○鈴木義男君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、八千万
国民がひとしく聞かんと欲するところをたださんとするものであります。佐々木君は
政府にかわ
つて御答弁に
なつたようでありまするが、(
拍手)これは正反対の方面から承りたい。松本君の質問と重複するところがあります若干掘り下げて御質問いたしたいと存ずるのであります。
吉田首相は、口を開けば民主政治を云々するのでありますが、近時そのなすところを見まするに、ことごとく独断専行、か
つての藩閥超然内閣の総理のなしたやり方とごうも違うところはないのであります。(
拍手)
国民のひとしく痛憤するところであります。
国民は、ぞつとする独占外交と呼んでおるのであります。われわれは、東条大将のそれのごとく、国家の将来を誤らずんば幸いであると感じている次第であります。(
拍手)
およそ民主的政治家というものは、大切な国策を決定するには常に民論に聞き、
国民とともに決するのでなければなりません。しかるに、
国民を愚にし、
国民の代表たる
国会をつんぼさじきに置いて、国策の中でも最も大切なる国策たる、ある国と軍事同盟にも近き
安全保障条約を結ぶとか、相わかれて対立しておる二つの政権の一つを選択して、これと交わりを締するとかいうような問題を、一言半句事前に相談することもなく、か
つてに独断専決しておいて、黙
つておれについて来いという態度は何事でありますか。(
拍手)自由党の
諸君にだけでも相談しておるのかというと、そうでもない。
〔
議長退席、副
議長着席〕
これもまた、つんぼさじきであります。思うに、三年前に獲得し絶対多数の上にあぐらをかいて、唯々諾々たる与党のある限り、どんな独断もまかり通ると、たかをくく
つておるのではないかと疑うものであります。(
拍手)しかし、三年前の多数は決して今日の多数ではありません。のみならず、私は最近、北海道から九州まで旅行する機会を得たのでありますが、
国民は非常な不安にかられおることを見て来たのであります。
安全保障条約とは、一種の軍事同盟にも似たものであります。総理とダレス氏との間にどういう話合いがあつたかは存じませんが、総理は、サンフランシスコにおいて、
平和条約締結後数時間にして、ただ一人で調印して、同行の全権団すら相談にあずからなかつたといわれておる。いわんや、
国民は、調印後、電波に乗
つて初めてその内容を承知したのであります。そういうことでよろしいものでございましようか。
また中共か台湾
政府かということは、少くともわが国の今後二、三十年の運命を決する重大事であります。軽軽に台湾
政府を選ぶということは、閣僚にすら相談することなく、
アメリカの首脳部に密約されておつたということが、昨年末発覚いたしたのであります。これはまつたく吉田個人の選択であつたのであります。イギリスの外務大臣イーデン氏は、
国会において
演説して、どちらを選ぶのがいいかは、
日本としてはきわめて慎重にきわめなければならない問題であり、
日本はあとで後悔するような約束はしない方が賢明だと述べたほどであります。かりに台湾
政府を選ぶの余儀なしとするも、ああいうやり方で、はたしてよいものでありましようか。首相は、
国民外交とは民主的外交というものを御承知なのでありましようか、またそういうものをどうお考えでありますか、この際これを承
つておきたいのであります。
国民の多数は、この調子だと、どこに連れて行かれるのか、ちよつと見当がつかないので、非常な危惧の念を抱いておるのであります。できてしまつたものだからしかたがないという目で見ておる者もあるのでありますが、きわめて重大なる
安全保障条約が、また法三章式のすこぶる簡単なものであります。これは
原則をきめた作文のようなものでありまして、具体的に
軍隊がどう動くのかということは、これでは少しもわからないのであります。すべては
行政協定に讓
つてある。ゆえに、
行政協定なり、その他の
協定というものは、本
条約以上に大切なものであります。われわれは、一日も早くその内容を知りたいと思い、またわれわれの希望を織り込ませたいと思
つて、非常に努力いたしたのであります。しかし遺憾ながら、
政府は最後まで秘密主義で押し通したのであります。断片的に、ちらほらと示唆したことはありまするが、全貌を明らかにしたのは、昨日調印を済ませてから、ただ報告するという形でわれわれに示したのが初めてであります。
