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1952-02-07 第13回国会 衆議院 文部委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月七日(木曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 竹尾  弌君    理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君    理事 小林 信一君       甲木  保君    鹿野 彦吉君       小西 英雄君    首藤 新八君       高木  章君    圓谷 光衞君       長野 長廣君    水谷  昇君       渡部 義通君    浦口 鉄男君       小林  進君  出席国務大臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君  出席政府委員         特別調達庁長官 根道 廣吉君         総理府事務官         (特別調達庁         管理部長)   長岡 伊八君         文部政務次官  今村 忠助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     小林 行雄君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君  委員外出席者         大蔵委員長   佐藤 重遠君         議     員 庄司 一郎君         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 一月三十一日  委員西村直己辞任につき、その補欠として水  谷昇君が議長指名委員に選任された。 二月七日  委員平島良一辞任につき、その補欠として首  藤新八君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 一月三十日  学校給食法制定に関する請願北澤直吉君紹  介)(第三〇三号) 二月二日  新日本精神普及に関する請願内海安吉君紹  介)(第三四九号)  私立学校共済組合設立に関する請願竹尾弌  君外一名紹介)(第三五〇号)  小学校舎建築費国庫補助等に関する請願外一件  (逢澤寛紹介)(第三九〇号)  社会通信教育振興に関する請願松岡駒吉君紹  介)(第三九一号)  岡山大学夜間商学部設置請願逢澤寛君紹  介)(第三九二号) 二月六日  学校給食継続実施等に関する請願藤井平治君  外三名紹介)(第四五一号)  同(塚原俊郎紹介)(第四五二号)  同(坂本泰良君外一名紹介)(第四八五号)  学校給食法制定に関する請願塩田賀四郎君紹  介)(第四五三号)  同(山本利壽紹介)(第四八四号)  松岡中学校屋内運動場建設に関する請願(福  田一君紹介)(第四五四号)  教職員行政整理等に関する請願高間松吉君  紹介)(第四五五号)  学校給食継続実施に関する請願(林百郎君紹  介)(第五二六号)  寒冷地帯学校屋内運動場建設促進に関する  請願(林百郎君紹介)(第五二七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 一月二十九日  公民館、図書館に対する国庫補助増額に関する  陳情書(  第一二九号)  青年学級早急制度化に関する陳情書  (第一三〇号)  六・三・三制確保に関する陳情書  (第一三一号)  新潟大学医学部附属病院再建に関する陳情書  (第一三二  号)  六・三制施設国庫補助継続に関する陳情書  (第一三三  号)  六・三制確保等に関する陳情書  (第一三四号)  沖縄の教育問題に関する陳情書  (第一三五号)  地方教育委員会設置単位に関する陳情書  (第一三六号)  義務教育費全額国庫負担に関する陳情書  (第一三七号)  教職員給与地域差撤廃に関する陳情書  (第一三八号)  積雪寒冷単作地帯義務設置学校屋内運動場建  設促進臨時措置法制定陳情書  (第一三九号)  公立学校施設の防災並びに災害復旧に関する法  律制定に関する陳情書  (第一四〇号)  学校児童保健共済法制定に関する陳情書  (第一四五号) 一月三十一日  学校給食継続に関する陳情書  (第二三五号)  同(第二三六  号)  教職員賃金ベース引上げに関する陳情書  (第二三七  号)  六・三制確保等に関する陳情書  (第二三八号)  同外二件  (第二三九号)  文教施設に係る国庫補助増額に関する陳情書  (第二四〇  号)  六・三制遂行に関する陳情書外一件  (第  二四一号)  義務教育完全実施に関する陳情書  (第二四二号)  義務教育費平衡交付金制度確立に関する陳  情書外六件  (第二四三号)  産業教育振興法廃止反対に関する陳情書  (第二四四号)  教育財政確立等に関する陳情書  (第二四五  号)  六・三制施設整備に伴う国庫補助に関する陳情  書(第二四六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  商船大学に関する件  昭和二十七年度文部省関係予算に関する説明聴  取の件  文部行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 竹尾弌

    竹尾委員長 これより会議を開きます。  議事日程を変更し、まず商船大学に関する件を議題とし、質疑を許します。若林義孝君。
  3. 若林義孝

    若林委員 前回委員会におきまして、明年度予算についての御説明伺つたのでありますが、それに関連いたしまする事項として、商船大学設置準備費として十万円が計上ぜられておるのであります。かつてインフレでない時分に、款項目を名目的に置くだけに一円計上したということがあるのでありますが、この十万円というのは、額から言えば相当とうといものだと思うのでありますが、国家予算の現在の段階から、十万円というのが計上されておるので、私たちこれに奇異の感を受けるのでありますが、政府はこの十万円というものに対する意味を、どういうように解釈をいたしておられますか。私としては文部大臣並びに大蔵大臣の御答弁を伺いたいのでありますが、大蔵大臣が見えておられませんから、十万円という金額がどういう意味であるかを文部大臣に承りたい。
  4. 天野貞祐

    天野国務大臣 これは従来の例として、その翌年度において開設するというような場合には、前年度において、そういう準備ための金を予算に計上するという慣例でございます。だから、金額の問題ではなくして、次の年度において大学開設するという一つ準備のしるしなのであります。だから、必ずしも金額ということではないと、私は了解いたしております。
  5. 若林義孝

    若林委員 その点はここで了解をいたしました。これは将来という意味であるから、いわゆる二十八年度開設するという意味でございましようか。あるいはもう一つわれわれから欲目で考えて、この準備費を計上しておいて、もしできるのならば二十七年度からでもやれるという意味を持つておるのでありましようか。
  6. 天野貞祐

    天野国務大臣 これは、できれば二十八年からということでございます。しかし、二十七年度予算において、すでにやるくふうはないかということでございますが、学校はやはり年度計画があつて、その中途においてやるということは、非常に不便なことがたくさんあるから、私の考えとしては、やはり学年かわり目からということが妥当ではないかと考えております。
  7. 若林義孝

    若林委員 この商船大学設置ということに関しましては、本文部委員会におきましても、強い決意をもちまして、商船大学を二十七年度から開設をする。過般昭和二十四年に国立学校設置に関する法律を通しますときも、二十六年度から開設するという政府の言明があるのであります。本委員会としては、政府がそれを提案して来ないものでありますから、二十七年度から開設するように強い意思を表明し、政府迫つたのであります。われわれとしては、文部委員会意思として、また党の関係から申しますと、挙党一致でこれをきめて政府迫つたのでありまして、これが運輸省との関連におきまして、運輸省がどうしてもあれを放さぬということが最初予想せられておつたのでありますが、この一番難関と思いました運輸省自体が、商船大学設立重要性を認識せられまして、施設その他一切を文部省に移管して、商船大学の発足に協力して参つたのであります。にもかかわらず、ここに一年遅れるということは、国会意思表示を、政府自体ここに無視した観があるのであります。その点財政上のいろいろないきさつを理由とせられると思うのでありますけれども造船計画というものが著しく増大せられておるのでありまして、外国貿易必要性もますます増大しつつある。また卒業生は、今こしらえたといたしましても、四、五年後でなければ稼働できない状態であるのでありまして、私はこの商船大学開設というものは、いろいろなことも急を要すると思いますけれども、これこそ早急にやらなければならぬ問題だと考えておるのであります。あらゆることを排除して、できるならば二十七年度からでもやろうという御熱意が、文部当局にあられるかどうかを伺つておきたいと思います。
  8. 天野貞祐

    天野国務大臣 文部省といたしましては、この委員会のお考えを尊重いたしまして、ぜひとも二十七年度から開設できるように予算を組み、また局長を現地に参らせて、よく調べさせ、また運輸省とも相談して、二十七年度予算に計上したことは御承知のことと思います。それが成立しませんので、何度も大蔵省交渉を重ねたのですけれども、どうしても今年度財政上の都合上できないということで、やむを得ず来年度の二十八年度においてできるならいたしたい、そういう考えをもつて準備金を入れたのであります。先ほども申しましたように、その次の年度開設するため準備金を置いた例は幾らもございまして、そうしてその準備金を入れた次の年度において、それを開設しておる例が幾つもあるのでございます。私どもはそういう例に従つて行きたいということで、大蔵省考えに従つたわけでございます。今の年度内というお話につきましては、ただいま申しましたように、学校としては非常に無理があると思つて、さしあたつて文部省としては年度内のことは考えておりません。
  9. 若林義孝

    若林委員 では文部大臣としては、二十八年度においては必ず開設するという解釈なり、御意思を持つておられますか。事によりますと、準備金準備金というようなことで、先へ延びることがあるのでありますが……。
  10. 天野貞祐

    天野国務大臣 それは二十八年度において、ぜひやりたいという考えであります。
  11. 若林義孝

    若林委員 閣議において種々御折衝せられたことは、仄聞いたしておるのでありまして、そのお骨折りも、まことに多とするところであります。去る十二月二十七日、委員会の決議を大臣自身に聞いていただきまして、文部委員会承認を得なかつたらおられぬぞというくらいの覚悟をもつてつていただきたいということで、その日から大臣がんばりようが非常に強くなつたと、私たち聞いておるのでございます。しかし大臣自身、二十七年度では絶対にこれはできないのだ、無理があるのだ。がんばりようにも、橋本厚生大臣のようなあそこまでのがんばりは必要はないと思いますけれども、相当がんばられていただいたと思うのでありますが、二十七年度内において、大臣自身があの決意を持つておいでになつてできなかつた理由があるだろうと思いますが、その二十七年度でできなかつたと御納得される理由を、ひとつ承りたいと思います。
  12. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はこの問題もその他にも、どこまでも主張したこともあるのですけれども財政がどうしてもこれを許さないと言われれば、今の国家財政の全般を処理しておるわけではないのですから、いたし方がないと思うのです。それで私はよんどころなくそれに従つたわけでございます。
  13. 若林義孝

    若林委員 私たち二十七年度予備費をながめてみますと、相当あきらめきれない点があるのであります。地元にいたしましても、最初金額として一億五千万円、その半額地元負担で行こうというのが、次から次へいろいろな事情で増大して参りまして四億、その半分の二億をも地元が持つというように、地元熱意が盛り上がつておるのであります。なお文部当局が非常に熱意を持つて、この開設努力せられました姿が、巷間この四月から開校されるであろうというようにまで流布されまして、この商船大学入学をいたしまして、志を世界に伸ばそうとする青年学徒がおるのであります。われわれとしては、何とかしてこの二十七年度中にでも開設をいたしたいという希望に燃えておるのでありますが、この予備費の中から、何とかひとつ努力して、委員会国会文部省とが一体となつて、この開設が、一日も早く、二十八年度を待たずにできるようにという御努力をなさる御気持があるかどうかを伺つておきたいと思います。
  14. 天野貞祐

    天野国務大臣 私ども文部省として、委員会の御熱意というものもよくわかつておりますので、そのために十分な努力もいたしたのでございますが、しかし年度内ということは、非常に学校としてはむずかしいことである。教授陣を集めたり、また大学設置委員会の許可を経たりという、すべて手続を済ませてやるというのには、私はむしろ二十八年度でやつた方がよくはないか。それからまた準備金予算に組んでから幾年も延ばしたという例は、一つもございません、その翌年には必ずみなやつておりますから、二十八年度予算に組んで行くという方針が、私はよいのではないかという考えでございます。
  15. 若林義孝

    若林委員 これは案で行くならば、四月を切りとして行くことがいいと思うのでありますが、われわれのときでも、七月の入学ということが、ナンバーの高等学校以外の高等学校では、あつたわけでございます。そういう意味で、これは克服して行けると思うのでありまして、ひとつわれわれも努力をいたしたいと思います。私大臣に御希望伺つたのでありますが、これについては他の委員もいろいろな考えを持つておると思いますので、他の方の質疑をも私は拝聴いたしたいと思います。
  16. 圓谷光衞

    圓谷委員 文部大臣にお伺いしますが、神戸に商船大学設置に関しましては、文部委員会といたしましては、満場一致をもつてこれが設置決定をし、さらに自由党政調会においても、党においても決定いたしました。また運輸省との交渉もうまく行きまして、二十七年度より設置するということは、文部大臣の回答によつてもわかるように、この前運輸大臣並びに文部大臣は、党議をもつて決定した以上は、自由党閣僚であるから、これは設置しなければならぬということを、この委員会で御答弁になつておるのであります。しかるに、その後予算措置において支障を来したのであります。この予算措置において、十二月の二十七日における最後の党の決定において、今村政務次官もよく御承知のはずであるし、委員長もそこに立ち会つてつたが、商船大学設置すること、予算措置その他については、文部大臣の責任においてこれを獲得するということであつたのであります。閣議において、調査費でありますか、準備費でありますか、わずか十万円ということになつたのでありまして、私ここに非常に遺憾の意を表することは、おそらくいまだかつて、これほどまで進んだものが、一大蔵大臣でありますか、あるいは閣議においてどなたが、この予算を十万円にして、本年度設置しないことにしたのであるか。おそらく文部大臣としては、あくまでこれは予算措置をとらなければならぬということをおつしやつたのでありましよう。しかしながら、他の閣僚から承りますと、大臣としては、科学研究費、これまた重要でしようが、これだけ委員会熱意を持ち、また党もあげてこれを設置するという場合に、どれだけの熱意を持つて文部大臣がこの場合これを支持されたか、私はここに非常に遺憾の意を表するのであります。もしそれこういうことであるならば、文部委員会というものの必要もなければ、党の政調会も必要ないじやないか、私はこれまで考えます。私初め文部大臣に承りましたときには、また党議においても、新しい大学は多少今後再検討の必要がある。よつてこの商船大学設置については、多少の疑義を文部大臣が持つていたごとく推察いたします。しかしわが党の、またこの委員会の多数が、国策上商船大学はすみやかに設置しなければならぬということに決定した。輿論によつて政治は行われるのでありますので、これはどうしてもつくらなければならぬということで、ここまで推進いたしたのであります。閣議においての内容を、文部大臣にここにおいて話をしろということは、無理でありましようが、どの程度——これは池田大蔵大臣が一個の考えをもつて、この予算はいけないと言つたのか、文部大臣はあくまでこれは設置しなければならぬという意思を持つてやられたのか、その一点をまずお聞きしたいと思います。
  17. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、初めは、今は大学を増設するということは、非常に困難なことだというふうな考えを抱いておりました。けれども、この文部委員会が、あげてこれが設置が必要だということであるから、その趣旨をどこまでも尊重して、これを設置しようとしました。そして予算にも計上したことは御承知通りであります。そして事務当局をして、幾度もこれを大蔵省交渉させたということも事実でございます。そういうようにして設置しよとしたのですけれども国家財政都合上できぬということであるから、私はいたし方なく引下つたわけでございます。
  18. 圓谷光衞

