運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-10 第13回国会 衆議院 本会議 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十日(土曜日)  議事日程 第三十九号     午後一時開議  第一 電源開発促進法案水田三喜男君外五十一名提出)  第二 信用金庫法施行法の一部を改正する法律案佐藤重遠君外二十二名提出)  第三 気象業務法案内閣提出参議院送付)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  村上運輸大臣日航機遭難に関する調査結果の報告  五月八日の早大事件に関する緊急質問佐瀬昌三提出)  早稻田大学における警察官暴力行為に関する緊急質問受田新吉提出)  簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用に関する決議案尾関義一君外三百八十二名提出)  日本国アメカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法案内閣提出参議院回付)  日程第一 電源開発促進法案水田三喜男君外五十一名提出)  日程第二 信用金庫法施行法の一部を改正する法律案佐藤重遠君外二十二各提出)  日程第三 気象業務法案内閣提出参議院送付)     —————————————     午後一時五十四分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日航機遭難に関する調査結果についての村上国務大臣報告
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 運輸大臣から、日航機遭難に関する調査結果について発言を求められております。この際これを許します。運輸大臣村上義一君。     〔国務大臣村上義一登壇
  4. 村上義一

    国務大臣村上義一君) 先月九日、大島三原山の山腹において遭難しました、日本航空株式会社チャーター機もく星号事故原因調査いたしました結果につきまして、御報告申し上げたいと存ずるのであります。  今般の事故は、わが国民間航空開始以来の最も大きな悲惨事でありまして、かつ民間航空再開早々不祥事でありますので、これらの原因調査するため、政府といたしましては、ただちに航空事故調査会を設けまして、斯界の権威者の方に集まつていただきまして、愼重に各方面から検討を重ねました結果、以下申し述べるような結論を得た次第であります。  まず当時の状況から申しますと、この事故を起しましたもく屋号は、九日の午前七時四十二分、羽田飛行場出発しまして以来、館山通過後、通信が杜絶しましたので、ただちに各方面協力を得て、八方捜索をいたしたのでありますが、不幸にして、当日天候が悪く、視界が非常に狭い状況にありましたため、遂に発見することができず、翌十日午前八時三十二分に至りまして、捜索航空機によつて大島三原山の東側、東経百三十九度四十八分、北緯三十四度十二分の地点に遭難しているのが発見されました次第であります。その通報を受けますと、ただちに救難につきまして各方面に連絡申し上げ、その御協力を得たのでありまするが、遺憾ながら全員死亡が確認された次第でございます。政府といたしましては、ただちに現場調査員を派遣してその調査に当り、現場資料並びに各方面資料によりまして、航空事故調査会愼重検討を重ねた次第であります。遭難機は、アメリカ国籍のN九三〇四三号マーチン二ー〇ー二航空機でありまして、当日乗員四角、乗客三十三名を乗せて羽田出発しました福岡行きの定期便でありまして、途中大阪に寄港する予定であつたのでありました。同機の機長はE・G・スチユワート(三十六才)でありまして、飛行時間七千六百九十九時間、副操縦士はR・クレベンジヤー(三十一才)で、四千九百五時間の経歴を持つておりまして、ともにアメリカ定期航空連送操縦士としての資格を持つてつたのでありまして、最近一箇月間に、機長は十回、副操縦士は十四回この航空路飛行いたしておつたのであります。他の二名は日本航空の社員であります。この出発当時の搭載物は、燃料二七二〇キログラム、乗客、貨物、郵便物は合せて二六〇七・四キログラムでありまして、離陸重量は一七・八トンでありました。もちろん許容離陸最大重量の範囲内であつたのであります。かつ、これら搭載物重量は、航行の安全のため必要な平衡を保つていたことも確認されました。  離陸前に、羽田のコントロール・タワーは、館山大島経由大阪行き、飛行高度六千フイート館山通過後十分間飛行高度二千フイト交通許可を與えましたが、ただちにこれを、羽田出発後十分間飛行高度二千フィートと訂正しましたので、機長はこれを復唱して離陸したのであります。通常は離陸後ただちに高度を上げて行くのでありますが、当時、アメリカ空軍輸送機が一機、羽田上空二千五百フイートの高度で空中待機中であり、なお約十機が付近航行中でありましたので、この措置がとられたものであります。しかし、館山通過時の航空機から東京コントローラーへの通信は、午前七時五十七分館山上空通過、高度六千フィート、午前八時七分大島上空予定記録されており、また東京モニター記録によると、午前七時五十五分館山上空二千フィート、計器飛行館山南方十分間飛行高度二千フィートを保持し、次いで上昇するとありまして、いずれが真実であるか、その後の調査によりましても決定しかねております。  しかしながら、航空交通管制官機長責任分野について申し上げますと、管制官責任は、計器飛行を行つている航空機相互間及び航空機障害物との衝突を防止するために機長交通許可を與えること、こうアメリカ航空法において規定されております。一方機長には、交通許可の訂正を要求する権限、あるいはそれを拒否する権限が與えられておりますので、これらの指示に対して適正に判断する責務があるわけであります。従いまして、もく星号館山上空通報に関する東京モニター記録が正しくて、かつ操縦者錯誤に対して管制官注意を喚起しなかつたとしましても、この業務性格上、このことは操縦士航法上の錯誤を生ぜしめた間接原因とはなり得たとしましても、このことが、すなわち管制官注意を喚起しなかつたことが事故の直接原因にはなり得ないと断定せられるのであります  次に機体関係は、出発前の整備の状況並びに事故後の調査の結果から見ても、運航に影響を及ぼすような故障を起したとは認められません。すなわち、機体東向き傾斜約十三度の三原山斜面に、やや上向き姿勢で激突した痕跡からも、また破壊された機体の部品を調査した結果からも、室中分解をいたしたものではないことが明らかであり、また操縦性を失つて墜落したものとは考えられません。発動機は、両発動機とも、地面に残されたプロペラ痕跡及びそのピッチ角度から見ましても、また発動機点検の結果からも、何らの故障を発見できないのであります。これらのプロペラ痕跡による推定速度は毎時二百マイルと考えられますし、またプロペラピッチから、当時事故機巡航速度飛行していたものと認められます。  次に機体発動機の焼けた部分の調査から、また消火器を全然使用していなかつた事実から、航空機空中火災が発生したとは認められないのであります。装備品につきましては、まず無線通信機は、分解の結果、いずれも最後まで通信状態にあつたと考えられるのであります。また方向探知機は、大島並び燒津航空無線標識に合されていたのみならず、電源系統にも故障を認められないのであります。また計器類も、計器指度に一部異状を認められるものがありましたが、それは分解の結果、衝撃によるものと考えられます。衝突以前には、すべて正常の状態にあつたものと認められます。  さらに気象関係でありますが、当日午前六時、中央気象台観測結果によりますと、紀伊半島沖に千ミリバールの低気圧があり、東北東に毎時約五十キロの速度で進行していたため、関東、中部、近畿の各地方並びに四国東部は雨となり、東京地方下層雲底、つまり雲の最下部は千五百フィートでありました。この千五百フィートから一万五千フィートまでは密雲にとざされて、その視界はわずかに両翼が見える程度であつたと考えられます。また上層気流は、午前六時の羽田観測によりますと、五千フイト上空までは南東もしくは南南東、その風速は十ノット内外であり、六千フィート以上では、南風で二十ノットぐらいとなつてつたのであります。当時、大島付近には、多少の気流擾乱あるいは下向気流があつたとも考えられますが、乗客がほとんどバンドを締めていなかつたことからいたしましても、これが直接原因になつたとは、とうてい考えられないのであります。また航空機の凍結問題でありますが、羽田における上層観測の結果は、一万二千フィート上空におきまして攝氏零度線があることから凍結により事故を起したとは考えられないのであります。また羽田館山大島燒津の各航空無線標識も、それぞれ異状なく運転しておつたのであります。  以上述べましたことを総合いたしますと、機体が粉々に大破しまして、かつ乗客並びに乗務員が全部死亡しましたために、直接原因を確認することは困難でありますが、詳細な調査の結果から、操縦者航法上何らかの錯誤を起して、計器飛行のため、その航空路に規定されておる最低高度以下を飛行したため、このような悲惨な事故を惹起したと推定するのが最も妥当であるとの結論に到達いたした次第であります。  今後、この種の事故を防止するために、政府といたしましては、さらに自主的な立場において、航空機安全性確保運航従事員の技能の向上等につきまして、保安上の監督指導を強化し、航空交通管制の機能及び施設を強化し、さらに安全な航空ができますよう万全の措置を講ずる所存であります。  不幸にして本事故によりまして遭難されました方々の御遺族の御心中のほどは、まことに推察するに余りがあるのでありまして、ここにつつしんで哀悼の意を表する次第でありますが、今後この災いを転じて福となすべく、これを契機としまして、わが国民間航空がよりよき発展を途げることこそ、とうとき犠牲者のみたまを慰める唯一の道であることを信じまして、一層の努力を盡したいと念願しておる次第であります。(拍手)      ————◇—————  五月八日の早大事件に関する緊急質問佐瀬昌三提出
  5. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、佐瀬昌三提出、五月八日の早大事件に関する緊急質問、及び受田新吉提出、早稻田大学における警察官暴力行為に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。五月八日の早大事件に関する緊急質問を許可いたします。佐瀬昌三君。     〔佐瀬昌三登壇
  8. 佐瀬昌三

    佐瀬昌三君 私は、自由党を代表いたしまして、いわゆる早大事件に関する質問をいたしたいと思います。  去る五月八日、早稻田大学において惹起されました学生警察官との不祥事件は、参加学生九百余名、負傷者学生五十六名、警官二十五名に上り、しかもその場所は神聖なるべき学園であつただけに、近来まれに見る不祥事として、まことに遺憾にたえないのであります。また他方においては、最近すでに東大事件あるいは京大事件愛知大学事件等学生暴力的不詳事件が頻発しているだけに、これに対する社会関心はまことに重大なる竜のがあるといわなければならないのであります。よつて、私は、以下問題を大学側の問題と警察側の問題とにわけまして、文部大臣法務総裁に対して簡単に質問をいたしたいのであります。  第一に、大学側の問題として、去る五月一日のメーデー騒擾事件以後八日までの間に、全学連早大学生の一部に働きかけており、また八日の事件は、かかる計画的会合の結果として生じたものであるかどうか、社会はこれに対する疑念を抱いておるのであります。あるいは、これが当日の勢いのおもむくところ、単なる突発事件にすぎなかつたのであるかどうか。各大学における事件性格や事情を知りたいという立場におきまして、私はまず文部大臣に、この事件発生の動機、経過等一般状況について、あらかじめ御説明を願いたいのであります。  次に、当日学生二百余名が山本巡査を約十時間にわたつて軟禁していたのは、山本巡査が、刑事事件容疑者逮捕に伴う、いわゆる職務執行という合法的な大学構内に対する立入りによつてこれが発生したものであると報道されているのであります。従つて、これに対する学生行動は、まことに合法に対する非合法的な処置に出たものではないかと思われるのであります。この点に対する文部省における調査の結果を明らかにしていただきたいのであります。最高学府学生が千人近くも本事件に参加いたしまして、学校当局が、この間において学生を説得する力がなかつたのであるかどうか。いやしくも全国の父兄から学生を預かつている大学当局としては、この点に十分なる責任を盡すべきであろうと思うのでありますが、これに対して早稻田大学においてはいかなる措置がとられたか。これに対する文部大臣調査の結果をあわせて御報告賜わりたいのであります。  