○早川崇君 私は、改進党を代表いたしまして
昭和二十七年度
予算案に対して反対の意を表する次第でございます。(
拍手)以下数項にわたりまして反対の
理由を説明いたしたいと思います。第一は、本
予算案の
審議の
方式それ自体に対するものであります。皆さんの御承知のように、
昭和二十七年度の
予算の最も重要な部分をなすものは、防衛分担金と安全保障費等、いわゆる防衛分担の費用でございます。
〔副
議長退席、
議長着席〕
しかるに、
政府は、の
行政協定の
内容の十分な説明すら行わないのでございます。いわんや、この
行政協定の結果必然的に生ずる費用の分担の明細に
至つては、さらにわれわれの納得し得ないところでございます。
かような
国民の納得し得ざる
行政協定の、あいまいな、しかもいまだ
協定が
締結されざる以前において、
與党が多数をも
つて本
予算案の
衆議院通過をはからんとするがごときは、まさにわれわれ
国会の権威を無視するなのといわなければなりません。(
拍手)
米国の議会において安保、講和両條約の上院の批准は、この
行政協定の具体的な
締結をま
つて初めて両條約を批准せんとする、かような権威のある、真に民主的な
アメリカの
国会の
審議状況と対比した場合に、
與党の
諸君が、今これを
行政協定も
締結せずしてやらんとするこの
態度こそは、わが
日本の
国会を侮辱し、のみならず、
講和條約によ
つてまさに
独立せんとするわが
日本の民族のプライドを傷つけ、民族の自主性を傷つけ、おそらくこの
予算案に対して賛成投票をされる
與党の
諸君は後世
国民の重大な指弾を受けるということを、私はこの壇上において断言してはばからないのでございます。(
拍手)真に
国権の
最高機関たる
審議権を重んじ、わが民族の自主性とプライドを尊重するならば、少くとも
わが国会は、
行政協定の成立後においてその
内容の検討を十分に行い、しかる後に賛否を決するのが妥当でございます。さらに諸般の事情で爾余の
予算を急ぐというならば、少くとも
行政協定に伴うこの防衛費だけは切り離して、補正第一号をも
つて国会の賛否を問うのが、真に民主的な
わが国会の権威を尊重する
ゆえんであろろということを、私は断言してはばかりません。
次に、一歩しりぞきまして、
予算案の
内容についての反対
理由を申し述べたいと思うのであります。
第一は防衛分担金の六百五十億円の
内容でございますが、防衛分担金というものは、
行政協定ができまして、
駐留軍の兵力、
駐留軍の基地というようなむのが真に明らかにならなければ、どうしてこれに伴う費用の
予算が出て参りますか。かような、まこと矛盾したものを、われわれははあえて
承認することはできません。さらに、
政府がたびたび言明している
日米折半の防衛分担金の
負担も、
わが国の方が百億多く
負担しようというようなことは、断じて私は
承認できないのでございます。
次に、第二の安全保障諸費五百六十億円に
至つては、まつたくその
内容は想像
予算でございます。か
つての東條軍閥の臨時軍事費的性格はきわめて明瞭でございます。今
国民が血と汗によ
つて納めておるこの税金を、
国権の
最高機関にある、
国民の代表たる皆さんが行
政府の
諸君にまったく
白紙委任状を與えて、その
内容を
審議検討しないということは、いかなる
理由によるのであるか。銀行から金を借りるのでも、こまかい明細書がいることは、わかるはずであります。いわんや、金を借りるのではない。血と汗の税金から
支出する三百何億という建築費は、何に使うのでございますか。かような想像
予算を、
白紙委任状をも
つて、吉田さんに、どうかどうにでも使
つてくれというようなことは、私は旧
憲法時代の
国会の域を脱しておらない、まことに恥辱にひとしい
行為だと思うのでございます。当然この五百六十億は、費途の
内容が明らかになるまで本
予算案から削除すべきことを、私は主張するのでございます。
第三の問題は、防衛
関係費が総額千八百二十三億円の巨額に上
つておるのでございますが、この金額は
予算全体の二一%でございます。
国民所得全体の約四%に上るものでございまするが、かような巨額な
支出というものは、
世界の国際水準から見ましても、その
