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1952-05-15 第13回国会 衆議院 農林委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十五日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 松浦 東介君    理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君   小笠原八十美君       小淵 光平君    川西  清君       坂田 英一君    坂本  實君       千賀 康治君    田中 彰治君       中馬 辰猪君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    吉川 久衛君       高倉 定助君    石井 繁丸君       竹村奈良一君    足鹿  覺君  出席政府委員         農林事務官         (農政局長)  小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君  委員外出席者         農林事務官         (農業改良局統         計調査部長)  安田善一郎君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇八号)  農業災害補償法臨時特例法案内閣提出第一三  七号)  農業共済基金法案内閣提出第一五五号)  畜犬競技法案原田雪松君外四十四名提出、衆  法第三二号)     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長 これより農林委員会を囲会いたします。  まず畜犬競技法案議題といたし、出会に引続き質疑を進めます。質疑または御意見のある方は発言を許します。発言はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦東介

    松浦委員長 なければ、この際お知らせいたします。先般吉川久衛君より小案に対する修正案提出いたされております。その内容はすでに各位のお手元に配付いたしておきました通りでございます。これより本修正案議題といたします。提出者趣旨弁明を求めます。吉川久衛君。
  4. 吉川久衛

    吉川委員 ただいまお手元に配付いたしました修正案に関して、提案の理由内容を御説明申し上げます。まず第一点は、第一條の法律制定趣旨原案修正の線に沿いまして一層明確化したのであります。すなわち本修正案においては、畜犬その他の動物改良増殖、窮迫せる地方財政収入増加並びに社会福祉に貢献するという二つ目的を明瞭にうたつてあります。  第二点は、五大市施行を認めたことであります。  第三点は、第十七條の畜犬競技施行有収入の使途ば、原案では、施行者収入とすることができる金額のうちから、政府への納付金及び畜犬競技開催に関する経費を差引いた残額の中から、その残額の四分の一に相当する金額を下らない金額を、第十六條二項に掲げる事項に関し必要な経費として支出するものとする規定でありますが、数字上のあいまいな点を明らかにしますために、修正案においては、畜犬改良会実施を委任したときは、優勝投票権売上金額の百分の三以内を畜犬改良会に交付することとし、地方財政収入増加のためには、明確にその百分の十九を支出すべきを規定しました。  第四点は、広く社会福祉事業に貢献するため、畜犬改良会連合会をして二つ以上の都道府県を区域とした畜犬を出場せしめる優勝競技施行を行わしめるごととし、しこうして自己の収入とすべき金額の中から、国庫納付金及び開催に関する経費を差引いた残額の二分の一ずつをそれぞれ社会福祉のために必要な経費及び動物改良事業家畜衛生向上等に必要な経費として支出しなければならないことに規定いたしました。  第五点は、原案においては「畜犬改良クラブ」とありますが、畜犬改良会連合会であることを明確にするため、「畜犬改良会連合会」と名称の変更を行いました。  第六点は、以上五点の修正によつて生ずる関係條文の字句の修正をしました。  第七点は、原案の附則第二に規定してある輸入犬出場制限は、その必要を認めないので削除することにしました。  以上が修正の大要であります。何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 松浦東介

    松浦委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付します。討論の通告がありますから順次これを許します。竹村奈良一君。
  6. 竹村奈良一

    竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま提案されました畜犬競技法並びに修正案に対しまして反対意見を申し述べるものであります。  まず日本敗戦いたしましてから、国内における一切の風潮は、あげていわゆる植民地的な性格を露骨に現わして参つたのであります。御承知のように、敗戦後におけるいわゆるパンパンの激増、あるいはまたパチンコ競馬競輪、こういう種類を通じて、またそれ以外の面からいたしましても、非常にかつての植民地的な上海の様相をそのまま日本国内全国に植えつけて参つたのでありますが、この法案を通じてまた一層そういう植民地的性格を助長せんとするがごときものであるとわれわれは考えるのであります。少くとも今日日本日本民族独立を目ざして国民が一切の不平等的な條約と、アメリカの軍事基地等に対してあげて反対し、そうして日本民族独立を確保するために、国民の各層が、あげおのおのの立場において闘わなければならないときに、少くとも国の最高機関であるところ国会において、みずからこういう法案を草し、もちろん健全娯楽とかなんとか言われておりますけれども、しかしこういうような形において、国民を遊興あるいはその他の娯楽の面だけにひつぱつて行くことは、われわれは考えなければならないと思うのであります。少くとも今日のこの日本ほんとうの現実を直視いたしますときに、一切の賭博行為を廃し、そうして少くとも日本が完全に独立する日まで、われわれはあらゆる場面において、あらゆる方法において国民が蕨起して、そうして外国の支配からのがれなければならないときでありますがゆえに、われわれはこうしたいわゆる賭博行為を助長し、そうしてかつてのモナコあるいは上海というような形に日本を持つて行こうとする考え方に対しては、断固として反対するものであります。
  7. 松浦東介

  8. 石井繁丸

    石井委員 日本社会党を代表いたしまして、本法案に対して反対意見を申し述べるものであります。  競馬にいたしましてもあるいは競輪にいたしましても、どちらにいたしましても、農村等におきまして競馬に行つたりあるいは競輪に行つたりするものは、まじめな農民にはほとんど少いのであります。しかるに最近競輪競馬あるいはパチンコ等が来まして、まじめな農民を次第にそういうふうに引込みまして、農業を放擲するというような傾向が現われており、これはわれわれ農村における者としましては、非常に憂慮にたえないわけであります。競輪等につきましても、その弊害が非常に多いのであります。一部競輪廃止の論が婦人等を中心とし、特に農村においては婦人等はこれを強く主張しておるようなわけであります。こういうことを考えますと、本案につきましても、あるいは若干の根拠もあるかもしれませんが、全体としましては、農村あるいは各方面の人々に與える影響は非常に多いということは、論をまたないわけであります。今までは一応占領治下にありまして、日本国民が一つの方針に従つて指導されておつたのでありまするが、今後は日本人がその自覚と責任におきまして事を処理しなければならない、こういうふうな重大なる立場に立つておるわけであります。そういたしますると、農村方面等に対しましても、当農林委員会としては大局的に、自主独立した立場におきまして法案等も制定いたしまして、そうして農民の輿望にこたえるというような態度がとられなければならない。占領下におきましては、一応何にしましてもわくがあつたのであります。今後におきましては、すべてが国会自主的責任において処理せられなければなるまい。こういうときにおきまして惰農を奨励するような、こういうふうな競技をまた加えるというようなことは、非常に当農林委員会としては、とるべき態度ではない、こういうふうに考えるわけであります。われわれとしましては、競馬あるいは競輪その他者賭博類似行為は、これは亡国国民のやることでありまして、敗戦後アジアにおけるところ適任者として、また今後民主国家としての大きなるところ地位を獲得すべき日本国民のとるべき態度ではない、こういう見地に立ちまして、かような法案等は、これは反対せざるを得ない、こういう立場に立つものであります。
  9. 松浦東介