次に、大学事件について常に問題の中心になるのは、いわゆる次官通達の問題であります。本件刑事事件被疑者逮捕過程において惹起されたものでありまするがゆえに、本文部次官通達には何らの関係なく、いわゆる大学自治の中には入らないと考えられるのでありますが、これに対する文相の御見解はいかがであるか、この点も明らかにしていただきたいのであります。さらに根本的な問題といたしましては、この次官通達がしばしば各大学において問題になるのでありますが、これに対する知識の普及徹底について、文部省はこれまでどのような努力を拂われて来ているか。さらに基本的な問題としては、いろいろ情勢のかわつた今日、この次官通達によつて大学自治が全うされるかどうかという点に対する文相意見をただしておきたいのであります。  最後お尋ねいたしたい点でありますが、最近は、先にも申し上げまするがごとくに、大学内の学生運動が往々にして暴力化的傾向をとつておることであります。文相は、文教の一般責任者であります。これに対していかなる対策を有せられるか、この点に対する文部大臣の御所信を承つておきたいのであります。  第二には、警察側の問題として、法務総裁に承りたいのであります。本早稻田大学事件は、当日午前一時過ぎ、実力行使過程において惹起されたものでありますが、これがため合計九十余者負傷者を出しておるのであります。当夜、警官大学当局との間に、あるいはまた学生を交えて、いわゆる三者会談が催されたようでありますが、元来かくのごとき実力行使合法的に行われたものであるがどうか、また、がかる警察官行動が、実力行使が、合法と認められるには、その限界はどこに求められるか、これに対する法理的な見解を、まず法務総裁に承つておきたいのであります  第二は、いわゆる全学連の中には破壊的共産主義者がおるように世間には伝えられておるのであります。今後学園騒擾化を企図するとき、かかる点を顧慮いたしまする場合には、当然学園内のパトロール、あるいは学生逮捕研究室等における捜査等が必然的な問題として提起されると考えられるのでありますが、かかる場合、かかる警察官行動合法性限界はどうであるか、これに対する一般的見解法務総裁にただしておきたいのであります。  ひとり、かくのごとき大学構内における事犯ばかりでなく、最近は破壊活動防止法案が審議されておるがごとくに、社会多方面において暴力主義的行動が激化しておるのであります。治安最高責任者である法務総裁としては、これに対する警察制度そのものについて根本的な改革の御意見があるかどうか。これによらずんば、日本の講和以後、独立以後における治安確保が全うできないではないかという社会の不安を一掃するためにも、この点に対する法務総裁の御意見最後に承つておきたいのであります。(拍手)     〔国務大臣天野貞祐登壇
  9. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一に、この事件は計画的か、突発事件か、こういうお尋ねでございますが、私は、今まで調べたところでは、これは突発事だと推定いたしております。  第二に、職務執行のために警官がおもむいたのであるから、この学生行為は非合法ではないかというお尋ねでございますが、これは確かに学生行き過ぎたことで、非合法だと思います。それから学校当局には説得力がなかつたのかということでございます。これは突発のことで、非常に学校当局努力をされたのでありますが、十分にそれをしづめることは、急にはできなかつたのであります。  第三番目に、この事件次官通達によるかということでございますが、次官通達には入りません。第四番目に、普及徹底に努めているかということでございますが、この点につきましてはまだ十分でなく、学生も、いわゆる次官通達というものを誤解しておると思います。すなわち、これが集会あるいは集団示威行進に関するものであることを十分理解していない点があつて、この点は十分徹底させたいと考えております。それから、これで足るかということでございますが、この次官通達ではおおい切れない面がありますから、それは今後警察側ととりきめたいと思つて、すでに話を進めております。第五番目に、暴力化対策はどうだということでございますが、これは決して権力的にはできないと思つております。教育的にやるよりしかたがないという考えでございます。     〔国務大臣木村篤太郎登壇
  10. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まず、去る八日の早大事件はまことに遺憾に存じます。  ただいま佐瀬委員から、実力行使限界いかんという御質問がありました。いわゆる警察官実力行使は、警察官等職務執行法に基いてこれを執行するのでありますが、その限界は、少くとも必要最小限度にとどむべきであると考えております。しかし、その執行がいかにして行われるかということは、当時の情勢判断いかんによつて指揮者がこれをとりきめるよりほかはないのであります。しかして、本件におきまする事案についてこの実力行使がいかにして行われたかということになりますると、これはもとよりその当時の指揮者判断によるのでありますが、私のこれまでの報告を受けたところによりますと、この実力行使に至るまでの段階において、その判断、連絡がいささか不十分であり、遺憾な点があつたことは、私は率直にこれを申し上げたいのであります。この点につきましては、ただいま東京検察庁において十分捜査をいたしておりますが、もしも行き過ぎであれば、これについて相当の処置をとるべきは当然であろうと考えるのであります。  次に警察法関係でありますが、私は前々から申し上げます通り、文化の中心であり、また経済の中心であり、政治の中心であるごの東都、その警察が特別区公安委員によつて管理されておるのであります。政府は何ら干渉指示をし得ないのであります。かようなことでありますると、将来この東都治安というものを維持するのに、私ははなはだおぼつかないと考えております。さような観点からして、ぜひとも、ある種の警察法の改正は当然なさなければならぬと考えておりますので、いずれ成案を見た上は各位御審査をお願いいたしたい、かように考えております。(拍手)      ————◇—————  早稻田大学における警察官暴力行為に関する緊急質問受田新吉提出
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 早稲田大学における警察官暴力行為に関する緊急質問を許可いたします。受田新吉君。     〔受田新吉登壇
  12. 受田新吉

    受田新吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、今回の早稻田大学におきまする警察官暴力的行為に対しまして緊急質問をいたしたいと思うのであります。  今回の早稻田事件が、従来の類似の各大学事件とともに国民の非常な関心のもとに立たされておることは、御承知の通りであります。私も、昨日党を代表して早稻田大学当局へ伺いまして、当時の責任者である佐々木教育学部長並びに滝口学生厚生部長と面接いたしまして、その実情を聴取し、さらに神楽坂警察署責任者実情をお聞きし、同時に本朝以来、田中警視総監の出席を求めまして、その警視庁側意見をお聞きしたのであります。しかして、ただいま皆様の前に——この三者の立場と同時に、学生諸君言い分を加えまして判定した結論は、次の通りであります。一今回の早稻田事件が、従来の類似大学事件と特に違うところは、学生諸君がきわめて紳士的に、きわめて民主的に行動をし、警察官暴力的行為に、対してもこれに対し常に無抵抗を続けたということであります。(拍手)純真にして、かつ学理を愛するこれら学生諸君は特に自重自愛いたしまして、警察官に対抗いたしました。この早稻田大学問題を実はその事件の発端でありまするところの一警察官つるし上げ事件より検討いたしまするときに、このつるし上げ当時におきましては、いささか学生諸君にも感情の激発が伴つて行き過ぎのあつた点につきましては、私もこれを認めざるを得なかつたのであります。しかしながら、その後におきまして、この問題は、学校最高責任者でありまする学部長並びに学生厚生部長が直接これを引継ぎまして、警察署最高責任者である署長代理もしくは署長会談をいたしまして、平穏裡に交渉を進めて参つたのであります。しかるに伊藤神楽坂警察署長は、この学園責任者である両名に対しまして、簡単なわび状を出すことにはやぶさかではない、このわび状は、学園責任者の手を通じないで、直接この捜査に当つたという点は認めざるを得ないという意味におきまして、署長当該刑事に対しまして、わび状を書かすことに同意をしておられたのであります。そのわび状を書くことによつて事態が急速に好転することを認めました学校当局は、すみやかに警察の好意ある回答を求めたのでありますが、午前一時過ぎになりまして、この友好的に進められましたる警察署長との会談の途中において突如として警察隊約五百名が、平穏にその情報の発表を、平地にひざまづいて待つている学生諸君のところへ乗り込みまして、有無をいわせず、一方的に暴力を振つたのがこの事件の真相でございます。私は、この問題について、警察側言い分もある程度これを了とする点のなきにしもあらざることは認めますけれども、結論として、警察が一方的暴力行為に終始したという点は、ぬぐうべからざる事実であります。(拍手)しかも、この暴力的警察隊諸君は、その目的を逸脱いたしまして、学園窓ガラスを次から次とぶち破り、学校最高責任者でありまする学部長学生厚生部長さえも逮捕いたしまして、これに暴力を加えるという事実が発生したのであります。(拍手)平穏のうちに学園責任者警察署長会談をしておる最中に、一方的に暴力行為をなすことが、はたして民主国家警察行動と言えましようか。(拍手)ざらに、これら学園負傷者たちは、警察官諸君によつて傷ついたからだを校庭に横たえておつたのでありますが、警察官諸君は、一応目的を達成するやいなや、一齊に勢ぞろいして退去し、残されたる負傷者たちは、血を流して校庭に倒れておつたのであります。(拍手)これら負傷せる学徒を救済する道も講ぜずして引揚げた警察官が、人道的に人民の生命、財産及び身体を保護する最高責任者と言えましようか。私は、これらの事実に対しまして、ここに次の諸点を、文部大臣並びに法務総裁緊急質問をする次第でございます。  第一に、この早稻田大学事件は、従来の大学事件と異なつて無抵抗主義に終始したと思われる平穏なる行動をやつた学生諸君に対して、一方的に加えられたるところの暴力弾圧であるということを文部大臣はお認めなさるかどうか。(拍手)本日早稻田大学におきましては、島田総長の名におきまして声明書が堂々と校内外に掲げられております。その声明書には、学園自治民主化を擁護するために、学園自治を守るために、断固警察暴力的行為を排撃するという主張が堂々と述べられておるのであります。(拍手)この島田総長中心とする早稻田大学当局の声明を文部大臣は支持せられまするかいなか、お伺いしたいのであります。(拍手)この早稻田大学当局の声明に対し、法務総裁はいかなる考えを持つておられるか、お答えをいただきたいのであります。  次に、われわれは、独立国家となつた、このはえある日本の前途において、警察そのものが——人民の生命、身体、財産を保護すべき責任者たちが、みずから暴力行為を振つて国民を傷つけようとするこの根本に横たわるものは、特権的支配独善の政治が、やがては破壊活動防止法案の無修正通過などという方向へおもむこうとする危險があることを、多分に予期するのでありますが、政府は、自治警察は市民みずからが守るものであり、お互いの力によつて警察を守つて行こうという自治警察の本質を逸脱いたしまして、権力一本やりの警察に方向づけられておるこの現実の警察を、このまま見のがそうとせられるかどうか、お尋ねいたしたいのであります。(拍手)  さらに、最近頻発する警察官の武器使用の問題を、関連して質問したいのであります。この席におきまして、法務総裁は、メーデーにおいて、警察官行動はきわめて遠慮であつた、実はもつともつとやつてもらいたいところであるということを声明しておられたのでありまするが、このとばつちりが今回の平穏なる早稻田大学事件にまで及んで、そのときの警察官の一人は、メーデーのときの腹いせだ、やつつけろと叫んだり、学校責任者たちであるといなとを問わず、十ぱ一からげにやれというような、暴力的な言葉を使つておるのであります。(拍手)一国の治安を維持し、首都の警察権を擁護する立場にある東京都の警察官とだしましては、まことに遺憾な軽挙、暴言であります。  私は、この問題について、政府は共産党弾圧に名をかりまして、学園の不穏分子弾圧に名をかりまして、まじめな学生運動を極力抑圧いたしまして、せつかく民主的に強く立ち上ろうとする、若き純真なる学徒に対しまして、その前途をはばみ、官民の離間を策し、特に警察をして、親しむべき警察でなく、憎むべき警察という、非常に悲しむべき心情を植えつけることを憂えるものであります。(拍手)この点につきまして、文部大臣は、学園自治を守るために、学生諸君の研究の自由を確保するために、学園内における今後の警察権の行使の分野について、早急に警視総監そのほか治安関係責任者たちとともに具体策を案じ、これらの学生諸君の前途に光明を與えて、その発展を期する用意があるかないか、これをお伺いしたいのであります。  最後に、特にこの際お尋ねしておきたいことは、今回の事件において、大学当局は莫大なる損害を受けたのであります。窓ガラスを破壊され、及び学徒たちの負傷続出するこの現状に対しまして、政府はいかなる損害賠償の責任をとろうとせられるのであるか。(拍手)さらに、先ほど文部大臣から、学園の動きは一時的なものであつたという答弁があつたのでありまするが、しからば、この事件責任者——警察の一方的実力行為に対するところのごの責任者処断の方策については、いかなる態度を持つておられるか、これを法務総裁に伺いたいのであります。以上、きわめて簡単でありましたけれども、今回の早稻田大学事件が、真に民衆を守る警察でなく、民衆に暴力を振い、平和を破壊する警察行為であつたという点において、われら民主的に選び出された国会議員は黙視することあたわず、平和と民主国家を建設するために、断固政府の適切なる処断を要望いたしまするとともに、少くとも今後かかる事件が絶対に撲滅されるように、真に平和愛好国家として前進できるように、政府責任ある答弁を要求いたしまして、私の緊急質問を終りたいと思うのであります。     〔拍手)     〔国務大臣天野貞祐登壇
