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1952-02-20 第13回国会 衆議院 郵政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十日(水曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 尾関 義一君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 山本 久雄君 理事 受田 新吉君       池田正之輔君    石原  登君       高木 松吉君    玉置  實君       坪川 信三君    降旗 徳弥君       山本 猛夫君    田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         郵政政務次官  寺本  齋君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ――――――――――――― 二月六日  委員山本猛夫辞任につき、その補欠として小  西寅松君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員中野武雄辞任につき、その補欠として山  本猛夫君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員山本猛夫辞任につき、その補欠として中  野武雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員中野武雄辞任につき、その補欠として山  本猛夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十九日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第三六号) 同月六日  長野市古牧地区に無集配特定郵便局設置請願  (田中重彌君紹介)(第四七〇号)  一方井郵便局集配局昇格請願山本猛夫  君紹介)(第五〇五号)  御明神郵便局集配局昇格請願山本猛夫  君紹介)(第五〇六号)  渋民郵便局集配局昇格請願山本猛夫君  紹介)(第五〇七号)  郵便料金大口使用者特別優遇に関する請願(  庄司一郎紹介)(第五三九号) 同月九日  田島から檜枝岐まで郵便自動車路線延長等の請  願(菅家喜六紹介)(第五八二号) 同月十八日  簡易生命保險最高金額引上げ反対等に関する  請願庄司一郎紹介)(第七七二号)  江東区に郵便局復活請願天野公義紹介)  (第七九二号)  皆野郵便局舎新築に関する請願青木正君外一  名紹介)(第八六三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十二日  野戦郵便貯金の払戻しに関する陳情書  (第四  五八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  簡易生命保險法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第三六号)     ―――――――――――――
  2. 尾関義一

    尾関委員長 これより郵政委員会を開会いたします。  昨十九日本委員会に付託になりました郵便貯金法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。寺本政務次官
  3. 寺本齋

    寺本政府委員 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金貯金総額制限額及び利率引上げるとともに、積立郵便貯金及び定額郵便貯金預入金額引上げることによつて郵便貯金の利用を増進し、貯蓄の吸收をはかろうとするものでありまして、その内容は次の通りであります。  すなわち第一の改正は、貯金総額制限額引上げることであります。御承知通り郵便貯金の一預金者預金総額制限額は、昭和二十二年十二月以来三万円にすえ置かれているのでありますが、この金額が現在の物価所得等の水準から見て低きに過ぎ、制度の目的の達成及び財蓄増強に支障を招いておりますので、これを引上げる必要があると存ずるのであります。その引上げ程度は、一面において、昭和九年ないし同十一年を基準とする最近の消費者物価指数国民貯蓄額の倍率、郵便貯金増加指数等を根拠とし、他面において、郵便貯金利子に対する所得税免除の特典を勘案いたしますときは、昭和九年当時の五十倍である十万円とすることが適当かと存ずるのであります。  第二の改正は、利率引上げでありますが、郵便貯金現行利率通常郵便貯金が年二分七厘六毛、積立郵便貯金が年三分一厘二毛、定額郵便貯金預入期間長短に応じて六種にわけられ、三分ないし四分に定められておりまして、一般金利の上昇の趨勢に遅れ、銀行の定期預金利率に比べて著しく低いので、これを通常郵便貯金は年三分九厘六毛に、積立郵便貯金は年四分二厘にまた定額郵便貯金は、現在の経済事情考慮して現行預入期間種類を最短一年以下、最長二年を越えるものの四種類に整理し、その長短に応じて四分二厘ないし六分に改正し、貯蓄増強に資したいと存するのであります。もつともすえ置き期間が設けられている積立郵便貯金及び定額郵便貯金につきましては、その期間内に貯金の払いもどしがあつた場合には、一般利率よりも相当低い年三分の利率を適用することとして、解約の防止をはかりたいと存じております。またこの利率引上げを機といたしまして、法令上すでに廃止された種類郵便貯金、たとえば月掛貯金とかすえ置き貯金等で現に存するものは、すべて通常郵便貯金とみなして取扱うこととし、これら貯金預金者の利益を考慮する一面、事務簡素化をはかりたいと存じます。  第三の改正は、積立郵便貯金及び定額郵便貯金預入金額引上げることでありますが、これは貯金総額制限額引上げに伴う改正であります。すなわち積立郵便貯金の一回の最高預入金額現行の千二百円から四千円に引上げ、また定額郵便貯金預入金額につきましては、その種類現行の六種から八種に増加し、新たに五千円及び一万円のものを加えたいと存ずるのであります。  以上がこの法律案内容でありますが、何とぞ十分御審議の上御可決くださるようお願いする次第であります。
  4. 尾関義一

    尾関委員長 次に連合国占領軍の為す郵便物、電報及び電話通話の検閲に関する件を廃止する法律案、及び簡易生命保險法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。飯塚委員
  5. 飯塚定輔

    飯塚委員 まず簡易生命保險増額について、これは質問というよりもむしろ当局に対して御忠告を申し上げたいと思います。  簡易生命保險に関しては、増額しなければならないということが先年来の懸案であります。今度の政府提出として出されました原案は、これを八万円に増額する、そういう改正でございますけれども、これは何回となく論議を尽されておつて、八万円ではわれわれは承服し得ない問題だと思います。ことにただいま提案されました郵便貯金預入額増額に照してみましても、郵便貯金は三万円から十万円までに増額するという意図であり、これと対照してみますと、五万円の簡易保險額を八万円という程度では、その点からだけ見ても不権衡だと私は考えますから、当局としてはさらにこれを八万円より増額する御意思があるかどうか、この点伺いたいと思います。
  6. 寺本齋

    寺本政府委員 保險金最高限度引上げに関して飯塚委員の御質問、また政府への激励、御希望、その御意見はまことに傾聴に値するものでございます。この保險金最高限度相当額引上げなければならないと考えまして、いろいろ検討を加えてみまして、希望としてはいろいろの希望が出て参りますが、諸種事情を勘案いたしまして、原案通り八万円というものを提案いたしたわけでございます。これをもう少し引上げ意思があるかどうかという御質問でございまするが、一応この辺のところで適当じやないかと思つて提案をいたしたわけでございます。
  7. 飯塚定輔

    飯塚委員 この簡易生命保險金額増額に対しては、民間保險関係者からわれわれに対して、いろいろな手紙とかパンフレツトみたいなものを送つてよこしまして、民間業者官業をもつて圧迫するものだ、そういう相当強烈な言葉使つて、いろいろな資料がわれわれに届いております。政府当局においてもそういうことに災いされてと申しますか、先年来考えておつたもつと多額の増額を八万円に格下げしたのではないか、そういう懸念があります。民間側資料としてわれわれにいろいろ注文をつけて参りまする中に、先年五万円に増額した、そういうことによつて民業を圧迫する、これが増額せられたために簡易保險契約件数が非常にふえておる、そういうことも言つておりますけれども、件数がふえておることは事実であります。しかしその件数のふえたというのは、戦後の経済情勢の激変に伴つて、旧来の簡易生命保險のきわめて少額であつたものを整理して、改正した簡易生命保險の新しい規則に照し合せまして、きわめて少額なものはこれをとりまとめて新規契約に改めて加えたのであります。従いまして旧来からの件数と比べますと、その年度における件数はふえておるかもしれませんけれども、これは新しく純粋に増加した件数ばかりでなく、古いものをまとめて新しいものに改めて、それをその年度件数に加えたという結果でありますから、決して民業を圧迫し、官業のみが増加したのではない。そういう点で、もしも世間で懸念されるようなことがありましたならば、これは間違いであるということを、当局においても十分注意せられたいと考えますが、そういうお考えがあるかないか、これを伺いたいと思います。
  8. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問になられたことにつきましては、まつたくその通りであります。念のために政務次官の御説明を補足して御説明申し上げますと、私どもといたしましては民間保險を圧迫するという趣旨から、簡易保險最高金額引上げを企図したのでは毛頭ないのであります。引上げを企図した趣旨といたしましては二点ございます。その一点は加入者保險的保護をどの程度に持つて行くことがいいかということと、一点は事業現状から見て、経営上の建前からいたしまして、どの程度歳で持つて行くことがいいかということを引上げ理由にいたすのでありますが、一面また民間保險に対する影響等をも考えまして、事業の面、加入者保護の面からいたしまして、この程度数字になるとかりにいたしましても、民間現状等をも考えまして腰だめをした。従来最高制限額引上げの際には、そういう考慮払つておるのでございます。従いましてまず加入者保護の面から申しますと、御承知のように簡易保險最高金額をきめるにあたりましては、従来から中産階級以下の勤労階級生活の安定をはかることと、医療費なりあるいは葬祭費なり、あるいはある程度遺族生活の安定に必要な資金を充当するということを主眼といたしまして、今まで七回引上げをいたしたのでございますが、七回の引上げたびごとに、そういう趣旨決定しておるのでございます。従いまして今回の引上げの際にあたりましても、加入者保險的保護をはかるという面からだけ考えますと、基準年度をどこに置くかによつてある程度違いますけれども、少くとも相当量引上げをしなければ、ならないように相なるのでございます。これらの数字は、法律案提出いたしまして御審議をお願いいたす資料といたしまして数字が入つておるのでございますから、ここでは省略いたしますが、とにもかくにも加入者保護の面からいたしましては、八万円程度ではなくて、相当量数字に相なるのでございます。また一面、事業の面からいたしますと、この事業といえども、こういう加入者のためにやる事業におきましては、最も事業の健全なる基礎をつちかわなければならないのでございまして、独立採算制を堅持する必要は、長期契約であるだけ、その必要性は強いのでございます。そういう面からいたしまして、振り返つて簡易保險事業現状を見ますと、実は相当困難な状況にあるのでございます。現在まだ十五億の赤字を持つておるのでございます。しかも新規契約相当量出ない限りにおきましては、御承知のように現状からいたしますと、死差益で赤を埋めておる状況でございます。赤字原因事業費率が高いということでございます。赤の原因であるところの物件費人件費事業費の三十数億を、実は新規契約をとることによる死差益で埋めておるような現状でございます。そういう現状からいたしましても、保險新規募集相当量出なければならないようた現状にあるのでございます。振り返つてみますと、二十三年、二十四年、二十五年のときは、相当募集はできたのでございますが、その後募集実績は悪くなつておるのでございます。昭和二十四年は二十億円、二十五年は十五億円、二十六年は八億円というようなかつこうになりまして、五万円では頭づきになつておるような現状でございます。また保險の実際から見ましても、戦前におきましては、千人当りの契約をするのに千何人というように、ほとんど入つておつたのでございますが、現在の状況からいたしますと、戸主以外は大体入り得ないような状況になつておるのでございます。従いましてお父さんが死んだときに、せめても死後の生活の拡充をはかりたいという意味で、大部分は戸主世帯主が入つておるのでございます。それが現に七〇%入つております。あとの三〇%は、お勧めいたしましても入らないようなお方か、あるいはお勧めいたしましても資力の面から入り得ないようなかつこうの人で、とにもかくにも七〇%は入つておるわけでございます。それが五万円程度で押えられては、非常に保險的効果もないし、募集の面でもつらい現状でございます。また他面、先ほどお話がありましたように民間の方々は、二十四年、二十五年は相当量新規募集があつたではないか、こういうお話がございますが、ちようどお話になりましたように、実は乗りかえのために、実質上は旧契約であるのを新契約の衣を着たのにすぎないのが相当量おるのでございます。これまた資料として御参考のためにお渡しいたしておりますが、小額契約は実は終戦前一口最高千円のものが六千六百万件ございました。その六千六百万件のうちで、すでに四千九百万件整理いたしたわけでございます。これは大体二十三年の終りごろから二十四、五年に力点をかけて、二十六年もある程度やつたのでございます。あとに残るのはわずか千七百万件になつておりますが、これも今回御提案申し上げまして御審議をお願いいたします小額整理趣旨を含めまして、取立てを停止するという法案を出しておるのでございますが、これらの旧契約が形の上では新契約というので化けたのでございまして、新規でふえたと申しましても、四千九百万件の旧契約が新契約に化けて、形式から見れば新契約になつておるだけでございます。そういうような状況からいたしまして、われわれといたしましては、理想の数字は先ほど申し上げましたように相当上まわつておりますが、できるだけ民間事情もいろいろ考えまして、一応八万円と出したのでございますが、これにつきましては、よろしく御審議をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
  9. 飯塚定輔