  10. 足鹿覺

    足鹿委員 日本社会党第二十三控室は、本案並びに修正案に対しまして反対であります。反対意見は多くを申し上げる必要はないと存じますが、現在の日本の置かれておりまする立場をよく考えてみました場合に、本法案に盛られておりまする、あるいは畜犬行政財政的に裏づけて行くとか、あるいは地方自治体財政に寄與するとかという、一応合理的な法案目的は示されておりますが、結局においてこれは世をあげて賭博狂の時代を現出し、そうしてその得られた若干の利益地方自治体に還元されるといたしましても、それはとつてつて地方住民がみずからの射倖心を刺激されることによつて投じた金がみずからの手へもどつて来るということだけでありまして、そう大きく、われわれはこれが地方自治体財政に益するとかというような意義を感ずることは、きわめて無理であろうと存じております。そういつた面から考えてみまして私どもとしましては、基本的にかかる射倖心を激発して行く、賭博を公然と認めて行くというような段階では日本は現在ない。日本の置かれておる客観的情勢は、内外ともにきわめて多難である。しかも国内においては、漸次国民の生活が不安定になりつつあります。この国民の生活不安に撃てわれわれが的確な対策を立てることこそが、国会の任務であり、この民衆の持つ生活不安を、一時的な射倖心を激発することによつて中和し、あるいは麻痺させて行こうとするがごとき結果をもたらすようなかような行き方に対しましては、私どもとしては賛意を表することはできないのであります。  なお一例を申し上げまするならば、本案は一枚の券が二十円ということになつておりますが、二十円という金は、今から見まするならば、だれでもとりあえずくめんのつく金であります。従つていわゆる年少者といえども家族に連れられて競犬場へ出入りができることになり、たとい家族の保護のもとに行われたといたしましても、幼いときからかような射倖に対するところの興味を與え、そうしてそれに対して習熟させて行くということが、はたして次代を背負う日本青少年訓育上どういう結果をもたらすかということを考えた場合に、地方財政に裨益するとか、あるいは畜犬行政に寄與するとかというような若干の利益面がかりにあつたとしても、大きな面で日本民族の復興と祖国の再建をになつて行く今後の青少年訓育の上から見まして、私どもはとるべき措置ではないと考えるものでありまして、もつと他に健全娯楽の方途は多々あろうと考えるものであります。よつてどもとしましては、本法案並びに修正案に対しましては、反対をいたすものであります。
  11. 松浦東介

  12. 小笠原八十美

    小笠原委員 私は自由党を代表して、原案にも修正案にも大賛成であります。その理由とするところは、共産党その他社会党の見るところと違いまして日本人というのは、生れながらにしてばくち根性というのは持つて生れている。これあるがために、奮闘して、農村の働きも倍加している。これを全部やめされるというならば、去勢した馬みたいに役に立たない国民になる。従つて脱法行為でばくちを打たせぬで、どうしてもこれをどこかへ集中して、法律のもとに監督してやらせるということは、これは必要だ。競馬といつても全世界にある通りでありまして、これらもみな法律によつてやらせているようなものだ。ただ方法論はいろいろあるてありましよう。方法論に対しては、論議することはたくさんあるでありましよう。しかしこれを、競馬も悪い、競輪も悪い、犬の方もみな悪いというので、全部法律によつて特別に許すというような行為がやめだということになつたら、一体国民の活動はどうなるか。ことに犬というものはこれは争いは本能なんだ、本能を生かす上において、この法律は最も適当なものであつて、これをやらぬなんということは、とんでもない話だ。見方の幅が違う。従つてこの法案に対して大賛成であります。
  13. 松浦東介

    松浦委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより逐次採決に入ります。まず畜犬競技法案に対する修正案について採決いたします。本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 松浦東介

    松浦委員長 起立多数。よつて修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正案修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 松浦東介

    松浦委員長 起立多数。よつて畜犬競技法案は、修正案のごとく修正すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六條の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松浦東介

    松浦委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定しました。     —————————————
  17. 松浦東介

    松浦委員長 引続きこれより農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法案農業共済基金法案の三案を一括して議題といたし、従前に引続き質疑を行います。竹村奈良一君。
  18. 竹村奈良一

    竹村委員 まず私お伺いいたしたいのは、先般来から本委員会におきますところの各委員質問を聞いていますと、おおむねこの共済掛金に対するところ国家補助金というものが莫大に上つているのではないか。     〔委員長退席遠藤委員長代理着席従つてこれに対しますところの、いわゆる災害共済の仕方あるいはその他について粗雑ではないかというような質問が、いろいろやられおるわけでございますが、私のお伺いいたしたいのは、これは一応根本的な問題になるかもわかりませんけれども、まず今日まで災害補償法によりますところ共済事業、つまこれは農民がおのおの災害を受けましたときに、いわゆるその負担農民全体によつて負うということを建前として、そうしてまたこのいわゆる災害補償するという観点から、政府が若干の補助をしておるということになつておるのでありますが、私の伺いたいことは、今日いわゆる農民が実際におのおの災害を受けましたときに、農民全体が助け合わなければならないと考えますけれども、必ず助け合うその負担を、個々農民が共同してその災害を分担する、しかもその分担をし得るような立場にあるかどうか、まずこのことが私は大きな問題であろうと思います。最近の農林省のいわゆる農民の家計調査を見ておりましても、相当な赤字が出ておる、最近ではまた赤字が出ておる。こういうような場合に、たとえば一地方災害が起つた。その際全国農民がその災害一部分負担するというようなことは、さなきだに農家赤字の家計の上に、さらに赤字を増大せしめるのではないか。従つてほんとうから申しますと、現在の長い間続いて来た伝統的な日本農村地位、ほかの、いわゆる近代的な産業と比べて最も低い地位に追いやられている農民が、そういう負担をするということはでき得ない状態にあるのではないか、私はこういうふうに思います。従つて現在のいわゆる掛金というものについて、全国農民は声をそろえて高いことを訴えておる。従つて喜んで掛金をかけている農民はないのであります。ということは、根本的には農業そのものが成り立たない状態にある。つまり今日資本主義経営のもとにおいて、今日の日本農業そのものが成り立たないところにある。これが原因であると思う。従つてほんとうからいうならば、こういう掛金というものは全額国庫負担しなければならない性質のものではないか。農民が今日の経済組織のもとにおいて成り立たないような状態に置かれている以上、少くとも共済という形ではなしに、災害国家補償するという形において、そういう形のものに変形しなければならないのではないか。従つて農民掛金をかけて、共済的に、いわゆる全農民にその災害一部分負担をさせるというのじやなしに、少くとも今日政府が全額によつてこれを補償して、そうして災害国家が全部負担するという制度にかわらなければならないのではないか、こういうふうに私は思うのであります。ところがこの案を見ておりますと、それと反対の結果になつて来る。つまりそれはいわゆる三つを出されておる中で、前々からも質問いたしておりますが、新しくいわゆる試験制度を設けまして、農家単位共済方法というものが生れて来ておるのでありますが、こういう考え方は、少くとも先ほどから申しました今日の状態からいえば、掛金をかけまして、そうして共済する分は農家一戸でするという形になりますと、災害補償をする額というものは非常に少くなつて来る。従つてその負担農家も少くなるが、しかし災害補償してもらう額というものも非常に少くなる、こういうことから考えますと、こういうものはこういう試験的な建前をどるのではなしに、少くとももつと根本的に全額国庫補償するという形のものを考えるべきではないか、こう思うのですが、こういう点について、今出されておる農家一戸単位に対するところのあの試験的な方法ではあるけれども、そういう方法をもうとりやめて、別な観点からやる考えはないのか、この点を政府に伺つておきたい。
  19. 小倉武一

    小倉政府委員 掛金農家負担という関係から、農業補償というものは全額国庫負担してやつて行つたらどうか、それに関連いたしまして、農家單位ということで試験するのがそういう要請に対して逆行するのではないかという御趣旨の御質問と承りましたが、掛金負担が一体農家にどの程度の重圧になつておるかということにつきましては、この單いろいろ論議があつたのでありますが、二十七年度におきましては、農家負担の絶対額は、二十六年度とほぼ同様である。水稲の共済金額はふえておりますが、農家負担する部分は原則としてすえ置きにするといつたようなやり方を実はいたしております。従いまして今回の一部改正法によりまして掛金が特にふえるということはないように、承知をいたしておるのであります。全額負担すべきかどうかということにつきましては、農業災害といつたものの本質が一体どういうものであるかということに相関連して参ろうと思うのであります。農業災害の中には、お話のように、国が全部やるべきものも考えておりましようし、あるいは農家が全部負担すべきものもあるでありましよう。そういう点を過去の被害の実績から割出しまして、ある部分は国が全部持つ、ある部分農家が全部持つということでありまして、でき上つておるのが今日の災害補償制度でございまして、そういう趣旨は私どもはそれでいいのではないかというふうに考えておるのであります。なお農家単位ということをやります結果、国の補償制度に対する国庫支出金が減りはしないかということでございますが、その点は、必ずしもさように結論できるかどうか、これはなお実験の結果を待つて検討すべき問題ではないかと思うのであります。なるほど農家単位をやりますことによりまして共済金を受ける農家の数はよほど減るのではないかというふうに思つております。しかし補償を受ける必要のある農家には、従来よりも十分の補償ができることに相なるのではないかと実は考えております。その結果国庫負担が全体として著しく減るかどうかということにつきましては、ただちに結論ずることはできないように考えております。
  20. 竹村奈良一

