運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-04-17 第13回国会 衆議院 農林委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 松浦 東介君    理事 河野 謙三君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君      小笠原八十美君    小淵 光平君       川西  清君    坂田 英一君       千賀 康治君    田中 彰治君       中馬 辰猪君    幡谷仙次郎君       原田 雪松君    大森 玉木君       吉川 久衛君    高倉 定助君       石井 繁丸君    竹村奈良一君       足鹿  覺君  出席政府委員         農林政務次官  野原 正勝君         農林事務官         (農政局長)  小倉 武一君  委員外出席者         農林事務官         (農政局農業保         険課長)    久宗  高君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 四月十六日  食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出  第一六九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  農村振興に関する陳情書  (第一三四二号)  競馬民営反対に関する陳情書  (第一三四三号)  同(  第一三四四号)  森林計画実施に伴う森林組合強化拡充に関す  る陳情書  (第一三四五号)  森林法改正により新たに林業者負担となるべ  き諸経費の国庫負担に関する陳情書  (第一三四六号)  紀伊村地内の国有林拂下げに関する陳情書  (第一三四  七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇八号)  農業災害補償法臨時特例法案内閣提出第一三  七号)  農業共済基金法案内閣提出第一五五号)     ―――――――――――――
  2. 松浦東介

    松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。  この機会に念のためお知らせいたします。昨四月十六日、内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案が本委員会に付託に相なりました。右御承知おきを願います。  これより農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法案農業共済基金法案の三案を一括議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がございますから、これを許します。河野謙三君。
  3. 河野謙三

    河野(謙)委員 この際お伺いしたいのですが、本制度を施行して以来の年々の災害の率が、私は順次ふえておると思いますけれども、それについてごく概略の数字でいいですから、年度別どのくらい災害の率がふえておるか、お答え願いたい。
  4. 小倉武一

    小倉政府委員 被害率の累年の傾向についてでございますが、こまかい数字にわたりますので、表にして、あとで御配付した方がよろしいかと思いますけれどもお尋ねでございますので、一、二例を申し上げます。水稻は、昭和二十二年が六・七五六、二十三年が五・六四五、二十四年が五・九二五、二十五年が六・三六七となつております。水稻は、実績の被害率は以上のような状況でございますが、麦は著しく変動がございまして二十二年が一・二八八、二十三年は一〇・二五一、二十四年が八・一九二、二十五年が八・七五九ということになつております。もつとも麦につきましては、昭和二十二年度は旧制度のもとでございますので、比較は二十三年からいたした方がよろしいのではないかと思います。
  5. 河野謙三

    河野(謙)委員 そこで私は伺いたいのですが、災害のこの農林省調査というものは、私は実態と非常に合わないと思うのです。たとえば同じ農林省の中で、農政局長が前におられた統計調査の方で調査された数字と、共済の方から出て来る被害数字と、これが合わない。極端なことを言えば、一地区をとらえるならば、統計調査の方ではマイナス数字が出る、ところが共済の方ではプラス数字が出る、こういうふうなまつたく相反した数字が出ておる。そういうことは一体どういうことになるかというと、世間で伝えられるところの保険金詐欺と申しますか、調査の不十分のために正直者がばかを見る。ひいては、特に水稻の場合には、共済制度を否認するというような声が農民の間に起つておる。これは一に運営の問題であります。この制度そのものの理想については、われわれは大いに賛成はしておるのでありますけれども運営について非常にずさんであり、非常に不明朗な点があると思うのてありますが、そういうことにつきまして今後いかなる手段によつて、いかなる方途によつてこれを是正され、公正化されるということをお考えになつておるか、これを承りたいと思います。
  6. 小倉武一

    小倉政府委員 被害の測定の問題でございますが、これは御指摘のように、いわゆる收獲高から見まする減収と、農業保險の方から見ます減収とは、年により物品により、場所によつて開きがあるということは御指摘通りであると思います。但し考えなければなりませんのは、一つは收獲高からする被害がどうしてもプラスマイナス面が相殺されるといつた面が相当あるのではないかというふうに存ずるわけであります。ところが農作物の保險の方におきまする損害の方は、一筆單位マイナスの面のみをとるという結果違いが出て来るのではないかと思うのであります。もう一つは、制度根本にさかのぼりまして、そういうことがいいかどうか、また御批判願わなければならないことがありますが、この保険共済の場合に、損害評価当事者たる組合がやるということにやはり問題がある。第三者評価第三者評価するといつたようなことが必要じやないかということも河野委員の御指摘からやはり生れて来るのではないかと思いますが、そういう評価基準が若干論理的には違うのではないか。また評価をやるとしましても、当事者がやる場合と第三者がやる場合と必ずしも一致はしない。どちらがよろしいかというような点につきましては、御指摘の点を考慮いたしまして、今後是正をして行きたいと思うのであります。その是正の方法といたしましては、一つはこれまで一筆單位にやつておりました共済を、米麦、それぞれ農家單位に直すということによりまして、ある程度是正ができるのではないかということを考えております。それからもり一点は、損害評価基準組合といつたような組合を設定いたしまして、そこに重点的な指導をやりまして、その基準組合評価を他の組合評価の模範とするといつたようなことを、二十七年度から新しく始めたいと考えております。さしあたり予算的、制度的に措置を講じておりますのは、ただいまの農家單位の実験と、それから損害評価基準組合を設定するということだと思います。なお、さらにひとつつけ加えて申しますが、従来この損害評価といつたような面につきましても、府県調査の能力が足りなかつた点もあろうかと思いますので、今回二十七年度には、新しく各府県にほぼ五人ずつの職員を増置いたしまして、損害評価の適正といつたようなことについての仕事もやらせるということにいたしております。
  7. 河野謙三