    飯塚委員 ただいまの御説明で、増額する御趣旨はよくわかりましたが、そのお話の中に、遺族に対して一つ安定感を与えるということですが、この問題は、社会政策的な観点から出発した小額保險でありまして、その当時の経済情勢と今の経済情勢と比較してみますると、八万円どころでなく、これはもつと上げなければならない経済情勢になつておると思います。また遺族に対して、八万円でその遺族がはたして安定感を得られるかどうか、この点も十分お考えくださいまして、将来の増額に対する心構えをもつと強くしていただかなければならないと思います。これで私の質問を終ります。
  10. 尾関義一

  11. 山本猛夫

    山本(猛)委員 簡易生命保險契約額増額するという政府原案につきまして、寺本政務次官お尋ねを申し上げます。まず第一に、簡易生命保險にいたそうが、民間生命保險にいたしましようが、民心の安定という観点から考えましたならば、貧乏人の方が国民の数の中でパーセンテージからいつて多いということであるならば、簡易生命保險関係契約者に与えるまず第一義の目標としては、民心安定という眼目が相当大きく考えられていなければならなかつたものと思うのでおりまして、多分にさようなことを考えられて始まつたものとわれわれは了承しておりますが、そういうような観点からいつて、はたして政府原案の八万円で、一家大黒柱が死んだ場合に、葬式料払つてあと家族何名で何箇月生きて行けるかといつたようなことが、この算定基準の中に入れられたかどうか。もう一つは、わが自由党総務会では、二十万から三十万の間で保險金額決定するように、時の郵政委員長池田正之輔君と、時の自由党政調会長であります吉武惠市君にまかせて、そうして自由党の党議として数字をきめるようになつておりました。従いましてかような与党の総務会決定せられた事項が、この八万円を算定する閣議の算定基準の中にどういうふうに取入れられて行つたか、あるいは全然これを無視したのか、これをお尋ね申し上げたい。
  12. 寺本齋

    寺本政府委員 山本委員のお説の通り簡易保險保險金額が、葬式を出して、あと遺族が何箇月この保險金生活して行けるか。葬式費用にもよりましようが、大体これで後顧の憂いのないように保險金をふだん積んでおくということから考えれば、これは八万円という額はきわめて少額で、その目的に沿わないと思います。しかし今日のいわゆる簡易保險対象である庶民階級葬式費用であるとか、その後の一箇月、二箇月の生活はまじめにやつて行けば行けるのじやないかと思います。ただ決して十分でないことは私たちもよく存じております。自由党総務会が二十万ないし三十万円という額を出されて、その総務会決議政府原案に取入れたかどうかというお話でございますが、これはもちろん閣議できまつたことでございますが、大臣としても自由党に籍を置く大臣であります。もちろん総務会決議を重要な参考に置きまして、諸種情勢を勘案して八万円にきめてある次第でございます。総務会の意向を全然無視したものでないということだけは申し上げておきます。
  13. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それでは政府原案の八万円でかければ、民間業者の業態を圧迫して、これを危急に陥れるというような考えのもとに八万円をやつたか、あるいはまたこれを自由党総務会決定をしたように二十万から三十万の間で決定をするというようなことでは、民間業者相当程度圧迫すると考えてかようなものにしたのか、これをひとつ伺いたい。
  14. 寺本齋

    寺本政府委員 簡易保險対象とする分野と、民間保險対象とする分野とは、これは私の私見でございますが、多少これは違うと思います。簡易保險の額があまりに高額になると、民間保險をすぐ圧迫するように言う人がありますが、今私が申し上げたように、そう直接に影響はないと思う。しかしそれも金額によりまして、二十万とか三十万とかといいますと、やはり民間保險に多少の影響はあると思います。圧迫するというほどのことはないかもしれませんが、多少影響はあると思います。そういう点を勘案しまして、いま一躍二十万、三十万というものは摩擦が大きいのじやなかろうか、いろいろな点を勘案して、一応八万円にきめたのでございます。
  15. 山本猛夫

    山本(猛)委員 今寺本政務次官相当お苦しいお立場のようでありますから、あまりお困らせいたしたくありませんけれども、簡易生命保險というものは民心の安定のために創設をされたものであるということは、これは動かすことのできない事案でありますから、さようなものであるなら、一家大黒柱が死んだ場合に、どれくらいの保險金をとつたら葬式を出して、今後三人なり五人なりの子供をかかえて、何箇月やつて行けるかといつたところに焦点を合してきめるべきではなかつたかと思いますのに、だれが考えても、今日の物価指数からいつて、八万円ではおそらくさようなことは期し得られない。もう一つ今お答えを伺つておりますと、そう民間を圧迫するような数字とは考えられないといつたようなふうに伺われるのでございますが、それならば、なぜその国民生活の実態に焦点を合した数字をおきめになれなかつたか。これ以上政務次官お尋ねいたしてもお気の毒でありましようから、今度は保險局長お尋ねをしたいのでありますが、二十七年度募集計画は、数字でどれくらいになつておりますか、承りたい。
  16. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これにつきましては、予算の面と実行計画とございます。予算の面からいたしますと、今年度十八億の新規募集考えております。実行計画につきましては、いきなり十八億というような目標を与えることは、あまり現業に強くなるのでございまして、従いまして大体年三十億を目標にいたしまして、その余は余力によつてできるだけ期待するようなかつこうで参つております。
  17. 山本猛夫

    山本(猛)委員 二十七年度募集計画は、数字において十八億ということは了承いたしましたが、それでは二十六年度はどれくらいの計画であつて、二十六年度実行中の現在募集せられた数字はどれくらいでありますか。
  18. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 二十六年度におきましては、予算の面では十億でございます。実行計画といたしましては八億で、さらに期待をかけてやつたのでございますが、その結果はほぼ予算のところまで参つております。
  19. 山本猛夫

    山本(猛)委員 二十六年度は十億で、二十七年度は十八億という飛躍的な数字を承りましたけれども、それでは政府原案の八万円で、二十七年度募集計画の十八億というものは達成し得られるかどうか。御自信のほどを承つておきたい。
  20. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 目標といたしましては、十八億を達成すべく努力はいたすつもりでございます。しかし実績で確信があるかという御質問でございますが、その点につきましては確信ありと言いたいのでございますけれども、ちよつと自信がないところでございます。
  21. 山本猛夫

    山本(猛)委員 私はあまりしつこいことをお尋ねすることはきらいですが、大体政務次官から政府の御方針を承つたり、それから事務当局から今数字の面で御自信のほどを承つたのですが、これはどうもどちらからといつでも、政府原案に対しては承服できません。ですから政府にお申入れをいたしますが、政府原案の八万円には断固反対でございます。ですからもう一つ考慮を願うように申し上げて質問を終ります。
  22. 尾関義一

  23. 受田新吉

    受田委員 この簡易生命保險法改正案について、根本的な問題をお尋ねしたいのであります。  それは政府はこの保險金増額を企図いたしまして、それより得られたところの收入、それに基く積立金運用権を、依然として大蔵省預金部資金として預託して、お役立て申し上げるような企図を持つておられるのか、あるいはこの金額引上げとともに、当然預金部に預託されておりまする積立金運用権を奪還する用意を持つておられるのか、お伺いをしたいのであります。
  24. 寺本齋

    寺本政府委員 受田委員の御質問に答えます。保險金積立金を御承知のように今大蔵省預金部へ預託しておりますが、この保險金最高限度を八万円に増額したこの機会に、保險積立金運用権郵政省の方で奪還するかというような非常にはげしい言葉でありましたが、これはせつかくこの保險契約あるいは集金等郵政省の末端の第一線の人たちが、非常な苦労をして募集に当つておる、あるいは集金に当つておるわけであります。ことにこれらの資金が集まりまして、預金部に参りますと、その運用が主として大都会といいますか、中央に流れ出るのが多いのであります。こういう郵政省を通じあるいは郵政局を通じて地方から集まつた零細なこれらの保險金が、また地方の御用に役立つようになれば、保險募集といいますか、こういう面も非常に円滑に行くのじやなかろうかと思います。そういう考え方によつて、私たちはこの機会に——という言葉は行過ぎかもしませんが、近い将来に、これは他の面とも折衝しなければなりませんけれども、郵政省においてせつかく集めましたその保險積立金というものの運用を、郵政省の手でやらしていただくように、そういう機会をなるたけ近い機会につくるように努力したいと考えております。そういう考え方であります。
  25. 受田新吉

