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1952-05-06 第13回国会 衆議院 法務委員会労働委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月六日(火曜日)     午後四時三十二分開議  出席委員   法務委員会    委員長 佐瀬 昌三君    理事 鍛冶 良作君 理事 田嶋 好文君    理事 山口 好一君       押谷 富三君    角田 幸吉君       花村 四郎君    古島 義英君       眞鍋  勝君    大西 正男君       田万 廣文君    高田 富之君       加藤  充君    猪俣 浩三君       世耕 弘一君    佐竹 晴記君   労働委員会    委員長 島田 末信君    理事 倉石 忠雄君 理事 森山 欽司君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    三浦寅之助君       柳澤 義男君    熊本 虎三君       前田 種男君    柄澤登志子君       中原 健次君  出席国務大臣         法 務 総 裁 木村篤太郎君  出席政府委員         法制意見長官  佐藤 達夫君         検     事         (法制意見第一         局長)     高辻 正己君         刑 政 長 官 清原 邦一君         検     事         (特別審査局         長)      吉河 光貞君         検     事         (特別審査局次         長)      關   之君  委員外出席者         法務委員会專門         員       村  教三君         法務委員会專門         員       小木 貞一君         労働委員会專門         員       横大路俊一君         労働委員会專門         員       濱口金一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  破壊活動防止法内閣提出第一七〇号)  公安調査庁設置法案内閣提出第一七一号)  公安審査委員会設置法案内閣提出第一七二号)     —————————————
  2. 佐瀬昌三

    佐瀬委員長 これより法務委員会労働委員会連合審査会を開会いたします。  不肖私が議案の付託を受けている法務委員会委員長でありますから、先例によりまして本連合審査会委員長の職務を行います。  それではただいまより破壊活動防止法案公安調査庁設置法案公安審査委員会設置法案、以上三法案について審査を進めます。     〔委員長退席田嶋(好)委員長代   理着席
  3. 田嶋好文

    田嶋(好)委員長代理 法務総裁がお見えなつたようでありますから、始めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。柳澤義男君。
  4. 柳澤義男

    柳澤委員 私は労働委員の立場から、もつぱら労働関係に立つて質問いたしたいと思いまして、まず労働大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、労働大臣がお見えになりませんので、法務総裁にお尋ねいたします。すでに条文につきましては、法務委員会において詳細な質疑応答が行われたものと思いますし、さらにまた法務委員会において詳しく行われるものとは思います。従つて労働委員といたしまして、簡單に数点について法務総裁にお尋ねいたします。  まずこの法案の第二条を見ますと、「この法律による規制及び規制のための調査は、前条規定する目的を達成するために必要且つ相当な限度においてのみ行うべきであつて、」かように書いてあります。この「必要且つ相当な限度においてのみ行うべき」ことは、いかなる法律といえども当然のことであります。けれどもこの法律の発動せられますいわゆる規制及び規制のための調査ということは、この条文にもありますように、思想、信教、集会結社、表現及び学問の自由並びに勤労者団結団体行動に関する権利等に重大な影響を持つものであります。そこでこの「必要且つ相当な限度」ということ、は、一体どなたが決定いたすかということが第一点。  またその次に、第二条の二項に同様に「いやしくもこれを濫用し、労働組合その他の団体の正当な活動を制限し、又はこれに介入するようなことがあつてはならない」これもまた勤労者団結権交渉権、及び行動権を保障しております憲法建前からも、この規定がなくとも当然のことでありますが、ここに正当な活動を制限するという、その正当なりやいなやということの判定が、きわめて重大な影響を、憲法規定する勤労者団結権行動権交渉権といつたようなものに、すなわち労働組合の正常なる活動に対して、間々これが権利の侵害を生じはせぬかと思われるような場合が起るのではないかと恐れられるのであります。この正当な行動なりやいなやの判定も、だれがこれを行うかという点を明らかにしていただきたいのであります。
  5. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。この法案第二条の「前条規定する目的を達成するために必要且つ相当な限度においてのみ行うべきであつて、」この「必要且つ相当な限度」というのは、だれが認定するかというお尋ねであるようであります。これはまず第一次的に委員会認定いたすのであります。しかして最終的には裁判所認定することになるのであります。要するにこの規定趣旨とするところは、いやしくも憲法にきめられました基本的人権、ことに集会結社その他の権利を侵害してはならぬという建前をとつておるのでありますから、その範囲を出さないように、厳重にこの規定の運用をやらせるために「必要且つ相当な限度」という文字を使つたのであります。その点におきまして、必要であるか、相当であるかということに関しては、まず第一次的に委員会においてこれを決定いたします。そうしてそれに対して不服があるときにおいて裁判所で事案が審理されることになつて、おりますから、最終的には裁判所においてこれを決定することになるのであります。
  6. 柳澤義男

