○横田甚太郎君 電源開発に反対討論する党が電源開発に反対しているのではなて、電源開発促進を云々する自由党こそが、電気文化と今後の
国民生活に理解なく、外資と自己の利得のために━━法案をもてあそんでいる。貴重な
日本の資金は、産業再建、
日本の経済の自立のために使わねばならないのに、自由党政権は、
治安費にむだ金を使い、
日本の混乱をますます深く広く広げている。これゆえに、電源開発、停電さえも解決できない現状である。これを前提にして私は討論を進めて行きます。
日本人が燃料不足に悩み続けておるとき、
日本におる
アメリカ人のボイラーはあかあかと燃え、
日本の炭坑夫が安い賃金で働かされ、掘つた石炭は
アメリカ人を暖め、━━━━━━━━━━━━━━━━━のために燃やし続けられていたんだ。
日本人が住宅不足や防空壕住まい、間借り、交通難にあえいでいたとき、
日本の主要な大建築物や大邸宅は
アメリカ八によ
つて占拠され、不愉快しごくな米人のぺンキ趣味で、
日本人の好みをめちやくちやにこわされていたんだ。寒風すさぶ嚴冬に、
日本人は衣料に苦しみ、はだを暖める布に不足し、冬の町をさまよ
つておるとき、すきま風さえ漏らぬコンクリーとの室内で、
日本の石炭と
日本の電力を使
つて、
アメリカ人は、はだ着さえ着ずに過せる、調整された暖かい空気の中で、ここえて歩くわれわれをあざ笑
つて見おろしていたのだ。
日本の主婦が、室内の掃除にほうきさえ不足とておるとき、
日本におる
アメリカ人は、
日本人を使
つて、電気で室内の掃除をや
つていたのだ。料金を拂
つてある
日本人の電燈はつかなか
つたのに
アメリカ人や、これと結んで占領下の
日本で不当な利得をあげておる、日米
協力への奉仕にこれ努めておる家庭や工場へは、
政府と配電会社の特別な配慮で、電力は不自由なくまわされていたんだ。
国民の電力は奪われ、米人のためにまわされる発送電のための費用は
日本人が負担させられていたんだ。断線でおどかされ、電燈料を強奪された
日本人は、ろうそくを買いに暗夜の町を走らされていたのが、
日本の今までの電力行政であ
つたのです。
この現状で、電力を
日本のものとし、これを理解し、
日本のためにおのれの身をしぼ
つてでも
日本の電源を開発しようという意力に満ちた
日本人ができるはずはないのだ。電源開発のための有能な技能者が、かえ
つて日本の政治を憂い、吉田
政府に言わせれば、
治安対象の士になるのが
日本の現在の政情なんだ。
日本の先人たちが開発した
日本の電力は、占領下においては、
日本の立上りを妨害し、経済の
民主化を阻害し、
日本人を苦しめ、かえ
つてアメリカ人に特権を保証し、米国が━━━━━━━━━━━━━━━利用され、運用されて来たのだ。ラヂオは
アメリカニズムの毒素を
日本にばらまき、脚光はブギウギ歌う女優を照し、(笑声)映写機は俗悪な
アメリカ西部劇の中に
日本人を誘惑し、
日本の映画をまた元のチヤンパラ映画の中に逆転させた。新聞は
アメリカ人の目を恐れ、
日本のために書かねばならない文字を削
つていたのだ。輪転機や、これをまわす電力は
日本のものであ
つても、プレス・コードと、三百二十五号やレッド・パージは、
日本の繁栄と民族の独立のための新聞を発行させなかつた。逆に
アメリカは、世界支配のために
日本の国土と人命を、東洋の━━━━━として
アメリカ国防のために役立たせる方向にのみかりたてていたのだ。
この條件下での
日本の政治と経済は、特需と新特需にやつと望みをかけ、一部少数の買弁的利得者にわずかの売国化資金を渡し、この利につながる少数者をごまかしておるのが現状なんだ。特需、新特需でまわつた機械と電力は朝鮮人民の━━━━━━━━━━━、世界の各所に━━━━━をばらまく下請のために動いでいたのではないか。
思えば、占領下の政治に経済に何のいいことがあ
つたのだ。占領こそは、原爆で押えた非人道的な
アメリカが、
日本を骨拔きにするための、
日本支配の口実に使つた政治形態ではないか。━━━━━━━━━━━━━━━━こそ
アメリカの実体ではないか。このようなものに、戰争放棄の平和憲法を持つ
日本人が電力を渡し、
日本国土の利用を許し、━━━━━ために日米