    受田委員 問題はこの法の改正によつて得られた資金が、依然として国家資金統一の美名のもとに、政府の独得な方針で大蔵省を中心とする運営がされるときには、加入者の便益も、また加入のために努力をした従業員の努力にこたえることも、非常に制約を受けるのです。私はその意味で、政府は近き将来にという御意向を持つておられるのであるが近き将来は二、三年先で四、五年先でも言えることであるが、この金額引上げと同時に、交換條件として大蔵省からこちらへ奪還をして、現に今簡易保險局長より御説明があつたごとく、改正の要点は加入者保險的保護という点に第一の要点があり、第二に事業の平常における目的をあげておられるのですが、加入者保險的保護ということに対する金の差繰りというものは、まことに微々たるものであります。政府が出しました資料を見ましても、簡易生命保險積立金運用状況は、その投資種目をながめましても、公共団体の証書貸付とか、あるいは契約者の貸付とかいうようなことは、比率がほんとうにすずめの涙であつて、ほとんどが資金運用部の方へ持つて行かれておる。こういうことを考えたときに、改正目的の最も要点である加入者保險的保護ということやら、せつかくここへ提案理由説明にあげておられる葬祭費とか、遺族生活費とか、こういう問題に恩恵が与えられないのじやないかということを考えるのであります。これは根本問題であつて、せつかく大衆の零細な資金を吸收して、それが一部の特権階級とかあるいは特定の方向へこれが流されるということは、保險加入者が企図していないことであつて保險加入者の立場を守つているという点からいうならば、まことに残念なことでありますが、近き将来などと言わずに、ただちに政府としてはこれを用意しようという心構えがないのか、あるいは政務次官大臣の政務を補佐する重要な地位を持つておるのでおりますから、その意味で政府最高の方針として、これを早急に再び郵政省にとりもどすという腹を持つておられるかどうか、もつとはつきりした態度でお答えいただきたいのであります。
  26. 寺本齋

    寺本政府委員 受田議員は近き将来といえば一箇月も近き将来、二、三年も近き将来とおつしやいましたが、私の申し上げた近き将来というのは、そう一年も二年も先ということを考えておるわけじやございません。物事はやはりできるような順序をふまなければならないのじやないかと考えます。預金部資金が、資金統一の名のもとに統一されて大蔵省にありますのは、一面から見ますと、これはまだわれわれが近き将来——近き将来ということはいわゆるいよいよ自主独立の国家となるわけでございます。そういういろいろの事情を勘案して、受田議員の申された御意見は、私まつたく同感でございますので、そういう受田議員と同じような考え方を持つて——私の申し上げる近き将来というのは、決して二年も三年も先ではございません。きわめて近き将来に実現するようにいたしたいと思つております。
  27. 石原登

    ○石原(登)委員 ちよつと議事進行について——。直接大臣にただしたい重要な質問がありますので、ぜひ大臣に出席するように、委員長から申しつけをいただきたいと思います。
  28. 尾関義一

    尾関委員長 予算委員会並びに分科会に出席していましたが、その出席を通告しております。
  29. 受田新吉

    受田委員 政務次官大臣の出席があるならば、その方へ御答弁を譲られるだろうと思いますので、今の問題についてはこれで一応ほこを納めまして、次の問題といたしまして、先ほど以来飯塚さん、山本さんからこの最高制限額の問題について種々御発言があつたのですが、八万円という基準がどこから出た算定基礎によるものであるかということは、これは重大な問題だと思います。これが五万円が八万円に上るということは、引上げとしてはまことに微々たる問題なのでありますが、民間保險の従業員の方々が非常に反対をしておられる理由というものま、簡易保險局として本郵政省としても十分考えて、この案を立てられたと思います。同時に民間保險が十万円以下の契約に対しての無税の措置がとられておるのであるが、これが官営事業である簡易保險契約に、今まである程度のブレーキをかけて来たとも言えるのでありまして、民間保險と双方が互いに切磋琢磨して、保險事業の成績を上げて行くということが望ましいのでありまして、この点民間保險の従業員があるいは少し心配し過ぎている点がありはしないかと思います。これは現在の貨幣価値の問題でありまして、さしあたりこの従業員が、公務に従事している人たちが労災法によつて、死亡した場合に三年間の給料がもらえるという、こういう線を一つ考えましても、また現在の公務員の給与の一万円何がしのベースに考え合せましても、十万円をくぐる保險金額生活の足しにならないということは、これはもうはつきりしておることであつて、八万という数字をどこから出したか、微温的な引上げでありまして、このような案を出された意図が——今簡易保險局長からもこの案を御審議願いたいという御言葉があつたのですが、この案を審議するのはもちろんわれわれでありますけれども、政府として何かそこに奥歯にものがはさまつたような考え方でこの案を出しておられるのではないか。民間保險との対立の点があるならば、もつとそれを納得ずくで双方が理解し合つて行く。現に民間保險の従業員の各位が提訴しておりますあの郵政大臣の告訴事件なども、何かそういうまずいことを起すような伏線があつたのでありますから、事実保險金額を五万円で押えたそのことがもう大衆には非常に無理であつて、このぎりぎりの線でがまんしきれないから、自然あのような結果になつたのであるから、躊躇なぐ勇敢に最高契約額引上げて、そして民間企業である保險事業も圧迫せずに、同時に官営事業も大いに発展さして、国民保險意識を高めるようにすればいいのであつて、その点においては、政府民間保險事業に決して御遠慮されることはなく、双方がお互いに切瑳琢磨するという線でがんばれると思うのでありますが、政府民間保險業者との従来の折衝の経過、全然そういう民間保險業者に折衝しないで、突如としてこういろ告訴をされたのか、あるいは十分折衝をしたのであるが、民間保險業者たちがこれに納得しないでそういう態度に出たのであるか、そういう経過を御報告いただき、同時に八万円という基礎は、いまなお政府としては妥当であると考えるか、あるいはこれを提案したのは先月でありますので、それから相当時日もたつているから、現状においてはさらにこの八万円を引上げるような用意もされておるという含みがあるかどうかという、この二点をお伺いしたいのであります。
  30. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 まず最初に超過契約の問題の方に関してお答えいたします。この点につきましては私どもといたしましても、超過契約のできないような措置を従来ともやつておつたのです。しかしながら御了解していただきたいことは、何しろ終戦後におきまして、事業を建て直すために目標相当高く出した面もございまするし、また御承知のように、契約の面を担当する機関が相当多くて厖大であつたわけなんです。と同時に終戦後の用員関係等からいたしまして、ふなれな者が多少ございまして、それらの関係から若干そういうことがあるやに考えられるのでございます。しかしながらこのことは法律でああいう制限がある限りにおきましては、極力と申しますか、絶無を期すべき責任は私どもにあると存じておるのでございます。従いまして私どもといたしましては、一昨年来これが絶無を期するように、いろいろの手を打ちまして取締つてつておるのでございます。ことに昨年以後私貯金から保險に移りましてから、さらに拍車をかけまして、官営事業である以上は法律を守る、そのかわりにという意味で、あるいは郵政局の部長会議を開き、あるいは関係の課長会議を開き、あるいは支局、地方簡易保險局関係の契約担当官の会議を開いて、とにもかくにも五万円を守つてもらいたい、こういう強い要望を申し上げたのでございます。しかしながら一面五万円を越えるような面につきましては、加入者の側からいたしましても、先ほど御説明申し上げましたように、保險的な価値がないじやないかという面もございまして、部下を取締るにつきましては、道理に基礎を置いて取締るのと、道理を少し超えるような取締りをいたしますのとは、やはり実はつらいところもございます。そういう事情でございますが、しかし非常に厳格に取締つております。また民間との協調について何か手を打つたかというお話でございますが、民間の首脳部の方々も私の方にお見えになり、また大臣のところにもお見えになりましていろいろお打合せはしておりまして、将来取締ることについては御趣旨通りにやつておるわけでございます。問題は過去成立した契約を支払うか支払わぬかという問題に意見の相違がございます。しかし一応成立した契約である限りは、やはり事故が起れば保險金を支払うのが、加入者といたしましては善意であつたわけでありますから、善意の加入者に対しましては、契約は成立したけれども、金は今後払わないということはいかがかと存じまして、その点につきましては、民間の方々と少し意見が違つておるのでございます。取締る面については、相当強く取締つておることを御了承していただきたい、かように存ずる次第であります。  それから保險金引上げの面については、先ほど私御説明申し上げましたように、なるほど加入者側の生活の安定を期する面からいたしますと、八万円というのは事実低過ぎるとは存じます。しかしながら民間もいまなお立直りの過渡期にあるので、それらの面からいたしまして、どこかにある程度保險的効果の面も考えますが、片一方の民間事業に対する影響の方をも考えて、八万円にいたしまして御提案申し上げたのでおりますが、その標準はどこにあるかというお話であつたと存じます。それはあれこれ考えましてそうなつたのでございますが、民間の無審査の平均が大体七万一千円くらいが前年度分でございます。それだけではございませんが、それらの面もあれこれ考えまして、そういう程度にいたしたわけでございます。
  31. 受田新吉

