○横田
委員 それでは伺います。これは
法務総裁に伺いまして、
法務総裁の係でないところは大橋さんに御
答弁願います。
大体占領下
日本の
吉田政府は偏狭である、
日本政府を指導するところの
アメリカの占領当局は実に偏見である。これはマツカーサーの解任で、よく現われていると思う。ここに問題がある。
はつきりと申しますと、今度の平和回復に伴う
予算二千三十三億の問題は、これは共産党と自由党とがどこに
見解の相違があ
つて、何を中心に何をしようとして争
つておるかというところの論議を、この
国会で十二分にやらなければならないと私は思う。だから共産党の
意見こそは
総理大臣は十分に聞いて、
政府は参考にしなくてはならぬ。またわれわれも
政府の言うところを十二分に聞いて、
日本の改革、
日本の民主化のためにはこんなに人殺し費用をたくさん組まなくてもいいじやないか、こんな資料が十分に得られると思うのです。ところがそれをせずに一から十まで共産党を彈圧して来る、
国会では
答弁をしない、こうな
つて来ますと、私たちは非常に疑問に思うのです。なぜかと申しますと、いかにわが党に追放者がありましても、その追放の形については私たちは非常に納得し得ないものがある。追放というものは戦争に協力した人たちがやらるべきであるにもかかわらず、
戰争中に反対し抜いたわが党の人たちがどんどん戦後追放せられてしまう。こういうことをや
つておりますがために、町におきましては、この間も
質問しましたように、非常に違つた形が出ておる。今の政治家はだめなんだ、追放された大物が出て来ないか、出て来たところの大物は戰前は米英撃つべしということで追放きれた人であるにもかかわらず、それが変節いたしまして、今では米英にこびた形において
日本の政治にまた台頭して来ておる。政治家で節を守らない者は唾棄すべき存在である。私のごときあるいは共産党のごときはいろいろな非難がありますけれども、節を屈ぜずに、天皇制の獄舎につながれても、終始一貫して天皇制の打倒と戦争反対のために闘い抜いた節を買われておるのであります。でありますから共産党の主張を十分聞かれてあなたが答えられる、それを私は望みます。
ここで聞きたいのは「米国戦争史」という本がありますが、これは
独立戦争時代のことが書かれております。これは共産党の書物でもない。なおこれでいけなかつたら
国会図書館の立法考査局から一つの資料をいただいております。これで
アメリカの
独立戦争当時のことを想起していただきたいのです。
アメリカの
独立当時の
国情と
日本の
国情にはいろいろの相違性はあるけれども、やや似たるところがあり、私たちは反省しなければならないのではなかろうかということを
考えていただきたいのです。ここにこんなことが出ております。「元来が海賊民族の末裔であり、わけても
国家のうち外にはみ出された大部分はならず者のなれの果てである
アメリカ移住民の多くは、船で行ける限りの港々へ出向いては、びた一セントも払わぬ密貿易に従事していた。」これが
アメリカ人のか
つての先租の姿であります。「せつかく一世紀半も、
国家というものの苛斂誅求からのがれて、蒼空と大海原に、のうのうと暮しているところへ、のがれたはずの苛斂誅求が、大西洋を越してまで追いかけて来ようとは思われなかつた。そこにしばしばもんちやくが起り、税官吏や水兵との乱闘さえあつた。グレンヴイルは、すかさず第二の手を打つた。彼は、鑑定したはずのフランス軍の残党とインデアンとがしめし合せて、近くまた
アメリカ植民地を襲撃するおそれがあるので、あらためて
アメリカに一万の常備軍を配置する、それについては、軍設置の費用の一部は、植民地の負担たるべく、
軍隊のための営舎その他の設備も移在民側から提供すべきであるという法案を出して、苦もなく
議会を通過させてしまつた。」これはちようど
安全保障條約を前にいたしまして、われわれに突きつけられたところの金を、今の
アメリカ人の先租たちが受けたときには、あなたたちの政権のようにすなおに受けなかつた姿を書いているのだと私は思うのであります。その口実はフランス軍とインデアンであつたのであります。今の場合はこれが形をかえてソ連軍と中共軍ということにな
つております。「
軍隊の攻撃目標は、フランス軍でもインデアンでもないことは、イギリス側にも、それが派遣される植民地にもよくわか
つていた。」
日本の
吉田政府も
侵略がソ連ではないんだ、中共ではないんだということはよくわか
つているのであります。しかしそれに対して、「グレンヴイルは、それにもあきたらず、一七六五年に、もう一つの法令を発布した。」それが有名な印紙條例であつたのであります。次の「有形無形に、ここまで圧迫すれば、不逞の
アメリカ移住民といえども、幾らか金を吐き出すだろうとグレンヴイルは
考えた。」これが防衛分担の問題について、
日本の今度の
議会で組まれたのは二千億余ということがいわれておりますが、
アメリカの
報道を見ますと、これは違うのであ
つて、三千億だとい
つております。だからおそらく間もなく追加する
予算が組まれまして、われわれから多くの人殺しをする費用をとるために言
つて来るだろうと思います。これ以上申しますとまた自由党が非常に激昂しますから、この辺で「有形無形に、ここまで圧迫すれば、不逞の
アメリカ移住民といえども、幾らか金を吐き出すだろうとグレンヴイルは
考えた。だが、彼は自分の書いた芝居が、喜劇とも悲劇とも、
はつきり定まらぬうちに、まず自分の公人生活に幕をおろさねばならなかつた。」こういうような人になられないように私はあなたたちにお願いします。「翌年三月に、ウエストミンスターの議事堂の天井が突き抜けるほどの議論とな
つて、印紙條例が
政府によ
つて撤回されるまでには、一年間の輿論の沸騰があつた。」「法案が
議会を通過しそうだとなると、」ここで
考えていただきたい。私と風早氏が懲罰動議とか、それに類するばかなことがやられるといわれておりますが、そんな肝玉の小さいことで、外国
軍隊が
日本に来ている姿に対して、
日本の国権を守ることがどうしてできるか。「マサチユウセツツ州を中心に、猛烈な反対運動が起
つて請願書が山をなして王室へ送られた。印紙條例が
法律にな
つてしまうと、しばらく無気味な沈黙がそこにただよつた。すると、開会中のヴアージニアの州
議会で、議員パトリツク・ヘンリイーは突然こう叫び出した。シーザーにブルタスあり、チヤールズ一世にクロンウエルがありました。ジヨージ三世には……。」と言つたときに
議会の議長は何と言つたでしよう、彼は
日本の人たちと同じようなことを言いかけたのであります。「こう言いかけると、議長は、叛逆罪ですぞ――叛逆罪」と恥知らずの……。