    河野(謙)委員 損害評価をだれがやるかという問題が一番の根本問題だと思います。従来とにかくいたずらに被害の件数がふえ、被害金額がふえたということにつきましては、損害評価について、全体とは申しませんけれども地区によりまして非常に不正行為が行われておる、私はある所でこういう話を聞いた。損害評価を過大にして、たくさんの金をもらつたために、各共済組合から寄付金を集めて、ある県では農業共済会館を建てたというような話まで聞いておる。うそかほんとうか知りませんけれども、しかしそういうようなうわさが飛ぶほど農業共済損害調査については非常に不明朗なものがある。従つてこの損害調査をだれがやるかという問題が非常に大きな問題だと思います。そこで現在損害調査について、統計調査損害調査関係はどうなつておるか。これをひとつ承りたいと思います。
  8. 小倉武一

    小倉政府委員 制度的には両者関係はないのであります。私ども共済保険の立場から申しますと、それは連絡をつけたいという意思を実は持つております。御承知のように、その組合には損害評価委員というものがございます。これは組合が村の有識者その他から、どういう額が正しいかといつたことについての意見を集める委員会でございますが、たとえばその委員会作報と申しますか、府県作報でございます。今の統計調査事務所の出張所の職員委員を委嘱するといつたようなことを私ども以前は希望しておつたのでございますが、統計調査所の者がそういう直接の損害評価といつたような行政事務に携わるのはよくないということで、この委員には正式には加わつておらないのであります。ただこの損害評価委員評価する場合に、作報などの意見も十分聞くということは、これは可能でありますし、またやるように努めておるのであります。なお根本にさかのぼりまして統計調査収量調査ないし被害調査保険被害調査といつたようなものと結びつけるということは、制度根本においては考えられることであると思いますので、そういう方向に向つてどももその両者の関連について、実は内々は考えておるのでございますが、ただいま具体的にどうといつたようなことは、まだ結論が出ておりません。これは一筆単位から農家単位、あるいはさらに新しい共済制度根本にまで触れなければ、統計損害評価ということは十分に結びつかないのではないかというふうに思つておりましてこの辺は御指摘のような点を、十分今後において研究いたしたいと思います。
  9. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は、農民のためにこの共済制度を確立し、そうして農民にこれが好まれる制度に早くしたい。こういう念願からいろいろ申し上げるわけです。今のような場合ですと、特に水稻の場合は、非常にこの制度をきらつておるところが多いのであります。結局今のように損害調査がずさんであるために額が上る、額が上れば掛金が上る、掛金が上ればその掛金を回收するために、また被害調査において過大に評価して請求する、こういうことで、いたちごつこで、ただ掛金を上げて、そして国庫負担をふやして、そうして一方においては農民にはこれが好まれない、こういうことになりますので、その根本被害調査の問題、これを確立することでなければならぬ。つきましては農政局長も、この点についてはいろいろお考えのようでありますけれども、すみやかに損害調査公正化につきまして、一つ制度を確立してもらいたいと思う。私は町村の公営でもいいと思う。かりにそれができなければ、もう少し同じ農林省の中において、統計調査数字とこの農業共済数字とは常に僕達のあるものてありますから、僕達の浸るこの二つのものが数字か逆に出る、プラスマイナスに出るというような従来のことについては、少くとも研究の時代を過ぎてこれは何らかの損害調査公正化についての具体策を、私はこの法律案を出すと一緒に、そういうことについての具体的な説明があつてほしいというくらいに思いますけれども農政局長説明により、農政局長の意図されておるところも大体わかりましたから、私は以上希望いたしまして質問を打切ります。
  10. 竹村奈良一

    竹村委員 まず私がお伺いいたしたいのは、各県におきますところの農業共済組合連合会の現在の赤字は、全部でどれだけあるか、それから町村共済組合赤字というものの御調査ができておりましたならば、全部でどれだけあるかを伺いたいと思います。
  11. 小倉武一

    小倉政府委員 共済組合連合会赤字と申しますか、この赤字という意味が、普通の事業団体とはいろいろ仕事性質が違いますので、誤解があるかもしれませんが、共済組合の会計では不足金言つておるのでございます。その不足金昭和二十六年産の水稻を入れまして約二十八億になつております。その下の共済組合になりますと、これは御承知通り責任の区分が全体の一割で、ございましてその一割も場合によつては切り下げるということも法制上認められておる関係上、不足金という種類のものではないと存じます。
  12. 竹村奈良一

    竹村委員 その次にお伺いいたしたいのは、今度出されました基金法によりますと、大体十五億というものを連合会から出資することになるのでございますが、今日年々の災害の増大という点から考えまして最近二、三年ないしは四、五年の間には、この二十八億の不足金というものはおそらく解消しないだろう、そういう見通しは現在事実上ないだろうと思うのです。そういたしますと、この基金法にありますところの出資政府はでき得る見込みでおられるのでございましようか、その点ひとつ伺つておきたいと思います。
  13. 小倉武一

    小倉政府委員 基金に対します連合会の十五億の出資でございますが、もちろん御指摘のように、連合会全部黒字でありまして、剰余金があるといつた性質のもので、ございませんし、もともと出資団体では、ございませんので、連合会の独自の財源でもつて出資をするということは、これはなかなかできないことだと思うのであります。従いましてこの制度におきましては、連合会がその組合へ、組合がさらに農民へと一種の賦課金的に—賦課金言つては語弊がございまして、出資でございますが、連合会出資を最末端までひとつ応分に醵出してもらうということで成り立つておるわけであります。従いまして不足金のある連合会はもちろんでございますが、そうでない組合連合会におきましても、さような措置がとり得るように実はできておるのであります。  なおこの二十八億の問題でございますが、これも御指摘のように、すぐこの二、三年のうちに消されてしまうというようなことを予想することは、はなはだ不可能に近い困難なことだと思うのであります。二十八億の不足金をかかえてできた基金につきましては、三十億の資本だけでは十分やつて行けない。従いまして不足の所要な財源は、どうしても他の財政資金によつてまかなわなければならないのではないないかというふうに考えておるわけであります。
  14. 竹村奈良一

