○立花敏男君 共産党は、ただいま
提案されております警察に関する
特例法に対して反対するものであります。
政府は、昨年、
地方自治体の財政的困難を奇貨といたしまして、自治体警察の国家警察への編入を企てまして、警察法の
改正を通過せしめたのであります。その結果といたしまして、国家警察は約二万人の膨脹をいたしました。
政府があえてこのことをなしましたのは、自己の売国政策、植民地政策に対する
国民の反抗におびえた結果であつたことは、疑問の余地がないのであります。そのことは、増強されました国家警察が、その後
国民の生活を守る闘い、平和を守る闘い、あるいは
日本民族の
独立を求める闘いを彈圧し続けて来たことによ
つて明白であります。しかし、
行政協定を締結いたしまして、一層売国政策と植民地政策を強行いたそうとする
政府にとりましては、いまだ昨年の警察法の改惡では足りないのであります。今回さらにそれを再改惡いたしまして、自治体警察の国家警察へのより一層の編入を促進せんといたしておりますのがこの
法案であります。
すなわち、昨年の
改正によりましては、自治体警察の国家警察への編入に約六箇月間の猶予期間を置いたのでありますが、この
改正では、その猶予期間をほとんどなくしてしま
つておるのであります。しかも、編入の時期につきましても四月一ぱいで打切
つておりましたものを、年度半ばである六月一日までさらに延長いたしておることであります。
従つて、この
法案が明白に暴露いたしておりますことは、一日も早く、一人でも多く国家警察を増強せんとして
政府があせ
つておることを示しておることであります。これは、四月十二日、あるいは四月十八日、あるいは最近の学生諸君の大きな反
政府闘争、
国民大衆の反植民地闘争、民族
独立の闘争が吉田
政府を完全に周章狼狽せしめておる証拠であると申しても過言ではないと思うのであります。(
拍手)
国民が生活と自由と
独立を求めて立ち上りておるのに対しまして、吉田反動
政府が與えましたものは、生活の改善あるいは民主主義でもなくして、まさに警察力の増強にほかならないことが暴露されたのであります。このことは、メーデー
事件の直後、緊急閣議におきまして、
政府が何よりもまず
決定いたしましたことが警察力の増強と警察制度の改惡であつた事実に徴しても明白であります。これこそ、まさに資本主義の没落を示すものでなくて何でありましようか。これこそ、まさにフアシズムの現われでなくして何でありましようか。しかも、この緊急閣議が、同時に
政府の手によ
つて多数殺傷されました
ところの
国民への陳謝の
決定をなさずして、ただアメリカ大使館への陳謝を
決定しておるという事実であります。(
拍手)
従つて、以上述べましたような警察のファシズムが、單なるファシズポではなくして、明らかに植民地的、買弁的なフアシズムであるという事実であります。
政府は、増強された警察力によ
つて、
国民の
基本的人権を剥奪し、
国民の闘争を抑圧いたしまして、八千万
国民をアメリカの祭壇に供せんとしておるのであります。
日本国民たるものの断じて許すことのできない態度であります。
しかし、この
法案は、他面非常に重大なことを暴露しておるのであります。それは、昨年の警察法の改惡によ
つては、
政府の思うように国家警察が増強されなかつたということであります。
国民も
地方自治体も、そう甘くはなかつたということであります。
政府は、平衡交付金を削減いたしまして、
地方自治体を財政的に破綻さしておいて、三千億の
地方税を收奪して、
地方住民の生活を破壊しておいて、そうしてこう言
つたのであります。自治体警察は金がかかるから国家警察にしてしまおうではないか。まつたく卑劣きわまる手段を弄したのでありますが、この手段は完全に成功はしなか
つたのであります。何となれば、今や
国民も
地方自治体のすべても、
政府の反動性を明白に知
つておるからであります。一昨年以来の平衡交付金の増額を拒否し総けて参りましたものは、一体だれであつたか。それはほかならないアメリカ
占領当局と、その手先である吉田
政府であつたことは、
国民の周知の事実であります。さらに最近、内外反動どもが
地方自治法を改惡いたしまして、区長の任命制を初め、
地方議員の定数の縮減等、大幅に
地方自治を抹殺し、
行政協定の実施を容易にせんと企てつつあることも、これまただれ知らぬもののない事実であります。
政府は、府県を全廃し、市
町村を現在の三分の一にしてしまう
ところの道州制の調査にすら着手しておるのであります。
今や、
日本の
地方自治は、
日本の再軍備と軍事基地化のための犠牲に供されんとしておる重大なる危機に立ち至
つておるのであります。
政府の考えている警察制度の
改正が、この売国的、再軍備的
地方自治の中央集権化であることは、今や一点の疑う余地がないのであります。このことは、
東京都において区長任命制と、警視総監の総理による任命制が同時に
政府において
決定されておるという一事に徴しましても明白であります。この
政府の惡辣な、売国的な陰謀を察知している
地方住民及び全国の
地方自治体は、財政をえさにして自治体警察を国家警察に取上げようとする
ところの破廉恥きわまる策動には断じて乗らなか
つたのであります。かえ
つて平衡交付金の増額による
ところの
地方財政の確立を要求し、
地方自治の確立を要求いたしまして、今や全国の自治体、全国の
地方住民が大きく吉田
政府に迫
つておることは、諸君も御承知の通りであります。
自治警察の国警への切りかえの期限を延長いたしまして、猶予期間をなくしてしまつたことは、この一般的な
地方自治の破壊の政策と明らかに一脈相通じておるのであります。しかし、
国民は断じて
政府の思惑通りには参らないのであります。何となれば、
日本国民は、今回のメーデー
事件あるいは早稻田
事件を通じまして、警察が
国民の敵であることを痛感いたしたからであります。(
拍手)米英ギャングに対しましては、一発のピストルを発射するどころか、逮捕さえできないと言
つておつた警視庁が、多数の都民、
労働者を射殺いたしましたり、自由なる学園を占拠したのであります。しかもなお法務総裁は、警察のやり方はまだ足りないと警察を扇動し、警察制度の不備を宣伝いたしまして、ひたすら人民彈圧のための警察力の増強に狂奔しておるのであります。
今や全
国民は、
講和発効直後に発生いたしました、
政府が惹起いたしました二大流血
事件を契機といたしまして、大きく
吉田内閣打倒に立ち上
つております。
労働者階級は、その先頭に立
つて第三波ゼネストを敢行することを決意しておるのであります。われわれは、その全
国民、全
労働者の
吉田内閣打倒、民族の自由と
独立のための闘いの一環といたしまして、断固この
法案に反対するものであります。(
拍手)