○林百郎君 私は、ただいま
議題にな
つている国連
加盟について
承認を求めるの件について、
日本共産党を代表して
反対するものであります。
この件につきましては、共産党を除いては各派が賛成を
委員会ではしたのでありますけれども、この賛成した
諸君が、口先だけの賛成であ
つて何ら誠意がないどころか、これに対して何ら責任を持
つておらないということは、きようの出席議員を見ましても、衆議院の全議員は四百六十六名でありますが、このうち出席している議員は、先刻はわずか七、八十名でありました。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)このことは、明らかに三分の一の定足数を欠くのでありまして、いかに賛成の
諸君が、賛成と口先だけで言
つても、本日のこの議決は無効であることを、あらかじめ私は宣言しておきたいと思うのであります。(
拍手)
先ほど、大体人数を調査しましたが、
自由党の
諸君は、二百六十七名中大体五十名、それから改進党は、六十名のうち大体四名程度、それから右派
社会党は、三十三、四名のうち、わずか二名、左派
社会党は、十九名中一名、共産党だけは非常に成績がよく、(笑声)二十三名中十一名であります。この事実を見ましても、賛成の
諸君が、実際自信がないのか、あるいはまつく口先だけだということは明らかであり、この
決定はま
つたく無効であることを国際的に明らかにするために、私は日本の国会の記録に、このことを明らかにしておくのであります。(
拍手)このことが国際的に明らかになるならば、いかに
自由党が恥をかくか、またいかに
自由党が国際的に責任を追究されるかということを、あらかじめ私は警告しておくのであります。(
拍手)
そこで、まず第一に問題になりますのは、言うまでもなく、国連に
加盟する
條件の第一は、完全に独立した国であるということであります。独立した国でなくて国連に
加盟するということは、ま
つたく不可能なことであります。しかるに、日本の場合を考えてみますと、占領軍が駐留軍と名を変えただけであ
つて、依然として日本を占領していることは、これは否定できないのであります。そして、事実上完全に
外国の支配下にある国が、どうして主権平等の原則に基礎を置く国連に
加盟することができるでありましようか。もしアメリカが真に日本の国連の
加盟を支持し、また吉田内閣自体が、それを真に実現したいというならば、まず
諸君は、国連へ
加盟するというようなことを提案する前に、日本に駐留するアメリカの実質的な占領軍を即時撤退させること、そして日本の主権を完全にアメリカの手から日本へとりもどして、名実ともに独立国家にすることなくして、国連
加盟の提案のごときは笑止千万なのであります。(
拍手)
さらに、アメリカがほんとうに日本の国連
加盟を支持するというならば、
国際連合加盟の国の間には、国連憲章に従
つて主権平等の原則が尊重されることにな
つておるのであります。そして、国連憲章に明らかなように、国連
加盟国相互の間には信託統治
制度は適用がいということが、はつきりきめられておるのであります。従
つて、アメリカが真に日本の国連
加盟を支持するならば、国連憲章で禁止せられておる信託統治
制度は、すみやかにこれは廃止すべきであ
つて、すなわち、沖繩、奄美大島、小笠原諸島に対する信託統治の要求は、ただちにこれを撤回して、その主権を即時かつ完全に日本に復帰させるべきであります。(
拍手)このような国連憲章に従う
具体的な処置の裏づけがない限り、いかに口先だけで国連
加盟の提案をしようと、これは実際は、占領を継続することを合法化するための、あたかも日本が独立したような幻想を與える欺瞞手段にすぎないのであります。
その次に、国連の
加盟の第二
條件は、
諸君も御存じの
通りに、大国一致の原則が守られなければならないのであります。言うまでもなく、国連を貫く精神は、第二次世界戦争における旧敵国であるところの日独伊などの軍国主義の侵略
政策の再現を完全に阻止して、国際の平和と安全を確保するために、世界の平和について責任を持つ米、英、仏、ソ、中国などの常任理事国である五大国が互いに協力をすることであり、このために五大国に拒否権を認めておるのであります。要するに、国連を貫く根本的な精神は、大国一致の原則であります。しかるに、日米両国は、口では国連
加盟を言いながら、実際は日米の反動勢力は、この国連の精神であるところの、協調一致すべき常任理事国であるソ同盟及び当然常任理事国でなければならない中華人民共和国、この二国を仮想敵として、日米安全保障條約と、
行政協定による軍事同盟をとりきめておるのであります。それのみではなくして、日台條約……(「中ソ條約はどうだ」と呼ぶ者あり)中ソ條約というのがありますが、これは国連憲章によ
つて、旧敵国に対して国連
