○渡部
委員 外国軍人の
関連する風教廃頽問題ということは、今では非常に重大な民族問題にさえ
なつておることであると思うのです。これは非常に困
つたことで、しかしどうにもならない、非常にやりにくいのだというふうな
大臣の
考え方については、私たち、もう少し突き詰めて、この問題を
考えてみる必要があるのじやないかというふうに
考えるわけです。
大臣は、占領軍の方はこれを希望していないとおつしやいますけれども、外国軍隊が
日本に駐留している限りにおいては、現実の問題としては、これはもう
一つの必然的な現象に
なつて来ていると思うのです。よしんばパンパンの問題でないにしても、至るところでひんぴんと人妻や少女に至るまでが、外国人の暴行を受けている事実については、御存じの
通りです。こういうふうなところからこそ、パンパン問題という事柄が起きて来る内面的な
関係があるわけでありまして、他面
大臣は、これは
日本人の側の問題であ
つて、それはそういうところに集まる
人たちの
教養の問題であるというふうにおつしやいましたけれども、しかしわれわれは、決して
教育問題だとは
考えられないと思うのです。
教養というよりは、むしろこれは生活の問題であ
つて、国民全体の生活が破綻状態に陥
つておるところから、外国人がおろうがおるまいが、農村等における人身売買がまたしても濃厚になる傾向にあることは、御存じの
通りであります。こういうふうな国民全体の窮乏ということが、もし
日本に問題があるとするならば、
日本側の重大問題であるわけです。こういう事柄は悪辣な金もうけ主義者がパンパン宿をつくるということだけにあるのではなしに、非常に苦しい生活をや
つておる市民たちか、せつぱ詰ま
つていやいやながら狭い住宅の一部をパンパンの宿に提供することが、至るところで行われているのでありまして、こういうところにこそ、問題の最も深刻なものがあるわけだと私たちは
考えているのです。
従つて、パンパン宿をどういう区域に建てるかということだけが問題なのではなくて、
日本人の生活がま
つたく困
つてしま
つて、生活が破綻してパンパンにならなければ食
つて行けない、パンパン宿を提供することによ
つて、生活費の一部をそこから得るという非惨な現象が起きて来るわけであります。この問題を私たちがはつきりつかむごとによ
つて、問題の解決の道をもつと根本的に
考えてみる必要があるのじやないか。たとえば、ハンパン宿をどこそこに設けちやいかぬというふうなこと、あるいはパンパン宿を設ける区域についての占領軍当局とのかけ合いということは、確かに
一つの問題の解決方法であります。しかしながら、そういう事柄よりも、重要なことは、国民の中にもつとこの廃頽的な風教を防ぎ、あるいは
日本の女性の多数がパンパンに
なつて行くことを防ぎ、さらにまた、それから影響を受けた風教の廃頽的な傾向を防ぐ問題が
考えられる必要があるのじやないか。こういう問題について、大きな国民運動を起す工作があるはずであ
つて、
文部当局として、国民全体の文教、あるいは風教に重大な
責任を持
つておる
立場から、そういう点を
考えられたことはないのかどうか。つまり、国民運動として、われわれ同胞の女性が無数にパンパンに
なつて行く傾向を防ぎ、あるいはパンパン宿を提供して、わずかに收入を増して行かなければならない貧しい市民たちの
立場を防衛し、さらにそういう現象から起きる小国民たちの、あるいは国民全体の中に深ま
つて行く風俗廃頽の傾向に対して、大きな防衛の運動を起すというようなことについて、
文部当局は
考えられたことはないのかどうか。また将来どういうふうにしたならば、大きな国民運動としてこれを防ぎ得るかという点について、どういう見解を持
つておられるのか、この点を尋ねておきたいと思います。