    竹村委員 この農業災害補償法の一部を改正する法律で、たとえば農家一戸に支拂うということになると、いわゆる損害等に安排いまするところの金というものは、これは試験的にやつてみなければわからないとおつしやいますが、私の考えでは、いろいろな資料から割り出しますと、損害等支拂額は三分の一以下になるのではないかというように考えておるわけです。そこでこれはほかのことになると思いますので、問題の本質とは違うかもわかりませんが、少くとも農家一戸に対して支拂うということになりますと、掛金の取方は、やはりこれでも反別によつておとりになると思いますが、反別によつてとる場合、これは技術的に非常に困難じやないかと思うのです。少くとも反別によつて保険金をかけておる、たとえば一町つくつておる農家がその一反々々に保険金をかけておる。ところが今度支拂う場合は一町全体のうちから見て支拂う、それによつて災害補償金支拂うということになりますと、掛金の取方というものが技術的にも法律的にも非常に困るのじやないかと思うのですが、この点は、困らないような取方をどういう形でやられますか、それをひとつ詳細に承つておきたいと思います。
  21. 小倉武一

    小倉政府委員 掛金の点は、農家単位になりますと、石当り掛金になるわけであります。
  22. 竹村奈良一

    竹村委員 石当り掛金個々掛金としておとりにならのですか。やはり反別、いわゆる何番地の何畝何反で、一反何ぼという割合でおとりになるのじやないのですか。
  23. 小倉武一

    小倉政府委員 石当りであります。もちろん、石と申しましても反別には関係ございますが、従来のような反当幾らの共済金従つてそれに対する掛金率をかけまして掛金を納めるというふうな関係ではなくて、石当り共済金額をきめまして、その石当り共済金額掛金をかけて掛金を出すということになるわけです。
  24. 竹村奈良一

    竹村委員 石当りによつて掛金をかけさすということになりますと、たとえば一町つくつておる農家に対しての石当り基準というものは一体どこからおとりになるのですか。
  25. 小倉武一

    小倉政府委員 それは農家耕作反別と、それから基準収量といつたものから収量石数が出て参るわけであります。その八割を共済金額にするということに相なるわけであります。
  26. 竹村奈良一

    竹村委員 その基準反収はだれがどういうところで査定されますか。
  27. 小倉武一

    小倉政府委員 これはまだ全国的に実施をいたしません関係上、最後の場合にどうなるか確定はいたしておりませんが、基準収量のきめ方は、現在の基準収量のきめ方と同じでございます。
  28. 竹村奈良一

    竹村委員 現在の基準収量のきめ方と申しますと、それは、たとえば供出するまでの基準収量の額でございますか。
  29. 小倉武一

    小倉政府委員 供出には直接の関係はないのでありますが、たとえば統計調査事務所収量調査をいたします場合に、基準収量と大体一致をするように調査部保険関係とが割出しましたものを基準収量といたしまして、それを県別にわけ、保険の方ではそれをさらに町村別にわけるという作業をいたしております。それがさらにもつとこまかくなりますれば、筆別基準収量がきまるという建前にいたしておるわけであります。
  30. 竹村奈良一

    竹村委員 そういうきめ方になりますと、たとえば町村において共済掛金を徴収する場合に、現在の職員でそれをとり得るような基準が出て参りますか。非常に繁雑になつて来るのではないかと私は思うのですが、その点はどうですか。
  31. 小倉武一

    小倉政府委員 現在でも、町村基準収量とそれから農家筆ごと基準収量というものはできておりますので、それを集計いたしますれば全体の農家としての、たとえば水稻ならば水稻としての基準収量が出て参るわけであります。その八割に石当りの価格をかければ共済金額が出て参るということに相なるわけであります。
  32. 竹村奈良一

    竹村委員 従来で ございますと、たとえば麦や小麦の場合も供出をやつておりましたので、農業委員やあるいは村のその他の関係において、大体統計でもやられておりましようからわかりやすいが、御承知のように、今これは参議院にまわつておりますが、これが通過いたしますと、そういう収量の決定というものはほとんど農林統計調査だけになつて町村において納得するような実際面における収量というものはほとんど出ないのではないかと思う。つまり、各町村が実際実質的にわかり得るようなそういう供出制度がなくなりますと、調査がなかなか困難ではないかと思いますが、この点はどうですか。
  33. 小倉武一

    小倉政府委員 供出制度が撤廃されれば基準牧童が把握しにくくなるのではないかという御説でございますが、供出制度撤廃ということに伴つて統計組織が非常に弱体化されるということが当然とすれば、さようなことになりかねないかと思いますけれども、作物統計組織の収量調査というものは、今御議論がございますように保険とも非常に関連がございますので、そういう点からも、従来のようなこと、あるいはそれ以上の統計が整備するように私どもは常に期し、またそうありたいと考えております。ですから、統計組織が弱体化されて、基準収量を把握することが困難だということは考えておらないのでございます。  それから、先ほどの御質問に関連するわけでありますが、基準収量が出て参りましたときに、共済金をどういうふうに算出するかということでありますが、農家単位に本格的に実施する場合には先ほど申しましたようにいたすわけでありますが、さしあたりのとうしろは、掛金率を一体いかにしたらいいかということがわかりかねるわけでございます。従いまして従来のたとえば村なら村の総掛金を、村の基準収畜の八割を全部で割るということでもつて石当り掛金は現段階では簡単に算出し得る、またそういう掛金をさしあたりは納めてもらうということにいたしておるのであります。
  34. 竹村奈良一

    竹村委員 どうも聞いておりますと、私は農村においては非常にこの問題は——もちろん試験にやられるという巧妙な形でこの法案は出されておるのですが、しかし実際問題としては、たとえば掛金の徴収にいたしましても、いわゆる基準収量を基礎として、その八割に掛金をかけるということになりますと、これは少くともその掛金を幅個の農家にかけさす場合におけるこの基準収量というものが、非常に私は問題になつて来るのではないか、少くとも従来の供出制度のもとにおける、またその前の食確法による事前割当の数量あるいはその後における供出数量においても、あれだけの既往の村における農業委員会あるいは食糧委員会というような組織をもつてあるいはその他における政府統計調査事務あるいはその他のいろいろな基準をもつてきめられたものにおいても、非常な議論が起つておるわけであります。従つてこれは満足に行つておらない、それが今なおいわゆる共済組合掛金のかけ方をそういう基準収量のもとにおいてかける。しかも今まで聞いておりますと、従来かけておつた金額を大体集めて、それをその村の総石数で割つて、そうして掛金率をきめるということになりますると、もちろんいわゆる収量というものが毎年一定していないのでありますが、そういう場合は一体どういうふうに毎年かわるのですか。その点今年はこれだけとれるが、来年はあるいは少しかわるかわからない。つまり共済の対象にならない程度の減収があるかわからないという場合に、一体共済金はどういうふうになるのでございましようか。
  35. 小倉武一

    小倉政府委員 基準収量は、これは統計の整備するに従いまして、あるいはまた新しい土地の収量が確定するということになれば、この新しい組織の収量も参照するという意味におきまして、大体毎年かわつて参るというふうにお考えになつてよろしいと思います。     〔遠藤委員長代理退席、河野委員長代理着席〕
  36. 竹村奈良一