    竹村委員 それで大体わかりますが、そうするとこの十五億の出資というものは、結局においては連合会は二十八億の不足金を背負つておる。従つてその構成団体であるところの農村単位共済組合、しかもそれからまた割当てまして結局においては農民負担さすということになる、こういうことでございますが、そこでお伺いいたしたいのは、二十七年度におきますところの水稻一反歩に対する共済掛金は、全国平均でどれくらいになつて、最高の掛金をする農家は一反歩幾ら、最低の掛金をする農家は一反歩幾ら、これは水稻と麦とでけつこうですから、それを知らしていただきたい。
  15. 小倉武一

    小倉政府委員 二十七年度の水稻料率でございますが、これは御承知のように今年度新しく改訂をいたしたのでございまして、全国的に申し上げますと、五・四一九%でございます。これは全国平均で、地方によつていろいろ違うわけでございますが、そのうち農家負担の分が二・五六四%、国庫負担の方が二・八五五%というふうに相成つております。この負担の割合につきましては、実は農家負担従前より増加しないということを基本的な建前にいたしておりますので、共済金額が上るというふうな関係上、実は負担は増加するはずでございますが、それを従前のような負担額にとどめるということを原則といたしました結果、むしろ国庫負担農家負担は、従前よりも農家負担が総体的には軽減されるという結果に相なつております。  それから具体的に、反当どれくらいの掛金になるかということでございますが、全国平均いたしますと、反当大体百五十円くらいではないかと思います。低いのはもちろん百円以下でございますし、高いところになりますと四百円ほどにも上るのではないかと思います。  なお麦でございますが、麦は今年度料率改訂をするのでございますが、まだ時期も早い関係上、今年度秋にまく麦に間に合うように料率改訂をするつもりでございますので、まだ準備が進んでおりません。
  16. 竹村奈良一

    竹村委員 大体。パーセントはいいのですが、反当に直しまして、高いところは四百円くらい、安いところで百五十円から百円くらいだということでございますが、そこでこれ以外に連合会事務費組合事務費、こういうものが相当な額に上つておると思うのですが、こういうような点の御調査ができておりましたら、ひとつ知らしていただきたいと思います。
  17. 小倉武一

    小倉政府委員 共済組合連合会ないし組合事務費負担でございますが、これは御承知のように、連合会は本部に六人、支部に四人、それから単位組合に二人といつた人件費を中心とした補助をいたしております。国の建前といたしましては、補助率は三分の二でございます。従いまして事務費の三分の二は国庫補助するという建前にいたしておるのでございますが、実は農家はそれ以上と申しますか、残りの三分の一に相当する額以上におそらく出ておるというふうに、私ども推算いたしております。詳しい資料は後刻提出いたします。従いまして結論的に申しますと、大体事務費は実際のところは国が半分、組合関係が半分といつたようなところでないかと思います。
  18. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、一府県連合会は別問題といたしまして、全国の各府県連合会事務費総額は、政府補助するものは別として、農家からとつておる分は一体どれくらいの総額になつておりますか。
  19. 小倉武一

    小倉政府委員 最近の資料は持ち合せておらないのでありますが、二十五年の一応の調査によりますと、全国で十二億という数字が出ております。
  20. 竹村奈良一

    竹村委員 そうなつて参りますと、これはここへ資料をいただきますと、特別詳細になると思いますので、各県別あるいは全国的な資料をいただきたい。しかしそれは別といたしましても、こういうふうに考えて参りますと、農家に対しましては相当な負担になつて来ることは、掛金率から見ましてもはつきりしている。たとえば一反歩四百円くらいの掛金をしなければならぬという所も相当あるわけですが、その農家にまたあとの十五億の出資の分を割当てる、あるいは事務費を割当てて行くというようなことになりますと、実際問題として基金法による出資が不可能になるのではないか、円滑に集まらないのではないか。政府出資の方は別でございますが、連合会から積み立てる十五億というものは、集まることが不可能になるのではないか。もちろんこの面だけで問題を解決するわけには参らないのでありますが、何分にも問題は、現在の農業経営から申しましても、結局自分の農業経営農民独自の力で成り立つような形態になつていないことは、もう原則的にはつきりしているわけでありまして、しかもこの基金法によつてこれを農民負担させて行くというようなことは、不可能になるのではないかと思うのです。たとえばこのことについては、共済組合全国協議会、あるいは連合会会長会議等において、農林省との折衝経過があると思うのでございますが、そのときは各連合会会長は、これはもう引受けてお帰りになつたのでございますか、その点はどうなつておりますか、詳しくお知らせ願いたい。
  21. 小倉武一

    小倉政府委員 基金に対する連合会出資十五億につきましては、御指摘のような心配は確かにあります。またそうでなくても、この三十億全部はむしろ政府出資すべきではないかというような議論も立て得ると思うのであります。しかしながら現在の制度といたしまして、たとえば御質問掛金でございますが、この掛金を国と農家半々に出しておるというようなことからいたしましてその不足ということは、結局掛金率の問題でございますので、そういう点から申しますと、農家側と国の側が半々くらい出し合つて不足金を補うフアンドをつくるということも、これまた理論の通るところではないかと思います。ところで農家負担できるかどうかということでありますが、もちろんこれは十五億を一年に出すわけではございませんので、数年間に分割して参るわけであります。しかも普通の法人でございますれば、民間出資も少くとも第一回の拂込みが了してから設立が初めてできるということにいたしておるわけでありますが、この建前といたしましては、政府の十五億出資が済めばとにかく基金はできる。少くとも一億くらいだけ農家が出してもらえば、まず基金は実質上十六億の出資をもつて発足する。残りのものは、法律によりますと、五箇年以内で拂い込むというくらいに負担のことも考えまして、措置をいたしておるのであります。  なおお尋ねの協会ないし連合会長会議の御意見でございますが、いろいろ御相談した結果、異論なく御同意を願つておることと存じております。
  22. 竹村奈良一

