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1952-04-11 第13回国会 衆議院 文部委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十一日(金曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 竹尾  弌君    理事 岡延右エ門君 理事 甲木  保君    理事 松本 七郎君       鹿野 彦吉君    高木  章君       長野 長廣君    若林 義孝君       井出一太郎君    笹森 順造君       渡部 義通君    小林  進君       浦口 鉄男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君  出席政府委員         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         文部事務官         (管理局著作権         課長)     柴田小三郎君         專  門  員 石井  勗君        專  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 四月十日  委員長尾達生君辞任につき、その補欠として若  林義孝君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月四日  公立学校施設防災及び災害復旧に関する法  律制定請願大橋武夫紹介)(第一九五四  号)  義務教育費国庫負担法制定に関する請願大橋  武夫紹介)(第一九五五号)  高等学校教職員の待遇に関する請願山口武秀  君紹介)(第二〇〇六号)  高等学校教職員俸給表制定に関する請願(玉  置實君紹介)(第二〇三四号) 同月十日  松前神楽無形文化財保護として指定の請願(  冨永格五郎紹介)(第二〇七六号)  君道教育実施に関する請願水谷昇紹介)(  第二〇七七号)  尖石遺跡保存館建築費国庫補助に関する請願(  今村忠助紹介)(第二〇九八号)  高等学校における芸能科目必修科目加入の  請願水谷昇紹介)(第二〇九九号)  岡山大学農学部獣医畜産科設置請願(星島  二郎君外二名紹介)(第二一〇〇号) の審査を本委員会に付託された。 同日  公立学校施設防災並びに災害復旧に関する法  律の制定に関する陳情書  (第一一九二号)  積雪寒冷單作地帯義務設置学校屋内運動場建  設促進臨時措置法制定陳情書  (第一一九三号)  高等学校職員俸給表制定に関する陳情書外一  件  (第一一九四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合国及び連合国民著作権特例に関する法  律案内閣提出第一四五号)(予)  学校教育に関する件  教育施設の復原に関する件     ―――――――――――――
  2. 竹尾弌

    竹尾委員長 これより会議を開きます。  日程の順序を変更いたしまして、連合国及び連合国民著作権特例に関する法律案を議題といたし、質疑を行います。  本案に対しては質疑の通告がございます。質疑は通告順によつてこれを許します。浦口鉄男君。
  3. 浦口鉄男

    浦口委員 管理局長お尋ねをいたします。申すまでもないと思うのでありますが、この法案の各條項平和條約の著作権に関しての條項を背景としてできたものであつて、その内容を具体的に国内法に成文化して行こうという意味合いで出た法律案だと解釈するのでありますが、その点いかがでございますか。
  4. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 お説の通りでございます。これは平和條約第十五條(C)に規定されてあります戰争期間中における連合国並び連合国民著作権につきまして、戰争期間中の取扱いを規定したものでございます。それを受けまして、この特例法によりその趣旨を明確にいたし、国民がその義務を履行するという点を明確にしたものでございます。
  5. 浦口鉄男

    浦口委員 そういたしますと、この法案の中の第四條の第二項というものが、ただいま局長のおわ話なつ平和條約の中のどの項に該当するものであるか、その点をお尋ねいたします。
  6. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 第四條の第一項は、昭和十六年十二月七日現在におきまして連合国並び連合国民が有しておりました著作権に関する規定であります。それから第二項は、十二月八日以降平和條約の発効するまでの期間、つまり一口に申しまして戰争期間中におきまして、その途中に著作権が発生した場合に、その著作権保護期間をどうするかという規定でございますが、この点につきましては、平和條約の第十五條(C)の中には必ずしも規定はございません。しかしながら、平和條約十五條(C)を明確にいたしますために、その戰争期間中に発生した著作権についてはかような特例を認めるという意味でございまして要するに平和條約十五條(C)の内容をさらに明確にするということで規定したものでございます。
  7. 浦口鉄男

    浦口委員 そういたしますと、もう少し具体的にお尋ねをしてみたいと思うのでありますが、その第四條第二項の著作権は、取得した日を起算日としておるのであります。ところが、わが国その他各国加入をしておりますベルヌ條約によりましては、すべて著作権取得日著作物製作の実際上の日となつておりまして、その著作物を公にするかどうかということは全然問題にしていない。すなわちその著作権を取得した時日を起算日としておるのでありますから、従つてその著作権取得日というものは、第三者からははつきりわからない、こういうことになつているのは御承知と思うのであります。ところが、客観的には、公にしておりませんためにわからない取得日起算日としておる以上は、権利存続期間というものも、従つて非常に不明確になるのであります。そこで、この期間印税その他の問題の基礎になる重要な問題でありますので、この期間の不明確ということは、従つて著作権についての経済上の紛争その他を起すことになるのでありますが、この第四條の二項の取得日についての規定が、この程度ではたしてこうした紛争を未然に防ぐことができるかということに、われわれ非常な疑問を持つのでありますが、その点、局長の御見解を承りたいのであります。
  8. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 御質問の御趣旨は、まさにその通りでございまして御指摘のように、確かにその点不明確な点がございます。しかしながら、この点を具体的にどうするかということにつきましては、これはやはり法律規定するというよりも、むしろ当事者間の問題として解決さるべきことだろうと考えております。
  9. 浦口鉄男

    浦口委員 ただいまの答弁は、私ちよつとふに落ちないのであります。ということは、この法律が不明確であるということをお認めになりながら、しかもこれは改正しない、こういうふうにも聞えるのであります。その点ちよつと矛盾が感ぜられるようですが、いかがですか。
  10. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 私の説明が多少足らなかつたと思いますが、この著作権をいつ取得したか、その取得した日というものは、結局やはりこれは当時者間の問題になりますので、御指摘のように第三者から見まして非常に不明確なことも起り得ると思うのでございます。しかしながら、やはり事柄の性質上、これはあくまでも当事者間の話合いと申しますか、その当事者間の問題として解決さるべきものではないか、かように考えます。
  11. 浦口鉄男

    浦口委員 そういたしますと、この立法の過程において、著作権協議会などから、そうした問題について将来なるべく紛争を来さないようにいろいろ意見が出たと思うのでありますが、その点文部省といたしまして、何か話合いをされたことがあるかどうか。またその結果、この法律案にそうしたことが取入れられているとすれば、その点をお聞きしておきたい。
  12. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 今回提案いたしましたこの法律案につきましては、もちろん著作権協議会その他学識経験者方々、あるはいろいろ御関係方々の御意見を十分に伺いまして、御提案した次第でございます。
  13. 浦口鉄男

