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1952-05-06 第13回国会 衆議院 法務委員会労働委員会連合審査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年五月六日(火曜日) 午後四時三十二分
開議
出席委員
法務委員会
委員長
佐瀬
昌三君
理事
鍛冶 良作君
理事
田嶋
好文君
理事
山口 好一君 押谷 富三君 角田 幸吉君 花村 四郎君 古島 義英君
眞鍋
勝君 大西 正男君 田万
廣文
君 高田 富之君 加藤 充君 猪俣 浩三君
世耕
弘一君 佐竹
晴記
君
労働委員会
委員長
島田 末信君
理事
倉石 忠雄君
理事
森山 欽司君
麻生太賀吉
君 天野 公義君 金原 舜二君
三浦寅之助
君
柳澤
義男
君 熊本 虎三君 前田
種男
君
柄澤登志子
君 中原 健次君
出席国務大臣
法 務 総 裁
木村篤太郎
君
出席政府委員
法制意見長官
佐藤 達夫君 検 事 (
法制意見
第一
局長
) 高辻 正己君 刑 政 長 官 清原 邦一君 検 事 (
特別審査局
長)
吉河
光貞君 検 事 (
特別審査局次
長) 關 之君
委員外
の
出席者
法務委員会專門
員 村 教三君
法務委員会專門
員 小木 貞一君
労働委員会專門
員
横大路俊一
君
労働委員会專門
員
濱口金一郎
君 ————————————— 本日の会議に付した
事件
破壊活動防止法
(
内閣提出
第一七〇号)
公安調査庁設置法案
(
内閣提出
第一七一号)
公安審査委員会設置法案
(
内閣提出
第一七二号) —————————————
佐瀬昌三
1
○
佐瀬
委員長
これより
法務委員会労働委員会連合審査会
を開会いたします。 不肖私が議案の付託を受けている
法務委員会
の
委員長
でありますから、先例によりまして本
連合審査会
の
委員長
の職務を行います。 それではただいまより
破壊活動防止法案
、
公安調査庁設置法案
、
公安審査委員会設置法案
、以上三
法案
について
審査
を進めます。 〔
委員長退席
、
田嶋
(好)
委員長代
理着席
〕
田嶋好文
2
○
田嶋
(好)
委員長代理
法務総裁
がお
見え
に
なつ
たようでありますから、始めます。
質疑
の通告がありますから、順次これを許します。
柳澤義男
君。
柳澤義男
3
○
柳澤委員
私は
労働委員
の立場から、もつ
ぱら労働関係
に立
つて
質問
いたしたいと思いまして、まず
労働大臣
にお尋ねいたしたいのでありますが、
労働大臣
がお
見え
になりませんので、
法務総裁
にお尋ねいたします。すでに
条文
につきましては、
法務委員会
において詳細な
質疑応答
が行われたものと思いますし、さらにまた
法務委員会
において詳しく行われるものとは思います。
従つて労働委員
といたしまして、簡單に数点について
法務総裁
にお尋ねいたします。 まずこの
法案
の第二条を見ますと、「この
法律
による
規制
及び
規制
のための
調査
は、
前条
に
規定
する
目的
を達成するために必要且つ相当な
限度
においてのみ行うべきであ
つて
、」かように書いてあります。この「必要且つ相当な
限度
においてのみ行うべき」ことは、いかなる
法律
といえども当然のことであります。けれどもこの
法律
の発動せられますいわゆる
規制
及び
規制
のための
調査
ということは、この
条文
にもありますように、思想、信教、
集会
、
結社
、表現及び学問の自由並びに
勤労者
の
団結
、
団体行動
に関する
権利等
に重大な
影響
を持つものであります。そこでこの「必要且つ相当な
限度
」ということ、は、一体どなたが決定いたすかということが第一点。 またその次に、第二条の二項に同様に「いやしくもこれを濫用し、
労働組合
その他の
団体
の正当な
活動
を制限し、又はこれに介入するようなことがあ
つて
はならない」これもまた
勤労者
の
団結権
、
交渉権
、及び
行動権
を保障しております
憲法
の
建前
からも、この
規定
がなくとも当然のことでありますが、ここに正当な
活動