    柳澤委員 ただいま必要かつ相当な限度であるかどうか、正当な活動であるかいなかの判定は、第一次的には委員会判定し、最後的には裁判所判定するという法務総裁お話でありますがそうするとこの法律のねらいとするところの破壊活動というものには、緊急の場合は全然予想しないのでありましようか、もし緊急の場合を予想するといたしましたらなば、委員会においてはどのようにしてこれに対処すべきであるか、これをお尋ねいたします。
  7. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この点はまことにごもつともな御質問だろうと思います。緊急の場合にどうなるか、この法案でまかなえるのかどうかということであります。この法案におきましては、緊急の場合においては対処できないことになつております。そのことについては別個にこれは考慮しなければならぬ、こういうことになると思います。
  8. 柳澤義男

    柳澤委員 この法案は緊急の場合に対処することは全然考えておらないものである、全然別の法律をもつて緊急の場合は対処するのであると言うが、法務総裁はしからばかような団体破壊活動に対する緊急の場合には、どのような法律でどのようにしてこれを規制するか、この点を明らかにしていただきた。
  9. 木村篤太郎

    木村国務大臣 別の法案は今考えていないのでありますが、この法案においてできる限りの処置をとりまして、緊急に対処いたしたい、こう考えております。
  10. 柳澤義男

    柳澤委員 先ほどの法務総裁お答えでは、緊急の事態に対処することは、この法案では全然考えておらぬ、別の規定をもつて処理するというお話でありましたが、ただいまのお話を聞くと、何だかそれが反対のように考えられるのです。あべこべのお答えがあつたようでありまして、でき得る限り緊急の場合もこれでやるというようなお話に今承つたのでありますが、そうすると、私にはその緊急の場合にこの法律適用されるか、されないかの判定がつかないことになりますので、いま一度法務総裁にこの点を明確にしていただきたい。
  11. 木村篤太郎

    木村国務大臣 緊急の度合いによりましようが、いわゆる緊急という場合においてはこの法案ではまかない得ないので、そこで前私が申し上げましたのは、緊急事態にもなるたけこの法案において、でき得る限りの処置をしたいということでありまして、いわゆる緊急という場合のときにおいては、この法案においては間に合わないと考えております。
  12. 柳澤義男

    柳澤委員 法務総裁お話は、この法律で緊急の事態のすべてはまかない切れないという意味で、すべてはまかない切れないけれども、でき得る限りこの法律でまかなうという御趣旨のように私は解釈いたします。けれども、たとえば先般メーデーの際に行われた——あるいはこれは適切な例でないかもしれませんが、最初に団体行動として破壊活動があるように思われないで進行しておつた、ときたまそこにある者の使嗾煽動によつて、その集団的な行動破壊活動そのものにかわつたというような場合には、この法律適用されないとお考えなのでありましようかどうか、この点をお尋ねいたします。
  13. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。この法案趣旨とするところは、初めからある意図を持つて破壊活動をやつた場合でありまして、偶発的の破壊活動についての団体規制はできません。但し個人についてはこの法案でまかない得るのであります。
  14. 柳澤義男