国民の代表たる
国会を愚にするもきわまれりと申さなけれればなりません。(
拍手)そこで、第一に総理なり
岡崎国務大臣に伺いたいのは、この
行政協定は
安全保障条約の一部であるか、または付随するものであるかは別論といたしましても、この点についてすでに閣僚の問に答弁に食い違いがあつたことは御承知の
通りでありまするが、この内容は、明らかに、国際的には
日本と他の国との間の
権利義務の
関係を
規定しておりまするし、国内的には
国民の
権利義務に重大なる影響のあるとりきめであります。こういうとりきめは、われわれの常識では
条約と呼ぶのであります。名前は何
とつけても、実質は
条約である。(
拍手)
条約たる以上、
憲法第七十三条の
規定に基いて、事前または事後において
国会の
承認を経ることを要するものと信ずるのでありますが、
政府はその必要がないと御主張になるのでありますか。はたしてしからば、
行政協定が
条約でないという根拠を、もつとはりきりとお示し願いたいのであります。
そもそも
行政協定なるものは、
アメリカの特殊の政治制度の上に出現した存在でありまして、他の国には、こういう観念はないのであります。他の国においては、みな
条約として取扱われておるのであります。かの北大西洋
条約に付随する
行政協定は、その末条において、各国はそれぞれ
憲法の定めるところによ
つて批准を経ることを要し、批准して初めて
効力を
発生する旨がうたわれておるのであります。
アメリカは、
条約の批准は、松本君も言われましたように、上院の三分の二以上の賛成という困難な条件があるのでありますから、ここに委任
立法に類する
協定の制度が採用されたのは、一応理由あることでありますが、わが国は両院とも過半数の賛成を得れば足りるのでありまして、批准をめんどうに思うべき何らの理由もないことであります。かく明々白々たる
条約を、
協定の名に隠れて
国会の
承認を回避せんとするごときは、わが
憲法運用の上に最大悪例を残すものと信ずるのであります。(
拍手)
政府の責任、けだし軽からざるものありと断ずる次第であります。
アメリカでは、
行政協定は必ずしも上院の
承認を得なくてもいいのだそうでありますが、それは形式だけのことであ
つて、実際は
協定を示さなければ本
条約の批准も容易しないということは、今回の
交渉の経緯に徴して明らかであります。
二月一日の予算
委員会において、わが党の西村
委員の質問に対して、
吉田首相は今回の
行政協定は単なる予備
交渉である、本
交渉は
平和条約の
効力発生後に行われるであろうと答えたのであります。しかるに、二月十三日の予算
委員会において、
岡崎国務大臣は、今や
つておる
行政協定は、おそらく仮調印ということになるだろう、
効力の
発生はずつと後のことであるというように答弁を
変更したのであります。これは、そのころ
外電によ
つて、合衆国の上院は、ちやんとでき上つた
行政協定を提出するのでなければ本
条約の批准をもしない意向であるということが伝えられたのと合致するのであります。同じころ、フラッドレー統合参謀本部
議長も、
行政協定の確定案を近く上院に提出する旨を証言したと、
外電は伝えているのであります。かくて、二月下旬に入りますや、
政府の答弁は三軽して、本
交渉であるといい、本調印をするということに
なつたのであります。してみれば、
アメリカ上院は、実際上これを
審議の対象としておることは明らかである。ひとりわが
国会だけがつんぼさじきということは、ただに遺憾なばかりでなく、
憲法の運用上看過しがたい悪先例となることを憂えるものであります。(
拍手)
のみならず、
アメリカの法制の上でどうありましようとも、
日本は
日本である。後にお尋ねするように、本
協定には、
日本国家並びに
国民として実に重大な事項が数多く
規定されておる。ゆえに、われわれは、かねてから、
協定は
安全保障条約の一部であ
つて、
平和条約の
効力発生後に安保
条約とともに締結せらるべきものと主張して来たのであります。
従つて、この
協定が起草せられますときには、その原案を
国会に示して、
国会の議決を経ることが正当であると信じておつたのである。しかるに、被
占領下にありながらこの
協定を結ぶということは、
講和条約の和解と平等と寛大の精神に反するものと考えるのであります。いわんや、
講和条約は
発効していけないけれども、調印後は
日本を独立国とみなし、対等の