    竹村委員 その問題については、その他の質問をいたしたあとで、続いて伺いたいと思います。  この農業災害補償法特例法案でございますが、この法律を見ておりますと、今まで一筆ごとに三割以上の被害があつた場合に、その一筆被害に対する補償をやつたのでございますが、今度は農家一戸当りの単位にその損害が出た場合にのみ保険金支拂うということになるのでございます。そうなりますと、この補償制度根本的な再検討をされる段階に来ている。しかもこのことは私は相当大きな問題があると思うのです。そこで聞きたいのは、この法案に出ているようなことをもうすでに各県に指定町村をきめられて試験的な実施段階に入つていると思うのですが、その点を一応伺いたいと思います。
  23. 小倉武一

    小倉政府委員 一筆単位の試験を実際やるのはこの法案通つてからでございますので、やつておりません。しかし準備段階といたしまして研究的なものは二、三例がございます。そういう例によりまして、ただちにこの制度がよいかどうかということは、もちろん結論は得られませんけれども、やつた例は若干ございます。ところがこの保険制度といつたようなものは、実際やつてみないと、損害の出方なり、あるいは共済金のもらい方なんかが必ずしもはつきりいたしませんので、この特例法案は実際試験的にやつてみようという法律なのでございます。
  24. 竹村奈良一

    竹村委員 実際にやつているということでありますが、これはもうあなたの方では、実際にやつたならば、この共済支拂金が現在よりもどれくらい減るかということは、專門的に考えれば大体想像のつく問題だと思うのです。たとえば今まで十町つくつてつたものが、そのうちの一反が三割以下の減収になる場合には、その一反に対して保險金の給付を受ける。ところが今度この制度になりますと、一町つくつてつたものが、一反がたとえ五割減収いたしましても、あとの九反が平年作をあげた場合においては、その農家に…耐乏保險金は支給しないということになるわけでございますが、そうなると私は保險金支拂いは大幅に減額すると思うのです。減額できるはずなんだ。またそうなつて来るはずです。それについてのよしあしの議論はいろいろありますから、これは別といたしましても、保險金支拂いは少くとも三分の一以下になるのではないかと思うのですが、こういう点はやつてみなければわからぬということだけでは、農禁省の專門家の人の答えとしては、それはちよつと受取れないので、大体どのくらいに計算しておるのか、聞かせてもらいたい。
  25. 小倉武一

    小倉政府委員 御指摘のように共済金金額は減ずるだろうと思います。しかしそれが三分の一になるか、二分の一になるかということにつきましては、正直のところ一、二の例だけでは判断することができないのであります。もつともそのことは同時に一方掛金がそれによつて減るということでありますが、それにいたしましても、一体どこまで補償するかということにかかつているわけです。三割以上の減収補償するのか、あるいは二割以上に補償するのか。従いまして、掛金がどの程度かかるかということと、補償限度をどこに置くかということをにらみ合せませんと、実はぎまつて来ないのであります。私どもは、ただいまのところは収量の八割について考えておるわけです。すなわち二割以上減収について考えております。その場合におそらく共済金も減るであろう、従つて掛金も減るであろう、ところが掛金組合としては従前通りおもらいする、そこでさしあたつての問題としては二分の一は特別会計から組合補助する。補助するというとおかしいですが、おもどしをする。二分の一が適正かどうかということがわかりませんので、余れば積み立てておきましてこの制度をやめて、実験をやめるときに、組合員におもどしをするということに実はいたしておるのであります。
  26. 竹村奈良一

    竹村委員 二割以上の減収、つまり八〇%を収穫でき得なかつた農家個々に補償するということになります。そういたしますと、毎年の例といたしまして、たとえば農林省統計で—個個の農家でございますから、全国的な減収とは違いますが、しかし大体全国的な収穫量の上に立つた減収は、過去四、五年の終戦後の経過から考えまして、全国的に平均に見てあまりなかつたと私は記憶するのですが、どうでしようか。二割減収した府県というのは相当ございましたでしようか。     〔委員長退席、河野委員長代理着席〕
  27. 小倉武一

    小倉政府委員 全国的に二割減収といつたことも年によりましてないことはないと思います。県によりましては一、二あるが、もちろんそれは例外的なものだろうと思います。しかし県なり国のベースでの減収ということと、農家単位減収ということでは、これはまた非常に違つて参ります。実は一、二例がございますので、これを申し上げてみますと、こういうことになるのであります。お手元に配付いたしてあると思いますが、農業災害補償臨時特例法案関係資料というものの第二表十四ページをごらんになりますと、農家単位にあります場合と、一筆単位にあります場合の減収率の比較表がございます。それによつてひとつごらんおきを願いたいと思います。
  28. 竹村奈良一

    竹村委員 実は今資料をいただきましたので見ます。そこで私の考えでは、これは正直に考えて、こういう形で参りますと、実態としては大体共済金として農家補償するところの支拂いをする額というものが、あなたの方では二分の一になるか三分の一になるかわからぬと考えられておるでしようが、しかし実際問題としてはほとんど支拂うことがいらないような傾向になつて来るのではないかというように思うのです。もちろん個々にはありますけれども、大体一軒の農家で一町ないし一町五反もつくつている農家にいたしますならば、もちろん三割も四割も減收する田はできて来ますが、一方においてまた増收する田も出て来る。すなわちそれを平均するのでありますから、そういう農家は大体もらえないということになる。そうなりますと、三つ出されました法案全体を見ておりますと、私は非常に矛盾を感ずるのです。たとえば今度負担金は特別会計でなく一般会計からするというと、一応国がほとんど全部負担するのだという法案一つ出して来て、その後で続いて二つ出て来るわけですが、大体片方では保險金支拂うのをほとんど支拂わないようにして、一方において基金をこしらえて農家から、いわゆる農民から十五億出さす。それから、政府の方から十五億出して、何かの場合にこれで支拂つて行く、その他の場合はもちろん国が負担するのだと言いますけれども、実際問題として支拂うことをいらないようなことに、特例法案で大体試験してみてその形へ持つて行こう。結局政府の方では、農業共済保險に対してはあまり金を出さないようにして行こうというのがねらいではないかと思うのでありますが、こういう掛金は反別でとる。一反でとる。もちろんこれは試験だから、余つたらそこへ掛金を返還するというようなことになつておりますけれども、しかし一反別にとつて農家全体の收穫のやつで拂う。それは根本的に考えて理論的に成り立つものでしようか。たとえばいろいろの保險にいたしましても、生命保險一ついたしましても、個人からとつて、その一家が全体の何にならなければこれは拂わないというような建前、そういう根本的な点でこういう特例法案というものは理論的に成り立たないのではないかと思う。農家一戸に共済掛金が幾らかというかけ方ならば別だけれども、反別に、しかも水稻と麦と別々に掛金をかけて行く。しかも今度は、支拂いをするときは農家一戸の減收でなければ拂わないというような点は、理論的に成り立たないのではないかと思うのでありますが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  29. 小倉武一

