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小林(進)
委員 実はまだ最終案ではございませんが、
文部当局の交渉の
経過の今までの
説明を承りまして、実は私は二つの失望を覚えたのであります。
第一の問題は、あるいは観念論になるかもしれませんが、いやしくもいよいよあちら様の桎梏をのがれて、これから独立の、独自の
予算を組むという、ま
つたく構想を新たにして進まなければならない二十七
年度の
予算におきまして、
文部省といたしましては、この独立
日本を建設して行く
予算の中に、
教育という問題が、今の内閣なり今の
予算の面に、どれだけの比重をも
つてこれが現われるかということを、私は非常に重大なる焦点としてながめてお
つたのでありますが、ここに現われた
予算面は、単に旧
年度の
予算をそのまま踏襲して、何とか昨
年度よりもよけいとりたいというだけの、
一つのマンネリズムであります。そういう構想しか現われていないということに、私は非常に失望したのであります。この際ま
つたく新たなる角度で、これからの独立
日本、文化
日本を建設するために、
教育というものはいかにあるべきかというような大きな構想が生れて来なければならない。それが
一つも盛られていないということが、私は非常に失望にたえないのであります。特に
義務教育費の
国庫負担の問題、
全額か
半額か、そういう問題は、
文部大臣のただいまの御
説明がよいか悪いかということは別といたしまして、どうもわれわれが
地方をまわ
つて来たときに、あのみすぼらしい校舎に、一番官公吏の中でみじめな生活をしているのは教員であります。あのみすぼらしい教壇に立
つている姿をながめたとき、しかも年末越冬資金の
要求をするために、すわり込み戰術などをしているああいう醜い姿、これは
国家の
教育のためにはずかしいと思う。そういう
意味においては、少くとも、
義務教育費の
国庫負担というものが完全に施行されないにしても、ああいうことが再び繰返されないことにするために、特に
国家の手で何割かが教員のために、
義務教育費の
国庫負担という問題でなしに、別に
予算を組む、そういう方面に
文部大臣が指令をする、何とか新しい構想がこの中に
一つでも二つでも盛られなければならないと思
つたのでありますが、どうもそれがない。それからこういうことは議論でありますが、
義務教育費国庫負担の
費用は、一割でも二割でもよろしい、大いにがんば
つてもらいたいということを
考えます。これは私立
大学の
振興費でありますとか、こういうことも
教育全般の面からいえば、大いにがんば
つてもらいたいのであります。今の御
説明ではとうてい私
どもは納得できない。
それからいま
一つ思われることは、文部だけではありませんが、ほかの
委員会、農林でもそうでありますが、大体議員提出案なる法律に対しては、どうも
予算の盛られ方が少い。これは
国会における痛切な感じであります。このたび提出されるものが、あるいは議員提出になるかどうかわかりませんが、この私立
大学の
振興法案というものは、どういう構想でお出しになるかしりませんが、原案は官庁でおつくりになるかもしれません。とにかくこういうことで、大いにがんば
つていただきたいと思います。
第二に失望を感じたことは、昨
年度も私
どもは通常
国会の終了後、相当に
全国をまわ
つたのでありますが、
地方を視察して参りました報告資料が、
関係官庁に提出されてあるはずであります。こういうわれわれの
意見が、
文部大臣並びに属僚官僚諸君に対して、一体どれだけ重視されたかという問題であります。私
どもは、報告資料なんかも、相当熱意を込めて、
教育はかくあれかしということで、報告書類を出しておるが、この
予算面には、少しもそういうことが現われていない。たとえていえば、
一つの小さな例でありますけれ
ども、室内運動場や雪中運動場なんかも、特に私
どもは諸
地方をまわ
つた実情に照して真剣に
要求したけれ
ども、何か今の御
説明では、私も少し耳がはつきりしませんでしたけれ
ども、六・三制の設備資金の三十七億の中の九千万円というような御
説明で、実に昨
年度のわれわれがそういう視察をして報告をしない前の
考え方と同じ
考え方でこういう
予算を組んで
要求しておられるのではないかという感じを受けるのであります。こういうことは、
国会議員たるわれわれのそういう視察報告書類をまず重要視して、こういうことを明らかに
予算面に出してもらわなければならないのであります。
以上の二点が、私
どものはなはだ失望するところであります。大いに
文部当局の奮励をお願いいたしまして、私の質問はこれで終ります。これに対する何か具体的な答弁がありましたならば伺いたいと思います。