  13. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一に、学生の態度につきましては、学生は、ただいま申しましたように、次官通達というものを十分理解していないことから少し行き過ぎがあつたということは認めざるを得ません。けれども、大体として、非常に自重して穏やかであつたということは、私もこれを承認いたすものでございます。総長の声明については、まだ報告を得ておりませんが、新聞紙で見た限りにおいては、大体これを了承するものであります。(拍手)  それから第二番目に、警察につきましては、大学は治外法権ではございませんけれども、大学という学園の性質上、その警察権の行使については、ことに現在のような社会状況のもとにおいては、十分用意周到にやつもらいたいと思います。(拍手)  第三番目に、警視総監と相談をするということにつきましては、次官通達をもつてしては、まだおおいきれない部分については、すでに相談を始めておるのでございます。     〔国務大臣木村篤太郎登壇
  14. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 事件の真相につきましては、先刻佐瀬議員に対してお答えした通り、ただいま東京地方検察庁において、せつかく調査中であります、いずれその調査が判明次第、相当の措置をとろうと考えております。  第二に、学園の自由はこれを尊重すべきものであることは当然であります。しかしながら、破壊活動の温床となるようなことがあつては、これは国家治安維持上許すべからざることであります。この点については、われわれは将来相当の考慮を拂わなくちやならぬと考えております。  メーデーにつきましては当時の警察官処置はきわめて消極的であつて、決して大衆を挑発するような行動はなかつたと確信しております。  総長の声明につきましては、私は何ものも言うべきものはありません。      ————◇—————  簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案尾関義一君外三百八十二名提出)(委員会審査省略要求事件
  15. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、尾関義一君外三百八十二名提出、簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。椎熊三郎君。     —————————————   簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案    簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議  さきに第五回国会において院議をもつて、簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用を郵政省へ復元するよう要望したるに対し、政府は、善処方言明せるにかかわらず、未だその実現をみないことはきわめて遺憾である。   よつて政府は、院議の通りただちにこれが実施をなすべきである。  右決議する。     —————————————     〔椎熊三郎君登壇
  18. 椎熊三郎

    ○椎熊三郎君 私は、ただいま議題となりました簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案の趣旨を、ごく簡単に御説明申し上げたいと存じます。  まずその案文を朗読いたします。   簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案   さきに第五回国会において院議をもつて、簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用を郵政省へ復元するよう要望したるに対し、政府は、善処方言明せるにかかわらず、未だその実現をみないことはきわめて遺憾である。   よつて政府は、院議の通りただちにこれが実施をなすべきである。   右決議する。 本決議案は、尾関義一君外三百八十二名の提出でございまして、新憲法以来、かくのごとき大賛成を得ておる決議案は今回が初めてでございます。私は、この趣旨を弁明するにあたりまして、自由党、改進党、社会党両派その他を代表して趣旨を弁明するのであります。共産党だけは何らの関係もございませんので、特に御注意申し上げておきます。従いまして、改進党から社会党までの各派を通じての代表でありますから、各党それぞれイデオロギーの違つておる政党を代表するのは、なかなか容易ならぬことでございます。従つて、各党の共通の点、最大公約数の点に立脚して御説明申し上げるので、改進党だけ、あるいは椎熊三郎だけの発言ではないのでございまして、心ならずも、はなはだなまぬるい説明をしなければならぬことになつております。従つて政府におかれましても、さほど気に病むこともなかろうかと存じますから、御安心あつてしかるべきかと思います。(拍手)  さて、そもそも簡易保險並びに郵便年金の積立金の金額というものは、これら両事業の責任準備金なのであります。この責任準備金は、保險事業を運営するものそれ自体において管理運営せらるるのでなければ保險事業の完璧を期することのできないことは、諸君御承知の通りであります。これは国営たると民営たるとを問わない。わが国の実例におきましても、保險の募集と積立金の運用とを別個にした例がございまして、それらの保險事業はことごとく衰退しておるのでございます。  簡易保險は、御承知のごとく三十数年の歴史を持つております。戦時中、特別の措置として、一時大蔵省にこの積立金の運営が移管されましたけれども、終戦後ただちにこの変態的状態を矯正いたしまして、逓信省に復元したのであります。しかるに、当時占領治下にありまして、関係方面指示によつて、これが再び大蔵省の所管とかわつたのでありますけれども、保險業自体、簡易保險、郵便年金を運営しておる従業員はもとよりのこと、これを活用しておる地方民も、これらを批判的に見、政治家も実業家も、このような状態では、歴史ある日本の簡易保險事業というものを完璧に強度に発展せしむることができないのではなかろうか、一日も早くこれを郵政省に復元せしむべしという意見は、満天下の輿論でございます。(拍手)  本衆議院におきましても、さきに第五国会におきまして、この積立金を当時の逓信省に復元すべしとの決議案を、満場一致で可決しております。その後も、同一趣旨の決議案を一回可決しております。前後二回に及ぶ決議が両院を通つておるのであります。しかるにもかかわらず、昭和二十一年、関係方面から指示があつて以来、幾多の問題を起してはおりましたが、遂にドツジ書簡によつて動きのとれないことになりました。  実は政府におきましては、二十四年の九月にこれを郵政省に移管することに閣議は決したのであります。この閣議の決定に基きまして、二十五年七月、予算編成にあたりましては、この大蔵省が所管しておる積立金を郵政省に移管するという建前で、二十六年度の予算は編成したのであります。しかるにもかかわらず、これが関係方面の圧力によつて、そのことが実現を見ませんで、遂に昨年の三月には、資金運用部資金法なるものが成立して今日に至つておるのであります、内容については、すでに諸君御承知の通りでありますから、くだくだ申し上げません。  そこで、先般も郵政委員会などにおきまして、このことが活溌に論議せられました。とき、あたかも、簡易保險契約金高の増額の案が郵政委員会にかかつておりました。当時、院の内外を問わず、この問題に注意を拂われておりましたが、民間保險業者は、今まで五万円であつた保險契約高を八万円にするということには反対でございます。衆議院におきましても、参議院におきまして、委員は、各党を通じて増額に反対のものは一人もおりません。しかも、郵政委員会におきましては、十万円に上げようという案が大体多数の賛成を得ておつたようであります。政府原案は八万円、これを十万円にするか、原案通りにするか、重大なる政治問題が起りました時分に、有力なる自由党の郵政委員からは、今度はこの政府の原案通りにきめてもらわれまいか、そのことをきめることによつて、かねて懸案であつたところの積立金は、大臣の責任においてこれを大蔵省から郵政省へ復元させる、その了解はほぼついた、大臣もそれを決意しておる、それを促進せしめるために、本案は八万円でとどめてくれという政治的の交渉があつた。  私は、八万円を十万円にすることもわれわれの望むところだが、それよりも、さらに積立金を郵政省に復元せしむることの方が重大な問題であるので了解いたしました。社会党の受田君等とも相談いたしまして、これは原案をのもうじやないか、一刻も早く積立金の復元を期待しよう、そういうことで、本院は、あの保險金額増額の案は、政府原案通り通過しております。従つて、これの政治的責任から申し上げましても、一日も早く佐藤郵政大臣はこの実施に御努力なされなければならぬはずであります。  承れば、最近郵政省内におきましては、この復元に関する法律の草案さえ成立したということで、私は、きのうの閣議を注視しておりました。閣議にこれは上程せられて、きのうの閣議で当然決定することであると信じておりましたが、いかなる理由か留保されたということで、非常に私は憂慮いたしました。聞くところによれば、来る火曜日の閣議には必ずきめてみせるという郵政大臣の御決意だそうであります。一応私は郵政大臣の政治力を信頼申し上げて、これを期待いたします。  本決議案と同一趣旨の決議案が昨日参議院で満場一致可決されました。共産党も、珍しくこれに賛成したということです。本決議案も、三百八十二名の多数の提出でございまするから、おそらく共産党以外の方々は各党とも賛成でございましようが、いつも反対したがる共産党といえども、もし御賛成ならば、それを拒絶するものではございません。どうか満場一致をもつて通過することができますれば、私は仕合せだと思います。理由はくどくどしく申し上げません。第五回国会以来院議決定、すでに政府の方針としても決定しておるこの問題、占領治下ではない、講和條約の効力が発生した、自主独立の日本といたしましては、この外部的圧力というものはないのでありますから、本院の議決と政府年来の主張を貫徹せしむる意味におきまして、少くとも本国会開会中に移管に関する法律案提出せられんことを郵政大臣に要望いたします。  願わくば本決議は全会一致をつて可決せられんごとをお願い申し上げて、趣旨弁明にかえた次第であります。
  19. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。      ————◇—————  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法案内閣提出参議院回付
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 参議院から、内閣提出日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法案参議院回付案を議題といたします。     —————————————
  23. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  24. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ————◇—————  第一 電源開発促進法案水田三喜男君外五十一名提出