内容において、実質において国防費
支出と見なければなりません。しかるに、
政府が、これをも
つて依然として警察の予備隊的なものであると強弁して
国民を欺瞞するのはちょうど日華事変をも
つて戦争にあらずと言つた過去の悪い印象を引継ぐものでございます。(
拍手)私は断じてかような
国民に対する欺瞞は許されないと信ずるのでございます。むしろ、はつきりこの
内容がそういうものであれば、自衛軍としての性格を明らかにすべきであると私は思うのであります。しからずして、費用のみをたくさん出して、濫費して、しかも魂のこもらない、似て非なる
軍隊をいかにわれわれがたくさんつく
つても、祖国の防衛はおろか、大規模の内乱に対しても、とうていこれを防ぐ力は持たないと私は信ずるのであります。以上が、防衛
関係支出全般に関する私たちもの賛成し得ない
理由でございます。
次に、経済
関係予算についてのわれわれの見解を申し述べたいと思うのでございます。
第一点は、
国民生活を圧迫することなくして防衛費の増大の要請にこたえるためには、言いかえれば、大砲かバターかという、この矛盾した二つの要請をいかにして調和して、大砲がバターを圧迫することなく均衡を保つということは、私はひつきようするに生産の増大、
国民所得の増大にまたなければならないと信ずるのであります。しかるに、バターと大砲の、バランスのとれた安全保障を行うというこの段階におきまして
政府が今唱えており、また実行して参りました、資本主義的な、自由経済的な浪費経済をも
つて、はたして今後の生産増強することができるかどうかということは、私は断じてしからずと存ずるのであります。なぜならば、現在までは一応は何とか糊塗して参りましたけれども、今までのように、片方において一年間の
日本の鉄鋼生産の量にひとしい鉄材を使
つて、あるいはヒルができる、あるいはトルコぶろができるというような、いわば浪費経済の面に重要な資材が流れてお
つて、こつちの面においては電源開発がとんと進まぬというような、かような自由放任経済では、とても生産の増強は望まれません。さらに貿易政策をながめましても、現在の各中小企業、貿易商社の倒産その他の不況というものは、
諸君も御承知のように、昨年の初めの皮革とか油脂とかいうものの、まつたく無計画きわまる輸入に原因しておるのでございます。さらに最近は、ポンドの過剰問題で、あわてて為替政策を変更せざるを得ない場面に立ち
至つておる。さらに
日米経済協力という面にお営ましても、製品で輸出しないで、鋼材をそのまま百万トン近く出そうという、無計画きわまる自由経済
方式をも
つてしては、バターか大砲かを調和して、
国民生活を安定しつつ防衛力を増大するという、困難な講和後の
日本の経済を担当する資格なしと、私は断ぜざるを得ないのであります。にもかかわらず、本
予算案におきましては、あの特需景気によ
つて潤つた二十六年度の生産よりもさらに一〇%生産が増強すると見積
つておる。
国民所得においては、さらに八%の増大を期待しておる。法人税においては四百億円の自然増収を期待しておるというような実情でありまして、もう一度朝鮮特需でも
日本に恵んで来るというようにお考えにな
つておるとすれば、まことに甘い、虎威に類した大蔵大臣であろうと私は思うのであります。次に私が反対せざるを得ない
理由は、依然として本
予算案におきましては財政と金融の均衡がとれておらないのでございます。言いかえれば、財政の面においては一応黒字均衡
予算を潤んでおりますけれども、金融の面をながめましたならば、オーバーローン、貸越しの日銀再割引という、まことに不自然な不均衡赤字金融であるということは、皆さんも御承知であろうと思うのであります。かようなこの財政金融の矛盾をも
つて、どうしてインフレを抑圧し——生産増強を達成することができるかどうかということを、私は疑わざるを得ないのでございます。
具体的な数字をも
つて申しますと、産業投資において一千百八十五億円を計上しておりますけれども、これは二十六年度の
予算よりも二百五十億少いのでございます。にもかかわらず、財政資金の中に含まるべき運用部資金、見返り資金を合しますと、驚くなかれ千四百二十五億円というものがリザーヴされて効率的にこの金を使わないで保存しているのであります。片一方の方は、オーバーローンで銀行があえいでいる。片一方においていかに一財政資金とは申せ、かような非効率的な、非能率的な貨幣を遊休せしめてまことに貧弱な
