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世耕委員 私は、最近の日本の現状を憂うる
一つといたしまして、暴力革命に賛成する人が多くな
つて来た傾向を心配する。それは暴力革命でもや
つてもらわなければわれわれはとてもや
つて行けぬ、こういうような気で、單純ではあるが非常に感情的に燃え上
つて来ているということを警戒しなくちやならぬではないか。先般の選挙に共産党の諸君が非常に多数の有権者の同情を得、驚異的な数十名の議員を議会に送ることができた。その共産党を支持した階級をこまかく分析してみると、單なる筋肉労働者ではなかつた。中産階級の、あの人がと思うような人が相当熱心に運動して、そうして投票しているのです。私静かに歴史をひもといて
考えるとき、たとえばアメリカにおける
ところのワシントンのごときも、革命、ある場合は暴力を用いた。武力を用いた。ヨーロツパにおいて革命も武力を用いた。けれ
ども、その武力を用いてやつた革命が成功すると、それが正しかつたと言う。それがりつぱな
政治家であり、偉大な偉人として尊敬されるに
至つておる。私は暴力革命が最も必要であり、それが道徳的に容認されるような傾向の次第にふえつつあることを遺憾に思う。われわれはそれを何とかして是正して行かなくちやならぬと思うのであります。卑近な例を日本にとりますれば、西南戰争の例を見ましても、西郷隆盛は国賊として討伐された。その後西郷さんは上野の公園に銅像が建てられている。皮肉な例ではあるかもしらぬけれ
ども、これをわれわれは
考えてみなくちやならぬのじやないか。破防法の制定を御熱心になさるその真意はわれわれはよくわかるけれ
ども、破防法をしかなければならなく
なつた日本の国情のどこにそのがんがあるか、どこに暴力革命を唱道する原因のたまりがあるかということを十分つくのでなかつたら、私はこの
法案の
目的は達成しないのじやないかと思う。この意味においてまず
考えなくちやならぬことは、引揚者、それから以前戰争に参加して生き残
つている軍人並びに戰災者、遺家族、そうして最も
現実的な問題として中産以下の階級に属する納税者であります。一昨日も申し上げたと思いますが、税務署を襲撃する、これはきわめて非常識な話だ。その非常識なことが賢明な日本人によ
つて行われておるという事実がある。こういうことを
考えてみると、日本人はある程度常識を
失つているのじやないか、やけを起しているのじやないか。どこに一家心中をしなくちやならぬ原因があるのか、ここを
ほんとうについて行かなければ革命を誘発する根元が打破できないのじやないか。この破防法をもつと嚴格に
規定してもそれは効果のないものになる、こう私は
考える。その意味におきまして、この破防法を徹底させる半面において、この不平不満を起す階級に対する何か対策がなくちやならぬ。これがすなわちこの防止という
法案の精神に触れて来るのではないか、かように
考えるのですが、こういう点について何か御計画があるかどうか。先ほど
政府側の御説明にも、予算を十億ばかり割当てるような御説明がありましたが、その予算の中に、この国情を理解して、
協力して日本を再建しなければならぬお互いの義務があるということと、苦しい中にもなお希望を見出して祖国再建に乗り出して行く、その気合いをかける何か試みがなくちやならぬと思うのでありますが、この点についてどういうような計画があるか。これはあるいは
政治問題であるとおつしやられればそれまででありますが、
調査研究機関を持つ以上、ここまで
調査が行き届いて行かなければ
ほんとうの
調査活動ができないものである。それでなければただ
犯罪を搜捜査するという程度である。先ほど
吉河局長の仰せられたように、
国民の味方でなくちやならぬ。
国民に
協力を求め、
国民とともに国事を論ずる、そうして悪い
ところは切
つて捨てるというふうに持
つて行かなければならぬのではないかと思います。この点についての御見解を承
つておきたいと思います。