    浦口委員 どうも少し御答弁はつきりいたしませんが、もう一度具体的な問題について私も検討することにしまして、質問を留保しておきます。  そこで、いまひとつの問題は、著作権存続期間というものは、著作権法によりまして、著作権者の死後三十年ということになつていると、私は一般的に了承をしておりますが、近年、と申しましても敗戰後、それが死後五十年に改められているということを――とりわけこれは外国出版物と思いますが、われわれはそういうふうに聞いているのでありますが、ちよつと三十年が五十年になつたいきさつをお聞きしたいのであります。
  14. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 御質問著作権保護期間でございますが、現行著作権法におきましては、生存期間及び死後三十年ということでございますが、これが五十年と申しますのは、ベルヌ條約におきましては、生存期間及び死後五十年ということになつております。従いまして、目下著作権法改正案につきまして審議会を開催いたしておりますが、その審議会の検討の線は、このベルヌ條約の線に沿うて改正すべきである、かような意見によりまして、目下審議中でございます。従いまして、将来この三十年間というものが五十年間に改正されるということも予想されるわけでございますが、ただいまのところ、現行では三十年となりております。
  15. 浦口鉄男

    浦口委員 ところが、事実問題といたしまして、これがこう変更なつた結果、日本出版業者の中に、不測の多額の損害を受けまして、現在それを賠償しつつあるという事実があるのでありますが、文部当局において、それを御存じでありましようか。
  16. 柴田小三郎

    柴田説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問趣旨の死後五十年ということは、おそらく総司令部管理政策のことだと考えます。なおその管理政策によりまして、私契約を結びまして、ロイアリテイを拂つておることを聞いております。
  17. 浦口鉄男

    浦口委員 総司令部管理政策ということは、われわれも承知しておるのでありますが、いつころどういう形でこれが出版業者に通達され、実行され、効力が発生して来たか、そのことを伺いたいと思います。
  18. 柴田小三郎

    柴田説明員 その総司令部管理政策ということは、政府には関係なく行われましたので、いつ業者にそういうふうな通牒が直接に行きましたか、私たち何月何日というふうなことは、はつきりわからないのでございます。
  19. 浦口鉄男

    浦口委員 われわれの承知するところでは、昭和二十五年二月、文部次官通牒によつてそれがなされたというふうに間いておるのであります。そこでわわれわれが非常にふしぎに思うことは――司令部意向そのものはわれわれ一応了承するとしましても、それが実行に移されるについては、ポ政令その他でなされるのが当然であるのに、それが文部省次官通牒によつて事実行われておるということは、われわれとしてたいへんふしぎに思うのですが、その点いかがですか。
  20. 柴田小三郎

    柴田説明員 管理政策が、そういう形で行われているということは知つておりました。しかし、やはり民間には、管理政策を誤るものがあるのでございます。それでGHQの方としては、その管理政策を裏づけるような覚書を出したわけでございます。それは昭和二十四年の四月四日だと思いますが、文部次官通牒意味は、死後五十年以後は公有に帰する、そういうことをいつた意味のものでございます。
  21. 浦口鉄男

    浦口委員 その問題はこれだけにいたしまして、死後二十年が五十年に変更されたのは、ベルヌ條約の訂正によるというお話でありましたが、それはいつころ訂正なつたかということと、もう一つは、その五十年に変更なつたことによつて、事実今損害を拂いつつある日本出版業者があるのですが、それは講和発効とともにその賠償はしなくてもよくなるのか、この二点について伺いたい。
  22. 柴田小三郎

    柴田説明員 日本著作権法保護期間を、死後五十年に改正するということはまだしておりません。ただGHQから覚書がございまして、日本著作権法改正案をつくれ、それにはブラツセル條約の線に沿うて考えろ、こういう趣旨覚書――ブラツセル條約は、死後五十年でなければならない、こういうことを規定しております。ですから、もし将来ブラツセル條約に入れるとしまして、日本著作権法を改正するとすれば、死後五十年にせざるを得ないと思います。この問題と現在私契約で行われておる金額の問題には関係はございません。
  23. 浦口鉄男

    浦口委員 私は関係お尋ねしたのではなくて、事実問題として、講和発効とともに、そうした司令部政策は当然消滅すると思うのですが、その事実をお聞きしているわけです。
  24. 柴田小三郎

    柴田説明員 司令部管理政策は消滅すると思います。それから私契約は、正しい私事約として存続すると思います。
  25. 浦口鉄男

    浦口委員 私の質問はこれで終ります。
  26. 竹尾弌

  27. 渡部義通

    渡部委員 沖合君の質問に対して今度の法案は、平和條約に基いた国内法として制定したのだという説明があり、さらに平和條約十五條(C)には、いわば戰時加算期間というものは要求されていない。この要求されていない場合に、日本戰時加算期間というものを特に設けなければならなかつた理由は、どこにあるかという点を、まず聞きます。
  28. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 ただいまの戰時加算期間でございますが、これは平和條約の第十五條(C)の二項に要求していると考えますが、それによりまして、ただいま提案いたしました特例法制定したわけでございます。
  29. 渡部義通

    渡部委員 この中には、必ずしも明記されていない、内容を明確にするためにという説明であつたわけですが、内容を明確にするために、特に加算年限までも規定したという点。この加算年限規定したのは、日本当局の手によるものであるかどうか伺いたい。
  30. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 重ねて申し上げますが、平和條約第十五條Cの二項によりますと、「権利者による申請を必要とすることなく、且つ、いかなる手数料の支拂又は他のいかなる手続もすることなく、千九百四十一年十二月七日から日本国当該連合国との間にこの條約が効力を生ずるまでの期間は、これらの権利通常期間から除算し」とありますが、これの逆の意味を申し上げますと、十二月八日から平和條約が発効する――かりにこれを四月二十九日なら四月二十九日と見ますと、その期間通常著作権法保護期間に加算するということになりますので、従つて、ただいまの特例法におきましては、それを明確にいたしまして、加算するという言葉を使つているわけであります、平和條約十五條の(C)では、「これらの権利通常期間から除算し」というふうになつておりますが、その点を裏から解釈いたしまして、特例法では戰争期間を加算する――通常保護明間三十年に、その戰争期間は約十箇年でございますが、それを加算する。従いまして、簡單に申しますれば、三十年プラス十年、四十年間著作権保護される、かように考えまして特例法を立案いたしたのであります。
  31. 渡部義通

    渡部委員 このいわば戰時加算著作権といつたようなものと同様な権利が、日本人原著者にも與えられるのかどうか。言いかえるならば、片務的なものになるのか、双務的なものになる  のか、その点をお伺いいたします。
  32. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 その点は第十五條(C)によりまして、これは連合国及び連合国民著作権保護規定でございます。これは日本人がそれを履行する義務があるという趣旨のもので、それ  を具体的に表わしたのが、ただいま御提案した特例法です。しかしながら、日本人連合国に対してどういう要求ができるかという点は、同じく平和條約の十四條に規定がございます。この第十四條の(a)の2の五項の「連合国は、日本の商標並びに文学的及び美術的著作権各国一般的事情が許す限り日本国に有利に取り扱うことに同意する。」この規定によりまして、将来平和條発効後、日本各国との外交的交渉によつて今後著作権の問題が起るのであろうと考えます。
  33. 渡部義通