    竹村委員 この点につきましては、私はどうも納得が行かないのでありますが、これはごの程度にして、続いてお伺いいたしたいのは基金の問題であります。いわゆる十五億を農民負担さすというよりも、むしろ各連合会の出資にまつということになつておりますが、これは従来の協同組合連合会の二十八億余りの赤字がありまして、その上に十五億を出すということは、前にもお伺いいたしたのでありますが、大体負担できるだろう、こういう考えでありますけれども、たとえばこれは毎年に割つて出すといいましても、実質的にはこれは農家負担になるわけでありますが、少くとも均分に半分負担さすという考え方、あるいは先ほど申しましたように、災害補償するという根本法の建前から考えて、この連合会負担さすということは、しかも連合会というものは、結局農家に半分を負担さすというようなことは根本的にはでき得ないことではないか、またそういうことをさすべきではないのではないか、こういうふうに考えるのですが、これは何とかして政府で全額負担するという考え方はできないものかどうか、この点を伺つておきたいと思います。
  37. 小倉武一

    小倉政府委員 そういう考え方ができないわけではないと思います。共済制度が一種の国の制度として発足している以上、それに伴つて当然必要な共済金支拂いのための融資機関ということでございますから、全額出資するという考え方も成立しないわけではないと私は思います。しかしながら他方また共済制度というのは、先ほど掛金についてお尋ねがございましたように、農家と国が相ともに掛金を出してやつて行くという国と農家の側のいわば共同の事業になつておるというようなことから見ますと、共済金支拂いのための基金も、これはやはり農家と国との共同の機関として、従いましてそれを資本金に当てはめましたならば、半額ずつお互いに出資をするということでやるということも、十分成立ちますし、現在の補償制度のもとでは、その方がより全体の性質に合致しているように考える次第であります。従いまして、今回は十五億を農家の側が出資するということにいたしておるのであります。これが恒久的にこの二分の一ずつ出資するのが絶対的なりくつであるかということになりますと、ちよつとこれは御議論のような点が当然出て来るのではないかとも思います。
  38. 竹村奈良一

    竹村委員 それから前々からの各委員の方たちの質問の中で、また今後共済掛金支拂いについては、少くとも農林省統計その他によつて災害の程度を厳重に査定する、こう言つておられますが、私の考えでは、あの全国的な統計というものは、現在の災害状態とは少し合わぬのではないか、ほんとうは合つてはならぬのではないかと思います。たとえば全国で二割なら二割の災害があつたとしましても、個々農家にいたしますと、五割の災害を受けているものもある、七割の災害を受けているものもある、あるいはないものもある。それを全国的に集めていわゆる収量統計というものが出て来るのであります。従つてそのいわゆる農林省の全国的な統計掛金支拂いとは、勢い掛金支拂いが多くなるのがほんとうであつて、それと当然これは合せなければならないという考え方自体が、端的に共済の精神から言うと、そういうことは統計にならないと私は思うのです。前々からの委員質問によりますと、大体いわゆる減収率がはつきりしているのにそれよりもその災害掛金支拂いが大きいじやないか、こういう質問がいろいろあつたのですが、これに対してあなたの方は、全国的に見てその統計に大体合致するのだとおつしやつておられますが、合致すること自体が私はふしぎだと思う。そんなことはない。少くとも全国的な平均で、災害が二百万なら二百万あつたとしても、個々農家災害ではないのであつて、しかもそれよりも増収した分は勘定に入れられない、個々の一筆一筆の土地といたしますと、それは入れられないのでありますから、少くとも掛金というよりも、災害共済掛金支拂いというものが、そういう統計よりもずつと上まわるのがほんとうであつて、そこに一応の疑惑を持つ人もあるかもしれませんが、事実は支拂いが大きくなるのがほんとうではないかと思いますが、こういう点について、あなたの方では大体合いますと言つておられますが、それは合わないのがほんとうではないかと思いますが、その点はどうですか。
  39. 小倉武一

    小倉政府委員 この問題については、いわゆる減収額ということが何を意味するかということの限界があるいは違うのではないかと思いますが、保険と作物統計と比較してみます場合に、もちろん保険の場合は一筆單位を基本にいたしておりますから、いわば被害の部分だけを集積した結果に相なつて参るのであります。従いまして、統計の方でもそういうマイナスの部面だけを集積した被害高というものが正確につかめますならば、これは理論上は一致すべきはずのものであります。ところが現在そういう意味のマイナス部分だけを集積した意味の保険の被害と、統計の被害とは必ずしも一致しない、むしろ相当の開きがあるというところに実は問題があるのであります。もちろんこの減収というのを、農家單位といつたようなことで表現されるように、たとえば国単位の減収、国全体でたとえば米で六千万石というのが平年作といたしました場合に、五千五百万石だつたから五百万石減収というふうな場合には、この五百万石と保険の減収とはまつたく性質が違うものでありますし、合わないのが当然でございますが、最近統計調査部の方では、ちようど保険とマッチするような意味での被害高調査もだんだんと固められて来ておりますので、そういうものと比較し得るかいなか、またそういうものでもつて保険の損害評価を査定できるかどうか、あるいはさらにはそういうものを一体損害評価のわくとできるかどうかということが実は問題だろうと思うのであります。私どもはそういう意味におきまして、なるべく損害評価を統計調査の被害調査と結びつけて行きたいというふうに、方針としては考えておるのであります。なお統計調査部長も参つておりますので、その点についてあるいはお答えがあるかもしれません。
  40. 安田善一郎

    ○安田説明員 竹村委員から御話がありました点につきましては、農政局信と同意見でありまして、竹村委員のおつしやることに関します限りはおつしやることが正しいかと思つております。多少補足して申し上げますと、前提としての第一点でありますが、被害調査というのは物がなくなつたのを調べることでありまして、現実実在しているものを調べることより非常にむずかしいのであります。そこでみなが努力してもよい調査ができかねることもあるのであります。もう一つは農政局長がおつしやいましたように、共済組合では従来の方法で着々と研究を進められ、私の方でも新しい方法も加えて進めておりますが、研究過程にあるので、それは決してあまり素朴的なものではなしに、かなり完成に近づきつつあるのでありますが、研究過程であるということの前提であります。もう一つは、私ども統計は、米なら米の収穫量がどれだけあるかを調べることを第一の統計目的といたしましてそれを出せばいろいろな用途に使われるという基本統計を作成することを目的といたしております。そこで竹村委員の言われるように、被害だけをとらえる分については合わないところが出て参りますが、しかしこれに対しましては農政局長がおつしやいましたように、まず基準となるべき普通の被害があるような場合には、収量はどれくらいかということを過去の統計を資料にし、毎年積み重ねて行きます。坪刈り実績を基礎にいたしまして、毎年の平年反収を、私ども農業共済制度との関係で統一して今ではきめているのでありますが、残つた実存する収量そのものを、全国十一万筆ごらい坪刈りして実測している点にお尋まして、私どもは科学的であり比較的正確に近いものと思つております。しかしその中には、お話のように増と減の差引きがありますから、収量そのものを第一にねらう統計であるとは言うものの、各種用途があるものでありますから、その収穫量の内容としては、その収穫量に一致するように増がどれだけ、平年的なものがどれだけ、減がどれだけということもこれを別個に調べながら、結果においては三者が一致するように統計内容を確立し得る過程にしつつあるわけです。そういう点を細部として補足的に申し上げておきます。
  41. 竹村奈良一

