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世耕委員 もう
質問はやめるつもりでありましたけれども、一言疑問があるから
お尋ねしなければならぬが、あなたは海があると言う。その海はどこの海をさすのです。
日本海は海じやありませんよ。昔の
ような観念から見れば、海があると言えるかもしれないが、海上から打出す大砲がどれくらいの距離を飛んで来て、
日本海を荒すかくらいのことは、あなたは御承知のはずだ。大砲を打出してから行
つたのでは間に合わない。せめて大砲が飛んで来たときの用意くらいは、心構えが必要である。備えあれば守り固しということを昔から
言つているが、私
たちはその場合にな
つてあわてることがきらいなんだ。神経が太くなるということは、備えがあるから神経が太くなるのでありませんか。備えがなか
つたらどうして神経を太くしていられますか。いらいらするでし
よう。この点について、もう一ぺん私は
考え直していただきたい。私は決してあなたを責めるのではありません。あなたは
国警の代表者としての責任があるから、私はある意味において国民の要望がここにあるということをあなたにお願いして、できることなら、予算が必要であ
つたらどんどん予算をとりなさいということを言いたい。われわれの目、この目がすなわち飛行機、耳がかりに電波探知機と
考えてごらんなさい。平和の生活をする人間ですら、目や耳を働かして、われわれの身体を擁護し、また相手を守
つてや
つているのです。今の
警察の
状態は盲である。うろうろしているじやありませんか。だから犯人があ
つても、追つ拂うことはできるかしらんけれども、捕えることはできません。この点が非常に国民は不安だ。だから神経衰弱にな
つて来た。神経衰弱はむしろあなた方の立場から神経衰弱をなくする
ように御努力くださることが私は必要じやないか、こう思うのであります。海の守りと申しますけれども、潜水艦がどれくらい数があ
つて、いざとなるときはどういう
ような潜航
状態をして、どういう
ような作戰軍隊が来るということくらいは御承知でし
よう。私はこの間
法務総裁並びに大橋君にも聞きました。もうすでに司令部では、細菌爆彈並びに原子爆彈の待避訓練を
日本で始めたじやありませんか。命令が出たじやありませんか。国民は何の用意ができているのです。それはなるほど進駐軍に勤めている人だけに爆彈が注文通り落ちれば
けつこうですが、そうは行きますまい。巻添えを食
つたときにどうする。アメリカでは原子爆彈の訓練は、もうすでにニユース映画で御承知の通りありましたけれども、
日本で始ま
つたら、そのときに
国警はいかなる準備をしておられるか。準備がないまでも、心構え、心の武装ということを国民にさしておいていいのじやなかい。これは決して神経を刺激するのでなくして、神経を太くする心構えになるのじやないかと、私はか
ように
考えます。こういう点について親心ある気構えがあ
つていいんじやないか、か
ように
考えるのであります。この点は私は厚生大臣にも強く主張しておいたのであります。卑近な例を申し上げてみまし
よう。かりに東京市民を立ちどころに葬ろうと思えば、細菌爆彈を村山貯水池に落して、ごらん。今の
ようにぼんやりしてお
つたら一週間の
うち東京市民の半分はやられるでし
よう。そんなことはないというけれども、警備とか防備ということは、ないことを予想して、さらに二重の用意をするところに安全感が出て来るのではないかと思う。あつちで暴動が起
つた、ここでは人殺しがあ
つたという今日の現状ではありませんか。そういう場合にどういう
対策をなさるか、これは非常に大切じやないかと思う。国民はだんだん国際情勢が悪化するに
従つて神経質になる、神経を太くしろとい
つてもそういうわけには行きません。神経を太くさせるには、守りあるからお前
たちは心配するなということを長官からおつしや
つていただいて、初めてわかる。それはなるほど予備隊は守
つてくれる、その後にはアメリカさんがいる、こうおつしやる。私もそれは見ていますけれども、アメリカでもよその国である。いざという場合は危くなれば逃げるかもしれない。逃げないということは保証できない。朝鮮で逃げたり攻めたりしておる。もしもアメリカさんが今の作戰はまずいとい
つて一旦引揚げて、また出かけて来るという
ような場面が不幸にもあ
つたとしたらどうなる。われわれはついて行くわけにはいかない、置き去りになる。これははなはだ悪い夢でありまし
ようけれども、一応こういうことも想像して万全の策を適当にとるべき必要があるのではないか。吉田さんに言わせれば予算がない、金がないと言う。しかし金がない貧乏人には貧乏人なりの心構え、備えがあるはずだ。これ以上
お尋ねをいたしませんが、長官として何かのお
考えがあれば、心配するなという何かひ
とつお話を承
つておけば、
けつこうだと思います。