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1952-05-09 第13回国会 衆議院 農林委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月九日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長代理 理事 遠藤 三郎君    理事 平野 三郎君       宇野秀次郎君    越智  茂君       川西  清君    坂田 英一君       坂本  實君    千賀 康治君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       大森 玉木君    金子輿車郎君       吉川 久衛君    竹村奈良一君       足鹿  覺君  出席政府委員         農林政務次官  野原 正勝君         農林事務官         (農政局長)  小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇八号)  農業災害補償法臨時特例法案内閣提出第一三  七号)  農業共済基金法案内閣提出第一五五号)  畜犬競技法案原田雪松君外四十四名提出、衆  法第三二号)     ―――――――――――――
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。  この際原田雪松君外四十四名提出畜犬競技法案議題といたし、審査を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 御異議なしと認めます。それではまず本案の趣旨につき提案者説明を求めます。原田雪松君。
  4. 原田雪松

    原田委員 ただいま議題と相なりました原田雪松外四十四名提出畜犬競技法案に関して、提案理由説明申し上げます。  この法律案目的としますところは、優勝投票券を発売して行う畜犬競技を公認し、その競技施行收入とによつて畜犬能力検定畜犬その他の動物改良増殖並びに伝染病予防、輸出の促進等をはかりますとともに、一面においては窮迫する地方財政にもでき得る限り寄與するというにあります。  わが国における畜犬飼育登録数は、百五十三万六千頭でありますが、実数はこれに数倍すると言われております。ほとんど一顧の価値もない駄犬にさえ深い愛着を覚える国民の盛んな愛犬思想は、わが国平和愛好文化国家の一員たり得る資格のあることを示すと同時に、一面未登録の雑犬、駄犬が、恐るべさ狂犬病蔓延の根源となつていることを知るべきであります。  英国において十七世紀に端を発した伝統と歴史ある畜犬競技は、王室の庇護に始まり、全国民の支持のもとに発達した民衆的スポーツであつて、今日欧米各国で盛大に挙行されているごとく大成されたものであります。わが国においても、先進国と同じくこれが施行をしばしば計画されましたが、それらの内容検討しまするに、いずれも單に収入のみを主目的とした興行的のものであつて畜犬行政を確立し、畜犬をして社会に裨益せしめると同時に、国民の盛んな愛犬思想家庭にとどめることなく、行政的にもこれを指導助成する本来の目的から背離したうらみがあつたのであります。  本案は第八国会を通過しました「狂犬病予防法」の姉妹法案として、この本来の目的に立つて立案し、第十国会において各位の御批判を仰いだのでありますが、参議院での審議が、不幸にして終了を見なかつたのであります。今回は、その際御高見を拝聴しました点や、関係者間で両検討を行いました結果改訂の要を認めました箇所に、若干の訂正を加えまして、ここにあらためて提出し、引続いて御審議を願うことといたした次第であります。以下、その内容のおもなるものについて御説明をいたし、御了承を得たいと存じます。  まず畜犬競技施行権でありますが、これは、都道府県及びその区域内に競技場のある市に属しますが、競技実施面畜犬改良会委任し得ることといたしております。  ここに畜犬改良会と申しますのは、当該都道府県内の競技実施、振興及び畜犬その他の動物改良増殖等を行う目的をもつて設立される公益法人であります。これらの畜犬改良会は、さらに相集まつて競技場畜犬及び指導師登録、講習、競技実施調整畜犬訓練畜犬その他の動物改良増殖等のための事業を行うことを目的として、全国組織畜犬改良クラブを設立せしめることにいたしておるのであります。  競技場の数は、都道府県ごとに一箇所を原則とし、特に畜犬数その他の事情を考慮して、例外的に二箇所まで設立することができるようにしております。  畜犬競技施行者の発売する優勝投票券投票方法禁止條項等に関しては、大体において競馬の例に準拠しておりますので、説明を省略いたします。  次に、競技施行者収入でありますが、これは優勝投票券売上げ金額の百分の二十五以内とし、この収入は、これを次のよう方法で支出することとして、家畜ないしは動物に関する産業文化の発達に貢献することを期待しておるのであります。すなわちまず、競技施行者は、政府に対して、右の収入の中から、優勝投票券売上金額の百分の三を国庫に納付します。政府は、この国庫納付金を犬の伝染病予防、その他家畜衛生向上作業犬指導天然記念動物の保存、家畜登録事業等に必要な経費として支出せしめる規定を設けてあります。  さらに、都道府県または市は、その収入の中から、さきにあげた国庫納付金と、競技の開催に関する経費とを差引いた残額の四分の一を下らない金額を、政府の場合と同種の使途に支出するこことしております。しかして、この際相当金額地方財政を潤すことができるものと存ずる次第であります。なお、省令で定める競技については、入場料に付加して共同募金会に対する寄附金を徴し得ることとし、社会事業に対しても幾分の貢献をなし得る道を開くことにいたしました。  この種競技に伴う犯罪、不正の防止競技秩序維持競技場内の品位衛生保持等のためには、農林大臣その他の者に対しましてできる限り大幅の取締り監督上の権限を付與しまして、競技の整正円滑な運営をはかるよう特段の措置を講ずることといたした次第であります。  以上が本法案のおもなる内容であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 本案に対して、質疑または意見のある方は発言を許します。足鹿君。
  6. 足鹿覺