  25. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、電源開発促進法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長中村純一君。     〔中村純一君登壇
  26. 中村純一

    ○中村純君 ただいま議題となりました電源開発促進法案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  まず提案の理由と法案の概要を御説明いたします。思いまするに、自立経済の達成ということが現下わが国の最大緊急課題であることは申すまでもないところでありますが、この目的を達成するためには、動力源の確保が絶対必要條件であります。本法案の根本精神とするところは、かくのごとき重要なる電源開発については、既存の電力会社を初め、自家発電、公営企業及び新たに設立せられんとする特殊会社等、関係機関の総力をあげて全般的かつ急速に促進し、もつてわが国経済発展の基盤を築かんとするにありまして、これによつて昭和三十年度末までに約四百八十億キロワット時を確保し、三十一年度の鉱工業生産を戦前の約二倍として、産業需要を充足するとともに、国民生活の水準向上をはかろうとするものであります。  以上の根本趣旨に基き、本法案は三章、三十八條及び附則からなつておりまするが、その骨子とするところは概略次の三点であります。  その第一点は、まず既存電力会社、自家発電及び公営企業の開発計画を極力推進するため、その資金確保について政府が十分の努力をすることを義務づけられておることであります。すなわち、昭和二十七年度においては、特殊会社分を除くほかの開発主体の開発所要資金一千八十五億円のうち、政府関係資金より五百二十五億円を投入せんとしておるのも、かかる意図の現われにほかなりません。  その第二点は、大規模かつ国土の総合的の開発、利用へ保全を必要とするような特殊地点の電源開発については、新たに特殊会社を設け、主として政府の直接資金をもつて、総合的かつ急速なる建設に当らしめようとしていることであります。なお本特殊会社は、発電関係施設の建設完了次第、逐次電力会社に譲渡または貸付けんとするものであつて、みずから発送電の運営を意図するものではなく、もつぱら電源開発のみを目的とするものであります。  その第三点は、電源開発の円滑な実施をはかるため、電源開発に関する基本計画の審議または関係行政機関の施策の総合調整のため電源開発調整審議会を設け、総合的な観点から、水利権あるいはその他の権利関係の調整を解決しようとしているものであります。     〔議長退席、副議長着席〕  本法案は、自由党水田三喜男君外五十一名の提出にかかるものでありまして、去る三月二十五日、通商産業委員会に付託されました。すでに御承知のごとく、本法案はすこぶる重要かつその影響するところが多方面にわたつておりまするので、当委員会といたしましては、経済安定、建設両委員会と連合審査会を開くことに決定し、同月二十八日、その第一回連合審査会において、提案者水田三喜男君から提案理由の説明を聽取いたしました。越えて二十九日、三十一日、四月一日、二日、三日の五日間、連日愼重なる質疑を行い、連合審査会は終了いたしたのであります。引続き、当委員会においては、四月十二日より五月八日までの間、前後七回にわたり愼重審議を重ねたのであります。その間、四月十二日に、東北電力株式会社会長白洲次郎君、同月二十四日、東京電力株式会社社長安蔵彌輔君及び日本産業再建技術協会理事長久保田賢君をそれぞれ参考人として招き、その意見を聴取し、さらに四月十五日には公聴会を開き、日本化学工業協会会長原姿三郎君外十四名の各界代表者に公述人として出席を求め、それぞれの立場より本法案に対する意見を徴したのであります。  次に質疑のおもなる点を簡単に申し上げますと、まず「外資導入及び資金資材の見通し並びにインフレ助長の懸念なきやとの問いに対し、提案者並びに政府側より、」外資導入については確信を持つておる炉、その時期、金額等については、相手のあることゆえ今後のことに属する、しかしながら、外資の導入がなくとも、国内資金だけで本法案の計画に齟齬を来すことはない、資材の面では、セメント、鉄鋼は十分確保可能であり、銅については若干の心配もあるが、輸出規制等により確保可能であるへなおインフレのおそれはなぐ、かえつて経済界に好刺激を與えることになると思うとの答弁がなされました。さらに、特殊会社の設立は、電気事業再編成の趣旨並びに自由党の政策と矛盾するものではないかとの問いに対し、提案者側より、特殊会社は、発電施設の建設完了次第、設備を既存電力会社に譲渡または貸付けて、卸売をしないことが原則であるごと、並びに新会社の開発出力は全国の約一割程度のものであること等から、再編成及び自由党の根本政策に矛盾するものではなく、また旧日本発送電株式会社の再現ではないとの答弁があり、次に、既存電力会社に開発を担当せしめず、新会社を設立した理由はどうかとの問いに対しては、既存電力会社による開発はもとより期待するところであるが、長期巨額の資金を要する特定大規模地点の開発は多目的の総合開発が必要であり、かつその資金の大部分は政府資金に依存すること並びに外資受入れの見地からも新会社が適当な企業形態であると思うとの答弁がありました。  次に、開発地点と採算單価いかんとの問いには、電源開発調整審議会で決定すべきものであるが、試案として、第一期計画は、石狩、北上、只見、天龍、庄、熊野、吉野の七河川、第二期計画として、只見、熊野、庄川の二期工事と、十勝、四万渡、球磨の各河川及び琵琶湖が一応考慮されておる、なお開発発電單価は、三十一年度六分配当とし、第一次送電端において一キロワット時二円七十五銭となり、既存電力会社より、割安である旨の答弁がなされ、さらにまた、電源開発調整審議会の委員の構成は民間関係者が少く、非民主的ではないかとの問いに対し、二の点は修正するにやぶさかでないとの答弁がなされました。その他論議の焦点は、電力行政のあり方、総合開発のあり方、新会社の人員構成、配当、譲渡または貸付基準、送電計画、審議会の権限等に関する質疑でありましたが、詳細は会議録を御参照願いたいと存じます。  さらに五月八日委員会を開きましたところ、自由党多武良哲三君ほか十五名より修正案が提出され、ただちに提出者多武良哲三君より提出理由の説明を聴取いたしたのであります。そのおもなる修正点は、第一に、電源開発調整審議会の所掌事項中に、電源開発株式会社の開発完了設備の譲渡または貸付の認可基準の作成に関する件を追加すること、第二点は、同審議会の構成員中、民間の学識経験者三省を七名に増員し、かつ任期を三年と定めたこと、第三点は、自家用発電業者にも土地立入り等の特権と土地收用法の適用を認めることとしたこと、以上の点であります。  次いで、本法案の原案並びに修正案を一括議題として討論に付しましたるところ、自由党を代表して中村幸八君より、国民待望の電源をすみやかに開発するため本案はまことに通句なる措置であるとの賛成意見が述べられ、改進党佐伯宗義君より、電気事業再編成の精神に反し、また電力事情の現状等より見て本法案の内容は電力事業を破壊するものであり、さらに審議会の設置は公益事業委員会廃止の前提と見られ、これにより民主主義は破壊せられ、独裁主義となるおそれがある等の理由によつて反対意見が開陳され、統一いて日本社会党加藤鐐造君より、全国を貫く送電計画を持たぬ全国一社の特殊会社は、その企業性から見ても非能率的であつて、速急開発も、豊富低廉な電力の供給も、地域差の縮小もできぬとの点をあげて反対の討論がなされたのであります。さらにまた、日本社会党第二十三控室の青野武一君より、本案によつては豊富低廉な電力供給は望まれず、非民主的で、新特殊会社は日発再現となる等の理由により賛成しがたいとの反対討論がなされたのであります。  次いで採決に入りましたるところ、本法案の修正案並びに修正部分を除く原案はそれぞれ多数をもつて修正議決されたのであります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  27. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告がありまえ順次これを許します。佐伯宗義君。     〔佐伯宗義君登壇
  28. 佐伯宗義

    ○佐伯宗義君 私は、改進党を代表いたしまして、今回上程されました電源開発促進濃案に関し、わが党の所見を逃ぺまして、深く反省を求めんとするものであります。  電力がわが国経済自立の唯一の道であることは、輿論のひとしく認めるところであります。だからといいまして、ただちにもつて電源特殊会社をつくることによつて達せられるというがごとき安易なものではありません。  まず第一に、電気事業再編成の経過にかんがみまして、政党政治の責任上、自由党政府といたしましては本案を提出すべきものでないと考えるのであります。顧みまするに、過去六年八簡月におたる占領政策中、幾多の民主佑が行われましたが、そのうち最も重要かつ至難なものがこの電気事業再編成の問題であつたことは、天下周知の事実であります。何とみれば、電気はわが国の無二の資源であり、しかもこの電気事業の企業形態をどうするかということは、電源を開発し得るか得ざるかの根本問題を含んでいたからであります。  当時、電力五分割あるいは七分割または十分割等の議論が活溌に行われましたが、中でも利害関係の最も多い日本発送電会社では、九配電会社を吸收せんとする全国一社案を主張しました。これに対して、九配電会社は、日本発送電会社を分断吸收せんとする九電力事業を主張しました。あたかも龍虎相打つがごとき恐るべき鬪争を展開したのであります。そのとき、社会党は全国一社制に立てこもり、自由党は現九電力事業を主張したのであります。当時、民主党は、日本発送電の全国一社を五つの産業経済圏に分割し、九つの配電会社を、ほぼ二十九の消費社会圏に細分する、いわゆる電力五分割、配電細分化案を主張したのであります。しかるに、当時政府・自由党におきましては、電力九分割を決定いたしましたものの、この電力九分割には電源の過不足地帯ができますので、潮流主義と属地主義との絶対相いれない二つのものの対立を含んでいたのであります。このことは、生産社会と消費社会とが無限に抗争を展開いたしまする禍因をはらみまして、いずれに軍配を上げましても自由党の屋台をゆるがすごときおそれがありますので、遂に電力国会ともいわるべき第九国会の劈頭、ポツダム政令によつて、潮流主義に基く電気事業の九分割が強行されたのであります。  当時、ポツダム政令の基礎をなすマッカーサー書簡の内容は発表せられず、あるいは政府の懇請による、いわゆる拜復の書簡でなかつたかとさえ伝えられたのであります。これまさしく民主主義議会の根本義たる討論を避けて、袞龍の袖に隠れての箝口令ではなかつたかと、国民はいまだ夢新たなる今日、いかに独立したとはいえ、きのうまで占領下にあつて忠実な政府が、みずからの手で、この政令の内容を一片の法令をもつて根本的に改廃せんとするがごときことは、政党政治としての政治的責任を汚すものではなかろうかと存ずるのであります。(拍手)  第二に、電気事業再編成後の現状から申しましても、軽々にこの電源開発会社をつくるべきでないと存じます。電気事業再編成の是非は別といたしましても、とまれ、昨年五月以来約一箇年間において、九電力会社は孜々営々として事業の再建をはかり、昭和三十年までには三千百数十億を投じて、約二百五十万キロワットの電源開発計画を立てまして、着々完成の段階に向つていることは認めなければなりません。すでに本年度においても八百七十億を計上し、うち政府が三百億の見返り資金を優先的に振り向けているのであります。これは、わが国の財政規模からも、産業規模からむ、国民総力をあげて電源の開発に集中している事実を物語るものであります。このように、電気事業の再編成がようやくその緒につかんとしているとき、これらの電気事業に何らの関係なく、突如として全国一社の特権会社をつくることは、電源開発の門出に水を打つものでありまして、国内的にも国際的にも断じて許すへからざることと信じます。  第三には、この電源開発会社は、急速開発に適する調査機関と、技術、経営の陣容を持つていません。かかる大規模な発電事業には、これが調査研究に相当の長年月を必要とすると存じます。さらに高度の工学的技術は必要欠くべからざるものであつて、一夜づくりのかき集めでは、とうていその陣容を整え得るものではありません。これらの総合的な調査と技術陣容は、電気事業の長い歴史的経験の所産であります。あの戦争中に生れました日本発送電といえども、幾十年にわたる電力事業を継承したものでありまして、現九電力事業におきましても、日本発送電を分散吸収することなくしては、電気事業の九分割は不可能とまでいわれたのであります。その理由は、日本発送電には計画、調査、技術の陣容の精粋ぶ集められていたからでありますいかに国家権力をもつてするも、この技術と調査研究というがごとき貴重な文化財は、権力的な支配によつて一朝にして生れるものではありません。