    渡部委員 一般著作権の問題ではなくて、戰時加算期間的なものが、日本人原著者の場合にも保護されるのかどうか。現に戰時中日本人原著者著作が、諸外国翻訳されるような場合が、しばしばあつたわけであります。こういう場合を私は想定して言つておるわけでありますが、その点はどうですか。
  34. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 この條約の上におきましては、やはり十四條と十五條規定がございまして、日本国に対しては有利に取扱うということがございますから、従いまして、これは片務的なものであるというふうに私は考えざるを得ないのであります。しかしながら、将来日本が具体的に交渉する場合には、御指摘のように、極力有利に日本の主張を貫くようにすべきものであろうというふうに考えております。
  35. 渡部義通

    渡部委員 この国際的な著作権問題については、ベルヌブラツセルと両方あるわけでありますが、日本はどの方に関係しておるのですか。
  36. 柴田小三郎

    柴田説明員 ブラツセル條約につきましては、これはいわゆるベルヌ條約の修正された條約であります。日本はローマで修正された條約に入つております。
  37. 渡部義通

    渡部委員 ベルウヌ條約には、アメリカとかソビエトとか、非常に有力な国が参加しておらないわけでありますが、この参加しておらない国の著作権問題が日本に起きた場合に、日本は一体どういう立場からこの問題を取扱わなければならないのか、この点をお聞きいたします。
  38. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 ただいまベルヌ條約の参加国は四十二箇国でございます。そのうち連合国に該当するものが十六箇国でございます。その中には大部分の有力な国が参加しておるのでありますが、アメリカにつきましては、日米著作権條約によつて、別個に協定いたしております。あとの国々につきましては、今後の交渉によりましてきめて行かなければならないと思つております。
  39. 渡部義通

    渡部委員 日米著作権條約は、いつできたのですか。同時に、それはベルヌ條約等の内容、あるいは基準に合致するものであるかどうか、その点お聞きしておきます。
  40. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 日米著作権條約は一九〇五年でございますから、明治三十八年の規定でございます。それとベルヌ條約との関係でございますが、大体趣旨は同じでありますが、形式において、著作権保護規定におきましては、日米著作権條約の方では、登録その他の手続によつて著作権保護される。これに反しましてベルヌ條約におきましては、著作事実そのものによつて、当然に著作権が発生してそれが保護されるという点に違いがあるわけであります。換言いたしますれば、アメリカの方は形式主義で、ベルヌ條約は形式を問わないという差異がございます。  それから保護期間でございますが、日米條約では、初版を発行してから二十八年保護されるというのでございますが、ベルヌ條約では、著作者生存期間並びに死後五十年間。それから翻訳権につきましては、日米間は自由でございますが、これに反してベルヌ條約では、初版発行後十年間というように差異がございます。
  41. 渡部義通

    渡部委員 著作権の国際的な基準であるベルヌ條約に参加している国が四十二箇国あつて、今特例法を設けようとする連合国は、そのうちわずか十六箇国にすぎない。しかも、重要な国々がこれに参加していないというような場合に、他の国々著作権問題、戰時加算期間問題については、どういうふうになるのか、この点をお聞きいたします。
  42. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 連合国だけが特例法の適用を受けるわけでございますから、他の二十数箇国につきましては、この期間の延長が許されない。従つてベルヌ條約の規定で行くわけでございます。
  43. 渡部義通

    渡部委員 連合国だけがこの著作権特例法保護を受けるということになりますと、ここでまた一つ問題があると思います。たとえば、ソビエト連合国であるが、この場合にどうするかという問題、あるいは中国はどうなるか。中国の場合には、現在の日本翻訳されているのを考えると、ほとんど大部分が中華人民共和国に属する著作権であつて台湾政権に属するものはほとんどないというような場合に、この問題を一体どう取扱うのですか。
  44. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 ソビエト及び中国の問題でございますが、ソビエトにつきましては、今後の外交的地位の問題が関連いたしますので、それと並行いたしまして、こういう問題もきまつて来るのではないかと考えます。それから中国でございますが、これにつきましても、やはり今後の折衝にまたなければならないかと思います。
  45. 渡部義通

    渡部委員 この問題を、あなたにお聞きするのは、無理だとは思うけれども、しかしながら、当然これは連合国に属するものであり、また最も深い文化的な交渉を、現実日本著作家を通じて日本に結びつけられている国々であるので、こういう問題が解決されないで、ただ一方的に現政府連合国に属すると考えておる国々だけを取扱うというのは、片手落ちである。当然この問題はソビエト中国をも含めたるものとして取扱われなければならぬと思うのであるが、現実にそれは一体どういうふうに取扱うか。さしあたつて中国の問題、これについての政府はつきりした考えなしには、当然起きて来る問題について処理して行くことができないと思うので、具体的にどうするかということをお聞きしたい。
  46. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 この問題は、将来外交関係の決定の問題と並行して審議、研究さるべき問題であると思うのでございますが、現実には、やはりそういう具体的な場合が発生したときに研究する以外に、ただいまのところは、お答えいたしかねるのであります。
  47. 渡部義通

    渡部委員 現実にどうするかという問題について、政府考えを持つていない。――これは非常に重大問題だ。この問題は当然起きて来るのであつて、これについての政府意見をまとめて、次の機会に明確に答弁されたいと思う。  次に、日本の場合に最も重大なのは、翻訳権の問題なんです。御存じのように、日本においては非常に多くの翻訳がなされておつて、この翻訳権に関する問題は、日本文化人の生活問題に関係する点で、最も重大性と、また緊急性を持つて来ておるわけです。御承知のように政令二七二号によりまして、翻訳されると自動的に原著作者あるいは仲介者の手にその権利渡つて、すでに印税なんかが仲介者によつて取立てられておるわけです。従つて印税仲介者によつて取立てられておつたような場合には、当然そこから起算期間というものがきめらるべきであつて、別な言葉で言いますと、加算期間というものが減らされなくてはならぬと思うのですが、この点はどうですか。これは日本翻訳者の最も重大視しておる一つの問題なんです。
  48. 柴田小三郎

    柴田説明員 御質問趣旨が、はつきりわからないのでございますけれども、大体政令二七二号というのは、翻訳者権利原権利者に移転する、そうしてこれを登録する、こういうふうな私契約を結んだものに、その契約不履行について、公法的な立場から義務を負わせたものでありまして二七二号がなくても、私契約上すでに移転しているわけでございます。
  49. 渡部義通