    足鹿委員 私は先般の審議の際におりませんので、いろいろお尋ねを申し上げたいことがたくさんありますが、突然の御提案でありまして、伺つてみたい点についてまだ十分用意がありませんので、きわめて雑駁に、ただいま承りました提案理由中心に二、三お尋ねを申し上げ、後日にさらに質疑を継続させていただきたいと存じますから、委員長においても御了承の上、よろしくお願いをいたしたいと思います。  この畜犬競技法施行した場合に、その利益としてあげておられる二、三のうち、窮迫せる地方財政貢献ができるということを申しておられますが、提案者の御検討になつておりますところでは、地方財政にどの程度財政的に寄與することができるか、その見当ないし御構想がありましたら承りたいと思います。  なお競技場の数は、都道府県に一箇所を原則として、例外的に二箇所ということになつております。都道府県によつても非常にその範囲が違いますし一概には申されぬと思いますが、一箇所ないし二箇所に限定された理由というのは、どういうわけでありましようか。またこれを施設するには、どの程度経費がかかるものでありますか。それらの点をまずお尋ねいたしたいと思います。
  7. 原田雪松

    原田委員 地方財政寄與の面は、現在の提案の中では、百分の二十五のうち国庫への納付金が百分の三であります。残りの百分の二十二のものから施行費を引きます。施行費を引くというのは〇・八くらいになります。そのあと四分の一を政府に納めます。いろいろな動物改良増殖等に使いまして、四分の三は地方財政に入れるということになつておるのであります。ところがこれでは少し地方財政の方が少いからというようなことで、今回修正案いたしましていろいろ要求が出ておりますことは、ほかの競技は、自転車の、ごときは控除額が百分の二十五、自動車は百分の二十五、モーターボートも百分の二十五、畜犬の方も今申し上げたように百分の二十五の控除額になります。ところがこの中で地方財政の方に最も寄與します面は、自転車の方で百分の十七・五、自動車の方で百分の十七、モーターボートで百分の十七、畜犬競技におきましては百分の十九という高率なものになることになつておるのであります。  それから場所の問題でありますが、これは競走犬というものがすべての犬種で間に合うものでありませんで、相当訓練もいたさねばなりませんし、また競走犬というものの輸入も盛んに行われておりますが、外貨を獲得しなければならぬ場合に、そうたくさん日本が買入れてやるということも思うように運ばない。むしろこの点は内地の、つまり国内産の競走犬訓練によつてつくることが必要でありますので、その頭数等関係から、何箇所もやつてはおそらく収支のバランスがとれないことになります。だから法律の中にもうたつております通りに、省令で定めるその頭数によつて出場犬がきまることになります。そういう点から考えまして、こういう競技というものは、おそらく都会で一箇所ないし二箇所、地方ではおそらくできない場合が多いと思うのであります。だからそういう場合をおもんばかりまして、競走犬の数等をよくにらみ合せまして、それによつて一箇所もしくは二箇所ということに定めたのであります。  なお競走場施設の問題でございまするが、これは理想的につくりますと、外国にならつてやりますと、たいへんな金がかかるのでありますが、私どもは、むしろ競輪場等のスタジアムと利用して、これによつて施行が可能とあろうということを考えております。そういたしますれば、少しの改造によつて、現在設置しておられますところの競輪場利用度を高めて、それによつてこの競走が行われるということになりますと、大した費用はかかりぬのじやないか、さよう考えて、なるべくそういう方面に持つて行きたいということを考えておる次第であります。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員 競技場を利用するというお話でありますが、そうでない場合、専用の畜犬競技場としての施設をやろうとした場合には、どの程度かかるのでありますか。
  9. 原田雪松

    原田委員 大ざつぱな見当で、数字はここに持ち合せておりませんが、大体三千万円程度でできる、こういう見解を持つておるのであります。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員 次に畜犬競技施行権というものと、実施面、いわゆる畜犬競技施行者というものがわかれておりますが、この畜犬競技施行権は、都道府県及びその区域内に競技場がある市が持つておるということになるのですが、この施行権を持つておる都道府県や市が、競技施行者、すなわち畜犬改良会というものに委任をして事業をせしめるのでありますか。
  11. 原田雪松

    原田委員 お話通りであります。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、事実上において県なり市は施行権を持つておるというだけで、みずからはやらないで、畜犬改良会だけにやらせるという結果になるわけですか。
  13. 原田雪松

    原田委員 県みずからがやつてもいいのでありますが、県みずからやるということは、事実上不可能であろうと思う。犬を飼つておる人の団体の諸君が、そこで畜犬改良会をつくりましてその改良会に県が委任をしてやる以外には、おそらくできない。ちようど競馬施行と同じで、国がみずからやる。県がみずからやるといたしましても、やはり犬を飼つておる、馬を飼つておるのは個人でございますので、この個人人たちが寄り集まつて、そこに畜犬改良会をつくる。その改良会をつくつたものに施行権委任するという以外には方法はないのじやないか、さよう考えたのであります。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 この畜犬改良会構成はどういうものでありますか。たとえば犬を飼育しておる人であるとか、あるいはこれに関連をする業者であるとかいう者がもちろん入ると思うのですが、この場合に、都道府県みずからもこの畜犬改良会の中に入つて行くのですか。一体これは個人中心になつて畜犬改良会というものをつくるのですか、その構成については何か別にお考えになつておるところがあるのでありましようか。その構想を承りたい。
  15. 原田雪松

    原田委員 県みずから入るということは考えておりません。犬を所有する者、早く言いますと、犬を所有しておつて競走訓練をやる者、つまり犬を飼育しておりますと有資格者で、そういうメンバーが集まつてクラブをつくる、これが民主的だというふうに考えておるのであります。県がそのメンバーということじやなくて、県は施行権は持つておりますけれどもメンバーの中に入る資格はないというふうにお考え願つてよろしいと思います。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、この改良会というものは、組織する者が出資をして、結局改良会というものを構成し、事業施行に必要な経費もそれでまかなつて行く、こういうわけですね。
  17. 原田雪松