を制限するという、その正当なりやいなやということの
判定
が、きわめて重大な
影響
を、
憲法
の
規定
する
勤労者
の
団結権
、
行動権
、
交渉権
とい
つた
ようなものに、すなわち
労働組合
の正常なる
活動
に対して、間々これが
権利
の侵害を生じはせぬかと思われるような場合が起るのではないかと恐れられるのであります。この正当な
行動
なりやいなやの
判定
も、だれがこれを行うかという点を明らかにしていただきたいのであります。
木村篤太郎
4
○
木村国務大臣
お答え
いたします。この
法案
第二条の「
前条
に
規定
する
目的
を達成するために必要且つ相当な
限度
においてのみ行うべきであ
つて
、」この「必要且つ相当な
限度
」というのは、だれが
認定
するかというお尋ねであるようであります。これはまず第一次的に
委員会
が
認定
いたすのであります。しかして最終的には
裁判所
で
認定
することになるのであります。要するにこの
規定
の
趣旨
とするところは、いやしくも
憲法
にきめられました
基本的人権
、ことに
集会結社
その他の
権利
を侵害してはならぬという
建前
をと
つて
おるのでありますから、その範囲を出さないように、厳重にこの
規定
の運用をやらせるために「必要且つ相当な
限度
」という文字を
使つたの
であります。その点におきまして、必要であるか、相当であるかということに関しては、まず第一次的に
委員会
においてこれを決定いたします。そうしてそれに対して不服があるときにおいて
裁判所
で事案が審理されることにな
つて
、おりますから、最終的には
裁判所
においてこれを決定することになるのであります。
柳澤義男
5
○
柳澤委員
ただいま必要かつ相当な
限度
であるかどうか、正当な
活動
であるかいなかの
判定
は、第一次的には
委員会
が
判定
し、
最後
的には
裁判所
が
判定
するという
法務総裁
の
お話
でありますがそうするとこの
法律
のねらいとするところの
破壊活動
というものには、緊急の場合は全然予想しないのであり
ましよう
か、もし緊急の場合を予想するといたしましたらなば、
委員会
においてはどのようにしてこれに対処すべきであるか、これをお尋ねいたします。
木村篤太郎
6
○
木村国務大臣
この点はまことにごもつともな御
質問
だろうと思います。緊急の場合にどうなるか、この
法案
でまかなえるのかどうかということであります。この
法案
におきましては、緊急の場合においては対処できないことにな
つて
おります。そのことについては別個にこれは考慮しなければならぬ、こういうことになると思います。
柳澤義男
7
○
柳澤委員
この
法案
は緊急の場合に対処することは全然
考え
ておらないものである、全然別の
法律
をも
つて
緊急の場合は対処するのであると言うが、
法務総裁
はしからばかような
団体
の
破壊活動
に対する緊急の場合には、どのような
法律
でどのようにしてこれを
規制
するか、この点を明らかにしていただきた。
木村篤太郎
8
○
木村国務大臣
別の
法案
は今
考え
ていないのでありますが、この
法案
においてできる限りの
処置
をとりまして、緊急に対処いたしたい、こう
考え
ております。
柳澤義男
9
○
柳澤委員
先ほどの
法務総裁
の
お答え
では、緊急の
事態
に対処することは、この
法案
では全然
考え
ておらぬ、別の
規定
をも
つて
処理するという
お話
でありましたが、ただいまの
お話
を聞くと、何だかそれが
反対
のように
考え
られるのです。あべこべの
お答え
があ
つた
ようでありまして、でき得る限り緊急の場合もこれでやるというような
お話
に今承
つたの
でありますが、そうすると、私にはその緊急の場合にこの
法律
は
適用
されるか、されないかの
判定
がつかないことになりますので、いま一度
法務総裁
にこの点を明確にしていただきたい。
木村篤太郎
10
○
木村国務大臣
緊急の度合いにより
ましよう
が、いわゆる緊急という場合においてはこの
法案
ではまかない得ないので、そこで前私が申し上げましたのは、
緊急事態
にもなるたけこの