    小倉政府委員 先ほども申しました通り、これによつて国庫負担を減少しようという積極的な意図は、実は私どもも持つておりません。もちろんそういう意図を持つておられる方もあるかもしれませんけれども、私どもは持つておりません。むしろそれよりも、従来の一筆単位1たとえばある筆で非常に減少しても他の筆は増收があつたという場合に金はもらえるけれども、全体の筆が一、二割減收したというような場合にはまつたくもらえないというような不合理を是正したい。なお、共済金額も従来は半分というようなことであつたわけでございますので、そういう点を是正して共済金額を多くする。他面、農家がもらえる場合は、従来の一筆単位の場合よりもおそらく少くなるでしようけれども、所得の維持というような面から考えると、理論的にはこの方が合理的ではないかというふうに考えられたのであります。もちろんこれが農家単位と申しますと、おそらく誤解はないと思いますが、ほんとうを言えば、増收の部分と減收の部分とを相殺して、さて全体として減收が幾らかということになり、その減收を補償するということが建前かもしれませんけれども、今度の実験でやろうといたしますものは増收分は実は見ておりませんので、減收部分だけです。増收部分の筆は普通の平年の反收があつたものと見て減收のあつた筆だけの減收部分を合計するという意味において農家単位なのでありまして、増收分と減收分とプラスマイナスするということになれば、これはまた御指摘のように非常に共済金をもらえる者、あるいはもらう機会が非常に減るということになりますが、この点は相当是正されているのではないかというように考えているのであります。
  30. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、たとえば一町つくつている農家が平年作を大体三石と見ておりましてそうして普通であつたならば三十石とれる。ところが一反で一石五斗とつたあとの田は三石一斗ずつとつたという場合は、この一斗の分は相殺しない。今の御説であつたならばそうなるのですが、そうすると一反が一石五斗で、二割以上減つておりますが、しかしこの田ではもらえない。こういうことになつて来るわけでありますが、どうですか。
  31. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいま申しました通り、たとえば一町つくつておりまして、平均の基準收量と申しますか、平年作が反当三石で、三十石ということになつておりますといたします。そうした場合に五反歩は非常に減收して、半減してたとえば一石五斗ということにいたします。ところが他の五反歩は増收して一石五斗プラスになりまして四石五斗ということになつたとすれば、農家単位プラスマイナス平均すればこれは平年の收量で、反当三石平均ということになりまして、保険金共済金額をもらえないということになりますが、私どものは一石五斗プラスなつた五反の部分は見ないで、これは従来通り三石と見る。そうして残りの五反歩の一石五斗減收した部分を減收と見て、その他の部分は平年作と見ての五反歩の減收と見るということにいたしておるわけであります。
  32. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、問題はちよつとおかしいと思うのです。というのは、そういう平年作の基準のきめ方では、それでは全国的には各個々の農家の平年作のきめ方というものはどういうところに基準を置かれるのか、つまりそこにいろいろ減收の査定の問題、先ほど河野委員からいろいろ指摘されましたけれども、私はああいう形じやなしに、別な形で個々の農家の平年作の基準というものが私は問題になつて来ると思う。ある所においては何石を基準としてやる。ある所においては—しかも個々の農家をやらなければならぬということになりますと、その基準のきめ方というものが非常に問題になると思うのでありますが、これはどういうところに基準を置かれるのでしよう。これはどういう形で、たとえば共済組合に一任されるというだけでは私は解決しないと思うのですが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  33. 小倉武一

    小倉政府委員 その点におきましては、これは従来とも基準收量といつたようなものがございまして、その点は考え方は実はかえていないのでござい事。農林省がいろいろ相談いたしまして県の基準收量をきめる。その県が平均的に、算術平均ではございませんで、またこれを町村に割当てる。各町村基準收量を加重平均すれば県の基準牧童になるようにいたすわけであります。町村がまたそれに基いて各農家基準牧童をきめる、このたびは共済金額にもその基準收量が関係いたしますので、従来以上に関心を持たれると思いますからして、むしろ関心の少い農家の方にも関心を持つていただいて、基準收量が適正におそらくきまるのではないかというように考えておるのであります。
  34. 竹村奈良一

    竹村委員 それではこの法案がもし通過いたしますとするならば、全国でたとえば郡に一箇所ぐらいの試験農村を置かれる予定でございますか。その点はどういうことになつておりますか。
  35. 小倉武一

    小倉政府委員 全国米、麦、それぞれ組合約一万一千の約五%ずつと相談いたしまして選定したいと思つております。むろんこれは被害率といつたような関係もございますので、危険階級別に、どの階級に属するものは何組合といつたようなものを基準をきめましてその範囲におきまして組合連合会と相談をいたしまして実験をする組合を定めたいと思つております。
  36. 竹村奈良一

    竹村委員 おそらくこれをその何かきめられまして、そうしてそのモデル町村がこの通り実際にほんとうに厳正にこれをやりましたならば、私はここではつきりしておいてもいいと思うのですが、おそらく共済するような県は、特別な災害が多い所は別ですが、それ以外の所はおそらく保険金補償する額はほとんどゼロになると思うのです。これはここではつきり私は指摘しておいてもいい。特別な災害は別ですけれども、普通であつたならば、こういう一農家単位でするならば、おそらく私は保險給付はいらないことになると思う。その場合になりますと、これはかけた掛金の半分は返すということになつておりますけれども、しかしそういうことになりますと、この共済制度根本的な問題になつて来るのですが、その場合はこういうふうな、そんなことじやなしに、やはり元の行き方にしようということになるのですか、この方がいいということで全国にこれをされるものですか、その点はどうですか。
  37. 小倉武一