安全保障條約を結び、
行政協定で縛り、破防法で
国民の生気を吸い取る。これでは、
日本の独立の逆を行
つているのだ独立の第一歩は、占領をきらい、占領の変形をのろい、これに対して、おのれの身を滅ぼそうとも悔いない、むしろ打き過ぎる言行かあ
つてこそ、官本の再建は成り立つのだ。敗戦後の
日本を思う
日本人の魂は形成されるのだ。ここにこそ、
日本の守りと
日本の立上りがあるのだ。
日本に
政府や
警察があり、平和と独立
日本の再建を念願にしているなれば
日本娘でありながら━━━━━━━━━━━━━━━━━と異国名をちようだいしながら外国人と風紀を乱す
日本娘を説得これ努めてこそ、
日本の秩序も
治安も確立されるのだ。にもかかわらず、
日本の再建を妨げるこれらのことに対しては、
政府も
警察も、米軍指定の赤線区域でございますと公認するばかりか、外貨獲得のけなげな大和なでしことばかり三拜九拜するざまだ。これでは、憤激する人のできるのは当然ではないか
日本のために学ぶ学徒に、かたき討ちだとあばれ込み、血の雨を降らし、取材のための記者をなぐり、
学園教職員に傷を負わす警視庁と都下の
警察に━━━━━━なるものは、
日本にあだ討ち制度なるものが、いつの時代になくなつたということがわか
つているのであろうか。この━━━━を処理できない自由党政権は、どこまで思い上
つてしま
つたのか。ワン・マン一人さえ安泰なれば、
日本は安泰であると
思つているのか。
日本の
国民の数を忘れたのか。今権尊重の世界の動きに逆行するつもりなのか。税をみつぐだけが民草の務めだと
思つているのか。ここに現下
日本の混乱があるのだ。
過去とは別な
日本をつくらねばならない任務を持ちながら、おのれの尊い
責任が自覚できず、占領を招いた過去の
日本の戦争
原因除去へと真剣な
検討を続けることを怠り、
日本を滅ぼした戦犯、古ぼけた旧軍人、ひからびた政治家、定見のない、立居さえ不自由な外交官どもに今後の指導を願う愚かしき
日本今の集団を再生している
日本なればこそ、
日本は平和世界につながるための
努力を放棄したと酷評される
原因があるのだ。世界から糾弾せられた
日本の欠点を、
日本の力でただす
努力があ
つてこそ、
日本は世界に対して堂々と主張し、話し合えるのだこの
努力を放棄し、
アメリカの
指示のままに
国民の多数を困らせ、わずかの八種の繁栄のみをあせる、ここにこそ
国民の激突する
原因があるのだ。(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり)君たちは時間の勘定もできないのか。時計を見てみろ。
この政治が、
日本の国力を浪費し、電源開発を妨げているのだ。自由党政権とは、停電政権、料金━━政権のことであり、公益事業委員会とは電気料金値上げ委員会のことではないかこれらの人たちが言う産業の振興とは、
アメリカ━━兵器の下請承認ということではないか。━━━兵器の製造元
アメリカは、その
国民生活に満足しない人民たちが激増し、鉄鋼争議、石油争議と攻撃を展開し、その産業は音をあげ、むだな金を使うトルマン整理も秋に迫
つているではないか。━━━━━━━━吉国内閣は、産業の振興をうた
つて電源開発を云々しようとしても、すでに繊維と鉄鋼は操短を云々し、油脂、化繊また過剰生産で恐慌の様相を呈しているではないか。
アメリカや自由党の政権のごときは、電源開発というような、
国民協力を必要とする、かおり高き文化生活を云々せず、━━━━━━━━━━━━━や自由党の政権のごときは、電源開発というような、
国民協力を必要とする、かおり高き文化生活を云々せず、との対立の中で━━━━━━━━━━━━━━━━方が、がら相応であろう。
自由党よ、恥を知るなら、世界をすなおに見ろ。世界では、米国に対立し、自由党がきらう政権のもとにおいてこそ、ソ連、新中国の電源は開発され、河川は改修され、人民の自主権は回復され、国勢は隆々と盛り上
つているではないか。モスクワに建つた科学の殿堂、モスクワ
大学のことを知
つているか。平和と幸福のために自然を改造するスターリン共産主義大自然改造計画の偉容を知
