○
足鹿委員 たいへん他の
委員の御質問を妨げるようで恐縮でありますが、この際農林大臣に対しまして、大臣御所管の関係を中心とし、過般の鳥取大火の救急並びに復興対策について実情を申し上げて、これが復興について一段と御協力を願うとともに、
政府の御所見をこの際承
つておきたいと存ずるものであります。
御承知のように、去る十七日の鳥取の大火は戰後まれに見る大火でありまして、周辺を除いた市の経済力あるいは文化、政治、一切の中心になるものが焼失をいたしまして、しかも十二時間に五千数百戸を焼失するという悲惨事が起きましたために、ま
つたく関東大震災の縮図を鳥取市に見るがごとき、さんたんたる
状態を呈しました。これが復興に対しましては官民ともに懸命の
努力を払
つておりますが、去る十八年の大震災の惨禍をようやく復興いたし、安堵したところにこの災害でありまして、おそらく地方自治体や個人の力をも
つてしては、とうてい復旧できないような事態が起きるのではないかと憂慮されている次第であります。つきましては、これが救急対策なり今後の応急措置につきましては、農林大臣の御所管外の点につきましても、閣内にあ
つて十分これらの点について御配慮いただきたいと存ずる次第でありますが、この際大臣の御所管の関係、担当の事務につきまして、二三お伺いをいたし、かつ要望申し上げて、御所見を承りたいと存ずるものであります。それは農林水産関係方面の被害も、直接受けたものもありますが、その詳細については申し上げません。これについては、たとえば漁業関係の団体あるいは農業協同組合の関係の団体、あるいは果実連合会等の関係、あるいは畜産団体等、私は県の経済連をや
つておりますが、経済連も一部被害を受けましたが、ま
つたく無傷なのは信用協同組合のみでありまして、他の農業団体、水産団体、林産団体は全部被害を受けているのであります。従
つてこの関係の復旧等につきましては、農林漁業の資金の特別融資等について、特に格段の御配慮を煩わしたいと考えている
わけでありまして、その点についての御所見をこの際承
つておきたいと思います。
次には救急対策の問題といたしまして主食の問題であります。御承知のように、
政府の出先機関である食糧事務所も全焼いたしてしまいました。従
つて私
ども経済連の立場におります者は、県庁、市役所と連絡いたしまして、これが救急対策については万全を期した次第でありますが、罹災者は購入通帳もなければ、あるいはびた一文も持たない連中が多いのであります。あのようなさんたんたる被害が急速にあろうとは思いませんから、官公署、会社、その他団体に勤めている者は、工場はもちろんでありますが、全部その職場を守
つている間に火の手がまわ
つて、帰
つてみたら一物もなか
つたという悲惨な
状態。従
つてま
つたくのからだ一つということにな
つておりますので、とりあえずこれらの人につきましては、六日分を最小限度といたしまして、罹災者が二万四千百四十二名と
推定いたしておるのでありますが、これらの主食の
配給につきましては、無償
配給あるいはこれに準ずるような措置を御考慮願えるやいなや。すでに
配給はどんどん進めているのでありまして、
現物の点については遺憾ないのでありますが、特にそういう事情がありますので、これに関連をいたしまして、十分当局の御善処を煩わしたいと考えているのでありますが、いかようにお考えにな
つておりますか。幸い食糧長官もおいでにな
つておりますので、特に主食の安定が一番かんじんでありますので、御善処を願いたいとともに、御所信を承
つておきたいと存ずる次第であります。
第三点にお伺いをいたし、かつお願いしたい点は、災害復旧用の木材の供給の問題についてであります。御承知のように森林法が成立をいたしまして伐採制限が行われております関係上、鳥取県は林産県ではありますが、この不時の五千数百戸の全焼につきまして、応急のバラツクを建てるにいたしましても、数千戸を要するのであります。先刻も本会議で建設大臣が御報告になりましたように、五千二百戸の三分の一の応急バラツクを建てるにしましても、千五百戸を要するのでありまして、これに要する用材は莫大な額に上ると思うのであります。ところが伐採制限の関係上用材の供給が意のごとくなりません。従
つてわずかに残
つた材木商等は、板一枚もなか日に惜しんで売らないという現状で、日に日に木材等は急激に暴騰いたしております。これらの点については、伐採制限が出てからの初めてのことでありますが、いかようにお考えにな
つておりますか、何らか御考慮の上、特例を開いていただきまして、そうして現地におけるところの復興資材が、ある
程度潤沢に出まわりますように御善処煩わしたい、かように考えている
わけでありますが、これらの点につきまして、大臣はいかようにお考えにな
つておりますか。特に森林法の運用上の問題に関連をいたしまして、この点は御配慮煩わしたい、かように考えているのであります。
なお復興と土地問題についてであります。直接農地の問題ではありませんが、借地借家法の盲点をつきまして、いわゆる地上の建設物が喪失いたしますと、借地権が一応消滅するという現行借地借家法の盲点を利用いたしまして、すでに
東京方面から、いろいろな人たちが自分の土地をめぐりまして、元の使用人に使用を許可しない。燒けた翌日現地に来てみますと、自分の元建
つていた家の周囲には、木柵が張りめぐらされ、鉄條網が張りめぐらされて、一歩も入れない。こういう
状態でありまして、復興作業をしようにも、一歩も立ち入ることができない。こういう悲惨な現状であります。私先日、市内の十八箇所の五千人ばかりを収容しておりますところを一々歩いて、現地の人たちの意見を聞いてみましたら、自分のところへ来まして、燒け土なりいじくりたいと思いましても、それができないという悲惨な現状であります。このようなことでは、どんなりつぱな都市
計画がでまましても、なかなかこの復旧ということが土地の問題にからんでうまく行かないと考えます。これにつきましては罹災都市借地借家臨時処理法がありますから、これについては追
つて他の機会に法的な御措置をお願いしたいと思
つておりますが、これらは直接農林大臣の御所管の事務ではございませんが、十分閣内等におきましても、現地のこのような実情をすみやかに解決していただくように、一段と御考慮を煩わしたいということを特にお願い申し上げて、私の質問を打
切つておきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。