    原田委員 改良会というものができ上りまして、これが資本的の裏づけがなくて、自分らで競技場をつくることができないというような場合は、別途の会社組織でやつてもよろしい。あるいは県がつくりまして、施行権と貸與権を持ちまして、場所の料金をとつて県が経営してもいい。だからそのメンバーの方が自分らで出資をやることが望ましいのでありますけれども、あるいはそういうことが可能でありません場合があるときは、そういうものと協調してレース場をつくることにしてよろしい、こういう考えであります。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、この畜犬改良会というものは、県から委嘱を受けて事業施行者になるのでありますが、みずからは競技場施設に対する投資はやらない。別に出資者を求めてやつて行く、こういうことになりますと、畜犬競技施行権都道府県にあつても、事実上は畜犬改良会にある。しかし畜犬改良会というものは出資もほとんどやらない。ただ単なる公益法人で何か競技機関というふうなものに終り、他に一つの大きな資本力を持つたものが株式会社をつくつてつてもよいということになると、実際問題としては、これにうたわれていない第三者競技場に対する実権を握つて来るという結果が出て来るでしよう。そういうことが、はたしてこの畜犬競技法案に盛られておる公益性と申しますか、そういうものに運営上合致できるとお考えになつておるのですか。私は今、実際上の運営とこの法案目的とは、相当違つたものがそういう面で出て来はしないかという印象を受けたのですが、その点原田さんの御感想はどうでしよう
  19. 原田雪松

    原田委員 先ほどもお答え申し上げましたように、原則的には、この畜犬改良会というものがレース場からすべてのものまでやるのを建前としております。しかし、それがもし資本的の裏づけが貧弱であつて、どうにもやれないという場合には、他に会社をこしらえてやつてもいい。私どものねらいは、第三者にこういうものを奪われるということは、従来から私ども考えておる通りボス跳梁を許さないという面からしますれば、その改良会自体出資をしてやるのを原則としておるわけであります。もしそれができない場合は、もちろん改良会というものの了承を得て、出資をする者があればそれはやつてもよろしい。こういうわけで、別に会社組織を奨励しておる意味では絶対にありません。建前改良会というものが実施面を持つておる限り、できる限りそれらの出資によつて構成をする。しかしながら、これは県あるいは都において、その場所をつくつて、そうして施行者に貸興することもできるのであります。その二面からして、いずれにしてもボス跳梁等の介在を許さないということに目標を置いているわけです。説明の足りない点があつたかもしれませんが、本来のねらいはそこにあるのでありますから、さよう御承知願いたいと思います。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 理想はそういうふうにお考えになつてつても、実際上はこの畜犬改良協会というものは無力なものになるきらいがあると私は思います。従つて県でもない、都でもない、市でもない、改良会でもない第三者が実質的にはこれを牛耳つている。しかも資本力のあるものが牛耳つているということで、この運営上非常に危険性があるのではないかと私は思う。いわゆる公益性の問題よりも、結局利益追求の経営が行われる。そのためには、当初に掲げてある本法が目的としているような問題が、実際の運営においては軽く取扱れて行くことになると私は思います。そういつた点では、原田さんのお気持は一応承りましたが、この点についてはまだ相当問題が残るのではないかと思います。  それはそれといたしまして、この畜犬改良というものは都道府県単位にできるわけですな。そうすると全国組織畜犬改良クラブというものをこの畜犬改良会が寄つて組織するわけですね。そういうことになりますと都道府県畜犬改良会という名称でありますし、全国組織畜犬改良クラブという形になりますが、この全国畜犬改良クラブというものの性格、その構成というようなことについてはどういうことになるのでありますか。
  21. 原田雪松

    原田委員 お説の通り地方畜犬改良会というものは、地方が自主的に資格のあるものにつくり上げました改良会、これが都道府県の中から全国組織改良クラブというものにメンバーを送りまして、それによつて中央団体構成される。天くだり式でなくその地方々々から―たとえば一県から二人なら二人、三人なら三人の代議員なら代議員をつくりまして、それが中央で会合をやる、その中で構成いたしますから、その中で理事が何人できるとか、あるいは会長がどうとかいうようなことがまた省令によつて定められて、そこに確実なものが現われて来るというわけなんであります。だから上からつくつたものを下に流すのではなくて、各県の改良会というものができ上りまして、改良会から代表者が出て中央団体をつくるという行き方です。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 私もまだ法案自体検討が不十分でありますから、あまりこまかいことについては後日に譲りたいと思います。  次に競技実施についてのいろいろな点でありますが、元来射倖心をそそつて行くという点につきましては、他のいろいろな同種のものと異なりはないのでありますが、この種競技に伴う犯罪とか不正とか、競技秩序維持とか、競技場内の品位衛生保持というようなことができるようになつておりますが、このレース施行の上に、たとえば不正防止というような言葉が使つてありますが、予想される不正というのは一体どういうことですか。馬の場合なんかは相当やおちようなんかのあることも聞いておりますし、競輪の場合もそういう非難も相当聞いているのでありますが、犬の場合はどういうことが予想されるのですか。犬にもやおちようがあるのですか。
  23. 原田雪松