    圓谷委員 国家財政上いたし方がないと言われるが、これは大蔵大臣にお伺いしなければわからぬことでありますが、国家予算からすれば、私はわずかと思います。二千数百万円。この二千数百万円を、国民の意思を代表するわれわれが決定したときに、それをとれないというのは私は納得できない。文部大臣は真に熱意を持つてこれをやるという考えが、私はおそらくなかつたのではないか、こういう考えを持つのです。何ゆえにこれほどまで進んだものを、委員会を無視し、——そうして文部大臣の今の答弁から言うと、国家財政上しかたがない、だからあきらめたというような話ですが、私はこの点については、文部大臣もそうであつたろうし、また稻田大学局長——おそらく局長最初からこの学校設置する意思がなかつたのではないかと思う。そう思うことは、小委員会の際において、私に、失言だか知りませんが——言葉の行き違いだと私は思いますが、そんな学校設置しません、こうはつきりおつしやつたことがある。それは置けない、置くことができないという意味だと、あとでわかつたのでありますが、初めから文部当局熱意がなかつたのではないかと私は思うがいかがですか、局長の御答弁を願いたい。
  19. 稻田清助

    稻田政委員 先ほど来文部大臣からお答え申し上げておりますように、文部省といたしましては、全機能をあげまして、この予算折衝の問題につきましては、旧臘以来尽力いたして参つたのであります。その究極におきまして成立いたしませんことにつきましては、非常に遺憾に考えておる次第でございます。ただいまの言葉の問題につきましては、もうすでに御了解いただいたかと思いまして繰返しません。どうぞ御了承願いたいと思います。
  20. 圓谷光衞

    圓谷委員 それでは二十七年度から、今からでも遅くないのですから、設置するというお考えでありますならば、先ほど若林委員のおつしやつたように、予備費か何かから、二千数百万、あるいは大学の総予算からでもこれをやることができるかどうか、それをひとつ承りたい。
  21. 稻田清助

    稻田政委員 今日明年度予算に計上いたしておりまする二百五億の経費は、各大学維持存続に必要な、私どもから考えますならば、ぎりぎり程度経費でございますので、これをさきまして、別に非常に大きな理想を掲げまして、十分な内容盛つて建てなければならぬ大学に充てるだけの経費は、このうちからはさき得ないものだと考えております。
  22. 圓谷光衞

    圓谷委員 大学設備費としてさくことはできないかもしれませんが、定員の問題はできると私は思います。つまりそこに教授の配置ができるならば、設備費地方負担においては一億五千万円程度は支出するということを言つておるのでありますから、その程度はできますか。
  23. 稻田清助

    稻田政委員 各国立大学別経常費を積算いたしておりまして、各大学定員は、重々御賢察の通り、今日の新制大学教育といたしましては、決して余裕のある定員でございません。従いまして、各大学から定員を他に融通するということは、その大学教育あるいは研究の運営上非常に大きな支障を来すものとして、私どもはできない問題だと考えております。
  24. 圓谷光衞

    圓谷委員 当初において、本年度定員減の問題が起つたときに、大学においては何割かの、あるいは五分でありましたか幾らかの定員減計画をされ、国家方針によつて大学定員を減さなければならぬといつて、非常に局長は御心配になつたのです。ところが、これは定員は元通りになつたということであれば、その考えからしたら、定員融通がきくと私は思う。どうしても融通はきかないのですか。
  25. 稻田清助

    稻田政委員 前回国会において、慎重に御審議の結果御決定になりました今日の定員、これを基礎といたしまして明年度予算を編成いたしたわけでありますので、私どもといたしましては、その定員を動かすということは考え得られないことでございます。
  26. 圓谷光衞

    圓谷委員 先ほどの大臣の御答弁によりますと、準備費をとつた、二十八年度からは、今までの例によると必ず設置されるのだ、こういうことをおつしやつたのですが、補正予算その他において、今年度より発足するという処置は、予算がとれればできるのですか。
  27. 稻田清助

    稻田政委員 先ほど大臣は、教育上困難だと説明せられましたが、その意味につきまして考えますれば、第一に、学生募集というような点において、せつかく設立いたしました理想ある大学でございますから、優秀な学生を招致したいのはもとよりでございますが、こういう点から見ますれば、やはり一般の高等学校卒業の時期に接着する学年開始のどきが、最も適当な時期であるとも考えられますし、またあるいは教授組織設備等につきましても、相当余裕を得て準備いたしますことが適当でもあり、また大臣も申されましたように、設置審議会審査等手続もございますので、今日といたしましては、二十八年度りつぱな大学開設するように準備に力をいたしますことが適当かと考えておるような次第であります。
  28. 竹尾弌

    竹尾委員長 それでは首藤新八君。
  29. 首藤新八

    首藤委員 大臣が非常にお急ぎのようでありますから、大臣だけに御質問いたしたいと思います。  ただいままで同僚議員から、神戸商船大学の問題につきましては、それぞれ質疑応答があつたかと存じまするが、昨年末におきまして、この商船大学設置いたしまするために、しかもこれが国立であるにもかかわらず、国家財政都合上、地元から半額負担してもらいたいという大学局長の要請がありまして、当初におきましては、総額三億、半額地元負担ということでありました。これすらも、地元におきましては財政困難の場合、非常に苦痛があつたのでありまするが、しかしながら、国家現状、さらにまた自立経済現状等々から考えまして、この負担に応諾いたしたのであります。しかも十二月十四日でありましたか、地元当局文部省事務局との会議におきまして、三億が四億に増額された。従つて地元負担も一億五千万から二億に増額されたのであります。これがために、地元におきましては県会あるいは市会臨時に開会いたしまして、この地元負担承認を求めた。かくのごとく地元の方におきましては、財政きわめて困難であるにもかかわらず、これがために緊急の県会あるいは市会を開きまして、地元負担を応諾いたした。従つて当然地元がかくのごとく経費負担いたし、また熱意を表明いたしました以上は、文部当局において、必ずこれを昭和二十七年度予算に計上してもらうべく、あらゆる努力をいたしてくれるものと、われわれは確信いたしておつたのであります。しかるに結果的に見ますると、八千五百億の予算に対して、わずか十万円の準備金より計上されないというような驚くべき結果に陥つておるのでありまして、しかもこれは、われわれ仄聞するところによりますと、文部当局熱意がない、消極的態度に終始した、これがかようなみじめな結末に陥つた最大原因だということを承つておるのでありまして、きわめて遺憾である。この重要な産業教育、ことに海運が当面国策といたしまして最も重大に取上げられなければならぬ情勢から考えましても、文部当局としては、この問題に対しましては格段の熱意を持つて推進に当らなければならぬと考えておるにもかかわらず、かような消極的な態度をとつておる点から考えますと、国民との考え方に大きな開きがあるのではないか。要するに一般の輿論とそれから文部当局考え方に、大きな相違があるのではないかというふうに考えるのでありまするが、この点について大臣はいかにお考えになるか、御所見を承りたい。
  30. 天野貞祐

    天野国務大臣 文部当局としては、できるだけのことをいたしたと考えるのでございます。今の十万円というような金は、何も金額のことではなくして、いつでもそういうようにして準備金というものを入れて、そうして翌年度には必ずそれを成立させるというのが、今までの事例でございます。その場合における金額が何も問題でないということは、先ほどもお答えいたした通りでございまして、文部当局としては、自分らのできるだけのことをしたけれども、大蔵当局の入れるところとならなくて、これが成立しなかつたということでございます。
  31. 首藤新八

    首藤委員 先ほど圓谷同僚議員からも御質問がありましたが、大蔵当局承認せないということを、大臣は繰返し述べられておるようであります。しかしながら明年度の総予算は八千五百億であります。このうちで一億、しかも実質には一億を必要とせない、あるいは三千万円、五千万円で済むかとわれわれは了解しておるのでありますが、八千五百億円という巨額な予算の中から、しかもこの重要な産業教育をやりまするためのわずか一億円足らずの経費がとれないということは、われわれには常識上どうしても判断ができないのであります。従いまして、結論的に申し上げますれば、文部当局熱意がなかつたんじやないか。特にこの点につきましては、大学局長自体に熱意が乏しくなかつたか、これは自他ともにかような見解を持つておるのでありまして、この点最もわれわれの遺憾とするところであります。清水の大学におきましては、本年度の卒業生の三倍ないし四倍の要望があり、とうてい清水大学だけでは、当面の需要に応じ切れないということも、すでに大臣は御承知だと思います。他の大学に比較しまして——おそらく国立は七十、それから地方の府県に二百というような厖大な大学の数がありまして、しかも内容は必ずしも大学にふさわしくないというような大学も往々あると聞いておるのでありまするが、貿易の振興に不可分の商船大学、この学校に対しましてわずか一億の経費も出ないというところに、どうもわれわれの考え方と文部当局との間に、開きがあるんではないかというような気持がいたすのであります。従いまして、現在の情勢から見、さらにまた今日までの経過から見ましても、ここで多額の経費を必要とせないのでありますから、明年度からぜひ開校できるような推進を、大臣の方にしていただきたい、こう私は強く要望してやまぬのであります。これは文部当局においてほんとうにそういう御熱意がありますならば、わずか一億円内外の経費のやりくりというものは、必ずしも困難でないと考えまするが、大臣はいかにお考えになりますか、その点を伺いたい。
  32. 天野貞祐

    天野国務大臣 要するに金額でございますが、今年の予算というものが、いかにきびしい予算つたかということは、皆さんも御承知だろうと思うのです。千万円、二千万円のことでも、相当な理由をつけて他の閣僚などが主張されても、そういうものはみな切られてしまう、またそうしなければこの予算は成り立たないということで、初めからそういう方針でこの予算が組まれたために、成立しなかつたのであります。で、私どもは、二十七年度内にあらためてということは、先ほどから申した理由で、非常に困難である。むしろほかの大学がみんなそういう例なんで、今年言い出して今年ということは非常にむずかしいのですから、次の年度、二十八年度において十分用意をしてりつぱな大学をつくることが、望ましいのではないかという考えでございます。
  33. 松本七郎

    ○松本(七)委員 先ほど圓谷さんから言われた中に、重大な問題を含んでおるように思つたので、ちよつと大臣にお伺いしておきたいと思います。私どもこの問題については、せつかく地元負担県会並びに市会で決議しておられますし、二十七年度に至急やつてもらいたいという希望を持つておるのですが、先ほど圏谷さんも言われましたように、自由党政調会でもそういう決議をしたし、また党議としてもきまつた。しかも閣僚の中には、自分は政党出の閣僚であるから、当然これはやるんだというようなことも言われたそうでありまするが、しかるにもかかわらずこれができないというところに、私は重大な問題が含まれておるように思うのです。これは今まで占領下であつて、これから完全な独立になつたとしても、解決できない問題ではなかろうか。問題はやはり政党内閣の問題にもなりますし、いろいろな問題が含まれておる。天野さんは、政党にも所属されておりませんし、公正な立場から文部行政に当ることを信條にされておりますので、そういう重大な問題が、党議決定されながら実現できないで、こういう問題を引起すということは、一体どういうところに根本的な原因があるか、また解決策はどういうふうになすべきであると考えておられるか、公平な立場から閣僚になつておられる天野さんの御意見をお聞きしておきたいと思います。
  34. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はこの商船大学の問題が、この文部委員会全部によつて支持されておるというようなことで、成立する方がよいという考えを持つておるのであります。その他の場合においても、私は平生から、文部委員会というものが超党派的にきめたことに対しては、もつとそれが非常な重要性を持つて来てよいのだという考えを持つておるのであります。けれども、現在においてはそういうこともできない。党で全部おきめになつたということなら、それが成立しないということは——私は党員ではないのですから、党の大蔵大臣に向つて、そういうことを、もつと強く党の方として言つていただいたらいいんじやないかというふうに私は考えております。だから、そういう意味で、根本はどこにあるかと松本さんが言われるならば、それは日本財政の非常な困窮ということにあると思うのです。だから、本筋からいえば、当然成り立つべきものさえも、今日は切つて行かなければならぬというところに、私は非常に国家としての悩みがあると思うのです。すべて自分たち希望することが成立するというようなことは今日においてはでき得ない。そういう日本財政の非常な困難ということから、こういう事実が出ていると私は思つております。
  35. 松本七郎