    小倉政府委員 御指摘のような事態が起るというふうに私ども必ずしも考えておりません。しかしこれはその他の事由によりまして、この制度はどうもうまくないということはあり得ると思うのであります。もちろんこれは全面的にこういう制度に切りかえるために実験をするわけでありますが、実験途上どうもいろいろぐあい薫いという点が出ますれば、この制度に乗り移るということはいたさないつもりでございます。もちろん現在の制度が最善のものではないでしようから、いろいろ改善は加えなければなりませんが、やつた結果どうもまずいということであるにもかかわらずこの制度に移るということは、必ずしも今から最善の事態とは、考えていないのでございます。
  38. 竹村奈良一

    竹村委員 私は少くともこういうような試験的なものをやつて、そうして問題を糊塗するよりも、この点はおそらく私と見解を異にすると思いますけれども、実際これを実施されて、その村に適用されるならば、先ほど私の言つたようなことになると思う。そこで問題は、そういうことにされる前にまず考えなければならぬことは、そういうような根本的な改革をも含むようなことになるわけでありますから、まず問題は、現在農家で一番困つておることは、掛金の高額なことに一番困つておる。従つてこういう形で保険掛金を引下げて行こうという意図もあるようでありますが、それよりも根本的に、今日の農業経営あるいは農業経済から考えて、掛金は全部国家で負担して行く、そうして掛金一つもとらない。そのかわりにいわゆる災害の検査あるいはほんとうの災害を受けた調査というものを厳重にやつて行く、その上において国家はこれを全部負担して行く、こういう考え方にかえなければならぬと私は思う。こういう糊塗的なことでいろいろなことをやつたところで、問題の根本的な解決にならない。しかもそれは根本的な改革を含んだ重大な法案だと思うのでありますが、そういうふうに考えなおす考えはないか。そうでないと問題はいろいろ—農家は実際問題として掛金をかけるに困つておるのです。だから保険金をもらわなければなかなかかけられない。災害を受けた所はもらつたのだからかけますけれども災害を受けない農家保険金をもらわない農家は、翌年はかけない、文句を言つておる。これは事実なんです。だからそういつた根本的な制度をひとつ改められる構想は持つおられませんか、その点を私は改めなければならぬと思うのですが、その点はどうでしようか。
  39. 小倉武一

    小倉政府委員 掛金農家負担関係からいたしまして共済金制度を国営的なものにする意思はないかとのお尋ねでございますが、率直のところそういう意図は持つておりません。掛金の問題につきましては、これは負担が多いという点は、一つは、先ほど御指摘がございました損害評価の問題が一つ関連すると思います。もう一つは、掛金をきめる場合の措置一つ問題であろうと思うのであります。すなわち基準收量をいかようにきめるか、従つてまた掛金がどういうふうにきまつて行くかということを適正にきめますれば、これはある程度現在の不満が防げるのではないかというふうに思つております。このたびの二十七年度の水稻料率改訂に当りましては、そういう趣旨で標準被害率を定めるようにいたしております。それに基いて県がまた作業をやつて行くというふうに指導いたしております。掛金を全額国庫負担するということになりますと、実は考え方によりましては、そもそもこういう制度はいらない、災害が起れば補助金をもらえばよいという補償制度以前に逆もどりする考え方もありまして、そういう考え方は私はいたしておらないのであります。
  40. 河野謙三

    河野委員長代理 あなたの質問がもし長ければ、他の質問通告者がたくさんあつて、しかもいずれも農業委員会の会同を持つておられて、急ぐそうでありますから、暫時保留されて他の方に讓つていただきたいと思いますが……。
  41. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは資料も見なければなりませんから、保留しておきます。
  42. 井上良二

    ○井上(良)委員 農業災害補償制度三案に関連いたしまして質疑をいたしたいのですが、農業災害補償制度は問題が非常にたくさんございまして、簡單に質疑を終るわけには参りません。特にこの問題で私どもが重要に考えますことは、農業共済制度というものについての基本的な考え方、それからこれを実際面に実行しました場合起つて来るいろいろな根本の諸問題でございます。従つて今度政府はこの改正にあたつて従来やつて参りましたやり方を根本的にかえようとしておりますから、この際本委員会におきましても、災害補償制度の確立の上から相当問題を愼重に検討いたしたいという建前でわれわれは臨みたいと考えております。まず最初にとり上げなければならない問題は、共済掛金の問題あるいはまた損害評価の問題、共済金支拂いの問題、これらの問題がとりあえず問題になると思つております。御承知通り災害がどんどん年々重なつて参りますに従つて一方また掛金も年々高くなつております反面、共済金の受取りは非常に少額で、どうも農民はこの制度をあまり積極的に喜ばないという実情にあることは事実であります。しかもこの特別会計で、政府だけの赤字が六十億にも上つておる。それから共済連合会赤字が二十八億にも上つておる、一体何ゆえにかくのごとき多額の赤字が生じたかということ自身が、この制度根本的な欠陷であつたのではないか、これはこの赤字によつても明らかになろうと思います。そこで伺いたいのは、われわれ災害地をまわつて見ましたり、あるいはまた災害による損害補償をどう一体査定しておるかということを、実地について二、三調べたところによりますと、政府から一定の基準收量というものが示されましてそれが都道府県に示される、都道府県は各單位町村共済組合にこれを示す。それで市町村共済組合損害評価委員会というものをつくつて、そこでこの收量を調査をして、基準收量との差を出しておるわけです。そこで実際は、評価委員会というものが被害の実收額を押えます場合に、これは三割である、これは四割である、これは七割であるというものを一つの目分量といいますか、あるいは経験による勘といいますか、そういうことでどうも押えられておるようにわれわれには見受けられるので、政府はこの被害実收額についての損害額をどういう根拠に基いて、これだけ被害があつたという報告を承認しておるかということなんです。被害を受けた当該の市町村共済組合にその被害を査定さして、はたしてそこで正確な査定が出て来るとお考えになつておりますか。この点まず伺いたい。
  43. 小倉武一