    原田委員 絶対にないということは言えないことがあるわけなんです。どういうことかといいますと、競走前に競走犬は一緒に集めまして管理をして出すのでありますから、その点はありませんが、この法律の中にもうたつてあります通りに、あるいはそういう目的をもつて注射をする、あるいは故意に水を飲ませるというようなことで競走力をそぐような面が、生理的にいくらでも現われて来るのがあります。そういうものを大体意味しましてその他は競馬その他と同じものであります。ことに罰則というものを厳格に言うたわけではありませんが、競輪等で従来トラブル等を起した例もありますので、場内の秩序ということに対しては、諸外国の例でもそうやつておりますので、これはこれだけの取締り方法をうたつて置く方がよろしいというようなことで、こういうようにしておりますので、やおちようというようなものはこれはほかに比べて絶対ないということは申し上げられませんが、今申し上げました程度で、薬品による操作であるとか、あるいは飼養管理による操作というものがあり得るかもしれないということをおもんぱかつた結果が、こういうことをうたつたわけであります。その他にやおちようのあるということは一応考えられません。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 犯罪防止であるとか、不正の防止あるいは競技秩序維持であるとか、競技場内の品位衛生保持というようなことがありまして、それに対しては農林大臣が大幅の取締り権限を持つておられるようにうたわれてありますが、しかし実際上においてその権限都道府県知事に移譲されて、都道府県知事がこれを監督し、権限をもつて取締つて行くというふうに解釈するのでありますが、別に何かこれに対しては、農林大臣が特別な一つ監督機関を設けてやれるのでありますか、その点はどういうふうになるのですか。
  25. 原田雪松

    原田委員 それはただいまお話通り農林大臣監督いたしますけれども治安維持に当つて地方長官委任をしてやる、こういう建前であります。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 いろいろまだお尋ね申し上げたい点がありますが、私自身も検討が不十分でありますので、後日の際に法案そのもの條文の具体的な御質疑を申し上げたいと思いますが、全体的な点につきましてはこの程度で打切つておきます。
  27. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 次は竹村君。
  28. 竹村奈良一

    竹村委員 大体提案理由についてのいろいろな点は足鹿委員ら質問されましたので、私がこの際聞いておきたいのは、こういうよう競技法案、あるいはこういうものがいろいろな形において、たとえば競輪あるいは競馬、そこへこういうものが出て参りますと、どうも国民の中に非常なとばく的な熱、いわゆる勝負によるところのこういう気風をあふつて行くということになるわけでありますが、元来競輪そのものについても国民に非常にとばく心理を旺盛にさせ、いろいろ家庭の悲劇その他のものが問題になつて行く際であります。この目的とされるのは、一応地方財政を潤おすということになつておりますが、それ以外に、もつと根本的なそういうものを助長して行くというよう方法考えることが一番必要だと思うのですが、一体こういうことをやらなければ、政府の方では犬の伝染病予防とか、あるいは家畜衛生向上をやれないような状態にあるのですか、この点をひとつ政府の方から伺つておきたい。
  29. 長谷川清

    長谷川政府委員 家畜伝染病予防等に関しましては、御承知の通り家畜伝染病予防法等規定もございますし、いろいろの手段を盡しておるのでありますが、今お話のありました犬を中心といたしまする、特に狂犬病等に対しまする国家助成施設というものは、現在のところ財政の都合で十分に行つておらない現状であります。この法案にありますような、動物に関しまする天然記念物施設維持保護をするというようなものにつきましても、これは農林省の所管では、ございませんけれども、必ずしも十分でないと聞いている次第であります。
  30. 竹村奈良一

    竹村委員 ところが大体狂犬病予防等は、結局犬を飼う愛犬家自分の犬を狂犬病にかからさないようにするために、みずから費用を出してやるのが当然であつて、これに対していつた費用はその者にかけてやつた方がいいので、いやだつたら、犬を飼わなければいいと思うのです。従つてそういうことを口実にどんどん賭博心理をあおつて行くというところに問題があると思うのです。また現在そういうふうにやつておられると思うのです。従つて野犬の点についても問題になつておりますが、野犬なんかがふえる。それは当然野犬狩りをやられてどんどん屠殺して行くという方法で片づけて行けば、問題は解決して行くのではないか。そういたしますと、ここでは大体百分の三を国庫に納めることになつておりますが、こういう競技ができましてやつて行けば、国民各階層がこぞつて行くようになると思います。そうしますと、大体はわずかな金でそういう勝負をやる人の心理を満足させて、その上でその人の金をまき上げて政府施策をして行く。こういうことは社会的にいろいろ政策的署えましても、実際は大衆から金をまき上げて行く、しかもそれで政府天然記念物とかその他の施策をやつて行くことになるのですが、そういう方法をとらなくても、もつと金の出しようはあると思うのです。従つてそういうよう方法でどんどん国民の嗜好につけ込んで大衆から金をまき上げて、そうして日本政府施策の一端をやつて行く。それではおもしろい政治ではないと思うのですが、ひとつ政務次官から、この点について根本的な説明を伺いたい。
  31. 野原正勝

    ○野原政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。狂犬病予防であるとか、あるいはまた天然記念物になつている鳥獣類その他の保護とかいうふうな点は、何もこの畜犬競技によつて得た収入でなく、別な面からという御説ごもつともであります。別にこの競技があるなしにかかわらず、そういう仕事は政府が大いにやらなければならぬ筋合いのものだと考えておりますが、現段階におきましての政府財政という面から見ましても、そういつた問題にまで必要とする予算を十分に使えない。従つて思い切つた、徹底した施策ができないということは、これまた事実でありまして、その問題と競技の問題とは一応切り離して考えたいと思うのでありますが、ただこの競技の問題は、賭博行為その他が原則的に絶対いかぬということならば別でありますけれども、現在競馬もやつておれば競輪もやつておる。われわれそう好ましいことではありませんけれども、いろいろそういうものが実際問題としてたくさんあるのであります。そういう点から見ると、犬をレースさせるというようなことは一番罪の浅い、また先ほど提案者原田君の説明にもありましたように、やおちようどもほとんどないという話を聞きまして、娯楽としてみれば一番健全な方ではないか、原則的に賭博行為は全部いかぬということになれば別でありますけれども国民の好む、また健全な娯楽としてはあえてこれをやめる理由も十分ないというものに対しては、一応国家が認めておるわけであります。そういう観点からこれを見ると、今まで人類と最も親しく、一緒に共同生活をしておつた動物として犬ほどかわいいものはない。これはりくつ拔きにかわいいのであります。そのかわいい犬が現在の国民生活の中に健全な意味での潤いを與えてくれ、一緒に楽しませてくれるということになれば、これはあえてそんなに肩を怒らかして反対するほどのものでもないと思うのであります。実はそこらの点がものの見方でありましようけれども、私どもとしては、そういつた健全な娯楽、ましてやあのかわいい犬がレースをしてわれわれを喜ばせ、貧乏な日本であつても勤労大衆までが気楽に楽しめるということならば、これはあえて反対するほどのことはないと私個人としては考えております。なおそういうことによつて零細な金が得られ、それが一部国家收入となつて使われる場合には、伝染病予防にもなり、あるいはまた天然記念物の保護育成等にも役立つというならば、これまたまことにけつこうであろう。農林省の立場から見ますと、予算面で今まで十分でなかつた点を、レースによつて、いかほどかでもそういつた目的にかたう収入が財源として得られるならば、まことにけつこうなことだと考えておるのであります。賭博行為云々の問題は、また別の問題であろうと思います。一応私の見解を申し上げておきます。
  32. 竹村奈良一