日本の資金資材の現状において、はたして講和後真剣に
日米経済の再建に取組もうとしているのがどうか、私はこの熱意を疑わざるを得ないのでございます。(
拍手)
次に、私は食糧政策において反対せざるを得ないのであります。本
予算案においては、食糧自給度の向上を、鬼の首でもとつたように高く主張しているのであります。しかるに、
諸君よく聞いていただきたいのは、片一方において五百数十億円の土地改良費その他で食糧増産、食糧向上を唱えながら——右の手においては食糧増産だが、左の手においては、御承知のように麦の統制撤廃その他の
措置を誤り、総額において年間四百万石の麦の減産を来しておるというこの事実は、矛盾にあらずして何ぞやということを私は申し上げたいのであります。(
拍手)
さらに本
予算案の基礎をなす米価の算定において、農民を欺瞞するもはなはだしいのでございます。なぜなれば、本
予算の基礎になる米価は、二五五の指数によるパリティ計算にな
つておるのでございますが、この二三五のパリティ計算の中において占める肥料の価格の率は、驚くなかれ一千分の百三十より肥料というものを見込んでおりません。なるほど、衣料その他はダブついて価格が下落し、横ばいにな
つておりますけれども、終戰直後の農家はいざ知らず、最近の農家のほとんどの收入の中の
支出は何かといえば肥料でございます。この肥料が高くな
つておるので困
つておりますけれども、千分の百三十より肥料を見込んでおらないということは、いかに農家経営の実態にうとい廣川農林大臣であるかということが私はわかるのであります。もしそれ二五五のパリティ指数を維持しようとするならば、どうしても低肥料を農家に円滑に配給するために、肥料需給調整の財政
支出を当然見込まなければならぬのでございますけれども、本
予算において何らこれに触るる二となきは、羊頭を掲げて農民に狗肉を売るにひとしいといわなければなりません。(
拍手)次に私は、中小企業に対する本
予算の
措置が、池田さんの性格そのまま、まことに冷淡だということを申し上げないわけには参りません。なぜならば、私は中小企業の竹本の産業におけるウエートを非常に高く評価するからでございます。皆さんも御承知のように、中小企業は
日本の生産の四割を担当しているのであります。工場数の九二%、労働者において四〇%のものはこの百人以下の中小企業に雇われているのでございます。しかるに、かような
日本産業の特殊性から来る中小企業の重要性にもかかわらず、本
予算において一体どれだけこれに対して財政
支出をしておりますか。まず皆さんに、ほとんど何らの
措置を講じておらないということを申し上げなければなりません。
私は、中小企業のための
予算支出をこの
予算書の中から探すのに骨が折れたのですよ。皆さんに申し上げますが、まず中小企業信用保険特別会計の出資といたしまして、昨年度十億のものが、本年度五億に創られている。
国民金融公庫六三十億円計上しております。ほかの面はどんどんふやしておりまするけれども、これは二十六年度より少しもふえておりません。三千億円に上るところの運用部資金並びに見返り資金の中で、牛小企業のための融資に充てられた金額は、驚くなかれ、運用部資金においてわずか二十億でございます。見返り資金においても、わずか二十億でございます。財政の運用部、資金部合せて——一兆数千億に上る
予算の中で、全部を合せてわずか七十五億の財政融資まり見積
つておらないということは、か
つて大蔵大臣が、中小企業者の四人や五人自殺してもさしつかえないと言つた、あの冷酷なる自由資本主義政策の現われだと断じて、私は誤りではなかろうと思うのであります。(
拍手)
次に、私の反対の
理由を申し上げたいと思うのでございます。
戦後の
わが国における社会問題の最大なるものは、皆さんもすでに御承知のように、戦争犠牲者の
国家補償の問題でございます。この問題に関しまして、
政府の
予算案の