加盟国がいかなる
措置をと
つても許されるということは、あなた自身、国連憲章で明らかに知
つておるところじやないですか。ところが、旧敵国と常任理事国の一国が、大国一致の原則で貫かなければならないのに、常任理事国の二国を仮想敵とするかのような軍事同盟をして、しかも最近は日台條約を締結し、中華人民共和国に公然と挑戰をして、ソ同盟から引
渡しを要求されておる細菌の戰犯石井元中将のごときを保護して、朝鮮戰線における細菌戰に事実上協力しでおるのであります。
このように、明らかに五大国一致の原則に貫かれておる国連の機構をま
つたく破壊するようなとりきめを一方でしておきながら、どうしてこのような国の国連
加盟が、ソ同盟を含めての常任理事国の
承認を得ることができましようか。こんなことは、三才の童子でも明らかであります。だからこそ、本日
自由党の
諸君は、もう国連に
加盟することができないということがわか
つておるから、このように熱意が全然ないのであります。このことは明らかであります。
そこで、アメリカ並びに吉田
政府が真に日本を国連に
加盟させることを望むならば、まずなすべきことは、日本とアメリカとの問の単独講和はこれを廃棄する。さらにアジア侵略のための安全保障條約、
行政協定を廃棄して、中国、ソ同盟をも含めて全面講和を締結すべきであります。このようなことをすることなく、これを完全に無視していながら、国連に
加盟するというようなことは不可能なのであります。このように、吉田
政府がアメリカ帝国主義者とともに国連憲章を無視し、国連の機構を完全に破壊するような犯罪を犯しているが
ゆえに、常任理事国の一国であるソ同盟としては、日本の国連
加盟について拒否権を行使せざるを得ないことは、想像にかたくないのであります。このことは、すでに吉田
政府並びにアメリカ自身もよく知り抜いている。
委員会における
政府の
答弁によ
つても、ソ同盟の拒否権ということについては、当然これを予想しているのであります。それにもかかわらず、このような国連
加盟の提案をする真意は一体どこにあるのであるか。
まず、そのねらいの第一は、かりにソ同盟が拒否権を行使した場合に、ただちにこれを反ソ、反共の宣伝の口実として、日本
国民を反ソ戰にかり出すための道具に用いようとしておるのであります。そのことは、
委員会における
自由党の
諸君の
討論を聞きましても、あるいは
政府の
答弁を聞きましても、口を開けばイタリアの例を出すのであります。イタリアの国連
加盟についてソビエトが拒否権を行使したようなことを言
つておるのであります。ところが、事実はどうであ
つたか。イタリアの国連
加盟については、ソ同盟から人民民主主義国との一括国連
加盟が提案されて、このソ同盟の
決議案は、政治
委員会では圧倒的に支持を受けたのであります。また総会においても、賛成多数を得たのであります。ところがアメリカは、人民民主主義国とイタリアとの一括国連加入について
反対したために、過半数を得ることができずに、やむを得ずイタリアの国連
加盟が不可能に
なつたことは明らかであります。従
つて、イタリアの国連
加盟の不可能であ
つたことは、アメリカが自分の支配下にある国だけを国連に
加盟させようとしたこの利己心に基因しておることは、これは明らかであります。しかるに、日米反動勢力は、あたかもイタリアの国連
加盟の不可能がま
つたくソ同盟の責任であるかのごとく、これが妨害をしたことく言いふらしているのは、これは事実をしうるもはなはだしいのであります。
このような提案をする第二のねらいは、国連の名のもとに、日本をアメリカの戰争
政策に協力させる下準備として、日本の国連
加盟を日米の反動勢力が提案しているのであります。今日の国連は、
諸君も御存じの
通りに、平和のための機構ではなくして、米英によ
つて、戰争
政策を国連の名のもとに遂行する欺瞞的な手段に堕落させられておることは、国連におけるアメリカの態度を見なければ明らかであります。(
拍手)もし真に国連を世界平和のとりでとして使うならば、なぜ中国の国連
加盟をアメリカは拒否しておるのでありますか。なぜ原子兵器の製造の即時停止の提案をアメリカは拒否しておるのか。さらには、国連警察権行使の名のもとに、アメリカの朝鮮、台湾に対する侵略戰争を国連で認めておるのであります。アメリカは、自分の戰争
計画遂行のために、諸民族の自主権を奪
つて、これを自分の戰争
政策遂行に賛成する投票の機械に堕落せしむるのみではなくして、さらには、自分の支配下の国々の物的、人的資源をあげて自国の戰争
政策に協力させるために国連を利用しておるのであります。(
拍手)このことは、吉田・アチソン交換文書にはつきり書いてある。しかも問題になるのは、朝鮮休戰会談が危機に臨んでおるときに、日本の国連協会の会長である佐藤参議院……。