    柳澤委員 ただいまの法務総裁お話の中に、偶発的破壊活動についてはこの規定適用されないとおつしやいましたが、そのお言葉について、但し個人については、この法律適用されるというお話でありますれば、個人について偶発的の活動についてこの規定が行われるならば、今言うような場合に、いわゆるこうした破壊活動に対するこの法律適用があることになるのではないでしようか。どうもその点が前後はつきりとわかりませんが、もう一ぺんこの点御説明願います。
  15. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。私の申し上げたのは、二つ区別しなければならぬ。いわゆる団体規制個人との関係であります。団体の場合は、団体目的を持つて計画的にやる場合であります。その際団体が偶発的にやつた場合はこの法案では対象とならない。但し個人ではこれは犯罪を構成するのでありますから、あるいは煽動とかなんとかいつた場合には、これは一種の犯罪行為でありますから、刑法の及ばぬところはこちらでもつて及ぶということになります。
  16. 柳澤義男

    柳澤委員 そういたしますと、さらにこの条文の第三条の第二項に、「この法律で「団体」とは、特定共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体をいう。」というように、何かずいぶん苦労されたような規定があるのでありますが、この法律にいわゆる「団体」の意味をかように解説してありますけれども、この法律にいう「団体」というのはどのような内容のものをいうのか。さらに申し上げますれば、暴力行為等処罰に関する法律というのがありますが、その第一条にも「団体」という言葉を使つております。これは継続的性質を有することを要しない規定になつておるようであります。それからまたがつて治安維持法一条等にも継続的結合を要件とする結社というのがあつて、これをひつくるめて「団体」という言葉で表示してあつたと思います。かように、かつて法律にいわゆる団体を取締るという意味にはいろいろな場合をわけてありますが、ここにいう「団体」というのは、今申し上げましたような場合のいずれに該当するものでありましようか。
  17. 吉河光貞

    吉河政府委員 お答えいたします。この法案におきましては、御質問通り団体」とは「特定共同目的を達成するための多数人の継続的結合体」というふうに定義されておる。こういう団体言葉を使う法律は他にもきわめて数ありますが、この法律におきましては、少くとも自然人多数が特定共同目的を達成するために、継続的な結合体を持つ、それを団体という。従いまして、一時的な結合体は含まれない、集会のごとき一時的なものは含まれない。また共同目的を達成するための多数人の結合体でありますから、そこに当然団体意思の決定がなされて、その意思に基いて活動が行われるという結合体でなければならないというふうに考えておる次第であります。
  18. 田嶋好文

    田嶋(好)委員長代理 柳澤さんに御注意申し上げますが、先ほどの理事会で、質問時間は、おおむね二十分という協定ができております。御了承の上お願いいたします。
  19. 柳澤義男

    柳澤委員 ただいまの説明で、その定義の解説は一応文字通りにわかりますが、しからばここにいう「団体」は、届出有無は問わない、いわゆる組織体という意味に解釈してよろしいかどうか。
  20. 吉河光貞

    吉河政府委員 それぞれのの法律によりましては、特定団体に対しまして、登録その他の義務を課しておる場合があるのでありますが、この法律はこれらの団体の実体に着眼しまして定義づけたものでありますから、届出有無その他は問わないのであります。
  21. 柳澤義男

    柳澤委員 そうすると、これをいわゆる継続的結合体であるかどうか、はたして特定共同目的を達するために集まつたものであるかどうかということは、これは監督官庁認定によつて見るとか、何かそういう標準がほかに求められるわけでありますか。それとも客観的な事実というものが、継続的結合体として認定するに足る、何かの資料によつて存在するという論拠で、これを主観的に認定するものであるか、この点をはつきりしていただきたい。
  22. 吉河光貞