内容は、公債において八百八十三億、一柱に対して五万円というものを一時金としてやる。さらに現金は、妻、すなわち未亡人において年間一万円、子供と父母、一組父母、孫はそれぞれ一人について年間五千円でございまして、全部合せまして二百三十一億円という
予算を計上しておるのでございます。われわれは、八百八十三億円の公債と、二百三十一億という現金
支出というものを目の前に突きつけられまして、池田大蔵大臣は、
日本の財政事情から、これ以上の
支出は絶対不可能であると言い張つたために、橋本前厚生大臣が辞職したようなはめになつたことは、皆さん御承知の
通りであります。しからば、はたして池田さんの言うように、かような金額が
日本の経済力、財政力からい
つてぎりぎりのものであるかと言えば、断じてしからずということを私は申上げなければなりません。
例をドイツにとりましても、ドイツと
日本とは経済事情はもちろん違いまするけれども、わずか四千七百万よりない人口の西ドイツにおきまして、一年間に現金
支出において二千二百五十億円を遺
家族に與えておるということを、われわれとしては無視できない。すなわち、
予算において遺
家族援護の金額の占める率はどうかと申しますと、全
予算の二〇%、
日本の二百二十一億円の現金
支出は、全
予算に対してわずか二・二七%という、まことに低い
支出でございます。かようなことで、どうして全国一千万に及ぶところのこの遺
家族のほんとうの同意と同情を得ることができるかどうかということは、一目瞭然でございます。ひつきようするに、この西ドイツの
政治家
諸君と違
つて、橋本龍伍君が言うように、六年間の占領政策の安易になれ、真剣に、講和
独立後、
日本の
精神的あるいは物質的
独立をはかる場合に最も重要なこの遺
家族問題に対して真剣に取組む情熱と、しかも
関係連合軍諸国に対して、断固としてこの金額は低過ぎると言
つて闘うだけの
政治家としての勇気が池田さんになかつだということを、私は断言せざるを得ないのであります。(
拍手)公共的な
行為に対して、みずから身を犠牲にした人に対して、何ら十分な補償をしないというようなことでは、いやしくもロビンソンクルーソーの離れ小島ならいざ知らず、社会を結び、
国家をつくり、村をつく
つて行こうという場合K公のために犠牲にな
つた者に対して、ほかの人がこれを保障するという
精神がわが
日本国民全体からなくなつたならば、私は
国家の滅亡であり、社会の滅亡であり、町村の滅亡であると断言してはばからないのであります。(
拍手)
さらに私は、次に
租税問題について反対の
理由を申し述べてみたいと思うのでございます。税制改革の案をこの
予算案に盛り込んでおりまするが、私はこれに対して重要な疑問と反対の
理由を申し述べなければならないのであります。どういうことかといいますと、本
予算案に盛られておるこの現行税制度というものは、御承知のように、シヤウプ博士が参られて、いわゆる
英米式の直接税本位の税制度をも
つて根幹にしておるのであります。しかしながら、私は、そのような直接税本位の税制度は、講和
独立後の
日本の資本蓄積その他を考えた場合に、幾多の疑問なきを得ない。欧州諸国の間接税中心の税制というものを顧みなければならないと思うのでございます。
しかしながら、現在の
日本は、資本の蓄積の非常にゆたかな、しかも利益の多い
英米流の税制度を採用いたしましたために、間接税に対する直接税の比率というものは、直接税が四千四百億円、間接税が専売益金をも含めて二千九百億円でございます。言いかえれば六対四の比率で直接税本位の税制度をと
つておりますために、一般大衆に対する直接税の圧迫は、われわれ戦争前に経験しなかつたような重いものにな
つておるのでございます。言いかえれば、戦争前においては、直接税、いわゆる所得税は、現在の物価指数に直しまして二十四万円の基礎控除でありました。ところが、現在は基礎控除五万円というような
状況でありまするから、いかに直接税というものが大衆課税の性格を帯びているかということは、皆さんも御承知かと思うのであります。
従つて、今後の
日本の資本蓄積その他を考えて、
日本の税制は、間接税七、八割ということを採用しようというのではありませんが、少くとも直接税、間接税半々の併用主義によ
つて資本蓄積をはかり、
国民大衆から直接税の
負担を軽減することがわれわれの