    受田委員 この民間保險簡易保險とは、その目的保險といろ点においては共通でありましても、そのやり方において違いがあるのでありますから、簡易保險のように金額少額で、しかも毎月お宅へお伺いに行くとか、あるいは無審査であるとか、そういう独得の大衆的な、サービス的な保險というものは、民間保險をそう侵害するものではないと思うのです。民間保險というものはもつとかおつた立場からの大きな線で保險事業に貢献してもらえばいいのであるかち、民間保險小額保險簡易保險との競合について、そう苦労をしなくてもいい問題だと私は思つておるのです。ところが事実は民間保險人たちは、小額保險の区域を侵害されるものだというので、非常に心配をしておると思いますが、ここを政府がよく納得させる必要があるし、また保險事業者に対して監督的な立場にある大蔵大臣も、常にそういう点について政府の意向を伝えて、民間保險業者が不安を抱かないようにしておかなければならなかつた問題だと思うのです。この点ここにせつかく佐藤大臣が御出席くださいましたので、民間保險業者に対しての不安を一掃する上において、政府の措置がいかにとられたかという点について御答弁願いたいのであります。
  32. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま民間保險簡易保險との関係について、また同時に保險自身がいかにしたら発達するか、こういう点についてお尋ねがありました。御承知のように簡易保險ができました当時は、いわゆる民間保險と別個の分野でやるのだ、勤労階級を主体にしての簡易保險制度を設けたということでありますが、民間の方もその後この簡易保險がねらつておりました領域に、相当のくふうをいたしまして入つて来ている。ただいま御指摘になりましたような無審査保險も、民間自身もやつておる。あるいは月掛保險をやるとか、いろいろ同じようなことになつてつております。ただいまの状況では、簡易保險がねらいました点だけが、簡易保險の専売だというような状態に相なつておらないのでございます。     〔委員長退席、飯塚委員長代理着席〕 この点が今回の保險改正に際しましても、われわれが民間事業との調整をはからなければならない点であるわけであります。そこで私ども考えますのに、その同一分野において仕事をするといたしましても、簡易保險民間保險を絶えず競争の立場においてのみこれを見ることは、わが国の保險事業の発達から見て望ましいことじやない。大いに競争もいたします。お互いに切磋琢磨するという意味合いにおいて競争もいたしますが、保險事業を発達さすという意味合いにおいては、共通の目的を持つ、その意味において提携し得る範囲も十分考え得るわけであります。たとえば在来から簡易保險につきまして、税の免除の特別措置が講ぜられておる。民間保險においても十万円程度は、相続税を見ないとかいうような考え方もあつたわけでありますが、それらの点について、相当のくふうを凝らして行く。そうすれば双方相まちまして、国民貯蓄の奨励にも相なるし、また同時にそれは保險業そのものの発達にも実はなるわけであります。私どもの考えますのは、この双方が競争する面は、お互いにサービスを完全なものにし、りつぱなものを提供する、この点で民間も、それから官営のものも大いに競争するがよろしい。しかし同時に国民貯蓄を奨励して、そしてほんとうに国力の充実をはかつて行くとか、あるいは国民生活に安定を与えるとか、こういうことは共通の目的のように思いますので、その面においてくふうを凝らして参りたい、これが私どもの実は念願であります。ただ問題は、現在の民間保險業務というものは、いわれておりますようにその分野が違うというだけでは説明ができなくなつておりますので、同一分野に立つておりますが、敗戦後のインフレの非常な影響をこうむつております。従いまして民間保險としてなかなか思うような経営ができておらない。今日財界の状況も逐次安定して参つておりますので、この安定いたしました際におきましては、民間保險も一層の活動を開始することだ、かように私ども期待しておるのであります。そういうやさきでありますだけに、今回簡易保險増額するという場合におきましても、民業につきましては特別の考慮を払わざるを得ない。そこが先ほど来問題になつておりますように、簡易保險の限度を一体幾らにするかということで、私ども政府ないぶにおきましていろいろ考究いたしたような次第でありまして、今回提案をいたしておりますように、在来の五万円を八万円に引上げる、これが簡易保險といたしましても、また民間保險といたしましても、一応調整がとれる点ではないか、実はかように考えておる次第でございます。
  33. 受田新吉

    受田委員 民間保險の圧迫をいたさないという点も十分考慮して、八万円をきめたという御答弁であります。これは民間保險業者との間において、常に密接なる相談がされていたということになるのであると考えてよろしいか。特に昨年の末には、この簡易保險の違法行為について、最高制限額を越えた契約に対して、民間保險の方面で佐藤郵政大臣を提訴されているような実情にあるのでありますが、こういうようなところに非常にまずいものがひそんでおると思うのであります。これを何とか円満にして、しかも民間業者も納得ずくで、この国営事業である簡易保險が発展をして行くという方向をとつて行くことが必要であると思うのですが、この点について今お尋ねいたしました民間業者との懇談が十分なされ、了解点が八万円ということになつたのかどうか、この点を重ねてお伺いしたいと思います。
  34. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 この点は民間業者の意向というものを、私どもいろいろの機会に聞いてはおります。率直に申しますれば民、間保險といたしましては、現状のままで置いてくれということが、民間保險の強い主張であるように承知いたしておるわけでございます。従いまして今回八万円に限度を引上げますに際しましても、政府政府独自の考え方でいろいろの材料は勘案いたしましたが、事前に相談をしてきめたというようなものでは絶対にありません。私どもは自由な立場におきまして、諸種の材料を取入れて結論を出しておるものでおります。
  35. 受田新吉

    受田委員 私は政府がこの八万円という案を出したことに対して、何だか姑息手段であるということを先ほどからしばしば申し上げたのですが、出せばもう少し勇敢に十万円以上の線を出して、しかも今申された税の問題も、民間業者の方面にも十万円まで今無税になつているものを、簡易保險がたとえば十五万円に上げれば、民間保險の税の方も十五万円まで無税にするとかいうように、双方を同じ立場に立たせながら行くならば、そうその間における軋轢が深刻化することはないと思うのです。この点で今大臣も、現在のところ民間保險簡易保險も、まつたく條件が同じ線で契約されているというお言葉でありましたが、簡易保險がなし得ないところは最高制限額を越えた民間保險の線であつて、この民間保險が特に重点を置いている方面の線は、簡易保險はそのわく外に置かれておるので、とうてい勝負になりません。従つて互いに同じ立場に立つている線というものは、今の無審査の少額の分だけで、ここが民間保險の一部が簡易保險と重なつているので、その点の了解がつけばいいのであつて民間保險の他の方面、簡易保險の企図し得ない部面の努力は民間保險に大いにやつてもらい、相單なる部面のものは互いに切磋琢磨して保險事業の発展をはかつて行くという線に行けばいいと思うのです。その点民間保險を侵害しないで、しかも保險金額最高制限額を十万円あるいはそれ以上の線にまで引上げられる線が出て来ると私は思うのです。この点について政府はこの線を越えては、この案を修正して出す考えはないのだ、この原案をあくまで固執するのだという態度でおられるのかどうか伺いたいのであります。
  36. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほど来政府委員からもお話申し上げましたように、八万円と申しますのは、政府はこれが是なり、かように確信を持つて決定をし、提案をし、しかも御審査をお願いしておるような次第でございます。
  37. 受田新吉

    受田委員 先ほど政務次官にその片鱗をお尋ねしたのでありますが、大臣が御出席に相なつておるこの機会に、確信のほどをお伺いしたいのであります。それはこの保險金額最高制限額を三万円引上げることについて、当然増收が期待されなければならない。従つてその増收された部分は、その加入者のお互いの国民生活の安定の方向に振り向けられなければならない。ところが現在のところでは、せつかく加入者が血涙をしぼつて醵出いたしましたる保險料のその積立金は、その大部分が大蔵省資金運用部の方へ預託せられて、大衆はそのお互いの保健上の保護の問題についても十分の目的を果していない、またその金の運用について、もつと地方の開発の問題とか、あるいは加入者自身の生活の安定のための資金の問題とか、いろいろな線にこれを利用したいのであるが、これが国家資金の方へ吸收されて動かされないという立場に立つておるのであります。これは昨年の三月三十一日の国会通過のあの資金運用資金法の厳たる存在のある限り、手がつけられないのでありまするが、大臣はこの保險金額制限額引上げることによつて、当然これに加入する大衆の利益という点に重点を置かれて、大蔵省が一括して握つている、大蔵省独自の目的のもとにこれが運用されている、政府資金として運用されているこの積立金を、何とか奪い返すところの意図をお持ちではないか。持つておられるならいつごろそれを実施しようとしておられるのか、伺いたいと思います。     〔飯塚委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 受田委員お尋ねでありますが、どうも私全般の御質問理由について、納得が行きかねるのでございます。と申すのは、預金部資金なれば国民生活安定に寄与しないような疑問を持つておられたやの説明のように聞くのでありますが、政府資金というものは、御承知のように全部あげて国家の存立並びに国民生活に寄与するように実は使われておるものであります。従いまして郵政省で預かつたとか、あるいはその保險積立金だとか、これがただちに預金部資金としてその財源に組み入れられるから、国民生活の安定あるいは向上に寄与しない方向へ使われるのだ、こういうふうにもし思つておられるならば、いわゆる運用権の問題とはよほど縁の遠いお話のように感ずるのであります。その点は私の理解するところによれば、いわゆる運用権なるものは、大蔵省であれ郵政省であれ、同じ政府でありますので、二途に出るわけではありませんが、せつかく郵政省として集めると申しますか、いろいろ勧誘しておる、これらもその勧誘した人たちが、自分たちの手でやはりそれを地方に融資する道を開いてくれろとか、あるいはその資金運用を自分たちにもやらしてくれろ、こういう率直な意味合いにおいての働き方も、ただ勧誘とか資金を集めるばかりでなく、同時に散ずることも自分たちの手を通じてやらしてくれるのが当然じやないか、こういう意味の問題じやないかと思うのであります。私は、運用権自身はただいまありませんが、預金部資金として国家財源に入れられてはおりまするが、これはやはりいろいろ方法を通じまして、地方開発なり、あるいは国民生活向上のために使われておることはいなめない事実だと思います。ただ私ども考えますのは、在来も郵政省自身でやつておつたことでありまするし、また働く者の気持から申しましても、またそれに加入したりあるいは貯金をいたしたりする人たちの気持から申しましても、できるだけその世話をするところが、非常に遠隔なまた縁の遠いところで世話してもらわないで、その場所でというのが本来の筋だろうと思います。そういうふうな意味合いにおきまして、今国会においてぜひとも運用権の問題を解決してみたい、これが私どもの念願であり、事務当局ともいろいろ相談をただいま進めておるような次第であります。不日国会に本提案をするような運びにまでぜひともいたしたい、かように考えまして、ただいませつかく努力しておるような次第でございます。
  39. 受田新吉