法案
において、でき得る限りの
処置
をしたいということでありまして、いわゆる緊急という場合のときにおいては、この
法案
においては間に合わないと
考え
ております。
柳澤義男
11
○
柳澤委員
法務総裁
の
お話
は、この
法律
で緊急の
事態
のすべてはまかない切れないという
意味
で、すべてはまかない切れないけれども、でき得る限りこの
法律
でまかなうという御
趣旨
のように私は解釈いたします。けれども、たとえば先般メーデーの際に行われた——あるいはこれは適切な例でないかもしれませんが、最初に
団体行動
として
破壊活動
があるように思われないで進行してお
つた
、ときたまそこにある者の
使嗾煽動
によ
つて
、その集団的な
行動
が
破壊活動そのもの
にかわ
つた
というような場合には、この
法律
は
適用
されないとお
考え
なのであり
ましよう
かどうか、この点をお尋ねいたします。
木村篤太郎
12
○
木村国務大臣
お答え
いたします。この
法案
の
趣旨
とするところは、初めからある意図を持
つて
破壊活動
をや
つた
場合でありまして、偶発的の
破壊活動
についての
団体
の
規制
はできません。但し
個人
についてはこの
法案
でまかない得るのであります。
柳澤義男
13
○
柳澤委員
ただいまの
法務総裁
の
お話
の中に、
偶発的破壊活動
についてはこの
規定
は
適用
されないとおつしやいましたが、そのお
言葉
について、但し
個人
については、この
法律
が
適用
されるという
お話
でありますれば、
個人
について偶発的の
活動
についてこの
規定
が行われるならば、今言うような場合に、いわゆるこうした
破壊活動
に対するこの
法律
の
適用
があることになるのではないでしようか。どうもその点が前後はつきりとわかりませんが、もう一ぺんこの点御
説明
願います。
木村篤太郎
14
○
木村国務大臣
お答え
いたします。私の申し上げたのは、
二つ
に
区別
しなければならぬ。いわゆる
団体
の
規制
と
個人
との
関係
であります。
団体
の場合は、
団体
が
目的
を持
つて
計画的にやる場合であります。その際
団体
が偶発的にや
つた
場合はこの
法案
では
対象
とならない。但し
個人
ではこれは
犯罪
を構成するのでありますから、あるいは
煽動
とかなんとかい
つた
場合には、これは一種の
犯罪行為
でありますから、
刑法
の及ばぬところはこちらでも
つて
及ぶということになります。
柳澤義男
15
○
柳澤委員
そういたしますと、さらにこの
条文
の第三条の第二項に、「この
法律
で「
団体
」とは、
特定
の
共同目的
を達成するための多数人の
継続的結合体
又はその連合体をいう。」というように、何かずいぶん苦労されたような
規定
があるのでありますが、この
法律
にいわゆる「
団体
」の
意味
をかように解説してありますけれども、この
法律
にいう「
団体
」というのはどのような内容のものをいうのか。さらに申し上げますれば、
暴力行為等処罰
に関する
法律
というのがありますが、その第
一条
にも「
団体
」という
言葉
を使
つて
おります。これは
継続的性質
を有することを要しない
規定
にな
つて
おるようであります。それからまたが
つて
の
治安維持法
第
一条
等にも
継続的結合
を要件とする
結社
というのがあ
つて
、これをひつくるめて「
団体
」という
言葉
で表示してあ
つた
と思います。かように、か
つて
の
法律
にいわゆる
団体
を取締るという
意味
にはいろいろな場合をわけてありますが、ここにいう「
団体
」というのは、今申し上げましたような場合のいずれに該当するものであり
ましよう
か。
吉河光貞
16
○
吉河政府委員
お答え
いたします。この
法案
におきましては、御
質問
の
通り
「
団体
」とは「
特定
の
共同目的
を達成するための多数人の
継続的結合体
」というふうに定義されておる。こういう
団体
の
言葉
を使う
法律
は他にもきわめて数ありますが、この
法律
におきましては、少くとも自然人多数が
特定
の
共同
の
