○
加藤(充)
委員 この
法案は大体
刑事特別法などという名称をも
つて出されて来た
法案であります。従
つて世間の注意をきわめて引きにくい名称を持
つております。しかしながら、これはきようあたりもストライキをも
つて悪法として通過させてはならないというような意気込みで、労働組合を中心にした
日本の
国民が立ち上
つております。あの破壞活動防止法、これと一体において理解されなければならないし、それと一体に
なつて理解して初めてこの
法案の
意味づけが出て来るというほど重要な
法律であり、私
どもの結論を出す前に申し上げるのはどうかと思いますけれ
ども、これは驚くべき悪法である。
日本の主権を侵犯し、
日本人の人権を蹂躙する、たといそれが
行政協定によ
つたというようなものであ
つたといたしましても、
行政協定というものが大体において違法、不当であるということになれば、その不当なもの、違法なもの、憲法
違反のものに足づけてできて来たこの
刑事特別法というものの国内法的な
根拠を何ら権威づけるものではない、こう思うのであります。ま
つたくこれは
アメリカ軍の認定
一つで
日本人の言論、
日本人の行動を破壞活動防止法とともに一体と
なつて抑圧して行くものだと思うのであります。かりに憲法九條の問題は除外いたしましても、今、朝鮮あるいは満州で細菌戰が行われておるといわれておる。そうしてそのことについては世界各国の大きな輿論に
なつておる。しかもその輿論のやかましい中に、先般の新聞を見ますと、
アメリカにおいては細菌戰を遂行して行くための
軍事予算が要求されておるというような新聞記事も明らかに報道せられております。またそれと
関連して
日本に原子爆彈の基地ができるかできないかというような問題、これは
日本人が世界の一員としてこういうような大量殺戮をはかる
兵器の使用禁止については、世界各国の大きな要望に
なつており、すでにそのことについては国際協定等も結ばれておるのであります。こういうようなことに
なつておりますときに、世界各
国民からその禁止が要望されておりますような原子
兵器あるいは細菌
兵器の基地や
工場、生産
施設が
日本にでき、あるいは
日本人がそれに加担しておるというようなことは、世界の文化史的な
意味合いにおきましても、私
どもはどうしても反対し、そういうことを押しとどめるだけの義務づけを——單に抽象的な理論だけではなしに、国際連合憲章あるいは世界人権宣言等々の実施をみずからや
つて行くということの中からも、私
どもは義務づけられると思うのであります。これを軍の機密だというようなことでこれを押えつけ、あるいはいわゆる聖なる人間としての、人類としての行動まで抑圧して行く。とりわけ先ほど申し上げましたように、
日本人が国際的な環境の中においてその義務づけを強く受けておりますような、広い、深い、長い
日本人の活動をこれで押えつけてしまうというようなことは、何の法的な
根拠もない、人間の大きな歴史的な働きから見れば、
行政協定というような問題は何ら権威のない、重い比重を持たないものですらある。戰争のために平和の言論を抑圧する破壞活動防止法あるいはまた
刑事特別法というような運の立法は、明らかに私は
日本人に人間らしい活動、人間らしい生活すらを圧殺してしまうものではないか。明らかにそうであると思いますが、その点について御返答願いたいと思います。