    渡部委員 移転して、現に印税がすでに出版者から原著者あるいは仲介者にとられておる。従つて、もうすでに著作権がそこに生じておつて印税までが外国人にとられておるのだとするならば、その著作権というものは、たとい戰時中の問題であろうと、加算されずに、むしろその部分が引かるべきではないかというのが私の質問意味です。質問というより意見なんです。たとえば、具体的に申しますと、こういう場合があるのです。御存じのように、シートンの「動物記」が日本で非常に多く翻訳出版されておるのですが、この場合に一つの重要な問題が起きたわけです。翻訳者内山賢次君でありますが、この内山賢次君はシートン夫人交渉して、著作権管理者であるイギリスのクリステイ・モーア社交渉しまして、印税は七・五%で大体了解済みであつたわけです。しかもこの了解済みの点は、モーア社から山内氏にあててすでに承諾書を與えている。この場合に、在日アメリカ仲介者であるトーマス・フオスター氏が、さらに仲介してやろうということをモーア社に申し込んで、それならば仲介してくれというような話で仲介者なつたわけです。ところが、そのフオスターー氏は、無法にも内山賢次氏が持つてつた承諾書を、ちよつと貸してみてくれと言つて坂上げた後は、もうそんなものは自分は受取つていないと強引につつぱねてしまつて山内氏はアメリカに対してまでいろいろな交流をしたけれども、承諾書を返さない。返さないばかりでなくて、今度は印税を九%に上げてしまつたというような形で、出版者も非常に因り、翻訳者も非常に困つておる。日本の出版事情からいうと、九%をとられたのでは、これはほとんど印税の大部分仲介者の手にとられてしまうわけなので、この点はどこに交渉してもとりつく島がないというような状態にあるわけなんです。このような無法な、乱暴なやり方は、今後もなされる憂いがあるばかりでなくて、すでにもうそういうことが諸方になされておる。こういう、いわば経過的な問題を、一体どういうふうに取扱つたらいいのか。これを保護する方法はないのか、また保護するためにどういうふうにすべきであるかという点を明確にする必要があると思うが、この点はどうなのか。
  50. 柴田小三郎

    柴田説明員 ただいまの仲介人の問題は、仲介者モーア社とがどういう契約を結んでいるかということによつても決定されますし、またモーア社翻訳者との契約がどういう形になつているか、そういうふうなものをこまかく検討しないと、明確な返事はできませんが、私契約のことでございますから、それに政府がタツチして行くことはいけないと思います。但し、仲介人に対しては、著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律という法律がございまして、講和條約発効後、その法律によつて仲介人に対する許可、認可の制度をとるつもりでございます。
  51. 渡部義通

    渡部委員 この問題は、著作家組合の中で大問題になりまして、著作家組合としても今積極的に動いておる問題であります。こういうようなことがありますと、日本翻訳者は、実際生活ができなくなりますし、日本の出版社も出版することができないという状態になるわけです。現に承諾書がちやんと著作権の移転を受けた社から日本翻訳者渡つておるのに、それを取上げてしまつて、パーセンテージを上げて出しておるというような、こういう事実、こういう無法な事実に対して、私たちはどうしても日本翻訳権者を救済する道を講じなければならぬ。その救済の具体的な道を講じないでは、こういう法案をつくつても、戰時中に起つた諸問題については非常な不利を来してどうにもならなくなる。だからこれについては、やはり明確に救済方法を、どういうふうにして講ずるかということを当局考えて、それを当然法文の中に入れるべきだと思うが、その点をお伺いしたい。
  52. 柴田小三郎

    柴田説明員 やはり民間で契約するものは、民間で解決すべき分野がございますし、また法律規定すべきものは、法律規定して行くわけであります。ただ、今のような具体的な例につきましては、私たちもいろいろな形のものを耳にしております。それで、民間側に協力して打開の道を講じたいと思つております。
  53. 渡部義通

    渡部委員 現にこういう問題が起つておるのですが、これを保護する方法を講じましたか。
  54. 柴田小三郎

    柴田説明員 ある二、三の問題については、具体的な方法を講じました。
  55. 渡部義通

    渡部委員 たとえば、どういう方法を講じましたか。
  56. 柴田小三郎

    柴田説明員 たとえば、ただいま翻訳者権利原権利者への移転という問題が出ておりましたが、それにつきましては、日本政府から総司令部の方に請願書を出した例があります。
  57. 渡部義通

    渡部委員 今特例法をつくるにあたつてこういう問題こそが日本翻訳者あるいは著作者が最も重大視しており、これについては、どうしても保護の方法、あるいは救済の方法を講じてもらわなければならぬというのが、一般的な輿論になつておるわけです。この輿論は、あなた方の方にも当然わかつておるはずだと思うが、このことについて、救済方法が條文の中に入つておらなかつたならば、やはり日本翻訳者あるいは出版者は、非常なる不利をこうむるわけです。これは当然法案の中に入れて保護する、あるいは救済する道を講じなければならぬ。一昨晩も、この問題は著作家組合の大きな問題として坂上げられておる。この点について、法案の中に救済方法あるいは保護方法を講ずる意思はないか。
  58. 柴田小三郎

    柴田説明員 この問題と、今條約によつて日本義務を負うた問題とは違いますので、この法律には、そういうふうなものは載りません。
  59. 渡部義通

    渡部委員 しかしながら、この外国人著作著作権保護するという法案が出る限りは、当然戰時中に生じた、現に今私が例示したような諸問題が随所に起きておつてこれが日本翻訳者出版者を非常に困惑させ、あるいは重大な損失をこうむらせておつて今後日本の文化の上にも重大な影響を持つというような現実があるのだから、当然これの保護あるいは救済の規定をこの中に設けることなしには、私は、不完全なものになり、片務的なものになり、日本著作者あるいは翻訳生活者にとつて非常に不利になると思う。ぜひともこれは当然ここに入れらるべきだと思うので、この点について十分考えてもらわなければならぬし、入れるとすれば、どういうふうな形で入れるかということも考えてもらわなければならぬと思う。これは全体としての著作家組合の意向ですし、著作家組合を中心とする著作権協議会の意向もここにあるわけです。従つてこの次の機会にその点をもつとはつきり、先ほど申しました点を伴つて答弁していただきたい。私保留しておきます。
  60. 竹尾弌

    竹尾委員長 本案は予備審査でありまして、本日の質疑はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  61. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に、学校教育に関する件を議題といたします。本件について質疑の通告がございます。質疑は通告順によつてこれを許します。若林義孝君。
  62. 若林義孝