目的
を達成するために、
継続
的な
結合体
を持つ、それを
団体
という。従いまして、一時的な
結合体
は含まれない、
集会
のごとき一時的なものは含まれない。また
共同
の
目的
を達成するための多数人の
結合体
でありますから、そこに当然
団体意思
の決定がなされて、その
意思
に基いて
活動
が行われるという
結合体
でなければならないというふうに
考え
ておる次第であります。
田嶋好文
17
○
田嶋
(好)
委員長代理
柳澤
さんに御注意申し上げますが、先ほどの
理事会
で、
質問
時間は、おおむね二十分という協定ができております。御了承の上お願いいたします。
柳澤義男
18
○
柳澤委員
ただいまの
説明
で、その定義の解説は一応文字
通り
にわかりますが、しからばここにいう「
団体
」は、
届出
の
有無
は問わない、いわゆる
組織体
という
意味
に解釈してよろしいかどうか。
吉河光貞
19
○
吉河政府委員
それぞれのの
法律
によりましては、
特定
の
団体
に対しまして、
登録
その他の
義務
を課しておる場合があるのでありますが、この
法律
はこれらの
団体
の実体に着眼しまして定義づけたものでありますから、
届出
の
有無
その他は問わないのであります。
柳澤義男
20
○
柳澤委員
そうすると、これをいわゆる
継続的結合体
であるかどうか、はたして
特定
の
共同目的
を達するために集ま
つた
ものであるかどうかということは、これは
監督官庁
の
認定
によ
つて
見るとか、何かそういう標準がほかに求められるわけでありますか。それとも客観的な事実というものが、
継続的結合体
として
認定
するに足る、何かの
資料
によ
つて
存在するという論拠で、これを主観的に
認定
するものであるか、この点をはつきりしていただきたい。
吉河光貞
21
○
吉河政府委員
お答え
いたします。原則といたしまして、客観的な
証拠資料
によ
つて
これを
認定
することになります。しかしながら、それぞれの
官庁
において
登録
その他の
義務
を課して、
登録
さしておる事実がある場合におきましては、この事実が
認定
の重要な
資料
に供せられる場合があることも、申すまでもありません。
柳澤義男
22
○
柳澤委員
ただいまの
お話
の
団体
の
意味
に解釈いたしましても、この取締りの行われるのは、先ほど
法務総裁
の言うた、この
法律
は
個人
に対しては
適用
される、
団体
に対しては、緊急の場合にはこれをも
つて
律することができない、こういうような何だか私どもに
ちよ
つと理解のできない御
説明
でありますが、しからばこの
団体
の
構成員
である、つまり
団体
のメンバーである者がや
つた
場合、
団体自身
として、いわゆる
団体
が
団体
として
活動
したという場合でない、その
団体
の
構成員
が自分みずから
個人
として
活動
した場合、この
二つ
に
区別
をして、
団体
みずから
活動
した場合と、
団体
の
構成員
が
活動
した場合と、かように
区別
をして、この
法律
が
適用
されるかされないかというようなことがあるのですか、どうですか。
吉河光貞
23
○
吉河政府委員
お答え
いたします。
個人
が本
法案
第三条規走の
各種
の暴力主義的な
破壊活動
を行う場合におきましては、その
個人
は
個人
として
刑法
及び
本法
に
規定
する
補充的罰則
の
適用
を受けるのであります。しかしながら、この
個人
がある
団体
に所属しておりまして、その
団体
の
構成員
として、
団体
の
活動
としてその
個人
がさような
活動
をなしたる場合におきましては、
個人
が
処罰
されるだけではなくて、
団体
に
規制
が及ぶことになるのであります。しかしながら、たとい
団体
の
構成員
でありましても、
団体
とは何らの
関係
なく、
個人
として暴力主義的な
破壊活動
を行います場合には、
本法
に
規定
する補充的な
罰則
または
刑法
に
規定
する刑罰の
適用
が、その
個人
に及ぶのであります。
柳澤義男
24
○
柳澤委員
どうもその点が、この
法律案