    竹村委員 さて私は先ほどから、農家にかけさすいわゆる共済掛金というものが非常に農家を苦痛にする。そうではないというお話ですが、これは全額を国庫で負担すべきではないかと言いますと、これは農家政府とが共同でやる事業だから半々くらいの負担はやむを得ない、こういうことでございますが、これは農政局長ほんとう考えを伺つておきたいのですが、大体はつきり言いますと、たとえば今日の政府の買い上げる米価の算定にいたしましても、ハリテイ計算でやるとか何とか言つておりますが、實際におけるところのいわゆる生産費調査の上に立つて、拡大再生産をする米価を決定していないことは、もう統計をつかさどつておられる農林省としては、十分御承知のことだと思う。従つてたとえば二十六年度の産米にいたしましても、これはわれわれ常々やかましく言つておるわけでございますが、たとえば超過供出に対して二千円を出された、つまり九千円にされたというのも、出産費を償わなければ農家が超過供出に応じないという一つの証拠であろうと思う。従つてあの統計調査から言いますと、少くとも二十六年度産はほんとうに拡大再生産をするための米価を決定しているとするならば、一万円に近い米価でなければならぬ、これは統計上はつきりしていると思いますが、そういたしますれば、たとえば二十六年度の米を政府が二千五百五十万石七千円で買い上げますと、結局農家に対しては全国で七百五十億という莫大な損失を與えて買い上げておるわけです。二十六年度の米の供出に当つても、それだけ価格の面において農家に損失を與えているわけです。それでなお掛金は共同でやれというのは理論的に私はどうも立たぬと思います。しかもその上に基金制度をやるのに、二十六年度の米だけでも政府農民に実質上負担をかけておいて、安くとつておいて三十億のうち十五億を農民に半分出せと、こういう考え方だから農民掛金をかけるのはいやがる、従つて私は、あなたはまつたく半分半分にしたらよいのだという考え方を持つておられますが、当然政府は全額負担すべきだ、こういう点からいつても、一年に何百億という価格の面で、米の供出が続く限りは政府は政治的にも押えていることは、私が言わないでもあなた自身は個人としてはそう考えておられると思うのです。従つて私は、少くともこの掛金については、全額国庫負担にすべきであり、しかも少々前々から委員が、農家政府補助金を出し過ぎると言つておりますが、私は出し足らぬと思う。農家ももらい足らぬ。少くとも当山然三割の減収だからやるというのではなしに、一割でも二割でもあつたらやるべきだ、農民はそれくらいもらつたつて当然だと思いますが、そういうことは別問題といたしましても、とにかく掛金全額国庫負担にしなくては、農家は今後ますます経済的に追いつめられて行つた場合には、いかに強制加入であろうとも、この取立てに対しては非常な苦心と努力と相当な強権を持たなければ、この掛金が集まらないようなときが来るのではないかと思いますが、この点に対して、農家が経済的に追い詰められようとするこの際、将来に向つてそういう制度をしく考えはないか。これは別の形で、たとえば保險制度に関連して、何か別な形における救済の方法考えておられないかどうか。  もう一つは、今日農家単位支拂うという特別の法案が出ておりますが、これだけは任意に、今試験的にやつておられますが、もしそういうことを希望する農家があるとすれば、その者には強制的でなく、任意にする考えはないか。これだけを伺つて私の質問を打切りたいと思います。
  42. 小倉武一

    小倉政府委員 現在共済組合が掛金の徴收に非常に苦労しておるということは、実はさようなふうに私も観察をいたしております。将来それがさらに一層苦心を要することになるかどうかということについては、これは農家経済の推移ともあわせ考えなければならぬと思います。その点決してわれわれ軽視しておるわけではございません。  もう一つは米価との関係でございますが、統制価格を前提とする場合におきましても、あるいは自由価格を前提とする場合におきましても、保険料いつたようなものが一体米価に基本的に入つておるものであるかどうかということについては、非常にむずかしい問題であろうと思うのであります。特に自由価格の場合にはそういう問題がございます。しかし統制価格の場合におきましても、価格算定の基礎に、日本でいいますならば、農家負担共済掛金も入つておるということは論理上証明できるかどうかといえば、私もここで証明するわけに参らない点でありますけれども、少くとも日本の場合に農家負担する共済掛金部分は、被害率から算定いたしました場合、相当広範囲の大きな損害、被害に対する部分、すなわち超異常の被害に対する部分国家が全部持つ、異常の部分はこれは農家と国が半々に持つ、それから通常の部分におきましても、全国最低の部分を除きました部分については国と農家とが半々に持つということになつておりまして異常ないし超異常の部分については、これは何としても米価におそらく入り得ないだろうということをおそらく前提としておるのではないか。全国共通の最低の部分は米価形式の点から見まして、おそらく全米価に算入されてよいし、また当然算入さるべきではないか。もし米の価格算定においてかような部分農家負担に属する部分が入つていないとすれば、これはお説のような不便がありまして、当然国なり農民以外のものからこれは負担さるべきものではないかというふうに考えます。そういうようなことについての問題は、非常に米の価絡の形成ないし保険料といつた面の形式の分析が十分でございませんので、こでどうであるかという結論を申し上げるわけには参りませんが、御指摘のような問題はこれはあると思うし、また十分検討さるべき問題だというふうに考えております。
  43. 安田善一郎

    ○安田説明員 ただいまの竹村委員の御意見農政局長の御意見を調整補足して申し上げますと、竹村委員の触れました、統計から判断して掛金農民負担力はどうだとか、被害の全部あるいは一部について全額国庫負担すべきかどうかということについて、農林省は統計をやつておるから、その統計から見ても、それが委員のおつしやるように、出ておるという点につきましては、私は米価が合理的である限りは、高いのがよろしいし、農民の生活水準も引上げるのが農業政策の目的であると思いますけれども農家経済調査等について見ますと、国税の総体的な減少、地方税の総体的の増加はありますが、掛金等を含めた租税公課全体についての農家経済の割合とか、割台の推移でありますとか、農家経済の収支、差引きしました余剰の問題とか、この点について委員はお触れになりましたが、その点につきましては、去年あたりに比べますと、今年の最近の月別状況においては、その負担力が少くなつておるとはまだ出ておらないのじやなかろうか、そういうふうに多少思います。それは確実には申せませんが、負担力がよりなくなつておるという断定をするところまでは行つていないのではないか。これはより向上すべしという建前であるとか、米価の形成の仕方、農産物に災害があつた場合の負担の仕方についてとか、財政の変化とかいうことについて、画期的な考え方をなした場合は、これは別のことでございますけれども、その点について本年は三月月別の農家経済収支は赤字が出ましたけれども、昨年は四月から赤字が出ましたが、これは農家経済の日本の状況から見まして、秋から春の初めにかけては、月別に見れば黒字、その他の部分赤字、こういうふうになりますので、軽々には判断できないということを統計マンとして御回答申し上げます。
  44. 竹村奈良一

    竹村委員 最後に一点だけ申し上げます。そういう答弁をされますから、実は農林省の統計農民は信用しない。実際農民に聞きますと、黒字だといつておりますけれども、これはどこの国の統計だということを言つております。そういう統計を出されても、農家個々ほんとうの実情は毎年赤字です。それですから娘を売らなければならぬという現実も出て来る。やみ米も売らなければ農家は立つて行かないという現実も出乗るし、いろいろな面において、農家は最近に至つては、特に農家の家計は非常に苦しい。それがあなたの方ではあまりなかろうという言葉で表現されましたが、そういうところに問題があると思いますが、それは別に議論になりますので、この辺でやめますが、ともかく実際農家の家計というものは非常に苦しくなつて、おる。事実は赤字になつておるということだけを実情から申し上げて打切りたいと思います。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 実際問題でお尋ね申し上げたいと思います。昨日でありますか、懇談会の際にもいろいろ非公式でありましたが、問題点をどう具体的に解決して行くかということについていろいろ話合いがありました。私はその際に共済掛金の合理化の問題について申し上げたのでありますが、たとえば現在超異常あるいは異常災害に対しては国家負担金があるが、普通の場合には全額農家負担をしておる。こういうようなものを現在横割りと称しておられるそうでありますが、超異常、異常、普通、こういうものを縦に国家負担をして出るということになりますと、現在の横割り制度そのものよりも、強制加入の本事業の性格から見ましても、また無事もどしの制度がきわめて室転をしており、実質的にはあまり効果が上つておらない現状から見ました場合には、負担の合理化、負担の均衡性ということが私は一番重点になろうと思うのであります。その点について、問題は予算との関係が出て来るのでありますが、農林省としてはどういうふうにお考えになつておりますか。いわゆる共済掛金の合理化の面からいつて農家負担掛金率をどういうふうにして合理化して行くかということに対して、その専門の立場に立つ人たちも、縦割制ということについては具体的な数字をあげて主張をしておるのであります。そういう点で、これをもしかりに本年度の予算との関連において、私の今申しますような縦割制を実施した場合に、財政的な面においてどういう関連が出て参りますか。またこれを適用した場合に、各府県の実情に照し合わして、どういう関連が出て参りますか。そういう実際的な、具体的な面についてお伺いをいたしたいと思います。
  46. 小倉武一