    吉河政府委員 お答えいたします。原則といたしまして、客観的な証拠資料によつてこれを認定することになります。しかしながら、それぞれの官庁において登録その他の義務を課して、登録さしておる事実がある場合におきましては、この事実が認定の重要な資料に供せられる場合があることも、申すまでもありません。
  23. 柳澤義男

    柳澤委員 ただいまのお話団体意味に解釈いたしましても、この取締りの行われるのは、先ほど法務総裁の言うた、この法律個人に対しては適用される、団体に対しては、緊急の場合にはこれをもつて律することができない、こういうような何だか私どもにちよつと理解のできない御説明でありますが、しからばこの団体構成員である、つまり団体のメンバーである者がやつた場合、団体自身として、いわゆる団体団体として活動したという場合でない、その団体構成員が自分みずから個人として活動した場合、この二つ区別をして、団体みずから活動した場合と、団体構成員活動した場合と、かように区別をして、この法律適用されるかされないかというようなことがあるのですか、どうですか。
  24. 吉河光貞

    吉河政府委員 お答えいたします。個人が本法案第三条規走の各種の暴力主義的な破壊活動を行う場合におきましては、その個人個人として刑法及び本法規定する補充的罰則適用を受けるのであります。しかしながら、この個人がある団体に所属しておりまして、その団体構成員として、団体活動としてその個人がさような活動をなしたる場合におきましては、個人処罰されるだけではなくて、団体規制が及ぶことになるのであります。しかしながら、たとい団体構成員でありましても、団体とは何らの関係なく、個人として暴力主義的な破壊活動を行います場合には、本法規定する補充的な罰則または刑法規定する刑罰の適用が、その個人に及ぶのであります。
  25. 柳澤義男

    柳澤委員 どうもその点が、この法律案はずいぶん不明確であります。たとえば先ほど来申し上げました通り団体としての緊急な事態を起した場合にはこれは適用されない、しかもその団体構成員が、個人として行つた場合にこれを罰する。団体というものは個人が集まつて団体になるのでありまして、それをこの法律が、罰せられるか罰せられないかの境にされますと、この法律適用されるされないについて根本的な影響を及ぼすのでこの問題は永久に不明確な、判定についての論争が繰返されるおそれがあると思うのでありますが、そういう点についてもう少し明確にする方法はないのでありますか。
  26. 吉河光貞

    吉河政府委員 お答えいたします。団体に対しまして本法案規定する規制処分をかけるということは、きわめて重大なことでありまして、それがあくまで団体活動として行われたということが、客観的なる資料により十分に立証されなければならないと考えている次第でおります。
  27. 柳澤義男

    柳澤委員 その点は、なお不明確な点もあるのでありますが、時間もありませんから先に進んで、もう二、三点お尋ねいたします。  この罰則は、今お聞きすると、個人団体と両方に適用される。団体については解散の規制がおもなるもののように見受けられますが一体公安調査官とか公安審査委員会というような、特別の機関が設けられて、いろいろ活動する規定になつておりますが、これが執行につきましては、警察がやるのか検察官がやるのか、特審関係機関のように、特別な機関をお考えであるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  28. 吉河光貞

    吉河政府委員 お答えいたします。特定団体が、この法案規定されている暴力主義的な破壊活動を、団体活動として行つたかどうか、またこの団体が、継続または反復して将来暴力主義的な破壊活動を行う明らかなおそれがあるかどうかという点につきましては、公安調査官任意調査をして、証拠資料を牧集いたします。警察官はこの調査に関與いたしません。しかしながら、反面この法案規定されております罰則犯罪につきましては、刑事訴訟法に基いて司法警察官捜査し、検事にこれを送検する関係に立つわけであります。
  29. 柳澤義男

    柳澤委員 ただいまのお話では、公安調査官調査する、警察官は關與しないというお話であり、さらに最後お話では、やはり検事警察官関係を持つようなお話のようでありますが、その間の明確な区別をしていただきたい。
  30. 關之