    竹村委員 提案者伺つておきたい。実は私この法案をまだ十分見ていないので、あるいは私に間違いの点があるかもしれませんが、この法案を見ますと、たとえば県に一箇所の競技場を設け、そして県並びにその所在市が施行者になる、こういうことになつております。そういたしますと県の中に五つも六つも市があつて、あるいは例外としては二箇所できるかもしれませんが、たまたま一個所に設けられて一つの市がその主催者になる。そうすると県なり市がその施行者になるのですが、あとの当該市にならない、競技場のない市は全然こういうことをやれない規則になるのですか。
  33. 原田雪松

    原田委員 その前に先ほどの次官からのお話に次いで私責任者としてお答えしておかなければならぬことは、賭博行為をやらなくてもいいじやないか、現に狂犬病予防法というものは個人の金を取上げて自治をしておるのではないか、これは重大な問題と考えます。この狂犬病予防法をつくりましてやつた結果は、竹村さんも愛犬家でよく御承知だと思いますが、非常に負担が重い。なぜ重いかといいますと、登録料を出す。それに注射料を二回出す。それに注射済証の証票をもらう。その他にまだ畜犬税をかけるところもあります。そういうところは一顧犬を持つておると九百円から千円の負担をする。また少いところで六百五十円から七百円の負担をしております。これではせつかくつくりました恐しい狂犬病予防法目的達成ができないうらみがあるのであります。先ほども申し上げましたように、登録犬が約百五十三万五千おりますが、これは登録を受けたもののみがこれであつて登録を受けないものは、確かに二倍か三倍おる。負担が重いために、予防週間等にはつないで出さない。登録料が高いから出さないといううらみがあるわけであります。これをどうしても徹底して、狂犬病というものを国内からなくすためには、野犬撲殺、つまり野犬の掃蕩、こういうものに力を入れなければならない。ところがこれには相当な金もかかるのでありますが、結局注射料等の負担も少くして、すべてが登録を受けて、雑犬を淘汰するということで一掃ができる、こういう大きなねらいを実は持つておるのであります。  もう一つは、先ほどもお話がありました通り、犬には登録事業というものは完備しておりません。これがために頭数の統計等もはつきりいたしません。これに相当の助成をいたしまして世界水準の登録事業をつくらなければならない。日本は非常に欠陷があります。ところが日本のシエパードは対外的に重要な位置を占めております。現に毎年五百頭から六百頭の犬が軍用犬として南方地域に輸出されております。本年からは警察予備隊にも相当数が入ることになりますし、あるいは極東軍の方でも相当の犬を買うことになります。そういうことになりますと、竹村さんの方ではおきらいかもしれませんが、結局警察犬として、軍用犬として利用価値がどんどん高つて来ることは事実であります。そういう面からいたしましても、どうしても犬の登録事業の統制と、繁殖助成というものの改良、振興に金を向けなければならぬ。犬の行政をやりますには、やはり犬から上つたもので行政をやらなければ、政府は見てくれません。ただ鶏の輸出の問題でさえ補助いたしませんので、非常に困つておる状態でありますから、こういうものに有効、適切にこの利潤を使つて行きたいというわけであります。  さらに賭博行為でないということは申し上げられませんが、いわゆる健全娯楽で、われわれは、これを見て楽しむという方向に導いて行きたいという考えを持つております。しかも各競技に比較対照いたしまして、諸外国の例を見ましても、必ずや全国でも他の競技は放棄いたしましても、これだけは高揚するのではないかという自信を持つておりますので、その点はぜひ委員方の御了承を得まして、これが実行のあかつきに成績を上げ得ることをごらん願いたいと思うのであります。  それから第二の問題で、幾つも市がある場合に、二箇所では困るのではないかということでありますが、これは五大都市は別として、その選択権はその地方都道府県お話合いになりまして、それによつて農林大臣が、その要素を備えて、しかも完備した組織であれば、そこに持つて行かなければならぬ。だからそこまでにはあるいは取残される市があることも事実でありますが、これは何といつても夜間にやる、あるいは日曜にやりますので、晝の勤務時間には何ら支障のないように、諸外国ではやつておりますから日本もその例にならつて日曜なりあるいは土曜日の午後からまたは夜ということで、家族同伴で、夏ならばゆかたがけで子供とともに楽しむという立地條件のいい所でなければ入場者がないわけでありますが、それはその地方地方によつて選択権がありますので、選択権のある者が申請いたしまして、農林大臣がその適当なる所を指定する、こういうことであります。まだ法案内容をよくごらんでないと思いますから、いろいろなところに質問等が起つて来ると思いますが、先ほど足鹿委員お話のこともほとんど條文の中にうたつてございますから、どうかさよう了承願いたいと存ずる次第であります。
  34. 竹村奈良一