    ○松本(七)委員 もう一つだけ伺つておきたいのですが、これは自由党で仮にそういう決定をされる場合には、当然日本財政の困窮ということを考慮の上で、きめられておることと思うのです。財政がずつとゆとりがあれば、問題はすべて解決できるのですから、これは当然なことです。財政のきゆうくつな場合に、こういうふうな問題は起るのです。そのときに、おそらく党でそういうあらゆる点を考慮されてきめたであろうことが、今度は政府当局によつて拒否されるという原因はどこにあろうかということを、私は探求したい。その点で、天野さんが何か感じておられれば、率直に伺つておきたい。
  36. 天野貞祐

    天野国務大臣 別に何も感じておりません。
  37. 浦口鉄男

    ○浦口委員 この際一つお伺いしておきたいと思います。神戸商船大学の設立の件につきましては、私も小委員の一人として、今日まで参つておりますので、その経過にいろいろのいきさつがあつたことは、この際は申し上げないことにいたします。ただ大臣にお尋ねしておきたいことは、ただいままでの同僚議員質疑に対してのいろいろな御意見を承つておりますと、文部予算も、国家財政の全体の影響を強く受けることは当然でございますし、大蔵当局がこれに承知をしなければ成立しないということも、よくわかるわけでありますが、世間ややともすると、文部省は、大蔵省に対して非常に弱いということが言われておるわけであります。たとえば、過般の産業教育振興法についても、そういう感じを強くわれわれは持ちました。また六・三制の建築その他についても、事ごとにそういう感じを持ちます。これは私としては非常に察し過ぎる論かとも考えられるわけでありますが、聞くところによりますと、国会が民主国会になつて委員会の一致した意見としてどんどん法律案が出て来るが、法律の執行面である政府としては、納得の行かない法律がたくさん出て来る、また無理な法律が出て来るというふうなことから、このままで行くならば行政府が非常に困難な立場に立つので、憲法を改正して、立法府の立法した法律に対する行政府の拒否権をつくるべきだというふうな意見も、一部に出ておるということを聞いておるのであります。そういうことが非常に行き過ぎた論であることも一応考えられますが、結局は大蔵  当局が非常に強い権限を持つておるということを、われわれは事ごとに非常に強く感ずるのであります。各省とも、非常に重大な予算を提出しておるのに、相当の理由のある予算もみな削られるということを、文部大臣はおつしやつておりますが、少くとも、文部予算はそれに先がけて、より強くこれを通すべきではないかということを考えるのであります。従つて予算折衝の過程において、大蔵省の出方によつては、今までのようにただ強く要求するということだけでは、いけないのではないか。何かここに文部省として行政府の面に、教育というものをもう少し強く基本的に打出さなければ——努力した、あるいはがんばつたというだけでは、文部省予算というものがいつもあとまわしになるという感じを受けるのでございますが、そういう基本的なことについて、この際大臣の今後に対する御意見を承つてみたいと思います。
  38. 天野貞祐

    天野国務大臣 それらの点については、まだいろいろ研究を要するものがあるかと私も思つておりますが、今さしあたつて、具体的にこういうことをこうということは、今私は申し述べるだけに考えがまとまつておりません。     —————————————
  39. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に文部行政に関する件について質疑を許します。松本七郎君。
  40. 松本七郎

    ○松本(七)委員 お忙しいところなんですが、もう一つつておきたい。最近行政協定の進展に伴いまして、東京の中央区の月島第三小学校、それから京橋の商業高等学校、それから明石小学校等の接収返還の要望が非常に起つて来ておるようですが、これに対する政府あるいは文部当局方針、それからその見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  41. 天野貞祐

    天野国務大臣 そのことは、私も心配いたしておることでございまして、岡崎国務大臣に、ぜひ早く解除してもらいたい、そういうような折衝をやつてもらいたいということをお願いしているわけであります。けれども、岡崎国務大臣からは、いついつまでというような御返事はないので、私はここでいつまでと言うことはできませんけれども、岡崎さんに強くお願いをしているということを、御了承いただきたいと思います。
  42. 渡部義通

    ○渡部委員 松本君からの質問の問題は、私の方にも非常に多く陳情して来ているわけであります。この問題は、二つの條約ができて、日本が独立するというようなことが宣伝されておつて、しかも独立するものとすれば、当然占領軍あるいは連合軍によつて接収されているものが返されなくてはならぬ。しかもそれは大きなホテルとか、レクリエーシヨン関係のものとか、そういう施設は返されるという予定であるが、学校関係は一般にどうなるのかという、この根本問題にかかわつて来ると思うのです。そこで学校問題は一体どうなるのか、この点についての現在の考え方はどうなんですか。
  43. 天野貞祐

    天野国務大臣 当然返さるべきものと思つております。けれども、理論的に当然返さるべきものですが、しかし一、二の例外として、今すぐといつては無理かと思うようなものがあり得るかもしれません。一般的にいえば、当然返さるべきものと思つております。
  44. 渡部義通

    ○渡部委員 同様の問題が、大阪商大にも起きております。大阪商大は一九四五年に占領されてから、転々として各小学校等の校舎に移つて授業しなければならぬ状態にある。現在大阪商大は、七箇所の小学校等で、分校的な形で開議しているわけですが、それ自身が非常に不便であるので、一昨年から大阪商大の学長初め全教授、全学生が、この返還を求めて市民に対しても呼びかけ、一昨年は七万人の署名さえもとつておる。昨年も三万五千ほどの署名をとつておる。市当局等も、これを支援しまして、総司令部にかけ合つたところが、返さない。従つて、大阪大学では、これを非常に大きな問題として取上げているばかりでなく、市民の間でも、非常に大きな問題として取上げているのですが、当局はこういう情報を持つておられるのか、またこれに対してどういう処置をとられたか、あるいはとろうとしておられるのかという点をお尋ねいたします。
  45. 天野貞祐

    天野国務大臣 その事情は、よく存じております。そしてこれは文部省の直接のことでございませんが、私どもの方は、間接にそれを援助することを努めております。
  46. 佐藤重遠

    ○佐藤重遠君 簡単に結論的な点をもつて大臣に御質問いたします。昭和二十四年の四月二十二日、本委員会で私が紹介者として説明いたしました請願があつたのであります。それは東京大学の加藤常賢氏以下二十名の名をもつてされた請願であります。内容は、新制高等学校の教科課程の中の国語という部分が表示されてありまするが、それをさらに二つにわけて、国語並びに漢文となつております。その国語という部分は必修科目になつておりましたが、漢文という部分はそのしるしがしてない。そういう関係からいたしまして、漢文に対する当局の扱い方がたいへん軽く扱われておる。そのためにいろいろな国語教育上に支障を来しておる。ことに日本人としての精神面の指導訓練に支障を来しておる、それを何とか是正したいものだ、つまり漢文教育を相当程度取入れてもらいたいというのがその趣旨でありました。  当委員会は、当時一致をもつてこれを採択したのであります。それはちようど終戦後四箇年のことであつたのでありますが、それがさらに問題になつたのが今日なのであります。その間に私ども経験したところによりますると、いよいよ当時の文部委員会において採択した理由が裏づけされた。このまま放置しておいてはいかぬ、なぜ文部当局は、この委員会が採択し、また国会が認めたものを早く実施しなかつたのか、こうたいへん遺憾に思つておるのであります。政府委員の事務次官日高君、当時は学校教育局長でありましたが、その御説明によりますると、国語教育の主眼点は、読むこと、書くこと、つくること、話すこと、この四つをできるだけ総合的に養うことを目標としてやつておるのであるけれども、現段階においては、どうも漢文を専門にやられた人の意見に、ただちに同調するわけに行かぬ、こういう意味の御答弁であつたのであります。しかしながら、その後足かけ四箇年の今日の実績から、われわれが見たところによりますると、どうしてもこのままではいかぬ、ぜひとも至急に漢文を必修科目にして、完全な日本の国語として消化し、日常生活に十分に取入れるように指導しなければいかぬ、こういうことを痛感するわけであります。読むこと、書くこと、つくること、話すことの四つは、国語教育の大事な点に違いございません。けれども、今日新しい大学生の諸君の文章を見ましても、高等学校の生徒はもちろんでありますが、非常に表現の仕方がまずい、また読む力もたいへん低下しておる。ことに話すことに至りましては、非常に冗長に流れ、どうもいかぬ。結局その原因は、以前の漢文を相当重要視しておつた教育をよしたからだ。端的にいえば、何でもかんでも外国のまねをする、アメリカ式の教育を日本人にしいた結果である、私どもはこう認めざるを得ないのであります。すでに四箇年たつておるのでありますが、こんなことをいつまでもぐずぐずしておつたならば、私どもの憂えておる日本人の国語のほんとうの教育、ことにその言葉から得る精神教育、そういう方面がいよいよ変なふうにだらけてしまう。どうしてもこれは何とか至急に対策を実施してもらいたい。これは単なる漢文専門家の意見ではないので、私ども痛切にその点を考えておるのであります。大臣は、自由なお立場においでになるし、ことに教育については第一人者でありますから、ひとつこの際断固たる御決意をもつて、当委員会また国会の、いわゆる漢文専門家の意見にあらざる国民の声としての漢文教育の復活について、勇敢にこれを実行に移していただきたいと思うのですが、どういうお考えを持つておいでになるか、御答弁を願つておきたいと思います。
  47. 天野貞祐

    天野国務大臣 今のお説に対しましては、私も非常に同感するところが多うございます。実際問題として、これをどう扱うかということは、よくこれを研究させてみたいと思います。
  48. 佐藤重遠

    ○佐藤重遠君 研究はもう済んでおると思う。どうもすぐ研究々々と言うけれども、今ごろから研究するというのでは、国会決定した意味がなくなつてしまう。研究は済んでおります。どうぞ国会意思を尊重されまして、ただちに実行に入つていただくことを切に希望いたしまして質問を打切ります。
  49. 小林進

    小林(進)委員 文部大臣にお伺いしたいのですが、この前本会議で、警察予備隊と軍隊との定義について、文部大臣の御答弁があつたそうでございますが、私ちようど予算委員会に出ておのまして、不幸にして承らなかつたのであります。承るところによれば、警察予備隊と軍隊との定義については、装備によつて区別するのは間違いで、機能によつて区別するのが至当であるというふうな御答弁であつたかのごとくであります。私は、やはり警察と軍隊とは、装備、機能両方の面から区別しなくてはならないと思つておるのであります。現在のわが日本の警察予備隊は、御承知のようにバズーカ砲を持つたり、機関銃を持つたり、あるいは高射砲を持つたりしておる。装備の点においては、まつたく警察と趣を異にして、これは軍隊であると信ずるのであります。装備によつて区別できないとおつしやるならば、しからば機能の点はどうか、機能は警察と同じであるかという問題になるのでありますが、これについては私自身が言うことよりも、直接の統帥者である増原長官が、この機能の問題については、警察予備隊は警察本来の仕事はしないのだ、指揮命令の系統を持つた集団の騒動が起つたときに出かけて、これに対抗するのだ、こういうふうに明らかに言明しております。私はこの点においても、警察予備隊は警察ではないと思うのであります。また対外国関係におきましても、アメリカのごときは、すでにポ政令によつて日本はリトル・アーミー——小軍隊を許したと言つておる。決して警察予備隊とは訳しておりません。ソ連もまた、日本の警察予備隊を自衛軍と称し、濠州もサンフランシスコ会議において、警察予備隊をもつて、日本の自衛軍の創設であるというふうに承認しておる。日本国内のみならず、世界各国がことごとくこのような論調であるにもかかわらず、どうしてこれを軍隊にあらず、警察予備隊と定義づけられるのか。私はこの問題についていま一度文部大臣の明確な御返答を願いたいと思います。私は謙譲な気持でお願い申し上げておるのであります。
  50. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、ここは文部委員会であつて、自分の所管の問題が山積していると思うのであります。他の所管のことまで私が口を出すことは、その所管大臣にも御迷惑の行くおそれもありますから、私はそれは答弁しない方が適当だと思つて委員長のおさしずによろうと思つております。
  51. 竹尾弌

    竹尾委員長 次に浦口鉄男君。
  52. 浦口鉄男

    ○浦口委員 国立近代美術館についてお尋ねをしておきます。聞くところによりますと、京橋の日活会館が、文部省との間に八千三百万円で国立近代美術館としての機能を果すために売約ができた、こういうふうにお聞きしておりますが、まずその経過を、大臣がお知りの点をお聞きかせ願いたいと思います。
  53. 天野貞祐

    天野国務大臣 これは浦口さん、局長にそのうち詳しく説明さしてはいかがでございましようか、私が申してもごく大体のことしか話せません。     —————————————
  54. 竹尾弌

    竹尾委員長 それでは、次に昭和二十七年度文部省関係予算につきまして、前会に引続き質疑があれば、これを許します。
  55. 渡部義通

    ○渡部委員 実は大臣に根本的な点から質問するつもりであつたけれども、きようは大臣がおらないので、次の機会に大臣に対する質問はするこことして、予算関係の部分的なことについてお聞きしたいと思うのです。この前大体各項目についてはお聞きしたわけであるが、追加的に二、三の点だけを聞いておきます。  第一に、授業料の問題ですが、現在授業料の値上げ問題が起きておる。これに対して全国の国立大学学生が、反対運動を起しておる。授業料の値上げの問題は、一体どういうふうな見地からなされるのか。現在学生たちは、その家族が今日の政治のやり方の結果として、一般的に非常に窮乏の状態に陥つているのであつて学生の側からいえば、今日の授業料を納めることさえ非常に困難になつて来ておる。といつて、他方ではアルバイトさえもできないというような状態に置かれておる。こういうときに授業料を値上げするということは、結局これらの学生に、もはや学業をやめてしまえと言うことと同じ結果になるわけであります。それで、なぜ授業料を値上げするのか、国立大学学生が、今いつたような窮乏状態に置かれておる場合に、授業料を値上げする根拠が一体どこにあるのか、これをまず聞きたい。
  56. 今村忠助