    受田委員 大臣は積立の運用権の問題を、資金運用部の方にあつても、郵政省に残されておつても、大差はないのじやないか、問題はこれを利用する方の側が、従業員はわれわれが骨を折つておるものを、われわれで大衆にサービスしたいという気持に持つて行くとか、あるいは加入者自身も自分たちが金を出しているところから、いろいろと便宜をはかつてもらうようにしたいという気持があるとかいうような、軽い意味でこの積立金考えられておるのだというお話でありましたが、私はこの問題は、もちろん政府資金として国家の重要な面に使われるのは、これはあたりまえの話です。しかしその政府資金大蔵省に持つて行かれることによつて、大蔵大臣の強力な発言によつてその金が動かされるのであつて、郵政大臣はほとんどこれに関与することができないような——もちろん国務大臣としては関与されましようが、それに加入した大衆の声としてのその金の動きに対しては、十分の動きがとれない線にあると思う。従つて零細な大衆資金を集めたその金が、特定の資本家の方にまわつたり、あるいはこれが金融債引受けだとかいうような形において、銀行その他の金融機関が十分この恩恵に浴したりすることになると思うのであります。大体そういう形になつて来ておるのでありますが、実際に加入したお互いが、お互いの保健施設を向上する問題とか、加入者自身がもつと健康の保護をしてもらいたいという方面にこの金が使われていない。世界のどとの国を見ても、この点において加入者自身の健康上の保護資金的に制約を受けておるような国はあり得ないと思う。こういう意味からもこの積立金運用権大蔵省にあるということは、軽くどちらでもいいのだ、あまり深く考えるほどの問題ではないのだという御説明は、これは国務大臣として、各省の上にあつてその省の派閥を解消する立場でお考えの場合は当然それでけつこうでしようが、簡易保險加入者自身が、大衆の零細な生活をしておる人たちであつて、大資本家ももちろん一部あるかもしれませんけれども、先ほど大臣が言われたように、簡易保險は今も依然として勤労大衆がこれを利用するものであると私は思うのです。この点において、その加入者の便益供与という点において、資金運用部にこの金が置かれていることは、非常にわくをはめられていると私は断言できると思うのでありますが、いかがでございましようか。
  40. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 運用権の問題は、私は別に軽く考えてはおりません。ただ最初の御説明では、いかにも預金部にあれば特別な方向で大蔵省が使うのだ、これではめちやくちやじやないか。今の重ねての御説明のうちにもありますが、預金部資金は零細な金を集めたのだから、これが大資本家の方に融資されるということはとんでもないことじやないか、こういうお話であります。私、国家資金というものは、直接または間接において国民生活の向上、確保に寄与するものだということを、特に申し上げるゆえんであります。私どもの方といたしまして考えますのは、この簡易保險自身にも、ただいま具体的にお話がありましたように、加入者自身に対して直接利益を配当するような方途ももちろん講じて参りたいと思います。ことに簡易保險制度そのものから考えますれば、簡易保險の業績が向上して参りますれば、加入者に対して利益配当をする、これは当然のことであります。こういう直接のものもありますし、また同時に地方的な問題がいろいろ考えられ行くわけであります。そういう場合に、運用権のあるとないとでは明らかに相違するわけなんであります。これは私どもの方の仕事といたしまして、本来は集めることが主になつておりますが、同時に散ずることと申しますか、それを融資活用することも、これは集めるものが当然考えるべき筋であろうという意味合いで、実は運用権の問題と取組んでおるわけであります。お説のように加入したら加入したところだけへこれを返すのだというような、狭義と申しますか、非常に狭い意味の考え方は、必ずしも制度の運用から申して適当だとは考えません。もちろん甲の村から百万円入つたら必ず甲の村に百万円返さなければならない、さような意味のものではないし、この点は受田委員もかようなお話をなさるとは私も考えません。ただ私どもは資金を集めますが、同時にその零細な資金を集めて、地方の実情等についても、相当詳しく正確にその状態を認識していると考えるのであります。この意味合いにおきましては、私どもが運用することがより有効適切ではないか、国家的見地に立ちましてこれは有効適切ではないか、かような意味合いにおいて、運用権の問題と取組んでおる次第であります。
  41. 田代文久

    ○田代委員 関連して……。今の受田君の質問と同じ運用資金運用の問題ですが、新聞によりますと、開発銀行関係へこれを注ぎ込むというようなふうに出ておりましたが、事実そうですが。
  42. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 一部はそちらにもまわつておると思います。一部は……。
  43. 田代文久

    ○田代委員 先ほど受田君の質問に対しまして、大臣はこの金は国家的な見地から使うので、従つてこれを無理に地方に還元するとか、そういう狭い観点に立つ必要はないのじやないか、十分政府を信用して、国家的な見地から使うということに信頼してこれを使わしてもらいたい、こういうふうな御意見のようであります。というのは、今の御意見によりますと、開発銀行にこれを入れるということになりますと、実際におきまして現任の日本の情勢、またどこの産業に重点を置いて行くか、どういうふうにこれを持つて行こうとしているかという政府の現在の経済政策、あるいは財政政策からいいますというと、たとえば実際におきまして、地方財政は明らかに破綻して、六・三制の問題におきましても、あるいは災害が起つた場合における土木のための資金にいたしましても、こういつたものには非常にわずかしかこれかまわつて来ない。そうしてたとえば飛行機を生産するというような産業に対しましては、明らかにすぐ助成金をやる、こういろような政策が出ている。これははつきり再軍備とか、あるいはそういう特殊な独占資本の方に向けるという線が出ておるのでありまして、受田君が危惧されることは当然のことであります。従つてわれわれは全国民的な立場から、そういう零細なる人民の資金というものを、なぜ平和産業へ、実際に国民が平和のために、また安定した生活ができるように、災害を即刻に復旧するとか、こういう方面になせ使つてくれないか、先ほどの次官なり政府当局説明によりますと、大体もう簡易保險なんかの金を集めることは、頭打ちをして非常に集まらないから、これを引上げるのだというような結論のようでございますけれども、私はそれは非常に違つているのじやないか、これを実際に地方のそういう平和のために、また地方の破綻している財政を救うというような立場から、学校をよくするとか、厚生施設のために使うという線が明確に出ますならば、これは地方の公共団体にいたしましても、学校当局にいたしましても、どんどんこの募金のために協力すると思う。事実これはやつております。ところが実際に集めて見たけれど、その金は自分の方にはちつとも役に立たない。そうしてとんでもない飛行機をつくる助成金に使われるということになりますと、これは国民意思に反するわけでありまして、受田君が心配されるのは当然であります。私はなおこの点につきましてはつきり政府の御見解を承りたい。
  44. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいまとんでもないお話を伺つて、私実は驚いております。御承知のように、直接または間接国民生活の確保に寄与するのだということを申したので、今開発銀行——今年は直接開発銀行にはなつておりませんが、電源開発資金として六十億なら太十億出ておる。御承知のように預金部資金といたしましては、総額千五百五億になつておる。これは予算の上ではつきり御承知だと思う。そのうちにおきまして貯金が六百億、あるいは簡易保險が三百八十億でしたか、そういうような資金があるわけであります。そういうものが今言われますように、地方公共団体への貸付もありますし——貸付と申しますのは、これは地方の起債のわくになるわけですが、そういう問題もありますし、あるいは住宅金融公庫、あるいは国有鉄道公社、あるいは国民金融公庫、その他幾多の項目に実はそういう資金がわけられるのであります。でありますから、先ほど来申し上げておりますように、直接または間接必ずこれは地方にも還元されて来るわけなんです。その点を申し上げておるのであります。おそらく受田委員には御了承願えたと思いますが、田代委員の今の関連質問としてのお話は、どうもどの点を御指摘になるのか、ちよつと非常に縁が遠い。いきなり航空機生産の補助だとか、あるいは軍国予算だとか言われますけれども、  そういうものでは毛頭ありません。これは予算の使い方をよくごらんになればおわかりになるのであります。ただ直接還元ということになりますれば、甲の村で百万円集まれば、その百万円を甲の村に返せということになる。そんな資金運用の方法はないということを申し上げる次第であります。
  45. 受田新吉

    受田委員 いずれまた田代さんからは御質問があると思いますが、私は私の今の質問を続行さしていただきます。もう一点この問題で佐藤大臣お尋ねしたいことは、保險事業というものは、契約の面から、そうして保險金積立金運用の面から、さらには支払いの面に至るまで、一貫的事業として考えて行くのが系統立つたものと思う。保險事業で、世界のどこに運用権だけを抜き出したような事業があるか、あればひとつおつしやつていただきたい。この点から保險事業を一貫した事業と見る場合の運営という点で、お考えになる必要はないかと思うのですが、この点を念のために伺つておきたいと思います。
  46. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 集めるのが郵政省という国家機関であり、それ々散ずるのが大蔵省という国家機関である。これは政府としての一体性は御了承願えるだろうと思います。集めます点と散ずる点が別であつていいという議論を私は申しておるのじやないので、ただ受田委員お話相当論理的な飛躍があるのじやないか、かように考えますので、その点を御指摘申し上げるわけであります。私はしいて別の国家機関である大蔵省でやらぬでもいいじやないか、当然政府自身がそういうことをやるならば、自分たちの集めた範囲内において郵政省が散ずる。郵政省も国家機関だ。それならばその方が筋が合いはしないかというのが、運用権の問題のように思います。
  47. 飯塚定輔

    飯塚委員 関連して……。今の大臣お話を私は正直に受取りまして、非常に嬉しく思つております。というのは、今までの政府のお考えは、今の大臣のお考えとはかなり異なつ考えのように受取つております。それは大蔵省一本でやるというお考えのようでありましたが、今大臣が不日それを国会に本提出して運用権の問題を考える、そのお考えになるというのは、郵政省でやつてもいいのではないかということに重点を置いていいか悪いか、その点をもう一ぺん念を押してお伺いしておきたいと思います。
  48. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 この点は、皆様方の御要望も、前国会等におきまして、運用権郵政省にとりたいというお話をしておられる。私どももその線に沿つているいろいろふうなり研究を続けておるわけであります。特別な事情のもとにおきまして、一箇所でやることによつて政策が一定するのだ。なるほど一箇所で運用をやりますれば、運用自身が非常にはつきりするという長所はあることだと思います。しかし同時に、その場内はやや縁遠い点も生ずるのでありますので、長所と欠点と彼此勘案いたして参りますると、必ずしも一箇所だけでばかりやるのがいいという結論にはならないのだろうと思う。そこで運用権の問題について、国会の決議等本尊重し、その線において私どもが勘案するのが当然だと思つて、いろいろくふういたしておる次第であります。
  49. 飯塚定輔

    飯塚委員 どうかその線に沿つて極力、しかも近い機会において、強くやつていただきたいということを要望いたしておきます。これで終ります。
  50. 尾関義一

    尾関委員長 ちよつと申し上げますが、郵政大臣は分科会の方の約束があつたのを無理にちよつとこちらへ来てもらつたのでして、明日でもまた以後に質問を願うことにして、郵政大臣は分科会の方へ……。
  51. 受田新吉