はずいぶん不明確であります。たとえば先ほど来申し上げました
通り
、
団体
としての緊急な
事態
を起した場合にはこれは
適用
されない、しかもその
団体
の
構成員
が、
個人
として
行つた
場合にこれを罰する。
団体
というものは
個人
が集ま
つて団体
になるのでありまして、それをこの
法律
が、罰せられるか罰せられないかの境にされますと、この
法律
が
適用
されるされないについて根本的な
影響
を及ぼすのでこの問題は永久に不明確な、
判定
についての論争が繰返されるおそれがあると思うのでありますが、そういう点についてもう少し明確にする
方法
はないのでありますか。
吉河光貞
25
○
吉河政府委員
お答え
いたします。
団体
に対しまして本
法案
に
規定
する
規制処分
をかけるということは、きわめて重大なことでありまして、それがあくまで
団体
の
活動
として行われたということが、客観的なる
資料
により十分に立証されなければならないと
考え
ている次第でおります。
柳澤義男
26
○
柳澤委員
その点は、なお不明確な点もあるのでありますが、時間もありませんから先に進んで、もう二、三点お尋ねいたします。 この
罰則
は、今お聞きすると、
個人
と
団体
と両方に
適用
される。
団体
については解散の
規制
がおもなるもののように見受けられますが
一体公安調査官
とか
公安審査委員会
というような、特別の
機関
が設けられて、いろいろ
活動
する
規定
にな
つて
おりますが、これが執行につきましては、
警察
がやるのか
検察官
がやるのか、
特審関係
の
機関
のように、特別な
機関
をお
考え
であるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
吉河光貞
27
○
吉河政府委員
お答え
いたします。
特定
の
団体
が、この
法案
に
規定
されている暴力主義的な
破壊活動
を、
団体
の
活動
として
行つた
かどうか、またこの
団体
が、
継続
または反復して将来暴力主義的な
破壊活動
を行う明らかなおそれがあるかどうかという点につきましては、
公安調査官
が
任意
の
調査
をして、
証拠資料
を牧集いたします。
警察官
はこの
調査
に関與いたしません。しかしながら、反面この
法案
に
規定
されております
罰則
の
犯罪
につきましては、
刑事訴訟法
に基いて
司法警察官
が
捜査
し、
検事
にこれを送検する
関係
に立つわけであります。
柳澤義男
28
○
柳澤委員
ただいまの
お話
では、
公安調査官
が
調査
する、
警察官
は關與しないという
お話
であり、さらに
最後
の
お話
では、やはり
検事
、
警察官
が
関係
を持つような
お話
のようでありますが、その間の明確な
区別
をしていただきたい。
關之
29
○
關政府委員
お答え
いたします。先に
局長
から
お答え
いたしました点に補充いたしまして、その間をもう少しこまかく御
説明
いたしたいと思います。この
法律
は、
団体
の
規制
と、そして第三十七条以下の
罰則
の
規定
と、
二つ
にわかれるのであります。そこで
事団体
の
規制
という
行政
的な
権限
、
行政
的な
処分
に関する限りにおきましては、一切
公安調査官
及び
公安調査庁
の
長官
がいたすのでありまして、いわゆる
警察官
は何らこれに
関係
いたさないのであります。そうしまして、
罰則
に関する限りは、これは
犯罪
でありますから、
刑事訴訟法
によ
つて
、
警察官
が独自の
権限
として
捜査
をいたす、かようなことになるわけであります。ところがこの
暴力主義的破壊活動
というのが、一面においては
団体規制
の
行政処分
の
対象
となる一つの原因であるとともに、また他面においては、すべてこれが
刑事
上の
犯罪
を
規定
しておるわけであります。そこでその間の問題といたしまして
公安調査官
に
強制権
を認めるかいなかというような問題が出て参
つたの
であります。しこうして
刑事訴訟法
上の
強制権
との調整の一点といたしまして、
公安調査官
には
強制調査権
