○大橋国務大臣 二月七日の当
委員会の御決議の趣旨につきましては、
政府としてもまつたく御同感に感じた次第でございます。御決議を拝見いたしまして、警察予備隊といたしましては、ただちに全国における問題となるような事態を
調査した次第であります。予備隊といたしましては、御承知の通り漸次大きな部隊を単位とした訓練が必要となる段階になりましたので、昨年の秋ごろから演習場の設置ということにつきまして全般的に
計画を立て、適当な候補地を物色しておつたのであります。爾来今日までいまだに具体的に決定を見るに至つたものはございません。しかしながら現地の各部隊におきましては、付近の適当な候補地につきまして種々
調査しておる次第であります。いかなる土地を演習場として取得するかということにつきましての候補地の資格條件でございますが、もとよりわが国の農業の実情から見まして、適当なる耕地がきわめて不足いたしておるのでございます。これがために開拓等につきましても、特に農業上の見地より、また
国民経済上の見地より、
政府といたしましても格段の助成をいたしておるような実情でございますので、予備隊の候補地のために熟田、あるいは良好なる農地、または
開拓地等をつぶすということは当然避けることが必要である、こういうふうに考えておつたわけでございます。もとよりこの演習ということが予備隊の部隊訓練の生命でございまするから、付近にどうしても適当なる土地がない場合におきましては、現に
開拓地として、開拓中に属しておりまする土地を使用するということも、これはやむを得ないかと存じまするが、しかしかようなことは、できるだけ避けたいと思
つておつた次第でございます。二月七日の
委員会の御決議におきましても、これと同じ精神を明らかにせられたことにつきましては、
政府といたしましてもまことに同感に存ずるのでございまして、今後この御決議の趣旨に沿うて候補地を選定いたしたい、かように存じておる次第でございます。
なおこれらの土地を取得いたしまするにあたりまして、やむを得ず開拓中の土地を選ぶという場合におきましても、これがために開拓民に損害を與える場合には、これに対して完全なる補償を行うということは、これは当然のことと考えておるわけでございます。またそれのみならず
政府といたしましては、開拓者でありまして農地を失うの余儀なきに至つた方々に対しましては、できる限り地元各機関とも協力いたしまして、これらの諸君が今後新たなる生計を営み得るような十分な援助をいたすべきもの、かように考えているわけでございまして、この点も二月七日の当
委員会の御趣旨の精神につきましてはまつたくごもつともに存じておる次第でございます。ただいま問題とな
つておりまする件につきましては、いろいろ
調査を進めておる次第でございまするが、先ほど申し上げましたるごとく、予備隊において演習地として買収するということ、あるいは大蔵省より移管を受けるということが確定的に決定をいたしておるものではありません。今地元
関係者と協議中に属するものばかりでございまして、この協議にあたりまして、いろいろと取得の條件について
関係者と予備隊の当局者との間の協議がまとまるに至らず、これがためにいろいろ
関係者より陳情がありまして、
委員会に対しましても御心配を煩わしておる、こういう
状況に相な
つておる次第なのでございます。御決議をちようだいいたしましてから予備隊といたしましては、候補地がやむを得ざるものであるかどうかという点並びに補償の方法、その他土地を離れる人々に対する保護が十分であるかどうか、この問題は予備隊といたしましても、今後国民諸君の御協力を期待する上におきましてきわめて重大なる問題であると考えましたので、折衝中の
経過並びに現在の
概要につきまして、現地各部隊よりただちに中央に
報告せしめるよう命令を発した次第でございます。大部分のものにつきましては、すでに
報告が到達いたしておりまするが、なお全部がそろいますまでには一両日を要するかと存じております。予備隊といたしましては、これらの
報告に徴しまして、この補償額の算定等の基準につきましては、現在
農林省と十分に協議いたしておる最中でございます。さらに大蔵省、会計検査院とも協議いたしまして、なるべく早急に円満に決定するように、この補償額を定めたい、かように存じておる次第でございます。また買収によ
つて土地を失われる方々に対する補償は、これは当然に考えるべき問題であり、ただいま申し上げたような考慮を加えておるのでございまするが、演習場の近傍におきまして耕作に従事しておられる農民諸君に対しまして、予備隊の演習場使用に基く直接、間接の損害という問題もぼつぼつ出て参
つているようでございます。これはたとえば火器を使用いたしまする際の流弾というような問題もございまして、これがために演習地に近接した耕地におきましては、耕作中危険がある、あるいはその付近の住宅、道路等の使用にあたりまして安心ができないというような問題もぼつぼつ承
つておるのでございます。これらにつきましては、もとより予備隊といたしましてその実情を十分に
調査いたしました上、完全なる補償をいたすということは当然考えなければならぬ点でございまして、現地におきまして目下この補償の
程度、額、方法等につきまして、
関係者、すなわち被害者と協議をいたしておるような次第でございまして、この協議がまとまり次第、財政当局とも打合せをいたしまして、すみやかに支払いをいたしたい、かように存じておる次第でございます。