    ○若林委員 私は大体二つの点について質問をいたすと同時に、私から一つの動議を提出してみたいと思うのであります。  過般、教育施設連合国軍用のために接收をせられておりますが、差迫つた一つの事例として本委員会が取上げましたものに、東京都の月島第三小学校の校舎の接收問題があるのであります。委員会といたしまして、委員長を先頭に文部省、特別調達庁の関係係官、東京都の教育委員会関係、こぞつて現地の視察を行つたのであります。接收せられておりますところの楼舎の現状、なお他校の一部を借りまして教育を行つております現状をつぶさに視察いたしました結果、ひとしく一瞬も早くこの施設の復原を希望する結論に達しておるのであります。以下文部省初め特別調達庁あるいは都の教育委員会、また当面の被害者と言えば、はなはだ言葉は不穏当かもしれませんが、これに利害関係を持つております学校の当事者ないしこれを支持しておりますところのPTAの会員が、特に子供の教育を思うという死にもの狂いの運動を展開せられまして、私たちの観測では、連合軍の当事者におきましても、その意を十分取入れまして、できる限りの措置を講ぜられておることと思うのであります。なお講和條約の批准発効とともに、これが促進されることとは思うのでありますが、今日までこれに対して文部御当局といたしましてはどういう措置をとられ、どういうような結果になつておりますかということと、それから全国にこれと同様の措置を受けております教育関係のものが、どういうような状態に展開しつつあるかということの御報告を承りたいのであります。  これに関係いたしまして、私は今日の情勢からするならば、相当この点は有利に展開しつつあるとは存ずるのでありますが、いま一歩教育施設の復原をする熱意が国民の間にほうはいとして起つておるということを、明確に連合国に、国会を通じてこれを示しておく必要があると考えまして、本委員会の各位もこれは人に数倍してこのことを憂慮いたしておると思うのであります。その意思を表明するために、本委員会として一つの要望をし、ひいてこの要望を本会議の決議案にまで持つて行きたいという気持があるのでありまして、ひとまず本委員会としてこれに関する決意を表明するために、動議を提出してみたいと思うのであります。  教育施設復原に関する要望という気持でお手元に出ておりますが、これは最後の方で少し訂正する箇所がありますが、一応読み上げます。    教育施設の復原に関する要望案 国家の発展は教育の成果にまつこと甚大であり、特に現代においては、この教育目的を遂行するためにその施設、設備の整備充実を必須要件とすることは言をまたないところである。しかるにわが国においては、戰災により教育施設が著しく破損したばかりでなく、その後においても連合国軍用、予備隊用等への転用多く、ために益々窮乏の度を加えている現状である。いまや講和條約発効の時に際し、現にこれら教育目的以外に転用中の一切の教育施設は、これを優先的に復原せられ、教育の山支障を少からしめるよう、政府はすみやかに適切な措置を講ずることを強く要望する。  この要望の動議をお認め願いたいと思うのであります。  同時に、この要望書の賛否を承る前に、文部当局から、全国にわたります教育施設復原の状況と、なお当面の問題になつております月島第三小学校の件につきまして、御説明を承りたいと思います。
  63. 天野貞祐

    ○天野国務大臣 教育施設が転用されておるということは、私も非常に遺憾なことだと思いまして、岡崎国務大臣に絶えず連絡をし、また大橋国務大臣にも連絡をいたしております。それで岡崎国務大臣は、すぐみんな解除するとよいけれども、現にいろいろなことに使つているものだから、それをわきの場所を見つけてやるということ、ことに病院関係などは、非常にそのために遅れていて遺憾なことだけれども、いつ返るということがはつきりしないということがもともとよくないことだから、近日中にみんなのリストについて、これはいつ返るということを見当をつけて私にそれを示す、こういうことを言つておられます。それから大橋国務大臣に対しては――こういうことは非常におかしなことですけれども、地方によりますと、場合によつては、学校を警察予備隊に使つてもらいたいというようなところがないとも限らないから、万一そんなことがあつたときには、必ず私にまず話をする、私に話をしないでもつて文部省の学校施設を他に使うということは決してしないということを、大橋国務大臣ともお約束いたしております。  なお一昨日ニユージエント中佐にお目にかかりまして、CIEが今度閉鎖になりますので、私はその前にリストを令部出して、そしてこれを速急に返してもらうように、ニユージエント中佐からもあらためて御盡力を願いたいと言つたところ、中佐も、できるだけのことをするからということで快諾され、昨日リストを全部中佐の方へ出しておるような次第でございます。そういうようなわけで今もつて返らないところがあるというのは非常に遺憾ですが、近日中に岡崎国務大臣の方から、これはいつ返るということの表を私がもらえることと期待いたしております。  大体の方針はそういうことでございますが、こまかい点につきましては管理局長から補足いたさせます。
  64. 近藤直人

    近藤(直)政府委員 被接收校舎解除の問題でございますが、この点につきまして、文部当局といたしましては、これまでしばしば外務省の国際協力局並びに特別調達庁に対しまして、解除の申請をして参つたのでございます。ただいま接收されております校舎は全国で四十七件ございます。そのうち若干解除されましたので、多少数字はかわつておりますが、当初外務省に出されました件数は四十七件、その中にはもちろん月島小学校も含まれております。あるいはまた大阪の市立大学その他接收されておるものは、全部包含されておるのでございます。  この点につきまして、それではいつ解除されるかということでございますが、これは御承知のように、ただいま、例の予備作業班というものが外務省にできまして、日米合同で会議をいたしております。その予備作業班の作業といたしまして、被接收物件を一々当りまして、これはいつ解除する、これはいつ返すというようにやつておるように聞いております。文部省といたしましては、この予備作業班に参加しないまでも、これと絶えず密接なる連絡をとりまして、学校設備の優先的解除につきまして強調して参つております。ただいまお話にございましたように、先方といたしましても、学校施設につきましては優先的に解除をするということを、はつきり申しておりますので、私はこれは時期の問題ではないかというふうに楽観いたしております。  しからば、どういう順序で返してもらうかということにつきましては、これは予備作業班の話でございますので、何とも申し上げかねるのでございますが、ただいま大臣のお話にありましたように、遠からぬ機会にいつ幾日までにここが解除されるであろうというような指示があるのではないかというように期待いたしております。この接收校舎の解除の点につきましては、私といたしましては、あらゆる努力を拂いまして、解除方を要望いたしておるのでございます。その点は何とぞ御了承願いたいと思います。
  65. 松本七郎

    ○松本(七)委員 ちよつと関連して伺いますが、文部大臣の御答弁によりますと、個々の施收がいつ返るかを、なるべく早く知らせてもらうように、どうしてもやつていただかなければならぬことなんです。先ほど若林さんの提案にもありましたように、とにかく教育施設はこの際優先的に復原するという原則を、ここではつきり認めてもらいたいというのが根本の趣旨なんです。今の管理局長のお話によりますと、何かアメリカ側でもその原則を認めたようにお話になつたのですが、その点を、もう一度確かめておきたいのです。こちらから、教育施設は優先的という原則を持ち出して、アメリカがこれを認めたのかどうか。そういう原則がはつきりしておりませんと、向うの利用価格というか、向うの都合によつて、いろいろな施設を同じような立場から検討するということになれば、早く返るものもあれば、向うの都合で、教育施設であるにもかかわらず、なかなか返らぬというのがあるので、その原則の確立ということを、われわれ非常に重要視しておる。その点をもう一度伺つておきたい。
  66. 天野貞祐

