○
井上(良)
委員 ただいま議題と相なりました
井上良二外九十五名
提出、
飼料需給調整法案につきまして
提案理由を御
説明いたします。
御
承知の通り、畜産振興と
農業の有畜化は、戦後新しい
農業政策の一環として大きく取上げられて参りましたが、特に食糧
政策上、あるいは国民食生活改善の
見地から、
家畜の増殖、有畜
農家の維持創設が重要な問題として検討され、その計画もようやく軌道に乗り始めましたことはまことに喜ばしいことと思うのであります。しかるに、最近の飼料需給とその
価格の事情は、きわめて不安定でありまして、関係
当局の懸命の努力も、また
当局から関係業者に対して発せられました再三の自粛
価格要望も、遺憾ながらほとんどその効なく、万一このまま放置いたしますならば、有畜
農家の飼料
購入難を通じて、せつかくの
家畜増殖計画も行き詰まるのほかなき事態に立ち至りますことは、火を見るよりも明らかなことと存ずるのであります。
申し上げますまでもなく、この飼料需給の不安定と
価格の高騰は、年々増殖されます
家畜の頭数に比較し、飼料の絶対量が不足しておりますことが根本的な原因でありまして、自給飼料、
購入飼料の積極的
増産、飼料輸入の増加によ
つてその根本的な解決をはからねばなりませんが、何と申しましてもそれらの
政策が完全に実施され飼料の供給が十分になりますまでにはなお相当な時日を要することであり、当面する有畜
農家の飼料難を除去いたしますためには、どうしても国の手によりまして飼料の需給を調整し、
価格の安定をはかる方途を講ずる必要があるのであります。また、特にふすま等につきましては、麦類の輸入または
政府管理に際して莫大な補給金が支出され、それらはすべて国民の租税負担によ
つてまかなわれているわけでありますから、
政府の手から売り渡された麦類について生ずるふすまは、当然、安定した
価格で飼料消費者の手に渡ることとしなければならないと存じますので、これらの諸点を勘案いたしまして、当分の間、国が飼料の需給調整を行うことが最も妥当な方途であると存じ、ここに飼料需給調整のための立法措置を講ずることといたしたのであります。
内容のおもな点につきまして御
説明申し上げますと、第一に
政府は、
農林大臣が定める特定飼料需給調整計画に基きまして一定量の飼料の買入れ、保管及び売渡しを行い、買入れ及び売渡しは
農林大臣が定める標準
価格によ
つて行うこととし、買入れ及び売渡しの時期、数量、種類等についには需給計画で定めることといたしたのであります。第二に飼料の売渡しにつきましては、原則として入札の
方法により一定の
価格以内で売り渡す規定を設け、また売渡しにあた
つて政府が必要な條件を付することができることとし需給の円滑を期することといたしております。第三には、
農林大臣が必要に応じて飼料の製造、販売、輸送、保管及び消費等に関する
報告を徴し得ることとし、第四に、以上の諸項目を最も適正に実施し、かつ、関係者の
意見を十分尊重するため飼料需給調整
審議会を設けることといたしたのであります。
以上がこの
法案の目的及び内容の概略でありますが、畜産振興の上からもまた
農業政策全般から見ましても飼料の問題はきわめて重要であると存じますので、何とぞ愼重御
審議の上すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げる次第であります。