    竹村委員 そこで私はもう一つ聞いておきたい。今の説明によりますと、大体土曜の午後あるいは日曜あるいは夜間、勤務にさしつかえない程度家庭娯楽として家族連れで行けるよう方法が望ましい、こう言われておるのですが、それは法案に開催條件としてあるいは施行する場合の條件として、開催目は土曜の午後あるいは日曜あるいは夜間に限るというよう施行規則か何かできあられるのでございますか、その点はどうですか。
  35. 原田雪松

    原田委員 それは地方の地域的な情勢によりまして省令農林大臣がきめることになつております。
  36. 竹村奈良一

    竹村委員 それからもう一つ、さつきのことでわからぬのです。もちろん適当な市に設けられるのは当然ですが、県で一箇所、例外としては二箇所、こういうことになつております。そこで私の聞きたいのは、もちろん設けられるのは適当な場所に設けられるのですが、その所在する市は施行者の一人に入れるが、それ以外の市、競技場を設けない市は全然施行者として加わるわけには行かぬのですか、それはどうですか。
  37. 原田雪松

    原田委員 加わることはいかぬというわけではありませんで、御協調になりまして協調ができればいいですけれども、幾らも認めることができない原則的な條文がございますから、おそらく限定した範囲以外にはあり得ない。しかし付近の市が、話し合つて共同主催としてやろうということならばこれはまた別問題であります。それはそうやられてもおそらく施行の面には何ら故障がありませんので、私のところではさしつかえないとこう見ております。
  38. 竹村奈良一

    竹村委員 私は実は法案をよく見てからもう少し質問してみたいと思います。今その間がありませんので、次の機会に譲りたいと思います。
  39. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 平野君。
  40. 平野三郎

    ○平野委員 この法律案はすでに前国会提案されまして、本委員会において徹底的に質疑が行われ、文字通り愼重審議をいたしたのでありますが、今回さらに提出をせられました。前会においてもう議論が盡きておると思いますが、今回は修正された部分がありますので、先ほど提案理由の御説明がありましたが、かわつた点をこの際もう一度明確にしていただいておきたいと思います。その点だけ承つておきたいと思います。
  41. 原田雪松

    原田委員 第二條に市を入れたことが一つ、それから、社会事業として共同募金を入れましたことが今度の改正であります。それから附則の、輸入犬は当分の間出場禁止としておりましたが、省令で定める期間内は出場を禁止するというように改めました。
  42. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 他に御発言がなければ、本案に対する質疑は次会にこれを継続することにします。     ―――――――――――――
  43. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 引続き、これより農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法案農業共済基金法案の三案を一括議題といたし、前会に引続き、質疑を行います。吉川委員。
  44. 吉川久衛

    ○吉川委員 農業共済の問題については、今まで同僚議員よりいろいろの方面から問題が提供されておりますが、十三日ですか、公聴会をやられることになつておりますので、その公聴会の経過によつては私は詳しくお尋ねをしたいと思います。ただいまはごく数点だけとりあえずお伺いをしておきたいと思います。  この共済事業については、私各地をまわつて最も納得のできない問題があるのです。それは社会党の井上委員からもお尋ねのあつたことに関連してですが、この評価の問題でございます。評価委員の選出方法をどういうようにやつておられますか。それをひとつお尋ねをいたしたい。
  45. 小倉武一

    ○小倉政府委員 評価は組合がやるということになつておりますが、それをやる場合に約二十行ないし二十五名くらいの評価委員を選びまして、その委員の検見を中心とした評価をやつておるわけであります。委員の選び方は特段の指定はいたしてございませんが、村の篤農家あるいは団体理事者といつたような方々を評価委員に選んでおるのであります。
  46. 吉川久衛

    ○吉川委員 その評価委員が村の中から選ばれている関係から、その村の災害の評価にあたつて、私どもの納得の行かない行為が見受けられるのです。そういうようなことについて農林省当局は御案内だろうと思いますが、たとえて申しますと、共済掛金をかけただけのものをとりもどさなければならない、そういうことのできないような委員では委員の資格がないというようなことが問題になり、その村内の関係なので、情実等にこだわつて、また村の中における委員の名声を顧慮して、はなはだ私どもの納得の行かないような評価が行われている。こういうことは農林省としてはよく承知していられると思うのですが、そういう問題について、ただいままでどういうふうな指導監督をしておいでになるかということが一点であります。それから評価されたものが県の連合会へ参りまして、県の連合会から農林省へやつて来るまでの間にだんだんに検査を受けて、今度は実際に共済金が農民の手元に届くまでには、当初の評価のときとたいへん異なつたものになるということで、系統機関を非難しあるいは国のやり方に対して非常に非難の声が現実に起きているわけでございますが、そういう問題について農林省はどういうようにお考えになつておりますか。この二つをお答え願います。
  47. 小倉武一