    受田委員 もうちよつと…。これで終ります。御多忙ですが、大いに活動してもらわなければならないので……。一省の国務大臣ですからね。  それで今の佐藤さんの御答弁では、非常に国務大臣制が発揮されているのです。これは幅の広い大政治家として敬意を表しますが、一方において、こういう観点から不安を抱くのですが、郵政大臣としてのセクトを除くあまり、今度の電通、郵政両省や運輸省を一本にして、交通省にしろ、オーケー、こういうような形で大きな線で動かれ過ぎて、せつかく過去において歴史を持ち、伝統を持つて来たこの郵政省などがおそまつな取扱いを受けないように、この点特に御要望を申し上げて、大いに祖国再建のためにがんばつていただきたいと思うのです。
  52. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 大いに鞭撻、激励をいただきまして、私恐縮に存じておりますが、私大所高所からばかり物を申し上げるわけではありませんで、歴とした郵政大臣でありますから、郵政大臣としての所信を披瀝しておるのであります。別にとらわれたセクシヨナリズムでは意見を立てておる次第でもなければ、また直接省を担当しておるにかかわらず、無責任なお話をしておるわけでもありません。率直に私の所信を申し上げておる次第でございます。
  53. 石原登

    ○石原(登)委員 私は一点だけお尋ねいたしますが、今新聞で行政機構の改革の問題が出ておりますが、これは私ども自由党としまして、今日の日本の国情から考えて、行政整理には大いに期待もし、もちろん主張もいたしております。また同時に国民もそういうような観点に立つている、かように考えているわけでありまするが、どうも新聞に発表されたものは、あるいは事実であるかどうか知らないのでありますけれども、私どものかねて考えておりますところの観点から見た行政整理というものと、よほど縁が遠いのではないか、こういうことを考えるわけであります。特に本委員会に関係の深い運輸交通省、こういうようなものの考え方というものが、どういうような立場からああいうふうなことが考えられているのか、またあの新聞の発表について、所管大臣であるところの郵政大臣に対して、何か意見が求められておるかどうか、またあの記事に対して、所管大臣であるところの郵政電通大臣が、どういうような考え方を持つておられるか、これらの点を一応お尋ねいたしておきたいと存じます。
  54. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 行政機構の改革は、吉田内閣といたしまして非常な決意のもとに研究を続けておるのであります。しこうして新聞等に伝わつております行政管理庁の素案と申しますか、原案と申しますか、そういうものはおるのでございます。しかし閣僚間の意見の交換もまだ遂げておりませんし、もちろんまだ閣議で決定しておる問題でもないのであります。私は私といたしまして、いろいろ意見も持つておるわけでございますが、ただいま申し上げるように重大な問題であり、政府といたしまして十分論議を尽し、審議も尽した結果、最終案を得るという考え方でおりますので、ただいまは主として皆様方の御意見を伺うことが本筋ではないか、かように考えておるわけでございます。ただこの機会に私の所信の一端を申し上げますれば、まことに抽象的なものではありまするが、お預かりしております郵政省なり電通省なりが、行政管理庁の案から見ますれば、あるいは郵政庁になり、あるいはその他公社になるとかいうような案が出ておるわけでありますが、両省にとりましてはまことに重大なる問題でございます。従いまして一面、吉田内閣がぜひとも実施したいと考えておる行政機構の改革につきましては、ぜひともこれをなし遂げたいという強い考え方を持つておりまするが、そういう決意を持てば持つだけに、よりりつぱな行政機構改革案を出さなければならないものだ、特にお預かりしております省等が、ただいま申し上げるような形において処理されるというようなことになりますれば、一そう重大な問題だと思いますので、その意味において慎重に、また各方面の御意見等もいろいろ伺いまして、私の最終的な決意をつくるべく、せつかく努力をしておるような次第でございます。決してこの問題を簡單に扱うというような考え方はないのであります。その点は御了承を賜わり、同時にまた当委員会といたしましても、非常な重大なる関心のある問題だと思いますので、皆様方の御高見等をも忌憚なく伺うことができますれば、一層の仕合せに考える次第であります。一言、私の考え方なり、また取組んでおります態度を明確にこの機会に申し上げる次第でございます。
  55. 石原登

    ○石原(登)委員 この機会に私大臣に特に要望いたしたいと思いますが、ただいま大臣からお話のありました通り、あの案に対しては、私ども実はいろいろな面で、まだ検討もしなくちやならない問題が多いわけでございます。率直に申し上げまして、自由党考えておるところの行政機構の改革あるいは行政の簡素化というようなものは、ただ單に省を名目だけ少くするというような考え方ではありません。その党の考え方が非常に誤られて、ああいうような線ができているのでありますし、また特にあの案をつくつたのは、官僚の人たちがつくつておるのであつて、非常に私は遺憾であります。ですからこの次の機会においては、政府部内において十分反省せられまして、自由党の真意をほんとうに行政機構の簡素化にあたつて進めてもらいたいということを、強く要望いたしたいと思います。時間の関係があるようですから、私の質問はこれで打切つておきます。
  56. 受田新吉

    受田委員 簡易保險局長に続いてお尋ねいたします。従来六千六百万件あつたというこの少額契約も、今日は非常に整理されておる。しかしこれをなおこのままに存置することは、非常に事務を複雑にさせるという点と、加入者にもかえつて御迷惑をかけるという意味があるのかどうか、とにかくこの際取立て中止といろ措置に出たい、こういう御意思でありますが、この残された少額保險契約は、加入者にしても保險料の取立てをやめて、なおずつと満期まで置ころというような意思のある人は、そうないだろうと思います。むしろこの際取立てを中止して満期まで置かぬでも、取立てを中止すると同時に、現在の額における還付金を支払つて契約を解除される措置をとられてはいかがでしようか。
  57. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 少額契約につきましては、お説のような御疑問も出るだろうと思うのでございますが、各郵政局管内の意見も聞いてみたのでございます。ところが実はおつしやるように、契約最高保險金額は一千円でございます。一件平均が二百七十四円程度でございます。しかも一件の平均の保險料が一円三十八銭程度のものでございまして、これらの契約については存続を希望しないじやないか、解約して還付金を払つたらどうかという見方も一応は研究してみたのでございます。ところが郵政局方面の意見を聞きますと、農村方面におきましては、この契約は孫が何才のときにやつたんだ。これを解約してもらつては困るというのもあるのでございます。従いまして記念としてとつておきたいという希望もあるのでございまして、また一面解約によつて還付金を払うといたしますと、加入者としては不利になるように今の法律を改正するわけでございまして、おあげする金が不利になる面もございますし、一面農村方面といたしまして、とにもかくにもこの契約は存続しておきたい、記念になるからというような希望を持つておる面もございまして、従いましてサービスの面については、あまり御迷惑をかけないような考え方をいたしまして、御提案申し上げましたような趣旨の、取立て停止をいたしたらどうか、こら考えたのでございます。
  58. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、その希望をする人もあるが、あとは、今まで乗りかえ制度もやつておりましようし、大体目的は達してはおりましようが、残された今の千六百万件ですか、全部孫の時代まで残しておきたい者ばかりではないでしよう。そうなれば、そういう特殊の希望者はそのままにしておいていいと思いますが、そのほかは、この際何か御契約の解除の希望はないかというようなことでも問うて、あればこの際整理しておくというふうにしておかれる方が、千六百万件の書類が残つているだけでも、台帳が残るだけでも、その事務の複雑さは相当なものではないかと思いますが、大した事務的な渋滞はありませんか。
  59. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 実はこれらの契約につきましては、自発的に解約をなさる方々には、認めておるわけであります。ところがやはり片一方、私たちが乗りかえをやつて整理したときは、御承知のように本人の申請によらなければならないことになつております。従いまして解約の手はずでにあるのでございますけれども、その解約という手を使つて、解約申請がないのでございます。集金に行けば出すわけです。従いまして一方的に法律で強制的に、そういう存続したいという意思加入者にあるにかかわらず、それを法律でもつて一方的に解約してしまうというのはどうかと考えまして、やはり加入者意思をそんたくいたしまして、あれこれ考えてみますと、一方的な解約でなくて、自発的な解約はすでにあるのでございますから、この案のようにやつたらどうか、こう思うのです。それで手数の面としては、台帳はございますが、これはどうせ別に整理して、貯金でいえば活動する契約原簿と一緒でなく、別整理しておくと、そう大して手数がかからないのではないか、かように考えて、この案を御提案申したのでございます。
  60. 受田新吉

    受田委員 この問題は非常にこまかい問題なんですが、今までこの保險をほつておる人は、継続の意思がなく、とりに行けば出す、とりに来なければほつておくというような人は、わずか千円もらつても、八百円もらつても大したことはないのですから、これは忘れておる人が非常に多いだろうと思います。従つて忘れているような保險が、いつまでもそんな少額が残つているというようなことは、非常に事務が煩瑣になるだろうと思いますし、何らかの年限を切つて、従来の保險に申入れがないものに対してはこうするとか、あるいはもし法律の上に現定することが困難であれば、技術的に、集金の際に少額のものは御契約を解除されてはいかがですかという勧奨をされて、その契約解除をおはかりになる、こういうふうな手を打つ。つまり取扱い上の問題か、あるいは法的に現定するかの問題なんですが、このようなものが、終身保險に入つておつたとしまして、これから五十年も先まで続いたとしますと、これをそのままずつと簡易保險局としては、台帳を残されるかどうかの問題になると思いますが、記念の保險ならば、この機会にこの保險はこういうふうに切りかえたという、記念保險でも渡しておかれて、今までのものを一応打切るというようなことも、ある程度新しいセンスを味わうことができるのではないですか。
  61. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 実は私どもも、最初はそういうような軽い気持であつたのでございますが、しかし農村方面に参りますと、やはり契約は存続したい、集金に来ればそのときおあげしましよう、こういろ人もあるし、また手数の面からすれば非常に困るわけでありますが、こういう法案を御採択していただきますと、窓口で一年間前納いたしまして、一年分一ぺんに払う人と、それから窓口に持つて来る人はお受けするようなことになつておりますので、従いまして、金額少額ではございますけれども、契約者の方で存続を希望しておるような面もございますので、解約の奨励という手もございますが、それより以上に出て、本人の意思を無視いたしまして、一方的に法律で解約して還付金を出すということは、保險のような長期契約対象とする事業におきましては、やはり保險の信用等を維持するために、少しまわりくどいようなやり方ではございますが、この辺でひとつやらしていただけば、望外の仕合せと存じます。
  62. 田代文久