    ○天野国務大臣 私は、教育施設については、優先的に取扱うと了解いたしております。
  67. 竹尾弌

    竹尾委員長 ただいま若林委員より提案されました教育施設の復原に関する要望の取扱いにつきまして、お諮りいたしたいと思います。  ただいま朗読されました案文の通りの要望を、当委員会全員の名をもちまして本会議に提出することに決することにしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  68. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 これは、国会法あるいは慣例等によりまして、委員会の要望そのまま本会で決議することについては疑義があります。でありますからこれは別個に扱いまして、ただいま若林君の提案の要望なるものは、委員会のみの決議としてこれを政府に伝達する、さような処置をとられんことを要望いたします。
  69. 松本七郎

    ○松本(七)委員 ただいまの要望を、本委員会でもつて決定することには異存ございません。そうして政府にそれに基いて善処してもらうことにも異存ないのですが、本会議においても、何らかこの委員会の要望に沿つた手を打つてもらいたい。そういう点も、委員長に特に御努力願いたいと希望いたします。
  70. 渡部義通

    渡部委員 松本君の意見に賛成ですが、ただ、われわれは独自の立場から、国民を代表しているものであつて、国会は政府を通じてのみ、あるいは政府に要望した形においてのみ、こういう意思表示をすべきではないのであつて、文部委員会としても、国会としても、国民が要望しており、また日本の教育行政上最も重要であるこういうような問題を取扱うにあたつては、当然独自の意見で決議していいと思うのです。またそうすべきものであると、私は考えておるのです。従つて、必ずしも政府に適当な措置を講ずることを要望するという形ではなくして、優先的に復原せらるべきであるというふうな形において、文部委員会あるいは国会独自の意思をここに表明するのが、私は正しいと思う。
  71. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そこで、先ほど若林さんの提案されたこの趣旨に、全部が賛成するということで、この委員会はいいと思うのです。さらにこの委員会の決定を取上げて、そうして本会議でも、何らかの形でそういうような全体の院議をまとめてもらいたい、これでいいと思うのです。
  72. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 その松本君の趣旨で、その通りでよろしゆうございます。ただ先ほどの委員長の御発言の、そのままこれを本会議に持つて行くということは、ちよつと慣習その他疑義がございますので、申し上げておきます。
  73. 竹尾弌

    竹尾委員長 それではあらためてお諮りいたします。ただいま若林委員より提案されました要望を、本委員会で決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 竹尾弌

    竹尾委員長 異議なきものと認めまして、さよう決定いたしました。  なお本会議に対する所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 竹尾弌

    竹尾委員長 それではさよういたします。
  76. 若林義孝

    ○若林委員 次に、これと少し性質は違うのでありますが、やはり教育施設関係するものといたしまして、本委員会がお取上げになりました東京学芸大学小金井分校附属小中学校の敷地確保に関する件とでも申しますか、これに関連いたしまして御当局質疑を試みてみたいと思います。  この敷地に関する問題は、私たち現地を視察した者といたしまして、きわめて複雑怪奇という感を持つたのであります。しかしながら、あくまでもこの大学の自主という点から、本委員会のごときは先頭に立つことなく、大学の自主性に基いて、この問題は解決さるべきではないか。同時にまた、国立大学であります関係上、文部省がこれと協力し、あるいは文部省が先頭に立つべきであるとも思つておるのでありますが、この問題が大きくなりましてから、爾来今日までの間にとられました文部当局の処置と、それからこの問題に関する現在の状況について、ひとつ御報告を承りたいと思います。
  77. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 本日会計課長が欠席でありますので、私案は所管が違うのでありますが、知つている範囲においてお答えを申し上げたいと存じます。  この東京学芸大学附属の小中学校の敷地は、元一万四千坪あつたのでありますが、その過半数の部分を、戰災のために焼かれた次第でありまして、焼け野原になつたために、そこに業者が土地を借りて何か商売をしたいという申出が、終戰直後続々ありました。昭和二十一年の春ごろから、数人の者がその申請をいたしまして――そのときいろいろ複雑な事情もあつたのでありますが、一時的の契約で、また臨時的の架設物であればやむを得ないであろうという建前から、これを貸すことになつた次第であります。そうして一年という契約で貸したのでありますが、一年後に、その契約が切れまして、また更新を願い出ましたので、一年だけまた更新をいたしまして、その二年目に切れたのが昭和二十三年三月三十一日でありました。もうこれきりだということで、契約はそこで切ることにいたしまして、契約は切れたから、原状に土地を川復してもらいたいという通告をいたしました。それが昭和二十三年九月三日のことでございます。しかし、また同時に、この東京学芸大学附属小中学校といたしましては、一万四千坪全部の土地を小中学校の校地として必要といたしませんので、小中学校として必要な部分を残し、その他の部分は、いわば雑種財産として大蔵省に引継ぐ義務がありますので、昭和二十三年六月三日に、大蔵省に対しまして、これを大蔵省に引継いでもらうような手続をしたのであります。しかし大蔵省は、これに対して別に引継ぎを受けるということの書類を出さなかつたのであります。というのは、この土地に関しては都市計画がいずれ行われる予定であつて、なおそういう計画が現在具体化しておらないので、しばらくそのままになつております。文部省としては、引継いでくれという書類を出しておるにかかわらず、大蔵省はこれを受取るということにはなつていなかつた。これがいよいよ受取る手続が完了いたしましたのは、昭和二十六年の三月二十六日でございます。その間は、実は形式的には大蔵省が持つておるのでありますが、家質的にはどうも権原の帰属がはつきりしないというような現状になつております。その後、都市計画が漸次進む途中におきまして、文部省としては、小中学校として最小限度どれだけの敷地を必要とするかということについて、東京第四建設事務所と話合いをいたしました。そして昭和二十三年十一月九日協定を結びまして、学校として六千二百坪を要する、その点を第四建設事務所としてはつきり承認をしたという事実があるわけでございます。ところが、その後都市計画が進みまして、昨年の初めごろにその都市計画の具体計画ができて、六千二百坪は学校の敷地として多過ぎる、約五千坪に自分の方で確定をしておく、そうしてこういう道路、こういう地積を含めてということの相談がありましたが、文部省ととては前に昭和二十三年に協定をしたこともありますから、それは承認できない、六千二百坪を一歩も引くことはできないということを申し入れて折衝を重ねて参りましたが、本年の初めごろ、大体五千坪で確定をしたいということで、最後的に申入れ  て来ました。ここにおいて問題が切実になつて参りまして、文部省としては、教育の必要上そういうことは断じ  て承認ができないということで、再三東京都の建設局と折衝して今日に至つ  ておるという事情でございます。なおその途中におきまして、その校庭の一角に対して津田という印刷をやる人が印刷工場を開くということで、現実に建物を立ててしまつたのでありまして、これに対しては、文部省としてはただちに法務府に連絡をし、法務府が主体となつて訴訟を提起いたしました。その訴訟が一応文部省に有利に裁決があつたのでありますが、なおその裁定通りに建物の原状回復を相手がいたしませんで、また前の裁決は無効であるというような訴訟を津田の方から提起をいたしました。その訴訟が現在なお係属中であるというような事実が派生的に発生をしておるのであります。文部省といたしましては、教育環境浄化の立場からいたしまして、そういう風俗、風紀に関係のあるような業態のものが学校の周囲を取巻くような計画に対しては、絶対に応じられないということと、もう一つは、教育を実施する上に、現在の牧容兒童の数から見まして、六千二百坪の校地はどうしても必要であるという二つの観点に立ちまして、今なお東京都と熱心に交渉を続けておるという事情になつております。
  78. 若林義孝