    小倉政府委員 共済掛金国庫負担農家負担を現在の制度から改正するということを前提とした場合に、どういう方法があり得るか、またその方法によつてどういう影響が農家の各層なり、あるいは地域的にあるかというむずかしいお尋ねでございます。もちろんこれは予算に制約されまして、そういうぐあいにはむろん行きません。その場合には切離しまして論ずるということはもちろんできるわけでございますが、もし現在の予算を前提といたしました場合には、これは通常共済掛金の率でございますが、その点の最低のものを除いた部分を半々ずつ国と国家負担するというようにこれをもし改めるということに相なりますると、これはやはり地域的に相当影響が出て参る。それをおつしやるように縦割りにするというようなことになりますと、たとえば通常共済掛金率を縦割に何分の一は農家負担というようなことになりますると、これはどうしても従来の掛金負担から見まして、やはり地域的に相当問題が生じて来るように思うのであります。従いましてそういうことは、どうしても掛金国庫負担の絶対額が相当程度、あるいは国庫負担の割合が相当程度増加できるという前提でなければ、これはなかなか措置がしにくいように考えるのであります。さらに超異常とか、異常あるいは通常というような、いわば被害の程度別、あるいは質的な相違をあげまして、全部縦割りにするというようなことになりますと、これはさらに一層地域によつて非常な影響を受けるわけであります。これはもう御承知のことかと思いますが、被害程度が非常に高い所、異常な被害が相当頻発するような地帶では、これは非常な掛金の増大をおそらく来すであろうということが言えるのではなかろうかと思うのであります。現在の掛金の区分の仕方は、これはいろいろ沿革があつて現在のようなことに相なつておるのでありますが、それを再検討いたします場合には、先ほど掛金国庫負担と米価との関係についてお尋ねがありましたような点もあわせ考慮いたしまして農家が経営上、あるいは農産物の価格形成上、どの部分を一体当然負担すべきであるか、あるいは公聴会のときにお話が出ましたように、純粋に損害保険的な部分は、一体どの程度のところであるかといつたようなことを、もつと実際と理論とに精密に当たり、予算の関係もにらみ合せて検討いたさなければ、どういうふうにやりましたならば最も公正に、各地方農民にさほどの苦痛を與えずに、いわば楽な気持で掛金を拂うことができるかということについては、今申しましたように、相当これは検討しなければ、ただちに結論は出て参らないように思うのであります。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 そう簡単にはなかなか結論がつかぬでありましようが、これだけ問題になつておるわけでありますから、いろいろ御研究になつておることはあろうと思う。全国農業共済協会が出しておりまする資料から見ましても、おそらく本省としてよく御存じだろうと思うのですが、かりに四分の一の縦割案で行つた場合は、現行の負担率よりも一%国庫負担がふえるという数字が出ておる。逆に農家負担は現行のものよりも、四七%が四六%に一%下るという数字が出ておる。四分の一が適当だとは私はまだ断定する根拠を持つておりませんが、かりにこの四分の一というもので行つた場合に、各関係府県に実際に当てはめた場合には、どういう影響が起きて来るか。その金額の問題について予算との関係があるとおつしやいますが、私は予算を要するならばこれはなかなか問題だろう思います。しかし実際において、予算との関連と申しましても、若干の金額によつて、ある程度是正がで寺、運営上の考慮によつてさらに効果が期待できるという場合には、あまり愼重々々とおつしやいませんで、これは実際に移すべき筋合いのものではなかろうかと思う。昨日の懇談会の席上においても、いわゆる事務的ということについては、その範囲についてはなかなかむずかしいのであつてその人の考え方なり、立場なりによつてはいろいろ違つて来ますが、私はその予算を要しない場合は、ある程度の金額で片がつく。なるほどある程度農民に対しても、十分とは言えないが、合理的な点について納得がつき得るという場合には、思い切つてこれをやつて行かなければならぬことだと思うのです。そうした場合に、一つの仮定の上でありますが、この四分の一の縦割案で行つた場合には、具体的に現われて来る現象はどういう現象が起きて来るか。そしてそれにもしこれをカバーしてこの上予算的な措置を講ずる場合には、どの程度あつたならばやり得るか、こういう一つの仮定の上で御答弁をお願いいたしたいと思います。
  48. 小倉武一

    小倉政府委員 たとえてのお話でございましたが、四分の一の部分を共通に国庫負担にするというようなことをいたします場合には、これは予算的にはそう何億といつたような国庫負担の増額はおそらく要しないだろうと思います。ここに計算したものを持つておりませんけれども、さほどの何億といつたような数字には上らないと思います。しかしそういたしますことによりまして、地方による農家負担の割合というものは、これは相当にかわつて参るのであります。これまで農家負担が、割合から申しますと非常に少かつたような地方負担割合が、相当増大して参るという地方が相当出て来るところが、一つの難点であろうというふうに考えるのであります。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 数十億という金額ではないというお話でありますが、概算してどの程度でありますか、もう少し局長具体的におつしやつていただきたい。
  50. 小倉武一

    小倉政府委員 おそらく一億程度でいいんじやないかというふうに思います。もつともこれは、ごく見当でございますので、正確なものではございません。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 大体米価にスライドして保険金が上つて行く、従つて掛金が上つて行くというのが現状なんであります。それで今局長が言われるように、今まで低かつた地帯が、縦割りした場合には農家負担が若干ふえる、こういう点について難点があるではないかという御意見でありますが、それを現状にとどめて行く、現行の掛金よりも増高しないという前提に立つて財政措置をして行く場合には、どの程度の財源が必要になりますか。
  52. 小倉武一

    小倉政府委員 そういう計算はいたしておりませんので、どの程度になるかよくわかりませんのでありますが、もし御必要ならばそれは計算をして差上げることにしてけつこうであります。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは今申しました点について計算をいたしまして、明日の委員会に間に合うまでにひとつお願いをいたしたいと思います。  まだ質問はたくさんありますが、時間の御都合もあるようでありますから、安田統計調査部長がおいでになつておりますから、私は損害評価と統計調査部との関連について、先刻竹村委員からも若干触れられましたが、具体的な問題で少し伺つてみたいと思うのです。この農業共済関係でいつも問題になるのは、掛金の合理化の問題は先刻申し上げました通りでありますが、第二点が損害評価の問題、第三点が組織体系と運営上の問題に来ておると思うのです。この損害評価の問題につきましては、現在作物統計関係で調べ出されたものに県のわくが大体において当てはめられて、この損害評価にも活用されておるやに私ども聞いておりますが、実際そうでありますか。
  54. 安田善一郎

