○
上林山委員 私はもう少しこの問題を追求して全貌を明らかにしたいという気持を持
つておるのでありますが、それを差控えまして、ここに有力紙に書かれておる
一つの意見がありまするが、私はこれを朗読いたしまして
法務総裁の最後の意見を聞きたいと思うのであります。その文章というのは「
北海道における警部の射殺
事件を、
国会が取り上げたことにより、いまや地方的ではなく中央の問題として重大視されるように
なつた。前後の事情から、どうやら
共産党のテロ行為らしいというのである。だが確たる証拠もなく、想像で殺人の罪を
共産党になすりつけようとするのは、少くも民主的ではない。」こう前提して、そして「ところが今度
北海道地区委員会の声明によると、彼等は党と
事件との関係を否定しながら、関係のあるのを自ら白状しているようである。声明はこの
事件を、
全国に燃え上りつつある
抵抗運動の
一つの現われだと断言した。関係もなく証拠もないのに、どうして
共産党は、この
事件が
抵抗運動であると知ることができたか。これ問うに落ちず、語るに落ちたものといわなければならない。」こういうふうに続け、「さらに聞き捨てならないのは、この
事件の
殺人者を「
愛国者」として、称めそやしていることだ。およそヒユマニズムの行われる現代において、人殺しを
愛国者とする国は、共産主義国家を除けば、世界のどこにもありはしないのだ。これは日本国を愛する者の行為ではない。多分お門違いのよそ国への忠誠なのであろう。よそ国への忠誠のために、日本人が日本人を殺すのを、日本人たる私たちが黙
つてみていなければならないとは、私たちのそれこそ「愛国心」が許さないのである。
共産党の声明は日本の国に宣戦し、私たちのヒユマニズムに挑戦したものだ。
共産党が警部射殺に、関係あろうが、なかろうが、暴力によるテロ行為を是認しこれを以て
愛国者なりと礼讃しているのだ。かような暴力政党を公党として認められるかを改めて
考える必要のある時がきたようである。
共産党の暴力化を外にして、いま
国会で論議されている再軍備、
自衛力の問題は
考えられないことである。」まことに適切な意見である、私はこう思うのでありまするが、
事件に関係があ
つたかなか
つたかということは、この次の
段階で明瞭になることであります。これはその
段階において明瞭に
なつたときに、それ相当の
処置をなし得るのでありますが、この暴力行為を肯定する声明を出すようなところの政党をはたして公党として認めておいてよいかどうか。私は
事件に直接間接関係あるなしにかかわらず、ただいま申し上げた
通り、こういう暴力行為を礼讃し、
愛国者であると言うがごとき政党を公党としておいてよいかどうか。
法務総裁の所見を伺い、われわれは国民とともに愼重にこの問題を
考えてみなければならない、こう思うのでありまするが、
法務総裁の率直な、ひ
とつかけ引きでなく、お互いやおちようでなく、真剣な御所見を伺
つておきたいのであります。