このような厳たる事実を無視して、無手で全国一社というがごとき国家的大規模な事業会社をつくることは、あたかも教授と研究試験室とを持たないで学校を建てると同様であります。かりに学校は一夜に建設ができるといたしましても、全国一社というがごとき、最高大学教授と試験室のごときは、一朝一夕にできるものではありません。  第四に、電源開発会社は全国を一社とすべき技術的総合性を持つていないということであります。すなわちこの開発会社の施行する特に大きな電源開発地点と目さるるところは、四国においては吉野川、本州においては只見川と熊野川くらいのものであります。天龍川や庄州については、関東や関西の大会社で開発できない技術的、経済的理由は考え得られません。また北海道の石狩川や九州の上椎葉のごときを国策会社の開発にまつべしとするならば、九州、北海道全域を一円として発送配電の一貫経営をなしておる北海道、九州、両電力会社の意義をまつたく見失うものであります。このように点在する電源開発地点、すなわち北海道と四国、九州のような、何ら技術的にも工作的にも、はたまた河川の行政的にも関係のないところまでを一事業の特権下に置かなければならない理由は、一体どこにあるのでありましようか。  第五には、この電源開発会社の実施せんとする計画内容では、あえて全国を一任とすべき大規模なものを必要といたしません。いな、現電力事業にこそ、かがる性格が含まれているのであります。この電源開発会社が国家の権力を背景にして国民に誇示しているところは、その電源開発計画は一、二期を通じ約二千六百億円を投じ、約二百六十万キロワットを開発せんとするものであります。しかしながら、この程度の計画は、現九電力会社の電源開発計画の一部分にもすぎないのであります。しかも、この資金のうち一千億を民間資金をもつて引当てんとしている事実にかんがみまして、これは国家でなければならないという大げさなものではありません。すでに九電力会社は一千万キロワットの発電力を有し、二百五十万キロワットの電源の開発に着手しております。およそ電源開発会社が工事を完成するころまでには、現九電力会社では約一千五百万キロワツトの電力を有するに至るであろうことは、推察するにかたくないのであります。  しかも、現電力会社は全国に送電網を張りめぐらし、発送配電を一貫し、生産即消費を独占している点において、きおめて強靱な経済力を有しております。特に関東、関西の二大電力においては、わが国における二大消費力の心臓部たる東京と大阪とを扼して、全国的にその経済力を集中しているのであります。それゆえに、只見川や天龍川については、東京電力は東北電力と中部電力の一部とを結集して、本州東部を一丸とした新たな勢力下にこれを開発し得る力を持つものといわざるを得ますまい。熊野川や庄川や琵琶湖等についても、関西電力は中部、北陸、中国電力とを結集して、本州西部を一丸とした新たな勢力下にこれを開発し得るでありましよう。かように、いずれも消費地を持ち、送電線を持つている限り、これにまさる強力な特殊会社はあり得ません。すなわち、全国一社の実質的性格は、全国一社であつた旧日本発送電の重要発電と送電幹線とにこそ存立するのであつて、これを除いての全国一社は成り立つはずがないのであります。ゆえに、現電力会社のほかにさらに特殊会社を設けることは、單に帽子をかぶらすごときものであつて、実体のない帽子は役立たないのみか、現実を理由な破壊するものであります。特に全国一社の性格は、国民普遍の原則から電力の公平な分配をなそうとするものでありますが、送電幹線こそこの役割を果たすものであります。しかるがゆえに、送電線を持たず、しかも電源を譲渡し、貸與するがごとき建設的性格のものには、恒久的全国一社の性格は断じて成り立ちません。  第六に、電源開発会社は特定地点の開発を本質とすべきであつて、全国一社とする必要はありません。狭い国土のうちに、河川行政と一体となり、水利と不可分の生活環境をなします電源開発は、多様性を持ちます点から、国家公共の参加した特殊会社にまつて行うことがよい場合もあります。かのアメリカのテネシー流域における大規模な総合開発会社が、もつて範をたれているのであります。しかし、このテネシー会社は国家的事業ではありますが、テネシー流域に限られた特定会社であつて政府・自由党提案のごとく、国民から電源開発の理想を閉塞するような全国一社的なものではないところに雲泥の差があるのであります。  このように、政府の目ざす国土総合開発計画に総力をあげて集中することができますのに、いつできるかわからない貧弱なわが国財政資金をもつて全国一社ということに欲張らなければならない理由はどこにあるでありましよう。今、もしかりに全国一社という、特殊会社でなく、特定の地点における特殊会社でありましたならば、ここに九電力会社と対等の立場に立つて電源の開発に当らなければなりません。もちろん、かような場合といえども、この特殊会社は国家を背景として、資本の点においても、その他幾多の特典はあるでありましよう。しかし、民間会社は、たゆまざる創意と努力を傾け、もつて事業が対等の立場に立つ限り、かかる官製事業との競争に打勝ちますことは、輿論のひとしく認むるところであります。  しかるに、全国一社では能率の比較ができません。能率の比較のできないところに、きわめて高き理想の発展は求め得られないのであります。しかも、この能率の比較をしりぞけ、よろしく組織の上に座して、その無能を存続いたしますには、能率の比較のない国家全体性の背景に隠れなければなりません。世上往々にして、政党に目の前のえじきを與えてこれに勝ち得ることを知る官僚のお家芸におどるようなことがあつたといたしますならば、嚴に愼むべきことであろうと存じます。いわんや、わが国におけるただ一つの再建資源は、この能率のみであります。国家の富を永遠に葬り去るがごとき全国一社は、断じて許すべからざるものであります。(拍手)  第七に、全国一社の特殊会社の設立は、わが国電力事業の発達を促進するものではありません。わが国の水という資源に対しては、大規模の電源開発は言うに及ばず、用水、排水に至るまで、その一滴に対しても国民の創造カが注ぎ込まれなければなりません。そうして…四つの島国にとじ込められた八千五百万の国民が生き抜かなければならぬのであります。しかるに、このような全国一社という特殊会社が生れます限り、わが国の電源開発はこの特殊会社のになうところとなり、さらでだに国家依存の国民感情からも、電源開発意欲は消失するでありましよう。もちろん、政府は現電力会社に対しても、また自家用に対しても、電源の開発を否定してはおりません。しかし、経済の原則は常忙中等でなければなりません。かかる独裁的畸形兒とともに成長することできるでありましようか。  そもそも全国一社という概念は全体を意味し、国家普遍の観念と共通して、この種性質のものはすべて、現在はもとより将来も、ことごとくこれに包含せらるべきものでなければなりません。ゆえに、同一の既設設備を除いでは、この概念は成立いたしません。現に電源開発法に、電源開発会社の名称を他に使用するのを禁じているのを見ても明らかであります。(「時間々々」と呼ぶ者あり)従つて、この特殊会社が生れる限り、現実の電力事業に対する行政の介入となり、ここに電源開発会社をやらせるのやらせぬのと、超国家的独裁者たる暴君のふるまいをすることとなります。従つて、かかる暴君のような特権会社の成立する限り、現電力会社の健全な発達は望まれないのみならず、国家全体という観念的な美名のもとに、おいおいと重要な幹線部分が虫ばまれ、遂にちぐはぐな畸形兒となることは、幾多の国家事業のひとしく示しているところであります。もし反対に……。
  29. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 佐伯君に申し上げます。申合せの時間が過ぎておりますから、簡単に結論をつけてださい。
  30. 佐伯宗義

    ○佐伯宗義君(続) わかりました。——現電力会社の勢力がきわめて旺盛であつて、電源開発会社を併呑するとせば、それこそ醜を天下にさらすものであつて、何がゆえに全国一社とせしか、羊頭を掲げて狗肉を売るものとして、新たなる国民の憤激を買うでありましよう。  なお私は、電力行政の問題、あるいは電源開発資金の問題、わが国経済と電源開発財政力の問題、電力事業の本質の問題の四つを論述いたしまして、この反対の理由を明らかにいたしたいと存じましたけれども、定められたる時間が参りましたので、これを省略いたしまして、以上の事由によりまして、この電源開発促進法は電源の開発を促進するものではなく、まさに百害あつて一利なき電源開発遅滞法であるといわざるを得ません。このことは、国民の何人によつても容易に理解さるべく、私はここに全国民に訴えて、さらに政府、自由党の三思三省を求めてやまざるものであります。(拍手
  31. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 小金義照君。     〔小金義照君登壇
  32. 小金義照

    ○小金義照君 私は、ここに議題となりました電源開発促進法案に対して、自由党を代表いたしまして賛成の見解を述べんとするものであります  近代国家の自立と国民生活の安定向上の基礎は電力にありと申しても、あえて過言ではないと信ずるものであります。わが国は、元来豊富な水力資源に恵まれていながら、その約三分の二と推測せられる部分が、未開発のまま、いたずらに放流せられているのでありまして、そのため年々歳々われわれは莫大な洪水の被害を受けておるようなありさまであります。さらに石炭及び石油資源の乏しいわが国が、動力源として毎年多量の石炭及び石油を消費しておるのでありますが、今後この消費量の相当部分を電力によつて置きかえることが絶対に必要であります。今日ほど国をあげて電力の不足に悩まされて来ておることはありません。これはまつたく戰時戰後を通じて電源の開発が適当に実施されて来なかつたことに起因するものでありまして、電源開発の促進が今日ほど焦眉の急務となつておることは、いまだかつてなかつたところであります。私は、もとより現在の九つの電力会社に対しては、十分その機能を信頼しその活動に多大の期待を寄せておるものではありますが、今日われわれは、いわば電力の非常事態に際会しておるものでありまして、緊急特別の措置が強く要請せられておると見るべきであります。わが自瞬発が本法律案を提案いたしました根本の趣旨は、この要請にこたえて電力不是を急速に解決するとともに、治山治水と石炭資源の保存をはかるため、総合的見地から、全般的に、かつ急速に電源の開発を促進し、もつて今後の産業の振興、経済の発展、国民生活の安定向王の基盤を拡大強化せんとするものでありまして、一まことに時宜に適したものど信ずるものであります。今日電源開発を阻害している大きな原因は、まず資金難であります。また水利権獲得の競願、水の利用配分、水没地に対する補償等に関する各種権利の対立関係であります。しかして、本法律案の特徴といたしまするところは、この資金調達に特別の意を注ぎ、さら水利権その他の権利関係の調整を生根としておることであります。  本案につきましては、幾多の論難、非難が加えられるのでありまするが、電源開発促進の急務であることにつきましは、ことごとく意見は一致いたしおるのであります。反対論の多くは、その方法論においてでありまして、その大部分は、われわれが本案を作成するにあたりまして、すでに十分研究もし、また論議もし盡したところで、しからざるものは、おおむね行き過ぎた御心配か、あるいは悪口雑言のたぐいでありまして、いわば方法論における意見の相違というべきであります。  論者のひとしく非難する第一点は、本案第三章に規定する電源開発株式会社の性格及びその構成、またはその機能についてでありまして、なかんずく、この会社ばへ旧日発、すなわち、かつて日本発送電株式会社的なものたるを免れないで為ろうというのでありますが、これは法文全部をすなおに読んでいただけば解決する問題であります。すなわち、本会社は、旧日発とはまつたく性格が異なるものでありまして、本法案は、その第一章総則において、また第二章電源開発調整審議会に関する諸規定において、既存の電力会社、自家発電及び公営企業による電源開発その他の施設整備に必要な資金確保について政府努力が義務づけられており、さらにこれらの発電等を容易ならしめる方途が講ぜられておるのであります。たとえば、二十七年度のこれら既存の企業体の総開発資金を、昨二十六年度のほぼ二倍に近い一千八十五億円に増加しておるのでありまして、そのうち五百二十五億円を政府資金より投入せんとしておるのも、その意図が示されておるものであります。かくて、従来とかく計画倒れに終始していた既存の電力会社、自家発電、公営企業の開発計画は積極的に促進せられる運びとなるのであります。  