○石原(登)
委員 実は言葉の表現はともかくとして、私のところにはすでにこの
法案が
提出されて、この
運用金が
郵政省に還元されるということが明らかに
なつた今日、どうも脅迫状みたいな手紙が非常にたくさん参
つております。電報も参
つておる。それでその内容をしさいに検討してみますと、ある
一つの意図があるように伺われるのでありまするが、さらにまたこれを掘り下げて
考えてみますと、どうもこの
簡易保険の
積立金の性格に対して一部識者の間でまだまだ十分に納得していない面が相当あるということが、どうしても指摘されるわけであります。今日までこの
積立金が、国家産業のためにいろいろな面で非常に大きく寄与しておつた。これがあまりにも寄与しておつたがためであるかもしれませんが、そういうような面からの強力な
反対意見というか、
反対陳情といいますか、むしろ
反対の脅迫状が今でも来ております。ですから私はそういう
意味においては、この
積立金の性格というものについて、はつきりとしておく必要があると思うのであります。これはただいまは大臣が御出席でありませんから、いずれ大臣の御出席がありました際十分私の議論も申し述べまして、この点を明らかにいたしたいと思います。それだけをまず前提にいたしまして御質問申し上げます。
まず第一番に私が
考えますことは、この
法案には非常に不満である。この
法律が上程されることに
なつたということを聞いて、私は非常な
喜びを感じましたが、この
法律の内容については非常に不満がある。だから先日から議論しております通り、私はこれは
一つの過渡的現象におけるところの、これはもう現在においては最大の
方法であるという
政治的な含みにおいての了解ができております。しかしながらこの
法律が、将来に向
つても最もベターな
法律だとは私は
考えない。でありまするから、今日はこの
法律の欠陥についても十分に指摘し、将来これをよりよき
法律に改正いたしまして、そうしてほんとうにこの
簡易保険の
事業のための運営が、さらに一段と円滑に行われるというような方向だけは、どうしても明らかにいたしておきたい、かように
考えるわけでございます。そういうような観点に立ちまして、私が本法及びさらに旧法でありまするところの
簡易生命保険法を勉強いたしますと、この
簡易保険は、その第二条におきましてあくまでも営利を目的とするところの
事業ではない、これはあくまでも中小企業者以下の零細な
国民のための、いわゆる
社会政策であるのだということをはつきりとうた
つているわけでございます。しかもこの
簡易保険法の第六条の第一項並びに四十七条にも明らかでありまする通り、この
簡易保険によ
つてもし利益金が生ずるとするならば、その剰余金はすべてこれは
契約者に分配されねばならぬということも明記してございます。しかもこのことは、保険約款に基きまして、契約当初にあた
つて契約者との間に十分に約束がしてある。しかるに最近の実情を見ておりますと、こういうような
法律に明記した事柄についても約束を果していない。これはまことに残念なことでございます。しからばそれはどういう理由であるかといいますと、この
簡易保険のこういうような貴重な金が、国家目的のために非常に安い利息で
運用されている。この前も議論いたしましたが、零細な、しかも非常に救済しなければならないような立場の人を救済すべくつくつたところの保険である。
政府は今までの
運用で行きますと、むしろこの
制度によ
つて国の
事業のための
金融一般の
資金なんだ。むしろ貧乏者が金持を助けているというような
事業の運営を行
つている。このことだけはどうしても是正しなければならぬと私は思うのでありまするが、こういうような今日の
運用について、また今回改正されたところの第三条におけるところの内容、ただいま申しましたところの第一項は別といたしまして、第二項、第三項、これは解釈のいかんによ
つてはそういうことが十分言えるわけでございます。むしろわれわれに言わすならば、これはいかなる
方法をも
つてしても、きわめて高利に、最も有利な
方法で
運用すべきであ
つて、しかもその
運用利益というものが
契約者に還元する、こういうような趣旨で行かなければならないと
考えるわけであります。この私の理論の根拠は、
簡易保険が創設せられました当時、第三十七回帝国議会におけるところの
簡易保険法の提案理由の説明においても明らかにこれが示されているところでありますし、また質疑応答の間においても十分このことがうた
つてあります。かように
考えますときに、今この
法律で示されましたところの二項、三項の
運用のみではなしに、さらにこういうような
契約者の利益擁護のためには、広範囲な
運用を認めるべきだと思います。今共産党の田代
委員からいろいろ指摘されましたが、断じて戦争目的に使うことは
反対でありますけれ
ども、
運用方法については、確実に
運用して行かなければならない、こういうような
考え方であるわけでありますが、この
考え方に対する
当局のお
考えはどうでございましようか。