○風早
委員 アメリカの独占資本が軍備拡張を続けておることは御承知の通りでありますが、新しい戦争を準備しながら、重要な資源、とりわけ軍事に必要な戦略的な資源を手に入れようとしてますます活発に動いております。アメリカの独占資本は、植民地を持
つておる列強が
経済的に困
つており、これらの国が
経済、政治、
財政の上からアメリカに負ぶさ
つておるという
状態、そういう条件を利用しながら、東南アジア及び太平洋地域の多数の国の
経済を支配し、特にゴム、すず、石油、その他重要な鉱産物、並びに軍事戦略物資の採取を牛耳
つておるのが現状なのである。アメリカのインドネシアに対する対外投資の比率は、戰前アメリカの全対外投資のうち五%を占めてお
つたのに対して、一昨年――一九五〇年には四〇にまでふえております。これらの資本は、すべて採取
産業に向けられておる。また重要資源の発見に充てられておる。この数年間に、アメリカの独占資本は、インドネシアで有色金属の鉱山、百万エーカー以上のゴム園を手に入れております。多数の精油工場をつく
つております。インドネシアの石油の採取、精製、輸送に投じられた資本の総額は四億ドルに及んでおるのである。アメリカのこの独占資本、特にスタンダード・オイル・オブ・ニユージヤージー、ソコニー・ヴアキユーム・オイル・カンパニー、イギリスの独占資本ロイヤル・ダツチ・シエルもこれに加わ
つている。こういうものは太平洋地域及び東南アジアのほかの国でも石油の採取権を手に収めているのであります。ニユーギネア西部で発見された大油田地帯は、ネーデルランド・ニユー・オイル・カンパニーがこれを手に入れております。しかしこのオランダ
会社の資本は、やはり六〇%がアメリカの独占資本のものなのです。オランダの別な
会社パシフイツク石油というものも、やはり石油の利権を手に入れましたけれ
ども、これはま
つたくアメリカの石油独占資本スタンダード・オイル・カンパニー、テキサス・オイル・カンパニーのこの二つのものにほかならない。またアメリカの三大ゴム・コンツエルンであるところのユーナイテツド・ステーツ・ラバー・カンパニー、フアイヤーストーン・タイヤ・ラバー・カンパニー及びグツドイヤー・タイヤ・ラバー・カンパニー、これらはスマトラ島の大ゴム園を独占しております。インドネシアからオランダ資本をどしどし追い出しております。タイは第二次世界大戦までイギリスの
会社が支配していたところでありますが、ここにもアメリカ資本がどんどんと入り込んで、今英米資本は猛烈に角逐しておる。第二次世界大戦までアメリカの
銀行はタイに
支店を全然置いていなか
つたのが、現在タイの首都バンコツクでアメリカの
銀行が活躍している。その資本は五億ドルでこれはほかの外国
銀行を合せたものよりも大きい。このためアメリカの独占資本はタイの
経済を支配する地位に今のし上
つたのであります。このことはタイのゴム輸出を見るとはつきりわかります。四九年にはタイのゴムの六〇%はアメリカに輸出されるに至
つておる。アメリカのアナコンダ・ラバー・エンド・テインーカンパニーはタイのすず生産を独占しておる。そのため、一九四九年の十箇月間にタイで採掘された総額七千七百十九トンのすずのうち、三千トン以上というものはアメリカに輸出されている。アメリカの朝鮮への出動によりまして、アメリカの独占資本はますます血眼にな
つて、ウオルフラム、マンガン鉱とい
つたような戦略物資を追い求めるようにな
つております。その結果アメリカの輸入総額のうち軍事戦略物資の占める比重というものは非常に大きくな
つております。いわゆる後進国開発計画に関するトルーマン大統領の第四項計画、つまりポイント・フオア、この実行の諮問
委員会の報告につけられた統計表を見ますと、アメリカの輸入総額のうち、軍事戦略物資はその七三%を占めている。これらの軍事戦略物資はその四分の三以上が、
経済の遅れた諸国、特に東南アジアと太平洋地域の諸国から輸入されております。先の諮問
委員会の報告によりますと、アメリカのすず輸入額の三六%はイギリス領マレーから、その一六%がインドネシアから輸入されております。天然ゴムの九六%がインドネシア、マレー、セイロンから輸入されておる。東南アジア諸国の原料資源に対するアメリカ独占資本のこの掠奪的なやり方というものは、表面はいわゆる
経済援助、技術
援助とい
つた各種の協定の形をと
つて行われておるのですが、アメリカ独占資本はこれらの協定を結ぶ際に、必ずその国の
経済と政治をアメリカに従属させるような要求と条件をちやんと持ち出しておるのです。アメリカのいわゆる
経済援助のおかげで、フイリピンはますますアメリカに縛りつけられてしまうことにな
つている。アメリカ支配者の圧力でフイリピン
政府は貿易に関するベル法を採択しましたが、この法律はフイリピンの
経済に対するアメリカ独占資本の絶対支配を固めるためのものであ
つた。これによりますと、アメリカの商品には関税がかけられない。それでなくてさえ力の弱いフイリピンの民族
産業は、当然非常な圧迫を受けておるのであります。アメリカの独占資本はフイリピンの
経済をいびつに発展させております。これは
日本についても同様なのです。第二次世界大戦以前を見ますと、フイリピンが輸出していたのは、コプラ、麻、砂糖、タバコだけであ
つた。ところが終戦後アメリカはフイリピンの
経済をさらにいびつにしております。フイリピンは実際しただ
一つの原料コプラだけを供給する国にされてしま
つております。コプラは輸出総額の三分の二を占めており、その九〇%がアメリカに輸出されておる。アメリカ独占資本の支配によ
つてフイリピンに非常な
経済恐慌がもたらされておる。アメリカ独占資本に押されて、フイリピン
政府はフイリピンにと
つて有利な中国貿易をしやにむにやめさせられてしま
つている。現在フイリピンの輸出の九六・五%は、外国資本特にアメリカ資本の手に握られております。アメリカの
援助によ
つて東南アジア、太平洋地区のほかの国々に同じような
状態がつくられている。こういうふうにアメリカという国が東南アジアに向
つてどういうことをしておるかということは、
政府はよく知らないようでありますが、これで大体
政府の認識も深ま
つたと思う。このアメリカのやり方の一環として、
日本はどうでもこうでも東南アジアとだけ貿易をやれ――もちろんほかにもありますけれ
ども、かんじんなお隣の中共やソ同盟というものとの貿易を禁止しておる。ところが次には、アメリカの東南アジアに対する政策というものが、相手の国の民族
産業を破壊させておるということ、その生活水準をこのようにさんたんたるものにしておるということは明らかであります。他方において私は
政府に尋ねたいのだけれ
ども、ソビエト同盟の東南アジアに対する貿易政策というものについて、
政府の認識はどういうものであるか。これもひと
つただしておきたいと思います。