    ○若林委員 ただいまの御説明を承つておりますと、役所の仕事というものはそれで責任が全うされておるかとも思うのでありますけれども、われわれ民間の常識から考えますと、もしある会社で持つております土地に現在のような措置を講ぜられたとするならば、これを担当しております職責にある者の進退に影響するところのものだと思つております。降つてわいたように、その日に一軒の家が建つものではないのでありまして、やはり礎石を置いてその上に家が建てられて行くのだろうと思います。そのときに、すでに阻止しておかなければならぬ。あくまでも大学の土地である。文部省が責任を持つておるところに、少くとも二十日、一箇月を要するような家が建つまで座視しておるというような、この一つだけを見ても、いかにも役所の仕事というものは、その日その日の時間がたちさえすればいいというような行き方の現われが、こういう禍根を残したのじやないかと思うのであります。しかし、過去を責めて言うのではありません。教育施設は他に優先をしてと、過般今村政務次官が言明したのでありますが、法的の不備もあるために、都市計画という名目のもとに、教育施設が狭い上に縮小されて行くことは、きわめて残念であると思うのであります。これはわれわれ国会の意思を当事者に伝え、また文部省も、その意味において努力すべきだと考えるのであります。今日まで学校直接の関係者であるPTAの人たちは、涙ぐましいまでの努力を続けておられると思うのでありますが、当面の文部省がやるから、東京都は無関係だというのではならないのであつて、やはり東京都の都民の教育であるのでありますから、東京都としても、文部省と思いを同じくして行くところまで行かなければ、円満に解決するものではないと思うのであります。東京都は東京都で、土地の広さだけに心を奪われようとしておる、文部省は教育の点から行くというようなことで、同じ国家の機関でありながら、思う目的が相反する方向に進んでおるように思うのであります。この点は小さな問題であるようでありますが、将来国全体にあります教育施設が、これで一角をくずされるようなことがあるとするならば、いろいろな名目で縮小の運命に立ち至るのではないかと考えるのであります。しかも、文部省自身出しております教育施設に対する基準というようなものまでも縮めて行こうとするような事柄は、われわれとしては黙視することはできないと思うのでありますが、この件に関しては、大臣が直接乗り出していただかなければならぬ問題ではないか。部長官と大臣とが、まず最初に話合つていただかなければ解決がつかぬのじやないかと思うのであります。いろいろ関係者の言葉を聞いてみますと、きわめて暗い問題もあるんじやないかと思うような事柄もあるのでありますが、それは今日ここで問題にいたしません。大臣自身この件に関して、事は小さいようでありますけれども、この一角をくずせば、せつかく確保されておる全国の教育施設というものがくずれて行くおそれがあると思うのです。この点御所見を伺いたいと思います。
  79. 天野貞祐

    ○天野国務大臣 ただいまのお説は、まつたくごもつともだと思つて、同感をいたすものでございます。文部当局としては、一体学校が狭くなるばかりでなく、そのために環境が悪くなる、こういう二つの点から、今回のことはどうしても承認できないという建前で、これまで大臣が都の方の方といろいろ折衝を重ねて来ましたけれども、先ほどもお話のあつたように、法律には不備な点があつたりして、なかなか思うように行かない。そこで、最近参議院の文部委員長と、衆議院の文部委員長とのお話合いもあつて、私と都長官、それから建設大臣も出て、みんなでよく話合いをやろうということになつて、近くその話合いをやつて、何とかこれを文部省の主張する線に持つて行きたいという考えを持つておるわけでございます。
  80. 小林進

    ○小林(進)委員 実は今の若林君の提案に私は反対の意向を表明しようと思つたのでありますが、幸い文部大臣のお話で、私の考えにやや近いお答えでございましたので、まつこうからは反対いたしません。従来の経過からながめておりましても、今一応、文部大臣の行政的、政治的手腕によつてこれを解決してもらいたいという時期は過ぎているのではないか、こういうふうに感じたのであります。できれば、私の考えとしましては、われわれもやはり国民を代表する国会議員ないし文部委員としまして、当面の責任者として、一応これは国会の文部委員会に今の東京建設事務所なり、都長官なり、あるいは契約を延期せられた文部省関係者なり、学校当局、一切の関係方々に来ていただいて、われわれの文部委員会でこの問題を取上げていただきたい、こういうように考えております。幸い文部大臣が、都長官なり関係者と、文部委員長を含めてのお話があるということでありますが、一応その御計画を認めるといたしまして、私の提案する計画も、十分委員長において御考慮くださいまして、いずれを先にするか、今文部大臣と都長官とのお話合いが円満に行くか行かないかは別として、そのあとにするか、あるいはその前にするか、時期は委員長の御判断にまかせますけれども、委員会関係者を呼んで、お聞きくださることを、私は提案いたします。
  81. 竹尾弌

    竹尾委員長 それでは私から一応お答えいたします。実はこの会の終りに、本委員会の皆様にそうお諮りいたしたいと存じておりましたが、小林委員のおつしやられたような線で、正式の委員会ではどうかと思いますので、文部委員の懇談会を開きまして、その席上PTAの方々にも来ていただくし、また関係当局方々にも来ていただきたい、私はそういう腹案を持つておりましたが、いずれ懇談会を開きまして、とくと至急皆様の御意見を承りたいと思つておりますので、御了承を願いたいと思います。
  82. 長野長廣

