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1952-02-16 第13回国会 衆議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十六日(土曜日)  議事日程 第十一号     午後一時開議  第一 皇室経済法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令の措置に関する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  帝国議会開設以来の在職議員尾崎行雄君に対し院議をもつて重ねて功労を表彰することとし、その文案起草議長に一任するの件(議長発議)  議員請暇の件  日程第一 皇室経済法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後一時四十一分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) お諮りいたします。本院議員尾崎行雄君は、帝国議会開設以来継続して本院に議席を占め、当選二十四回、在職まさに六十年、その間憲政のために盡瘁せられたる功労に対し、特に院議をもつて重ねて表彰したいと存じます。なおその表彰文案起草議長に一任されたいと存じます。この議長発議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつてさよう決定いたしました。(拍手)  ここに議長の手元において起草した表彰文案を朗読いたします。  衆議院議員尾崎行雄ハ帝国議会開設以来継続ノテ当選二十四回在職六十年ニ垂ソト世界ニソノ類例ヲ見ズソノ間君が民営ノ伸張ト公論啓発トニ努メカ憲政済美ニ盡セル誠意ト熱情トニ至リテハ留民敬信ノテ以テ至宝トナストコロナリヤ齢九十三ノ高壽ニルト錐モ毫モ往年ノ意気ヲ失ハズ心民主政治ノ将来二馳ス真憲政先覚議員典型タリ  衆議院ハ君が積年ノ功労ヲ多トノ特院議以テ重不ア表彰ス この文案に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて表彰文案は可決いたしました。  この表彰方議長においてとりはからいます。  なお同君は一月下旬以来御病中とのことで、われわれ一同心痛にたえないところであります。一日もすみやかに元気を回復されんことを諸君とともに熱願する次第であります。(拍手)      ————◇—————
  6. 林讓治

    議長林讓治君) なおお諮りいたします。議員松揮兼人君から、ロンドンにおいて開催のコミスコ会議に出席のため渡欧するにつき、二月十人目から三月二十五日まで三十七日間請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、皇室経済法の一部を改正する法律案日程第二、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。内閣委員会理事青木正君。     〔青木正登壇
  9. 青木正

    青木正君 ただいま議題となりました両法案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず皇室経済法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案のおもなる事項は二点でありまして、その第一は、皇室がなす財産授受制限額に関するものであります。すなわち、皇室がなす財産授受のうち、皇室経済法二條に定める場合は、その都度国会議決を要しな、ことに相なつておりますが、過去の実績に徴しまするに、個々の場合に対する制限はその必要かありませんので、これを廃して、国会議決を要することなく一年間に授受できる総価額について制限を設けようとするものであります。  第二は、皇族費支出額実情に印するように改訂しようとするものでありまして、その一は、皇族か初めて独立生計を営まれまする際に、その品位保持の資に充てるため、臨時の費用として一時金額支出することであり、その二は、年額により支出する皇族費算出基準額が、従来未婚、既婚、成年、未成年の別になつておりますのを、宮ごとに御生計を分離しておられる実情に沿うよう、皇族独立生計を営むかいなかをもつて算出基準とすることであり、その三は、独立生計を営む皇族に対する年額を増額することに伴い、皇族の身分を離れる際に支出する一時金額及び摂政に対する増加年額について、それぞれその支出率を低減することであります。  次に皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案のおもなる事項は三点であります。その一は、ただいま御報告申し上げました皇室経済法二條改正に伴うものでありまして、すなわち、国会議決を要することなく皇室がなし得る財産賜與及び譲受の一箇年間の総価額をそれぞれ三百七十万円及び百二十万円と限定するほか、不要となる規定を整理しようとするものであり、その二は、内廷費及び皇族費年額基準額が逐年増額せられて、現在それぞれ二千九百万円及び七十三万円と相なつておりますが、今回、経済その他の情勢にかんがみまして、それぞれ三千万及び百四十万円に増額にしようとするものであり、その三は、年額により支出する皇族費について、支出または支出を中止する事由が年度の半ばにおいて生じた場合の算出方法を明らかにしようとするものであります。  両法案は、二月五日、本委員会に付託され、政府の説明を聞き、質疑を行い、二十三日、討論採決の結果、両法案とも多数をもつて原案の通り可決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  10. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。今野武雄君。     〔今野武雄登壇
  11. 今野武雄