    關政府委員 お答えいたします。先に局長からお答えいたしました点に補充いたしまして、その間をもう少しこまかく御説明いたしたいと思います。この法律は、団体規制と、そして第三十七条以下の罰則規定と、二つにわかれるのであります。そこで事団体規制という行政的な権限行政的な処分に関する限りにおきましては、一切公安調査官及び公安調査庁長官がいたすのでありまして、いわゆる警察官は何らこれに関係いたさないのであります。そうしまして、罰則に関する限りは、これは犯罪でありますから、刑事訴訟法によつて警察官が独自の権限として捜査をいたす、かようなことになるわけであります。ところがこの暴力主義的破壊活動というのが、一面においては団体規制行政処分対象となる一つの原因であるとともに、また他面においては、すべてこれが刑事上の犯罪規定しておるわけであります。そこでその間の問題といたしまして公安調査官強制権を認めるかいなかというような問題が出て参つたのであります。しこうして刑事訴訟法上の強制権との調整の一点といたしまして、公安調査官には強制調査権を與えないで、すべて任意調査によつて行うというような建前をとりまして、次にこれだけでは十分なるところの団体規制証拠を収集することができないために、この法案第二十七条におきまして、「公安調査官は、この法律による規制に関し、調査のため必要があるときは、検察官又は司法警察員に対して当該規制関係のある事件に関する書類及び証拠物の閲覧を求めることかできる。」という一条を設けているわけであります。これによりまして、犯罪であるところの暴力主義的な破壊活動に対して、検察官または司法警察員強制調査ないしは捜査をいたしましたその資料を一応見せていただいて、団体規制証拠資料とするというのがこの一条であります。次に第二十八条におきまして、警察公安調査官一との情報の交換によつて相互団体規制資料とする。第二十九条といたしまして、公安調査官司法警察員のなす暴力主義的破壊活動の罪に関して行う押収、捜索及び検証に立ち会うことができるという一条を設けているわけであります。この三条によりまして、司法警察員がなす強制捜査その他の証拠資料をかような方法によつて公安調査官団体規制のための証拠資料の収集の資に供する、かように考えておるわけであります。  以上の次第場でありまして団体規制のための各種行政上の調査ないしは団体規制のための強制権については、司法警察員はもとより、一般の警察官も全然これには関係いたさない、かような建前になつているわけであります。
  31. 柳澤義男

    柳澤委員 ただいまの御説明でははなはだわからないところがあります。理論的にはなるほどその事件調査犯罪捜査区別されるかもしれませんが……。
  32. 田嶋好文

    田嶋(好)委員長代理 ちよつと柳澤君に御注意申し上げますが、法務総裁にはたくさんの御質疑があるようでありますから、なるたけ法務総裁に対しての質疑を先にしていただいて、事務的なものはあとに願いたいと思います。
  33. 柳澤義男

    柳澤委員 実は労働大臣に続いて質問したいのでありますが、お見えにならないので……。
  34. 田嶋好文

    田嶋(好)委員長代理 労働大臣はちよりと所用のために出席が遅れるようでありますから……。
  35. 柳澤義男

    柳澤委員 それでは一、二お伺いいたしまする  いやしくも破壊活動が行われ、この法律処罰対象になるということになれば、これは犯罪を伴うことは当然だと思うのです。その犯罪捜査というものは警察官検事の手によつてできる、あるいはまたそれを頼むこともできるが、一方調査官事件調査をするのであつて、その点については全然調査官には関係させないとおりしやるのですが、どうも実際問題としては、この間の区別というものはないのじやないか。公安調査官調査の点に、警察官が完全に關與しまして、どんどん警察官として活動いたしましても、その部分は犯罪捜査である、こう言つてのがれれば、いくらでものがれられる、実除問題として、この二つの限界というものはづけられないのじやないか、かように思うのですが、その点はいかがですか。
  36. 關之