    今村政府委員 お答えします。国立学校関係の生徒の月謝値上げという問題は、一般物価のいろいろ上つて来たのと比較いたしまして、概して安かつたと思れれるのでございます。これを国家負担するとすれば、どうしても税金に求めなければならぬというような点もありますので、これらを勘案して、適当と思われる額に上げたのであります。
  57. 渡部義通

    ○渡部委員 国立学校を維持する場合に、重要なことは、国家国立学校を維持でき得る状態に置くための国庫負担をするということが原則的であるのであつて、今申し上げたように、学生は家庭そのものが非常に窮乏状態にあるばかりでなく、アルバイトの道もとざされておるというような状態のもとで、授業料を値上げする法はないと私は考える。国立学校に対して、十分に運営をやつて行くだけの国費を国家が出すことができない状態に置かれておつて、その部分を学生負担させるということになるのである。先ほど商船学校のときにも、予算がないというようなことが盛んに問題になりましたけれども予算がないのではなくしで、これらの予算の大部分を、言いかえるならば、税金の大部分を軍事的な方面に用いているというところに、根本の原因があるわけであります。先ほどからの論争を聞いても、自由党の諸君が、商船大学を創設することに非常に熱意を持つている。これは確かにいいことであつて、その点においては文部当局の弱腰を責めておるという点は確かなんだけれども、その予算の編成の場合に、単に予算があるとかないとかいうのではなくて、どの部分に予算が多くまわされておるかということに、根本の問題があるわけである。その根本の問題についてはつかれてなかつた。しかも、この授業料価上げの問題も、まつたく同様であつて国立大学を維持して行く限りは、政府は当然国立大学がその運営に必要なだけの予算を組むべきであるが、その予算を軍事費等に大部分がとられてしまつているので組めなかつたのだ。その組めなかつた負担を、今日ますます窮乏の状態に陥つている学生に肩がわりさせて行くという結果になるのであつて学生緒君としては、当然これは払えないし、また承認できないのだという立場から、大きな運動を起しているわけなんです。われわれは、こういう立場から文部当局考えて、この値上げをしないという方針をとるべきであるということを強調したいと思うが、見解を聞いておきたい。
  58. 今村忠助

    今村政府委員 先ほど申した通り国立大学の月謝が、私立ではありますけれども、幼稚園の月謝より安い状態であるというような一事実を指摘いたしましても、ある程度これを負担してもらつて国家のこの窮乏時代に、ともに苦難をわけてもらうというこの精神は、大学学生においても、十分持つていただかなければならぬと思うのであります。  次に、国家予算が文教費方面について不十分だというような御見解であります。もとよりわれわれ十分とは思いませんが、その基礎をなすお考えにおいて、見解の相違があるのではないかという気がいたすのでありまして、これについては、お答えしかねるのであります。
  59. 渡部義通

    ○渡部委員 国立学校の授業料が値上げになるならば、当然公立学校の授業料の値上げに発展せざるを得ないのです。そういう必然性を持つている。従つて、授業料が非常に高められるけれども、言いかえれば、授業料の形で、実は国民が非常に困つているときに取立てられた税金が別の方にまわされてしまつて——軍事費等にまわされてしまつて学校の運営上にまわらないという結果でありますから、国立学校だけではなくて、公立学校全体もまた同じよう負担をその父兄が負わなければならない。ところが、父兄は自分 の子供たち教育については、PTAの動きに見るように、非常に熱心である。しかし、父兄は決して自分たちの子供の教育費が、警察予備隊や日本に軍隊をつくつて、その子供たちが、言いかえれは、子弟が外国の戦争のために肉弾として持つて行かれるというようなことに対しては、どこの父兄も一人も賛成しておりません。聞いてごらんなさい、どこへ行つて聞いても、父兄は、自分の子供たちが、侵略戦争のために動員され、肉弾にされて行くということに対しては、絶対に反対をしている。そうして日本に軍事基地ができて——月島の学校がすでにそうである。その軍事基地のために、月島の学校には今外国の軍隊が入つているわけであるが、その学校さえも奪われておるという状態、こういうことに対しては、みんな反対しております。言いかえれば、日本の再軍備ということに反対し、日本に軍事基地が持たれるということに対しては、日本国民の大部分が反対しておる。こういうふうなことに大部分の金が用いられて、そうして自分の子供たち教育という面からほとんど削られておるという証拠は、文部予算のすべての面に徹底的に表われておるわけです。こういうことに国民が反対しているときに、あなたの方では考えが違うとおつしやるけれども、こういうところに、文部予算全体ばかりでなくて、授業料の値上げの問題も実はあるわけなんです。これを真剣に考えて、われわれの同胞が十分に教育ができ、また負担に耐えて、この教育機関の中でみずからを成長させて行くことができる條件をつくり出してやることが、今日むしろ重要であるばかりでなくて、全国民の要望であるわけなんです。従つて、授業料値上げということは中止すべきであるし、そこから出て来るところの学校経営の困難があるとすれば、これは国民が要望する教育ためであるからして、軍事費等からさいて、この方向に向けらるべきであると。私たち考えているわけなんです。私たち考えているだけでなくて、学生全体がそういう立場から各党派に対して請願書や、あるいは陳情書を出していることは御存じでありましよう。だから、ぜひとも授業料値上げということを中止するというふうな立場からやつて行かれることを要望せざるを得ないし、はつきりした見解をひとつお聞きしたい。
  60. 今村忠助

    今村政府委員 先ほども申した通りに、国立大学の月謝値上げは、いろいろの物価ということを勘案しておりますけれども、私立やあるいはまた公立の学校に比較してもはなはだ安きに過ぎておる。むしろ私立や公立の方は、相当の額に上つておるのであります。これらから勘案して、当然かような額がよかろうということできめたものでありまして、おそらく国立大学学生も、それらの事実をよく見ていただければ、至当なものである、いな、むしろまだ安きに過ぎておるような感じさえしていただけるのではないかと思うのであります。  その他の、先ほど申す文教費が他の方面にまわされたであろうかどうかということについては、これはいろいろな点から研究してみなければならぬことでありますが、少くとも世界情勢がいろいろ日本に要求しておるのだということをお考え願いたい。ことにいゆわる朝鮮における共産主義的な侵略的行為というようなものが、大きくそれに影響しておるということは、ひとつお考え願いたいと思う。
  61. 渡部義通

    ○渡部委員 政治的な面についての、そういう形での論争になるとすれば、私はあなたの言われたことが全然でたらめである、デマである、また世界情勢にも実際上は通じていないのだということを証明する材料は幾らでもあります。しかし、そういうことは一応別  として、現実の問題として、日本の税金の大部分が、六割以上が直接的な軍事費、あるいは軍事費的な意義を十分に持つような経費にまわされておつて、その他の国内の日本の産業、文化を発展せしめるところの経費というものがほとんど削られてしまつているという事実、この事案だけは、これはおおうことができません。これは数字の上に現われている。私はその点を言つているのであつて、そういう意味で、国費の大部分が軍事費にまわされているというような政治的な方向を打切らなければ、教育行政は成り立つて行かないというところまで推し込められている。問題はその二つの線のどちらをとるか、日本に軍事基地をどんどんつくり、日本に軍隊をつくつて、日本の国民がアメリカの戦争のために肉弾にされるというような線をとるのか、日本自身の産業や、民族文化というものをほんとうに発展させるため教育的な基礎をつくつて行くのか、そのどちらをとるかという二つの点にわかれているわけなんです。一体あなたはどちらの方向をとろうとされておるのか、ここから問題が出て来る……(「総理大臣に聞け」と呼ぶ者あり)これは総理大臣に聞くのじやないけれども、あなたがそういう議論をされたから、一体どちらの見地から問題を取上げられようとするのか、ひとつ聞いておきたい。
  62. 今村忠助

    今村政府委員 いろいろ御議論を承りましたが、主観の相違であります。宣伝的な言辞に対してのお答えはできません。
  63. 竹尾弌

    竹尾委員長 ほかに文部予算に関する質疑はございませんか。
  64. 小林進

    小林(進)委員 それでは予算の問題についてお伺いします。六・三制の問題について、昭和二十八年度もあらためてこれを要求せられる御意向がありやいなや、まず伺つておきたいと思います。
  65. 今村忠助

    今村政府委員 私、大蔵大臣予算折衝した経過的なものから申し上げますと、一応本年度計上したもので、六・三制の施設に対するものは完成するという考えであつた。けれども、実際いろいろの点を調査すると、またその後にできたもの、あるいは数字上、財政上というような点において考慮すべきものもあるから、将来においても多少考慮するということであります。
  66. 小林進

    小林(進)委員 昨日の参議院でありますが、本会議委員会で、文部大臣は、二十三億ばかり六・三制に対して不足であるから、二十八年度は当然これを要求するというように、新聞紙の報道でありますが、確信持つた答弁をされているようであります。この大臣の御答弁と次官の御答弁に、若干食い違いがあるようですが、この点いま一度お伺いします。
  67. 今村忠助

    今村政府委員 食い違いはございません。大蔵大臣の方は、一応本年度において完成するつもりで考えておつたが、いろいろの落ちこぼれがあるから考慮するというので、文部省の方からすると、その落ちこぼれが二十三億ぐらになるという大臣の御意見であつたと私は思うのです。
  68. 小林進

    小林(進)委員 この問題は、文部省としても確信を持つて、来年度は要求していただきたいと思います。これは私は強い希望を申し述べまして、この問題をおしまいにしたいと思います。いま一つの問題は、この前も私は事務当局にお伺いいたしたのでありますけれども、積雪寒冷地帯における屋内体操場の問題に対する文部当局並びに大蔵当局熱意が足りないということを、私どもは痛感いたしておるのであります。この前はいろいろ事務的折衝の経過を承りました。概算四十億の必要量の四分の一を請求して、それをまた十分の一に減らされて、結局一億足らずの金額に終つたという事務的折衝のお話だけは承つたのでありますが、こういうことではわれわれとうてい承服し得ないのであります。現在一道十七県の府県知事を主体として、教育長等があげて猛烈なる運動を展開いたしておるのでありまするが、これに対して文部当局はいかような方針を立てて善処せられるか、その熱意の度合いを承つておきたいと思うのであります。
  69. 今村忠助

    今村政府委員 小林委員の仰せられる通りでありまして、屋内体操場の設置ということの必要さについては、われわれも同様考えております。ことに寒冷地出身の議員として、私も運動した一人であります。ただ順序といたしまして、教室のある程度の完備をまちつつ、いわゆる屋内体操場等を施設して行く、こういう多少順序に相違があつたかと思いますが、本年度におきましても今申す九千八百万円ほどのものが計上されましたし、次年度においてもこの額はふえるよう、もとより努力するつもりでおります。
  70. 竹尾弌

    竹尾委員長 小林君に申し上げますが、まだたくさんございますから、なるべく簡単にひとつお願いいたします。
  71. 小林進

    小林(進)委員 われらの尊敬する委員長から、特に簡単にというお言葉がありましたので、委員長の御指示に従いまして簡単にしたいと思うのでありますが、現在私が申し上げているこの具体化している運動であります。一道十七県の連中が、おそらく文部省にも、私はこういう対策委員会を設けてしばしば参つたと思う。この運動をいかように具体的にお取上げになる御意向かということを承つておきます。これを傍観視されるのか、何か取上げて適当なる措置を打たれる具体策があるのか、これを私は承りたいのであります。
  72. 今村忠助

    今村政府委員 先ほどお答えしたことで十分と思いますが、文部省としては、この必要は十分認めております。ただ予算等の処置が十分できなかつたというのでありまして、今後において、できるだけいろいろの点から努力いたします。
  73. 竹尾弌

    竹尾委員長 小林信一君。
  74. 小林信一

    小林(信)委員 あらかじめ委員長にお願いいたしますが、せつかく文部大臣が出て来たのに、他の委員会の方へとられてしまうということは、非常に委員長の権威を失墜するものであります。おそらく私だけでなく、各委員とも文部大臣に聞きたいことがたくさんあると思うのであります。簡単に商船大学の問題だけで、きようは終つたようでありますが、なるべく早い機会に、ゆつくり質問する機会を与えてもらいたいと思います。
  75. 竹尾弌

    竹尾委員長 承知しました。
  76. 小林信一

    小林(信)委員 そうしませんと、せつかく名委員長の権威が保たれないと思いますから、御忠告申し上げます。  質問したいことがたくさんあるのでありますが、やはりきようは午前中で切り上げる予定ですか。
  77. 竹尾弌

    竹尾委員長 それはあとから御相談申し上げたいと思いますが、午後はちよつと委員室の部屋の問題があるそうで、はつきりいたしませんのですが……。
  78. 小林信一

    小林(信)委員 それでは簡単に質問いたしないと思います。  大学の整理統合の問題です、これがなかなか地方ではうまく行つておらぬようですが、これに対して大学局長として、何か来年度に対してお考えを持つておられる点があつたら、お聞きしたい。
  79. 稻田清助

    稻田政委員 先般大学設置審議会の特別委員会におきまして、御承知のように各国立大学別教育の観点あるいは財政の観点からいたしまして、将来整理統合いたすべき計画を答申せられたわけでございまして、文部省としても、その線に沿うて将来の計画を樹立いたすわけでございますが、もとよりそれをただちに実現いたすといたしますれば、非常に厖大な施設費を要するわけであります。財政の状況、また地元の御寄与ないし地元の御意見等を伺いながら、漸次その線に沿うて進んで行きたい。それにつきまして、明年度予算といたしましては、文教施設費十三億がございますが、これの使用につきましては、おおよそその線に沿う  て充実するということで、その歩を進めて参りたいと考えております。
  80. 小林信一