立場において
交渉するという約束であつたにもかかわらず、でき上つた
協定を一読いたしますれば、そこに独立と対等のかけらすらも見出すことができないことは、実に痛恨のきわみであります。(
拍手)
政府は、これあるがゆえに
国会の議に付することを恐れたのではないかを疑うものであります。依然としてこれ
占領の延長ではないか。(
拍手)この点に対する
政府の
所信を承りたいのであります。
第二にお伺いいたしたいことは、今回の
行政協定は安保
条約第三条に基く
協定と銘打
つてありますが、しからば安保
条約の第三条には、
アメリカ合衆国軍隊の配備を規律する条件を
協定するとあるのでありまするから、軍の配備に関することにとどまるべきではないかと思うのでありますが、(
拍手)この中には予算に
関係あることが
規定され、
国民の
権利義務に関することが
規定されておるのは
協定の範囲を逸脱してはいないかということであります。(
拍手)ことは
相互の
裁判権の範囲などをきめることは、本来
行政協定の予定するところではないはずでありまして、まつたく別個の
条約をも
つて定むべきものでないかと存ずるのでありますが、あらゆる重要なことが、
国会の
承認を要せざる一片の
協定なるもののうちに定められておるのを見るのであります。今後また
協定の追加というような名のもに、どしどしこの種の重要なとりきめが行われるとしまするならば、まさに戦慄に値することであります。
政府は、いかなる信念があ
つて、安保
条約第三条の名のもとに、かかる広汎なとりきめを行つたのであるか。またそれは許されることと考えられるのでありまするか、承りたいのであります。
次に内容に入
つてお尋ねいたしたいのでありまするが、それは無数にあります。時間の
関係上、根本的な二、三の点にとどめまするが、まず
行政協定第十八条第一項には、各当事者は——これは
アメリカと
日本という意味でありまするが、各当事者は、その
軍隊の構成員の
公務執行中にこうむつた負傷または死亡について互いに
損害賠償請求権を
放棄する趣旨が
規定されておりまするが、
アメリカが
軍隊を持
つておることはわかりまするが、
日本が
軍隊を持つたことは、いまだ聞かないところであります。(
拍手)これは単に翻訳の間違いなどと申せないことであります。世上すでに再軍備の安保
条約というくらいでありまして、
政府はしきりに再軍備を否認しつつも、すでに
軍隊あるものとしての
協定を結ぶに至つたゆえんではないかと存ずるのであります。(
拍手)いわゆる頭隠してしり隠さずではないかということをお伺いいたします。(
拍手)
次に
治外法権についてお尋ねをいたしまするが、
政府は
法律技術上の専門語を使うことによ
つてカモフラージュしようとするようであるが、これはごまかしというものである。一国内その法権の及ばない
地域があれば、それが
治外法権たることはもちろんでありまするが、(
拍手)属人主義の名のもとに、かく広汎にわが
裁判管轄権の及ばないものが、わが独立後の国内にたくさん存在するというのは、とりもなおさず、りつぱな常識的意味の
治外法権であります。(
拍手)そして、その数の多いこと、大
規模に国内を闊歩する事実は、とうてい、かの安政
条約の比ではないのであります。(
拍手)それが単に
軍人、
軍属にとどまらず、一切の私人にまで及ぶのであります。その数も何十万になるか、はかりがたい。われわれは、江東の富士銀行に三名の
外国人強盗が現あれたことに対し、また神田に、よいのうちに三箇所を襲つた
外国人強盗が現われたことに対し、
占領治下とはいいながら、
日本警察はこれを捕えることができない、捕えても、これをさばくことができないということについては、痛憤禁ぜるものがあるのであります。(
拍手「その
通りその
通り」)われわれは、
講和条約発効はすなわち完全なる独立の回復と信じ、圧迫を感じ、目ざわりになるもののなくなる日を、一日千秋の思いで待つたのであります。しかるに、再びかくのごとき無限の圧力を感ずるに至るのである。
政府の責任や実に軽からざるものがあると信ずる、
日本を軽蔑し、
日本の
裁判権を信ぜるがゆえに、かくのごときことが起るのであります。(
拍手)
協定は、近い将来、北大西洋
条約の
協定の
効力発生のあかつきには、これと同一条件に改訂する用意があるとうたつたようでありますが、それなら、なぜ今ただちにその条件で
協定を結ばなかつたのであるか。(