    小倉政府委員 組合を主体とした損害評価という建前制度がよろしいかどうかという点に関しましては御議論もあろうと思います。おそらくこれは共済という意味からいたしましてさような処置になつておるのでございますが、損害評価を確実に行うためには、あくまで第三者評価にまつことが正しいということは、理論的には言い得ると思うのであります。ただしかしながら、第三者が行うとして、一体適正にこういう損害評価を行う機関が容易にできるかどうかと申しますと、なかなかこれは容易でないのであります。と申しますのは、当人がやるか、第三者がやるかということよりも、損害評価ということ自体に非常にむずかしい問題があるのであります。私どもはいろいろの被害に基く減收の測定といつたようなことにつきまして、研究者などとも相談いたしまして、一種の尺度といつたようなものをつくりまして、そういうものを参照にいたしております。それから組合が一応評価をいたしますが、それには県の連合会の支部ないし本部がさらに検討を加え、最後には農林省が検討を加えるということで評価を実はいたして参つておるのであります。
  44. 井上良二

    ○井上(良)委員 その一定の農林省から各都道府県被害基準といいますか、そういうのを示して、その基準に大体合うか合わぬかということで査定をされるだろうと思いますが、問題は市町村共済組合損害評価委員会の手で実收量を調査します場合のやり方は、どういうやり方をさしておりますか、具体的にお話を願いたい。
  45. 小倉武一

    小倉政府委員 災害の起りますときには、先ほど申しました減收尺度でもつて一応の記帳をいたしておくことにしております。最後に刈入れ時期になりまして検見をやる。もちろん一筆ごとに客観的に検見をやるということにいたしております。それからこの検見をやる場合には、收穫の適期にやることは申すまでもありませんが、評価委員が立ち会うというような方法によつております。なおこの調査の方法といたしまして、坪刈りというようなことも実は多少ずつ実施をするように指導をいたしておるのであります。実際のやり方は大体さようなやり方であります。
  46. 井上良二

    ○井上(良)委員 その收穫期に検見するというのはだれが検見をしているのでありますか。
  47. 小倉武一

    小倉政府委員 損害査定の評価委員であります。
  48. 井上良二

    ○井上(良)委員 損害査定の評価委員というのは、その当該損害を受けた市町村に在住している人でしよう。その中にはみずから損害を受けた農家も入つているでしよう。それはどうですか。
  49. 小倉武一

    小倉政府委員 これはもちろんその村在住とは限つているわけではございませんが、主として在住している人であります。
  50. 井上良二

    ○井上(良)委員 それらの人によつて集計されましたものが損害額として報告をされます。その報告が非常に過大であるというのは、どういう根拠によつて過大であるか過大でないかということを査定することができますか。府県なら府県損害量が報告されて参りまして、その報告の損害量が過大であるという場合、これを過大であるとする根拠は何によつてやるのですか。
  51. 小倉武一

    小倉政府委員 これは一つには損害評価をいたします場合に、連合会の支部の評価委員というようなものが立ち会うようにいたしております。さらにもう一つは、連合会自体でも管内に損害が発生した場合はその実態を調査して、その当時の農業気象あるいは栽培の実情というようなものを明確に把握しておくということに努めているのであります。従いまして、また支部の損害評価委員は常時各町村組合評価のやり方等を連絡いたしておりますので、村々から損害の見積額が評価の結果出て参りますと、大体ここは非常におかしいのじやないかというような点がわかるのであります。そういたしますと、そういう不審がある所につきましては、常時記載をしておきました野帳というようなものも監査いたしまして近隣の町村などの数量ともにらみ合せまして査定をやるというようなことに相なるのであります。
  52. 井上良二

    ○井上(良)委員 この三割被害、四割被害の場合はさほど問題が起りませんが、七割以上になりますとこれが異常災害の面に入りまして、国庫がこれを全部まかなわなければならぬということからして、六割である、七割であるという場合に、これは非常に問題がややこしくなつて来ます。六割被害と見る、七割被害と押える場合、これはまつたく政治的考慮が拂われないということは現実にあたつて考えられないのです。現実に六割被害、七割被害をどこで見わけをつけるかということは非常にむずかしいです。そういうことが今御質問してわかりましたが、末端の損害量の査定というか調査というものが、まつたく利害関係を持つている人が当つているというところに、私は大きな疑問があると見ている。そういうやり方をさせておきますならば、これは何年たつて共済組合損害、欠損というものは補うことができないじやないか、いかに制度をかえてみても、何としましても正確な査定を押え得る機関が確立していない場合は、非常に困難であると私は思つております。赤字問題をわれわれが考えます場合、被害の実際の損害額を正確に押え得る第三者的な公正な機関の確立されることが先決條件である。そういう点から、たとえば農業委員会という制度がございますが、この農業委員のうちで特に專門家を特別に依嘱をして、その村に関係のない人を担当さすとか、いろいろな新しい方法があろうと思いますが、当該の利害関係を持つておる町村共済組合委員会にこれをまかすという行き方は、どうも私ども納得行きかねますので、何とか改める方法はありませんか。
  53. 小倉武一

    小倉政府委員 損害評価の決定権は、お話のように現在の制度では組合ないし連合会にございます。その場合に、評価委員意見を聞くということに相なつておりまして、その点を第三者評価に切りかえるということは、確かに一つの見識であると私は思います。それまで行かなくても、ただいま御指摘のような第三者的な方々を評価委員に加えるということについては、十分考慮していいのではないかというふうに考えております。それでもちまして、私どもは従来とも、先ほどもちよつとお話が出ましたが統計調査関係職員でありますとか、技術指導者であるとか、あるいは今お話の出ました農業委員というふうな方々の参加を得るということは、これは現段階にただちに実施する方法としては適当な方法ではないかと思いますけれども、必ずしもいろいろの関係で十分行つてない部面もあると思いますが、そういう点は評価委員会の構成についてさらに一段のくふうをいたしたいと思います。
  54. 井上良二