    小林(信)委員 そのことで、最近地方で伺つたのですが、文部省の意図通り地元財政的な負担をして早くやらないと、その大学を廃校にするというような意見を、文部省が漏らしたことがありますか。
  81. 稻田清助

    稻田政委員 私の関知する限り、さような事実はございません。
  82. 小林信一

    小林(信)委員 おそらくそうであろうと思うのですが、地元学校当局の責任上から、それらしいことを言つて地元なり、あるいは地方——県、市ですね、こういうふうなものに、あなたたちが見てくれなければ、この学校は廃止になるかもしれぬというようなことを言つて地元あたりの財政負担を強要するような傾向があるように承るのです。一応学校当事者とすれば、私は同情申し上げるような気持もありますが、しかし、文部省でそういうことを言つておらないにもかかわらず、そういうふうなことを言つて地元の方たちの協力をあえて求めるというような形がとられるということは、やはり文部当局において相当関心を持つてやらなければならぬ点ではないかと思うのです。地方財政は、御承知通り協力問題ではあまり負担が多過ぎるというようなことで、苦情を言つておるときなんです。しかし、一県からせつかく設置された大学が除かれるということは、これは重大問題であります。また苦しい財政の中からも、あえて出さなければならぬというような考えさえ持つのでありますが、こういう点はよく御指導を願うとともに、なるべくこういう点に対しては今後相当な御努力を願つて財政的な裏づけをしていただくように、私はお願いしなければならぬ点だと思うのであります。地方の方たちは、大分この点を心配しております。  それからもう一つお伺いいたしますが、先ほど小林君からお話があつた校舎建築の問題であります。次官が、来年度についても、さらに文部省としては大蔵省に確約をとつておるというようなお話ですが、単に本予算の問題だけでなく、その犠牲になつておられる小学校の方の老朽校舎の問題、これらも今非常に重大な危機にあるのです。文部省当局としては、どういうふうにお考えになつておるか。その中で、ことに私が御考慮願いたいのは、新制中学校を建てた場合に——それがまだ財源的な裏づけ、国庫の補助がなかつた場合に、制度の方はどんどん実施されておつたために、しかも非常な老朽校舎で、新しい制度を実施するのには不可能な状態にあつたという学校が、やむを得ず認証外工事で、全部地元負担で校舎を建築して行つた従つてそういう学校は、早急にまた小学校の方の校舎の建築の必要に迫まられて来る。そこで文部省あるいは教育庁あたりで、私たちの新制中学校は全然国庫の恩典にあずからなかつた、またそういうやむを得ない事情にあつたのだ。ところが、ごらんの通り学校はもう腐朽してしまつて、どうしても改築しなければならぬ。だからほかの新制中学校が補助金をもらつたのだから、どうかその小学校の方へ、せめて新制中学校を建てた分の補助金を出してもら  いたい、こういうような切実な声を聞くことが多々あるのですが、こういう問題について、文部省の御意向を承りたいのです。要するに、来年度は六・三予算の中で、単に新制中学校の分だけでなく、そういう認証外の問題をどういうようにするお考えでおられるか、それから小学校の方の老朽校舎のことについては、文部省は今後国庫としてこれを補助して行く考えか。これは従来の建前からして、地方負担でもつてやるならやるのだ、国家では関知しないというような御方針で行かれるのか、この三つの点についてお伺いいたします。
  83. 今村忠助

    今村政府委員 小林委員の仰せられるところは、一々ごもつともと思います。第一、大学等の整備と関連して、これが充実という点については、ことに私学においては、私学振興に関する経費も、十分ではありませんでしたが、実現することができました。また老朽校舎の改築というようなことにつきましても、起債の面については、十五億に削減というのを、本年度は二十億にするというように努力いたしております。もとよりこれらのことが十分ではありません。国家総体の予算から見ても、文教費に関するものは、日本復興の基礎は文教の振興にあるという、現内閣としても三つの政策の一つにあげまして努力しておるのでありまして、ただその点が希望する額に達しておらぬということは事実であります。これらのことは、今後なお努力いたしまして実現には努めますが、一応現下のわが国財政の実情等も勘案いたさなければならぬ点のあることも、御了承いただきたいのであります。
  84. 小林信一

    小林(信)委員 基本的な御答弁については、重々承つておりまして、その基本的なものが国家財政の見地からして、また現在の世界情勢という大きな見地からして実現できないのは残念だ、こういうことはいつも聞く御答弁でありまして、私はもつと砕いてお聞きしたわけです。要するに来年度校舎建築費は、さらに大蔵省の確約をとつて、継続するということを、この際言明をされたわけなんですが、しかし単に校舎建築という大きな言葉でなくて、小学校の老朽校舎を、政府は国庫の援助によつて改築なり修築なりをされるかどうか。それから認証外で新制中学校を建てた学校に対しては、その学校は当然小学校の方を改築しなければならぬという、そういう実情にある  のですから、地方としては必要に迫られておる。そういうものに対して、何らか考慮するかというふうな点についてお聞きしているわけです。もつとも次官でなくて専門の方がおいでになりましたら、その方からでもけつこうです。
  85. 今村忠助

    今村政府委員 先ほどお答えした中で、その点に触れておいたと思うのでありますが、その前の御質問のときにも申した通り、六・三制の本年度予算は、大蔵大臣としてはこれで一応完成という立場で見たのだけれども、なお落ちこぼれ等については、将来に考慮するということを言明しております。従つて文部省としては、来年度予算——年度でありますが、次年度予算にこれらの点を計上することを一応考えております。   次に老朽校舎につきましては、何か根本対策をしなければならぬというの、わが文部省におきましても考えておりますが、さしあたつては十五億の起債を二十億にいたしたいという努力をいたしております。これらから一応御質問の点、御判断願えると思うのであります。     —————————————
  86. 竹尾弌

    竹尾委員長 ただいま議題となつておりまする文部予算に関しましては、一時これを中止いたしまして、日程を追加し、文部行政一般に関する件を議題といたし、質疑がありますればこれを許します。
  87. 若林義孝

    若林委員 先ほど大臣がおいでのときに、月島第三小学校、京橋商業高等学校の件につきまして、松本委員より御発言があつたのであります。今、特別調達庁から御関係の方がおいでになつておりますから、いま一応繰返して伺つてみたいと思います。  月島第三、京橋商業高等学校の校舎は、終戦と同時にこれを接収せられたのでありまして、一昨年の六月を前後といたしまして一応解除になり、元の通り学校へ返すという段階になつてつたのが、朝鮮動乱という関係で、また前の目的とはかわつた目的に使用せられて今日に至つております。事これの善悪は、ここで論議を避けたいと思うのでありますけれども、われわれの胸を打つところのものは、この学校に通うことをせずして、隣接校にこの子供を収容いたしまして教育されておる実情を見ますときに、教育上ゆゆしき問題であると考えるのであります。私のところへ舞い込んでおります一人の子供の手紙を見ましても、自分の学校の前を通りつつ、よその学校へ通うのであります。しかも学校で運動場が一つでありますから、いかに校長を中心として厳格な教育を行われましても、同じ学校の校庭で借家の子供たちが、いかに心狭い、きゆうくつな思いでおるかということは、これはここで言葉に表わすことだも私胸が迫るのであります。しかも六年間一度も自分の学校では習わずに、しかも卒業式もよその学校で行うのだ。私は教育の本来というものは、やはり土地、校舎というものが、非常に教育の重要なものを占めておると考えておるのであります。これは何ものをさしおいても、もしこれがもう返らないとなるならば、別に学校を早く建ててやつてでもという気がするのであります。高等学校の方は、割合にまだ精神的には相当強いあきらめを持つ行き方もあるかもしれませんが、がんぜない小学校の一年から六年までの子供たち、しかも小さい気持ですごすごと通いつつある子供たちを毎日見ておる親の気持としては、おそらく立つてもいてもおられないのではないかという気がするのであります。先日、私この学校を訪れまして、手紙を書いた子供たちに集まつてもらつたのでありますが、その席上で激励はいたしておいたのであります。この手紙を見ますと、自分には間に合はない六年生の子供が書いております。「せめて五年生以下の子供たちに」という心づかいの手紙を書いた。この美しい心持の教育をされておるのだから、よそで教育を受けたけれども、決してどこの人にも負けない美しい心を、先生たちからみがいていただいたのだから、そのつもりでおりなさいよと、子供たちには言うたのでありますが、おそらくこういう意味においても、二六時中、学校の先生たち教育は、筆舌に尽すことのできぬ苦心があつたろうと私は思うのであります。子供の前ではこれは言えないと思いますけれども、ほんとうに日々暗涙にむせび、子供の心理を考えたときに、おそらく私は相当修養のできておる先生たちであつても、これはなかなかむずかしいところを切り抜けてくださつたと、関係職員の方々に頭を下げておるのでありますが、その間、直接御交渉に当つておられます方は、どういうようにこのことを認識しておられるか。近く行政協定が行われて、この点から、はずせばはずせる時が来ておると思うのであります。文部大臣は、先ほど来、理論から申せば明確にこれは返還をさるべきものであります、また間接的に文部省としてはこの返還に努力をいたしておりますと、ここで言明されたのでありますが、直接御担当になつております調達庁の御意見をひとつ伺いたいと思います。
  88. 根道廣吉

    根道政府委員 ただいまお話のございました本件のごときは、まことに御同情にたえぬところであります。一般的の問題といたしまして、ただいま日本国中に接収を受けておりますものは、非常にたくさんありまして、いずれも接収を受けておりますものは、それぞれ非常なお気の毒な状態にあるものがあるわけであります。しかしながら、それはそれといたしまして、政府といたしましては、何とかしてそれらの各方面の各種にわたる苦境を、極力緩和するように努力いたしておる次第であります。ことに学校などの接収されておりますものについては、政府といたしましては、折りに触れまして、まずまつ先に解除してくれるようにという意向を、何回となく表明して参つたわけであります。その点につきましては、文部当局はもとよりのことでございまして、私どもにおきましても、学校の解除申請等のあります場合には、できるだけ情を尽して、軍の方に解除方を懇請するという態度をとつてつたのであります。軍の方におきましても、われわれの承知しておりますところでは、日本の学校現状ということから考えてそういうものの接収はできるだけすみやかに解除するのがほんとうだというような意向も持つておるようでございます。しかしながら、場合によつては、やむを得ず今は解除できぬが、できるだけすみやかにこれは返すつもりだということを、私どもに明白に言うて来ておるような次第であります。また近き将来におきましては、東京のごとき大都会地におきましては、特にこういう種類の解除が行われ得る段階にあると私は推察しております。本件のごときにつきまして、的確に申し上げることはできませんけれども、そういうような期待が持てるのではなかろうか。またそれができないような反対の情勢ができますような場合におきましては、引続き今後も文部当局等と力を合せまして、すみやかなる解除に向うように努力して参りたい、こう思つております。
  89. 若林義孝

    若林委員 御努力のお気持はわかつたのですが、この際ちよつと伺つておきたいのは、別に教育者でも何でもございますまいけれども、このことが教育に対してどういうふうな影響を持つているか、ひとつお心構えを伺いたいと思います。この手紙は、下級生がかわいそうでなりませんと書いてある。この間、二年生の子供から来ました手紙には、六年生の方に自分の学校で卒業式ができるようにしてあげてください、こういうふうに書かれておるのでありまして、鉛筆を持つときの子供連の心持を考えますと、じつとしておれぬという気が、われわれはするわけであります。この心構えが、今日普通の請願として出されたのでありますけれども、特別の議題として御足労を煩わした次第なんであります。先ほど松本委員の御発言もありました。渡部委員の分は目的が少しかわつた発言であります。(笑声)しかもこの請願は、小林信一委員小林委員、浦口委員、党派を超越いたしまして、共産党を除く各委員の御紹介になつているのであります。私は、御努力は多とするのでありますが、こういうことが教育には心理的に支障があると思う。国民がアメリカに対する感謝というような感じを皆持つ時代に、誤りますと逆の効果がある。ある期間なら待つこともできるでしよう、あるいはどうしてもそこでなければならぬというところならば、あきらめもつくかもしれませんけれども、現在の設備を承つてみますと、今日でもほかへ移転ができるというような性質のものであるようであります。ひとつ格段の御努力を、文部当局と一体になつてつていただきたい。それから児童の心理、教育に及ぼす影響、これらに対する御見解等を伺つておきたいと思います。  それから関連事項でありますから、ひとつお願いをいたしておきますが、ここに国立文教地区協会の会長の一橋大学の中山学長、国立音楽大学の学長、国立町長の連署で、協会名をもつて請願があるのでありますけれども国立文教地区に相当接収されておるも  のがあるらしいのであります。これは文教地区として、その趣旨に沿うたものならば、まだいいのでありますが、既設のホテルを接収いたしておるそうであります。アメリカにおいては、何らのふしぎのない外観かもしれませんけれども、ホテルの中のことは知りませんが、外観的にながめまして、文教地区にふさわしくない悪影響があるわけであります。行政協定の場合——先ほどの学校の分は、行政協定を待たずに御努力を願いたい。この方は、行政協定が結ばれますときには、この点にひとつ御留意をせられてやつていただきたい、こういうことをお願いいたしたいのであります。
  90. 今村忠助

