○深澤義守君 ただいま上程になりました五
法案のうち、塩專売法の一部を改正する
法律案を除く四
法案に対しまして、
日本共産党を
代表して
反対討論をいたします。
第一に
国有財産特別措置法案でありますが、本
法案は、公共の利益の増推と、民生の安定と、産業の振興等に旧軍用財産等の国有財産を有効適切に
使用することを
目的としいるものでありまして、一見
反対の余地がないように見えるのであります。しかしながら、旧軍用財産は、
日本国民が
日本軍国主義の権力によ
つて収奪された、血と涙の結晶であります。
従つて、この国有財産は、
国民に対して、
日本の平和的な再建のために、民生の安定及び社会政策的
施設のために、無償で
国民に還元することが当然の
措置であると考えるのであります。しかるに、先般
政府が提出いたしましたところの、
日本国と
アメリカ合衆国との間の安保條約第三條に基く
行政協定の
実施に伴う国有財産の臨時特例に関する
法律案によりますれば、
合衆国軍隊が必要とする場合においては無償でこれを提供し、その返還が行われた場合においても、原状回復及び
補償の請求権を放棄するということにな
つているのであります。
日本の
独立を奪い、
日本を戰争の危険に巻き込むところの外国軍隊に対しましては、このような優遇
措置を與えておきながら、本
法案においては、
日本国民の医療
施設や社会福祉事業
施設、学校、公民館、図書館、博物館、職業補導
施設、公営住宅等に
使用する場合においてさえ時価評価をいたしまして、その五割以内を減額して讓わ渡し、または貸し付けるようにな
つているのであります。また戰争の犠牲を受けましたところの戰災者及び引揚者、遺家族等が国有財産を住宅及び耕作地等に
使用している場合において、これに対しまして終戰当時にさかのぼ
つて使用料を徴收し、拂下げに際しましても、時価評価によ
つての拂下げが行われているのであります。
このように、外国軍隊に対しましては優遇を與え、
日本国民に対しては、かくのごとく冷遇をしているのであります。これが
和解と
信頼の
講和の姿であり、これが
吉田内閣のいうところの自由と
独立の姿であります。このように、外国軍隊に対しましては主人に仕える
使用人のごとく、
日本国民に対しましては奴隷に対する主人のごとき態度をも
つて臨むのが
吉田内閣の態度であります。本
法案の趣旨もまたそこにあるのであります。
国民の利益と幸福を念願するわれわれは、断じてこの
法案に対して賛成することはできないのであります。
第二に、
国有財産法第十三條の
規定に基き、
国会の議決を求めるの件についてでありますが、本
法案の、皇居外苑の一角四千五百数十坪にわたるところの範囲は、東京の千代田区役所の管理のもとに、千代田区の区営運動場として一般都民に
使用されているのであります。しかるに、この運動場を再び皇居外苑として還元しようとするのが本
法案の趣旨であります。
われわれは、皇居外苑は
国民の広場として広く
国民の集会や福祉のために十分利用すべきものであると考えるのであります。民主
日本の姿こそ、そういうぐあいに
使用すべきであると考えるのであります。しかるに、
政府は、この皇居外苑のメーデー
使用を禁止し、今また都民の運動場を禁止せんとしているのであります。しかるに、一方においては、二重橋附近におきましては、毎日毎晩警視庁の予備隊の訓練が行われていることは、皆さんすでに十分御
承知であります。
政府は皇居外苑を平和的に
使用することは禁止し、軍事警察的に
使用することを奬励している。これは逆コースの現われであり、天皇制復活の要望に基くものであることは明らかであります。この意味合いにおきまして、本
法案に対しまして、われわれは断じて
反対いたします。
第三に
国民貯蓄債権
法案でありますが、本
法案は、電源開発を中心とする資源の開発及び緊急の産業の建設資金業充てるために、零細な
国民の貯蓄によ
つてこれをまかなわんとするものであります。このたびの単独
講和によ
つて、
日本は
アメリカの軍事工場として急速にその態勢を整える必要上、電源開発と軍事産業の建設に、
吉田内閣は血眼にな
つているのであります。吉田
政府は、そのために
国民に対して重税を押しつけ、労働者を食えない賃金でこき使い、
農民に対しては低米価で供出を強制し、なお足らずして、赤字公債的なこの
国民貯蓄債券を発行いたしまして、
国民を徹底的に裸にしようとするのが、本
法案の
目的であります。これはまさに、竹本軍国主義が戰争中に戰費調達のために
国民に強制いたしました戦時公債的な性格を持
つているものでありまして、
国民を愚弄するもはなはだしいのであります。
第四に、
設備輸出為替損失補償法案であります。本
法案は、東南アジアに対しまして
日本の機械設備を輸出して、東南アジアから重要原材料を輸入し、
日本の軍事産業を充実し、
アメリカの軍事的要請にこたえんとする、いわゆる東南アジア開発計画の破綻を意味するものであります。イギリスは東南アジア地域に対しまして重要原材料を
日本に輸出することを禁止する
措置を講じているとわれわれは聞いております。その結果としてポンド過剩となりまして、
日本経済の大問題とな
つて、その解決ははなはだ困難な
状態にあります。その上に、ポンド貨の変更によりまして輸出は行き詰り、今や日太
経済において百数十の商社の倒産整理となり、厖大な不拂い手形の発行となり、
経済恐慌が具体的に進行しているのであります。これはまさに
アメリカ一辺倒の結果であります。
われわれは、通商の国際的自由を確保いたしまして、
日本経済の発展を期する必要があると考えるのであります。その見地から、先般開かれましたモスクワの国際
経済会議へ参加いたしまして、中共を含めたアジア諸国及びソ同盟との通商友好
関係を復活するために努力をいたしまして、
日本経済の前途を切り開く必要があることは当然であります。しかるに、
吉田内閣はこれを拒否いたしまして、
アメリカに対して忠実な
使用人の態度を示したことは、良識あるところの
国民の顰蹙にたえないところであります。(
拍手)このような
吉田内閣の政策こそが、本
法案を制定して、
国民に対して損失のしりぬぐいをさせる結果とな
つたのであります。このような
状態の中で、
経済はいよいよ萎縮し、
国民はいよいよその負担の過重に苦しまなればならないのであります。この
日本経済の破滅的
状態を救う道は、
アメリカの東南アジア開発計画の下請人であることを即時にやめること、そうして、ただちに中共貿易を再開し、日ソ貿易を復活すること遺骸にないのであります。
以上の
理由によりまして、共産党は四
法案に対して
反対するのであります。(
拍手)