拍手)たといわずかの間といえども、これら諸国と異
つて、わが国を裁判管轄の点において属国、保護国にも類する不平等、劣等の地位に置いたということは、この
政府の大責任であります。屈辱外交これよりはなはだしいものはないと存ずるのであります。(
拍手)何ゆえに
占領の終了を待つことができなかつたであるか。何ゆえにもう少し独立国らしいとりきめをすることができなかつたのであるか。責任ある答弁を求めるものであります。(
拍手)
次には、駐留軍の需品、工事、資材、労務の徴発、租税の免除等について、国内法における幾多の例外が
規定されておるのでありますが、これはわが国の法秩序を乱し、経済界に悪影響を及ぼし、一部の業者を利するおそれあるものと信ずるのであります。どうして全面的に
日本国法とその慣行に
従つてやることができなかつたのであるか。
たとえば、
協定第十二条第一項には「合衆国は、この
協定の
目的のため又はこの
協定で認められるところにより
日本国で供給されるべき需品又は行われるべき工事のため、供給者又は工事を行う者の選択に関する制限を受けないで契約する
権利を有する。」とありまするが、工事請負や物品納入については、わが国では詳細かつ厳格な選択
規定があ
つて、公正を期しているのであります。しかるに、そういう制限を無視して、しかも直接や
つてよろしいという
規定である。なるほど、その第二項には、その調達が
日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、
日本国当局の援助を得て調達することができるとありますが、不利なる影響を及ぼすかいなかの認定もすでに争いがあり、協議や援助では、とうてい所期の
目的を達することはできないと存ずるのであります。こういう約束は、はなはだまずいと思う。
また、同条の第五項は労務の
提供をきめたものでありますが、従来進駐軍に使われておつた労務者が、労働三法の圏外にあり、きわめて菲薄なる条件のもとに、奴隷労働に近い待遇にあつたことは周知の事実であります。(
拍手)そこで、われわれはたびたび警告を発して他の労務者と同じ条件において働くことができるように
協定せよと、
政府並びにラスク氏に要望したのであります。幸いにこの点は取入れられたようでありまするが、しかし、例外を開くことができるように特則が設けてある。また第六項において
規定しておりまするように、
日本国の法令に服さない
軍人、
軍属が主として
日本労働者を使用するのであ
つて、これらは
占領者意識が強く、
日本法を知らないがゆえに、この基準を破ることも平気であるという欠点を持つのであります。何ゆえ、この点について、もつと明確に、
日本政府が責任を持
つてやるように
規定しなかつたのであるか承りたい。
また、租税免除の特権が多過ぎるのであります。これは一方においてインフレの原因となり、他方に、いかに厳重に取締
つても横に流れたり、有税物資と無税物資の混乱を避けることはできないのであ
つて、すこぶる遺憾であります。
アメリカが援助的行為に出るのはけつこうでありまするが、援助は援助、経済秩序の維持はあくまでしなければならないと思いますが、何ゆえに、かかる特権を大幅に設定したのであるか承りたい。
また
分担金の問題でありまするが、いかに
アメリカの好意によるとはいいながら、
朝鮮の休戦会談も進捗しつつあり、東洋の情勢は、今ただちに、しかく大
規模の
軍隊の駐留を必要とするものとは思われないのでありますし、わが国としては、あくまで受身に立
つておるのでありまするから、国内再建の方が先決問題である。
防衛費の
分担は、貧弱なるわが財政にと
つて非常なる圧迫である。これをもつともつと少くして、
国民の生活水準を高めるために使用べきであることを、われわれはつとに主張し来つたのでありまするが、
政府は少しもこの点努力した形跡のないのは遺憾千万であります。第二十五条に一応のとりきめがなされておりますが、これには、購入する物資等について租税を課したり免除したりすることが暗黙に
協定されておるやに承るのでありまするが、何ゆえに、はつきりこれを明文の上に表わさなかつたのであるか。二十五条の
規定は、いかにむ恩恵的な口調で示されておりまするが、これが再建途上のわが国財政に一大がんとなることは、何人にも明らかなことであります。私どもは、
政府の努力の足りないことについて、強くこれを糾弾するものであります。(