    今村政府委員 今の若林委員のお話は、文部当局としても、この接収された文教地区施設がすみやかに返るよう努力されたいということでありました。私多年教育に携わつておりまして、どうしても教育施設が十分でなくては、完全な教育はできぬと私も信じております。ことに敗戦の結果、他国の軍隊に占領されておるということは、まつたく民族の悲劇であります。かようなことは、講和会議が行われて、條約も結ばれ、まさに効力を発しようとするこのときでありますので、われわれはすみやかに、一日も早くこれらが解除となつて教育の目的のために使用されるように努力いたしたいと考えております。文部当局といたしましても、今詳しく各地における実情を再調査いたしております。これらのできて来るのを待たずして、もとより努力はいたしております。実は私個人も、昨日政務次官会議に岡崎国務大臣の出席を願いまして、この問題に対する説明を求めるとともに、いろいろ返してもらわなければならぬうちで、とりわけ文教関係施設だけは優先的に返してもらいたいということを申し入れておきました。これは先ほども申します通り、何といつてもこの施設が返らなければ、民族の悲劇であります。われわれはさように信じまして努力いたしております。
  91. 根道廣吉

    根道政府委員 ただいまのお話の児童に及ぼす影響、また学校の先生方の並々ならぬ御苦心には、まつたく胸を打たれて伺つてつたところであります。もちろんそういうような事態が子供に映るいろいろなことからして、いろいろな悪影響の発生するということも重々考えられる点でもあります。私どもといたしましては、もちろん現在の事態におきましても、一日も早く、解除をして、さらに一体となりまして、私自身陳情者の立場になりまして、切にお願い申し上げたい、こう考えておりますので、御了承願います。
  92. 小林信一

    小林(信)委員 私も今若林委員のお話になつた点は、請願者の一人として、この問題をお聞きしておるわけですが、その問題はもう若林委員からいろいろと質問されて明白になりましたので、この際これに関連して文部大臣並びに文部省特別調達庁お二人、そろつておるときにお伺いしたいのですが、接収によるところの児童教育の上の支障と同じように影響をこうむつておる問題が、その他にも多々あるのです。これは私の山梨県の問題ですが、岳麓に相当数アメリカの兵隊が駐屯しておるのですが、これか隣接しておる村へときどき出られるので、そこにいわゆる売春婦と称する者がたくさん入つておるのです。御承知のように、ああいうふうな不自由なところですから、一つの村、一つの町に、相当の兵隊の数であります。これを相手にするところの女の人たちが多分に入り込んでおるのですから、その村の風俗というものが極度に紊乱してしまつて、これが児童生徒に影響するところは甚大なものであります。学校では、おそらく全国でもまれでしようが、日曜日に授業をやつて、そうして月曜日に休んでおる、こういう方法をとつておるのです。というのは、日曜日は外出の日なんですから、辺鄙な村なんですが、そういう連中の歓楽境に化してしまうのです。これから受けるところの影響というものは、非常に悪いから、日曜日はせめても学校に収容して、そういうふうなものを見せないようにしようと考えておるわけなんですが、こんなことでは、児童の環境として、先生がいくら努力しても効果は少いわけであります。私は事実その学校に二、三度参りまして、子供等にもいろいろつづり方等をつづらせて、その環境というものをうかがつたのですが、とにかくその学校の四百名くらいの生徒の中で、ぎゆうたという言葉を知らない子供はないのです。しかもその中の一、二の例をとりますと、だれだれさんはぎゆうたをやつた、しかし私はそういうことはいたしませんというようなことまで書いておる。つまり仲介をおとながやつておるのをまねして子供がやるのです。もうここまで至つては、いくら学校で先生ががんばつてみたところで、教育の実は上らない。学校の庭から、そういう行為をしておる姿が見えるところがたくさんある。いくら規則の上で、校舎から何メートル離れなければ、カフエーとかビヤホールとかダンス場というようなものはつくれないという規則があつても、現下の実情においては、そういう日本の法律は一蹴されておる状態なんです。しかも辺鄙な村ですから、自分たちの耕作地まで演習地に没収されてしまつたということで、やむを得ずそういうことに介在して生計の道を立てて行かなければならぬというような、父兄の生活上から来る問題もあるのでありまして、今極度に困窮しておるのですが、これらの問題については、相当各方面のいろいろな刺激によつて、この村にいろいろな団体が入つて、何とか救済しなければならぬということになつておるわけなんです。文部省に伺いましても、どうも手の出しようがない。またこういう問題について、特別調達庁あたりに何か考究していただければということを盛んに言つておるのですが、特別調達庁からも、そういうような意見はさらに出て来ない。特別調達庁に頼むとすれば、そういう婦人を一定のところに収容しまして、特別な地域をこしらえて、そこでそういう人たちを相手にしてもらつたらどうかということを、地元の人たちは言つておるのです。文部省といたしましては、その点は私たちには何ら発言する道はないのだということを言つておりますが、この際次官といたしまして、こういう問題は、今の学校を接収される悲劇以上の悲劇なんですが、こういう点についてどういうふうにお考えになつておるか、両方からひとつ御意見を伺いたいと思います。
  93. 今村忠助

    今村政府委員 承りまして、まことに寒心にたえないと思う次第でありまして、どうぞ事務的に文部省の係の者にその実情を詳しくお伝えいただきたい。また県の教育委員会にも、ひとつお手数でもお訴え願いたい。幸いにして完全な独立国になるのですから、さようなことについては、できるだけの努力をいたしまして、教育目的を達成することのできるよう、文部省といたしましては、努力いたして参りたいと考えております。
  94. 根道廣吉

    根道政府委員 ただいま特別調達庁として何かできぬかというようなお話ですが、特別調達庁がいろいろな事柄を扱つておりますうちに、軍の諸施設の問題があります。ありますけれども、これはすべて軍側の要求に基いてやるところのものでございまして、日本側でそういう施設を今どうするという立場にはないわけであります。しかも現在はそういういろいろな軍の諸施設を扱つておりますのは、終戦処理費でございまして、その終戦処理費をもつていろいろすることは、すなわち軍の要求に基いてやる。その金額の支出もまた国の承認を得てするということになつておりますので、軍みずからがそういう施設をするという場合でありますならば別でありますけれども、ただいまの状態におきましては、軍みずからがそういうようなものをつくるわけにも行かないと存じますので、非常に日本側としての施設は、現在においては困難であろうと思います。しかしながら終戦処理費というようなものがなくなり、日本政府が独自の立場において何でもやれる、財政支出からも、そういう関係のものができるような事態になりましたならば、またそこに何らか考究の道もあろうかと思います。
  95. 小林信一

    小林(信)委員 大体今まで、私は教育委員会にも働きましたし、県にも働きましたし、それから文部省特別調達庁、こういうところにも伺つたのですが、御意見は今の通りで、依然として現状は放置されておるわけです。しかしその事実たるや、まことに悲惨なものであつて、父兄の方たち、あるいは先生の方たちの御努力というものは、実にたいへんなものなんです。そこで形式的に申せば、確かにいずれからもこういう問題に対しては、具体的な施策というものは出て来ないわけですが、そこに人間としての気持というものを出していただくならば、私は何とかこういうことも、いろいろな方途を講じて考究されるのじやないか。あるいは特別そういうところには図書館をつくるとか、あるいは遊園地をつくるとか、その女たちをただちに収容することはできないとしても、そういうことはできると思うのですが、これを文部省へ持つて行けば、文部省にはそういう費用はありません、何かそういう折衝渉外の関係の官庁に働いてもらうよりほかにない。しかし特別調達庁に御意見を承れば、今の長官のお話の通りで、私どもの方ではそうした準備はありません。そういうことで放置されては、その中に介在するいろいろなもの、いわゆる犯罪的な悪影響を及ぼすものは、いよいよ激化の一途をたどるのみで、その中で教育は完全に崩壊しているわけです。先生たちはその学校を逃げようとしておる。私が今申し上げましたように、文部省の方あたりでも考究をされまして、今度の行政協定でどういうふうになるかわかりませんが、私たちの想像するところでは、あそこにさらに駐屯すると思うのです。そういう点から考えれば、この際何か渉外折衝の官庁の方々から、向うの方にそういうことを認識させて、向うの方から要求させたことにしても私はできることだと思うのです。そういう道を開いて、この問題は解決してもらわなければならぬと思うのです。とにかく今学校が接収されて自分たちの勉強するところがないという悲惨なものより、もつと悲惨なもので、おそらくこういうことは私の県だけでなくして、ほかの県にもあるのじやないかと思うのです。こういうものに対して実際に措置を講ずるのが、社会教育の面に対する大きな責任だと思うのです。しかし、今のところの文部省の社会教育政策というものは、まことに至るところに弊害を生んで、これをどうすることもできない現状です。私の取上げたのは、そういうことから起きる一つの極端な問題だと思うのです。とにかく次官は、今関係の係あたりへお話をしたらというお話ですが、文部省にはこのことはお話してある。文部省からの調査は、もうすでに済んでおるのです。しかし依然としてこの問題が解決されておらぬと伺つておる。この点をひとつ次官はお考えくださつて、善処していただきたいと思います。
  96. 今村忠助

    今村政府委員 先ほども申した通り、ごもつともと思います。そして従来はできなかつたにしても、行政協定等が結ばれる際には、こちらの要求あるいは要望という形で多少申し出ることもできると思いますから、その点はひとつ研究いたしまして、できるだけの努力はいたします。
  97. 浦口鉄男

    ○浦口委員 社会教育局長に、先ほど文部大臣に質問した国立近代美術館設置の件について、時間がたいへん過ぎておりますので、簡単にお尋ねいたします。この美術館の建物として、京橋の日活本部が、今明日中に文部省との間に正式に売約交渉が成立するという段階でありますので、特にこの際社会局長に伺つておきたいと思うのです。近代美術館ができるということは、敗戦後の文化日本建設の過程において、われわれ大いに待望しておつたことでありますが、残念ながら、予算は二十六年度においてやつと一億計上されたというだけで今日に至つたのであります。ところが、その間適地がないとか、あるいは適当な建物がないということで、もうわずか一箇月ばかりすると予算が流れるという段階においてこれが急に買収されたということについて、われわれもいろいろ各方面から意見を聞いておりますので、とりあえず局長に、この日活本館を買収になりました経過を、簡単に御説明願いたいと思います。
  98. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 近代美術館の設置になりました経過を簡単に申し上げますと、二十六年度予算におきまして一億の予算をとつたわけでありますが、当初の目的といたしましては、大体明治神宮の絵画館を買いとるのがよかろうというつもりで、実は入つたのでありますが、明治神宮と交渉いたしましたところ、明治神宮は絶対売らないと申しますし、また美術家関係の者も、これは既設施設を買うのじやなくて、ぜひ建ててもらいたいという意向が多かつたのであります。そこで近代美術館設置準備委員会というものをつくりまして、いろいろ相談を進めて来たのでありますが、ぜひ新設ということで行きたい、新設はどこがよかろうということで物色いたしましたところ、まず日比谷公園が考えに上つたのでありますが、いろいろの関係がございましてこれも非常に困難になり、次に大手町の千代田グラウンドに建てるという計画をいたしまして、その計画については大分具体化したのでありますが、ただ新設ということは、日比関係等がありまして、賠償を控えた日本が、あまりそういうことを計画するのは、よくなかろうという意見が出まして、これも非常に困難な事情になつたのであります。そこでとりあえず既設施設を買うことにしようということで、いろいろ探しました結果、京橋の日清本部ということに委員会委員は全部賛成をいたしまして、委員会といたしましては、これを買うということに決定をいたしました。日活本部との交渉におきましても、そういう計画であればぜひ協力したい、これが国家施設として活用されるということになれば、日活としても非常に本望であるというようなことで、この話は非常に順調に進みまして、現在その方向で具体的に進みつつあるのであります。  経過は大体以上の通りであります。
  99. 浦口鉄男

    ○浦口委員 経過をお伺いいたしますと、どうも納得の行かない点が多々あるのであります。それは新設が理想であるが、フィリピンその他賠償を払わなければならぬ各国との関係がある、それで遠慮しなければならぬ、こういうふうな御意見もあつたのですが、これはどうもたいへん見当違いで、いろいろなビルディングが建ち過ぎて、最近政府はこれを制限しようという傾向に来ておるわけでありますが、少くとも近代美術館をつくるということにおいては、トルコぶろをつくるとか、あるいはその他のキャバレーをつくるのと同じに考えられることは、これだけの国家的事業を達する上において、私は文部省並びに国立近代美術館設置準備委員会委員の方の考え方を非常に疑うのであります。しかし現段階においては、やはり予算及びそうした情勢からしかたがない。しかも放任しておけば、本年度の一億の予算はなくなつてしまうから、急いで買わなければならぬ、こういう意見で買つたというふうにも言われているのであります。そういう場当り的と申しますか、これだけのものをつくるのに、予算その他の関係だけできめたということは、たいへんわれわれ国民の代表として遺憾に思うのでありますが、その点局長の御答弁をもう一度承りたい。
  100. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 近代美術館設置準備委員会の意向としまして、ぜひとも新設で最も近代感覚を持つた国立美術館として、はずかしくないものを建てるのだという方針は、実はかわつていないのでありますが、ただこの時期に、それを今やるということがいろいろな関係で遠慮しなければならぬ、しかし新設の理想は捨てない。とりあえず既設設備を買うけれども、新設ができる時期になれば、これはぜひその方向で考え直す。その際の財政的問題も、何とか解決できるように話をつけて行こうということに、実はいたしておるのであります。千代田グラウンドの問題も、これは今厚生省の方に移管になる予定になつておりますが、厚生省とも話をいたしまして、将来それが可能なときには、近代美術館建築のため考えてもらえるというように、実は内約をいたしております。では、いつ新設ができるかということになりますと、これはまた何年後という見通しはつきませんけれども、その新設がでるまでの間、とにかく京橋の日活本部を活用して、しかも相当の模様がえをして、近代美術館としてはずかしくない体裁を持つたものにやりかえて運用しよう、こういう方針で進んでおります。
  101. 圓谷光衞