    ○安田説明員 作物統計作成上におのずから出て参ります被害量は、県別に作成いたしまして、農政局農業保険課の方へ差上げておるわけであります。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 この調査事項は、他の面に使うことがなかなか困難な禁止規定等もあるやに聞いておりますから、はつきりとしたことは伺えぬかとは存じますが、とにもかくにも、作物統計調査資料が、損害評価に、県段階あるいは国の段階においては活用されておるということは、私ども大体わかるのであります。で町村の側から申しますと、自分たちの町村で評価して出したものが郡で直され、県でまた是正され、国でまた県段階のものが是正を受けるというようなところに、事実上の憤愚が相当あると思います。しかしこれは大局に立つて運営をされて行く場合には、著しくその主張が曲げられない限りやむを得ない場合もあろうと思いますが、しかし実際問題としまして今起きております損害評価上のいろいろな矛盾点と申しますか、問題になる点は、その村と隣村、あるいは近隣の行政区域を異にする町村町村との間において食い違いがあるということが、私は大きな問題になると思うのです。これは先日も申し上げたのでありますが、これを是正し、横の連絡をとつて行くということには、やはり作物統計等の活用が実際面において必要になつて来ると思います。実際作物統計について見ましても、わずかな人でおやりになつておりますから、町村にも委託をしておられますし、委託統計調査員もおりますから、実際上においては評価委員と兼ねておる場合もありましようし、私は、そういうようなものが渾然一体となつてうまく活用されて行くことを、むしろ期待しておるものでありますが、そういつた面において、作物統計事務が、ほんとう農民から感謝されて行く方向に向つて行く。今までの強権供出の裏づけとして、収奪的な供出を裏づけて行く作物統計から、ほんとう農民に感謝をされて行く作物統計事務へ切りかえて行くという面にも、非常に意味があることだと思うのです。意見にわたつて恐縮でありますが、そういつた面から、この損害評価と作物統計との有機的な関連について、あるいは調整と申しますか、そういつた点についての御構想なり御所見がないでしようか、その点をお伺いいたしたいのです。
  56. 安田善一郎

    ○安田説明員 足鹿委員の御期待されておりますことにつきまして、私不敏にしてよく了解できない点がありまするので、お答え申し上げますことが御満足いただけるかどうか、いささか佃湿たるものがあるのでございますが、農業統計、特に作物統計が、委員のおつしやいますように、農業及び農民に役立つて、少くとも国家的公平と農民利益ないし意思と一致するように統計を持つて行くことにつきましては、私ども農林省全体といたしましても、その方向に向くようにというのでせつかく努力中でありまして特に問題の焦点となつておりまする農業保険と作物統計の点につきましても、この見地から、二十五年の麦から特にそれに気を使いまして、二十六年の麦及び米につきましては、作物統計上多年研究をいたしました県別基準反攻と申しますか、平年反収を、私ども統計上使用いたしますものと農業保険の損害再評価に使用いたしますものとを一致せしめたのであります。米におきましては、なおデータの不足がありまして、全国のうちまだ四県ふぞろいであります。それから評価上の被害減収尺度につきましてもこれをそろえました。残りは委員のおつしやいますように、私ども統計推計單位といたしまする自信のある、統計価値のある調査単位区別ということでありますが、これが一致しておりませんことと、組織と申しますか、機構が何とかならないか、組織体系が何とかならないかということ、あるいはその運営との二点になろうと思います。  第一につきましては、遺憾ながら行政機構あるいは行政整理等の関係もありまして昭和二十四年には一万七千名を越える人がありましてそうして調査電位を市町村別にとるということで、国会の御審議をいただきましたものが、今では一万二千名と、これに応じました事業費の削減、行政機構等のこともありまして、少しく経験は重ねましたけれども、依然として県または郡のところほんとうの価値があつて、かろうじて町村には行政に役立つてもらえるかという単位の作物統計、その一部としての被害調査を出しておるのであります。農業保險の方は、これに反しまして農家別、その元になりまする筆別の被害調査、言いかえますれば、損害評価が必要になるわけであります。現在の農業共済制度は、私が申し上げますのは適当でございませんが、農家の被害申告を基礎にして、それを審査いたしますれば、被害を共済する義務が法律で制定せられておると存ずるのでありますが、私どもはおよそ作物、同時にその一部である農作物被害の実際の見積りというものは、バランスの上から申しましても、また個々の実際の数字の上から申しましても、農家の申告だけでは適当でないということをもつて、作物統計の本旨といたしまして、標本実測調査をむしろ主にして実施いたしておりますので、そこをもう少し旧態依然たる調査にせずに改善するか、私ども調査を伸ばして、細別調査をして、労働力及び経費を相当増額して参るか、あるいは財政、行政機構等の実情に応じまして、両者の総体の経費を節約しながら、その効果を、調査の方は共済制度にもつと役立つように、共済制度の方はもつと私どもの方を端的に使つていただ費まするように、あるいはわくを設定いたして審査の仕方をはつきりするか、それを法律に書くかということの問題を、今後研究することが、どうしてもかなめの一つであろうと思います。もう一つは、竹村委員に申し上げましたことと重複することで、簡略に申し上げますが、被害調査そのものがなかなかむずかしいので、私どもの方でなお研究を要し、経験を積み重ねる要があること、それは決して今進んでおらないということを申し上げるのでありませんで、もうすでに、御期待に沿うほど十分でありませんが、先ほど申しましたように、農業保険の方ですでに使つてくださいます点などを、さらに拡充して使つていただくことだと思うのであります。
  57. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に専門的な御弁答で、私もわからぬ点があるのですが、わからぬ点はまたあとで、個人的にでも御所見を伺うことといたしまして、私の一番伺いたいのは、県段階、郡段階については、ある程度活用されておるという御意見でありました。これも現在の統計調査部の機構なりあるいはその能力、そういつた面から、町村のものに的確に役立たして行くということは、現在の能力としては不可能だ、困難であるというふうに聞いたのであります。しからば現在どうしてもこの損害評価という問題が、公正妥当に行われ、客観的に見ていわゆる権威を保つて行くためには、また是が非でもこの制度を存続して行く限りは、これを合理化して、具体的に充実して行かなければならぬことは事実なんであります。これは部長からもし御答弁できないならば、局長からでもけつこうでありますが、今言つたような趣旨から、少くともこの町村におけるところの、末端におけるところのいわゆる権威ある損害評価を確立して行く場合に、統計調査関係と有機的な結合と申しますか、有機的な運用ができるような機構にして行くために、もしかりに統計調査部の機構を強めて行く、たとえば具体的に言うならば、人員をふやして行く場合には、どの程度あればそれがやれるのであるか、そういつた問題が具体的に出て来ると思うのです。ただ今の評価方法はでたらめだとか、あるいは先日のごとく、人工被害であるというような極端な議論すらも行われておる。もしそうするならば、これは実際重大な問題であつて、もと共済制度自体が、この評価の面からくずれて行くと私は思うのです。私がこういうことを申し上げるのは、負担掛金に対する共済金支拂い割合というこの資料に基いて見ましても、鳥取県の場合—私は鳥取県でありますが、水稻のごときは全国最低なんです。百をかけて、四十九しか受けていない。実に災害がないとはいえ、きわめて良心的な運営がなされておる一端の現われではないかとすら感じられるのであります。はなはだしきに至つては、いろいろ超異常災害があるとはいえ、百に対して四百二十二というがごとき、あるいは四百五十二というが、ごとき大きな支拂いを受けておる府県もあるのであります。そういつた面から言いますならば、私どもはそういうものを是正しろというのではなしにそれが客観的に権威ある損害評価であるならば、私は決してこれに対して異議をさしはさむものではない。問題は、いわゆる大きな共済金をもらつておるところから出た人々が、いわゆる人工被害であるというが、ごとき議論が出ますので、ではしからばいかにしてこの損害評価方式を権威あらしめて行くかということが問題になるのであつて、だからもつと損害はきびしくやつて農民の手取りを少からしめて行こうというような考え方は、私は絶対にとらないのであります。それでなくても農民はかけ捨て状態で、県としては、こういう率があつても、もらうものはいつももらい、もらわないものはいつももらつておらないのが現状ですから、県としてはそういう数字が出ておつても、事実上には農民に不満の声がたえない。従つてこの損害評価の権威を確立して行くためには、私どもの今の考えとしては、この評価委員と作物統計との関係を適正に組み合せて、少くともその村におけるところの損害評価が、他との均衡の上において適正に確立されて行くために、もう少し統計調査部の機能が活用されて行くこと以外には、今の場合としては他にいい方法がないのではないかと思う。そういつた面で具体的に、何かそれの期待に沿うようにした場合には、どの程度のことが必要であるとか、そういつた具体的な御答弁が願いたいのであります。
  58. 小倉武一