    ○井上(良)委員 いま一つ、さきにあなたに申しておきました、実際の収穫期に入りまして、それを評価委員によつて査定をする、それからそれが県段階に報告をされて来る、そこでそれが過大であつた場合いろいろ修正を加え参る、ところが修正を加えます場合のいろいろな資料というものが、現地を実際押えた上でこれは過大である、過大でないというならば話はわかるのですけれども、実収額を押えない上に立つて評価というものは、非常に危險でないかという考え方をしますが、災害を受けました場合、特に収穫期に対しまして、県段階及び政府としては一体どういう災害地に対する査定をやつておりますか、これを一応伺いたい。
  55. 小倉武一

    小倉政府委員 申すまでもなく査定一をいたします場合、ただ鉛筆をなめてやるということじやございません。一つは、これは全部というわけではありませんが、連合会ないし支部から大きな災害があつた場合には常時見に行くということに心がけておりましてそのときの観察の状況が一つの判断の材料になります。もう一つの客観的な資料といたしましては、統計調査事務所町村別の収量統計ないし被害調査といつたようなものが、判断の実は一つ資料になつているわけであります。そういう判断によりまして、問題があると思われる町村につきましては、特に場合によりましてはその町村損害査定の関係書類を提出してもらつて、その中から検討するというふうなことまで実はやつておるのであります。
  56. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこが私は非常に問題であろうと思います。つまり市町村共済組合の方からは一筆ごと損害評価の査定をいたしまして、当該町村損害量が一筆ごとに報告をされて参るのです。これは検見の上でやられたことなんですね。ところがあなたの方では実収額については検見することに立ち会つていない。そこで統計調査所の実収額の調査とか、あるいは県その他の資料とか、また被害を受けました当時視察をいたしました直感とかいうようなものを総合して大体何割減だと、こういう政治的考慮というか、そういうものしかそこへは出て来ぬのじやないかと思うのですが、どうですか。あなた方が、これはかりに市町村が六割被害だ、七割被害だといつて届け出してあるものを、いやこれは五割だというて押えます場合の根拠は、実収額を押えた上の数字じやないのですから、そこに市町村側の資料と、これを削ろうとする場合の政府及び連合会側の意見が、そこで食い違うということになりますが、その場合、政府が主張しあるいは県段階の方の主張する案が正確で、下から出して来たものは不正確だ、こういうことになりますか、その点どうです。
  57. 小倉武一

    小倉政府委員 政治的な観点から査定をするというようなことではもちろんないのでございまして、私ども農林省といたしましても、若干の組合につきましては、拔取り調査を実はやつておるのであります。そういう調査でありますとか、先ほど申しましたように、府県関係者ないし統計事務所の資料といつたものを利用いたしまして、共済組合調査に関するいろいろな書類の比較検討といつたようなことから査定を実はいたしておるのであります。もちろん農林省におきまして、直接この組合収量はどうというところまでにはなかなか参りませんが、県の支部相互間ないし県相互間というようなことを参照いたしまして検討いたしておるのであります。
  58. 井上良二

    ○井上(良)委員 政府の再保險支拂つた結果であろうと思いますが、特別会計の赤字六十億、それから共済組合連合会赤字二十八億というのが出ておりますが、この共済組合連合会赤字二十八億というのは、未拂保險料がかりに完納された場合、この赤字はどのくらい減るか、それから未拂保險金全国にどのくらいありますか。
  59. 小倉武一

    小倉政府委員 この赤字は、実は保險料の未拂いといつたようなことに基くものではなくて、保險料の収入がございまして、その収入をもちましてもなおかつ支拂えない部分ということでございます。従つてもちろん未拂い保險料がないというのではないのでございますが、保險料の滞納分が支拂われるといたしましても、実は大勢には影響ない数字でございます。さよう御了解を願いたいと思います。
  60. 井上良二

    ○井上(良)委員 未拂い保險金全国でどのくらいありますか。
  61. 小倉武一

    小倉政府委員 実は保險料の支拂いは、引受けと同時にいたすことになつておりますが、大体非常にずれておるのでございます。年度がずれると申しますよりも、引受けのたとえば稻ならば田植えのときに引受けて即刻拂うというのが建前でありますが、だんだんずれまして、遅れますのは翌年の一、二月というころになつて初めて完納するという状態になりますので、押える時期によつて違いますが、それを過ぎてもなおかつ未拂いがあるということはまずないというふうにお考えになつてよろしいと思います。
  62. 井上良二

    ○井上(良)委員 その資料がありましたらひとつお出しを願いたい。  それから今度新しい改正案によりますと、従来の一筆対象をやめて農家單位に收める。そうなりました場合に、これはサンプルでやつてみるということでありますから、悪ければやめたらいいと言えばそれまでですが、現在の一筆調査においても、実際上非常に弊害があつて、そこにいろいろな政治的な手心が加えられているということは事実であります。もしこれが農家單位になり、しかもその農地が飛地になつております。日本の現在において集団農地でない場合、甲の地は七割被害を受けておる、乙の地は三割被害を受けた、一方は全然被害を受けていない、これを平均して被害額を出して行く、そういう場合に、これはいよいよもつてややこしい損害量の算出が手心が加えられる危険が起つて来やせぬかという点を私は考えるのですが、そういう点はどうですか。
  63. 小倉武一

    小倉政府委員 減收量の査定につきましては、減收があつたという申出があつたものについて調査をするのであります。従いましてお尋ねのような心配はないのではないかというふうに考えます。
  64. 井上良二

    ○井上(良)委員 あとは保留しておきましよう。
  65. 河野謙三

    河野委員長代理 本案に関する残余の質疑は、これを次会に行うことにいたします。     —————————————
  66. 河野謙三

    河野委員長代理 なおこの機会に、小委員補欠選任についてお諮りいたします。  目下、畜産に関する小委員が一名欠員になつておりますので、この補欠を委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 河野謙三

    河野委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは中馬辰猪君を畜産に関する小委員に指名いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時二十六分散会