あるのであります。ただ最近物価騰貴その他の理由のために、その資金の調達に関連して、予定のごとく進捗いたしておらないのはすこぶる遺憾であります。たとえば岩手開発鉄道とか四国中央鉄道、筑豊電気鉄道、水間鉄道、神戸高速度鉄道、山陽電気鉄道、これらのものはきわめて最近に工事に着工せられることを期待いたしておる次第であります。  なお第三点として、民間航空事業を大衆化することが必要だという御趣旨の御質問だと拝聴いたしました。航空路を拡充する、また運航画数を増加する、料金もなるべく低廉にするということが、大衆化の要件であると考えております。しかしながら航空交通を利用する方はどうしても――大衆化ということは本質上困難じやないかと思うのでありますが、今後でき得る限り、ただいまも申し述べましたように、料金をできる限り低廉にし、運航回数を増加し、また航空路を拡充するという方向に向つて進みたいと思つておる次第であります。何分今航空会社は、昨年十月半ばにやつと弧々の声をあげたにすぎないのでありまして、今、三月上旬から福岡航路を二往復にするということには相なつております。一回は急行便で一回は観光便であります。そうしてこの観光便の方は名古屋と岩国に着陸する計画に相なつております。
  369. 塚田十一郎

    塚田委員長 本日の会議はこの程度にとどめまして、明二十日は午前十時より委員会を開会して質疑を継続することといたします。なお明日は午前中に質疑を終了して、午後一時よりは各分科会を開く予定でありますから御了承願います。  これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会