を與えないで、すべて
任意
の
調査
によ
つて
行うというような
建前
をとりまして、次にこれだけでは十分なるところの
団体規制
の
証拠
を収集することができないために、この
法案
第二十七条におきまして、「
公安調査官
は、この
法律
による
規制
に関し、
調査
のため必要があるときは、
検察官
又は
司法警察員
に対して
当該規制
に
関係
のある
事件
に関する書類及び
証拠物
の閲覧を求めることかできる。」という
一条
を設けているわけであります。これによりまして、
犯罪
であるところの暴力主義的な
破壊活動
に対して、
検察官
または
司法警察員
か
強制
の
調査
ないしは
捜査
をいたしましたその
資料
を一応見せていただいて、
団体規制
の
証拠資料
とするというのがこの
一条
であります。次に第二十八条におきまして、
警察
と
公安調査官
一との情報の交換によ
つて相互
に
団体規制
の
資料
とする。第二十九条といたしまして、
公安調査官
が
司法警察員
のなす
暴力主義的破壊活動
の罪に関して行う押収、捜索及び検証に立ち会うことができるという
一条
を設けているわけであります。この三条によりまして、
司法警察員
がなす
強制捜査
その他の
証拠資料
をかような
方法
によ
つて公安調査官
が
団体規制
のための
証拠資料
の収集の資に供する、かように
考え
ておるわけであります。 以上の次第場でありまして
団体規制
のための
各種
の
行政
上の
調査
ないしは
団体規制
のための
強制権
については、
司法警察員
はもとより、一般の
警察官
も全然これには
関係
いたさない、かような
建前
にな
つて
いるわけであります。
柳澤義男
30
○
柳澤委員
ただいまの御
説明
でははなはだわからないところがあります。理論的にはなるほどその
事件
の
調査
と
犯罪
の
捜査
は
区別
されるかもしれませんが……。
田嶋好文
31
○
田嶋
(好)
委員長代理
ちよ
つと
柳澤
君に御注意申し上げますが、
法務総裁
にはたくさんの御
質疑
があるようでありますから、なるたけ
法務総裁
に対しての
質疑
を先にしていただいて、事務的なものはあとに願いたいと思います。
柳澤義男
32
○
柳澤委員
実は
労働大臣
に続いて
質問
したいのでありますが、お
見え
にならないので……。
田嶋好文
33
○
田嶋
(好)
委員長代理
労働大臣はちよ
りと所用のために
出席
が遅れるようでありますから……。
柳澤義男
34
○
柳澤委員
それでは一、二お伺いいたしまする いやしくも
破壊活動
が行われ、この
法律
で
処罰
の
対象
になるということになれば、これは
犯罪
を伴うことは当然だと思うのです。その
犯罪
の
捜査
というものは
警察官
、
検事
の手によ
つて
できる、あるいはまたそれを頼むこともできるが、一方
調査官
は
事件
の
調査
をするのであ
つて
、その点については全然
調査官
には
関係
させないとおりしやるのですが、どうも実際問題としては、この間の
区別
というものはないのじやないか。
公安調査官
の
調査
の点に、
警察官
が完全に關與しまして、どんどん
警察官
として
活動
いたしましても、その部分は
犯罪
の
捜査
である、こう言
つて
のがれれば、いくらでものがれられる、実除問題として、この
二つ
の限界というものはづけられないのじやないか、かように思うのですが、その点はいかがですか。
關之
35
○
關政府委員
お答え
いたします。
公安調査庁
の
公安調査官
は、この種の暴力主義的な
破壊活動
からなる
犯罪
に対しては
捜査
的な
活動
は全然いたしません。また
法律
上さようなことはできないような
建前
にな
つて
おるのであります。その
犯罪
の
捜査
については、一に
刑事訴訟法
にのつとりまして、
検察官
または
司法警察員
が独自にいたすのであります。決してこれを要請したりあるいはその
活動
を促すということは、この
法案
上絶対にできないことに相な
つて
おるわけであります。
柳澤義男
36
○
柳澤委員
最後
に、
労働大臣
が
見え
ないようですから、