    ○長野委員 実は元豊島師範学校附属小学校校地の一部貸與に関する問題につきまして、ただいままでのお話を聞きましても、文部省のとられた事情を明らかにする必要があるようにも感じます。それからまた、当時処理したことについての誤解などがもとになりまして、ややもすると、そういう意味における誤つた考えもあつたかに聞きます。ただいま質疑の中にも、文部当局の処置に対する御批判もあつたかと思います。かたがた本問題の一審初めに、私が文部政務次官として關與したことがありますので、この際委員長の内々の話もありましたし、きわめてこれはナチユラルなことであるから、私から一応その事情を申し上げておくということも、委員として一面からいえば責任でもある、こういう考え方から一応申し上げてみたいと思います。  昭和二十一年の五、大月ごろ、私は文部政務次官に任命されました。その際に、当時の豊島師範学校の附属小学校の敷地につきまして、紛議といいますか、学校当局との間に少しもつれがありまして、文部省へも大分押しかけて来ておるようであります。私には直接参りませんでしたが、事務当局も、これにはほとほと弱つておるようでありました。それから師範学校そのものにおきましても、真相はわかりませんけれども、大体民間側から了解を得たということで、すでに戰災並びに引揚者で居住に困つておる者、仕事のない者が協議をして、焼け野原でありましたから、ぜひあすこに建ててもらいたいという話があつて、学校側と大体約束をしたように民間側では言うし、学校当局の方では、当時必ずしもそうでないように見えておりましたけれども、結局これは貸し與えて、この多数の者に仕事をさせなければならぬという方針を得たのであります。また先ほど事務当局の言われたように、現在生徒は多くなつても、いろいろ坪数について議論があるようでありますが、その当時は非常に少かつた。そこですでに木材はどこかで用意をして来ている関係もあるので、ぜひ社会政策立場から見ても、これは建てるようにしてもらいたい、こういうことが事務当局並びに学校当局に持ち出されておるということでありました。それと直接関係の有無はわかりませんが、その当時民間側の業者といいますか、発起人といいますか、そういうような人々の周囲において殺人問題まであつた。この情勢をながめるときに、学校当局の陳情及びその当時のあの界隈における実情からながめますと、これは何とか円満に解決をはからねばなるまい、こう私は感じました。しかるに、世間ではこういう問題は、今後においていろいろ悪い問題を生ずるもとになりますから、私は当時の池袋警察署長に向つて、これはいいかどうかということを聞きました――現在は国家地方警察の警察隊長か何かやつておるだろうと思いますが、当時の署長は私の政務次官の部屋に参りまして、非常に困つている、これはひとつ政務次官が中で適当に調和をして、円満な解決をしてくれまいかという懇請がありました。また民間側におきましても、そういうことをやつてもらえば今までの争いは解消してよろしいということであります。校長は、もちろんそれを希望しておりますし、事務当局も、また私に向つて詳細なる調査の数字を示し、そうすることが学校のためにもまことによろしい、このままに置いておいたならば、不測の問題を起すかもわからぬという情勢であるということであります。まことに当時荒涼としてほとんど人心の帰一いずくにありやというようなことさえ心配をする場合でもありますし、これはやはりやつた方がよかろうと私も決心をいたしまして、民間側の者を呼んでよく説得いたしました。また一面学校当局にもよく意のあるところをお示しいたしましたが、当時においては、教育上において、ある程度のものはよかろうということになりました。事務当局もまたこれに賛成をいたしまして、当時大臣の了解のもとに、実は私も当時の忙しい場合に困りましたけれども、特にさようとりはからいまして、昭和二十二年の二月ごろですか、私が政務次官を退く前に一応その問題を解決いたしたように記憶しております。  なお、私はその際に、かかる問題について、世間ではよく好ましからざる宣伝等が行われるおそれがあるから、あらゆる問題につきまして、警察署長の了解のもとに、はつきりやつたことでございます。またこれに関係をしました事務当局あるいは学校当局に対しましては、当時の私の常識と、私の教育上の判断等から考えてみましても、あえて事務当局意見を排斥してまで、この争いを続けしめるゆえんのものではないというところに私着眼をいたしまして、私も相当力を入れて、民間側の力強い押しに対しても、これを押えつけまして、最後は和気あいあいのうちに解決をしたと言うて、私のところへ当時の会計課長かだれかが書類を持つて来て安心をいたした次第であります。私の在任中における事情は以上であります。  同時に、一言申し上げておきますが、私の重要なるポイントポイントにおける解決は、池袋警察署長と並行して解決を進めたわけであります。最後に、署長は私の部屋に参り、衷心より感謝をいたします、ともかく国の治安関係及び社会政策的に民間の生活を確保するという点から考えるならば、まずこれで上々である、私は警察署長として考えても、これはどうしても解決をしなければならぬ社会政策的な意味も大いに持つた問題である、こう申して行かれたのであります。なお私は、本問題の処理につきましては、必ず政務次官室において、私のいすに腰かけて解決をいたしたのであります。断じてその間世によくいうゆるやかな解決というようなことはさせないで、みずからの身をもつてさようにいたした次第であります。  大体さような状態でありますから、本問題の最初の解衣はつきましては、くどいようでありますが、学校当局も、文部省の事務当局も、事務次官以下少しも誤つた処置はない、こういうように私は確信しておる次第であります。  最後に、特につけ加えておきますが、従いまして、問題が解決して以来、私が退官する前に、政務次官としてもこれには関與しておりません。いわんやその後私が代議士としても、個人長野としても、その後の経過について関係するところはありません。これもまた最近の調査等のときにおけるいろいろな事情を承りまして、以上申し上げておいた方が最も穏当であり、これがまた当然私の義務であり、またこういうことを述べさせることが委員長のある意味における責任でもある、こういうことを思いましてここに以上二年にわたる問題を節用に申し上げまして一応今後の御審議等に関する御参考に提供いたしたいと思います。
  83. 竹尾弌

    竹尾委員長 当局に何か御質疑はありませんか。
  84. 長野長廣

    ○長野委員 私は別に質疑はありませんが、私がそうしたことをもしお知りの方があれば、それらのことについて、だれかおつしやつていただいてもけつこうであります。
  85. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 ただいま長野委員のお述べになりました点は、私どももその通りつておるところでありまして、長野委員は、政務次官といたしまして、その当時非常な努力をされ、適正な解決をされたものであると信じております。
  86. 渡部義通

    渡部委員 今長野委員から、政務次官当時における豊島小学校問題の処理に関する簡單な御報告を聞いて、私は非常に意外に思つたし、また重大なる問題がここに含まれておるのを感ぜざるを得ません。こういう話を聞いたことになりますと、この問題についての当局の処理の上でも、いろいろ問題が含まれておるのであります。従つて先ほど小林君から提案されたことを、よりへ嚴密に問題を明らかにするために、ぜひとも至急開いていただきたい。知の考えでは、これは理事会を開いての上でもいいと思いますけれども、委員会でいろいろ聽関する人をはつきりきめて、その人たちにはぜひ出てもらうことが必要であるし、それから事態がこういうふうに明らかにされた限りは、單なる懇談会ではいけないと思う。正式に文部委員会において、そういう特別の会を開きまして、そこで十分各委員から当時の真相を明らかにし、あわせてこの問題を緊急処理するためにどうすべきかという結論を、われわれは出すべきものだと思います。この点提案します。
  87. 竹尾弌

    竹尾委員長 皆様にお諮りいたします。先刻小林委員より御提案になりました意味をも含めまして――一もし私が間違つていたら取消しますが、至急解決を要するものと思いますので、私の考えでございますが、明日まず理事会を開きまして、理事会の決定に基きまして、懇談会なりあるいは正式の委員会なりを開いて、至急解決点を出したいと存じますが、いかがでございましようか     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 竹尾弌

    竹尾委員長 それでは明日の午前十一時半から理事会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時一分散会