    圓谷委員 先ほど文部大臣が帰る都合上、文部大臣に対する質問だけで中断しておきましたが、稻田政委員にお尋ねいたします。商船大学設置の問題であります。先ほどの大臣考え方から見ますと、二十八年度から設置するというふうに、私は受取れた、あなたもそういう考えですか。
  102. 稻田清助

    稻田政委員 もとよりそのつもりであります。
  103. 圓谷光衞

    圓谷委員 ところが、先ほど申し上げましたように、定員の問題は、私はやりくりがつくと思う。今年から設置するという考えが、最初からあなたはなかつたように私は思うのです。いろいろと熱心に大蔵省とは折衝したというけれども閣議の状況からいうと、大臣もさつぱりこの海技専門学院昇格に対する熱意を持たなかつたように聞えている。あなた、答弁はたいへんうまくおやりになるけれども、初めから本年度からやる意思がなくて、二十八年度に持つて行くという考えを持つていたことはちようど清盛の衣のそでからよろいが現われたように、そういう感を私は持ちます。ですから、今年おやりになるという意思があるかないか、二十八年度からでなければできないのですか、そこをはつきり伺いたい。
  104. 稻田清助

    稻田政委員 この点は、先ほど大臣答弁せられたように、私といたしましても、二十八年度から出発いたしますことが、新しい大学創設の今日の状況といたしましては、最も適当な時期だと考えております。
  105. 圓谷光衞

    圓谷委員 ところがわれわれ委員として、国家代表であるわれわれが、二十七年度から、日本の海運国策として、置かなければならぬ。ところが官僚の頭でもつて、あなたの頭だけでもつてこれは置けないということになれば、私は国会の威信に関する問題だと思う。あなたがあくまでもわれわれはこう考えるのであるから本年度はやる気はない。やる気があるというならば、われわれに補正予算なり何なりによつて、結局これを推進させようというお考えでなければ、われわれは結局あなた方をたたきがいがなくなるのだが、どうですか。
  106. 稻田清助

    稻田政委員 先ほど来申し上げておりまするように、文部委員会の御決定後におきまして、予算化する点につきましては、文部省といたしましては、十分努力したつもりであります。今日になつて振り返つてみましても、明年度予算について、最も遺憾に考えられる点が商船大学創設の問題でありまして、私自身も、そう感じておるような次第であります。しかしながら、すでに政府予算として作成する時期を過ぎまして、国会において今日予算が御審議になつておるような状態でございます。かりに、それについて情勢が転換いたしたとしましても、先ほど来大臣も申しておりますように、学校創設の準備ができ、つまり各国立大学については、すでに募集を開始しました。来月初旬には試験が行われて行きます。新しい大学発足当初でございまするので、最も優秀な学生を募集したい。その点につきまして、おそらくすべての方々も御異論がないだろうと思います。こういう観点につきましては、すでに開校の時期が本年度は遅れております。今日になりましては、やむを得ない状況でございまするから、何とかしまして二十八年度におきまして、でき得るだけりつぱな大学をつくるということに努力を集中いたしますことが、新しい大学創設という問題につきましては、今日の状態といたしまして最も適当な方法であると、こう申しておるわけであります。
  107. 圓谷光衞

    圓谷委員 先ほど大臣は、本年度から始まつて、すぐそうできるものでない。しかし、これはこの委員会において、二十六年度において、すでに設置すべきであるということを決議しております。私は遺憾にたえないことは、大臣とか局長とかいうような——あなたもえらい方ですが、そのお考えによつてわれわれ国会議員の意思が蹂躙される。つまりわれわれの意思が通らないということに、考えてようございますね。
  108. 稻田清助

    稻田政委員 非常に恐縮するお言葉を伺うわけでありますが、先ほど来申し上げておるように、文部委員会の御意思を体して、われわれといたしましては、最終段階まで予算を折衝して参りました。何らその間において、国会の御意思と背馳するような心得を持つたことは毛頭ないのであります。その結果、私どもといたしましても非常に遺憾な結果ではございまするが、予算が成立しなかつた準備費だけができた。これは重々遺憾に思つております。われわれの意図において、われわれの企図において国会と背馳するような心がけは、決して持つていなかつたことを御了承願います。
  109. 圓谷光衞

    圓谷委員 それではわれわれ国会議員があらゆる努力をし、今年度において発足する準備態勢をつくる努力をしても、二十八年度以外にはできない、そういうことと了承してよろしゆうございますか。
  110. 稻田清助

    稻田政委員 今までの経緯において、まことに今日の段階に立ち至つたその遺憾さの上において、しからばどうするかという文部当局の意見を、大臣と私に先ほどお尋ねがあつた。今日になりますれば、すでに募集期も過ぎておりまするし、優秀な学生も願書締切りで他の方へ行つておりますから、こうした時期に来て開校を急ぎますことが、新しい大学の出発という点について、われわれ遺憾の点が多いじやないかという意見を申し上げましたが、国会において予算が構成せられ、あるいはまた法律が制定せられ、すべて行政官庁は、国会の御決定に基いて、その御意思に沿うて行政いたすわけでございますから、そうした段階において、国会がいろいろの点を御考慮になりまして、教育的な観点に立つて決定になりました上は、もちろん行政官庁としては、それに従つて執行する、こういう心得を持つております。
  111. 圓谷光衞

    圓谷委員 あなたの先ほどの御答弁の中に、すでに優秀な学生は、三月に締切りになつて落ちるところに落ちている。だから、十月からになると学生のいいのがいないと言うが、それは独断じやないですか。あなたの頭では、そういうことをお考えになるけれども、私はそうは思つていないのです、そこに見解の相違がある。それから教授定員の問題も、やりようでは私はできると確信を持つておる。おそらく計画ができておらぬのでしよう。そうすれば、残る問題は設備の問題です。設備は地元において負担するということになつておる。そうすると、あなたの一番懸念されるところは、結局優秀な学生が、十月になつて募集すると来ない、それはどうしておわかりになります。どういう計算からそれを出すか、十月募集の学校もありますが、そうすると、そこには最も悪い学生が入つているかどうか。これは大学局長として、よほどえらいものだと思うのですが、それはどうなんですか。私は考えが違つているが、その理由でもつてできないというのでは、ちよつとおかしい。
  112. 稻田清助

    稻田政委員 その理由のみ申し上げたわけではございませんけれども、十月募集というのは、現存する状況を私存じておりません。ただおそらく募集について遺憾があろうかと思いますのは、出願者においても十分その創設を予期いたしまして、各大学を選択する場合に、第一希望として参るような人々を集める方が、自然原理として優秀な学生が集まるだろう、こういうふうに申し上げたのであります。
  113. 圓谷光衞

    圓谷委員 私は、たつた一つの清水の商船学校にいい者がみんな入つてしまつて、あとになれば優秀な者が入らないという考え方が正しいかどうか、それをいま一度お聞きしたい。それは確信を持つていられるかどうか。そのために、どうも今ではすでに手遅れである、どんな準備をしても二十八年度でなければできないということになるかと思うのですが、そこはどうなんですか。
  114. 稻田清助

    稻田政委員 どうもあまり御意見にさからうことを申し上げるようで、たいへん恐縮なんでございますけれども、私はそう思つたわけでございます。
  115. 松本七郎

    ○松本(七)委員 議事があれに飛び、これに飛びしてさつぱり順序を追わないので……。
  116. 竹尾弌

    竹尾委員長 ちよつと申し上げますが、これは文部行政一般のわくの中に包含されておりますので……。
  117. 松本七郎

    ○松本(七)委員 さつき月島の問題をやつていて、まだその結論がつかない。それで月島第三の問題で、委員長にお願いしたいのですが、それは接収校舎の問題の、一つのモデル・ケースとして、ちようどいい例になつて来ておりますので、ひとつ文部委員会としても現地調査をやつていただきたいと要望いたします。
  118. 長野長廣

    ○長野委員 大学局長にちよつとお尋ねいたします。神戸商船大学設置の必要なることについては、もうあらゆる面から検討を尽されておると思いますが、しかし私は、二つの点からひとつ御見解を伺つてみたいと思います。  第一は、航海ということの学問及び技能の研究、練磨ということは、深遠にして際限がないと思うのであります。この深遠にして際限のない問題をだんだんと解決いたしまして、わが国の貿易政策の線に沿うということは、まことに必要であります。これについては、現に静岡県下にある大学のほかに、もう一校大学をつくりまして、そうしてこの各大学が特色のある学風によつて、その特色と権威に基いて、この学術についての蘊奥をきわめ、そうしてこれによつて優秀な船員を出すということが、非常に必要であると思いますが、これについていかなる御見解でありましようか。
  119. 稻田清助

    稻田政委員 まつたく御意見の通りに心得ます。別の考えを持つておりません。
  120. 長野長廣

    ○長野委員 その次に、今や神戸の当局及び兵庫県当局といたしましては、施設半額をも負担をいたし、この大学の実現を要望いたしております。この勢いというものは、けだし時を失しては、いかなる蹉跌を生ぜんやも、はかりがたいものであります。これは社会現象の原理であります。また神戸は、その沿革において、現在の実情において、立地的状件において、商船方面の権威ある職員を養成する上においては、絶対にわが国の第一位にあるといつても過言ではないと思うのであります。ゆえに、この優秀なる地点を、もし万一時を失して失うことがありましたならば、今後の産業日本としての大発展の重要なる問題を、取逃がすことになるのではあるまいかと思うのでありますが、これについて、大学局長はいかなる御見解を持つておられますか。
  121. 稻田清助

    稻田政委員 私どもから申し上げるまでもない経緯をもちまして、従来神戸に存在いたしております海技専門学院の土地を卜しまして、そこに商船大学設置することを適当と考え、われわれといたしましても、予算計画その他をいたしたわけでありますから、この素志を貫徹いたしたいと考えます。
  122. 長野長廣

    ○長野委員 ちよつと話題がそれたと思いますが、もしこの土地が、時を遷延したために失うおそれがある、——これは世間常にあるところの常例であります。でありますから、この際寸刻を争うてこれをつくる、あるいは寸刻を争うてできぬとおつしやるならば、それはそれでよろしい。ともかく寸刻を争うてやることが、一国の行政上において絶対に必要な原理である、このプリンシプルについて御意見を伺いたい。
  123. 稻田清助

    稻田政委員 海技専門学院の土地及び校舎は、すでに所管庁である運輸省当局におきましても、大学創設のために、文部省に移管するという方針をきめておりますので、その土地を利用して大学を建てるという問題につきましては、動きのない問題だと思います。
  124. 長野長廣

    ○長野委員 そういうことを認められるならば、この際二十七年度より、かりにこれを実現し得る機会を得、またそういうことを打開する道が明らかであるとしたならば、もちろんただいままでのお答えによると、万難を排してこれに当られることと思いますが、それはいかがでありますか。
  125. 稻田清助

    稻田政委員 もとより神戸において大学の創設を庶幾いたしておるのでございますから、大学開設に適当な條件が備わつて参ります場合におきましては——もちろんわれわれといたしましても、その條件が備わりますことに努力いたしますが、そういう機会が参りますれば、われわれとして幸いに考えるのであります。
  126. 長野長廣

    ○長野委員 今までの御答弁によりますと、その機会を得るならばとおつしやるけれども、それは受身であります。できるだけその機会をせんさくし、できるだけ委員会とも協力せられ、その機会を得ることに努力せられることが、あなたの誠意ある態度であると私は考える。それが国家ためであると信ずるから、大学局長としてあらゆる道をとつていただきたい、こういうことを私は希望いたします。
  127. 今村忠助

    今村政府委員 神戸商船大学設置の根本的な文部当局の所見というように解釈いたしますので、私からお答えいたします。実はこの神戸商船大学設置について、文部当局予算の面に努力したということは、大臣も、また係の局長からも申す通りであります。私も政務次官といたしまして、暮れに大いに努力したつもりであります。ただ金額が多少他の新設学校の場合より多かつた、このことが難点となりまして、つい、先ほど来申す通りに、準備費という形で本年度出て、一年遅れるかつごうになつたのであります。これは私としては、まことに遺憾に存じます。ことに復興日本の将来を考えれば、この船舶要員、しかも高級船員の養成ということは、緊急要務中の一つ考えますので、何とかこれが実現ということは、先ほど来申す通り努力いたしたのであります。ただこれからその準備をしてどうかということにつきまして、文部省の所管局長からは、多少遅れた気味のあることを申しておるのでありますが、これはそれだから実現不可能だということを申しておるのではないと思います。つまり、これからのいろいろな準備ということであると、かりに予算的措置ができたといたしましても、学校といたしては、四月開始というような点からも考えて、多少遅れるような結果にもなり、従つて生徒募集等にも支障があろうかという、その事務的な点を申しておるのであると思います。今委員会の各位の御意見を承りますと、一日も早くということであります、これは大臣も言う通り予算措置ができなかつた結果、かようなものになつたのでありまして、予算措置等のことが将来において考えられるといたしますならば、もとより文部省といたしましても、本年度からいたしたいことはやまやまであります、従つて、各位の御意向のあるところも十分わかりましたから、文部当局としても努力いたしますが、先ほど来申す通り、これは大蔵省との関係にあることでありまして、予算措置等の実現を見なければどうにもならないのだという、この一点は十分御了察いただきたいのであります、文部当局といたしましては、なお一段と努力いたしまして、皆さん方の御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  128. 首藤新八

