○加藤(充)委員
猪俣君から重々の御
発言がありましたについて、あなたが正常な外交
関係でないところには結局
旅券の下付をすることは差控えなければならない
相当な
理由があるというようなお話向きでありましたが、われわれは正常な外交
関係といえば無條約国でないということを
法律的に形式的に
考えるわけであります。従いまして現在私は
條件つけてもよろしいと思いますが、批准の
意思表示がはつきり済まない諸外国、そして條約のない
国々に対して、
終戰以来
旅券を下付して、またどういう連中が
旅券を下されたか、その問題について資料を出してもらいたいと思う。さもなければ、あなた方一般に公平にやるとかなんとかい
つても、われわれは
判断するに目途がないのでありますから、それを
判断する資料として、ぜひ今申し上げた資料を当
委員会に出してもらいたい。
それからもう
一つ、
公共の
福祉ということを言うが、官僚なんかが
公共の
福祉なんていうものを
判断する職権もないものだということを、新
憲法のもとで頭の中にしつかり入れておいてもらいたいということ、これをしつかりのみ込んでもらいたい。
公共の
福祉、
日本経済の行き詰まり、二つの体制の中で
戰争が起るとかなんとかい
つて再軍備して、そうして予備隊は軍備でないとか言いながら、実質上だれが見た
つて、常識上莫大な再軍備費用を
国民の血税によ
つてあがなおうとしている。鉄のカーテンだ、竹のカーテンだというが、向うの金で招かれて行
つて、無一文で見て来られる。大蔵大臣の候補者であ
つたり、前肩書きを持
つたりしていりる連中、そういう資本家のそうそうたる連中がお前ら来たらいいじやないか
といつて招かれておる。
公共の
福祉というものは、
日本の
国民の
福祉であり、
日本の国運の将来の経済的、政治的な繁栄向上にあるのであ
つて、役人がそこらの六法全書をひつくり返したり何かしてきめるものではない。もう
一つ、
個人の
身体、
生命の保障というような問題、いかにも御親切のように言うが、フイリピンに行
つた日本代表並びにその随行員がどういうようなことにな
つておるか。新聞の報ずるところでも、輿論が非常に悪化して、
日本人の随員に対してでも危害を加えんとしているような状態が出て来ておる。それに対しては、フイリピン人といえ
ども射殺すべしという大統領布告が出たというじやないか。こういうところに行
つた責任は、それじや
旅券を出して相済まなか
つたという、君たち独自の
判断でや
つたんだ
つたら責任があるはずだが、それに対して君だちはわびたか。またその責任をとるだけの責任のあるはつきりしたそういうようなことをやらずにおいて、言葉だけでいかにも親切なようなことを言
つたつて、それは官僚独善というものである。官僚独善が国家をつぶしたのだと極言されてもやむなしという数年前の
日本の悲劇の実体を君たちは振り返るべきだ。なまいきにああだこうだと言
つて、
猪俣君がやいやい言
つたけれ
ども、そういうことで腹を立てるのはあたりまえだ。もつと謙虚にな
つて国家国運の繁栄を
考え、平和か
戰争かというときに、経済的にも行き詰ま
つている、再軍備の問題でごたごたしているときに、
世耕委員が言
つたように、もつとたくさんあなたの安心のできる人を、総理大臣でもいいじやないか、や
つたらいいじやないか。やれるようにあなた方努力しなくてはならぬ。つらくても結局武士は食わねど高揚子式の
考え方、武士とは何だ、
武装して
戰争に行く、お前たちが結局において必要以上の敵国をつく
つて、そうしてそれに目がけていらざるところの再軍備をして
国民の不安をかき立てている。
旅券はよろしく最大限にごたごたせずにさつそく出すようにしてもらいたい。