法務総裁
に一点お尋ねしたい。これは
法務総裁
に
お答え
願いたいのです。合法正常な
労働組合運動
というものは、もちろん助長育成せられるということが当然であります。けれどもゼネストなど、それが合法的に行われる場合でも、しばしば重ねられるときには、その
活動
中に、
労働運動
がときに
合法性
を逸脱するという場合が生ずるかもわからぬと思う。そういう場合に当然この
法律
は発動されるのではないかと思うのですがいかがですか。
木村篤太郎
37
○
木村国務大臣
お答え
いたします。正常なる
労働組合運動
については、何らこの
法案
の
対象
となるものではありません。また
労働運動
の過程において、一部破壊的の
分子
が
破壊活動
をしたと仮定いたしますその場合にも、
労働組合そのもの
については、何ら
規制
の
対象
となるわけではないのであります。ただその
破壊分子
に対しては、
刑法
その他の法規において補整された
処罰
の
対象
となる。もつとも
労働組合運動
に名をかりて、
暴力的破壊活動
をいわゆる国家の
治安
を乱す
目的
でやるということになれば、むろんこの
法案
の
対象
となることは当然であります。
柳澤義男
38
○
柳澤委員
ただいまの話でありますが、実際問題として、非常にその識別が困難なことが間々起ろうと思うのです。そういうような
関係
から、
労働組合等
がこの
法案
に
反対
を唱えておるのではないか、何かそうい
つた
点で
労働組合等
にこの
法案
が不安を感じさせておるのではないかと思われるのですが、
大臣
はその点いかにお
考え
ですか。
木村篤太郎
39
○
木村国務大臣
その点につきましては、この
法案
第四条において明白に、「
団体
の
活動
として
暴力主義的破壊活動
を
行つた団体
に対して、
当該団体
が
継続
又は反覆して将来さらに
団体
の
活動
として
暴力主義的破壊活動
を行う明らかなおそれがある」もの、こう明示されてあるわけであります。いわゆる
団体
の
活動
として
暴力主義的破壊活動
を
行つた
ことを
対象
にするのでありまして、組合運動は、組合員の一部に
破壊活動
的
分子
があ
つて
、それが現実に
破壊活動
に移
つた
といたしましても、それが
団体
としての
行動
でない限りは、その
団体
は
規制
の
目的
とならないので、こうも組合はこの点について懸念をする心配はなかろう、こう
考え
ます。
柳澤義男
40
○
柳澤委員
最後
に、われわれは本
法案
の審議にあたりまして、暴力主義的な
破壊活動
がら一つは国民を守るために遺憾なきかどうか、一つは正常な組合運動等に不安を與えないかどうかこの両面につきまして、この
法案
で十分であると
法務総裁
はお
考え
かどうか。また十分でないという点があるならば、さらに何らかの措置あるいは立法措置をお
考え
であるかどうか。
木村篤太郎
41
○
木村国務大臣
お答え
いたします。この
法案
は今申し上げました
通り
団体
が
団体
の
活動
としてさような暴力的不法
活動
を
行つた
ことを
対象
とするのであります。こうまつも
労働組合
を
規制
するというような
考え
を持
つて
おりません。またこの
規定
の解釈上、運用上におきましても、
労働組合
については、何ら不安の懸念がないということを確信しております。
柳澤義男
42
○
柳澤委員
いろいろ
お答え
がありましたが、なお詳しい点につきましてお尋ねいたしたいでありますが、與えられた時間でありますから、
最後
に私は一言だけ申し上げて打切りたいと思います。かような
法律
は、特にもろ刃の剣の感を深くします。法はその運用いかんによ
つて
権利
を守り、一歩誤れば
権利
を侵す結果が生じますが、当局におきましては、この点につきまして十分御注意の上に運用せらるべきであるというこの特別なる注意を喚起しまして、私の
質問
を終ります。
田嶋好文
43
○
田嶋
(好)
委員長代理
本日はこの程度にとどめ次会は明七日午前十時より本連合会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十七分散会