○大西(正)
委員 吉河局長の善意を私はあえて疑うわけではありませんが、しかしながら昨年の末に高知県で知事選挙か行われた。そのときに自由党の候補者と、そうでない候補者とが争いまして、自由党の運動員は中央からも来られたのでありますが、自由党でない候補者に対してこれを赤だということを全県下にわた
つて演説してまわ
つたことは、これはもう周知の事実であります。そういうふうに、自由党を別に非難するわけではございませんが、今の
政府、與党に属しないところの候補者というものは、全部赤だというふうなことを現に主張しておる。また吉田総理大臣も、三月十七日の第六回の自由党の臨時大会でありますか、
反対党は建設的
意見を出さず、いたずらにわが党の
政府を批判し、民心を惑わせているが、はつきりいえばこれは共産主義の手に乗
つているか、またはその手先である。こういうことを言うておられる。真意に出たものかどうか知りませんが、しかし政党は
反対党を批判するのが当然の任務である。それをしない
反対党なんというものはあり得ない。それが最も大切な任務であるが、批判をすることそれ自体が共産党の手先である、そしてその手先にあらずんば、共産党の手に乗
つておるのだ、こういうふうな頭を持
つて政府がこの
法案を
運用する際においては、私は恐るべき結果を招来すると思うのであります。またそういうおそれがないと私は言えないのでありまして、現実に選挙戦においてそういうことがあり、そうしてまた当の
総裁がそういう
考えであられるということになると、濫用されるおそれなしということは、なかなかわれわれは納得しがたいのでありまして、特にこの点については
吉河局長の善意と御見解にもかかわらず、われわれはわれわれのおそれを氷解するわけには行かないということを申し上げておきたいと思うのであります。それから同じことでありますが、そのあとにありますところの文書、図画の印刷頒布、公然掲示あるいはまた所持とい
つたことについても、そうい
つたおそれが、私は多分にあると思うのであります。そこで一応お伺いしておきたいことは、文章の点に関しまして、この
法案の以前には、「この号イに
規定守る
行為の実現に資するため、」と
なつでお
つたやに承知しておりますが、それを「実現を容易ならしめるため、」、こういうふうに改められたのは、どういう御意図であるか、その点をお伺いします。