    ○田代委員 乗りかえ制度に関連してですが、とにかく戦後インフレになつたので、非常に貨幣価値が下落して、それでどうも乗りかえ制度を廃止するとかせぬとか、こういう問題が起るので、今後こうこうこういう処置をするということで、御説明つておりますが、私は今後の日本の将来、あるいは貯金の問題、保險の問題を考えまして、非常に憂慮にたえないことは、今またかりに八万円なら八万円、十万円なら十万円で新しい契約をしましても、三年あるいは五年しますと、現在非常に自由党政府は戦争宣伝をやつておりますし、アメリカでも盛んにそれをやつている。もしかりに第三次戦争が起るということになれば、当然これはまた大インフレが起ると思うのです。すでにその可能性は非常に強いわけですが、そういうことになつた場合に、また同じ犠牲を保險契約者にかけられることになりはしないかどうか。従いまして実際の政策としましては、実際に政府は今後こういう問題が起つた場合には、かりに五年先にそういう問題が起つた場合には、貨幣価値が現在よりも百倍も下落したという場合には、その百倍に相当するずれをもつて政府は支払うというような、補償をされる意図があるかどうか、やはりこれと同じ轍をふむというようなことが考えられておるのではないかどうか。その点私ははつきりしていただきたいと思います。
  63. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 お話趣旨は、仮定の面が相当多分にあろうかと思うのであります。保險事業経営以来三十六年になつておりますが、こういうことを考えるというのは、たつた一回でございます。のみならずこれは加入者意思を無視するような考え方ではないのであります。御承知のように民間でも三年くらいは前納を勧めております。従いまして一年以上の前納をしていただく方々については、取立て停止をするわけではないのであります。のみならず窓口で取扱うものにつきましても、むろん取扱うのでございます。のみならず保險事故が出ましたときには、未払い保險料を差引くことになつております。従いましてこれは実質上の理論から申し上げますと、政府保險料を無利子で立てかえで行くという建前になつております。実質論といたしましては。政府が一方的に加入者意思をも無視してやるんだという建前にはなつておらないのでございます。ただこちらの事業経営の面から申しますと、手数もかかるという面もありまして、また一面事務費と比較考量いたしてみますと。政府の方で無利子で立てかえ払いをしてやるというような実質を持つたやり方をいたしましても、大体つじつまは合う、ころいうような考え方からいたしまして、事業上の必要もさることながら、加入者の側の利益をできるだけ尊重したいという面で、こういう御提案を申し上げたのでございまして、その点をひとつ御了承していただきたいと思うのであります。なお将来非常に物価が高くなつて行つたときには、物価変動にマツチするような、スライド的な保險金額の払いをしたらどらかというお話でございますが、これは事業の建前からいたしますと、掛金を対象にして、保險料の中からやるような建前になつておりますので、その点はそうできないと思うのでございます。
  64. 田代文久

    ○田代委員 結局非常に問題になりますのは、貨幣価値の非常に高いときに保險料を払つて、それを自分が受けるときには、実にただみたいなふうになつている。三十数年来今度が初めてだということをおつしやいましたが、私は今後それがまた再発する可能性が非常に多いという情勢に、現在あるということを考えなければなりませんし、それからまた国民にほんとうに安心させなければ、こういうことは成功しないと思うのです。非常に貨幣価値が高いときに納めた保險料で、今申し上げたように、百倍もとにかく貨幣価値が下落しておるときに、それで払つてもらつても、一向何にもならない。しかし高い貨幣価値で払つておりますので、当然私はそれをずらして支払つて、決して理に合わぬ話じやないというふうに考えるので、その点政府としては、安心して保險料をかけ、またはとれるように考慮される余地はないかどうか、また考慮されたかどうか、されないかどうかということをお聞きしておるわけであります。
  65. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 貨幣価値の変動があつた際の、いわゆる加入者側の不利な場合を御指摘して、それに対応するようなことを考えたらどうか、こういうお話だろうと思うのでありますが、長期契約の建前からいたしますれば、残念ながらそういうことはできないのでございますが、しかし簡易保險といたしましては、余裕金がある限りにおきましては、加入者に還元するというような建前になつておるのでございます。私どもといたしましては、できるだけ近い機会におきまして、たとえば利益配当も復活させたいと考えておるのであります。それでお話のようなことがあつた際は、その利益配当でかげんするというような考え方は、これはいたさなければならないと思うのでございますが、長期契約であつて、一定の時期を基礎にして保險料の基礎をはじいておるのでございますから、貨幣価値が非常に下つたときには、スライドするというところまで契約面で解決することは、少し無理と思いますが、しかし貨幣価値の低いときに集まつ積立金を十分持つて、しかも任意積立もするように考えて、そういう時代にあたりましては利益配当の額等において、調節することは考えられぬことはないと思います。そういう意味で私どもといたしましては、事業の堅実をはかりまして、できるだけ事業の伸びるように努力いたしておるような次第でございます。
  66. 田代文久

    ○田代委員 無理とおつしやいますけれども、われわれ加入希望者としましては、決てそれは無理じやないので、またこの点がはつきり解決しなければ安心できないし、これは当然先ほどの運用権の問題にも関連しますけれども、だからそういう蓄積した金をとんどんとにかく平和産業に使つて、そしてそれがもうかつた場合には、それを保險加入者に払うとかいうふうにしなければ、私は筋が通らぬのじやないかということを主張するわけでありますが、それはそれとしまして、先ほど私は超過契約につきましての政府の答弁を伺つておりますと、何だか非常にすべてがぼやけておりまして、超過契約という現象が起つた、これは結局従業員が悪い、部下が悪いのだというような、責任の転嫁をそういうふうに持つて行かれているような印象を受けたのでありますが、私はそれは非常にけしからぬじやないかと思う。実際に先ほど政府自身が答弁されましたように、非常に苛酷な目標確保を従業員に押しつける。これだけ必ず保險契約をとれ、この契約をはつきりとらなければ実績が上らないから、君の成績に関係するのだ、こういううしろから短刀を突きつけて仕事をさせるというような非民主的なやり方が、結局いやおうなしにそういうことをして実績を上げてとらなければならぬ、そういうことから、加入させるべきでないものまでも加入させるということに結果したのであろうというふうに、私は思わざるを得ないのでおりますが、そういう場合に、従業員がこうだつたから、監督しております、取締ろうとしております。少くとも指導幹部がこういうことを言われて、これで問題の解決になるかどうか。私は決してそうではないと思う。そういうふうな解決の仕方をされるところに、保險事業にいたしましても、全部の事業の行き詰まつているところがあり、そういう問題が起るということは、現在の簡易保險の機構なり、あるいは運営そのものに根本的に欠陥がある。民間産業との競合というような点におきましても、そういう点に私は問題があると思うのですが、そういう保險の運営、あるいは機構そのものに対する何か不十分な点とか、お気づきの点とか、ここはこうしなければならないと思うというようなことを考えられたことがあるかどうか。また考えておられれば、それに対する御意見を承りたいと思います。
  67. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 先ほど私が御説明申し上げたことが、言葉が足らなくて誤解されたことがあろうと思いますが、私が先ほど御説明申し上げましたのは、要員関係等から見まして、事務的にふなれな方も、量が多いためにやらざるを得ないような状況に相なつた点も、ある程度あるというのでございまして、そういうことを申し上げましたのは、一面今おつしやられたような面で、事業を立て直すために、あの当時におきましては、相当量保險募集しなければならない状況にあつたわけです。それはその当時の要員に比較いたしまして、もう二年ぐらいたつたらこの職にまわそうというのが、役所に入つてから一年たたないうちに、募集の量が多いために、そういう方々もまわさざるを得ないような現実もあつたからということでございまして、決して従業員がよく働いてくれなかつたとかいう意味では毛頭ございません。おそらくその当時における従業員の御活動は、涙ぐましいような御活動であつたと思うのであります。ただ問題は、おつしやるように、その当時におきましては相当量の新契約をとらなければ、保險が立つて行かないような状況でおりました。従いましてその当時におきましても、実は従業員並びに組合の方々に、事業を生かすためにはひとつ努力してくれないかといつて、御了解を受けて行くような手を打つてやつたのでございまして、私が申し上げましたのは、それほど要員関係に比較いたしまして、新契約をたくさんとらなければならない特殊事情があつたということを申したのでございまして、従業員がふなれであつたというのは、まだなれるところまで待つておれないような程度まで、量がたくさん来たということを申し上げた次第でございます。なお能率を上げるような点についてどうかというのでありますが、私の方といたしましては、事業の組織なり運営につきましては、能率が上るような方向に、随時改訂なり再検討いたしまして、事業組織を考慮いたして参つておる次第でございます。
  68. 田代文久

    ○田代委員 ただいま政府委員説明されましたことは、これははなはだ遺憾でありまして、とにかく保險経済を充足しなければならないということになります場合に、それを達成するためにはこれくらいの人員がいる、それに対してはどれくらいの熟練者がいる、また新しく採用した者に対しては、そういう点はこうこうこういうような方法でやらなければならないということは、当然政府としましては手を打たれただろうと思う。これを打たれずして、やみくもに集めろ、さあこれだけでやれ、こういうことでは政治でも何でもありません。従つて当然そういう点は準備をされ、新来者に対しましては懇切丁寧な指導のもとになされただろうと私は思うのです。ところが今の御説明を聞きますと、決してそうではない。目標額はたくさんある。だからとにかくたくさんかり出しましたので、こういう不始末なことができました。これでは政治でも何でもないのです。またこういう答弁でわれわれが納得できるかどうか。こういろ重大な失態をやりながら、私は国民の代表として、こういうことを地方に行つて話すわけに行かない。しかも、私は実際に超過契約制というようなものがあるかどうか知りませんが、私は法律的にこういうことはないと思う。ところが実際においては、これは今に始まつたことではなくて、だんだん年が積み軍なつて行つたのだろうと思うのですが、そういうことを黙認されておつたというふうに考えるのですが、この点どうですか。それから実際において超過契約による金額が大体どれくらいあり、何件あるかということを御答弁願いたいと思います。
  69. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 先ほどの御質問のうちで、超過契約を黙認しておつたのではないかというお話でございますが、黙認はいたしておりません。それから超過契約のものがどれくらいあるかというお話でございますが、実は保險契約は私の方ではカード式でやつておるのでございまして、府県ことに記号番号でやつておるのであります。従いまして名寄せその他の関係では相当の手数もいるのでございます。従いましてどのくらいの超過契約があるかということにつきましては、まだ資料を持つておりません。
  70. 石原登