つているか。蒋政権下、六十億ドルの米資で動員されなかつた中国人民が、人民政権のもとでは、淮河治水に二百数十万の動員に成功し、河は治まり、農工業は栄えつつある現状に眼をつぶるのか。この人民政権と国富のもとに招く世界経済
会議には参加させぬと、
アメリカ政府と
日本政府が共産主義者を監視続けていても、温厚篤実、
日本の未来のために考える緑風会の高良氏と、改進党の宮腰氏や、実業界の帆足氏は、モスクワの空から、
日本のメーデーに祝電を打
つて来ているではないか。
現下
日本では、
治安を乱す人々と呼ばれ、中核自衛隊、パルチザン、ゲリラ、人民軍と悪く宣伝されている人々こそが、世界のどこかで政権をにぎつたとき、皮肉にも電気文化の花を咲かせ、
アメリカの侵略を一歩も入れぬ驚異的治世をや
つている事実のみが証明されているではないか。
警棒は、労働者や学徒の頭をなぐるためのものか。それ以外に何に使つた。
警察拳銃は殺人のための武器か。吉田ワン・マン氏の政治指導とは、あばれ狂つた
警官に、もう一あばれのために、「しつかりや
つてくれ」ということ、これが吉田政権の本質か。
このように、無定見、無自覚、
日本のために考えられず、自己一家のためにのみ、営利と利得のためにのみ思いつかれた電源開発案なればこそ、十億ドルの外貨にさえすげなくされ、きつい売国條件を課せられるのだ。自由党に政治をやらせるな。資金を持たすな。彼らが持つ金は、殺人兵器を買
つて、この用兵の実戦的演習のために、町の各所で人民の各層と
衝突し、
日本を騒乱のちまたの中に案内して行くだけではないか。五月一日の人民広場における
衝突は、ワン・マン政権人殺し演習の第一歩ではないか。このようなことをしておいて、これを共産党のせいにしようとしている。必ず人民は立ち上るのだ。これは占領と自由党の治世に対する人民の怒りだ。これらの
衝突は、
政府の政策を改めない限りなくならない。
この必然性を知りつつ、なお準備しているのが、
警察予備隊を使
つての人民彈圧のための、またまた次の予行演習だ。自由党よ、カービン銃で撃
つてみろ。五月一日の怒りは、広場に集まつた人々のみが怒
つている怒りではないのだ、全国津々浦々の
国民の胸に持
つている怒りが一地点的に暴発されたのがこれであ
つたのだ。單に共産党が怒るだけではない。全国の
国民大衆が怒り、今後
日本のために政治する政権が確立するまで自由党に追討ちをかけるであろう。
吉田氏の顧問、自由党の
意見番、君たちのおやじ古島老さえが、メーデーのあれをチャンスにして
政府が反動化するようなら
日本の将来はおしまいだと言
つているじやないか。思い上つた自由党は、古島老が憂うる
日本のおしまいの方へのみ突き進んでいるではないか。こんな政権のもとに電源開発なんかできるものか。電源を開発し、
日本の産業を振興させようとする
日本人は、まず現
政府を打倒しなくてはならない決意にかり立てられたのが五月一日なんだ。毎日
国民にけんかを吹つかける自由党吉田ワン・マン政権を倒せ。民族解放、民主連立政権のもとにこそ、
日本のほしい、明るく平和な電力とその開発があるんだ。
君たちがきらうレーニンは、共産主義とは、ソビエト政権プラス全国の電化であると、人類を指導しているのだ。共産主義を悪く宣伝し、共産党彈圧に寧日なき自由党政権下で、
日本のための電力が開発されるものか。電気文化の花を咲かせ、世界に栄えつつある中ソへの和平のための
日本国内体制を確立せよ。これのみが
日本の電力を豊富にし、雨のみに左右される、底の浅い
日本の発電施設を科学的な、計画的なものにし、
日本人をろうそくと電燈の二本建生活より解放し、消えない燈火のもとに平和のための産業と勉学に終始させてくれるのだ。
ソ連、中国への交易禁止の
アメリカ人よりの命令を、
日本の
国民の力で打破り、車国、ソ連より安く買い、大量に売り、各
国民共存共栄の中で
日本の発展と繁栄をはかろう。平和な電気文化の中で、各人ひとしく楽しもう。この逆を行く自由党の
電源開発促進法案は、できもせぬことを、文字と言葉で、御丁寧にも外資導入をごつちやまぜて、ごまかしているだけであるから、
日本共産党はこの法案には絶対反対であります。(
拍手)