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首藤委員 市町村が
教育委員会を個個に設置するのに
反対の一番大きな
原因として、経費の問題が相当取上げられておるように見ております。しかし、われわれの見るところによりますれば、
市町村に
教育委員会を構成することによ
つて、経費が多少いりましても、一面において、現在の日教組そのものを存続することによ
つて受ける国家的打撃の方が、はるかに大きいのではないかというふうな気持がいたしておるのであります。すなわち、最近における日教組の行動は、そのほとんどと申し上げても、私はあえて過言でないと思われるほど、社会的な指彈を受ける計画が非常に多いと思うのであります。今回の新潟におけるところの日教組大会におきましても、三日間を通じて、この日教組の最大の案件は何であ
つたか。自由労連脱退の問題であるとか、あるいは組織の防衛態勢であるとか、そういうものに主力が置かれてお
つて、本来の教育者として、本来の文化向上あるいはその他教育者として当然取上げなければならぬような問題は、ほとんど取上げられていないように聞いておるのであります。それのみならず、最近女教員の、あるいは人殺し、しかもばらばら事件であるとか、あるいはまた小学教員が交番所襲撃の指導者であ
つた、あるいはまた、今朝の新聞を拜見いたしますと、北海道のいなかでは、赤い教員が、すでにやめるということを声明しながらも、なおかつ在職しておる。このことによ
つて、兒童が四分の三は休校しておるというような報道もされておるのでありまして、今日の
小学校教育あるいは中
学校教育の現状を見た場合、善良な
国民は、
自分の子弟がこれらの教育でいいであろうかと、深いため息、と言うに言われない憂愁の気持を持
つておるのではないか。それだからとい
つて小中は義務でありますから、どうしても
学校にやらなければならぬ。そうして、
学校にや
つたあげくはどういうことになるであろうかという、
子供に対するところの前途の憂慮というものは、これはおそらく想像できないほど深刻なものではなかろうかと
考えるのであります。そうして、これらのものが、結局現在の組織、いわゆる何万という個々の教
職員を一括して
組合を結成いたしておる。そうしてその中には、好ましくない
思想を持
つておる者も相当あるのではないかというふうな気持が多分にあるのであります。おそらくこういう気持を抱く者は、私だけではなく、善良な
国民の全部が、そういう深い関心を私は持
つておると思う。特に倫理の問題でありますが、
天野文部大臣は、先年
田中文部大臣が
大臣になられてお
つたときに、教
職員がすわり込みをや
つたという問題について「若き女性のために」という著書の中に、「さきごろ
文部省に詰めかけた教育者諸君が
大臣に対した態度な
ども、わたしなどには納得できません。
田中文部大臣が誠実な信念の人であることは、社会の承認しているところだと思います。なぜもつと穏やかに相談的にやれぬものか。なぜそうすぐけんか腰にならねばならぬのか、わたしにはわからない。教員
組合運動は、元来文教発展伸張を目ざすもので、單に教員の待遇改善のためのものだけではないはずです。文教を主宰する
大臣に対して礼を盡さぬことは、決して社会における文教の位置、信用を高めるゆえんでなく、運動の主意に反すると思います。もと
文部省と教員との
関係は、資本家と労働者との
関係とは違
つて文部大臣は教員の労力を媒介として資本を蓄積しようとするものではないことはいうまでもありません。
文部省は教員と同じ側に立つもの、
文部省は教員を背景とし、教員は
文部省を応援すべきです。敵視すべきではありません。」こういうことが
天野文部大臣の著書に書いてありますが、ま
つたくこれは同感でありまして、おそらく私は、
国民のほとんどが
大臣と同じ気持を持
つておるものと確信いたすものであります。しかるにもかかわらず、最近におけるところの日教組の
組合活動は、これに反することがきわめて多い。しかも
大臣が、この
田中文部大臣のすわり込みに対してかような
意見を発表されておるその
天野文部大臣が、先般は深夜に日教組の面会強要を受けておる。あるいはまた、文教の府であるところの
文部省に、二日も三日もすわり込み戰術をとられておる。こういうような事実を見ますと、ま
つたくわれわれは、今日こそかような
制度を根本的に
改革して、
ほんとうに文教の
責任を理解しておる教
職員、そういう健全な
団体を指導育成いたしまして、そうして文化向上の基礎を明確にしなければならぬという気持をますます深くするのでありまして、こういう点からも、この
法案を断じて一日も延ばすべきでない、これを元の
法案通り実行すべきであるという気持を強くいたすのでありますが、
大臣はこの点に対していかようなお
考えを持
つておりますか、その点をお答え願いたいと思います。