    ○小倉政府委員 損害評価についての監督の点が一点でございますが、これは何と申しましても、村内の人が評価するのですから、おのずから甘くなるというのが人情でございます。御質問の点はさもあろうと私も存ずるのであります。従いましてその点につきましては、損害評価をいたします場合に、できるだけ支部の評価委員も参加するというような措置を講ずるのが一点であります。もう一つは、損害の評価をいたします場合、ある部落に行く場合には、他の部落の人が行く、三人なり五人が一つの評価班をつくりますから、その部落の人が加わつて評価するということにいたしまして、自分の部落の評価を自分の部落の損害評価委員がやるというようなことをなるべくやめるというような道も加えてやつております。  かようにいたしまして公正な評価ができるようにいたしますとともに、第二点として御指摘のように、支部なり連合会ないし農林省が評価自体を監査ないし査定をすることがどうしても必要になつて来るわけであります。その場合に、査定のやり方につきましていろいろ非難があることも御指摘の通りと思うのでありますが、それは何と申しましても、組合自体が評価いたすわけでありますから、どうしてもそれを審査することが必要になつて来るのであります。その場合に、私どもがいたします場合には、單に机の上で鉛筆をなめつつ査定するということではもちろんありませんで、一番大きな材料といたしましては、作物統計の関係で調べております被害調査を一つの基準として査定を加えて、なお連合会なり支部なりが、被害の発生したときになるべく現地を見るようにいたしておりますから、そういう連合会なり支部が見たところの結果から判断するというふうなことも加えて査定をいたしております。
  48. 吉川久衛

    ○吉川委員 実際問題として、かけただけ安拂いを要求するという組合員の要請に評価委員がこたえて、そこに不自然なものができているということは現実にあるのです。そうしてまたそのほかに、どうしてもとつたものだけがもうけだというよう考え方から、必ず災害になるというような塩田や、非常に地方の少い賛弱な隠し田等に作付をし、そして振替をして共済金をとるというようなことが事実行われているのです。おそらく農林省ではそういうような点まで詳しく御存じないのではないかと思いますが、とにかくただいま行われている共済制度は終戦後特に日私どもの了解に苦しむよう運営がなされているということについて、農林省の監督あるいは指導が非常に不十分であるように思うのです。こういう理想的な共済制度が、運用の拙劣なために今後の事業の発展に重大な支障を招来するような状況にあるのですが、これは政府としては十分考えなければならない重大な問題であろうと思うのです。こういつた今後の運用等について一体どういうようにお考えになつておりますか、その点を伺つておきたいと思います。
  49. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、一つは掛金を回収するといつたような意味において損害評価が曲げられている。なお具体的に他の一点といたしまして、いわば常習の被害とかいうふうな所が共済金の受取り対象になつておりまして、不合理な点がありはしないかという点は、遺憾ながら存在しているように私どもも認めざるを得ないと思います。その点につきましては、これは、制度の運用としては将来かよう考えて行きたいと思います。すなわちさような無理が起ります一つ理由は、共済金額なり掛金率が必ずしも現実に妥当しない。今のやり方は町村といつたところまである程度再分配、たしておりますけれどもそれもある程度で、ございまして、もつと典済金額なり掛金率を個別化するということで、町村内部の田畑の被害率、従つてまた共済金額、あるいは基、準収量をもつと精密にだんだんとやつて参ることによりまして、かけ捨てになるいつたような観念もだんだんなくなりましようし、また共済の引受をある程度免れて、特に危険の多い所だけを申告し、危険のほとんどない所は申告しないというふうなことによつて、共済事業運営がうまく行かないということもなくなる。年度を重ねるに従つて統計も整備して参りますから、保険金額、掛金率というような面の個別化ということに重点を置いて施策して参つたならば、今御指摘のような若干の弊害を漸次是正できるのではないかと考えております。
  50. 吉川久衛

    ○吉川委員 局長のお考えは非常に理想的でけつこうですが、技術的にそういつた問題は非常にむずかしいのではないかと思う。実際にそういう理想を貫かんとすれば、今の農業共済がやつておる仕事は、あまりに私は広汎ではないかと思うのです。そこで今の段階においては、ある共済対象の物件については強制共済はやむを得ないと私は思いますが、そうでない任意的なものについては、農業協同組合法の第十條第八項で協同組合でできるような形になつているので、この際切り離して、農民の自主的な立場でやらせるようなやり方がむしろ妥当ではないかと考えるのですけれども、その点については局長はどう考えておりますか。
  51. 小倉武一

    ○小倉政府委員 共済事業のうち、いわゆる任意共済についての御所見でありますが、これは協同組合が担当いたします場合でも、共済組合が担当いたす場合でも、もちろん自主的にやつておるわけでございますし、その点については取扱いを極端に異にするというつもりはありません。ただ異なつ団体が同じような仕事をやり得るという制度のもとでは、いたずらな混乱なり、競争が生じて、結局は農民のためにならぬのではないかということであります。私もさような点はあろうかと存じます。ただ現在の両制度を比較してみますと、両方とも一長一短がございます。協同組合で共済事業をやる場合にも若干の長所と若干の欠点があり、補償法による共済組合でやる場合にもやはり若干の欠点と若干の長所がありまして、現在の制度でもつてどちらがベターであるかということは、もう少し事態の推移を見るか、あるいはどちらかの制度を改正しなければ、今ここで任意共済はどちらが主としてやるときめることは困難ではないかと考えております。
  52. 吉川久衛

    ○吉川委員 局長の考え方は非常に消極的なんですが、共済組合が強制共済をやつていたという関係で、共済組合から家屋なり事務所の建物なりの共済を申し込まれたときには、強制共済との錯覚を起して、非常に封建的な農村においては、共済組合の言うことだから聞かなければならないというような実例がたくさんあるのであります。だから農村の民主化のためには、やはり任意的な協同組合が任意共済はやつて行くのだという形にした方が私はベターだと考えておりますので、この問題についてはあとでゆつくりお伺いしたいと思いますが、そういうような観点で政府は御検討願いたいと思います。  それから折々共済組合が全国的な大会を持たれる。これは共済思想の涵養、宣伝のために非常に私はけつこうなことだと思いますけれども、そのために下部機関に対して相当の負担が加重されている現状であります。そのために共済組合に加盟することを快く思わない組合員が相当たくさん出て来ている。こういう現実を政府はどういうふうにお考えになりますか。事実共済金以外にいろいろの賦課金が課せられて、農民の負担が必要以上に重加されているのであります。しかもその金の支途等についていろいろの非難が行われておりますが、そういつた問題についてどういうように、ごらんになりますか。
  53. 小倉武一