義務でなければならないのであります一(
拍手)少くとも簡単にできることは、最低に見積りましても、中小企業、農民、勤労者に対する所得税五百億円の減税というものは、生活必需品以外の奢侈的なものに対する間接税の増徴によ
つて十分その目的を達するということを、私は申し上げなければならないと思うのであります。
さらに私は、もう
一つ本
予算案の重大な欠陷として物価に対する見通しがでたらめであるということを申さなければなりません。本
予算案に組まれておるところの
公共事業費その他を見ましても、
昭和十六年十一月の物価水準を基準にしておるのであります。さらに物価は横ばいになり、せいぜい二%ないし三%より物価は上らないという観点から、パリテイ指数は二五五という線をはじいておりますけれども、先ほど私が申し上げましたように、自由経済政策の浪費経済並びに厖大な
防衛支出費の増大に伴いまして、このままの経済政策を続行して行きまするならば、おそらく、若干か、あるいは非常に大きいかは知りませんが、インフレになるということだけは、私は保証できると思うのであります。してみれば、公務員の給與改訂、食糧買上げ価格の増額等を考えて、いかに池田大蔵大臣が本年度内には補正
予算は組まぬと強弁いたしましても、経済法則は、池田さんの頭の中のいかんにかかわらず進行いたしまして、補正
予算必至という運命に立たされることを私は断言してはばかりません。(
拍手)
以上、私はこの
内容並びに形式について幾多の反対
理由を申述べたのでございますが、最後に最も重要な点を申し述べまして、私の反対
討論を終りたいと思うのでございます。それは何かといいますと、この八千五百億円の
国民の血税による
予算によ
つていろいろなことをやることにな
つておりますけれども、これが現在の
政府官吏諸公のように、汚職に次ぐ汚職では、いかに
国民が血税をしぼ
つて、これだけの税金を出しましても、この厖大な
予算は死物化してしまうということを私は申し上げたいのでございます。(
拍手) さて、しからばこの官吏の汚職
事件はどういうところに原因があるかということを申し述べますならば、それはひつきようするに
政治道義の低下ということでございます。
政治道義の腐敗でございます。
吉田総理大臣の
政府は、みずから電力九分割という法案をつく
つて、この
法律によ
つてできた会社の社長に自分の女婿をすえる、側近の白洲さんをどこかの会社の会長にするというような、かような前例は、政党史上いまだか
つてございません。李下に冠を正さずということを申しますが、かような、
法律でできたものを死物化するような、こういう
政治道義の
政府では、汚職官吏の絶えないのはもつともでございます。(
拍手)
さらに、最近皆さんにぜひとも聞いていただきたいのは、電通省の役人が、局長以下四百五十名も汚職
事件を犯した。昔なれば、右黒さんの農相時代と聞きますが、部下の官吏が一人ちよつと赤化したために、ただちに閣議に辞表を
提出したと聞いておりますが、部下の四百五十名が汚職
事件に連坐しておりながら、便々としてこの大臣席にお
つて、佐藤電通大臣が辞表を
提出しないということは、いかに
政治家の道義が低下したかという証拠ではございませんか。(
拍手)
さらに食糧統制撤廃に対しても、
総理大臣は
責任をとらない。その他、あるいは大橋さんもそうかもしれない。ちよつと見ただけで、何か暗い影がさす。かような
政治道義が低下した
政府をも
つてして——いかに八千五百万といえども、これは
国民所得のおそらく相当部分を占める血と汗の結晶の
予算でございます。かような
予算を、汚職官吏が何ぼでも出て来ることによ
つて、自分のふところへ入れられるというようなことでは、どうして八千万
国民諸君が納得しますか。私は、この
政府のもとにおける限り、かような
予算をこの
政府諸公に使
つていただくことを、
国民的良心をも
つて拒否したいのでございます。(
拍手)
以上、私は
予算審議の形式並びに
内容につきまして、るる反対の
理由を申し述べましたが、ここまで反対の
理由が明らかになりました以上、われわれは断固として全面的に本
予算案に反対をいたさざるを得ないということを申し上げて、私の
討論を終りたいと思います。(
拍手)