本法案による第一期開発計画四百三万キロワットの内訳を見ましても、電力会社が二百四十六万キロワットで約六〇%、自家発電が五十一万キロワツトで約一三%、公営企業が二十二万キロワツトで約五・五%を占めており、いかに既存会社の計画促進を重要視し、これが実現に努めているかがうかがわれるのでありまして、大部分の開発を一手に掌握していた旧日発とは根本的に相違しているのであります。また本会社は、大規模なダム式地点を開発して、火力用の石炭、石油の大節約を実現すると同時に、完成発電所等につきましては、建設完了後、逐次電力会社等に讓り渡すかまたは貸し付けられるのを原則といたしておりますから、この点においても、旧日発とはまつた違つております。さらに開発電力量も、全国発電量の僅々約一割程度の寡少のものでありますから、旧日発の再出現であるという非難はまつたく当らず、この特殊会社の設立は電力再編成の趣旨並びに自由党の政策に背反するという御議論は、何らの根拠のないものと認められるのであります。  次に、特殊会社を設けず、既存の電力会社に政府資金を供給して大規模特定地点の開発をも行わしむべきではなかろうかという議論花ありました。一応ごもつとものように考えられますが、数県にまたがるがごとき特定大規模地点の開発は、ひとり発電効果が大であるばかりではなく、永の持つ特別の性質から、洪水の調整、灌漑用、工業用、水師用、漁業用等の多目的効果が多大に期待され、その利用調整の複雑性と補償問題等から、単なる営利企業では開発が不可能に陥る場合が多々あると考えられますので、公共的な性格を持つた特殊会社がこれに当るのが最も適当であると見るのであります。大規模の電源開発には長期にわたつて巨額の資金を必要とするものでありまするが、既存会社の資金計画に圧迫を加えないようにするためには、現状におきましては、もつばら政府資金に依存するほかはなく「この政府資金に対して利子の支拂いを要せざることとして、発電コストの低下をはかるということもできるのであります。政府資金の投入及び技術、資金、資材等の一元的かつ能率的活用等を考慮すれば、この種の特殊会社は一社とすることが最も適当であることも、また論をまたないところであります。  さらに、北海道から九州にわたつて散在する大規模開発地点の開発に、十分な調査資料も、また技術者の陣営も持たない、すなわち準備のないこの特殊会社が、国家の優越性を背景として開発に当るなどはおこがましい次第であると論ずる人がございますが、すでに調査も整い、技術者も日本には十分あることは、識者のひとしく認められるところでありまして、大体の開発計画ができましたからこそ本案が樹立せられたのであります。  さらにまた、この特殊会社は政府資金を吸收して、これを開発用にまわす金融的機能しか発揮しないというおそれがある、また特殊会社は非能率的であるとか、これでは外資が導入できないのではないか、発電設備等の譲渡に関して具体的な基準を示していないとか、水利権及び土地に関する権利等に対する補償の基準具体的に示されていないとか、電源開発調整審議会の人的構成が気に食わないとか、いろいろな御議論もあります。これらは、おおむね運用の問題に対する警告としては傾聴に値するものと存じますが、これらの諸点をも十分考慮に入れて、われわれは修正案を添えてその万遺憾なきを期しているのであります。  このような電源開発のごとき性質の問題については、いろいろの案が立て得られるのでありますが、二つ以上の案を同時に実行することはできませので、最善の案を一つ採用するほかないのであります。われわれは、長い間官庁側や民間側の資料に基いて、広くまた意見も徴して慎重に研究を重ね、幾たびか稿を新たにて成案に到達したものが、すなわち本案でありまして、決して一党一派のためにせんとするがごときものではないことを、ここに断言するものであります。  これを要するに、わが国電源の開発が、もはや遅疑逡巡を許さない刻下の急務であることを認識せらるる以上、すべからく小異を捨てて大同につくの襟度をもつて、すみやかに本案の成立に協力せらるべきものであると断じて、私の賛成討論を終ります。(拍手
  33. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 加藤鐐造君。     〔加藤鐐造君登壇
  34. 加藤鐐造

    ○加藤鐐造君 私は日本社会党を代表して、ただいま上程されておりまする電源開発促進法案に反対の趣旨を述べたいと存じます。  電源開発については、われわれはもとより反対するものではありません。日本の自立経済達成のために、電力の急速なる開発を必要とする点については、従来あらゆる機会にわれわれの力説して来たところであります。しかし、今回自由党が提出された本法案のごとき、不徹底かぬえ的なものでは、決して電源開発は促進されないと信ずるがゆえに、断固反対せざるを得ないのであります。  電源開発は、申すまでもなく、日本経済自立化の基礎であります。現在の日本経済の脆弱性は、この基礎をつくらずして本建築をしようとしたところにあるのであります。電力の復旧拡充は、終戦以来の最も大きな課題であり、何よりも先にその実現に努力されなければならなかつたのでありまするが、資材難と、一面国際的事情によつて、それがはばまれておつたのであります。しかるに、いよいよ日本経済自立化の目標が定められるに及んで、電力の拡充は焦眉の急を要することとなつたのであります。一方、日発会社が集中排除法の指定を受けておつたので、これをいかにして解決するかということも前提條件となつてつたのであります。  電力は高度なる公共性を持つておるがゆえに、当然国営形態と桂会化の方向においてこれを解決すべきであつたと思うのであります。国鉄公社が許されておる以上、同じ公益事業として当然許さるべきことであつたと信ずるものであります。しかるに、吉田内閣は、電力界のボスと資本家側の要求に基いて、国民大多数の反対を押し切つて、電力の九分断を敢行したのであります。そのときの理由は、電力資本家に利潤追求の自由を許さなければ能率は上らない、それによつてのみ初めて豊富低廉なる電力が供給できるというこでありました。しかし、その結果はどうなつたであろうか。電力は貧欲なる政治家の完全なる独占物となり、公益性は失われて、かつて気ままな利潤追求が何らの障害なしに行われることになつたのであります。各地帶間の地域差料金のために、高率地域の需用者ははなはだしい被害を受け、各社の利己主義のために電力の融通は不円滑となり、一たび渇水期となれば供給力は半減して、国民生活に対しては不安を、産業界には大きな損失を與え、経済の発展を著しく阻害したのであります。しかも、そうした状態から生ずる会社の損失は、何ら経営面における合理化について考慮されることなく、料金の引上げによる需用者の負担にすべて転嫁されて来たのであります。会社側の利己的要求を抑制しなければならない立場にある公益事業委員会は、一方的に会社側の利益を代弁するかのごとき私益委員会と化し、政府もまた、電力危機を自己の責任にあらずとして、何らの手を打たなかつたのであります。  しかるに、昨年秋の異常渇水のために極度の電力不足の状態に陷り、重大な社会問題を惹起するに及んで、これは一に政府の無為無策の結果であるとして、非難攻撃が政府に集中したのであります。ここに及んで、政府は周章一狼狽、急に安本において、政府資金を投じて電源開発をやろうとする計画が立案されたのであります。本法案ば、安本案をそのままそつくり自由党が借用したにすぎないのであります。  本法案のねらいは、政府資金を投じて、大規模地点の電源開発を行うための開発会社をつくり、七人の関係閣僚と、一安本総裁が任命する七人の学識経験者をもつて構成する電源開発調整審議会が、電源開発に関する一切の計画を調査、審議、決定することとし、会社の重役は総裁以下政府が任命するというのでありますから、これは明らかに一種の国家管理であります。かつて電力の国家管理をまつこうから否定した自由党の諸君が、三年たつかたたぬのに、国家管理をみずからやらなければならなくなつたという無定見は、まことにあわれむべしというほかはないのであります。  但し、この国家管理は、国民を欺瞞せんがための、まつたくぬえ的なものであります。でき上つた発電所は、すべてこれを他の電力会社に譲渡または貸興するというのであるから、まつたく事業会社に御奉公するための開発会社であります。結局は、事業会社に直接金を貸すのと何ら異なるところがないのであります。これは明らかに、国家管理の仮面をかぶつて国民を欺瞞せんとするものであるとも言い得るのであります。  特に、この特殊会社をつくるにあたつて、自由党並びに政府は外資の導入を予定しておるようでありますが、このような企業性のない、かつ会社の壽命が大体十年以内と限定せられておるむのが外資導入の対象とならないことは明らかであります。結局、政府資金のみでやることになると思いますが、しいてそれをやれば、他の産業資金に食い込むことになります。一箇年一千億円前後の設備資金は、大体国全体の設備資金所要額の四分の一であります。これだけを電力に集中すれば、当然造艦その他の重要産業の資金計画に穴があくことになるのであります。また赤字公債を政府は発行するであろうと言う人もありますが、現在の日本の経済の状態においては、赤字公債を発行すれば、インフレを誘発、財政破綻を来すことになります。外資導入に対するきわめて甘い考え方が本計画の致命的な欠陷であることは、何人も指摘するところであります。  それから、大規模電源開発のみをやるとすれば相当長期の調査研究期間を要するのであるが、現在急を告げておる電力の危機を解消することには役立たないし、第一、それに要する技術者や従業員が、この短命を予想される会社には集つて来ないであろうと思われるのであります。それらの点について、提案者は、他の事業会社の協力を得てやるから、事業会社の今までの調査研究を利用することができるという考えを持つておるらしいが、事業会社側は本法案には強く反対しでおるので、おそらく協力しないであろうと思われるので、この面においても非常な困難が予想されるのであります。  それからもう一つの問題は、特殊会社の重役を政府が任命する点であります。結局、政府並びに與党の御用人事が行われることは明らかであります。九分断の際、政府と電力ボスとのなれ合いで、不明朗な、国民の納得しがたい人選が行われたことを考えれば、思い半ばに過ぐるものがあります。(拍手)たとえば、東北電力会長の白洲次郎君のごとき、電気のことは何も知らないが、利権あさりには天才的な手腕を持つ人が選ばれることになるのでありましよう。世人がこの開発会社の設立に深い疑惑の目を向けておるのも、そういうところにあるのであります。(拍手)  九分断が完全に失敗であつたことは、自由党の諸君も、今日心中ひそかに認あざるを得ないでありましよう。国家資本をもつてしなければ電源開発は促進されないという認識の上に立つた以上、自由党の諸君も、いたずらに面子にとらわれることなく、電力の国営について再検討すべきであろうと思います。(拍手)日発のごとき国家管理の形態において電源開発ができないと断定すべき何等の根拠も存在してないのであります。戦争中の官僚統制は、もちろん十分批判されなければならないけれども、重要資源と産業資金に乏しい戦後の日本経済においては、特に基幹産業の国営を実行することは絶対に必要であります。要は、官僚統制の弊を避けるために、民主的な運営が十分研究されなければならないのであります。  もともと電気事業は、その需用層が社会全般であり、国民の九九%までが日夜これを使用するという、公益性のきわめて強い点から、また電気そのものの特殊性からも、これを現在のように分断して、独立採算制の民間私企業にゆだねることは、その企業形態として最も不適当であります。われわれは、発電、送電、配電を一本にした国営の形態が最も合理的なものであると考えるのであります。(拍手)  もちろん、電源の開発もこの全業体が行うことになるのでありまするが、電源の開発と同時に、電気を全国にできる限り公平かつ均等に配電するのに必要な既設電力会社の送電幹線の連絡整備と、新送電幹線建設の必要を認めるものであります。これにより、今日の電力不足と、地域差拡大防止をはかろうとするものであります。今日の電力不足は全国的なものでありますが、特に地域差の高い地域ほどこの不足の程度がはなはだしく、この地域の供給増加こそ優先して行わるべきものであります。しかるに、今回の自由党案は、送電計画をほとんど持たず、地域差の最も低い地域が、さらに国民の血税によつてできた割安な電源開発の恩惠に浴してますます有利となり、一層地域差を拡大せしめることになるのであります。こういう点においても、この案はきわめて不合理なものであるといわなければならないのであります。  以上申し述べました理由により、日本社会党は本法案に断固反対するものであります。(拍手
  35. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 横田甚太郎君。     〔横田甚太郎君登壇
  36. 横田甚太郎