    首藤委員 今村政務次官並びに大臣局長の先ほどからの御答弁を承りますと、学年開始と同時に開校しなければ、いろいろな点において支障があるということが、延期の一つ理由、さらにまた大学設置審議会にかける時間が短かいということも一つの原因、また財政的な予算がとれなかつたという、大体この三つの事情から、二十八年度でなければ困難だという答弁のように承つておるのであります。しかしながら、御承知通り商船大学は、一般の学校と違いまして特殊の学校であります。必ずしも学年開始と同時に開校しなければならぬものとは、事情を相当異にしておるとわれわれは考えておるのであります。特に神戸商船大学設置されるというような新聞紙の報道するところによりまして、関西並びに九州方面から、すでに学校に対しまして何百というような申込みが来ておる事実から考えましても、多少学年開始と開校の時期にずれを生じましても、これがために優秀な学生を入れられないという理由には、毫末もならないと存ずるのであります。かりに多少そういう傾きがあるといたしましても、現在の日本の国情、経済の自立、そうしてそれがためには、貿易の進展であり、貿易の進展と不可分であるところの海運政策、造船——これは御承知通り毎年三十万トンないし三十五万トンの計画を進めておるのでありまして、しかも先ほど申し上げましたごとく、高級船員が足りない、わずかに運輸省におきまして再教育というような次善策、さらにそれに劣るような教育をいたしておるのでありますが、これらの教育を受けるところの者の今日に至るまでの学歴あるいは船に対する知識等から見まして、こういう再教育でいいのかどうか。いわんや過去におきましては、海軍あるいは陸軍という強力なバツクがあることによつて貿易の進展、促進ということが容易に行われたのでありますが、今日ではかような強力なバツクがない、勢い優秀な船員、優秀な船舶、これらによつて貿易の進展を進めて行かなければ、他に貿易促進の道はないという国の現状、そうして先ほども申し上げましたごとく、現実に高級船員が非常に足りないということ、そうして一方におきましては二百二十何ぼという大学があつて、そうしてそれらの卒業生は血眼になつて、あるいはみずから、あるいは関係者をたよつて就職の運動にふけつておるにかかわらず、はたしてその何分の一が就職できておるか。片一方では非常に採用の要望が多い、片一方では過剰しておる、この事実から考えましても、かような特殊の学校に関しましては、特に意を用いて、一日も早く開校すべきではないか。また大学設置審議会の問題でありますが、これまた昨年の十二月十四日に、地元当局文部当局とそういう面につきましては長い時間、審議いたして、大体予算がこれこれだという結論を得たことによつて大学設置審議会に提案する資料はそろつておると考えておるのであります。これを今日に至つて、なおかつ大学設置審議会にかける時日がないということは、一つの詭弁にすぎない。要するに責任を回避する詭弁にすぎないと、私は考えざるを得ないのであります。また予算にいたしましても、先ほども申しましたごとく、八千五百億円という厖大な予算のうちの一億足らずのわずかな金額、そうしてそれが国家産業、国家自立経済に重要な役割を果すというような点を考えてみた場合、多少でも熱意がありまするならば、かような問題は立ちどころに解決しなけばれならぬと思う。それが解決しなかつたところに、文部当局熱意が足りないという結論に到達すると私は思うのであります。しかしながら、ただいま今村政務次官の、極力今後この問題を推進するという御言明がありましたが、以上申し上げた理由から、私は学期初めというような形式にこだわらずして、かような重大問題は一日も早く開校するように推進をお願いしたいと思うのですが、これに対しいかなる御所見がありますか。
  129. 今村忠助

    今村政府委員 私の説明が不十分だつたかと思いますが、今首藤議員よりの御意見でありますが、審議会の問題、開設期が遅れるというようなことは、この問題を実現するにつきましては、第二義的意味のものだと思うのであります。つまり先ほど大臣からも申した通り予算措置ができなかつた結果、本年度は実現しないというのでありまして、またその予算閣議ともいうべき席上において閣議決定を見た今日として、文部当局としては、これをむし返えすといいますか、もう一度この際取上げて云々できない実情にあるということであります。この点を、国会の側において処置された結果となりますれば、当然文部省としては、立法方面において決定を見たものを行政の面において実現することは、全力をあげていたすわけでありまして、この点をひとつ御理解願いたいのであります。ただ一応時期として遅れたということは、事務的な意味説明申し上げたことでありまして、それがあるがゆえに反対であるとかいうような意味は、毛頭ないのであります。予算措置さえあるならば、かりにいろいろ困難な向きがあるとしても、文部当局としては努力するつもりであります。
  130. 浦口鉄男

    ○浦口委員 時間がたいへん経過しましたが、問題の性質上ちよつと打切つておくわけには行きませんので、簡単に質疑を続けます。  寺中社会教育局長にお伺いいたしますが、日活本館を暫定的に国立近代美術館として買収された経過は、今局長から伺つたのであります。これに対して、私も意見を持つておりますから、必ずしも賛成でないことは先ほど申し上げておきました。これくらい重大な仕事でありますから、今後防衛費その他で、こうした文化費用が予算に望みがないというお考え方なら別でありますが、私は一年か二年遅れても、もつと完全なものをつくるべきだ、こう思つておりますが、それは今ここで述べません。ただ先ほど局長のお話の中で、これは設立準備会の委員も一致して賛成をし、文部大臣も喜んで賛意を表された、こう言われておりますが、それは事実ですか。
  131. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 事実であります。
  132. 浦口鉄男

    ○浦口委員 私の聞くところでは、実はこの売買契約が、今明日におそらく正式の契約になると伺つておりますが、この問題については、前の社会教育局長、——名前は申し上げるまでもないと思うのでありますが、その人が文部大臣並びに日高事務次官とは全然関係なしに、独断でこの一月の初めにきめた、こういうことを聞いておりますが、その点いかがですか。
  133. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 私の聞いておるところでは、さようなことはないと存じます。
  134. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それでは買収費は幾らですか。
  135. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 ただいま話合いを進めておるところでは八千三百万円でございます。
  136. 浦口鉄男

    ○浦口委員 元来この建物は、東京信託が管理を依頼されて、管理して来た建物であるということは、御承知ですか。
  137. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 この建物について、東京信託が管理を依頼されて来たものであるというふうには聞いておりませんが、ただあれを買収する話を持つて行きました際に、いろいろ競争相手があるということは聞いておりました。
  138. 浦口鉄男

    ○浦口委員 私の聞くところでは、東京信託から、昨年の末東京相互銀行が八千万円で買収の仮契約をしたということを、聞いておるのであります。しかもこれを買収するために、大蔵省の許可を得て五千万円の増資をした。しかもそれは増資済みだ、こういうふうに聞いておりますが、その点いかがですか。
  139. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 東京信託と自活本社との間に、どういう話合いがあつたかということについては、詳しくは存じておりませんが、日活本社の責任者の言うところでは、仮契約はなかつたということであります。
  140. 浦口鉄男

    ○浦口委員 東京相互としては、すでにそのため大蔵省の認可を受けて、五千万円の増資をしておるので、二重売買だ、こういう問題が起きておるそうですが、その点お聞きになつておりませんか。
  141. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 そういうことは聞いておりません。
  142. 浦口鉄男

    ○浦口委員 時間が経過しておりますので、これ以上詳しく申し上げるのを遠慮いたしますが、ただ私考えますことは、どうもこの突如として買収になつた経過に、いろいろ納得の行かないものがあるのです。これは近代美術館の本質の意味においてと、いま一つは、このままで置けば予算が流れるというふうなことで、急遽買収したというふうな意向が非常に強いのであります。私は、文部省でありますから万々そうしたことはないと存じますが、かつて給食の問題でも、われわれ委員として非常に遺憾な問題を起したことが今考えられるわけであります。今明日これが正式買収契約になるというふうな段階でありますので、この際局長は、当事者として、こうしたいろいろなちまたのうわさに対して、そうしたことが絶対ないということを、確信を持つて答弁できるかどうか、これをお伺いしておきたい。なぜならば、前の給食問題についても、久保田監理局長は、事実が上るまでは絶対にそういうことはないということを、われわれに繰返していたのであります。私は決して金額とかその他の問題を申し上げるのではなく、文部省関係でこうしたことが出るということは、文部行政という立場から、われわれ委員としても、非常に遺憾に思うわけでありますから、局長もおかわりになつたばかりで、詳しい事情はおわかりにならぬかもしれませんが、万全を期していただきたい、こう思うのですがいかがですか。
  143. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 近代美術館の買収に関しまして、いろいろお気づきの点を御注意いただいたことについて、満腔の感謝をささげる次第でございますが、今話合いを進めておるところでは、それに何かうしろ暗いことがあるというふうには絶対感じておりませんし、もし何か二重売買というふうなことが、かりにあるといたしましても、それは日活本社としての問題でございまして、われわれとの関係におきましては、ぜひ文部省で使つてもらいたいという形で、話合いは順調に進んでおるように感じております。
  144. 浦口鉄男

    ○浦口委員 くれぐれもあとでトラブルの起きないように、またスキャンダルの材料にならないようにお願いをしておきます。  それから今年の予算は一億円でありますが、来年は全然予算が組んでありません。八千三百万円で買収いたしましても、残りは千七百万円で、明年度からの改装費、運営費はどういうふうにされるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  145. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 お話がありましたように、今年の一億の使い方については実は予算審議の時までは目安がついていなかつたのであります。それで大蔵省としましては、おそらく二十六年度の金は不用になるのではないかということを心配しまして、もし二十六年度の金が使えなかつた場合には、二十七年度において考慮しようという意味で、来年度一億の金が別に予算としてあげてあるのであります。これはもし今年の一億を使えば来年は使わない、今年使わなければ来年の一億を使う、こういう約束になつておるのであります。そこで今年の一億のうち八千三百万円を使いますと、あと一千万円余りでありまして、これを改装費その他に使いまして、あと運営費の問題は来年の問題になりますが、来年の一億の中から運営費並びに事務費の程度において支出してもらうという約束になつております。
  146. 竹尾弌

    竹尾委員長 松本委員より、月島の小学校の問題につきまして、視察の動議が出ております。視察することに決したいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 竹尾弌

    竹尾委員長 御異議ないと認めます。  なお期日等につきましては、委員会散会後御相談することにいたしましようか、または委員長に御一任願いましようか。     〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  148. 竹尾弌

    竹尾委員長 それでは委員長一任ということにいたします。  最後に、議員庄司一郎君より、委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 竹尾弌

    竹尾委員長 御異議なしと認めます。庄司一郎君。
  150. 庄司一郎

    ○庄司一郎君 ただいま、大分昼の時間が経過しておるにかかわりませず、文教問題に関して、きわめて御熱心に御討議が継続されておりまする本委員会において、委員外の私に質問のお許しをいただいたことを、まことにありがとうございます。きわめて簡単に申し上げます。  申し上げたい第一点は、漢文教育に関する高等学校関係請願書の問題でございます。全国著名なるところの文人墨客、あるいは教育者等より、一万三千人の多数のインテリ階級の請願が、議長の手を経て本委員長まで提出をされておるのであります。まことに重要なる請願であり、非常な熱意を込められた請願書であるようでございます。ごらんの通り、かような請願書でございまして、一万三千余名のまことに人格者諸君の請願でございます。これの重大性を委員長並びに委員各位におかれましては、お認めいただきまして、今度文部大臣の御都合のいい日に、重大性の御認識をいただいた上において、委員会のお許しをちようだいいたしまして、特別請願として、これは議会の古い時代からの恒例でございますが、政府委員がタイプライターで打つたものを、ただ形式的に朗読するというようなことでなく、文部大臣みずから御答弁の衝に当つていただいて、また委員各位の皆さんよりも熱心に御質疑をいただき、この問題をひとつ御審議を願いたいと思うのであります。  請願内容の趣旨は、やがて国会より各位にお配りのことと思いますが、漢文教育を現行高等学校の正科であるところの国語科の中に——ただいまは一週間三時間、そのうち、平均漢文の教育は一時間もございません。それをどうか一週五時間、せめてこの漢文方面の教育の時間を二時間程度つてほしいということが、請願の結論でございます。いろいろ申し上げれば長くなりますけれども、戦争中、英語の教育は英米のスパイであるというような、右翼フアツシヨ的な連中の重圧によつて、御承知通り英語教育が中等学校においては廃止されました。終戦直後、漢文は不必要である、英語だけでいいのである、英語万能というような傾向になつている。何か文部省はGHQ方面のある方の勧奨かアドヴアイス等によつて、非常に漢文教育というものを軽視されるような傾向に陥つたようなことを聞いております。前国会の末期において、予算総会において、本議員が文部大臣に直接お伺い申し上げたところ、決して漢文教育をおろそかにしない、自分はこれを尊重して、でき得るだけ学生並びに青少年の教育面において、漢文教育をもとのように復興したいという、まことに力強いところの答弁を得ておるのであります。そこでどうか委員長並びに委員各位皆様におかれましては、この請願通り一ぺんの小なる問題、あるいは地域的な請願とは違いますので、全国の青少年学徒の教育ために、ぜひひとつ深く掘り下げていただき、広い視野の上から、高い御認識の上から、この請願を重要問題としてお取扱いを願い、この次の文部委員会において文部大臣の御都合をつけていただき、そして重要性ある請願として、少くとも一時間くらいのお時間をいただきまして、皆様からも文部当局質疑応答をお願い申し上げ、この問題の解決のために御尽力をお願い申し上げたいと思うのであります。  本日はこの程度にお願いだけを申し上げておきます。たいへん御清聴をいただいて、ありがとうございました。
  151. 竹尾弌

    竹尾委員長 庄司議員の御発言に対しましては、十分とくと考慮をいたしまして、委員各位とも御相談いたしまして、できるだけ善処いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後二時五分散会