    關政府委員 お答えいたします。公安調査庁公安調査官は、この種の暴力主義的な破壊活動からなる犯罪に対しては捜査的な活動は全然いたしません。また法律上さようなことはできないような建前になつておるのであります。その犯罪捜査については、一に刑事訴訟法にのつとりまして、検察官または司法警察員が独自にいたすのであります。決してこれを要請したりあるいはその活動を促すということは、この法案上絶対にできないことに相なつておるわけであります。
  37. 柳澤義男

    柳澤委員 最後に、労働大臣見えないようですから、法務総裁に一点お尋ねしたい。これは法務総裁お答え願いたいのです。合法正常な労働組合運動というものは、もちろん助長育成せられるということが当然であります。けれどもゼネストなど、それが合法的に行われる場合でも、しばしば重ねられるときには、その活動中に、労働運動がときに合法性を逸脱するという場合が生ずるかもわからぬと思う。そういう場合に当然この法律は発動されるのではないかと思うのですがいかがですか。
  38. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。正常なる労働組合運動については、何らこの法案対象となるものではありません。また労働運動の過程において、一部破壊的の分子破壊活動をしたと仮定いたしますその場合にも、労働組合そのものについては、何ら規制対象となるわけではないのであります。ただその破壊分子に対しては、刑法その他の法規において補整された処罰対象となる。もつとも労働組合運動に名をかりて、暴力的破壊活動をいわゆる国家の治安を乱す目的でやるということになれば、むろんこの法案対象となることは当然であります。
  39. 柳澤義男

    柳澤委員 ただいまの話でありますが、実際問題として、非常にその識別が困難なことが間々起ろうと思うのです。そういうような関係から、労働組合等がこの法案反対を唱えておるのではないか、何かそういつた点で労働組合等にこの法案が不安を感じさせておるのではないかと思われるのですが、大臣はその点いかにお考えですか。
  40. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点につきましては、この法案第四条において明白に、「団体活動として暴力主義的破壊活動行つた団体に対して、当該団体継続又は反覆して将来さらに団体活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがある」もの、こう明示されてあるわけであります。いわゆる団体活動として暴力主義的破壊活動行つたことを対象にするのでありまして、組合運動は、組合員の一部に破壊活動分子があつて、それが現実に破壊活動に移つたといたしましても、それが団体としての行動でない限りは、その団体規制目的とならないので、こうも組合はこの点について懸念をする心配はなかろう、こう考えます。
  41. 柳澤義男

    柳澤委員 最後に、われわれは本法案の審議にあたりまして、暴力主義的な破壊活動がら一つは国民を守るために遺憾なきかどうか、一つは正常な組合運動等に不安を與えないかどうかこの両面につきまして、この法案で十分であると法務総裁はお考えかどうか。また十分でないという点があるならば、さらに何らかの措置あるいは立法措置をお考えであるかどうか。
  42. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。この法案は今申し上げました通り団体団体活動としてさような暴力的不法活動行つたことを対象とするのであります。こうまつも労働組合規制するというような考えを持つておりません。またこの規定の解釈上、運用上におきましても、労働組合については、何ら不安の懸念がないということを確信しております。
  43. 柳澤義男

    柳澤委員 いろいろお答えがありましたが、なお詳しい点につきましてお尋ねいたしたいでありますが、與えられた時間でありますから、最後に私は一言だけ申し上げて打切りたいと思います。かような法律は、特にもろ刃の剣の感を深くします。法はその運用いかんによつて権利を守り、一歩誤れば権利を侵す結果が生じますが、当局におきましては、この点につきまして十分御注意の上に運用せらるべきであるというこの特別なる注意を喚起しまして、私の質問を終ります。
  44. 田嶋好文

    田嶋(好)委員長代理 本日はこの程度にとどめ次会は明七日午前十時より本連合会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十七分散会