    ○横田甚太郎君 電源開発に反対討論する党が電源開発に反対しているのではなて、電源開発促進を云々する自由党こそが、電気文化と今後の国民生活に理解なく、外資と自己の利得のために━━法案をもてあそんでいる。貴重な日本の資金は、産業再建、日本の経済の自立のために使わねばならないのに、自由党政権は、治安費にむだ金を使い、日本の混乱をますます深く広く広げている。これゆえに、電源開発、停電さえも解決できない現状である。これを前提にして私は討論を進めて行きます。  日本人が燃料不足に悩み続けておるとき、日本におるアメリカ人のボイラーはあかあかと燃え、日本の炭坑夫が安い賃金で働かされ、掘つた石炭はアメリカ人を暖め、━━━━━━━━━━━━━━━━━のために燃やし続けられていたんだ。日本人が住宅不足や防空壕住まい、間借り、交通難にあえいでいたとき、日本の主要な大建築物や大邸宅はアメリカ八によつて占拠され、不愉快しごくな米人のぺンキ趣味で、日本人の好みをめちやくちやにこわされていたんだ。寒風すさぶ嚴冬に、日本人は衣料に苦しみ、はだを暖める布に不足し、冬の町をさまよつておるとき、すきま風さえ漏らぬコンクリーとの室内で、日本の石炭と日本の電力を使つてアメリカ人は、はだ着さえ着ずに過せる、調整された暖かい空気の中で、ここえて歩くわれわれをあざ笑つて見おろしていたのだ。日本の主婦が、室内の掃除にほうきさえ不足とておるとき、日本におるアメリカ人は、日本人を使つて、電気で室内の掃除をやつていたのだ。料金を拂つてある日本人の電燈はつかなかつたのアメリカ人や、これと結んで占領下の日本で不当な利得をあげておる、日米協力への奉仕にこれ努めておる家庭や工場へは、政府と配電会社の特別な配慮で、電力は不自由なくまわされていたんだ。国民の電力は奪われ、米人のためにまわされる発送電のための費用は日本人が負担させられていたんだ。断線でおどかされ、電燈料を強奪された日本人は、ろうそくを買いに暗夜の町を走らされていたのが、日本の今までの電力行政であつたのです。  この現状で、電力を日本のものとし、これを理解し、日本のためにおのれの身をしぼつてでも日本の電源を開発しようという意力に満ちた日本人ができるはずはないのだ。電源開発のための有能な技能者が、かえつて日本の政治を憂い、吉田政府に言わせれば、治安対象の士になるのが日本の現在の政情なんだ。日本の先人たちが開発した日本の電力は、占領下においては、日本の立上りを妨害し、経済の民主化を阻害し、日本人を苦しめ、かえつてアメリカ人に特権を保証し、米国が━━━━━━━━━━━━━━━利用され、運用されて来たのだ。ラヂオはアメリカニズムの毒素を日本にばらまき、脚光はブギウギ歌う女優を照し、(笑声)映写機は俗悪なアメリカ西部劇の中に日本人を誘惑し、日本の映画をまた元のチヤンパラ映画の中に逆転させた。新聞はアメリカ人の目を恐れ、日本のために書かねばならない文字を削つていたのだ。輪転機や、これをまわす電力は日本のものであつても、プレス・コードと、三百二十五号やレッド・パージは、日本の繁栄と民族の独立のための新聞を発行させなかつた。逆にアメリカは、世界支配のために日本の国土と人命を、東洋の━━━━━としてアメリカ国防のために役立たせる方向にのみかりたてていたのだ。  この條件下での日本の政治と経済は、特需と新特需にやつと望みをかけ、一部少数の買弁的利得者にわずかの売国化資金を渡し、この利につながる少数者をごまかしておるのが現状なんだ。特需、新特需でまわつた機械と電力は朝鮮人民の━━━━━━━━━━━、世界の各所に━━━━━をばらまく下請のために動いでいたのではないか。  思えば、占領下の政治に経済に何のいいことがあつたのだ。占領こそは、原爆で押えた非人道的なアメリカが、日本を骨拔きにするための、日本支配の口実に使つた政治形態ではないか。━━━━━━━━━━━━━━━━こそアメリカの実体ではないか。このようなものに、戰争放棄の平和憲法を持つ日本人が電力を渡し、日本国土の利用を許し、━━━━━ために日米安全保障條約を結び、行政協定で縛り、破防法で国民の生気を吸い取る。これでは、日本の独立の逆を行つているのだ独立の第一歩は、占領をきらい、占領の変形をのろい、これに対して、おのれの身を滅ぼそうとも悔いない、むしろ打き過ぎる言行かあつてこそ、官本の再建は成り立つのだ。敗戦後の日本を思う日本人の魂は形成されるのだ。ここにこそ、日本の守りと日本の立上りがあるのだ。  日本政府警察があり、平和と独立日本の再建を念願にしているなれば日本娘でありながら━━━━━━━━━━━━━━━━━と異国名をちようだいしながら外国人と風紀を乱す日本娘を説得これ努めてこそ、日本の秩序も治安も確立されるのだ。にもかかわらず、日本の再建を妨げるこれらのことに対しては、政府警察も、米軍指定の赤線区域でございますと公認するばかりか、外貨獲得のけなげな大和なでしことばかり三拜九拜するざまだ。これでは、憤激する人のできるのは当然ではないか  日本のために学ぶ学徒に、かたき討ちだとあばれ込み、血の雨を降らし、取材のための記者をなぐり、学園教職員に傷を負わす警視庁と都下の警察に━━━━━━なるものは、日本にあだ討ち制度なるものが、いつの時代になくなつたということがわかつているのであろうか。この━━━━を処理できない自由党政権は、どこまで思い上つてしまつたのか。ワン・マン一人さえ安泰なれば、日本は安泰であると思つているのか。日本国民の数を忘れたのか。今権尊重の世界の動きに逆行するつもりなのか。税をみつぐだけが民草の務めだと思つているのか。ここに現下日本の混乱があるのだ。  過去とは別な日本をつくらねばならない任務を持ちながら、おのれの尊い責任が自覚できず、占領を招いた過去の日本の戦争原因除去へと真剣な検討を続けることを怠り、日本を滅ぼした戦犯、古ぼけた旧軍人、ひからびた政治家、定見のない、立居さえ不自由な外交官どもに今後の指導を願う愚かしき日本今の集団を再生している日本なればこそ、日本は平和世界につながるための努力を放棄したと酷評される原因があるのだ。世界から糾弾せられた日本の欠点を、日本の力でただす努力があつてこそ、日本は世界に対して堂々と主張し、話し合えるのだこの努力を放棄し、アメリカ指示のままに国民の多数を困らせ、わずかの八種の繁栄のみをあせる、ここにこそ国民の激突する原因があるのだ。(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり)君たちは時間の勘定もできないのか。時計を見てみろ。  この政治が、日本の国力を浪費し、電源開発を妨げているのだ。自由党政権とは、停電政権、料金━━政権のことであり、公益事業委員会とは電気料金値上げ委員会のことではないかこれらの人たちが言う産業の振興とは、アメリカ━━兵器の下請承認ということではないか。━━━兵器の製造元アメリカは、その国民生活に満足しない人民たちが激増し、鉄鋼争議、石油争議と攻撃を展開し、その産業は音をあげ、むだな金を使うトルマン整理も秋に迫つているではないか。━━━━━━━━吉国内閣は、産業の振興をうたつて電源開発を云々しようとしても、すでに繊維と鉄鋼は操短を云々し、油脂、化繊また過剰生産で恐慌の様相を呈しているではないか。アメリカや自由党の政権のごときは、電源開発というような、国民協力を必要とする、かおり高き文化生活を云々せず、━━━━━━━━━━━━━や自由党の政権のごときは、電源開発というような、国民協力を必要とする、かおり高き文化生活を云々せず、との対立の中で━━━━━━━━━━━━━━━━方が、がら相応であろう。  自由党よ、恥を知るなら、世界をすなおに見ろ。世界では、米国に対立し、自由党がきらう政権のもとにおいてこそ、ソ連、新中国の電源は開発され、河川は改修され、人民の自主権は回復され、国勢は隆々と盛り上つているではないか。モスクワに建つた科学の殿堂、モスクワ大学のことを知つているか。平和と幸福のために自然を改造するスターリン共産主義大自然改造計画の偉容を知つているか。蒋政権下、六十億ドルの米資で動員されなかつた中国人民が、人民政権のもとでは、淮河治水に二百数十万の動員に成功し、河は治まり、農工業は栄えつつある現状に眼をつぶるのか。この人民政権と国富のもとに招く世界経済会議には参加させぬと、アメリカ政府日本政府が共産主義者を監視続けていても、温厚篤実、日本の未来のために考える緑風会の高良氏と、改進党の宮腰氏や、実業界の帆足氏は、モスクワの空から、日本のメーデーに祝電を打つて来ているではないか。  現下日本では、治安を乱す人々と呼ばれ、中核自衛隊、パルチザン、ゲリラ、人民軍と悪く宣伝されている人々こそが、世界のどこかで政権をにぎつたとき、皮肉にも電気文化の花を咲かせ、アメリカの侵略を一歩も入れぬ驚異的治世をやつている事実のみが証明されているではないか。  警棒は、労働者や学徒の頭をなぐるためのものか。それ以外に何に使つた。警察拳銃は殺人のための武器か。吉田ワン・マン氏の政治指導とは、あばれ狂つた警官に、もう一あばれのために、「しつかりやつてくれ」ということ、これが吉田政権の本質か。  このように、無定見、無自覚、日本のために考えられず、自己一家のためにのみ、営利と利得のためにのみ思いつかれた電源開発案なればこそ、十億ドルの外貨にさえすげなくされ、きつい売国條件を課せられるのだ。自由党に政治をやらせるな。資金を持たすな。彼らが持つ金は、殺人兵器を買つて、この用兵の実戦的演習のために、町の各所で人民の各層と衝突し、日本を騒乱のちまたの中に案内して行くだけではないか。五月一日の人民広場における衝突は、ワン・マン政権人殺し演習の第一歩ではないか。このようなことをしておいて、これを共産党のせいにしようとしている。必ず人民は立ち上るのだ。これは占領と自由党の治世に対する人民の怒りだ。これらの衝突は、政府の政策を改めない限りなくならない。  この必然性を知りつつ、なお準備しているのが、警察予備隊を使つての人民彈圧のための、またまた次の予行演習だ。自由党よ、カービン銃で撃つてみろ。五月一日の怒りは、広場に集まつた人々のみが怒つている怒りではないのだ、全国津々浦々の国民の胸に持つている怒りが一地点的に暴発されたのがこれであつたのだ。單に共産党が怒るだけではない。全国の国民大衆が怒り、今後日本のために政治する政権が確立するまで自由党に追討ちをかけるであろう。  吉田氏の顧問、自由党の意見番、君たちのおやじ古島老さえが、メーデーのあれをチャンスにして政府が反動化するようなら日本の将来はおしまいだと言つているじやないか。思い上つた自由党は、古島老が憂うる日本のおしまいの方へのみ突き進んでいるではないか。こんな政権のもとに電源開発なんかできるものか。電源を開発し、日本の産業を振興させようとする日本人は、まず現政府を打倒しなくてはならない決意にかり立てられたのが五月一日なんだ。毎日国民にけんかを吹つかける自由党吉田ワン・マン政権を倒せ。民族解放、民主連立政権のもとにこそ、日本のほしい、明るく平和な電力とその開発があるんだ。  君たちがきらうレーニンは、共産主義とは、ソビエト政権プラス全国の電化であると、人類を指導しているのだ。共産主義を悪く宣伝し、共産党彈圧に寧日なき自由党政権下で、日本のための電力が開発されるものか。電気文化の花を咲かせ、世界に栄えつつある中ソへの和平のための日本国内体制を確立せよ。これのみが日本の電力を豊富にし、雨のみに左右される、底の浅い日本の発電施設を科学的な、計画的なものにし、日本人をろうそくと電燈の二本建生活より解放し、消えない燈火のもとに平和のための産業と勉学に終始させてくれるのだ。  ソ連、中国への交易禁止のアメリカ人よりの命令を、日本国民の力で打破り、車国、ソ連より安く買い、大量に売り、各国民共存共栄の中で日本の発展と繁栄をはかろう。平和な電気文化の中で、各人ひとしく楽しもう。この逆を行く自由党の電源開発促進法案は、できもせぬことを、文字と言葉で、御丁寧にも外資導入をごつちやまぜて、ごまかしているだけであるから、日本共産党はこの法案には絶対反対であります。(拍手
  37. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) ただいまの横田君の発言中、不穏当の言辞があつたように思いまするので、速記録を取調べの上、適当な措置を講ずることといたします。青野武一君。     〔青野武一君登壇
  38. 青野武一