拍手)明確な答弁を求めるものであります。
さらにいろいろ質問いたしたいのでありまするが、時間の
関係上、すべては
委員会の質問に護ります。
最後に、最も重大な問題について質問いたします。今回の
行政協定に書いてあるようなことは、安全保障の問題としては比較的枝葉末節である。最も
国民の関心を持
つておることは、
日本が東洋作戦の
基地になるのであるかいなか、ことに原爆
基地に予定されるのであるかいなか、
内乱が起つた場合に、駐留軍は何人の指揮のもとに出動するのであるか、
警察予備隊がこれを援助することが予定されるのであるが、これも駐留軍司令官のもとに活動するのであるか、この警察力の使用を誤つた場合に、何人が
国会に対して責任を負うのであるか、
外国軍統帥権の一部分に入るものとして、か
つての参謀総長の帷幄上奏権のごとく、
国会に対しての無責任的存在となるもりであるか、また
安全保障条約には東洋の治安維持とうたわれておるのでありまするが、東洋の治安が乱れたと何人が認定し、何人が駐留軍の海外出動を決定するのであるか、その場合、わが
警察予備隊——海上保安隊を含めて、この予備隊もこれに付従して出動を強制されるのではないか、これを決安するのは何人であるか、目下
警察予備隊は、
アメリカ軍人の将校、下士等によ
つて訓練されておるようでありまするが、独立後も
アメリカ軍人による指導訓練が続いて行くにであるか、というような問題なのであります。(
拍手)これらは、独立国においては主権の制限に関する重大問題であ
つて、保障
条約そのもののうちに明記せらるべき条項でありまして、ー片の
行政協定で取扱わるべき筋合いでないことはもちろんでありますが、これらの点に対して、
政府はどういう
方針を持ち、またどういう
交渉をしたのであるか、この際
国民の前に明らかにされる
義務があると信ずるのであります。(
拍手)
政府の説明によると、これら最も大切な問題は、具体的問題が起つたときに、駐留軍の司令官と
日本政府の責任者または警察隊長との間に協議決定するというようなお話でありまするが、それでは、どろぼうを捕えてからなわをなうようなものであ
つて、とうてい間に合わないことはもちろん、あらかじめ基準や準則がありませんならば、これを決するものは、そのときの実力者ということになるのは、火を見るよりも明らかであります。(
拍手)さなきだに保護国待遇のわが国の現状であります。
国民は実に深い危惧の念をも
つてこれを見守
つておるのであります。
政府にいかなる
対策があるのでありまするか承りたい。
一方、中ソ同盟
条約のあることを忘れてはならないのであります。国内の治安を守り、不法なる侵略を防止するだけならば、中ソ同盟
条約の発動も不可能でありまするから、多く憂うみに足りませんが、
日本を作戦の
基地として利用するがごとき形勢が露呈いたしまするならば、わが国が戦乱の渦中に省き込まれることは明らかであります。(
拍手)その点に対する何ら明確な保障は見えておらないのであります。これに対して、
政府はいかなる確信を持
つて、いかなる
対策を
実施せんとしておるのであるか、承りたいのであります。
最後に、この
協定では、
防衛を
実施するために
日米合同委員会を設けることにな
つておるようであります。何人がその指導権を握るのであるか。複数の
委員会というものは、常に意見の対立を予想しなければなりません。運営の規則は別に定めるというのでありますが、なぜ今これをきめておくことができないのでありましようか。
日本が独立したものと仮定して、
日本の安全を守るためにこの制度はできたはずであります。ゆえに、われわれとしては、最終決定権はいつでも
日本政府の最高責任者になければならないはずだと信ずるのであります。そうでないならば、一種の保護国
条約であります。
政府はいかなる
見解を持
つておられるのであるか承りたい。
政府が政権に坐した後の態度を見るに、政権に恋々たるのあまり、寸を譲り、尺を譲り、今また丈を譲らんとしておるのであります。終戦後の
政府はいずれも卑屈でなかつたとはいわれませんが、吉田内閣に
至つてきわまれりといわなければなりません。(
拍手)しかして、今回の
行政協定において、その卑屈はクライマックスに達したのであります。(
拍手)よろしく、かくのごとき内閣は、すみやかにその地位を去
つて、
国民に陳謝すべきであることを提言して、私の質問を終る次第であります。(
拍手)
〔
国務大臣岡崎勝男君登壇〕