    今野武雄君 日本共産党といたしましては、勤労国民立場からいたしまして、現行の皇室経済法並びに同施行法に対しても反対なのでありまするが、今回の改正はさらにこれを改悪するものといたしまして、なおさら反対するものであります。  反対理由の第一は、戰争の結果、現在多数の国民が非常な困難な状態に陥つている。国民の人命と家が失われ、しかもこの戰後の占領下においては、歴代政府、特にこの吉田政府の反動的な、売国的な政策によつて国民の利益がまつたく顧みられない。そして国民生命と自由が重大な脅威にさらされ、町には自殺者倒産者が続出しておるのであります。またパンパンがどこにもあふれておる。こういうような状態で、教育もまた倒壊状態にあることは御承知の通りであります。このように国民品位を保つことが困難になつておるのに、天皇並びに皇族品位を保つためと称しまして、たとえば天皇生活と体面を保つだけのために、全国にわたつて実に七百八十万坪の国有地と、五万一千二百坪の国有建築物を無料で天皇家に貸典しておるのであります。そして、その管理にためには多額国費を費して、多数の公務員を使用しておることは、戰争に対して第一に━━を負わなければならない天皇としては、まことに━━━な次第といわなければならないことだと思うのであります。  しかも、このような厖大国有財産を独占している結果といたしまして、多額生活費が必要である。そのために、占領下生活にあえぐ国民から引上げた血税の中から、多額国費内廷費として支出いたしまして、今回それを三千万円に増額しようとしているのであります。一般の国民生活に困つてそうして生活困窮のために生活補助を願い出る、その生活保護費は、五、六人に家族に対しましても月二、三千円にすぎない。ところが、天皇家つてやはり五、六人しか人数がいないのに、その一家に対しては三千万円も国庫から補助する、しかも困窮している国民税金から補助するというのは、いかにもこれはつり合いのとれないことで、ばかげたことであります。国民生活の現状をまつたく無視したものであります。これでは天皇国民象徴というようなことを言うけれども、国民事態から考えれば、まつたくこれは━━━象徴であるといわなればならない。また天皇家ばかりでなく、各宮家の生活補助費としても一人百四十万円を出すということは、まつたくべらぼうなことであります。  特にわれわれといたしましては、天皇の名において戰争にかり出されて、そうして戦病死したたくさんの兵士たち遺家族、並びに現在町にさまよつているあの傷病兵たち、この人たちが、やはり天皇の名において約束されたこと、つまり生活の保障、こういうものが約束されているのに、それを全然実行していない。そうしてしかも政府は御燈明代を差上げる、こういうようなことをやつて、これをごまかそうとしている。この重大な生活上の約束をごまかそうとしている。  こういう際に、われわれ国民の一人として、まつたく憤激にたえないものがあるのであります。われわれは、だからして、天皇並びに皇族に対する扶助は、この遺家族やあるいは傷病兵に対する約束が完全に実行されるまでは、ただちに打切るべきである、こういう見解を持つものであります。  また第二の反対理由といたしましては、最近天皇を道徳の中心にしようということや、あるいは方々に派遣して、再び天皇を神聖化して、これを国民象徴ではなく、━━━象徴にしようとする、そういう陰謀が着々と進められていることであります。そのために皇室経済活動の自由を再び復活しようとする意図をもつて、この法の改正を行つているという点であります。つまり、国民税金から支拂われる内廷費の中から、天皇のお恵みという形で、各種の社会事業団体等支出する金額の限度が従来は五万円でありますたものを、一挙に三百七十万円に拡大しているということは、明らかにこれは天皇権威国民に植えつけようとする経済的な陰謀の一つである。そういうふうに考えざるを得ないわけであります。  現在国民の多数に読まれている、あのマーク・ゲインの書いた「ニツポン日記」などによりましても。背広を着せ━━━天皇が、いかに日本民主化━━るために外国権力━━━━として利用されているか、これは実に明らかであります。(拍手)かような天皇あり方というものは、日本国民━━━━━━━━に巻き込むために非常に危險なあり方であるといわなければならない。このような天皇存在の仕方を、国民税金によつてさらに保護せんとするに至つては、現吉田政府売国政策を遺憾なく暴露しているものとしたしまして、われわれは国民生命と国土の安全を防衛するという立場から、断固として反対せざるを得ないのであります。(拍手)  さらにこの際つけ加えておきたいことがあります。それは、その皇族経済の取扱い方につきましては、これが皇室の私の経済であるという名目によりまして、その天皇経済国民耳目けらおおつて、再び雲の上の存在にしようとする意図宮内庁並び吉田自由党政府の態度にあることであります。  憲法第八條は、明白に━━━━━━天皇一家経済国民が厳重に監視することを命じているのであります。しかも、この皇室経済法が、形式的に国民の協賛を得たという形で、実質的には国民監督権を剥奪しているということは、先ほどの委員長報告を聞いてもよくわかるところであります。ここにもやはり外国支配者並びに国内支配階級のために軍国主義精神的支柱を温存しようという━━━━政府━━━━自由党意図が隠されているのであります。  それだけではありません。どうして天皇一家のため莫大な財産を独占させる必要があるのか。この皇室用財産というのは、政府の見積りでは一億八千万円ということになつております。これはたとえば、あの皇居地価は、あの附近では数十万円するところが多いのでありますが、あの皇居地価を坪百円というように見積もつている。それから、あの賛を盡した皇居に建物は坪二千円です。これではあばら屋も建たない。そういう安い値段に見積もつている。そうして一億八千万円という国有財産を硬質に使用させているのでありまするが、しかし実際には、これは何百億円の財産になるかわからない。  このような莫大な固定資産一家で独占しているような財閥がほかにあるか。地主がほかにあるか。このことを考えてみただけでも、われわれは、天皇権威を温存して、国民を━━━━━━━━━━━━━━━━━、実にこの重大な状態になつているその基礎を知ることができるのであります。また、それゆえにこそ政府は、厖大軍費を計上しながらも、これは軍隊でないというような大うそを言つている。それから軍費をどんどん計上しながら、これは軍費ではないというようなうそをついている。そいういうような国民を欺瞞する政府が行われるその一端が、天皇経済の問題に現われている。  このような事態を一掃して、日本の真の独立と平和と、ほんとうの民主主義を確立するためには、われわれはどうしても断固としてこの吉田売国内閣と、その與党である自由党を葬らなければならない。このために、われわれとしては、国会の解散を断固として要求するものであります。  以上、私の反対理由を申し述べます。(拍手
  12. 林讓治

    議長林讓治君) ただいまの今野君の発言中不穏当の言辞があるように思いますから、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。  これにて討論は終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  13. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。     —————————————
  14. 福永健司

    福永健司君 日程第三は延期し、本日はこれにて散会されんことを望みます。
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十九分散会