    ○小倉政府委員 共済組合関係団体の事務費についてのお尋ねでございますが、これは今申されましたように、相当重要な、いわば強制保険を担当しております関係上、一方において国が掛金につきましての約半額程度の支出をしておるわけでございますが、なお事務費につきましても、国庫の方から、本年度にいたしますと約十八億ばかりの事務費を補助いたしておるのであります。しかしながらなおかつ事務費が足りませんで、結局は農家から徴収するといつた部面が、国庫補助のほかに、なお最近のところではおそらく半分くらいあるのではないかというふうに思うのでありますが、そういう厖大な事務費が、いわば無用なことに使われることになりましてははなはだ遺憾なことでございますので、私どもはそういう点のないように努めて参つております。  なおお話の大会でございますが、最近御承知のように、共済制度についていろいろ改正がございますので、連合会長会議、それらのものを一、二度農林省で開いたことがありますが、そのほかに私ども特別に大会といつたようなことを開くように慫慂したことももちろんございませんし、こういう際でございますので、そういうことによつて農民の負担が増加するということになりますと、はなはだ遺憾なことでございますので、御指摘のようなことのないように努めたいと思つております。
  54. 吉川久衛

    ○吉川委員 政府が共済大会を慫慂されているとは思いませんが、事実はあるのです。だからそういつたことによつて、その事務費等が組合員である農民に賦課され、農民の負担を増高させることは、共済事業の将来の発展のために非常な支障を来すので、これが監督の立場にある農林省としては、十分関心を持つていただかなければならないと思うのです。慫慂していないからかまわないということでなしに、もつと積極的に指導をしていただく必要があるのではないかと私は思います。それから国の支出に対して組合員の受取分がきわめて乏しいのです。その内容を調べてみますと、どうも途中で消えてなくなつているような形跡がたくさんあるやに聞いておるのでございますが、何かそれについての詳しい資料が政府にありましたら、それをひとつ見せていただきたい。私どもの聞くところでは、中間で食べ物になつたり、宴会費になつたりいろいろになりまして、実際農民の手に入るものはわずかであるという声を至るところで聞かせられるのですけれども、そういつた問題について何か納得の行くような、証明のできる資料を拝見したいと思います。
  55. 小倉武一

    ○小倉政府委員 今のお話は、共済金が的確に農民に渡つておるかどうかということに関連されてのお話だと思いますが、共済金が農民に的確に渡つておらないということは、実は私ども直接村の方々から聞くことがございます。その理由といたしましては、一つは今お話ようないかがわしい点がまつたくないという保証は私どもいたしかねるのでございますけれども、そういうことよりももつと大きな原因は、おそらく共済組合と協同組合との関係から生じて来ているのではないかと思うのであります。すなわち共済金が共済組合に入つて来るといつたような場合に、直接その現金を組合員に支拂わずに、その組合員が協同組合に対して持つている負債の償還に充ててしまうといつたようなことが行われているのではないかと思われるのであります。現実にまたそういうことを行つている村があるようであります。それがはたして妥当かどうかということになりますと、実ははなはだむずかしい問題であります。私どもといたしましては、全然そういうことをやらずに、共済制度の性格にかんがみまして、なるべく現金がそのまま農家の手元に行くようにいたしたいと思つております。そういう指導もいたしておりますが、しかし一つは協同組合のこともございますし、ことに農業手形といつたよう関係になりますと、直接組合員に共済金をそのまま拂つてしまうというわけにも参りません。従つてそういう場合には、必ず計算の内容を明確にした書類を農家に渡すように、そうして共済金は幾らで、組合の借金を幾ら引いて結局現金が幾ら残る、その現金が協同組合の預金に幾らふえているという明細書を必ず出すようにしているのであります。村々によりましては非常にのんきな村もございまして、そういう点が、書類としてはそろつているけれども、農家も必ずしもそれを覚えているわけではございませんので、何かしら現金を見たこともなければ、共済金はもらつたこともないといつたふうに言われることが多いのではないかと考えているのであります。但し御指摘のような点がまつたくないとは保証ができませんので、そういう点がないように、私どもも今後は組合の監査について十分努力したいと考えております。
  56. 吉川久衛

    ○吉川委員 局長の今の御説明では、たいへん行き届いたようなやり方が行われているように伺えるのでございますが、実際は、政府としてはそういうような手続をおやりになつているでしようけれども、中間においていつの間にか消えてなくなつてしまうという状態で、末端まで届いていないのです。それを届かせるように、今後措置を談じていただかなければならない。それからただいままでの共済事業の運用について、組合員である農民から相当批判的な声があります。声だけではなくて、それが行為になつて現われて、共済掛金をかけない。そこで村の組合ではやむを得ず、保険金が来たら掛金と切りかえてしまうというような便宜の措置をとつている。だから組合員は全然共済金の来たことを知らないでいる。また知らせもしないというようなやり方が事実行われているのです。だからそういうようなことであつては、ますます共済事業に対して将来禍根残すだけではなく、暗影を投ずるものであつて、共済事業の発展に大きな影響を及ぼすと思いますので、そういう点に今後十分御留意願いたいと思います。私は先ほどお願いした資料と、それから十三日以後に行われる公聴会の後において、なおつつ込んだお尋ねをいたしたいと思いますので、本日はこれをもつて打切りにいたします。
  57. 遠藤三郎

    遠藤委員長代理 残余の質疑は次会にこれを行うことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時三十三分散会