    小倉政府委員 るるお述べになりました趣旨は、私といたしましてはまつたく同感でございます。損害評価を何人が見ても公正にして行くということのためには、これはさしあたりの段階と申しますか、現在の行政組織なりやり方といたしましては、作報組織ないし農林省の統計調査部の組織による損害評価と申しますか、被害調査ということを一つの大きな基準にするということが、方針でなければならぬと思うのであります。ただその場合、私どもが非常に考えなければなりません点は、郡なりあるいは県なり、あるいは全国でも同じでございますが、統計組織の被害高調養を重要視すればするほど、その内訳をどうするかということが大きな問題になつて来るのであります。内訳がわからないということでは、これはなかなかそのままのむわけには行かなくなるということに相なるのであります。ちようど御承知通り供出制度のもとにおきまして、作物統計を基礎にすればするほど、だんだんと統計が最末端の村まで実収高が把握されなければ困るではないかということが、一般的な輿論になりましたように、たとえばさしあたりは、県段階においてある程度信醸力があるということで、県段階における被害高調査を、損害評価のわくと申しますか、基準とするといつたような場合には、それならば一体町村はどうなるのだということを、県内の町村関係者の交渉なり、あるいはその争いにまかすわけにはなかなか参りません。どうしても町村まで行かなければならぬということにおのずからなると思うのであります。町村まで被害高調査をやり、それが相当信輝力があるというふうにいたします場合に、一体どの程度の人員なり、予算の増加を要するかということにつきましては、これは統計調査部長からお話するのが適当ではないかと思いますが、終戦直後作物統計がだんだんと拡充されて参りまして、その人員が、最高になりましたときはおそらく二万人内外ではなかつたかと思いますけれども、それでもつて初めて町村別収量統計がつかめやしないかと考えられておつたということを思い起しますらば、被害高と申しましても、当然実収高も相伴わなければ、客観的におそらく把握することがむずかしいだろうと思いますので、少くともその程度の規模に充実されるということが、あるいは必要になつて来るのじやないかと思います。さような点につきましては、ではそうなつた方がいいのか、それほどまでに国費を費して、統計の資料を充実してもいいのかということにつきましては、十分ひとつこのたび設置されます小委員会等におきまして、御検討、御批判を願いたいというふうに考えます。
  59. 安田善一郎

    ○安田説明員 局長のおつしやつた趣旨に従いまして研究いたしますものならば、研究いたします。
  60. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは今の局長の御答弁によりまして、大体そういう過去の経験等もありますし、今私が申し上げたことについてもいろいろとお聞き願つたと思いますので、大体の具体的なものをひとつ御研究いただきまして、少くとも小委員会等にはその資料がいただけるように、御盡力いただきたい。  それから私は、あげ足をとるわけではありませんが、局長の今の御答弁に、町村の場合に内容を一体どうするか、いわゆる一筆々々の内容についての決定がなかなか困難である、県の場合には大体できるけれども町村の問題は困難だ、こういうお話でありますが、なるほどその通りであります。しかし県の場合は架室にできるわけではなしに、それはやはり郡、町村、部落、個人と、やはり系統的に上つて来ておるはずなんです。従つて県の場合は、いわゆる内容の検討は別として活用下さるが、町村の場合にはできないという考え方は、私は少し矛盾しておると思う。もしほんとう統計が権威あるものとするならば、現在町村の場合を見ましても、常にその内容は一目瞭然になつておらなければならぬはずなんです。それでなくして、景段階の場合には適用できるが、町村の場合には適用が困難だということは、私は少し当らない御答弁であると思う。それであるならば、その運営については、村の損害評価委員というものが、実質的にその内容ほんとうに村民の総意を受けてやつて行く、こういう運用の面においても、私は片がついて行くのではないか思う。なかなか困難ではありますけれども、県の場合はその内容については、あるいは国の場合においては県から出て来たものは、一応再評価の場合、国がふところぐあいを見てきめて行く場合に参考にするけれども町村の場合にはできないということでは、まことに困るのであります。そういつた面で、私は先刻から御質問申し上げているのは、いわゆる町村で、ある一つの大体客観的な町村の被害高というものが、ある程度積み上げられて行く。しかしそれはあくまでも作物統計上から出た調査でありまして、いわゆる農業共済目的に出たものではないとするならば、これとの調整は、損害評価委員が具体的に当つて、そして内容を決定して行くということも、私はできると思う。そういつたことを私は先刻から申し上げておるのでありまして、町村内容というものがやはりあるはずなんです。それがなければ、郡ができ、県ができ、国が参考にされる場合には不見識きわまることになるのでありましてそういつた面で、町村内容は不十分であるということは私どもは認めますが、町村内容が一筆ごとにあるから、ほとんどそれがむずかしいということに至りますと、現在の統計調査機構そのものについてすらも、われわれは異論をさしはさみたくなつて来るのであります。重大な問題であろうと思う。そういうでたらめな、下の方は推定でやつてつて、そして上の方ばかりが正しいのである、こういう考え方に立つた場合には、現往の作物統計機構そのものが、私はぐらついて来ると思う。そうであるならば、その統計機構そのものを徹底するために、もつと国家財政投資をするなり、予算的措置を講じて、権威あらしめて行かなければ、農民としても信用できませんし、国の農林統計自体も私は信頼が置けない結果になりはしないかと思う。これは別にあげ足をとるわけではありませんが、そういつた面で、村の内容が、現在の作物統計の人員なり、あるいは予算なり、機構では不十分である、しかし村としてのある程度の被害高というものを、客観的なものが積入出されて来るならば、その内容について、私は村の損害評価委員というやはり共済法に基いた機構が活濃に動いて、ほんとうに村民の信頼を受けた評価委員がその評価に当つて、そこに作物統計事務から出て来たものが、この共済制度の被害高の調査に、具体的に内容的に裏づけができて行く、こういうことが私は望ましいのではないかと思つて、先刻から申し上げておつたわけであります。別にあげ足をとるわけではありませんが、そういつた意味において作報事務というものと—これには予算には限りがありますから、理想論ばかり言いまして永切りがありませんが、不十分ならば、その村におけるところのある一つの山を描き出す、それにはやつぱり評価委員が協力をして行く、そしてその出たものに対する内容というものは、やはり損害評価委員責任をもつて、村民の納得の行くような損害評価の内実をきめて行く、こういうことは私はある程度考えられるのではないかと思つて申し上げております。とにもかくにもそういつた考え方で、この損害評価方式をもう少し是正して行くということは、根本的な施策のうち一番大きな問題でもありますし、また具体的に私はやり得ると思うのでありますので、申し上げたのでありますが、具体的た数字等は、小委員会等に資料をいたかいた上で、さらにいろいろと申し上げてみたいと思います。  組織体系の問題で、農協との関係とか、いろいろな重要な点について、私質疑を残しておりますが、他の行事の妨げになつても恐縮でありますから、後日に保留をいたしたいと思います。
  61. 河野謙三

    ○河野委員長代理 この際小委員会灘置についてお諮りいたします。昨日の委員会におきまして、農業共済関係の三法案の取扱いに関して懇談いたした際、農業共済制度に関する基本的な問題については、改めて別途に小委員今を設けて調査せしめ、速急に結論を得るようにいたしたいということでありました。つきましてはあらためて正式にお諮りいたしますが、右の小委員会を設置することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 河野謙三

    ○河野委員長代理 御異議なしと認めます。  なおただいまの小委員会における小委員の数、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 河野謙三

    ○河野委員長代理 その氏名は追つて公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十一分散会