    ○青野武一君 私は、日本社会党第二十三控室を代表いたしましてただいま議題となつております電源開発促進法案に対して、通産委員会で多武良君外十五名から出された修正案と、水田君外数十名の諸君提出されました法案の二つに反対の意思を表明するのであります。野党各代表者の諸君から詳細に反対意見が述べられましたので、きわめて簡単に反対の意思を申し上げたいと思います。  私どもの所属する社会党は、電源開発促進そのものに反対しておるのではございません。その内容、方式に、われわれが考えておる点と非常な隔たりがありまするので反対をするのであります。もちろん、電源開発促進に関連して、隣邦、たとえば中共あたりと自主的な貿易の再開、経済の提携等が裏からがつちり結びついておらなければ、單なる電源開発だけでは、日本の産業の発展ば望めません。そういう意味から、私は公共企業体の方式か、国営国家資本によるところの電源開発をやるべきである、長期経営で電力を安く、しかも豊富に、公平に提供すべきであるということを主張しているのであります。経営内容につきましては、消費者大衆にきわめて親切にその内容を公開して、民主的に経営すべきである。これが、項目別に申しますると、日本社会党の主張の一部分であります。  私がここで特に反対意見として強調したいと思いますることは、農地、農業用水、たとえば農家、家屋だとか、そういつたものの補償が全然明確化されておりません。こういうことを質問いたしますると、自由党の提案の責任者は、それは民事上の裁判の手続によつたらいいではないか、こういう答弁であつたのでありますが、ダムをつくる、そうすると下流は砂地になる、あるいは貯水池をつくるために農地がそれに利用されて行く、そういう点についての補償がまるきり明確に示されておません。少くとも電源開発会社という大きなものに対して個々の農民や被害者の諸君が、裁判上の対決では勝つことができません。そういう意味で、私どもは委員会でこれを極力主張したのでございます。  第一に反対いたしますることは、開発地域の選定の基準がきわめて不明確である。従つて、たとえば只見川の開発ができましても、東北、関東はそれでいいでしよう。しかし、中国、九州、四国方面、特に九州は火力発電地域でございますので、この電力料の地域差というものが非常に大きくなつて日本の産業が、その料金差によつて非常にへんぱな状態に置かれるというこについても私ども心配して、この点を明確にしろと要求したのでございますが、それが法律案の中では全然出ておりません。  国民の負担によるところの開発は、開発の完成後に譲渡または貸付けをするという。この法案を流れておりますものは、国家資金をとりよいようにとつて来て、国民の犠牲の上に立つてこれを遂行して行こうということが明瞭に看取される。その点について、私どもは、裏から申しますると、これは、消費者国民大衆に電力料の前拂いをさせるにひとしい法案であるということぶ言い得るのであります。(拍手)  また、先ほど申しました農地あるいは農業用水等についての補償が、條文の中に明確に出ていない。この開発事業を遂行して参りますと、勢い総合開発区域でありまする吉野・熊野地域、これらは、聞くところによりますると、戸数にして二千戸が、ダム、貯水池の関係で、いわゆる犠牲になつて行く。そういう大きな問題を控えておりますが、裁判上の問題では、こういうものはなかなか片づきません。あるいは九州熊本県の球磨川にしても、約一千戸がこの電源開発のために犠牲になつて行く。こういう点について、補償という制度がこの中にございませんから、私が特にここで日本社会党を代表して強調したいと思いますることは、單独立法で、これらの犠牲になつて行くところの諸君の補償に関する法案を新たに決定すべし。あるいは農業用水であるとか、貯水池であるとか、いかだ流しであるとが、魚道であるとが、そういつたものに対する補償も全然考慮のうちに入つておりません。また利水、治水に関しても、このままで参りますと、水の流れ方の操作については、この大きな電源開発会社が一個でその権利を握つてしまう。天然資源である水が流れて行くその操作の権利まで開発会社がとつてしまうということは、その付近の農家の生活を極度に脅かして行くものでありますから、利水、治水、水の流し方の操作等を含めた單独立法をつくるべし。農業用水、いかだ流し、魚道あるいは家屋、農地、そういつたものに対しても、別箇に補償に関する単独立法をつくるべきであるという主張を私は申し上げるのであります。  結局、電源開発調整審議会の委員は、原案を見ますと十名、経済安定本部総裁が民間人を三名選定するという規定がございましたが、多武良君外十五名の諸君の修正案が出されまして、これが十四名になりまして、経済安定本部総裁の推薦により、民間人、学識経験者三名が七名になつた。合計十四名で、半数ずつ出ておるからいいではないかという御答弁も承りましたが、電源開発調整審議会の委員が、現吉田内、閣の閣僚で七人も八人も独占せられ、吉田総理が総裁の立場に立つて民間人を七名選定しましても、その大部分は、やはり自由党政権を中心にする吉田さんの勢力をここに集中するのであります。いわゆる電源開発事業というものの実態は、吉田内閣の手によつて握り、しかも、やがて追つて来る選挙に、━━━━━━━━━━━━━━━━━ことを、われわれは見のがすわけには参りません。(「何を言つておるか」「懲罰だ、懲罰だ」と呼び、その他発言する者多し、拍手)  昨年の暮れ、国会におきまして、財閥同族支配力排除法が撤廃せられましてからこつち、自由党を中心にする吉田さんたちは、その側近者の諸君は、新たに一つの財閥をつくるために汲々としておるのであります。しかも、今度の電源開発特殊会社をつくるにいたしましても、ほとんど外債というものが見込みがない。たとえば、アメリカの国際資本が日本に入ることを前提にして計画をせられましたけれども今日では、そういうことは全然予期することができなくなつて、通産委員会で私が大蔵大臣に質問しましたときに、旧電力会社の外債は、政府責任の肩がわりにおいて今残つておりまするのが四億五千万ドル、その他利子一億五千万ドル、合計六億ドル、日本の金に直して二千一百六十億円というものが、アメリカとイギリスの商社、銀行等に、いまだに支拂われておらないことが明確になりました。しかも、日本政府は、吉田内閣は、それについて、アメリカの銀行や商会に対して何ら外債返還の手続の機関もつく一つてないということも明瞭になつたのであります。こういうように、政府責任において二千一百六十億の外債がそのまま放任せられておつて、外国から電源開発の資金を入れようと考えましても、それは至難なことであります。  通産委員会に、吉田さんの側近者の一人である白洲さんが参りまして、一キロワット十万円いるとして、今日本に必要なものは二千億円、二百万キロワツト程度の電力が必要であるということでございました。ところが、この法律案は、一株一千円で一億株、合計一千億円の予算である。一千億円で参りますと、たとえば白洲さんの意見を引きますと、さしあたり日本にいる電力はもう二百万キロワツト、金にして二千億円いる。自由党は一千億円の原案を出された。これではたして完全に行けるかどうか。これは行けないのであります。しかしながら、アメリカの資本が入らない。外国資本が入らない。しかもこれでやろうとするときに、ほとんどこれは国民の血税によつてまかなつて行くのである。  そういう点から考えてみると、でき上つてしまうと、特殊の会社に、自分たちの力で選定してこれを譲渡する。貸し付ける。日本の電力開発事業というものを、自由党の與党を中心に、吉田内閣が独占しようとする考え方である。(拍手)だから、公益事業委員会の松永委員長代理は、二、三日前の通産委員会で、衆議院を通つて参議院を通過したら、あくる日から私は立ち上つて反対運動をやると言つている。電産の労働組合が反対しておる、電力会社が反対しておる、野党の全体が反対しておる、国民が反対しておるときに、わずか二百八十名の與党が横車を押しても、開発なんということは絶対にできません。  これは、ただいま申しましたように、旧日発小坂系の幹部の諸君と、安本官僚と、通産官僚と、與党自由党と吉田内閣の一緒になつた一つの陰謀がこの法律案になつて出て来ておる。国民に犠牲をしいるものである。選挙の対策である。一つの財閥をつくるものであるから、われわれは絶対に反対するものであります。(拍手
  39. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 青野君に申し上げます。ただいまの討論中、━━━━━━━━━━━云々の言辞は不穏当と存じますが、お取消しになられますか。     〔「必要なし」と呼び、その他発言する者多し〕
  40. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 取消されますか。     〔「除名々々」「懲罰々々」と呼ぶ者あり〕
  41. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 青野君はお取消しにならぬようでありますから、議長は不穏当と認めまして取消しを命じます。(拍手)  これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  42. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り決しまとた。(拍手)      ————◇—————  第二 信用金庫法施行法の一部を改正する法律案佐藤重遠君外二十二名提出
  43. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第二、信用金庫法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。     〔佐藤重遠登壇
  44. 佐藤重遠

    佐藤重遠君 ただいま議題となりました信用金庫法施行法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。一ド  この法律案は、不肖佐藤重遠外二十二名の提出にかかるものでありまして、信用金庫法施行法の実施の経験にかんがみまして、信用協同組合を信用金庫へ組織変更するための期間をさらに一年間延長しようとするとともに、組織変更に際しましては、出資金の最低限度を緩和する経過規定をもあわせて同様一年間延長することといたそうとするものであります。  本案につきましては、去る七日、提出者佐久間徹君より提案理由の説明を聴取いたしまして、翌八日、質疑、討論を省略の上、ただちに採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  45. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。なつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第三 気象業務法案内閣提出参議院送付
  47. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第三、気象業務法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事黒澤富次郎君。     〔黒澤富次郎君登壇
  48. 黒澤富次郎

    ○黒澤富次郎君 ただいま議題となりました気象業務法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします  本法案は、気象業務に関する基本的制度を確立し、国の気象業務に対する責任を法律上明確にすることによつて気象業務の円滑なる運営と健全なる発達をはかり、もつて自然現象による災害の予防または軽減、交通安全の確保、産業の振興等、公共の福祉の増進に寄與し、あわせて気象業務に関する国際的協力を行うことを目的とするものでありまして、その骨子は次の通りであります。  第一は観測関係でありまして、中央気象台以外の機関の行つている観測については、観測方法の統一と観測水準を高める必要から、一定の技術的基準に従つて観測するとともに、観測網の確立のため必要があると認めるものから報告を受けるように規定し、また観測網の補助的役割として、船舶、航空機からも観測結果の報告を受けるようにしたことであります。  第二は予報関係でありまして、一般予報や警報のほか、船舶、航空機に対し特殊な予報、警報を行うなど、中央気象台の義務を規定するとともに、予報業務は公安保持の観点から許可制とし、警報の発表は、中央気象台以外は原則として禁止することとしたことであります。  本法案は、去る四月一日、予備審査のだめ運輸委員会に付託され、同十四日政府より提案理由の説明を聴取した後、これを審査いたしたいのでありますが、二十五日参議院より本院に送付され、運輸委員会に本付託となつたのであります。  本法案審査にあたりましては、熱心な質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録によつてごらんを願いたいと存じます。  かくて、五月七日質疑を打切り、昨九日討論に入りましたところ、日本共産党江崎一治君はその党を代表して、平和、安全保障両條約及び行政協定を破棄せざる限り本法案に反対である旨を述べられました刀  右をもつて討論を終局し、採決の結果、多数をもつて本法案は原案の通り可決いたした次第であります。  以上御報告を終ります(拍手
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  50. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会