    ○石原(登)委員 関連して簡單にお尋ねいたしたいのですが、簡易保險ももちろんですが、民間保險も、こういうような保險契約するという行為は、人間の社会生活の上によいことですか、悪いことですか、まずこれを今の質問に関連してお聞きしたいのです。
  71. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 私どもの考え方といたしましては、簡易保險はよい制度であると思うのでございまして、従いまして簡易保險契約することはよいことだろうと私は思うのであります。但し法律があれば守りたいということでございます。
  72. 石原登

    ○石原(登)委員 そうしますと、よいことであれば幾らでもこれは奨励するのが当然であると私は考えるのですが、この保險の場合本当然そうなつて来なくちやならぬが、何がゆえに保險最高制限額制度を設けて、現在五万円で抑えたのはどういうわけでしようか。
  73. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これは沿革的に見ますと、御承知のように簡易保險は簡易であつて少額で、しかも中産階級以下の人々に対しまして保險保護を与える機会を与えたいという意味で、独占になつておつたのでございまして、従いまして独占時代におきましては、やはりある程度の線を、民間その他の関係から見まして引かなければならぬ。引く基準は、先般御説明申し上げたような趣旨で引いたのであろうと思います。独占がなくなつた現在におきましては、無審査保險といたしまして、逆選択その他の面から見て、それより行き過ぎてはいけない線以上はやつてはいけないと思うのであります。その線を越えないで、無審査保險として、逆選択その他の関係の問題が起らない範囲内におきましては、これは民業であれば当然やつてよいことでございます。ただ官業といたしましては、従来の沿革もございますし、従いまして民間に対する現状等考慮いたしまして、国営事業でもございますので、一応法律で一定の最高制限額をきめておることであろうと思うのであります。従いまして国営事業である限りにおきましては、遵法精神その他の面から見まして、できるだけその線にくぎづけしなければならないだろうと思うのでございます。ただ徳義その他の社会性から見ますれば、悪をやつたというほどではないのでございます。国営事業なるがゆえに、やはり遵法いたしまして、もし遵法できないような、道理に合力ないような金額であれば、また議会にお願いいたしまして、上げていただくようにいたしたい、こう考えておるのでございます。
  74. 石原登

    ○石原(登)委員 單独事業であつたから、こういうような最高制限額をつくつたということは、よくわかりました。従つて私は保險はいいことである以上大いに奨励し、さらにこれは国民のその能力に応じて、幾らでも伸長さすべきものだ、私はこういうふうに考えております。そこでもし簡易保險の制度がなかつたとしましたら、今あなたがおつしやり、また私もさように確信するところの、保險の制度という、社会生活を行う上にいい制度が今日ほど国民の間に、普及発達したかということについて、あなたの率直な御意見を伺いたい。
  75. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 どうも御質問につきましては、手前みそのようなことになるのでございますが、しかしながら簡易保險制度が創業せられた当時の話を、先輩あたりに聞きますと、その当時におきましては、民間の方々も当初には相当反対なさつた模様でございます。しかしその後の経緯からいたしまして、御承知のように、保險につきましては、保險思想の涵養と保險の信用を高めることがまず第一であろうと思いますが、その面におきましては、簡易保險事業を創設されたために、民間保險が萎靡したとは考えられないと思うのでございます。また最高制限額引上げにつきましても、ただいまの段階まで七回やりまして、これで八回であります。それらの引上げした前後のものを比較考慮いたしますと、引上げたために非常に悪い影響を与えたというものは、実はないのでございます。ただ二十四年、二十五年の問題はありますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、あれは約五千万件に及ぶ旧契約の乗りかえが入つておつたのでございます。われわれといたしましては、少くとも簡易保險のために、民間企業に対して悪い影響を持つとは思わないのでございますが、またそういう影響を持たない程度にこちらとしても運営しなければならぬ、かように考えております。
  76. 石原登

    ○石原(登)委員 ただいまの私の質問で明らかになつたことを要約いたしますと、簡易保險に限らず、保險の制度は非常にいいことであるということがはつきりいたしました。しかもそれに対して、簡易保險が三十六年間に相当寄与して、このいい制度が国家的に普及した。ところがこの制度も、当時は独占事業であつたために、ある程度他の事業との関係も考え最高制限額を設けた。こういうことであつて、今では独占事業でないということは事案でありますが、そうしますと今最高制限額を設けていることは、まつたく民間事業保護育成させるためにのみ、この最高制限額を設けている理由があるということが明らかになつたわけであります。さようにいたしますと、そういうような民間事業保護あるいは助長させるというだけのために、国民一般大衆は、非常にいい制度であるものを、自分の自由な意思によつてそれをさらに継続する、あるいはそれを伸長させるということができないという結果になるわけですが、これはどんなものですか。ひとつ政務次官お尋ねしたい。民間事業の利益のために、一般国民の当然自分の意思によつて選ぶべき、しかもいいことが、抑制されていいものであるかどうか。私はむしろ今日なおこの最高制限額という制度を置いていることに対して、非常に大きな疑問を持つておるわけですが、政務次官はこの点についてどういうお考えを持つておりますか。
  77. 寺本齋

    寺本政府委員 お答えいたします。石原委員の御意見の面が、保險事業の面に多分にあります。それはごもつともな面でありますが、それがすべてではないと思います。やはり政府がやる以上は、保險の面だけをながめてはならない。すべて民間事業も育成して行かなければなりませんし、その調節をとつて行くのが政府の仕事だろうと考えるわけであります。そこで石原委員の御意見の面が多分にあると思いますけれども、それのみによつて制限額を撤廃して、無制限に自由契約を認めるというわけには行かないではないかと思います。やはり政府というものは各界、各層の面を考慮しまして、民間事業もある程度育成して行かなければならない。また民間事業も国家社会に貢献している面もあるのでありますから、それらの点をいろいろ勘案いたしますると、やはりどこかには一定の制限額という線を置かなければならぬじやないかと考えるわけであります。
  78. 石原登

    ○石原(登)委員 民間事業を育成することはけつこうですが、その育成のために、多数の国民を犠牲にしてはならない。ただいままでの私に対する答弁を聞いておりますと、この制度は非常にいい。また事実その通りなんです。国民にとつてもいいこの制度を、單に民間事業の育成ということのために、そういうものを犠牲にしていいかどうかというようなことを考えますと、なるほどこれを今すぐ全面的に解け、こういうような議論はいたしませんが、根本的にさように考えてみますならば、今日巷間伝えられているところの今回の保險の限度引上げについていろいろ行われているようなことは、非常に遠慮してもらわなければならぬということを私は考えるわけであります。先ほど受田君からもいろいろ質問があつて、この保險の限度のことについて、非常に中途半端な八万円というような線が出ているのですが、私の研究した結果から見ると、非常にあいまいもこである。いかなる面から考えても根拠が非常に薄弱だと考える。また次の委員会においてさらにつつ込んで質問いたしたいと思いますから、きようはこの程度でやめますが、いずれにいたしましても、こういう社会政策的な大きな政策は、自由党でこそさらに強力に推進しなければならぬ、こういうような考え方を持つておるわけであります。どうか自由党の出先である政府当局では、八万円なんというこんなおかしな考え方でなしに、もう一ぺん研究をし直されて、この委員会の空気も私どもの意見と同じようでありますので、政府は決してこだわらないで、もう一ぺんそういう面から御検討を願いたい。そうして次の委員会の場合は、きようのようなつじつまの合わない答弁でなしに、国民が期待する、また国会が非常に期待しているような線にあなた方の頭を切りかえて出直しを私は希望して、本日の質問をこの程度で打切りたいと思います。
  79. 田代文久

    ○田代委員 先ほどの質問に続きますが、政府の答弁によりますと、超過契約金額が幾らあるか存じませんということで、これは私は実に驚き入つているわけでありますが、そうしますと、かりに私なら私が、勧誘員から勧められて十五万円あるいは二十万円に入つておる。そして私が不幸にして死ぬという結果になつた場合に、政府は私に契約相当料を払つてくれるかどうか。つまり二十万円払つてくれるかどうか。それとも五万円と切つてしまつてあと十五万円はちよんにするかどうか。この点を私はあらためてはつきりお答え願いたいと思います。
  80. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 その点につきましてお答えいたします。実は少し専門的になるのでございますが、たとえば私が一件入りまして、千円なら千円の契約をいたします。そうすると大分県なら大分の記号番号が出るわけであります。そういたしまして、一年か二年たつてさらにまた私が入つて行くということになると、その間にカードが重なつておりますから、それを今一時に調べるということになると、相当手数がかかるのでございますが、しかし保險事故が出ましてお払いをするときは、証書を持つて来れば記号番号がわかるわけであります。従つて記号番号で引き出せばすぐ出るわけになつております。むろんお払いをするという点については、科学的になつておりますから御心配いりません。
  81. 田代文久

    ○田代委員 結局五万円しかくれないといふことになると思うのであります。私は二度死ぬわけにはいかぬから……。
  82. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 その点まだ説明を詳しくいたさなかつたのでございますが、今後契約をする際にあたりましては、超過契約は厳重に押えて行く。しかしながらすでに契約が成立している以上は、たとえば八万円でも八万円をお払いいたさざるを得ない、そういう考え方でございます。
  83. 石原登

    ○石原(登)委員 超過契約は厳重に押えると言うが、現在だつて厳重に押えているんでしよう。ただ今の制度では超過契約をしているかしていないか、おそらく私はわからないと思う。それだから超過契約がもしはつきりしておるとするならば、あなた方は厳重に取締らるべきが当然であつて、また当然今日までそういうふうに来ていらつしやると私は確信しております。ただ今の制度ではそれをチエツクする方法がない。それだからさつきの答弁にもあつた通り、片務契約であつて、またしかも後日そういうものが発見された場合でも、政府は責任を持つ、こういうふうに私は聞いておりますが……。
  84. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 今石原委員がおつしやつた通りでございます。
  85. 田代文久

    ○田代委員 もう一つはつきり念を押しておきたいのでありますが、さつき申しましたように、私が限度を越えて勧誘されて、二十万円なら二十万円に入つておる。私が死んだ場合、私の女房なりあるいは子供が、うちのおやじはとにかく二十万円入つておりましたから、二十万円お支払いくださいと言つたら、現在規定にはないけれども、政府は二十万円お払いします、こういうことになつておりますということで承知していいわけですか。
  86. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 おつしやる通りであります。
  87. 尾関義一

    尾関委員長 それでは両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。次会は明日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十四分散会